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外資ファストファッションは国内低価格ブランドに負けた

2008年ごろに上陸し、猛威を振るった外資系グローバル低価格SPAの勢いが目に見えて衰えてきた。

H&Mの銀座店もついに閉店してしまった。H&M自体は日本撤退は考えられないものの、フォーエバー21は店舗数も20店舗を下回っているし、いつ日本から撤退してもおかしくはない。

遅れて上陸したオールドネイビーはわずか4年半で2017年1月に日本から撤退してしまった。
まあ、それだけ売れてなかったということである。

それについてポストセブンに原稿を書いた。

H&Mなど外資ファストファッションが苦戦に転じた3つの理由

https://www.news-postseven.com/archives/20180718_720418.html

多くの業界メディア人が論考を書いているが正直どれもしっくりこない。
もちろん自分の見方がすべて正しいとはいわない。

それでも例えば、

ギンザシックスで人の流れが変わったとか、洋服を長く使いたい人が増えた、とかそういう見方はちょっと的外れではないかと思う。

まずギンザシックスだが、たしかに前身の松坂屋銀座店よりは売上高が大幅に増えたが、しかし今後さらに伸びる気配はなく、600億円くらいで横ばいから微減になると見ている。

「600億円はすごい」という称賛が業界からはあふれたが、三越銀座店もそれくらい売っているから、銀座という立地ならそれくらい売れて当然なのではないかと思う。
逆に前身の松坂屋銀座店がたった100億円程度しか売れなかった方があの立地ではおかしい。

洋服を長く使いたいというのも疑問だ。
可処分所得の伸び悩みや減少で、短期間で買い替えたくないというニーズはあるとは思うが、「洋服を長く使いたい」が先に来るのではなく、「気に入った洋服があったら」長く使いたいのであって、順序が逆である。

「長く使いたい」が前提条件ではない。
気に入らない服ならすぐに捨てても良いというのが消費者である。
しかも、そのために「安い」ファストファッションを利用してきたのだから、まるっきり順序が逆だ。

当方が考える外資系グローバル低価格SPA(ファストファッションと略す)が日本国内で苦戦し始めた理由は次の3つだ。

(1)価格が安いだけで品質が劣っていた
(2)日本独自のトレンドに対応できなかった
(3)日本独自の低価格トレンドブランドが成長した

である。
1については、上陸当初からさんざん言われてきて、何を今更である。
まあ、一度か二度買ってみたが、品質が悪いのでリピーターにはならなかったということだろう。

ユニクロはおろかジーユーにも品質的に遠く及ばないブランドがほとんどで、価格帯はそのジーユーと変わらない。
だったらジーユーで買えば良いということになるのは当たり前だろう。

2は、業界では知られているが、例えば2015年のガウチョパンツブームは世界的トレンドなどではなく、日本国内の限定トレンドだった。
それに対応したジーユーは100万本を売ったが、グローバル企画である外資系ファストファッションはほとんど対応できなかった。

ローカルトレンドが存在する国は日本だけではなく、どの国でもローカルトレンドは存在する。
ユニクロだってイスラム教徒が多い中東向けにはローカルトレンドに対応した商品を販売している。
日本にローカルトレンドが存在するからと言って、日本が遅れているとか日本が負けるとかそういう論調になることは的外れでしかない。

アメリカだってローカルトレンドはある。ジョギングの帰りみたいな服装が「アスレジャー」として一大トレンドになるなんていうのは完全なるローカルトレンドで服装に無頓着なアメリカ人らしいといえる。

そして、あまり指摘されないが3が一番大きな要因なのではないかと思う。

「廉価版粗悪ユニクロ」として2006年にスタートしたジーユーがトレンド対応低価格ブランドへと変身したのは2010年のこと。
2012年には562億円まで売上高を拡大し、そこからわずか6年で1500億円前後も売上高を増やしている。(2018年8月期決算では2000億円超の売上高を見込む)
この1500億円は外資ファストファッションからもぎ取った売上高だといえる。

ジーユーだけではない。
ストライプインターナショナル(旧社名クロスカンパニー)もそうだ。
決算を公開していないが、2010年の売上高は400億円だったが、2017年1月期は単体の売上高は990億円となっている。
7年間で600億円弱も売上高を伸ばしており、これも頻発するタイムセールと低価格商品で外資ファストファッションからもぎ取った売上高だといえる。

また、アダストリアホールディングスもそうだ。
2015年にトリニティアーツと合併したので、単純比較はできないが、今では2000億円以上の巨大SPAアパレルに成長した。
この成長も外資ファストファッションから売上高をもぎり取った結果といえる。

そのほか、ユナイテッドアローズの低価格ブランド「コーエン」の成長や、アーバンリサーチが開始した低価格ブランド「センスオブプレイス」など国内企業の低価格ブランドは増えているし、この8年間で売上高を拡大したものも多い。

となると、それだけ外資ファストファッションは売上高を国内各ブランドに売上高を削り取られてきたといえる。

外資ファストファッションが2008年、2009年の上陸時に持て囃され、その後数年間支持されたのは、「高トレンド」という部分にあったと思う。
低価格・高トレンドというブランドが日本には少なく、その需要が取り込めたのだと思うが、上記の各社がトレンド性を強め、価格据え置きになれば、グローバル企画でピントがぼけたブランドよりも、国内の雰囲気を反映する国内ブランドの方が支持されるのは当たり前だ。おまけに素材や縫製の品質は国内ブランドの方が高い。

2010年以降のジーユーはグローバルファストファッションキラーだったし、ストライプやアダストリアもキラーぶりを発揮したといえる。

ファッション業界やメディア業界には外資ブランドが受けないことが「ファッションへの渇望がなくなった」とか「感度が退化した」とかいう人が多いが、そんな見方は強度の舶来コンプレックスでしかないし、当方としては国内ブランドはよくぞ外資ファストファッションを追い込んだと各社を褒め称えたいほどである。

よくやった!国内ブランド。

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コーエンの激安品をどうぞ

業績の明暗が表すユニクロとジーユーの値下げ方針の違い ~今春夏の店頭を見て~

今春物から、ユニクロとジーユーがそれぞれ異なった値下げの手法をとるようになった。

ユニクロは今春夏物から値下げパターンが変えた。
自動的・段階的値下げはこれまでと同じだが、その値下げ幅が小さくなった。
反面、同じ商品でも色柄によって値下げ幅が異なるようになった。

昨年冬物までは、自動的・段階的値下げされ、それまで同様、期末には驚くほどの安値になった。
それが今春物からはそこまで値下げされなくなった。

お気づきだろうか?

