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「大手セレクトショップ」という日本独特の奇態~アメリカンラグシーの撤退から~

先日、サザビーリーグが展開するセレクトショップ、アメリカンラグシーの日本撤退が発表された。店舗数がこのところ極端に減っていたからさもありなんとしか思わなかった。
サザビーリーグは以前にもセレクトショップ、アンドエーを閉鎖していて「セレクトショップ」を長続きさせることは難しいということが改めて認識されたのではないかと思う。

アメリカンラグシーは2008年の売上高をピークに相次いで店舗を閉鎖しており、現在では全国に5店舗を展開するのみとなっていた。アンドエーの末路とほぼ同じような状態だった。

先日、Yahoo!ジャパンにこんな記事が掲載された。

サザビーリーグが「アメリカンラグ シー」事業から撤退、セレクト業態が抱える構造的課題が浮き彫りに
https://news.yahoo.co.jp/byline/kumimatsushita/20180415-00084027/

これは当方の旧知の松下記者が書いたものだが、記事中にこんな一文がある。

現在、セレクトショップといわれる多くのブランド・ストアでも、オリジナル比率は50%近くまで高まっているところが多い。セレクトショップでもある程度の規模を確保し、価格競争力のある商品を企画・生産できるだけの調達プラットフォームが必要不可欠な時代に突入しているといえる。

とのことで、松下記者は控えめに「オリジナル比率は50%近く」と書いているが、実際のところ、ユナイテッドアローズやビームスなどの大手セレクトショップのオリジナル商品比率は7割から8割くらいになっている。ただし、7割と言っても、こと衣料品に限ればオリジナル比率は8割~9割にもなっている。じゃあどうして1割~2割くらい構成比率が下がるのかというと、バッグや靴がオリジナル比率を下げているからだ。

洋服は業界全体での製造インフラが整っているから、カネさえ支払えばいくらでもオリジナル品が作れるようになっている。しかし、靴やバッグは専門性が高いために、洋服に比べるとそう簡単にオリジナル品は作りにくい。だから必然的に他ブランドからの仕入れ品が増えざるを得ない。このためオリジナル品比率が洋服よりも低くなってしまう。

本来は、いろいろなブランドから仕入れてきた商品を集めたのがセレクトショップだが、事業を拡大するには、収益性の面や商品デリバリーの面から考えると、オリジナル商品比率を高めざるを得ないのが実態である。

例えば、5000円の商品を他ブランドから仕入れたとする。現在の国内の仕入れの慣習からすると、2700円くらいだろう。店側の儲けは2300円くらいしかない。ところが、同じ5000円でも自社が企画して製造を委託したオリジナル商品の場合は1700円くらいで製造できるから、儲けが3300円になる。オリジナル商品の方が明らかに利益率が高いく儲けが多い。

また、仕入れ品だと「欲しいときに追加発注しても商品がなくなっている」という可能性が高い。メーカー側はなるべく早く売り切りたいから、商品を多めには作らない。よほど売れに売れているなら追加生産するが、ポテンヒットやシングルヒットくらいの当たりでは追加生産はしない。その結果、店が追加発注しても生産せず、商品が入荷しないということも珍しくないから、仕入れ品のみでは店作りが難しくなってしまう。期初は商品がキチンと並んでいるが、期中になると棚やラックがスカスカということにもなり得る。

だからセレクトショップ各社は業績を拡大するにつれて段々とオリジナル商品比率を高めていった。大手セレクトショップの内情はすでに「ほぼSPA(製造小売り)」化してしまっている。
実は売上高500億円や1000億円を越えるような大手セレクトショップという「不思議な」業態が存在するのは日本だけである。欧米のセレクトショップは、仕入れ品のみを頑なに守っているので大規模な業容拡大をしていない。していないというよりできないのである。

つい先年、閉鎖が話題となったパリの有名セレクトショップ「コレット」だが、多店舗化していない。今回閉鎖が決定したアメリカンラグシーもアメリカ本国では多店舗化していない。一時期多店舗化を志向したものの失敗しており、個店に戻っている。そもそも「セレクト」というコンセプトで多店舗展開することは不可能に近いといえる。理由は、上に挙げたように、利益率が低く儲けにくいから大規模な投資につなげにくいということと、仕入れ品のみでは店作りが困難だからということの2つが挙げられる。
大手セレクトショップなる業態が林立しているのは日本独特の奇観だといえる。

大手セレクトショップ各社が「ほぼSPA」と化したしまった現在、弊害も徐々に現れ始めている。オリジナル商品の各社の同質化である。自社企画製品といっても、元来が小売店であるセレクトショップ各社にはデザイナーもパタンナーもいない。必然的に、そういう専門の会社に商品の製造をデザインから委託する。平たくいえば丸投げしているのである。

そうすると専門の会社はいくつものセレクトショップやSPAブランドの商品作りを手掛けているから、自然とそれらの商品は似てしまう。
出来上がった商品はどれも似ているから、それを並べた店頭は似てしまうのは当たり前である。こうして同質化が起きると、消費者が購入する動機は低価格ということになる。同じ商品・似たような商品なら人は誰でも安い方で買う。いずれ、大手セレクトショップ各社も否応なく価格競争に巻き込まれることになると考えられる。

今回のアメリカンラグシーの日本撤退からもわかるように長年にわたって、他社ブランドの仕入れだけで収益性を維持し、店作りをすることは困難を極める作業である。かといって、安易にオリジナル比率を高めてしまっては同質化が進んでしまう。これがアメリカンラグシーとアンドエーが苦戦に転じた背景で、他の大手セレクトショップも表面化していないだけで同様の課題を抱えている。

2000年ごろから国内ファッション業界を牽引してきた日本独自の「大手セレクトショップ」という不思議な業態もそろそろ曲がり角に差し掛かっているのではないだろうか?何事も盛者必衰だし無限成長することはできない。

そしてこれらの課題の解決方法を誤れば、2015年ごろから一気に経営不振に陥った大手アパレル各社と同じような結末を迎えてしまう可能性もある。

衣料品ビジネスで儲け続けることの難しさを改めて感じる。

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心斎橋筋商店街がドラッグストア街に変貌した理由とこれまでの変遷の推移
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さらばアメリカンラグシー

ジーユーの伸び悩みはトレンドの多様化が原因 現状のままで売上高1兆円を達成することは不可能

業界紙記者時代ほどにはアパレルや生地問屋の展示会を多数回ってはいないが、それでも幸いなことに何社かはいまだに展示会案内をいただくので、時間が合う限りは見て回るようにしている。

バブル崩壊後から洋服不振が始まったとはいえ、90年代や2000年代前半はそれでもアパレルにとってはまだやりやすい環境だったのではないかと今にして思う。

バーバリーブルーレーベルのチェック柄ミニスカートが売れに売れて「アムラー」という言葉が流行ったのが97年、ビンテージジーンズブームで2万円~3万円のレプリカジーンズが売れたのは96~98年、ローライズジーンズが売れたのが2000年ごろ、神戸エレガンスブームが2005年、インポートプレミアムジーンズブームが2005~2007年といった具合だ。

2008年のスキニージーンズブームを最後にこういう単品による大量販売は見られなくなる。

2015年頃のジーユーのガウチョパンツブームが例外的といえる。
ただし、個人的にはジーユーを含んだガウチョブームは2008年までのものとは傾向が少し異なると見ている。

