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ユニクロUの2018春夏物で値下がりしたら買ってもいいかなと思う商品はこの2つ

1月26日にユニクロからクリストフ・ルメールとのコラボライン、ユニクロUの2018春夏物が発売された。
半袖シャツ、半袖・長袖Tシャツ、半ズボン、サンダルなどの盛夏向け商品は後日発売なので、それ以外の商品の発売である。

27日の土曜日に店頭で見てきたのだが、本来なら人ごみが嫌いなので混雑する土日に見に行くことはない。
今回はたまたま、夜に仕事の打ち合わせがあったのでそのついでである。

で、今回は「見てきた」商品の感想を書いてみる。
もっとも、このあたりの商品レビューは、人気ブロガーMB氏が有料メルマガでやっておられるので、詳細を知りたければそちらを購読された方が良いだろう。

ファッション業界人はいまだに「ユニクロはファッションじゃない」なんてお高く止まっている者もいるが、その割にはユニクロで新商品が発売されたら必ずチェックして、あまつさえ複数買っていて、言っていることとやっていることが乖離しまくっている。
意味のない高すぎるプライドが邪魔をするのだろうか。(笑)

当方の「感想」はあくまでも売り場で見て触っただけの感想であり、なおかつ、当方の好き嫌いと独断であり、値下がりしたら買っても良い(個人的に)という観点での評価となるので、多くの方が納得できる基準ではない。

それでは、個人的に良かったアイテムを挙げてみる。
あくまでも基準は「値下がりしたら買っても良い」である。

当方は基本的にユニクロUスタート時からパンツよりもトップスを気に入っている。
なぜパンツをあまり気に入らないかというとストレッチ混ではないからだ。
ポリウレタン弾性繊維は数年で劣化・断裂するため、ポリウレタン弾性繊維混のストレッチ生地が嫌いだという人がいるが、当方は別に嫌いではない。細身パンツの厚手綿100%生地とか厚手ウール100%生地なんて履いていて窮屈で不快だからどんなに高級素材が使われていても買わない。夏向けの薄手生地のワイドパンツは別として。

気に入ったのはこの2つ。

・コットンクルーネックセーター3990円
http://www.uniqlo.com/jp/store/goods/407087-35

・コットンカシミヤカーディガン3990円
http://www.uniqlo.com/jp/store/goods/407083-68

である。

これは期間限定で1000円値引きされたら買っても良いかなあと思う。
もちろん、それ以下に下がれば絶対に買う。

まず、コットンクルーネックセーターだが綿100%でかなり肉厚な生地に編んでいる。
近年、ここまで厚手でガッシリした生地の綿セーターはお目にかかったことがない。
原料代だけで相当に高価だろうと思う。

当たり前のことだが、厚手生地にするということはそれだけ綿花を多く使用しているということになり、その分、生地の値段は高額になる。
これは高密度織物も同じだ。
糸の本数をたくさん使って、密度を高くしているわけだからその分、糸の使用量が増える。従ってそれだけ生地の値段も高くなる。

原則的には。

PC画面の画像で見ると、それはあまり伝わらないが、売り場で実物を触ってもらえればわかる。
薄くて軽い素材に親しんだ今の人からするとちょっと好きにはなれない素材感かもしれない。

厚手で綿100%なのにどうして評価するのかということになると、セーターは編み物なので、基本的に編み物はストレッチ素材が入っていなくても伸縮性がある。だからこれも綿100%でも伸縮性があるからだ。(初心者に向けて)

色は、白・グレー・黒・ブラウンの4色だが、ブラウンが一番売れ残ると思うが、この色は着こなしが難しいのでいくら値下がりしても買うことはない。ほかの3色なら買う。

ウェブサイトの画像では背景の白と同化していて見えづらいが、実物を見た感じでは白が一番良いと思う。
グレーと黒は白い糸がミックスされているので、そこが好き嫌いが分かれると思う。当方はあまり好きではない。

白が1000円下がったら絶対に買おうと思う。

これより薄手の生地なのがコットンカシミヤカーディガンである。
普通はVネックがほとんどで、一部に往年のアニエス・ベーよろしくクルーネックがあるが、これは珍しくポロ襟付きである。
ジャケットの下に着る際にはちょっと襟の始末が難しく、中級者から上級者向けのデザインではないかと思う。
初心者にはジャケットインは難しいだろう。

色は、黒・ネイビー・オリーブ・赤の4色あるが、色のトーンから見て、個人的には4色とも良い色彩だと思う。
黒かネイビーのどちらか1枚と赤を買おうかと思っている。くどいようだが値下がりしたらである。
オリーブも値下がりすれば買っても良いかなあと思っている。

惜しむらくは、画像で上手く伝わるかどうかわからないが、プラスチックのボタンが少し安物臭いところである。

ちょっと安物臭いボタン

マメな方がおられたら高額なボタンを買ってきて付け替えてみてはどうだろうか。
見た目のグレードはさらに上がる。

あと、ブロックテックコートだろうか。
これはめちゃくちゃ値下がりしない限りは買わないだろうけど。
なぜなら2016年秋冬のブロックテックコートを5990円で買ってしまっているからだ。

http://www.uniqlo.com/jp/store/goods/405941-34

今春のは形が2016秋冬モデルとは少し異なる。
今春のはバルカラー(ステンカラー)で、2016秋冬のはダブルブレストである。
また、袖は今春はラグランスリーブだが、2016秋冬は普通のセットインスリーブである。
裾はセンターベントだが、2016秋冬はノーベントだった。

2016秋冬物のネイビーを買っているのでめちゃくちゃ値下がりしたらベージュ系を買おうと思う。
2016秋冬物に不満は1つだけあってノーベントであるところだ。2017秋冬のユニクロUのコートもノーベントで、ノーベントはやっぱり動きづらい。そこに不満がある。

ズボン類はストレッチ混素材ではないから、あまり買おうとは思わないが、ワイドテイパードシルエットが充実していて、そういうシルエットが好きな人は購入しても良いのではないかと思う。
あと、デニム生地を使ったパンツが以前より増えている気がするが、そのデニム生地のどれもが、「タテ落ち感」「ヒゲ」「アタリ感」を押さえたモヤっとした色落ちをするビンテージジーンズブーム前のデニム生地調であることが、印象的だ。

ビンテージジーンズブームの後で作られたタテ落ちデニム生地を使ったジーンズ

80年代~90年代前半の空紡糸デニム生地で作られた古着のリーバイス

96年のビンテージジーンズブームによって、縦方向に細かく筋が入ったような色落ちをする「タテ落ち」が重視された。
これは綿糸をストレートに引けなかった時代に節くれだった糸を使ってデニム生地を織っていたからで、紡績機の高性能化でストレートな糸が引けるようになった80年代以降は市場からは消えていた。

ところがビンテージジーンズブームによって懐古ブームとなり、デニム生地の好みもも80年代以前に懐古したのである。
わざわざ「今の技術」を使って「昔の生地」を作っていたのが、タテ落ちデニム生地といえる。

それが20年間スタンダードとなってきたが、それがいよいよスタンダードではなくなったというところが、個人的には印象的である。
タテ落ちにこだわっているのは、オッサン世代と一部マニアということになるだろう。