2990円のパンツはせいぜいが1990円までにしか値下げされない。
1290円に値下げされるのはよほど時間が経過してからになっている。

シャツしかり、アウター類しかりだ。

しかし、売れ行きが鈍いと思われる商品は容赦なく値下げされる。
アンダーソンとトーマス・マイヤーは値下げされている物が多いが、アンダーソンは昨年秋冬物に比べると値下げ幅が小さい。
昨年秋冬物でデビューとなったJWアンダーソンコラボだが、はっきりいって投げ売りされまくっていた。

ウールをふんだんに使ったセーター類は本来なら製造コストが高いからそこまでの値引きはされないはずなのに、「魚柄ラムウールセーター」は最終500円にまで値下げされていた。
また、フェアアイルモックネックセーターも990円にまで値下げされたし、カラフルボーダー柄のファインゲージセーターも990円に値下げされた。これらをいずれも当方は底値または底値に近い価格で買っており、全然アンダーソンなんて注目していなかったのに、昨年秋冬にユニクロで買った商品の中で最も多かったのがアンダーソンコラボになってしまった。

今春夏のアンダーソンも通常ラインに比べて値下げされている物が多いが、秋冬物ほど値下がりしていない。切り替えボーダー柄Tシャツだっていまだに990円で踏ん張っている。
ロング丈シャツは3990円が最終1990円に値下がりしたが、1990円になる前にほどんど完売となっている。

また、これまでユニクロは同一品番は同一価格で値下げされていたが、今春物から、同一品番でも動きの鈍い色柄だけが大幅に値下げされるようになった。
例えば、春先に綿セーターが何種類か投入されたが、薄手の家庭洗濯可能なセーターの中で赤とピンクが不人気だったのか、いきなり500円に値下げされた。他のカラーが990円でとどまっているにもかかわらずだ。当然、当方はその赤を500円で買った。

今夏のユニクロUのTシャツもそうだ。袖リブの色だけが本体と異なる「カラーブロックTシャツ」という品名の商品があるが、黒、グリーン、紺は990円でとどまっているのに対し、赤茶色だけが790円に値下げされているし、「ユニクロU」のボーダー柄Tシャツも同様で赤茶色とあせたピンクのボーダー柄だけが790円に早くも値下げされている。

これと対照的なのが今夏のジーユーで、190円・390円・590円・790円というバッタ屋価格の商品が目白押しである。
はっきり言ってなまじのバッタ屋よりも安い商品が多い。
バッタ屋を越えたジーユーというのはなかなかすごい。

390円に値下げされていて、5月に買ったデニムの水玉プリントシャツ

 

 

キム・ジョーンズとのコラボアイテムなんてもうとっくに投げ売り価格で、カラーブロックセーター(冬向け素材)なんて今や390円である。ルイ・ヴィトン、ディオールなどのスーパーブランドを歴任したデザイナーの商品とは思えないバッタ屋価格となっている。

夏物に関してはユニクロよりもジーユーで買うことが増えた。
麻混の開襟シャツを790円で買ったし、先日、このブログでも紹介した切りっぱなしスキニージーンズも790円で買った。
ワイドボーダー柄Tシャツも590円になったときに3枚買った。

この安さを体験するとまともな店で服は買えなくなるほどの衝撃がある。

ユニクロとジーユーの値下げの違いを考察すると、ユニクロが以前よりもあまり値下がりしなくなった理由として、業界の製造関係からは「今春物から製造原価率を上げたから」だという声が聞こえる。それによると「製造原価率を5%上げてさらに品質を高めた。そのため、以前ほどの値下げはされなくなった」と言われている。それが正しいとするとユニクロの平均製造原価率は45%前後ということになり、あの数十万枚という量の多さで、その原価率の高さは驚異的といえる。
そこらの細かいロットしかないくせに「原価率50%ガー」とアホの一つ覚えのようにいっている某ブランドの商品とはまったく比べ物にならない。

一方、ここまで投げ売りするジーユーは恐らく在庫がダブついているのだろうと推察される。

さて、ユニクロとジーユーを擁するファーストリテイリングの2018年8月期第三四半期決算が発表された。
それによるとユニクロは増収増益であるものの、ジーユーは減益となった。特に3~5月は既存店売上高が前年を割り込み、大幅減益となっている。大幅減益となった理由は、在庫処分を進めた結果だ。

そしてジーユーは第4四半期も在庫処分を進めるため、粗利率が低下し、赤字幅が拡大すると見通している。

ジーユー/3~5月既存店売上減、春夏商品不振・在庫処分で赤字拡大

ジーユー/3~5月既存店売上減、春夏商品不振・在庫処分で赤字拡大

ジーユーの2018年8月期第3四半期の売上収益は1666億円(前年同期比6.4%増)、営業利益は150億円(1.7%増)と、増収増益になった。

一方、ジーユーの3~5月の既存店売上高は、減収となった。
春夏のキャンペーンで打ち出したマドラスチェックのボトムス、トップスや、ロングスカートなどの商品の販売が不振で、計画を大幅に下回った 。

売上が計画を大幅に下回ったため、値引きを早期に進めたことにより、3~5月の売上総利益率は前年同期比1.9ポイント低下し、また、売上高販管費率は同1.2ポイント上昇した。
営業利益は同20.0%の大幅な減益となった。

また、第4四半期は、シーズン末の在庫処分が増え、粗利益率が低下、赤字幅が拡大する見込みで、下期、通期ともに減益となることを予想している。

とのことである。
当方が喜んで買っている値下げ品はやはり在庫処分だったのである。

だいたい当方が喜んで投げ売り品を買うブランドは、その時、苦戦傾向にある場合が多い。
今年5月、6月のジーユーもそうだし、2017年のライトオンもそうだし、ジーンズメイトもそうだ。
だから当方が「これは破格値!」と紹介するブランドは概してその時点では不良在庫を抱えており、苦肉の策として投げ売りをしているということである。

ジーユーの春夏の店頭を見ると、たしかに商品のクオリティもデザインも良くなってるが、トレンドに偏重しすぎていると感じる。ベーシックアイテムが減った。そのあたりを当方が面白いと見ていてその投げ売り価格に魅力を感じているのだが、マス層のニーズとは少し異なっているといえる。

もちろん、ジーユーもそれに気が付いていて、夏物には無地のポロシャツとか無地のTシャツなんていうベーシック品も差し込まれているが、必然性のなさと売り場での見せ方の下手さが災いして全く売れずに590円の投げ売り価格となっている。

例えば、マーセライズドTシャツだ。今590円にまで値下がりしている。
無地で色展開も多く、通常ならもっと売れるはずだが、全商品がビニール袋に入れられている。
これは触られて汚れないようにという工夫とともに、マーセライズド加工された生地がテロっとしていて畳みにくいからではないかと思う。
マーセライズド加工とはシルケット加工とも呼ばれ、シルクみたいなソフト感と光沢感を綿に与える加工である。

そのため、ビニール袋に入ったままではその肌触りの良さはまったく実感されない。
なぜならビニール袋に入っているため触れないからだ。

いくらPOPで「マーセライズド加工」なんて書いたって意味がない。
それに一般消費者からすれば「マーセライズド加工」なんていわれたところで何のこっちゃでしかない。

完全に売り方・見せ方のミスである。

下期は、商品構成を見直し、防寒衣料、デニム、Tシャツ、ラウンジウエアといった実需商品の割合を増し、これらの実需商品の中にもジーユーらしいトレンドの要素を取り入れる。

とのことで増えすぎた品番数を絞り、ベーシックアイテムを強化するとのことだが、結局洋服屋というのはベーシック一辺倒でもダメだし、トレンド一辺倒でもダメだということで、ベーシックとトレンドのバランスをどう取るのかということが永遠の課題だといえる。
そしてそのバランスの取り方を誤ると今回のジーユーのようになるし、過去のユニクロの伸び悩みのようになってしまう。

それにしても、店頭の動きがそのままジーユーの3~5月の業績に反映されていたことには笑ってしまう。
店頭を見ていると、AIだ、POSだ、KPI指標だ、と難しいことを言わずとも、ある程度の売れ行きは推察できてしまう。店頭の動きをどれだけ正しく見るか、衣料品ビジネスはその一点にかかっており、それができていない人が多すぎるから「斜陽産業」と呼ばれるような事態に陥ってしまったといえるだろう。

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ZOZOのオーダースーツの価格は極めて平均的 ~ZOZOよりもお買い得なオーダースーツはこんなにある~