ガウチョはガウチョという形(シルエット)のみが支持されただけで、色・柄・素材・テイストに関しては何の統一性もなかった。
それまではスキニージーンズにしろ、アムラーにしろ、素材や色・柄、テイストは画一的だった。
ガウチョの場合は、ポリエステル素材でもデニム素材でもレーヨン素材でもなんでもありだ。また、色・柄もなんでもありだ。
無地あり、細ストライプあり、チェックありだし、色も黒・白・ベージュ・紺・グレー・ボルドー・マスタードと何色でも構わない。

テイストもナチュラルカジュアルもあればオフィスカジュアルもある。エレガンスフェミニンもある。

だからジーユーでも構わなかったということになる。
また、ブームを牽引したトップブランドもない。

それまでのブームは最終的に廉価版が発売されてマスに普及するが、まず先端層が食いつくトップブランドがあった。

アムラーならバーバリーブルーレーベルだし、神戸エレガンスならビッキーでありクイーンズコートであり、プレミアムジーンズならセブンやらヤヌーク、といった具合だ。

しかし、ガウチョブームにはそれがない。
だからジーユーで十分だったと考えられる。

おまけにテイストは様々だから一人の女性が複数本買う必要があり、そのためジーユーでのまとめ買いが起こり、結果として100万本売れた考えられる。

基本的にスキニージーンズブーム以降は、ガウチョを除いてビッグトレンドが存在しない。
とくにこの3年間は本当に消費者の嗜好は多様化しており、トレンド傾向も多様化している。

売り場担当者からは「スカートが好調」との声も聞こえるが、一口にスカートと言ったって、色も柄も素材もシルエットもテイストも多種多様である。
デニムスカートもあれば、ポリエステルのスカートもある。フレアスカートもある。タイトスカートもあるし、ナチュラルアメカジテイストもあればセクシーテイスト、フェミニンテイストもある。

かつてのように「タイトミニスカート」という具合に決め打ちするわけにはいかない。

展示会をいくつか回ってもアパレルメーカーも生地問屋も「多様化するトレンドにそれぞれ対応するしかない」と口をそろえるのが印象的である。

こうなると、トレンド対応型のブランドは収益を伸ばすのは厳しい。
さらなる多品種小ロットでの対応を迫られるから、製造コストがかさみ、在庫処分の値引き販売が増えざるを得ない。
しかも売上高は容易に伸びない。

ジーユーの伸び悩みも同じ原因ではないかと個人的には見ている。

ジーユー、じわり復活でも満足できない理由
「売上高1兆円」を目指すが、ハードルは高い
https://toyokeizai.net/articles/-/216532

この記事だが、今のままのジーユーなら売上高1兆円はまず無理だろう。期待している方がアホなんじゃないかと思う。

ジーユーの第二四半期の業績は

2月期上期決算は、売上収益1058億円(前年同期比8.3%増)、営業利益91億円(同23.3%増)。防寒アイテムが少なく十分に需要を取り込めなかったため、既存店売上高は前年同期をやや下回ったが、新規出店が寄与して増収となった。値引き処分も減り、利益は大幅に改善した。

とあるが、トレンド対応型とはいえ、ガウチョのように100万本単位で売れる商品が見当たらない状況下ではジーユー、ひいてはファーストリテイリングの強みは思うようには発揮できない。
多品種小ロット化すると、その他大勢のアパレルブランドと同じ構造になってしまうからだ。
お得意の大量発注による製造原価引き下げもそれほどはできなくなる。
とはいえ、製造を担当する商社に取られる手数料の%は他ブランドに比べて格段に低いのだが。(笑)

ジーユーが悪いというよりは、トレンドの多様化という状況ではやむを得ない。

それでも店頭を見ていると、ジーユーの今春夏物は昨年春夏物に比べて随分と良い商品が増えたと感じる。
商品企画はがんばっているといえるが、売上高が稼げるビッグトレンドが存在しない。

ベーシックアイテム・機能アイテムを核とするユニクロとは顧客層やビジネスモデルが根本から異なる。

ところで、この「売上高1兆円構想」というのは、現状のジーユーでは達成不可能だろう。
まず、ジーユーの展開店舗はほぼ国内のみである。
正確には358店舗(2017年8月期末)だが海外店舗は14店舗しかない。
現状では96%が国内店舗だといえる。

国内店舗のみで1兆円を達成するのは不可能だろう。
王者・ユニクロだって国内売上高はいまだに8000億円台である。

しかも、多様化したトレンド対応ブランドということになると、売上高を急激に伸ばすことは難しい。

それができるのだったら、そういうビジネスモデルを構築してきたワールドやオンワード樫山がとっくに1兆円企業になっているだろうが、現状彼らとて3000億円弱で止まったままである。

1兆円達成ができるとしたら、海外に大量出店した暁ということになるだろう。
というか、それしか達成できる方法はない。

現状のジーユーを見ながら「1兆円構想の達成は可能か」なんて論じたってまったくの無駄でしかない。
ジーユーの1兆円構想が現実味を帯びることはまだまだ先の話で、それまでは単なるビジョンを掲げているとして流しておくのが正解だろう。

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ワールドとオンワード樫山の新しい動き。成功できるのか?失敗を繰り返すことになるのか?

2008年以降、さっぱり良いところがなかったアパレル業界の2トップのワールドとオンワード樫山にこのところ新しい動きがある。
起死回生の手札になるのかどうか外野から見守りたいと思う。

まず、ワールドは有力企業を2社買収した。

ワールドがラグタグとレンタルサービス「サスティナ」のM&Aを発表
https://www.wwdjapan.com/594621

タイトルの通りの記事なのだが、ブランド古着販売の「ラグタグ」と洋服レンタルサービスの「サスティナ」をワールドが買収したという話だ。
このところさっぱり良いところがなかったワールドにしては目の付け所がシャープな感じがする。
メディアや業界の識者の論調を見ていても好意的なものが多く、当方もその見方に賛成する。

またオンワード樫山だが、こちらも明るいニュースである。

オンワードHDのEC売上高が203億円を達成 SC向けの新ブランドを今秋スタート
https://www.wwdjapan.com/597630

これも読んでタイトルの通りで、オンワードのEC売上高が37%増で200億円に到達したという話だ。
じゃあ、どうやってEC売上高を増やしたかというと、

具体的なEC強化策は、EC上での受注販売の開始をはじめ、EC限定商品の拡充によるプロパー売り上げの底上げだ。オンラインでのセールを強化し、店舗の催事販売からECに切り替えたことで在庫処分を効率化させた。また、3月までに実店舗の在庫一元化を実行し、8月にはEC在庫の一元化を実現する予定で、今後も商品の機会ロスを減少させていく。

とのことで、珍しいことは何もしていない。

1、EC限定品の拡充
2、オンラインセールの強化
3、それに伴う店頭催事(要は安売り催事)をECへ切り替えた

であり、極めてオーソドックスなやり方で、アダストリアホールディングスとほとんど同じである。
アダストリアの場合はこれに、EC限定のタイムセール連発が加わるのだが。

そしてSC向けの新ブランドを始めるとのことだが、これはいわゆる真っ新のブランドではない。
リバイバルのブランドである。

フィールドドリームというブランドだ。

記憶だと2000年初めに開始して、いつの間にか話題に上らなくなったブランドで、2010年くらいには廃止になっていたのかと思ったら、記事によると2016年までひっそり継続していたとのことで、逆に10年以上も良く我慢していたなというのが正直な感想である。