技術は進歩するし、人の好みも移り変わる。
「本物」とか「昔ながらの」にこだわるマニアとか愛好家はいつの時代にもどんなジャンルにも存在し、それに向けた対応はある程度は必要だが、何十億円・何百億円というマスに向けた衣料品ビジネスを展開したいなら、マスの好みに合わせなくてはならない。
それをせずに「本物ガー」とか「昔ながらのー」にばかりこだわっていると、和服業界のように衰退するが、実際のところ、洋服業界のメンタリティも極めて和服業界に近しいと感じる。だから国内アパレルは斜陽産業になっているのではないか。

NOTEを更新~♪
大手広告代理店を使って残念な結果を甘受する残念な国内アパレル 企業
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「仕様」や「使用素材」だけでは洋服は差別化できなくなった

今日はちょっと軽めに。

1月の半ばを過ぎると、バーゲン品の売れ残りがさらに値下げされる。
投げ売り価格になる商品も多いが、バーゲンでも売れ残っている商品だからなかなか売れ辛い。
いくら安くても要らない物は要らないのである。

とはいえ、根っからの貧乏人である当方としては、そういう投げ売り品の中から「使えそうな物」を発掘するのが趣味であり、だいたい夏冬のこの時期に破格値の商品を購入する。

バーゲンの売れ残りは鮮度が落ちているから、買うべきではない。
着る期間が短いから買うべきではない。
新商品はそれだけ鮮度があっておしゃれに見えやすいから定価でも買うべき。

だいたい、衣料品好きとかファッション好きからはこういう指南があるが、実は当方はそれは半分くらいは本当だけど、半分くらいは嘘だと思っている。嘘は言い過ぎなので、聞く必要がないと思っている。

今の時期なら、春先にも使えそうな生地の薄さの商品も投げ売りされている(多分、秋物)し、新商品だからといって必ずしも似合う色柄・デザインでもない。
極端な話、「黒無地でベーシックな形(丸首かVネックでビッグシルエットでも異様なタイトシルエットでもない)の綿セーター」が投げ売られていたとしたら、これは別に来年も再来年も着られる。
投げ売り価格で買えば良いのである。と当方は思う。

まあ、そんなわけでいろいろと物色しているが、今年1月の店頭でいうなら、ユニクロが圧倒的だと思う。
あとはアダストリアのネット通販か。ここはタイムセールだとか期間限定でのさらに値引きだとかそういうことをネットで良くやっている。こまめにチェックすれば格安品が手に入る。

買うつもりがなかったのに買ってしまったものとしては、ユニクロUの2017秋冬物のウールブレンドチェスターコートが挙げられる。
定価12990円が7000円引きの5990円に値下がりしていたので思わず買ってしまった。
7990円くらいの値下がりだったら絶対に買ってなかった。

表地の素材組成はウール55%・ポリエステル45%で、裏地組成は胴がポリエステル65%・綿35%で袖はポリエステル100%である。ただし総裏ではない。

以前にも書いたように、このコートはウール混とはいえ、よくあるウールコートのように「ホワっ」とした暖かさはない。
むしろ学生服や公共交通機関の制服っぽいツルっとした肌触りで、強度はあるのだろうが、真冬には寒い。
またこれは完全なる推測でしかないが、このウールは強撚糸使いなのではないかとも思う。だからこそ余計にツルっとしているのではないか。

こういう商品なのでよほど安くない限りは買わないつもりだった。
真冬に着用は難しいので、着るとするなら春先と晩秋くらいだろうか。
インナーにダウンを着こめば真冬に着用できるだろうか。総裏ではないし。
そういう具合である。

売れ残っていたアーモンド色みたいな茶色を買って着用してみると、書いてある通りに今のトレンドのビッグシルエットである。
50歳手前のオッサンが着ると、25年前のコートを引っ張りだしてきたと思われないだろうかとヒヤヒヤした。

筆者着用
10年くらい前に2900円くらいに値下がりしたGAPのスタンドカラー厚手カーディガンと、3年前に1990円に値下がりしたユニクロのニットジョガーパンツ、3990円に値下がりしたリーボックフューリーライト

 

 

背中には切れ込みがない。ノーベントである。
センターベントやサイドベンツに比べてフォーマル感があるというノーベントだが、着用してみると、着心地はいまいちである。
ビッグシルエットなので、窮屈感は全くないが、前ボタンを留めると、ロング丈なので裾が足に絡みつく。
まるで静電気でスカートが足にまとわりついているみたいでなんだか気色悪い。
これはセンターベントにして生地が動くようにすべきだったのではないかと思う。

必然的に前を開けたままで着るが、前を開けたままだと風が強い日などは寒い。やっぱり真冬には適さない。

で、買ってみて気が付いたのだが、袖が変わっている。
袖の前は普通の袖(セットインスリーブ)だが、袖の後ろはラグランスリーブになっている。

セットインスリーブになった袖の前部分

 

ラグランスリーブになった袖の後ろ部分

吊るした感じ

 

下げ札にも「ハーフラグラン」と書かれているが、下げ札に書かれていることは気が付かなかった。

下げ札にはハーフラグランと書かれているが、スプリットラグランとも呼ぶらしい。

古くはアクアスキュータムのトレンチコートなんかには使われていたとネットでは表示されている。
当方が好むような低価格ブランドではあまり使われていない。
縫製やパターンについて詳しくない当方が素直に考えても通常のセットインスリーブやラグランスリーブよりは縫製がめんどくさいだろうなと思う。だから低価格ブランドではあまり使われないのではないか。

前と後ろで形が違うから縫うのはめんどくさいだろうなと素人的には感じる。

こちらに詳しい。

https://note.mu/hagy_e/n/ncd1317aa4ff0

プロのパタンナーからしてけっこうめんどくさいらしい。
効能としては、いろいろな方からツイッターでご教授いただいたのだが、「腕が動かしやすい」とか「脇下にマチがあるので運動量をカバーできる」とか、そういうことがあるらしい。

しかし、このブログで書かれているように、オーバーサイズのコートにそういう工夫が必要だろうかと疑問を感じる。

もっとタイトなシルエットならそういう工夫は必要だったかもしれないが、ゆとりのあるオーバーサイズならスプリットラグランなんてめんどくさい仕様にする必要はなかったのではないかと思う。
マチなんて取らなくても十分楽に動けるのだから。

それはさておき。

ユニクロが13000円のコートでこういう「凝った」ディテールを使用するなら、最早、縫製仕様やディテールでの差別化は不可能になっているということだ。
「チェーンステッチだから云々」とか「〇〇仕立ての縫製仕様だから云々」というのがこれまで長く、衣料品の差別化の理由になってきた。

けれど、ユニクロが13000円のコートでこれほど「凝った」仕様をするなら、「仕様」だけを理由に差別化・高価格化することは事実上不可能だということである。
単に「仕様だけ」を主張するなら、「ユニクロは13000円で発売している」と反論(この反論がすべて正しくはないが)されてしまうからだ。

仕様や素材、スペックだけではない「価値の創出」がアパレルブランドには求められているということになる。
それができないアパレルブランドは消え去ることになる。

オンライン上では完売で、一部店舗に残っているくらいだが、もし見つけたなら5990円に値下がりしたこのコートは絶対に買いである。
春先、おそらく4月上旬くらいまで着られるはずで、また今年の晩秋から初冬にも着られるだろう。

NOTEを更新~♪
値段を3割下げてもシップスは復活しない
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寡占化が進む国内アパレル市場での勝ちパターンとは?