本日はちょっとお気楽に。

先日、ZOZOのオーダースーツが発表されたが、すごく安いという印象が世間で独り歩きしているが、実際のところはそんなに安くない。
今回はお試しで2万円台だが、定価は39,900円と発表されている。

業界の人ならだれでも知っている知識だが、オーダースーツには、大きく分けて3種類のオーダースーツがある。

基本的なことのおさらいをさらっと簡単にしておく。

1、パターンオーダー
2、イージーオーダー
3、フルオーダ

の3つがある。

パターンオーダーとは、基となるパターン(型紙)があり、それを体型に合わせて修正する。
標準仕様の服を着て、採寸し、それを基として各部を調節する。
現在の国内価格だと2万~5万円くらいでできる。ZOZOのオーダースーツは価格的にこれだ。

イージーオーダーとは、その人と似た体型の人用の型紙を修正して使う。これはパターンオーダーよりも少し高い。

フルオーダーとは採寸して、その人専用の型紙を作るところから始める。これは最低でも何十万円かはする。

だから、ZOZOが「フルオーダー」と言っているのは、完全に誤りで「パターンオーダー」が正しい。

で、市場には2万~4万円程度のパターンオーダーはあふれかえっており、取り立ててZOZOが割安ということもない。

付け加えておくと、素材の「スーパー110」というのは高級ウール素材だが、すでに10何年前のツープライススーツショップでも使われていた。数字が大きくなるごとに糸が細くなって高級素材となるが、「スーパー150」以上は細すぎて耐久性がなくなって、スーツ地としては実用に適さないと言われている。

ちなみに当方が12年前くらいに買ったスーパースーツストアのスーツにもすでに「スーパー110」が使われていた。
既製服なので19000円くらいだったと思う。

近年、団塊世代のリタイアとスーツのカジュアル化によって、スーツ販売各社は既製服スーツの売れ行きが鈍ってきた。
そのため、各種方策を繰り出してその穴埋めをしていたのだが、その方策の一つが低価格パターンオーダーの導入だった。

そのほかの方策は、レディースビジネススーツ類の拡充、カジュアルウェアの拡充である。

まとめると

1、低価格パターンオーダーの導入
2、レディースビジネスウェアの拡充
3、カジュアルウェアの拡充

がスーツ販売各社の2007年以降の方策である。

だから、39900円程度のパターンオーダーなんて実際は珍しくもなんともない。
世間にはもっと安いパターンオーダーが実は溢れている。

今回は各社の低価格パターンオーダーを見てみよう。

〇まずは関西ローカルチェーン店のツキムラ

http://www.tukimura.com/

1着28,800円、3着50,000円という安さ。これだけですでにZOZOより破格に安い。

 

〇次にかつて「ザ・スーパースーツストア」でツープライス業態を開発したオンリー

https://only.co.jp/

1着28,000円、2着38,000円という破格値。2着作ってもZOZOより1900円も安い。
1900円あればジーユーで590円のTシャツが3枚買えてしまう。

 

〇エフワン かつては既製スーツを販売していたが、経営破綻して縫製工場グッドヒルの子会社になってからオーダー専門店へと変わった

https://www.f-one.co.jp/

1着29,800円でここは纏めオーダーはやっていない。

 

〇最近店舗数を増やしたグローバルスタイル

https://www.global-style.jp/

1着38,000円だが2着で47,000円という値引きスタイル。

 

〇大手ツープライススーツショップの「スーツカンパニー」の派生形態「ユニバーサルランゲージ」

https://www.uktsc.com/custom-order/

1着39,000円、2着49,000円という安さ。

 

〇最近始まったオンワード樫山の新業態「カシヤマ・ザ・スマートテーラー」

https://kashiyama1927.jp/

1着30,000円(税抜き)が最低価格。

とざっと駆け足で見てきたが、ZOZOのオーダースーツの価格がどれほど「平均点」なのかということがわかるだろう。
39,900円のオーダースーツなんて珍しくもなんともない。

また、一度作ったら採寸データは残るから、リピートするのも簡単で、IT化が進んでいるから、パソコンやスマホからデータを自分で入力して買えるというサービスも別に珍しくない。現に「カシヤマ・ザ・スマートテーラー」は指定した場所にフィッターが出張してきて採寸してくれるだけでなく、2着目からはスマホからもオーダーできるし、最速で1週間で完成するから、ZOZOのサービスが霞んで見える。

逆にあんなに12回もクルクル回らねばならない上に、採寸に誤差が生じやすい水玉模様のZOZOSUITよりもプロのフィッターに出張してきてもらった方が手軽だし信頼できる。

こうして見ると、ZOZOよりも価格競争力もあり、サービスも優れているオーダースーツは業界には掃いて捨てるほどある。
ZOZOが上手いのは現時点ではイメージ戦略だけということができる。

それにしてもメディアはこういう競争力のあるブランドを紹介せずに何をイメージ優先のZOZOばかり紹介しているのか。
偏向報道と叩かれても当然の報いといえる。

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苦し紛れの思い付きで専門外の商品を扱ったって絶対に成功しない

先日、某大手SPA企業の中の1ブランドのOEM(実態はODM)を担当している方とお会いした。

その企業が抱えるブランド群はこのところそろって不振で決算は大幅減益となっている。
またインターネット通販を見ていても、タイムセールの連発や2点購入割引などの値引き販売が続いており、在庫を捌くためになりふり構わない様子が見て取れる。

その方の担当しているブランドは、少し前から200円くらいのボールペンやノートなどの文具も販売を始めており、洋服販売の不振を何を使ってでも穴埋めしたいという姿勢が露わとなっていた。

ところがさらに驚くことに、このブランドは秋口からシャンプーやヘアワックスなどの販売も計画しているという。
これが事実なら、最早、そこまで手を出さなければならないほどに洋服の販売は不振を極めているといえる。

しかし、これは苦し紛れとしか言いようがないし、恐らく成果は出ないだろうと見ている。

なぜなら、シャンプーやヘアワックスなどの整髪剤を洋服ブランドの店で買う理由がないからだ。

コンビニでも販売しているし、今は隆盛を極めるドラッグストアでも販売している。
しかもドラッグストアは幾分か割引販売している。

さらに言えば、行きつけの美容室やヘアサロンでも買える。
美容室やヘアサロンでは通常のコンビニ、ドラッグに置いていない整髪剤を買える。

こうなると、洋服の店で「わざわざ」整髪剤を買わねばならない理由は何一つない。

ナショナルブランドの割引品が欲しければドラッグに、定価のナショナルブランドが欲しければコンビニに、価格は高いがコンビニにもドラッグにもない本格商品が欲しければ美容室に、という消費行動となり、そこに髪についてズブの素人だった洋服店が入り込む余地はまったくない。

そして、シャンプーなどのその手の商品は無印良品でも売っている。

これだけ強力なライバルに挟まれていて、活路があると思う方がおかしい。
よほど市場の現状を見ていないのではないかと思う。

近年、ライフスタイル提案型ショップが流行っているが、多くの洋服ブランドは洋服店の域を越えられていない。
餅は餅屋という言葉があるように、洋服屋は洋服屋でしかなく、その壁を乗り越えることは並大抵の努力ではできない。
だから多くの場合は、洋服にバッグ類と靴を数点ずつ置いてお茶を濁しているが、通常の洋服ブランドではそれが限界なのである。

無印良品のように、洋服から住宅、インテリア、食品、整髪剤などライフスタイル全般を網羅したブランドを構築することは至難の業で、無印良品も30年近い歴史を積み重ねてたどり着いており、苦し紛れの思いつきで追いつけるレベルでは到底ない。