旧フィールドドリームのロゴマーク

 

もともと、ユニクロが牽引する低価格ブームへの対応として生まれたブランドで、当初はメンズ・レディースの両方があった。当方も実際にメンズ服を何枚か買った。
メンズは売れ行きが悪くて廃止され、中盤以降はレディースのみの展開となっていたと記憶する。(間違っていたらごめん)
これをショッピングセンター向けの低価格ブランドとしてリバイバルするということだ。

2トップ企業がようやく新しい動きを見せたといえるが、当方には懸念も少しある。

まず、ワールドの買収だが、ワールドは過去にも積極的買収を仕掛けていた時期があった。
そのときに買収されたのがコキュとミニマムである。
若い人はこんなブランド知らないと思うが、90年代後半にはそれなりに話題になった新進気鋭のブランドだった。

ところが買収された途端に、クソつまらないブランドになり下がり、そのうちに消滅してしまった。

詳しい内部事情は知らないが、コキュやミニマムが得意とした面白い商品作りがワールドの管理下に置かれてすっかり精彩を失ったというのが当方の感想である。

あれから20年近くが経過していて、ワールドの経営陣のメンバーもあらかた交代している。(全部ではない)
ラグタグやサスティナがワールド仕様のクソつまらないブランドになり下がることはないと思うが、そうならないように気を付けてもらいたいと思う。

次にオンワードのフィールドドリームだがこちらも以前とターゲット層が同じなので、また同じ失敗を繰り返すのではないかという不安がある。

90年代後半から2000年代前半に投入された大手アパレルメーカーの低価格対応ブランドは軒並み失敗に終わっている。
フィールドドリームしかり、コムサイズムしかりだ。
イトキンのオフオンやショッピングセンター向けブランド群もその失敗の一つだ。

彼らのやり方はユニクロの低価格に合わせるのが大前提だったが、生産ロットの違い(ユニクロは多い、彼らはそれより少ない)もあって、完全にユニクロと同等価格にすることはできなかった。
彼らのブランドの方が幾分かは高くなってしまった。

2004年以前のユニクロは安くて高品質かもしれないが、デザイン・シルエット・色柄はクソダサかったから、本来は彼らの持っていたデザイン性を導入すれば勝ち目はあった。
しかし、彼らはデザイン性を強調するわけでもなく、ひたすら価格を強調したために「でもユニクロの方が安いやん」ということになった。

また彼らの導入したデザイン性や意匠性は、低価格が障壁となって十分な見せ方ができなかった。
例えば、本来ならもっと斬新な色柄やデザインになっただろうはずなのに、5900円に抑えるためにそこを省略したり、簡素化で誤魔化したりた。
その結果、デザイン性も価格も中途半端な商品が出来上がることになった。

中途半端なデザインなのに中途半端に高いという商品だ。

明らかに彼らの持つ百貨店ライン・ファッションビルラインよりも見劣りした。
その結果、だれからも選ばれなくなったというのがこのブランドたちで、売れないからさらに値上がりするという悪循環の繰り返しに陥った。

フィールドドリームは廃止になり、イトキンはショッピングセンター向けブランドから撤退した。
コムサイズムは続いているが、安くもなくデザイン性が高くもないという中途半端な位置づけになっており、本来は本体とされるコムサ・デ・モードと値段もデザインもどう違うのかさっぱりわからないブランドになってしまっている。

幾分か毛色は違うがパルのチャオパニックとチャオパニックティピーも似たようなものだろう。

以前は高価格のチャオパニック、低価格のティピーと別れていたが、不振からかチャオパニックが低額化し、ティピーが値上がりして価格差はなくなった。逆にティピーの方が高い商品があるという珍現象に陥った。
おまけにテイストは元から同じだから余計に区別ができなくなった。

一方、コーエンとユナイテッドアローズは区別ができていて、コーエンはスタート当初はクソダサかったが、年々商品企画がマシになっていっており、ユニクロに飽きたら買っても良いかと思わせる商品が出始めている。

再スタートするフィールドドリームだが、前回の失敗を繰り返すのかどうか、そこに注目したい。
フィールドドリームが成功すれば、他の大手アパレルの失敗続きの低価格ブランドにも幾分が光が差すのではないかと思う。

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こんな古い本を改めて読んでみても面白いかも。買おうかな。

大手アパレルだけではなくセレクトショップとSPAブランドも同質化している

かつての大手アパレルの各ブランドが限りなく同質化してしまっていることは多くの人が認めるところで、その理由については以前にもこのブログで書いた。

もう一度おさらいしておくと、

1、情報源が同じ
2、製造を商社に委託した。国内の商社は数えるほどしかなく、すべてのブランドがそれら少数の商社の手で作られるから必然的に似る
3、商品企画をOEM/ODM業者に丸投げした

この3つが渾然一体となって得も言われぬ同質化のハーモニーを生み出すのである。(美味しんぼ風に)

しかし、同質化しているのはワールド、オンワード樫山、ファイブフォックス、TSIホールディングス、イトキンなどの大手アパレルだけではない。
その後、隆盛を極めている大手セレクトショップやSPAブランドもすでに同質化している。

例えば、アダストリアの「ベイフロー」とアーバンリサーチの「サニーレーベル」なんてほとんど同じ店にしか見えない。
おそらく「ロンハーマン」の廉価版なのだと思うが、それにしても似すぎていて、当方では区別ができない。

どのセレクトショップに行っても、最近だとチャンピオンのTシャツ・スエット・帽子、ディッキーズのチノパンやジャケットが並んでいる。アダストリアのグローバルワークにまでディッキーズが今春並ぶようでは、ディッキーズももう国内では広がりきったといえる。
チャンピオンのTシャツ・スエット類の人気はオッサンにとっては理解不能だ。

あの「C」マークなんて昔の体操服か、部活の練習着のイメージ丸出しである。

セレクトだ、セレクトミックスのSPAだ、といったところで、所詮は同じ人気ブランドを各店で売っているだけである。
そうなると価格競争に入るから、各ブランドはそれを回避するために「別注」「コラボ」「ダブルネーム」を盛んに打ち出す。
盛んに打ち出すというよりは乱発、アホの一つ覚えというのが正確なる実態といえる。

チャンピオンと〇〇ブランドのコラボ、ダブルネーム、別注というわけだ。

これだとチャンピンの赤色は、〇〇でしか手に入らないから値崩れしないというのが、セレクトショップ、SPA側の理由だが、そもそもチャンピオンの「C」マーク、ディッキーズの「D」マークがどの店にも並ぶのだから、消費者から見るとどこもそれほど変わらないように見える。
ラベンハムだって同じだ。〇〇ならグレーがあるが、××は黒がある、とかその程度の差異しかない。

セレクト、SPAが同質化してしまった理由も大手アパレルの同質化とまったく同じである。

1、情報源が同じ(トレンドソースが同じ)
2、製造を大手商社に委託している
3、商品企画をOEM/ODMに丸投げしている

あと、もう一つ付け加えるとすると、

安全パイの人気ブランドに頼ろうとする

である。チャンピオン、ディッキーズへの依存はまさにこれの象徴といえる。

そしてこのあたりの商品はライトオン、ウィゴー、スピンズあたりまで並んでおり、普段、小規模ブランドには「バッティングが~」なんて圧力をかけているのに、よくもまあ自ら望んでバッティングをやりたがるものだと、そのダブルスタンダードぶりには唖然とするほかない。

そして彼らは滑稽なことに、チャンピオンやディッキーズが溢れ出すと、まったく違った商品を探すのではなく、それらに似ているけど知名度の低いブランドを探すのである。

要は「チャンピオンやディッキーズに似ているけど、まだ知られていない別のブランドですよ」という売り方をしたいのだが、客からすると「なんで似たような別の無名ブランドを買わねばならんのか?」ということになる。
それなら、チャンピオンやディッキーズで良いじゃないかということになる。

どうだろうか?当方ならそうなるが、業界の「感度高いファッソニスタさんたち」の理屈は違うのだろうか?