一昨日くらいからやたらとリツイートされたツイートがある。

理由は判明した。
かねてより親交してもらっている短パン社長こと奥ノ谷圭祐さんが、自分のブログにそのツイートを貼り付けてくれたからだ。

ご存知のようにツイッターは140字という制限があるので、こういう書き方しかできないのだが、個人的には極めて当たり前のことを改めて書いただけであり、逆に多くの人が何をそんなに驚いているのかと不思議でならない。

もちろん、異業種の人からすると「初めて知った」という事柄かもしれないのでそれは理解できるが、理解できないのは、衣料品業界にいる人までが「初めて知った」みたいな反応をすることである。

自分が仕事をしている業界の大勢をどうして知らないのか?知らないままで何年間も仕事ができる業界って逆に緩くてパラダイスじゃね?

なんて思ってしまう。
ちょっと冷静に考えてみたいのだが、ユニクロとジーユーのこの2ブランドだけで、国内売上高は1兆円強になる。

ツイートは文字制限があるので省略しているが、しまむらには「しまむら」以外に「アベイル」などのいくつかの違う屋号の業態がある。
それを全部合わせたしまむら全社の売上高が5400億円になるということである。

正しくは、ユニクロとジーユーの2ブランドとしまむら1社の国内売上高を合計すると1兆5400億円強になり、国内のアパレル小売市場規模が9兆円強なのでその6分の1を占めるということになる。

いずれにしてもとてつもない売上高規模だが、ここを踏まえて考えないと、単純なモノづくり論とかありきたりの販売論では話にならないということが言いたかった。

かつてワールドやらオンワード樫山やらの業績が堅調なころはそれぞれ3000億円くらいの売上高があった。
2005年ごろまではバブル崩壊不況と言われながらも、今から考えるとまだファッションに活気があった。
以前にも書いたが、レーヨンジーンズブームもビンテージジーンズブームもエアマックス95ブームもバーバリーブルーレーベルのアムラーブームも全部90年代のことである。

ファッション分野に毎年大ヒット商品が生まれていた90年代の豊かさ

国内のアパレル小売市場規模も10兆円を越えていた。

仮に10兆円だったとして、ワールドとオンワード樫山の売上高合計は6000億円ほどしかなく、市場規模の6%程度の占有率しかなかった。
90年代に働いていた者の回顧としては、それでも「大手の寡占化はすさまじいな」と感じていた。
70年代や80年代のように(伝聞しただけ)マンションメーカーが巨大企業へ成長するなんてことは、この当時でもほとんどなくなっていた。

それが今はどうだろうか。この当時とは比べ物にならないほどの寡占化が進んでいる。
ファーストリテイリングの2ブランド(ユニクロとジーユー)としまむらの2社で国内市場の17%ほどを占めている。
今後さらに⓵2社の売上高が伸びるか、⓶国内市場規模が下がるか、このどちらかになると考えられるので国内占有率はさらに高まり、近い将来20%を占めることになるだろう。

こういう状況にありながら、古株業界人からはいまだにユニクロ否定論やしまむら否定論が聞こえてくる。
何も年配業界人からだけではない。販売枚数が極小で採算ベースにすら乗っていない若手からも聞こえてくる。
そういう若手は単に年齢が若いだけで思考が業界老人と同じである。

何を言っているのかと思う。

マスは大手2社に任せて、少人数にしっかり売るという考え方のブランドやアパレルは成長すると思う。
売り上げ規模が成長しないまでも収益は確保できるだろう。

「マスが間違っている」と声高に吠える弱小ブランドは思考自体が化石化しているので遠からず市場から退場することになるだろう。

弱小ブランドが無くなっても困る人はわずかしかいないが、この2社が無くなれば困る人は何十万人もいる。

ところで逆説的だが、衣料品というのは価格の高低に関係なく必需品でありながら嗜好品の側面があり、ユニクロだけ・ジーユーだけ・しまむらだけでは多くの人は満足できない。
たまには違うブランドや違うデザインの服も着てみたくなる。

そういう意味ではこの2社だけが残っても日本国民は困るのである。

だから、その他のアパレルやブランドにも活路はある。
その活路は論者によってそれぞれ違うと思うが、個人的に思いつくのは、トータルアイテムでは勝ち目がないから、何か1つか2つだけの得意アイテムに集中することで存在感が発揮できるのではないかと考える。

その好例は、鎌倉シャツであり、モンクレールだろう。

それぞれビジネスシャツやダウンジャケットに特化している。
鎌倉シャツは5000円くらいの価格でまあ大衆的だが、モンクレールは10万円を越える価格でハイブランド化している。
モノづくりがしっかりしていることが前提だが、それ以外のプロモーションや売り方などに工夫を凝らしたことで一般消費者に広く認知させることができた。

ほかにも特化すれば存在感を発揮できる分野やブランドはあるのではないかと思う。
問題はそれらを「モノづくり」「商品デザイン」のみの観点でやろうとするから売れないのではないか。

もちろん、モノづくりや商品デザインは重要だが、それだけでは購買意欲を掻き立てることはできない。
よくあるのが、商品のスペックや製造方法のみをクローズアップしすぎて、大衆からソッポを向かれてしまうことだ。
産地ブランドや製造業ブランドにはこうした例が掃いて捨てるほどある。

そのあたりを再度検証しなおしてみてはどうか。

それにしても、正しい数値データを持たずに商売ができているアパレル業界の緩さを改めて知ることができた。
正しい対策をとるには正しい数値を把握することが必要不可欠だ。それを欠いているのだから、業界全体が不振になったことは何の不思議もない。

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知名度だけに胡坐をかいたタレントブランドは売れない
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「増減率」だけで論じる経済系の愚かしさ

 9月下旬にこのブログの仕様をライブドアブログからワードプレスへ変えた。(正確には変えてもらった)
ドメインは同じでURLも同じだが、基本的にシステムはまったく違うのでそれまでのRSSが役に立たなくなってしまっている。
もし、以前に登録されていた方がおられたら、お手数をかけてしまうが再度登録しなおしていただきたい。

さて、経済系メディアやアナリストと呼ばれる人たちの記事や指摘には参考になる部分も多数含まれているが、「数字のマジック」に踊らされすぎではないかと感じられることのほうが多い。

例えば、昨年までの「ライトオン復活、ユニクロ低迷」という論調や「しまむら復活、ユニクロ低迷」という論調である。
その期の「%表示」のみに従えばそういう論調になることは理解しているが、実際の金額や一昨年対比した場合、この論調はもろくも崩れてしまう。

それが今年になって証明され始めており、ライトオンは赤字転落してしまったし、しまむらも業績は伸び悩んでおり、今年9月度単月の業績だけをもって「しまむら苦戦、ユニクロ好調」なんていう浅はかな記事を書いてしまうアナリストすら存在する。
しかもそのアナリストの肩書は「ベテランアナリストで、海外(主に欧米)での業務経験も豊富」だから驚いてしまう。

アパレル企業の経営者もピンキリで、ひどく短絡的な人も珍しくないが、優秀で冷静な方も数多く存在する。
年度決算という近視眼的な視点ではなく、3年後~5年後、少なくとも再来年までを考慮して中長期的に取り組む経営者もいる。

先日、久しぶりにお会いできた経営者も後者に属する。
30億円規模のカジュアルメーカーだが、直近の決算内容をお聞きすると、卸売り事業は前年割れ、直営店とネット通販が伸びたということで、卸売り事業の前年割れは計画通りだったという。

この規模のメーカーなので当然、株式公開はしておらず、単年度の業績によって株主から責められることはない。

トップとしては、卸売りという事業そのものが伸びにくい状況となっているため、減収を織り込み済みというのは、賢明な見通しといえる。

しかし、仮にこのメーカーを取り上げて「卸売り事業減収により、今後の業績に懸念」という記事を書こうと思えば書ける。
とくに%表示による増減率の「数字のマジック」に踊らされる性質の人なら迷わずそう書くだろう。

だが、その指摘は正しいのだろうか?