唯一、シャンプーやヘアワックスが売れる可能性があるなら、コンビニにもドラッグにも美容室にも置いていない希少性の高い商材を集められた場合だけだろう。

それとてもプロモーションが上手く行っての話であり、プロモーションは必ず成功するという類のものではない。

また店構えも無印良品のごとくトータルライフスタイル提案にふさわしいものが要求され、通常の30坪とか40坪程度の洋服店にシャンプーの棚を1つ作りました程度では売れるはずがないし、このSPA企業の過去からの実績を顧みると、シャンプーの棚を1つか2つ作ってお終いとなるのが関の山である。

こんな当たり前のことがなぜわからないのか不思議でならない。
それとも負けるとわかっているがやらざるを得ないほどに洋服の販売が不振を極めているのか。

もちろん、何事もトライ&エラーを繰り返すことでしか成功しない。
頭でわかっているがやってみなくては実際のところは理解できない。

このブランドが将来的に「真のライフスタイルブランド」を目指すという覚悟があるのなら、今回の取り組みは第一歩となるだろうが、そこまでの覚悟があるのだろうか。
何年間もの試行錯誤を繰り返して投資を続けるだけの覚悟があるのだろうか。
外野から見ていると、失礼ながらそこまでの覚悟は感じらない。

余談ながら、この大手企業は最近会議が頻発しており、毎週月曜日から水曜日までの3日間が会議だといわれている。
会議をすべて否定するわけではないが、毎週3日間もの会議は必要なのだろうかと疑問に思う。
1か月で12日間も会議に費やしており、それこそ生産性が著しく低いのではないかと思う。

一般的に、長い会議を頻繁に行う企業は業績を伸ばすことができない。
とくにアパレルでそういう企業は必ず退勢となる。

苦し紛れでの思いつきの異分野商材の取り扱い、長時間会議の頻発、と、この大手はかなり危うい状況にあるといえる。
過去20年間の経験則だけでいうと、こうなった企業はほぼ間違いなく凋落した。
だから、この大手が凋落する可能性は高いのではないかと個人的に見ている。

文具には東急ハンズとか雑貨専門店、100円均一、コンビニ、無印良品という強力なライバルがひしめき合っている。
整髪剤にもコンビニ、ドラッグストア、美容室、無印良品などの超強力なライバルがひしめき合っている。

どちらの分野も生半可な覚悟と投資では戦えないことは誰が見てもわかりそうなものである。
毎月12日間もの会議を繰り返しながら、何を見てどう分析してその答えにたどり着いているのだろうか。
まったく理解不能である。

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ジーンズの洗い加工はレーザー光線で行う時代
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個人的にはナカノスタイリングワックスがええと思う

「大量生産・大量販売から脱却する」という意味不明なルミネの主張

ルミネという商業施設のコメントはどうしていつも屁理屈臭が漂うのだろう。
これこそ企業の風土というやつかもしれない。

ルミネの夏のセール日が決定 昨年と同時期の7月末から
https://www.wwdjapan.com/635519

今年の冬セールは他の施設とほぼ同時の1月4日から開催したが、夏セールは他の施設から遅れて7月27日からするそうだ。
で、遅らせる理由だが

広報担当者は「しっかりとプロパーで販売し、適正な時期にセールをするという方針を取っている。これまでと変わらず、大量生産、大量販売から脱却し、素材やデザインにこだわった商品の価値を丁寧に伝えて販売していく」としている。

と書かれており、はっきり言って意味不明だ。
ルミネは真面目のこんなことを考えているのだろうか。だとしたら上層部は相当アレな人がそろっている。

そもそもルミネというファッションビルに入店しているテナントブランドのほとんどは「大量生産・大量販売」である。

例えばルミネ新宿を見てみようか。

1階にはユナイテッドアローズとトゥモローランドという「ほぼSPA」化した大手セレクトショップである。すでにこの2店でも相当に大量生産・大量販売だ。大量生産・大量販売という仕組みがなければこの2店はここまで大手になっていない。

2階にはガリャルダガランテ、デミルクスビームス、ドゥージィエムクラス、マークジェコブス
3階はイエナ、ピーチジョン、グレースコンチネンタル、ルシェルブルー
4階はユナイテッドトウキョウ、スピック&スパン、ブラックバイマウジー

などというふうになっており、目玉テナントはすべて大量生産・大量販売である。
そうではないと完全に言い切れるのは4階の大塚呉服店くらいだろう。その大塚呉服店とて、仕入れている着物のうち何割かは大量生産品が含まれている。

現代の大手アパレルブランドで大量生産・大量販売でないところはない。

「素材やデザインにこだわった」と陳腐化した言葉を並べているが、ルミネ内の店以外でも同じ商品が並んでおり、ルミネ内の店で買う必要性はまるでない。

以前に、バーゲンセールを後倒しし始めた際に持ち出したルミネの屁理屈は「産地の保護」だった。
しかし、上記のテナントにどれほど国内生産品が並んでいるのか。上記のテナントが扱っている商品はほぼアジア工場で生産されている。
生地や染色加工の段階にまでさかのぼれば、国内品比率が増えるが、縫製段階で限っていえば、当時ですら97%(数量ベース)は海外製造品だ。「産地の保護」で掲げている「産地」というのはどこを指しているのか?アジアの縫製工場のことか?
まったく笑わせてくれる。

ルミネの「理由」を聞いて前回も今回も納得する人がいるのだろうか。
いるとしたらその人たちの頭の中身は相当におめでたい仕様になっている。

で、これらのルミネの目玉テナントの各ブランドのウェブサイトに行くと、すでにウェブ上では一部セールが5月から始まっている。
ZOZOTOWNも5月にすでに大々的なセールを行っているし、割引きクーポンの乱発は日常茶飯事だ。

ウェブだけではない。実店舗でも今年は夏のセール開始が早い。
ショッピングセンター内や都心路面店では5月半ばから「店内一部セール」「最大〇〇%オフ」というデカイ看板が掲げられているし、ストライプインターナショナルとそれに触発されたブランドが毎日「タイムセール」を繰り返している。

言ってしまえば、消費者は常に割引品を買うことができる状況にあり、ネット通販の進展によってそれはさらに周知されている。
突き詰めればネット通販の最大の集客手法は「安売り」だからネット通販が盛んになればなるほど、各サイト間の競争は激化して安売りは進む。ZOZOTOWNの5月の大セールや割引クーポンの乱発はそれを証明している。

2008年ごろまでのインターネットがそれほど普及していない時代なら、ネットと実店舗は違うという理屈でも押し通せたかもしれないが、これほど多くの人が日常的にインターネットを使用している状況下ではその理屈は最早通用しない。
それにルミネのネット通販、アイルミネも早期に割引セールを行っている。自社のサイトがやっていることを実店舗で否定する意味がわからない。こういうのをダブルスタンダードというのである。

加えて、常に店内に「値下げセールコーナー」を持つユニクロ、ジーユー、GAP、ストライプインターナショナルの各ブランド、アダストリアの各ブランド、などのSPAブランドが浸透している。
消費者からすると、店内に見切り品コーナーがあることは最早常態と化している。

このような状況下で、90年代の遺物のような夏と冬の年二回の大幅値下げセールに固執する意味があるのだろうか。
当方はまったくないと思う。ルミネで値下げされていないブランドだってそのブランドのウェブサイトでは値下げされているのだから、そちらで買えば良いだけのことである。