昔話をしてもたいていの場合は意味がないが、今回ばかりは例外的に昔の方がまだ矜持があったのではないかと思う。
もちろん人気ブランドはどこでも扱われていたが、店作りを差別化しようとする努力とか、無名ブランドを発掘しようとする努力は80年代・90年代の方があったのではないかと思う。

2005年以降は「〇〇で売れているあのブランドを導入したい」とか「〇〇で売れているのと同じ素材が欲しい」とか「現在人気の〇〇と似たような店舗設計にしたい」とかそんなことばかりで、自ら進んで同質化している。

先日、あるワーキングカジュアルブランドの展示会にお邪魔したが、滑り出しは上々だという。
その理由は「ディッキーズが広がりすぎたので、それに代わる同じようなテイストのブランドを各ショップが探しているから」だという。
各ショップはアホじゃないのか。

このサイクルをやっている限りは洋服は絶対に価格競争に陥る。

人は、同じ物や似たような物なら絶対に安い方で買うからだ。

当方は投げ売り商品しか買わないから、どんどん価格競争をやっていただいても構わない。その価格競争品のさらに投げ売りを買うだけのことだ。
しかし、業界のファッソニスタたちが価格競争をやめたいと思うのなら、このサイクルをどこかで断ち切らねばならないだろう。

結局は「口では個性」と言いながら、根底では「安全パイを求める」という業界人特有の心理が現在の同質化を生み出しているといえる。

価格競争に陥っているのは消費者のせいではなく、同質化で安心している業界自らが招いた結果であることを認識する必要がある。

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この「C」ロゴはダサいと思うんだけどなあ。(笑)

値下げ販売で収益を圧迫したのは実店舗じゃなくてECサイトでは? ~アダストリアの場合~

アダストリアホールディングスの2018年2月期連結が発表された。

売上高2227億8700万円(対前期比9・4%増)
営業利益50億500万円(同66・4%減)
経常利益54億2800万円(同64・1%減)
当期利益8億6300万円(同92・5%減)

と増収ながら大幅減益に終わった。

大幅減益の理由については、各メディアで、

また、頻繁なセールの実施や、客のニーズをとらえきれなかった商品の在庫消化のための値下げ販売を推し進めたことで、売上総利益率は54.2%と2.1ポイント悪化した。

https://www.wwdjapan.com/595815

などと伝えられている。
これについてはその通りだろうと思う。
実際に店頭を見ていると、頻繁に値下げセールが開催されており、現に今の春物だってすでに50%オフにまで値下げされており、この値下げ販売は「終わった話」などではなく、現在も進行形の話であり、これが収益悪化の原因なら2019年2月期の収益だって悪化したままになるのではないかとすら思う。

趣味で店頭を見る際、レディースには興味がないので見ない。
アダストリアの場合、メンズのレイジブルーとグローバルワークの店頭を見た感想でいえば、値引きは2017年度だけに行われたものではなく、毎年頻繁に行われていた。
2016年秋冬物でも、ウール系のコートは2016年末にすでに40~50%オフにまで下げられていた。

この2ブランドに関しては防寒アウターが割安になるというのが、個人的な評価である。

一方、同じWWDの記事でも

EC売上高は同17.3%増の333億円と順調に推移した。

と報道されており、他メディアでもだいたい似たような論調が主流だが、アダストリアのECを定点観測していると容易にわかることだが、ECでの値引きはリアル店舗とは比べ物にならないほどに凄まじい。

リアル店舗ではやらない「タイムセール」も頻繁に行われている。
値下げで収益を圧迫しているのはリアル店舗よりも各紙が「好調」と報じているECの方ではないのかとさえ思う。

例えば、2016年秋冬商品も、ECサイトのドットエスティを見ている限りにおいては多数在庫を抱えている。
それが2017年12月にはいきなり当時の店頭価格の半額以下で販売される。
もう店頭にはない2017年秋冬物だってECでなら今でも買える。
しかも値下げされたままだ。

多くの2017年秋冬アイテムは半額から6割程度にまで値下げされている。
今年秋に備えて買うなら今がお買い得だろう。もっとも今年秋にはさらに値下げされる可能性も十分に高いが。

そんな中でなぜかレイジブルーのウール混のチェスターフィールドコートだけは頑なに16%オフでとどまったままだ。
よほど製造原価が高かったのだろうか。それ以上は値下げしたくないというのがありありと伝わってくる。

一方、昨年12月から頻繁にドットエスティでは数日間の「タイムセール」が行われている。
例えば、50%オフされている商品があったとして、数日間だけはそこからさらに20~30%オフくらいになる。
しかもそれが毎月とか月に2回とかの頻繁なペースで行われており、早速2018年春物のタイムセールも行われた。

値引き販売で収益を圧迫しているのはリアル店舗ではなく、ECの方ではないのか。

ここを見ないとアダストリアの値引きの本質は見えないだろう。

その一方で、ECサイトの使い方としては上手いと思う。
某ワールドのようになんでもかんでもすぐにアウトレットストアの「ネクストドア」に放り込むというのは乱暴に過ぎてお話にならない。
あんたらの会社ごとネクストドアに放り込んだらどうかと思ってしまう。(笑)

リアルなアウトレットストアを大規模に展開すれば、どうしてもそちらと見比べて正規店のイメージダウンにつながる可能性がある。
また、シーズン遅れ商品や昨年の売れ残り商品はアウトレットでもなかなか売り切りづらい。

しかし、ECサイトなら話は別だ。

リアルなアウトレットストアとは異なり、誰でも見られるというわけでもない。
その存在を知らない人は見つけようもない。ウェブの苦手な人は一生見つけることはできない。

シーズン遅れ品や昨年度の在庫を値引き販売していたところでイメージもあまり悪化しない。
むしろ、ネットで買う場合こういう格安品を探すことが醍醐味となっている部分もある。

リアル店舗と異なり、陳列場所の広さにも制限はないから、売れ残りの格安品をいくらでも表示できる。

このように見ると、アダストリアのECサイト「ドットエスティ」の使い方は他ブランドよりも上手いと思う。
さらに頻繁なタイムセールで消化を高めている。

逆にちょっと笑ってしまうこともドットエスティではある。

お気に入りに登録したアイテムが残り少なくなると「残りわずかです」というお知らせメールと、その商品が再入荷したら「再入荷しました」メールが送られてくる。
これはこれで非常に便利な機能なのだが、ときどき「残りわずかです」というメールが送られてきた10分後くらいに「再入荷しました」というメールが送られてくることがある。

これには笑うしかなく、単なるマッチポンプではないのか。

そもそも10分後に再入荷することもわからないのかということにもなるし、10分後に再入荷させるくらいならあらかじめ数量を積んどけよって話でもある。

まあ、もしかしたら、現在、スタートアップ界隈の騒ぎ屋連中がワーワー言っているAI(人工知能)のなせる技かもしれないが、数十年後はどこまで進化しているのかわからないが、現状はこの程度だとするとAIに職を奪われるということはあり得ないといえる。

まあ、なんにせよ、アダストリアのブランドを安値で買いたいという人がいたら、もっともお勧めできるのはECサイトのドットエスティである。リアル店舗で買うよりも格段に安い。返品不可だったり試着できないという不便があったりするが、コストパフォーマンスを狙うならこちらで買う方が圧倒的にお得だといえる。

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こんなの見つけた。なんだこれ?