アパレル業界において、卸売りという事業そのものが伸びにくくなっている。
理由はさまざまあるが、最大の理由は、卸売り先の減少である。

小規模・零細の個人経営専門店は次々に廃業・倒産している。
また、中規模の専門店チェーンは徐々に自主企画製品(PB)比率を徐々に高めている。

さらに大手有力チェーン店、大手セレクトショップチェーンは完全にPBが主体に切り替わっている。

こう見ると、卸売り先が減ることはあっても増えることはないことがわかる。
この状況下では卸売り事業が減少することは当然といえる。

卸売り事業しかない企業であれば、これをいかに維持するか・伸ばすかということが至上命題になるが、このメーカーは直営店とネット通販というほかの事業を持っている。環境が厳しい卸売り事業を自然減に任せて、その分、直営店とネット通販を伸ばすという考え方は、きわめて当然だといえる。

経済系の指摘は、このメーカーに対し「そうは言っても卸売り事業が縮小するのは問題だ、今後に懸念を感じる」と言っているようなものに過ぎない。

昨日、2017年8月期のファーストリテイリングの決算が発表された。
内容では過去最高実績となる増収増益だった。

しかし、件の経済系はやはりというか、なんとかの一つ覚えというか「それでも物足りない」と指摘するので笑ってしまった。

1、国内ユニクロ事業が6・4%営業減益
2、EC事業が売り上げ構成比6%にとどまった

この2点である。本当に増減比率しか見ていないことが丸わかりだ。

国内ユニクロ事業の営業利益は6・4%といえども959億円もある。ちなみに件の経済記者は国内ユニクロの売上高の伸びにも物足りなさがあると書いていたが、それは前年比1・4%増にとどまったことを受けている。が、売上高は8107億円もあり、この金額でさらに上積みできてしまっている時点で、通常のアパレル企業とはまったく販売力が異なっている。まさに異次元レベルの伸び率といえる。1%でも80億円で、今時、80億円規模のアパレルはおいそれとは誕生できない。

また、経済系の大好きなEC事業だが、売り上げ構成比6%である理由は、全売上高の分母が大きすぎるからで、伸び率は前年比15・6%もある。
国内ユニクロに含まれるEC売上高は487億5300万円に拡大しており、衣料品ブランド単体のEC売上額は断トツの1位である。
500億円規模のアパレル企業といえば、業界では大手の範疇に入る。

これらを指して「%表示の増減」のみで「物足りなさを感じる」と書いてしまえるところがなんとも驚くほかない。
この手の人たちはおそらく、洋服を販売するという実務経験が乏しい、またはまったくないのではないかと思う。

1年でも2年でも洋服販売に従事したことがあれば、この金額がどれほどすさまじいか容易に理解できる。
また、従事経験がなくとも、8000億円のブランドが1%(80億円)売上高を伸ばすことと、10億円程度のブランドが20%(2億円)売上高を伸ばすことの困難さは全く異なるということは容易に想像できるはずだ。

個人的には「想像力を~」と主張する輩は全く好むところではないが、それこそ想像力が欠如しているのではないか。

NOTEを更新しました⇓
「数字だけ」を見て失敗したアパレル経営者たちの事例
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n3260aa3e5852

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ユニクロUのライトダウンコートに期待したい

 先日、ユニクロUが発売され、これでめでたく?今秋のユニクロのコラボラインが勢ぞろいした。
一部商品はこれから発売されるので完全にすべての品番がそろったわけではないが、ほとんどがそろったといえる。

今秋からイネス・ド・ラ・フレサンジュのメンズが加わり、J.W.アンダーソンが始まり、恒例のユニクロUの大部分の品番が投入された。

各ラインを比較して、個人的な品定めをしてみたい。

イネスについては以前にも感想を書いているのでご参照いただきたい。

ユニクロのイネスのメンズラインを独断と偏見で採点してみた

専門家・愛好家によってさまざまな評価があるが、あくまでも個人的に見ると、

一番若い人向けが、J.W.アンダーソン
一番年配向けがユニクロU
その中間がイネス

だと感じる。

どのラインもユニクロに合わせているので、形そのもので突飛なものはない。
突飛な部分は色・柄にとどめており、デザイナーズブランドを着慣れない人でも取り入れやすい工夫はなされいるといえる。
逆に形・シルエットそのものを複雑化してしまうと、縫製工賃が高くなり、ユニクロ価格を維持できなくなる。
そのため、形・シルエットはある程度ベーシックに抑えなくてはならない。

また一口にデザイナーズブランドといっても、+Jでコラボしたジル・サンダー氏のようにシンプル・ミニマムを信条とするデザイナーもいる。本来は+Jがもっともユニクロとは相性が良かったのだと思う。

ファッションが苦手な人が一番着こなしにくいだろうと思うのは、J.W.アンダーソンである。
形やシルエット自体はベーシックに寄せているが、色柄が派手な品番が差し込まれている。
チェック柄のダウンジャケット、派手なレゲエカラー・ドイツ国旗カラーのボーダーニット、ボーダーTシャツなどである。

ファッションが苦手な人に限ってなぜか派手な原色を着たがる傾向があり、アンダーソンのこれらは鬼門だといえる。
そういえば、先日、天満駅付近の天神橋筋商店街でちょっとダサめのおっさんが、アンダーソンのレゲエカラーのボーダー柄セーターを着用していて、ひどく似合っていなかった。

野暮ったい顔立ちと、赤・黄色・グリーンの派手なボーダー柄はまったく合っていない。

J.W.アンダーソンでは早速半袖Tシャツが990円に値下がりしている。
ボーダー柄の半袖Tシャツと、おばはんの横顔のイラストが描かれた半袖Tシャツはすでに990円に値下がりしており、その中では黒×グレーのボーダーとおばはんイラストはサイズさえ合えばお買い得である。

また、アンダーソンではリバーシブルのトレンチコートがあるが、裏地のチェック柄を表にして着る人はいないと思う。
全身がチェック柄ならまだしも、前立てと襟の部分は通常の無地トレンチコートのままであり、それ以外がチェック柄に切り替わっている。
これも野暮ったい顔立ちのおっさんが売り場で裏返して試着しておりひどく似合っていなかった。