こうなると、いくら、大手流通が「セール後倒し」を叫んだってもとには戻らない。
ネット通販とSPAブランドがすべて壊滅しないと実現できないので、事実上実現不可能ということである。

となると、ここでやらねばならないことはノスタルジー丸出しでの「セール後倒し」模索よりも、SPA方式での売れ行き不振商品の自動的段階的値下げである。それとともに、ZARA式の「売り切れ御免」方式を組み合わせるマーチャンダイジングの模索であろう。

ZARA式を取り入れることで「値下げまで待てない」という心理を消費者が持てば、セール品は減る。
それでも売れ行き不振商品が出るならそれは、企画と販売が下手くそなせいだから、諦めて値下げすればいい。
後生大事に定価で抱えていても最終的に投げ売るよりも早い段階で、30%オフくらいで枚数を減らした方が利益率が高いはずだ。
また、廃棄するにも廃棄料としてカネがかかるから、不振だと気が付いた段階で少し値下げする方が適切な処置だといえる。

定価で買うのは嫌だが、30%オフでこのデザインなら買っても悪くはないと考える消費者は多い。

まとめると、

・SPA方式の自動的かつ段階的値下げ
・ZARA方式の「売り切れ御免」の商品手配の確立と、商品企画の精度向上

セール後倒し派はつまらない日程操作よりも、この2つに注力すべきだろう。

それにしてもルミネの主張はいつもまったく共感も支持もできない。

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無印良品の記事からわかるインフルエンサー の言葉のいい加減さ

経済系インフルエンサーとか著名コンサルタントとかいう人の言説を見ていると、「この人本当に売り場で商品を見たことがあるのかな?」と感じることがある。

例えば、先日流れてきたこの記事。

UMS主義者、かく語りき――衣のユニクロ、住の無印良品、食のサイゼリヤ
http://bunshun.jp/articles/-/7665

この人はユニクロ、無印良品、サイゼリヤを衣食住のそれぞれの分野で評価している。
個人的には、そこの好みは同じである。
ただ、当方は住、インテリアにはほとんど興味がないので、まったく買わない。
この3つのブランドはたしかに低価格・高品質を地で行っていて、低価格で良い商品が手に入る。

だから主張していることの8割方は賛同できる。

しかし、賛同できない部分もある。
出だしのApple製品がナンタラでイヤホンの音質がドウタラでという部分は当方にとってはどうでもいい。
当方は音楽にはまったく興味がないし、その微細な音質の違いなどもっとどうでもいい。
どうでもいいことで1ページ目は終わっている。

疑問を感じる箇所は2つだ。

まず、3ページ目の無印良品についてだ。ここがはっきり言って最大に疑問を感じる。

無印良品のデザインに飽きがこないのは、それが独自の基準で練り上げられているからだ。それが証拠に、無印良品の家具や生活雑貨はほとんどが超ロングセラーで、デザインの変更は滅多にない。本当に良いものをつくれば、あとから新製品を出す必要はそもそもない。

この箇所は疑問で、そこまで無印愛を語っているのに、この人は商品を見ていないのではないかと感じられる。
もしくは見ているのだろうけど、ほとんど記憶していないかのどちらかではないか。

ここに、的確な突っ込みがあった。ご紹介しよう。

まず、これ。

続いて核心を突いたこのツイート。

もうこれが答えである。

無印良品は頻繁に商品のデザインや仕様をマイナーチェンジするし、新商品も発売し続けている。
これが事実である。

インテリア商品に関しては比較できるほど見ていないので、衣料品で考えてみようか。
衣料品に限っていえば、毎年商品のデザインや仕様、素材が変えられている。
デザインの変更が滅多にないと見えるのなら、それは商品を見ていないか、昨年の商品を記憶していないかのどちらかでしかない。

例えば、昨日のブログで紹介した「脱げにくいフットカバー」。
昨年はミディアムグレーがあって、それを購入した。しかし今年はミディアムグレーは廃版となっており、再販されていない。
もっといえば一昨年の同商品とは履き口のゴムと編み方が異なっている。一昨年の同商品の方が履き口が伸びやすい。
それを昨年改良しており、今年はそれを引き継いだ設計となっている。

また、14年前の冬に買ったウールのカーディガンと、13年前に買ったウールのカーディガンは一見すると同じシリーズだが、サイズ感や生地の厚さが異なっていた。

14年前の冬にウールのカーディガンを買った。
ベージュの丸首カーディガンで前身ごろの左右に紺色のアーガイルチェック柄があった。

実はこれはVネックもあり、そちらも本当は欲しかったのである。
Vネックはミディアムグレーを買うつもりだったが、金がなかったのでベージュの丸首だけを買った。

そして、翌年、Vネックのミディアムグレーを買った。一見すると同じだが、なんか違う。

まず身幅のサイズが違う。
ベージュの丸首はほぼジャストサイズ(細すぎず大きすぎず)だが、グレーのV首は今でいうオーバーサイズっぽいゆとりがあった。

あれ?おかしいな。

生地の厚さはベージュの方が厚く、グレーは意外に薄かった。

結果としては似て非なる商品だったといえる。
無印良品の衣料品は毎年こんな感じでマイナーチェンジされていて、同じ物を買うことは二度とはできない。

これは毎年の商品をきちんと把握していれば容易にわかることで、無印愛を語りながら、それを把握していないというところに疑問を感じる。

また傾向は異なるがこの部分も疑問だ。

デフレ真っ盛りの頃に取りざたされた、ひたすら低価格を追求する商売とは一線を画している。安さだけではアジアでは通用しない。

この3ブランドがアジアや中国で好調なことに触れた部分だが、「安さだけではアジアでは通用しない」という書き口に違和感がある。
安さだけで通用しない国は日本が最右翼である。
だから安さを売りにしたオールドネイビーは売れずに撤退したし、安さだけしか取り柄のないフォーエバー21はジリジリと店舗数を減らし続けている。

97年、98年の価格破壊ブームの時に170円スニーカーを発売して注目を集めた靴のヒラキがビッグブランドに成長できなかったのも同じである。

安さしか取り柄がなかった韓国のビッグブランド「MIXXO」「SPAO」はあえなく日本から姿を消した。

そうそう、フランスのカルフールも日本から撤退してしまっている。

経済系インフルエンサーや著名コンサルタントの多くは、戦略論や概論はさすがだと唸らされるが、商品や商品価格に踏み込んだ場合、首を傾げたくなるような記述がある。

結局のところ、この手の人はそれほど熱心に商品を見比べていないし、商品にはそれほど興味はないのだろう。
そのあたりは起用する企業やブランドが人の用途を使い分けるべきだろう。

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ジーンズカジュアルチェーン各社の状況はさらに厳しさを増している 夜明け前どころか真夜中の暗さ(追記あり)

最近、ポジショントークな人々が「ジーンズカジュアルチェーン店に復活の兆し」と言い始めているがまったくそれは感じられない。

ライトオン、マックハウス、ジーンズメイトの全国チェーン店3社はピーク時の売上高に比べると著しく売上高を低下させたままだ。

売上高1000億円あったライトオンは800億円を割り込む勢いで推移している。
ライトオンの2018年8月期見通しでは売上高770億円となっている。

マックハウスは売上高500億円台から転落して、2018年2月期決算では売上高308億5200万円にまで低下している。

ジーンズメイトは先日も書いたが、ピーク時300億円台の売上高だったが現在は95億円しかない。

その差額はライトオンで230億円、マックハウスで200億円、ジーンズメイトも200億円以上で、3社合計で700億円近くも売上高が低下している。

ジーンズメイトの売上高が回復基調にあると見る人もいるが、それは低下し切って底打ちしたからだといえる。
売上高95億円では最早、全国チェーン店とも大手とも呼べない。