決して盤石ではないゾゾの足元。有力ブランドのゾゾ離れが起きる可能性

いまだに経済紙やらIT系オピニオンからは、ZOZOTOWNへの賞賛が相次いでいるが、現実的にはそれは盤石で強固なものとはいえない。
むしろ、何かのきっかけでそれが崩壊する可能性も十分に秘めている。

少し以前に東洋経済オンラインにこんな記事が掲載された。

「ゾゾ頼み」から脱却へ、アパレル企業の苦闘
https://toyokeizai.net/articles/-/210060

初期からZOZOTOWNに出店していた有名ブランド・有名セレクトショップの多くはこのタイトルが示すようにZOZOTOWNから離れたがっているのが現状である。
その理由はこの記事にも書かれてある。

1、ZOZOTOWNに徴収される手数料が年々値上がりしていること
2、値引きクーポンの乱発で買い上げ客単価は年々低下していること
3、低価格ブランドが大挙して出店していること

この3つが理由である。
1、については記事中でも

代表格であるゾゾタウンは、順調に商品取扱高の拡大を続ける傍ら、手数料比率を年々引き上げている。現状は30%程度と百貨店での手数料に匹敵。モールで購入した顧客の詳細なデータも、アパレル側は入手できない。

とあるが、当方が聞いた数字は35%とのことだった。
売上高の35%も徴収されては、百貨店に出店するのと変わらない。
おまけに大手ブランド・大手セレクトは製造を商社に任せており、その商社は、ブランドによっても異なるが製造時に平均で20%の利ザヤを稼いでいる。もちろん、ブランドによってはもっと低い%しか取られていないブランドもあるが。

製造時に商社に20%取られ、販売する時にZOZOTOWNに35%取られるため、大手ブランド・大手セレクトの稼げる利益は極端に低くなる。
高い販売価格の大半は商社とZOZOTOWNに取られることになるのだから、一体何のための価格かということになる。

2、についても記事中で語られているが、当方が有名ブランド担当者から聞いた数字でいえば、毎年ZOZOTOWNでの買い上げ客単価は20%減で低下しているとのことだ。

そして、3、についても記事中での言及があるが、この数年間でジーンズメイトやウィゴー、タカキューなどの低価格ブランドが続々とZOZOTOWNに出店しており、出店ブランド数は4000近くにまでなっている。
実際にZOZOTOWNをパソコンやスマホの画面で見ると、低価格ブランドの商品が上位に表示されている。

人は同じ物・似たような商品なら安い方で買う。

当然、有名ブランドや有名セレクトと似たような商品はこれらの低価格ブランドで買われることが増える。

彼らからすると出店するメリットはほぼなくなったといえる。

この東洋経済オンラインの記事は「とは言っても、自社ECサイトを強化することも困難で、各社はジレンマに苦しんでいる」という論調だが、実際のところは有力ブランドは何かきっかけがあれば、ZOZOTOWNから離脱する心づもりがあると耳にしている。
そこまでのジレンマも葛藤もないのだと。

そのきっかけとは何だろうか。

ある関係者は、ZOZOSUITの配布がなされなかったときではないかと推測している。

鳴り物入りで発表されたZOZOSUITは、先日、ようやく発送開始がアナウンスされたものの、ツイッターやフェイスブック、インスタグラム上でもいまだに「手元に届いた」という報告を当方は見たことがない。
もちろん、発表時に先行して何人かのインフルエンサーには配布されていたがそれっきりであり、すでにもう4月になっている。

そもそもベンチャーが開発したあのスーツを26万枚も製造できるのかという疑問もある。

スタートトゥデイ自体は、別のサイズ測定ノウハウや数値を高値で買ったりもしているため、ZOZOSUITがそちらに置き換わるのではないかという見方も業界内にはある。

そうなったときに、有名ブランドのゾゾ離れが起きるのではないかというわけだ。

ZOZOSUIT発表時には26万人分の体型データを手に入れた(手に入れることになる)強みというものが盛んに論じられたが、もし、ZOZOSUITが本当に配布されず、別の手法に置き換わってしまうなら、26万人分の体型データではなく26万人分のクレジットカードデータを手に入れることが目的だったのではないかとさえ思えてくる。

しかも、スーツがなければ測定できない体型データと異なり、クレジットカードデータはすでにスーツの申し込み時に入手できているのだから、別の測定方法に置き換わったところで、スタートトゥデイ自体には何の不都合もない。

また、気になる情報もある。
某有名ブランド担当者によると、ZOZOTOWNへの新規流入はほとんど増えなくなっているという。
他方、Amazonは今もどんどんと新規流入を増やしている。

これは、服しか売っていないZOZOTOWNに対して、なんでも幅広く売っているAmazonとの違いで、ZOZOTOWNの弱みもそこにある。

ZOZOTOWNの利用者は比較的服好き・ファッション好きにとどまっており、その層はもうすでに取り込み切ったと考えられる。
以前にもここで紹介したアンケート結果では、ZOZOTOWNの利用者はユニクロの半分以下、ニッセンよりも下位の9%強しかいなかった。
これが広く大衆から見たZOZOTOWNの認知度・支持率である。

 

他方Amazonは本、玩具、食品、雑貨、家電、文具と幅広い商品を扱っているから、服好きでなくても利用できるし、利用してしまう。
先日は当方もAmazonでコピー用紙を発注した。

服に興味のない人(それが圧倒的大衆)からすると「ZOZOTOWNって何?それ美味しいの?」というのが実情だ。

服好きしか利用せず、その層は取り込み切ったZOZOTOWNと、服好き以外の幅広い需要を集められるAmazonとでは土台が勝負にならない。
圧倒的にAmazonの勝ちだ。

しかも、Amazonは服にも熱心にアプローチをかけており、東京ファッションウィークのスポンサーまで務めている。
「日本のファッションガー」というなら、どうしてZOZOTOWNや楽天がスポンサーにならないのか不思議でならない。
100億円の絵を買うカネはあっても東京ファッションウィークに出資するカネはないということか。(笑)

そんなわけで、ZOZOTOWNの足元というのは意外に揺らいでいるように見えてしまう。

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しまむらの成長が今後しばらくは停滞しそうな理由

しまむらが2018年2月期連結を発表した。

売上高5651億200万円(前期比0・1%減)、営業利益428億9600万円(同12・1%減)、経常利益439億2000万円(同12・3%減)、当期利益297億1700万円(同9・6%減)と微減収大幅減益に終わった。