同じトレンチコートを買うなら、イネスにすべきである。

J.W.アンダーソンのトレンチは綿素材の1枚仕立てだが、イネスは袖は除いて本体部分に取り外し可能な中綿入りライナーが装備されている。真冬でもスーツの上に着用できるのはイネスであり、J.W.アンダーソンのは真冬の着用は寒すぎて難しい。

また、全体的傾向でいうと、万人が着やすいのはユニクロUである。

ほぼ、無地アイテムばかりで、カラーリングも黒、紺、オリーブとベーシックな暗めのカラーなので悪目立ちしない。
しかし、気になるのはアイテムのほとんどがビッグシルエット、オーバーサイズ気味であることだ。

オーバーサイズの服を中年太りしたおっさんが着ると、絶対にかっこ悪く見える。
下手をするとバブルのころから保管していた服をそのまま着ているのではないかとさえ見える。

サイズ感は試着してしつこいくらいに確認すべきで、以前にも書いたように、ビッグシルエットTシャツは当方ですらSサイズを選ぶほどだ。

売り場で見ると、今回のユニクロUではそれほど欲しい物がなく、11月に投入されるダウン入りコートに注目している。
当方を含めた多くの人は、通常のダウンジャケットはすでに何枚か持っている。
はっきりというとこれ以上、ブルゾン型のダウンジャケットはよほどの「何か」がないと買う気にはならない。

カジュアルとスーツの兼用を考えると、ブルゾンタイプのダウンジャケットではカバーできない。
通常のウール素材のコートを買えば良いがダウンに比べると保温力が低い。
そうなると、両方を兼ね備えたダウン入りコートが一番理想的だということになる。

ダウン入りコートは何もユニクロUが発明したわけでもなく、何年も前から様々なブランドから発売されている。
個人的には、ザ・ロフトラボのダウンコートが欲しいと思っているが、値段はユニクロUの2倍ほどする。

ちなみに先日、天神橋筋商店街の顔見知りのバッタ屋で3900円の紺色のノーブランドのダウン入りコートを見つけた。
ダウン70%・フェザー30%という内容だが、値段を考えるとこれで十分ではないかとも思っている。

あとはユニクロUで発売されてから、試着してみてサイズ感を確認してから買うか買わないかを決めようと思っている。

今回のユニクロUで印象的だったのは、ウールブレンドジャケットとコートの素材だ。
ウール混の生地だが、かなりシャリっとした表面感の強撚糸使いの綾織りで、通常、学生服とか電鉄の制服とかに使われているようなものである。
好き嫌いの分かれるところだろうと思うが、当方はあまり好きな生地ではない。

そんなわけで、シルエットやサイズ感が確認できていないが、今のところ、ユニクロUでもっとも良さそうなのはダウン入りコートだと思う。

まとめると、

J.W.アンダーソンの原色アイテムは避けたほうが賢明、イネスはトレンチコートと紺ブレが、ユニクロUはダウン入りコートが、イチ押しである。
また売り場で参考の一つにしていただければ甚だ幸いである。

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「数字だけ」を見て失敗したアパレル経営者たちの事例
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ルクアイーレの地下1階をユニクロとジーユーが2分割

 9月15日に大阪梅田のルクアイーレ地下1階にユニクロとジーユーがオープンした。

こう書くと、地下1階に2店舗が入ったと感じるが、実際は地下1階フロアはユニクロとジーユーで2分割されたのである。

この2店舗以外は、カフェが1店舗、小規模な生活雑貨店「ナチュラルキッチン アンド」が1店舗あるだけで、地下1階は実質的にはファーストリテイリングの占有フロアといえる。
2店舗合わせて約1000坪の広さがある。

ルクアイーレの地下1階フロアガイド
3がユニクロで4がジーユー

ちなみに地下1階にあった店舗はほとんど撤退し、オリエンタルトラフィックは他のフロアに移転し、三崎商事のゲラルディーニは撤退した。

これで、JR大阪駅周辺のユニクロ大型店は4店舗目となった。

大丸梅田店、ヨドバシカメラ梅田店、それから茶屋町の路面店である。

これに対して、「他の3店舗は苦戦するのではないか」という声がネット上では聞かれたが、それは現場を見ていない空想でしかないといえるだろう。

オープン当日の夜、8時過ぎにこのルクアイーレ店を見に行った。
ユニクロ店舗なんて腐るほど見ているし、夏秋の端境期でどうしても買いたい商品なんてないから、本当に雰囲気を見に行ったのである。

実際に見に行って驚いた。
地下1階のユニクロ、ジーユーは満員なのである。

はっきり言って、オープン当日に満員になる意味がわからない。
他のファッションブランドなら、希少性だとか物珍しさとかそういうことがあって、「長らく行きたかったが地元に店がなかったからオープン当日に足を運んだ」なんていうファンがいるのは当たり前だが、ユニクロなんて各都心にも複数店舗があり、自宅の近所にも職場の近くにも店がある。

多くの人にとっても、腐るほど見ている店舗だ。
ジーユーはまだユニクロほどの店数はないが、それでも大幅に増えて、都心にも地元にもあることは珍しくない。

また、オープン記念で、ルクアイーレ店だけの珍しい洋服が売っているわけでもない。
特に価値あるノベルティが多数配布されたわけでもない。

なぜ、オープン当日のしかも閉店まであと40分ほどしかない時間帯に満員になるほどに客が足を運ぶのか理解に苦しむ。

当日、ヨドバシカメラ店と大丸梅田店は足を運べなかったが、この後、茶屋町の路面店に移動した。
時刻は8時半前である。
閉店まであと30分強。

にもかかわらず、どんどん入店していくし、外から見えるエスカレーターはどの階層にも人が乗っている。

あと30分ほどしかないのに、これだけ入店するのかと驚かされた。

この日より1か月前のお盆ごろにヨドバシカメラ梅田店7階のユニクロにも足を運んだことがあるが、そのときは、それなりの客入りでにぎわっていた。
決して閑散とはしておらず、レジにも10人くらいは並んでいた。

閑散としていたのは同じフロアのコムサイズムである。
なるほど閉店セールになってしまうはずだと納得した。

ヨドバシカメラ店が今後苦戦するかというとそれはちょっと考えにくい。

というのは、JR大阪駅とついにヨドバシカメラが陸橋でつながったし、現在はグランフロント大阪とも陸橋でつながろうとしている。

つながっていない状態でもそれなりに集客していたヨドバシカメラだから、陸橋がつながればさらに集客は増えるといえる。
7階のユニクロに足を運ぶ人も減ることはないと思う。

大丸梅田店のユニクロの売り場には最近立ち寄っていないので何とも言えないが、大きく売上高を落とすことはないのではないか。

これだけの大型店4店舗がそれぞれ徒歩数分内に共存しているユニクロへの支持というのは、ちょっと想像を絶する。

もはや、そこら辺の旧態依然としたアパレル大手が束になっても勝てない。
そこまで支持される大手アパレルがあるのか?そこまで支持されるブランドを所有しているのか?