もともとの売り上げ規模が大きかったこの3社の苦戦が報じられる中、地域密着の有力チェーン店は減少しつつあるとはいえ、残存していた地域チェーン店はさまざまな工夫を凝らしてこれまで生き延びてきた。
健闘と評される地域チェーン店も少なからずあった。

だが昨年あたりから、健闘と評されてきた地域の雄も息切れし始めているように見える。

具体的な地域名は挙げない。
地域名を挙げると、地域密着型の雄直チェーン店は、たとえ店名をボカしてもすぐにわかってしまうからだ。

先日、お目にかかったカジュアルウェアメーカーの社長は、銀行から某地域の有力チェーン店への納入を縮小するように勧告されているという。

その話を聞いたときに、当方は「まさかあのチェーン店がそこまで追い詰められているとは・・・」と驚きを隠せなかった。

銀行はそのチェーン店が相当に資金繰りに苦しんでいることをつかんでおり、帳簿上の計算では、最悪、経営破綻に至ると判断しているのである。
また、別の地域店は、これまで根強い顧客がいたが、それも徐々に時代の流れとともに減り始めており、表面化していないが、内情は相当に厳しいという噂が、昨年あたりから聞こえてきた。

さらに別の地域店も同様の状況で、好調な店舗もあるものの、苦戦している店舗もあるようで、会社としての売上高は低下傾向にあるといわれている。

今、挙げた3つとも、ジーンズカジュアル業界なら誰でも知っている各地域の有力チェーン店であり、ライトオン・マックハウス・ジーンズメイトの全国チェーン店3社のみならず、これまで踏ん張ってきた地域有力店もそろそろ持ちこたえられなくなりつつあるといえる。
もちろんいまだに踏みとどまっている有力チェーン店もあるが、全社そろって隆とできるような状態ではなくなりつつあるということになる。
これも時代の流れだろう。

これらの状況を目にしている当方とすると、業界の一部から挙がっている「ジーンズカジュアルチェーン店の夜明けが近い」という言葉は何を指しているのだろうと理解に苦しむ。
夜明けが近いどころか草木も眠る丑三つ刻としか思えない。

ではジーンズカジュアルチェーン店はどうしてここまで衰亡の危機に瀕しているのだろうか。

理由を考えてみたが、客を奪われたからとしか考えられない。
ユニクロ、しまむら、グローバルワーク、GAP、ローリーズファーム、無印良品、ハニーズなどの低価格SPAカジュアルブランドに客を奪われたと当方は見ている。

もちろん、彼らもその登場時からすんなりと客に受け入れられたとは思わない。
どのブランドも初期のころのジーンズはひどく安物くさかった。
90年代後半にユニクロが急成長しているときのジーンズでさえ、はっきりというと色合いから生地の風合いすべてがダサく、エドウインやリーバイスのジーンズには見た目は遠く及ばなかった。

メディアでは「2900円でこのクオリティ」と過剰に持ち上げていたが、あの当時のデニム生地は、ジーンズメーカーに比べるとへんてこなブルーのトーンだったし、リーバイスのパクリみたいな赤いタブもダサかった。
例え2900円でも買う気にもならなかった。

それが徐々に修正されて今に至っている。
黙っていたらユニクロのジーンズだとはわからないレベルにまで達している。

その他のブランドも同様である。
おまけにリーバイスやエドウインのジーンズよりも最低でも3000円くらいは安い。
安くて見た目に遜色がないのであれば、だれでも安い方で買う。

また商品以外でも、ジーンズカジュアルチェーン店の店作りや品ぞろえは今の消費者の気分をとらえていないといえる。

ユニクロやジーユーや無印良品を見慣れた目で見ると、チェーン店は明らかに雰囲気が異なっている。
前者の多くが、白を基調とした無機的でモダンな感じの内装が多いのに対して、チェーン店はなんとも言えない中古感のある店作りや品ぞろえに特徴がある。

どちらが正しいとか正しくないとかではなく、消費者の気分にチェーン店の内装や店作りは寄り添えていないといえる。

今の消費者の多くは、そういう中古感や土臭さ、ワーク特有の汚さを好まず、白を基調としたモダンでシンプルでツルっとした内装や店作りを好むのではないだろうか。
そういうモダンな店を見た直後にワーク感の汚い店を見ると、やっぱりかなり雰囲気が違うと感じる。

( ジーンズカジュアルチェーン店は大抵こんなイメージ。これが今の消費者には受け入れられにくいのでは?)

それはチェーン店の特徴だから工夫して残すべきだと考えるが、同時にもう少し現代風にアレンジしても良いのではないかとも思う。
ここを解決しない限りにおいて、チェーン店が再浮上や急回復することはあり得ないだろう。

とはいえ、マックハウスの新業態のような劣化版ユニクロみたいな店作りも商品をさらにチープに見せるだけなのだが。

社員の士気を高めるためにチェーン店各社の経営者が話を盛ることは仕方がない側面がある。
しかし、それに第三者や第三者機関までが同調してどうするのか。
かえって世間をミスリードするだけである。

この課題を乗り越えるのはなかなか難しいのだろうと思うが、水戸のジーンズカジュアルショップだった「ポイント」がアダストリアホールディングスへと転身できたのだから、不可能ではないのだろう。成功する可能性は決して高くはないが。

(追記)6月8日に静岡の地域有力チェーン店であるジーンズショップオサダの経営破綻が伝えられた。

静岡県を中心に17店舗展開 カジュアルウェア(株)ジーンズショップオサダが民事再生法を申請
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180608-00010009-biz_shoko-bus_all

このブログの文中で、「銀行から取引を止めるように勧告されている先」として名前を伏せたのがこのジーンズショップオサダだった。
奇しくもこのブログをアップした日に経営破綻が発表された。
他の地域有力店も決して安泰ではない。

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ライトオンの自社ブランド「バックナンバー」の和紙繊維のシャツジャケット。
こんな珍しい商品もそろえているけど、イマイチ認知されていないのも苦戦の要因。

前年増減比をつなぎ合わせただけの折れ線グラフは意味がない ~ジーンズメイトの決算資料より~

企業やブランドの業績を測る指標には様々な物があり、それを複数活用して見定める必要がある。
しかし、最近、活用に疑問を感じるのが「前年比増減の折れ線グラフ」である。

トウキョウベースを除く上場企業は一応の目安にしてもらう目的から、月次売上高の増減を開示している。

〇月度 〇%増というやつだ。

当然のことながら、年間通じて増収するブランドでも単月で見れば前年割れすることもある。

この「〇%増、〇%減」をつなぎ合わせて折れ線グラフとして、その企業やブランドの好不調を論じるむきがあるが、はっきりといえばミスリードを引き起こすだけでほとんど有害ではないかとさえ思う。

例えば、先日開示されたジーンズメイトの決算報告用の資料を題材に取ろう。

http://www.jeansmate.co.jp/data/uploads/ir/2018/05/resuits_30.pdf

ジーンズメイトの2018年3月期決算をどう読むかだが、ライザップやジーンズメイト側は高評価をしてもらいたいから、「好調だった」「回復傾向にある」という認識を示したがる。
それは致し方のないことであり、どの企業だって多かれ少なかれ手前味噌な持ち上げ方をしている。