大幅減収といっても、ゴミ屑みたいな業績の企業が多いアパレル業界にあってはかなり優良だし、黒字はびくともしていない。
ただ、従来の「しまむらファン」みたいな人らからすると結果が不満だということになる。
多くの記事で指摘され、しまむら自身も認めているように、テレビCMは失敗だった。
効果がない割に、宣伝広告費が10億円ほど増えて利益を圧迫したのはこのテレビCMが大きな原因だろう。

元来、アパレルやアパレルブランドのテレビCMというのは難しい。

ユニクロの場合は、そのシーズンに積んで売るアイテムがいくつか決まっているから、それを流せば良いのでテレビCMは割合に簡単である。
例えば、古くは「フリース」。
淡々とこれだけを流せば事足りる。
エアリズム、ヒートテック、ウルトラライトダウン、すべて同じだ。

ユニクロは、そのシーズンに強力にプッシュしたいアイテムが1つ必ずある。
それをテレビCMで流せば良いから、非常にテレビCMとは親和性の高いブランドといえる。

テレビCMはウェブの記事やウェブサイトのように、文字で読んだり、自分で興味のある部分をクリックして読むなんてことはできない。
映像が30秒から1分間流れるだけで、その間にどれだけ視聴者にわかりやすく、伝えたいことを伝えるかが勝負になる。

ただし、映像は流れ去るものだから、録画でない限り、ウェブのように「ちょっと待って今の聞き取れなかったからもう一度リピートする」なんてことはできない。

だから、ユニクロの売り方はテレビCMに適している。
フリース、エアリズム、ヒートテック、ウルトラライトダウン、暖パン、などなど1アイテムにフォーカスして製作することができるからだ。

一方、しまむらもそうだが通常のアパレルはテレビCMとの親和性は低く、テレビCMは作りにくい。
なぜなら、多品種小ロットな上に、来月も同じ商品を売っているとは限らないからだ。むしろ売っていないことの方が多い。

そうなると、1アイテムにフォーカスしたテレビCMを製作することは難しく、畢竟、ブランドや企業のイメージCMみたいなものにしかならない。

だからアパレルのテレビCMは以前はほとんどなく、企業イメージCMが時折流れるくらいだった。
アパレルがテレビCMに積極的になったのは2009年ごろからで、クロスカンパニー(当時社名)のアースミュージック&エコロジーのテレビCMが大ヒットしたからである。

今までのイメージCMと何ら変わりはなかったが、違っていたのは消費者の環境である。そう、インターネットが完全に普及した。

宮崎あおいさんが、「ヒマラヤほどの~♪」と歌って、最後にブランド名を言うだけのテレビCMで、これだけを見ればなんのこっちゃ意味わからんという話だが、インターネットで検索することでこれがブランド名だということがわかり、大ヒットした。

アパレル業界は常に成功者の後追い体質だからクロスカンパニーがヒットすれば、我も我もとテレビCMを流すようになった。
その後、クロスカンパニーも同じ作りのCMを何度か流しているが、そちらはそこまでヒットしなかった。
同じものを何度も見せられても飽きるだけだから当然の結果といえる。

元来、多品種小ロットで売り切り御免型のしまむらは、1アイテムにフォーカスしたテレビCMを作りにくい事業構造だといえるし、今更、テレビCMを流し始めるという究極の後追いが成功するはずもなかった。
テレビCMの失敗は必然だったといえる。

ところで、金融系の人たちはなぜ、しまむらがさらに成長できると思っているのだろうか?不思議でならない。

しまむらのこれまでのビジネスモデルではこの辺りが成長の限界点だと思えるのだが。

以前にも書いたが店舗数を大幅に増やすには、最早、大都市都心しか立地が残されていない。ここに出店するには高い土地代・家賃が必要となりローコストオペレーションのしまむらでは厳しい上に、店作り・ディスプレイが今のチープ感漂うままでは、競合他社ブランドには勝てない。

また、ビジネスモデルの転換がそうそう上手く行くとも思えない。

2016年秋から発売した「裏地あったかパンツ」は100万本を販売したというが、それはしまむらお得意の「メーカーからの仕入れ」ではなく、自社企画商品だった。
自社企画商品を100万本も作るということは、ユニクロの大量生産・大量販売型のビジネスモデルだといえる。
しまむらはこれまで、不良在庫品などを安く仕入れて、それを販売することで「多品種小ロット売り切れ御免」のビジネスモデルを確立してきた。そしてそれが、面白いとして支持を集めてきた。

この路線を変更するということになる。

さらに、しまむらは自社企画ブランド「CLOSSHI(クロッシー)」を開始しており、近いうちに、商品構成比を40%にまで引き上げることを発表している。
これは取りも直さず、ユニクロ型ビジネスモデルの大幅導入ということになる。

しまむらに限らず、どんな企業やブランドでもビジネスモデルを大幅に転換する際には混乱・低迷・停滞は避けられない。
上手く行けば再上昇するが、上手く行かない場合は逆に凋落してしまう。
どうなるかは経営陣次第・運次第でしかない。上手く行かない可能性もある。

そんなわけで、しまむらは現在、難しい立場に立たされているといえ、再成長軌道に乗るには今後5年間くらいは必要になると見ている。

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ウィキペディアに「ジャヴァがファンドに売却される予定」て書かれているけど本当なのかな~?(後日追記あり)

少し前から伊藤忠商事が子会社のジャヴァホールディングスを売却するという噂がチラホラあった。

売却先は投資ファンドのエンデバー・ユナイテッドだという。
製造業から飲食、アパレルまで手広く買っており、飲食だとピザハットを買収したし、アパレルだとパレモや花菱縫製を買収した。

現在のところまだ発表されておらず、譲渡は4月1日付だといわれている。
にもかかわらず、ウィキペディアのジャヴァグループのページにはすでに

その伊藤忠もついにJAVAグループを投資ファンドであるエンデバーユナイテッドに2018年に友好的M&Aされる(あるいは売渡し)予定である



https://ja.wikipedia.org/wiki/ジャヴァグループ

 

と書かれてある。
これは本当なのかなー???(棒)

で、今回の売却の噂についてはさまざまな意見がある。
しかし、個人的に注目したのが、ジャヴァの某OBの声だ。

そのOBによると、

今回の売却は好影響を及ぼすと見ています。

という。

なぜなら、

3~4年前に50代以上の社員をリストラしましたが、実は不十分で、今でもジャヴァホールディングスの社員構成比率は50代以上が50%以上を占めています。これを大リストラするならジャヴァは好転するのではないかと思っています。

とのことだ。
さらに突っ込んで聞くと、

50代以上の給与が高止まりしているので、若手はその割を食ってこれまで昇給が非常に低かった。リストラが行われて若手が昇給するようになれば、若手の士気は高まるのではないでしょうか。

ということで、なるほどそういう効果は期待できそうだ。

しかし、ウィキペディアに書かれているだけで事実はどうなるのか、依然不明だ。(棒)

さて、仮にこれが事実だとして後日発表されたとすると、アパレル業界はまた大きな衝撃に見舞われるだろう。
アパレルの再編はまだまだ進む。

これに限らず、さまざまな買収、売却の噂が絶えない。
それも著名な会社ばかりだ。

先日、商業界に「アパレル業界でM&Aが加速するワケ」というようなタイトルの記事が掲載されたものの、まったく「ワケ」が書かれておらず、読後おもわず「なんじゃこりゃー」と叫んでしまったが、事実を羅列するだけでもM&Aの多さがわかる。