「ファッションでは俺たちに一日の長がある」と自負してきただろうが、それとても、ルメールとコラボした「ユニクロU」と「イネス・ド・ラ・フレサンジュ」とのコラボラインに加え、JWアンダーソンとのコラボラインも始まる。

従来のベーシック、トラッドなユニクロ商品に満足できなかった層も取り込みかねないラインナップをそろえつつある。

最近国内ではH&Mが不振になりつつあるといわれている。
H&Mの商品デザインが奇抜だとか商品品質が低いだとかそういう理由はあるにせよ、最大の理由はユニクロとジーユーが我が国市場を押さえているからではないのか。

ベーシック、トラッドはユニクロ
質は落ちるが安いトレンド品はジーユー

で、ある程度は事足りる。

コレクションブランド的なデザイン性の服はZARAで事足りる、となると、H&Mの入る隙間はほとんどない。
フォーエバー21はもっと存在スペースがないだろう。

ユニクロが伸び悩みだとか凋落傾向にあるだとか、昨対の増減のみで語る記事が増えているが、これほどの支持を受けているユニクロの国内基盤はむしろ鉄壁で1年や2年でどうこうなることは考えにくい。

9月15日、夜8時すぎのルクアイーレ地下1階でユニクロのすごさをまざまざと見せつけられた。

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ユニクロより優れた商品は確実に存在する
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ユニクロのイネスのメンズラインを独断と偏見で採点してみた

 9月1日にユニクロのイネス・ド・ラ・フレサンジュのメンズが発売された。

このラインでメンズが発売されるのは初めてとなるので、ちょうど時間があったから商品を店頭に見に行った。
今回は、この商品を見た感想を書いてみたい。

もちろん、個人的な好き嫌いに基づいているのでこの評価が絶対ではない。
商品を買う際の参考になれば幸甚である。
当然、まったく参考にしなくてもよい。
洋服なんてその程度の代物である。

商品の第1印象としては、いわゆる見た目はトラッドベースに欧州テイストを組み込んで上手くまとめていると思う。
だから「見た目」はかなり良いと思う。

商品を一つ一つ見てみると、ちょっと当たり外れが大きいかなあというのが、正直な感想である。
あと、ユニクロUと同じでストレッチ混の素材は一切使われていない。
ストレッチ混に慣れた当方のような人にはあまりお勧めできない。とくにズボンは。

じゃあ、まずは「当たり」「合格点」だと思った商品から挙げていこう。

1、ウールブレンドジャケット

ボタンがシルバーでいわゆる紺ブレ調で使いやすい。
地の紺色はユニクロUでもよく使われる黒に近いダークネイビーで、最近のユニクロはこの色がどうも好きなように感じる。
それとも染色ロットの関係上、莫大な数量を染めているからあちこちのラインに使用しているのだろうか。

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紺ブレといっても差し支えないデザインなのである程度のフォーマルにもカジュアルにも両方使用できる。生地の風合いもまずまずで、定価は9990円なのでいくらか値下がりしたら買おうかと思う。

ちょっと意外だったのが、素材の組成で、ウール40%・綿40%・ポリエステル20%となっている。この手の表面感のフラットなドレスアイテムにウール綿混という組成の生地を使うのは珍しい。
乏しい当方の経験の中ではあまりお目にかかったことがない。

もしかしたら、違う事例もあるのかもしれないが、ご存知ならご教授いただきたい。

ウール綿混のジャケットというと、多いのは、ナチュラル系とかカジュアル系での使用が多く、もっと粗野な風合いが主流だ。

通常の国内アパレルだと、ウールポリエステル混という素材が多い。

2、ウールブレンドチェスターコート

チェスターコートじゃなくて、チェスターフィールドコートだと何度言えば・・・・。

呼び名はさておき、定価12900円という価格は買いやすい。
素材組成はウール55%・ナイロン30%・ポリエステル15%で、この値段でこの組成なら、まあそんなもんだろうと思う。

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ユニクロの通常ラインのカシミヤブレンドチェスターコートが14900円であることを考えると、こちらの方が価格が安い。

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「カシミヤがブレンドされてるじゃないか」と言われるかもしれないが、カシミヤ10%混なんて入っていないのも同然である。

通常版はウール90%・カシミヤ10%の組成なので、2000円の価格差はウールの含有率の差と理解するのがもっとも正解に近いのではないかと思う。

3、カシミヤセーター

定価9990円で、通常のユニクロ版と同じくらいの価格。
見た目もベーシックで普通。
可もなく不可もないという印象。

では次に個人的には絶対に買わないものを挙げてみる。

1、ウールブレンドシャツジャケット

画像だとハウンドトゥース柄(千鳥格子柄)のツイードっぽく映っているが、実際はかなり密度の甘い生地を使用している。
シャツジャケットと名乗っているくらいなので生地は薄い。

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素材組成はウール70%・ポリエステル30%で、着る季節に困る。
真冬だと寒すぎるだろうし、今の時期だと暑すぎる。
当方の体質でいうなら、最高気温が20度前後で湿度は50%以下のときに着用するのが最も適していると思うのだが、そんな時期は年間に何週間もない。

もっと暑くて湿度が高いか、もっと寒いかのどちらかの日が多い。

そして、何より嫌なのが、袖に裏地がないことである。

この生地は密度が甘くてコシがないわりに、少し起毛感があり、摩擦力が高い。
要するにセーターやトレーナーの上から着用するときには袖のすべりが悪いということになる。
袖のすべりが悪い上着を脱いだり着たりするのはひどいストレスになる。

値下がりしても絶対に買わない。

ユニクロは以前にもこれに近い商品を作ったことがある。
ウールが高騰していた2012年とかそのあたりだったと記憶している。
その当時はシャツジャケットではなく、ライトジャケットと名乗っていたが、商品の作りはいわゆる芯地などを省いたシャツジャケットである。

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おそらく、ウールの価格が高騰していたために、ウールの使用量を抑えた商品として開発されたのだと思う。
素材組成はウール100%で、ウールガーゼ生地に起毛加工を施し、それらしく見せている。

が、かなり薄い生地なのでこれも着る時期を選ぶ。
その中途半端さがたたったのか、最終的に1990円とか990円に投げ売りされていたので、思わず買ってしまった。

しかし、このライトジャケットはイネスのシャツジャケットより優れている。袖にポリエステルの裏地が貼り付けられているところである。

だから厚手のセーターの上から着用するときにも袖のすべりが良いし、着脱がスムーズである。

この点が気に入っていまだに捨てずに残している。

今回のイネスラインの中で最も劣っていると個人的に見ているのがこのシャツジャケットで、ライトジャケットよりも作り方は劣化している。
これを9990円で買うことはあり得ない。むしろタダでも要らないくらいだ。

2、ツイードジャケット

画像を見る限り、すごくかっこよく見える。
しかし、実物はそれほどでもない。

素材組成はウール80%・ナイロン20%でシャツジャケットと同じくかなり糸の密度が低いツイード生地を使っている。

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画像はかなりしっかりした生地に見えるが、実際はそんなことはない。
かなり甘くてコシがない。

従来のツイードを想像して触るとがっかりするだろう。

これも2005年ごろだが、ユニクロは店舗限定でツイードジャケットを作っていた。
このころのユニクロのツイードはイネスジャケットよりも糸の密度が高い。

IMG_3362

だから今でも持っていてたまに着用する。
ただし、このころのジャケットはディオールオムの影響が全盛だった時期でかなりシルエットがタイトである。そのため、ジャケットの下にセーターが着にくい。