問題は第三者がそれをどう判断するかであり、その場合、ライザップやジーンズメイトへの忖度は必要ない。
忖度は一切不要だ。

現在という時代は国も企業もブランドもロビー活動が盛んである。
ロビー活動の成否がコトを有利に運ぶ。
ジーンズメイトの決算に対して、過剰に持ち上げる第三者もいるが、それはロビー活動の成果なのではないかとさえ思う。
ロビー活動の成果のゆえに生まれたポジショントークともいえる。

第三者は事実に基づき淡々と断じればそれで良い。

ジーンズメイトの2018年3月期決算を改めて見てみる。
今回の決算で最も重要なことはライザップ傘下に入った初年度とかそんなことではない。
今回気を付けなくてはならないのは、決算期変更による13か月の変則決算だということである。
1か月前年よりも多いから、増収増益して当たり前だということを前提条件として頭に入れておかねばならない。

売上高 97億2700万円
営業損失 6億900万円
経常損失 5億9100万円
当期損失 7億8900万円

で終わった。
赤字幅縮小という報道があったが、13か月やっているんだから縮小して当然である。
それよりも特筆すべきは10期連続の赤字というところだ。

また2017年2月期の売上高が91億9500万円だったことからすると増収していると見えるが、13か月分あることを考慮すると手放しの増収とは呼べない。

2017年2月期は、1か月あたり平均7億6600万円の売上高があった。

2018年3月期は、1か月あたり平均7億4800万円の売上高があった。

このため、仮に2018年を12か月の通常決算で行った場合、2017年よりも売上高合計は下がる可能性がある。
1か月平均売上高は2018年の方が少ないのである。

これを見て、「回復傾向にある」と論ずることができる第三者は一体何を根拠としているのだろうか?

さらに疑問な数値が先ほど挙げた決算説明資料である。

既存店売上高(13.3ヶ月比較)が、15期ぶりに 対前年プラスに転換

とあるが、その根拠となる「前年比増減の折れ線グラフ」は突っ込みどころが満載であり、これに納得する第三者がいるなら、その見識を疑う。

その前に、15年間既存店売上高がマイナス続きだったというのはなんともすさまじい不振といえる。

 

このグラフに沿って見てみようか。
2003年2月期は前年比102%だった。いわゆる2%増である。
翌年から減少が始まっており、ピーク時は2011年2月期の約20%減である。
その後持ち直しても前年実績をクリアすることなく、ようやく2018年3月期で106%になった。6%増である。

その増減率だけで折れ線グラフを作るとこのようになるが、こんなものに何の意味があるのだろうか。
このグラフからだけではまったく事実は浮かび上がらない。

増減率はバラバラではっきりした数字がこのグラフから読み取れないので、仮に15年連続で前年比10%減が続いたとしよう。
これでもおそらくは甘めの設定である。

2003年の売上高を1とすると、2004年は0・9になる。
2005年は0・81となる。
この調子で0・9をかけ続けてみてほしい。

0・25以下にまでなる。正確には0・229である。

要するに2017年時点では2003年の既存店売上高の4分の1以下にまで縮小してしまっているといえる。

これで2018年が6%増したと言っても、0・24になっただけで、2003年の既存店売上高には遥か遠く及ばず、その当時の既存店売上高の4分の1にも満たないということがわかる。

これのどこが「好調」だといえるのだろうか。
たしかに底打ちとはいえるかもしれないが、上昇基調とか回復傾向とまでは口が裂けても言えない。
言える人はポジショントークをしているのだろうと思う。

企業、ブランド側は自社の業績を良く評価してもらいたいからこの手の「資料」を提示する。
しかし、第三者であるマスコミや評論家がそれを鵜呑みにすることはどうかと思う。
実際の実績はどれくらいだったのかを計算してみるくらいの一手間は必要なのではないか。

みだりにポジショントークをすることは、ミスリードを引き起こすので百害あって一利なしだ。

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そんなライザップの特集本をどうぞ。

ワールドの投資案件が冴え始めるも過去の失敗を繰り返さないことが望まれる

先日、ワールドがクラウドファンディング大手のキャンプファイヤーとの資本業務提携を発表した。

ワールド/クラウドファンディングのキャンプファイヤーと資本業務提携
https://www.ryutsuu.biz/strategy/k060120.html

今年に入ってからのワールドの投資案件は冴えていると感じる。
4月にもラグタグとサスティナの買収を発表した。

ワールドがラグタグとレンタルサービス「サスティナ」のM&Aを発表
https://www.wwdjapan.com/594621

「古着(ラグタグ)」「レンタルサービス(サスティナ)」を傘下におさめ、さらにはクラウドファンディング大手とも業務提携した。これまでワールドにない機能を持った企業を手中におさめており、外野から見た限りにおいては非常に効率的な内容だといえる。
win-winという言葉はあまり信用しないが、この3つの案件はwin-winに近いといえるのではないだろうか。

数年前まで意味のわからない新規事業ばかり手掛けて無駄な投資を繰り返していたワールドとは雲泥の差がある。
この2か月の冴えは、90年代後半のころの冴えを彷彿とさせるのは、単なるオッサンの感慨だろうか。

90年代後半にもワールドはその当時「旬」と呼ばれていた小規模ブランドをいくつか買収した。
もちろんレンタルサービスもクラウドファンディングもない時代である。それどころかインターネットすら存在していなかった。

古着はあったが、「大手」と呼ばれるような古着屋はなかった。

当時買収したのはコキュとミニマムという2つの小規模ブランドである。
この当時は、こういう個性派の小規模ブランドが注目されていたし、ワールドあたりも独立系デザイナーに商品デザインを外注していた。まあ、当時の看板ブランドだったオゾックもインディヴィもデザイナー・田山淳朗氏を起用して大ヒットを記録したから、「デザイナーや個性派はイケる」という社内ムードだったのではないかと思う。

当方も含めた業界の外野は、この買収に期待を持っていた。
どんな進化を遂げるのだろうと期待していた。

しかし、買収後この2ブランドが輝くことはなく、そのうちにまったく話題にも上らなくなった。
陳腐なそこら辺のSPAブランドに同化してしまって、不人気となって消えた。
文字通りブランドそのものがなくなったのである。

今回の買収は、この当時の愚を繰り返してもらいたくはないと思う。

先日、この当時、コキュの買収の担当だったという人と偶然にもお会いすることがあった。

ワールドの本社は神戸なので、関西での話である。
この当時はまだ神戸本社機能は相当に残っていた。

京都の藤井大丸にコキュの店があり、担当氏はそれを視察に行った。買収直前の話である。

担当氏はコキュの店を見て度肝を抜かれたという。

「回転寿司の回転テーブルに商品を乗せて開店させているじゃないですか」

で、さっそく、当時の上司に

「回転寿司のテーブルというアイデアは非常に面白いですが、あれをそのまま続けるんですか?新店出店するときなんかすごい費用になりますけど?」

とお伺いを立てたところ、上司は

「アホ。そんなもんそのままするわけないやろ。もっと平準化した店にするに決まってるやろ(ワールド基準のな)」

と答えたという。
ちなみに()内は上司の心の声を推測で再現してみた。

そして買収決定以後、コキュのそういう「個性的」な店作りはなくなり、平準化した陳腐でつまらないありふれたブランドとなった。
たしか、コキュの創業メンバーも次々に離脱して、最終的には誰も残っていなかったと記憶している。

結局のところ、「コキュ」という看板だけを付けたワールドの陳腐なSPAブランドが一つ出来上がっただけに過ぎなかったということである。

ミニマムも同じ経緯・同じ末路をたどることになる。

ワールドからすると、不採算・非効率な部分を廃止したといえるだろうが、その「不採算・非効率」な部分こそがその2ブランドの「面白味」だった。
個性派小規模ブランドなんて「面白味」を取ったら何も残らない。
だから「面白味」を取られた2ブランドは最終的に何も残らなかった。
それだけのことだ。