現在耳にしている噂だけを列挙すると、

・投資ファンドに買われた某社だが、早くもその投資ファンドが手放したがっている
・中国資本に買われた某社だが、中国資本も手放したがっている
・大手セレクトショップが身売りを検討している
・大手チェーン店が某社に身売りを持ちかけたが、あっけなく断られた

まあ、ざっとこんな感じで、それが事実になるのかどうかはわからないが、これほどまでに身売りを検討している大手があるということで、逆にファンドや異業種はアパレル業界に乗り込んだものの、思うような結果が出せずに早々に再売却を検討していることも珍しくないということだ。

一方で、ニトリやドン・キホーテのような異業種はアパレル業界に可能性を見出して進出を計画している。

ニトリのアパレル進出宣言は話題となったが、その後の具体的な進展をまったく聞かないので、ZOZOSUITと同じだろうかと思わずにはいられない。

ZOZOSUITとプライベートブランド「ZOZO」は期待感ばかりが先行して、実物はなんだか拍子抜けする程度のもので、この辺りが異業種のアパレル参入の限界なのかもしれないとも個人的には感じている。

それよりも国内アパレルが脅威に感じなくてはならないのは、ゾゾなんかよりもAmazonのプライベートブランドになるだろう。
このAmazonに関しても、先ごろ、米本社、東京、シンガポールの幹部が大阪市中央区・本町の会社を買収するために会議が開かれていたという噂があり、大阪市本町といえば繊維街だから、PBウェアのための下準備ではないかと推測してしまう。

先日、掲載された週間SPA!にアパレル業界は今後どのようになると思うか?
と尋ねられたので、「大手がますます巨大化して、さまざまなブランドや企業を傘下におさめると思う」と答えた。

大手は自前でブランドを開発する必要がなく、現在、身売りを考えている大手チェーンや大手セレクトを買収すれば簡単に新ブランドを獲得できる。
現に、某大手企業が先日、M&Aに関する説明会を開催し、顔見知りの新進ベンチャーブランドも話を聞きに行ったという。
その際、彼らは「うちはもう自前で新規ブランドを開発しない。今までから同じようなブランドばかり立ち上げてきたから。それよりもまったくテイストやジャンルの違うブランドや会社を買収する。貴社もその候補に入っています」と言われたとのことだ。

高度経済成長期やバブル期にはさまざまなアパレル企業がベンチャー的に立ち上がり、ビッグブランドに成長した。
その後の、90年代半ばの裏原宿ブームはその最期の名残ともいえる。しかし、結局、裏原宿ブランドはどれもビッグにならず、ベイシングエイプも香港企業に買収された。

バブル期や裏原宿ブーム期に一部の業界人が期待した「これからは大手ではなく小型の個性派ブランドがどんどん生まれて、ファッション業界は多様化する」というようなビジョンは、単なる美しい幻想に過ぎなかったということになる。
アパレル業界は今後さらに再編が進み、大手企業や投資ファンド、外資が次々に有名ブランドをM&Aしていくことになるだろう。

我が国も欧米のように、「ブランドを立ち上げて育てて大手資本に売ってそれが人生の上がり」というようなスタイルが定着していくことになるのではないかと思う。

と、このブログをアップした数時間後正式発表があった。

3月31日追記

伊藤忠が神戸の名門アパレル、ジャヴァHDを投資会社に売却
https://www.wwdjapan.com/593477

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ポップアップストアのメリットとデメリットはここ

どんなものでもそうだが必ずメリットとデメリットがある。
ポップアップストア(期間限定出店)も同じだ。メリットとデメリットがある。

先日、岡山県津山市のネクタイ縫製工場が自社ネクタイブランド「笏の音」のポップアップストアを阪急メンズ館うめだで開催していたので、覗きに行ってきた。
フェイスブックでお友達になっていたので、一度お会いしようと思ったわけだ。
1万円のネクタイが1日に10本以上売れ続けたということで成功といえるだろう。

「笏の音」のネクタイ

ポップアップストアのメリットとしては、無名ブランドや知名度の低いブランドが有名な商業施設で開催することで、知名度を高められるという点がある。

そういう意味では広告宣伝費と等しい。
通常の広告宣伝費はカネを払いっぱなしだが、ポップアップストアの場合は、物が売れれば収入となる。
そのため通常の広告宣伝よりも費用的に美味しくなる可能性がある。

常設店を作れば、家賃や人件費が必要になるが、1週間とか2週間くらいのポップアップストアなら自社スタッフで何とか回せるため、人件費はそこまで増えない。また家賃も必要ない。

一方でデメリットもある。
ポップアップストアではそれほど大幅な利益を稼ぐことは難しい。
ポップアップストアは家賃が必要ない代わりに、必ず売上高の何%を施設側に徴収される。
百貨店の場合は通常だとだいたい30~40%を徴収される。

10万円売れたとしても3万~4万円は百貨店に取られる。

よほど、超人気ブランドで百貨店が頼み込んでポップアップを開催してもらった場合はこの%はもっと低くなるが、通常のブランドだとだいたいそれくらいである。
1日に10万売れて、それが7日間開催だったとすると、売上高は70万円になる。
このうち百貨店は21万~28万円をもっていくというわけで、出店者の手元には42万~49万円しか残らないということになる。

この49万円で売れた商品の仕入れ代や製造費、店頭で立ってくれたスタッフの人件費・交通費・宿泊費、あとはこまごまとした備品などを支払うから純粋な儲けはさらに減る。

だからポップアップストアで大幅な利益を稼ぐことは基本的には難しい。

この構造を理解した上でポップアップストア出店するならそれはそれで一つの販売戦略といえる。
笏の音の場合は、ブランドスタートから間もないため、広告宣伝活動の一環とすれば大いにポップアップストアのメリットは大いにある。

しかし、すでに知名度が高いブランドはポップアップストアを頻繁に開催するメリットは少ない。
まあ、年に1回か2回くらいやるのは気分転換にもなって良いが、年間何十回もやる意味は、収益面から考えるとほとんどない。

逆にそこまで頻繁にやるなら、通常のスタッフをローテーションで回すことは難しく、それ専用のスタッフを雇ったり、販売代行社と契約しなくてはならなくなり、さらに収益面は圧迫される。

なんでこんなことをクドクド書いているのかというと、先日読んだ記事に疑問を感じたからだ。

1万円でバカ売れ 神戸発バレエ靴の戦略
http://president.jp/articles/-/24758

神戸のクロシェという企業が発売しているファルファーレという1万円のバレエシューズが年間8万足も売れるという内容である。

3万円以上か4000円以下かの2極化しているバレエシューズ市場に1万円という中間価格帯で提案した結果、年間8万足を売るまでに成長した。

ファッション用品不況の現状では、参考になることの多い内容だが、個人的にはこのクロシェのやり方はオンリーワンの要素が強く、真似ても失敗する可能性が高いと見ている。
参考にするのは構わないが、真に受けて真似るとひどいことになるだろう。

まず、中間価格帯商品のあえての投入という部分だが、個人的には意味のあることだとは思うが、現実的には攻め方を間違えて苦戦している中間価格帯ブランドは山のようにある。
エドウインなんかもその一つといえる。