だが、このイネスのジャケットと比べると物がしっかりしているので、肥満しないように気を付けながら着用したい。

定価9990円は微妙だ。まあ、シャツジャケットよりはずっとマシだが。

このほかのアイテムは可もなく不可もなくというのが個人的な見方である。

シャツも普通、ネルシャツは生地が薄めで重ね着には適している。
ネルシャツと言っているが、本当は起毛加工を施したビエラ素材のシャツというべきである。
ほとんどのブランドがわざとなのかそうでないのかわからないが、ネルと起毛したビエラを混同して使用している。

コーデュロイジャケットとセットアップのパンツも見た目重視なら買っても良いかもしれない。
ただしノンストレッチなので細めのシルエットのズボンはちょっと動きにくさを感じるだろう。

ウールブレンドジャケット(紺ブレ)と対になるセットアップ用パンツもノンストレッチである。しかも細身シルエットだ。

ストレッチ素材に慣れてしまったので、ノンストレッチの細身シルエットのズボンは投げ売りされても絶対に買わない。タダでも要らない。

今回のイネスのメンズラインは、見た目は良いが、当たりはずれが大きいので、総合すると100点満点中で、50点というのが個人的な意見である。

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鎌倉シャツのビジネスモデルが秀逸なポイントを考えてみた
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ユニクロ対ZARA
齊藤 孝浩
日本経済新聞出版社
2014-11-20


かつての大手アパレルの理想を実現したのはユニクロだった

 苦戦を強いられているアパレルショップは多い。
基本的にオーバーストアで、供給量が需要を上回っているので売れにくい。
また、低価格品の見た目が良くなったことから、単なるデザイン勝負では高価格ブランドは売れにくくなった。

さらにネット通販市場の拡大で、実店舗の売上高がさらに減る傾向にある。
この傾向が進むとアメリカのように大規模閉店ラッシュとなるが、いずれ日本もそれに近い状態になると考えられる、

その一方で、少数ながら売れているショップもある。
不振アパレルの中にも好調店舗もある。

苦戦店舗の中にあって、確実に「売る」販売員もいる。

いろいろとシステムだ、コーディネイト提案だ、トレンド先取りだ、などと言われてきたが、結局のところ、現在売れている店舗は多くの場合、「人」に客が付いているといえる。

いわゆる「売る」販売員がいて、その販売員に客が付いているということである。

様々なコンサルタントが言い方やアプローチの仕方が異なるが、つまるところ同じ内容のことを言っている。
それは、「販売員や店長によるファンづくりが重要」ということである。

これに対して、かつて大手アパレルは隆盛を誇っていたころ

「人に付けるな、店のファン、ブランドのファンを創れ」

と言っていたそうだ。

坪井秀樹さんのブログでそんなことを振り返っておられる。

http://tosboi.com/business_theory/7209/

たしかに企業体として考えるなら、不確かな「販売員」に客が付くよりも、ブランドそのもの、店自体に客が付く方が確実性が高い。
万が一その販売員が退職したり、何らかの理由で長期休職したりすれば、人に客が付いている場合だと、店の売上高は激減してしまう。

しかし、店やブランドそのものにファンが付いているなら、スター販売員がいなくなっても売上高はほとんど減らない。

アパレル企業、アパレルブランドとしてはそれを目指すことは当然といえる。
自分がアパレル企業の社長でもそれを目指す。

時は流れて、そう言っていた大手アパレル各社はどうなっているだろうか。
かつての大手アパレル各社は厳しい経営状態に追い込まれている。
めんどくさいから一々社名は出さないが、経済面をにぎわしている各社のことである。

苦戦の大手アパレル各社の店でも中には好調店もある。
そういう好調店の多くは、販売員や店長に客が付いており、結局、旧大手アパレル各社は自分たちが掲げた理想は実現できないまま、次のやり方を模索せざるを得なくなってしまった。

旧大手が掲げた理想を実現しているブランドがある。

旧大手が目の仇?にしているユニクロであり、ジーユーである。

ユニクロもジーユーも国内では圧倒的な販売力を誇っているが、店員にファンが付いているとは聞いたことも見たこともない。

店員が変わろうが店長が異動になろうが販売力は変わらない。
そもそもユニクロやジーユーの店員や店長の名前なんてレジで行列を作っている客は誰一人として知らないだろう。

ユニクロとジーユーだけは、人に客が付いているのではなく、店やブランドに客が付いているのである。
かつての大手アパレル各社が掲げた理想を実現したのはユニクロとジーユーだったということは何とも皮肉な結果といえる。

こういう部分を見ても、旧大手アパレル各社は今のままではユニクロに絶対に勝てないということがわかる。

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誰がアパレルを殺すのか
杉原 淳一
日経BP社
2017-05-25


今春夏のユニクロのGジャンと手持ちのGAPのGジャンを比べてみた

 今日もお気楽に。
ユニクロは基本的に火曜日と金曜日にお買い得品が発生する。
期間限定値引きはこのタイミングだし、入荷後一定期間が過ぎてからの値引きも火曜日に行われることが多い。

ユニクロの値下がり品をウェブで確認するのが毎週火曜日の習慣になってしまった。

2月17日に店頭投入されたユニクロUがさっそく値下げされている(期間限定値引きではなく)が、まだまだ下がるのではないかと思って華麗にスルーした。

今回買ったのは、定価3990円(税抜き)から2990円に期間限定値下げされたGジャンである。

このGジャンはストレッチデニム生地で、かなり生地が薄い。
往年のナショナルブランドのGジャンの愛用者ならきっと「許せん」と怒り出すレベルの薄さである。

ただ、ユニクロの商品だけではなく、全般的に各ブランドのGジャン、デニムシャツは生地が薄くなっており、オッサンたる自分はなんだか釈然としない部分もある。
もしかしたら、老害が始まっているのかもしれない。

無印良品も今春の新作として、ちょっと変わったデザインのGジャンを発売しているが、ユニクロと同じくらい薄手の生地でストレッチ混である。

とりあえず、店頭で試着してみて購入したのだが、どうも丈が短いと感じる。

ちょっとGジャンの変遷をおさらいすると、

その昔、90年代後半ごろまでは、丈が短くアームホールが広くて袖が太かった。
この形が似合うのは相当容姿・体型に恵まれた人に限られていた。

2003年・2004年ごろから洋服のデザインが細身にシフトすると、Gジャンも当然細身になった。
身幅も細くてアームホールも狭くなった。
その分、着丈が長くなった。
どうだろうか、4~5センチくらいは長くなったのではないかと思う。

昔のGジャンはズボンのベルトの上までしか着丈がなかったが、2000年以降のGジャンはベルトのラインが隠れるくらいに長くなっている。
Gジャンだけではなく、カジュアルブルゾンはすべて細く長くモデルチェンジした。

そういう2000年代のGジャンと比べて今回のユニクロのGジャンは丈が短く、昔の丈の長さくらいしかない。

これはトレンドに合わせたのだろうか。

5年位前に買った手持ちのGAPのGジャンと比較してみた。

コーンデニム使用と謳われたGAPのGジャンは定価が12000円くらいしたにもかかわらず、2900円くらいまで値下げされたので買った。記憶が定かではないがもしかすると1900円で買ったかもしれない。

生地は厚手で、ストレッチは入っていない。
触った感触だとどうだろうか、10オンスは越えているくらいの重量感がある。
11オンス~12オンスくらいの間の重さだと思うのだが、この重さは最近だとズボンくらいにしか採用されなくなっている。