「角を矯めて牛を殺す」ということわざがあるが、角を矯正して良くしようとした結果、逆に牛の身体に負担がかかって牛が死んでしまって元も子もなくなったという意味であり、コキュとミニマムの平準化はまさに、コキュとミニマムという「牛」の角を矯めて殺してしまったといえる。

ことわざの再現ドラマを見ているようだった。

さて、今回、珍しく冴えた投資を見せたワールドだが、この90年代後半の失敗を繰り返すのかどうか。

当時のワールドとは経営陣もあらかた代わっているし(完全には代わっていないが)、スタッフも大きく代わっている。
まるまる同じ轍を踏むとは思えないが、完全に代わりきっていない経営陣に対して、正直なところ一抹の不安を感じる。

少し横道に逸れるが、非常な業界通も現在のワールドは社内で何が起きているかわからないという。
それは情報があまり出てこないからである。今、どういうことがトップの間で考えられているかは発表された案件以外は皆目わからない。

良い方向へ変わるのか、それとも・・・。

とりあえず外野からは、ラグタグ、サスティナ、キャンプファイヤーという3匹の牛の角が矯められないように祈るばかりである。

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最盛期のオゾックとは全く違う今のオゾックの商品をどうぞ。

マルイの証券会社設立はまったく意外ではない ~もともと金融業とは縁が深いマルイ~

今日はちょっと小ネタを。

我々、オッサン世代では業界の常識だとされていることが若い世代では知られていないことが多い。
だから若いモンはケシカランと言いたいわけではなく、こうやって風習は変遷していくのだなあと感じる。

先日、WWDにこんな記事が掲載された。

丸井が証券会社を設立 若者の資産運用をサポート
https://www.wwdjapan.com/611550

金融について論じたいのではない。残念ながら当方は金融についての知識はない。
そうではなく、丸井が金融に進出するのは出自から言えば、至極親和性が高く違和感はないということが言いたいのである。

このニュースを見たときに、丸井ならあり得るだろうなと思った。

ところが、「業界の美肌プリンス」の異名をとる深地雅也さんにとっては意外だったそうだ。
深地さんは当方よりも12歳年下だが、亥年生まれなので、戌年生まれの当方より11年下の36歳である。
その年代の人にとっては丸井と金融というのは結び付かないのだそうで、もちろん丸井の出自もほとんど知られていない。
たった11年でその差ができる。

90年代以降の丸井はマルイの表記と「OIOI」という謎のロゴを掲げたファッションビルとして知られている。
マルイと読ませたいなら「OI」だけで十分じゃないかと思う。
どうして二つ繰り返すのかをネットで検索したところ、マルイからの正式なコメントがいくつかあったが、どれも共通しているのは「とりあえずOIOIでマルイと読んで欲しい。それ以上の理由はない」というものだったので、理屈抜きでそう読めということである。なんという理不尽さ。

当方は関西生まれ関西育ち関西在住なので、実は90年代後半になるまでマルイの存在を知らなかった。
関西には店がないからだ。
マルイと同様に関西でなじみがないのがパルコである。
心斎橋に申し訳程度のショボいパルコともっとショボいパルコデュエがあったが、90年代半ばにはほとんど顧みられることのない商業施設だった。

だから、今でもそうだが、当方はマルイにもパルコにも親近感はまるでない。
これは多くの関西人に共通しているのではないか。

まあ、それはさておき。

90年代後半には通販カタログでマルイの存在を知ったのだが、その扱っているブランドのラインナップを見て当方も「ファッションビルだ」と思った。
繊維業界新聞に入社して、マルイについて質問したところ、当時のデスクから「ファッションビルじゃなくて百貨店だ」と指摘されたが、扱っているブランドに百貨店らしさは微塵もなかった。

その後、33歳ごろに当方より7歳くらい上の関西の経営者と話す機会があったが、そのとき、その人が「親戚に東京のカード屋さんの経営者の親戚がいる」という言葉が飛び出した。

「東京のカード屋????」なんだそれ?
「VISAカードか?」

なんて考えていると、それはマルイのことを指していた。

なぜなら、1960年にマルイが初めて日本にクレジットカードをもたらしたからだ。
1950年代にアメリカで開発されたクレジットカードを日本に初めて持ち込んだのがマルイである。
とはいえ、今のクレジットカードと当時のマルイのクレジットカードはシステムがだいぶと異なっていたという証言もある。

さらにいえば、当方よりも年長の人たちは、マルイのことを「月賦屋さん」と呼んでいる。
そういえば当方が子供のころ、親世代は高い買い物を「月賦」で買っていた。
「月賦」は「げっぷ」と読む。決してゲップと表記してはいけない。

高額な商品を月々何万円かの分割で支払う方法であり、マルイが売上高を伸ばしたのはクレジットカードと月賦販売だった。
今でいうクレジットカードのリボ払いみたいなものである。

クレジットカード導入と月賦という仕組みを作ったマルイは当初から金融業と密接に結びついていたことがわかる。
だから2018年に証券に参入したところで意外でもなんでもなく、極めてマルイらしい施策といえる。

WWDには解説記事もある。

丸井、証券会社設立の謎 本業は小売りにあらず?
https://www.wwdjapan.com/612523

そもそも当初は家具店だった。1931年に月賦販売店からのれん分けの形で独立した創業者・青井忠治は、東京・中野に店舗を構えた。それを発展させる形で戦後、月賦販売の家具店を開いた。高価な家具は現金で一括払いできないけれど、月々の分割払いならなんとか買える。月賦の仕組みは庶民に支持された。創業時から小売業と金融業が一体のビジネスを展開していたわけだ。青井忠治は60年に日本初のクレジットカードを発行。以降、月賦にかわりクレジットという言葉が市民権を得ていく。

72年に2代目・青井忠雄が社長に就くと、ターゲットを若者に絞った戦略を推進する。高度経済成長期を経て、豊かになった若者の洋服の支出が増えると読み、ファッションを主力にした「若者向け百貨店」を首都圏で多店舗化した。同時に学生でも所有できる「赤いカード」を展開。80年代に社会現象となったDCブランドのブームは、赤いカード抜きには語れない。高価な服を現金で買えない若者たちは、赤いカードの分割払いを利用して、マルイの店舗でDCブランドを買いあさった。

とのことで、これまでずっと販売業と金融業の二人三脚で企業運営してきたことがわかる。

若い人にとっては「ファッションビルのマルイ」だが、当方以上の年配層からすると「マルイはカード屋・月賦屋」なのである。
そして、wikipediaによると、マルイは通常の百貨店ではなく「月賦百貨店」という希少業態に分類されるとのことだ。
だから業界紙の当時のデスクはマルイを「百貨店」と分類していたということになる。

このマルイに限らず、若い人の間でその出自が知られなくなったことは業界内にも数多くある。

例えば、伊藤忠商事と丸紅がもとは同じ会社だったことや、アバクロンビー&フィッチ(アバクロ)は文豪アーネスト・ヘミングウェイが愛用した老舗ブランドだったということ、ZARAは98年に日本上陸した当初はビギと合弁企業だったということ、などなどだ。

現在、人々を賑わせている事象も10年後や20年後には風化してしまって記憶から消えてしまうことになるのだろう。
これまでもこれからも人間社会はそうやって続いていくのである。

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マルイの歴史がまとまった本もあるみたい。

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