日本製で8000円くらいのジーンズは本来価値があると思うが、それが高い評価を受けているかというとそうでもない。

また

ファルファーレには常設店舗はない。そのかわりにファルファーレは、1週間単位でポップアップストアを全国の各所で次々に出店していく。その数は年間で100以上にのぼる。これで年間8万足という販売の根幹を確保する。

とあるが、年間の3分の1もポップアップストアを開催するには、それ相応の投資が必要となる。
まず人件費である。本社スタッフをローテーションで投入して賄うことは100回以上もやっていれば不可能だ。
ポップアップ専門スタッフを雇っているか、そういう派遣と契約しているかだろう。クロシェはこれで成功したとされているが、他社が真似ても確実に成果が出るとは限らない。
むしろ、上でも書いたように収益は低いから早々にポップアップ疲れを起こすだろう。
労多くして益少なしの事態に陥る。

その昔、付き合いのあった独立したばかりのデザイナーズバッグブランドがあった。
彼らはブランドスタート当初はポップアップストアを頻繁に開催していた(とはいえ年間100回もやっていない)が、3年目か5年目くらいからポップアップストアを大幅に減らした。
理由は収益が悪いからである。いくらシャカリキに開催したって大きな利益は確保できなかったからだ。

これが現実である。

これまでと違うやり方として参考にするのは良いが、クロシェをそのまま真似ることはかなり危険度が高いといえる。

あと、この記事の書き方には疑問がある。
クロシェを中堅企業としているが、年間14億円程度の売上高では中堅企業とは言わない。
最低でも20億~30億円は必要だろう。

また、見出しの「バカ売れ」も陳腐で逆にうさん臭さを煽っている。
この手の経済雑誌や経済紙の記事は「バカ売れ」という表現を多用する。
しかしその実態の多くは、数量が少なかったり、数量自体が明示されていなかったりする。
クロシェの8万足は売れているといえるが、バカ売れという見出しは本当にバカっぽくしか見えないので、媒体側はあまり使わない方が良いのではないかと思う。

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こんな感じの靴らしい。

WAONカードと提携するなら、Tポイントカードとの提携のままで良かったんじゃない?三越伊勢丹さん

物事は1年くらいではあまり変わらないから仕方がないとはいえ、三越伊勢丹HDの政変から1年が経過したが現段階では大した変化は何も見られない。

外野から見ていて一番ずっこけるのがTポイントカードとの提携解消で、後継としてWAONカードとの提携を打ち出したことだ。
はっきり言って何の意味もない交代としかいえない。

Tポイントカードとの提携に批判があったことは周知の事実だ。
三越伊勢丹のイメージに、Tポイントカードのイメージがそぐわないというものだ。
また自前のMIカードもあるのにどうして外部との提携が必要なのかという声もあった。

中には、三越伊勢丹の高級イメージに、低所得者層のTポイントカードはミスマッチだとの声もあった。
しかし、Tポイントカードのアクティブユーザー数は6500万人であり、日本の総人口のほぼ半分にあたるから、所有者が一概に低所得者層とは言えない。
むしろ、富裕層もアクティブユーザーに入っているだろう。

以前にも何度も書いたが、Tポイントカードの増田宗昭社長と大西洋・前社長の両方にインタビューした経験からいうと、6500万人という圧倒的数量のビッグデータを持って、需要予測をすることで、三越伊勢丹の品ぞろえや販売戦略に好影響をもたらすことが狙いだった。
当然、失敗する可能性もあるが、今のままで三越伊勢丹の経営環境が上向く要因はほとんど考えられないから、やってみる価値はあった。

大西洋・前社長の電撃解任に伴ってCCCとの提携解消が発表されたのは残念だが仕方がない。
粛清人事というのはどこの組織にもある。三越伊勢丹もその例に漏れないというだけのことである。
人間は感情で動く不合理・非効率な生き物だということだ。だから当方は人間があまり好きではない。

提携解消をして従来のMIカードに戻すのなら話はわかる。
まあ、往々にして他組織でもよくある話だ。

しかし、イオングループのWAONカードとの提携は解せない。
なら、Tポイントカードとの提携のままで良かったのではないかと思う。

Tポイントカードのイメージが悪いと言っていた人たち(外野の評論家含む)は、WAONカードのイメージは良いとでも思っているのだろうか。
十分にWAONカードのイメージも低いと思うが。

イメージなんて個人の主観でしかないから個人的な主観でいうと、TポイントカードよりWAONカードの方がずっとチープなイメージがある。
当方からすればこちらの方がよほどイメージダウンだと感じる。

この提携から当方が感じることは2つある。

1、大西洋・前社長への憎悪は強烈であること
2、いろいろカッコウを付けてはいるが、MIカードでは足りないからビッグデータが必要

この2点である。
なんやかんや言い訳はしているが、ビッグデータは欲しいというのが透けて見える。

大西・前社長が手掛けたTポイントは、とりあえず気に入らないから同じくらいの規模感のあるところを選んだらWAONだったというところが実情ではないかと見ている。

http://diamond.jp/articles/-/164634

ここでは

また大西時代に始まり、3月末で終わるTポイントカードから切り替わる提携先が、なんとイオンの電子マネー「WAONポイント」。三越や伊勢丹の店頭で、端末にWAONカードをかざした際に「ワオン!」の“鳴き声”が響き渡る光景はなかなかインパクトがありそうだが、百貨店のブランドイメージにそぐわないと従来指摘されてきたTポイントカードの後継がWAONカードとあって、社の内外で落胆を呼んでいる。

とある。
そりゃそうだ。(笑)
Tポイントカードの代わりがWAONカードならイメージの低さは同じかむしろ強まっている。イメージアップにはまったくならない。
感情論を抜きにしていえば提携先を変える必要はまったくなかった。
むしろ、新たな作業が発生する分だけコスト増になって単年度とはいえ、収益を削るだけである。

 

もっとも「イオンとの提携を進め、不採算の地方店舗をイオンに譲渡する深謀遠慮」(別の三越伊勢丹関係者)との見方もある。とはいえ、旧三越と旧伊勢丹の企画や管理畑が労働組合と組んで大西前社長を追い出し、ひたすら営業畑の幹部を冷遇することに血道を上げる現体制が、イオンを相手にそれだけの大立ち回りを演じられるかどうかは疑問である。

 

とも記事は結んでいるが、このイオンとの提携はどうだろうか?
むしろ今更大手量販店と提携するのは愚策でしかないのではないか。

イオン本体も決して順調とは言えない決算が続いているし、セブンアイの子会社になったそごう・西武の凋落ぶりを見れば、容易に描ける未来予想図ではないか。

ほら、思った通りにかなえられてる~♪

なんて歌える状況でもない。
深謀遠慮などはなく、辛抱と遠慮しかないのではないか。(笑)

逆にイオンとすれば、セブンアイにあって自社グループにない百貨店はぜひとも欲しいだろう。
百貨店の凋落は凄まじいが、まだ百貨店固定客はいる。
ビッグビジネスではなく、固定層に向けたスモールビジネスに徹するなら百貨店は有効に使える部分もある。
また意味がわからないけど百貨店というブランドイメージは高い。

格安で手に入るならイオンは間違いなく入手するだろう。
もしも、政変の行き着く先がイオン傘下になるのだったら、まったく意味のない騒動だったとしかいえない。

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「知名度主義」の人材起用がアパレル業界を低迷させている
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n50ca3a6bf56c7

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たぶん沈んじゃうと思う。

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