ユニクロのGジャンはおそらく10オンス未満だろう。
一昔前ならデニムシャツ向けの生地として扱われたくらいの重さしかない。

ユニクロのGジャンを上にして重ねてみると、やっぱり4センチくらいは丈が短い。(画像参照)

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(上がユニクロ、下がGAP 赤い矢印の分だけGAPの着丈が長い)

あと、着比べた感想でいうと、同じLサイズながらGAPはかなり細身でタイトなシルエットだが、ユニクロは身幅とアームホールにゆとりがある。昔のGジャンに近いシルエットとなっているが、もちろん昔のままではない。

シルエットとしてはGAPの方が好きだが、何ぶん、生地が重くて固いのでなかなか着用が難しい。

上にも中にも重ね着をすることが難しいので春と秋くらいしか着用機会がない。

しかし、春と秋も寒い日や暑い日が多く、いわゆる「春・秋らしい気温」が少ないので、さらに着用機会は少なかった。

かっこいいんだけど着用機会が少ないという何とも手に余る商品だった。

一方、ユニクロのGジャンは生地が薄いので重ね着しやすい。
とくに昨年秋冬に各ブランドが打ち出していたGジャンの上にコートを重ねるという着こなしは、この程度の薄さでないと無理になる。

生地が薄いから初夏までTシャツの上に羽織ることが可能だろう。GAPだと生地が厚いため、初夏に着ると暑くなり過ぎた。

そのあたりを考えるとユニクロの今春夏向けのGジャンの方が汎用性が高いのかもしれない。

色は濃紺ワンウォッシュにした。

あと、一つ気になったのだが、GAPのGジャンは肩のラインが前に付いているのに対して、ユニクロのGジャンはかなり後ろに付いている。パターンづくりのことは分からないのだが、これはどういう目的なのだろうか。
もし、詳しい方がおられたら解説していただきたい。

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(肩のラインが前に付いているGAP)

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(肩のラインが後ろに付いているユニクロ。前からでは肩のラインがほとんど見えない)

一概には言えないが、顔の汚い風采の上がらないオッサンが薄く色落ちしたデニムを着ていると、汚らしく見える場合が多い。濃紺はそれなりに綺麗に見える。
顔の汚い風采の上がらないオッサンである筆者は迷わず濃紺を選んだ。

それにしても、この年になると年々「固い素材」を使った服は着たくなくなる。
消費者には「重い服」を嫌う人は多いのだが、手に持ったときの重さと着用時の重さは実は正比例しない。
着用した場合、重さが肩幅に重量が分散するのでそこまで重く感じない場合が多い。

しかし、固いのは違う。いくら頑張っても固い物は固いままだ。

「オシャレは我慢」といわれるが、50歳手前になると最早、我慢するのも嫌になり、我慢するくらいならオシャレでない方を選ぶ。

デニム生地やメルトン生地、ツイードなどがどんどん薄くなっているのは原材料費のコスト削減という目的もあるのだろうが、なによりも「固い生地」を嫌う消費者が増えているからではないだろうか。

そんなわけでユニクロのGジャンでいろいろとコーディネイトを試してみたいと思う。




ユニクロが工場リストを公開~先手を取られっぱなしの既存アパレル~

 やっぱりこの話題に言及しないわけにはいかないだろう。

ユニクロ商品の8割占める取引先工場の情報開示
http://www.senken.co.jp/news/management/fr-uniqro-sustainability-170228/

ファーストリテイリングがユニクロの生産工場を情報開示したという内容だ。

ファーストリテイリングのサイトにはそのリストがある。

http://www.fastretailing.com/jp/sustainability/business/pdf/UniqloCorePartnerFactoryList.pdf

日本の工場も3社含まれている。

今後はジーユーの工場も開示する方針だとされている。

この情報開示は、世界的な潮流を受けてのことでファーストリテイリングはそれに追随したといえる。
それでもやはり機を見るに敏だという感想しかない。

さらにいうなら、「ランチェスターの法則」に教科書通りに則っているともいえる。

国内でいうと例えばファクトリエなどの小規模・零細企業が、生産工場の開示を始めた。
これは「ランチェスターの法則」でいうところの一点突破による「小集団の勝ち方」である。

ユニクロという「大集団」の採るべき正しい方針は、「圧倒的物量を生かしてそれに追随する」である。

だから教科書通りにユニクロは追随した。

しかもそのタイミングは、早いとは決して言えないが、遅いとも言えない絶妙のタイミングだといえる。
一方、「物作りガー」とか声高に叫んでいる百貨店向け・専門店向けアパレルや大手セレクトショップはいまだに生産工場、生産業者をほとんど開示していない。

「小集団」が先行したのは事実だが、ユニクロという大集団は、既存アパレルよりは先行者になってしまった。

ユニクロと既存のアパレル企業、どちらがフェアに消費者には映るだろうか。
圧倒的にユニクロがフェアに映るのではないか。

既存アパレル企業はイメージ戦略ですらユニクロの後塵を拝することになってしまったということである。

資本力でも価格競争でも、最近では品質でも勝てなくなった既存アパレル企業は、イメージですら勝てないという状況に追い込まれ、今後、ユニクロとの差はますます広がることになるだろう。

彼らが唯一しがみついている「デザイン性」やら「センス」だってそのうちにユニクロに負けるだろう。
なぜなら「デザイン性」も「センス」も金で買えるからだ。
「デザイン力」「センス」のあるデザイナー、企画マンを雇用、契約して、生産チーム・販売チームときちんと連動させれば、それは実現可能だからだ。

既存アパレル各社は、ユニクロに先手を取られっぱなしで、この20年間対応は常に後手だった。
まさしく「先んずれば人を制す」である。
このまま、既存アパレル各社は負け続けることになるだろう。

国内の繊維の製造加工業者が自立化を望みながら、情報発信に及び腰な姿勢は、長年に渡る大手アパレル各社の「生産工場を秘匿する」という慣習が招いた側面がある。

製造加工業者のおっちゃんと話すと、「公表すると取引先の〇〇社から怒られる」という言葉が頻繁に飛び出す。かつて、大手アパレル・有名ブランドはこぞって生産先を隠した。

理由の一つとして、生産業者が公表されると、企画やデザインをパクられると考えたからだ。
しかし、普通に尋ね歩くと、「〇〇さんは××ブランドに納入している」とか「〇〇さんは××ブランド向けの生地を生産している」(〇〇は社名・工場名)という話は簡単に耳に飛び込んでくる。

それだけ、各社・各工場ともうわさが回るのが早いということである。

だから、もし、新規参入者がそういう情報を集めようと思うと比較的簡単に収集できるから、隠す意味というのは本当はあまりないのが実態である。

逆に長年に渡るそういうあまり意味のない慣習が、情報発信・情報開示することに消極的な製造加工業者を多数作りだしてしまった。

これが製造加工業者の自立化が成功しない一つの理由にもつながっている。

これまでにも増して追い込まれてしまった既存アパレル各社は、どのように対応するのだろうか。
奮起して活動を一変させることを期待したいが、正直、今の業界人では目に見えた対応はできないだろうと見ている。
既存アパレル各社は緩やかに座して死を待つのみということになるのではないか。





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