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女性ファッション雑誌の凋落 販売部数17万部強でリンネルが首位になるレベル

最近、さっぱり興味が湧かなくなったものの一つにファッション雑誌がある。

当方はもともとレディースのファッション雑誌にはまったく興味がなく、仕事以外では読むこともなかった。
一方、ファッション雑誌を読むのは完全に娯楽であり趣味だと思っていたことと、大学を卒業するまでまったくファッションに興味がなかったため、メンズのファッション雑誌は興味を持って読んでいた。
2008年ごろまでは。

このころになると、メンズのファッションのコーディネイト例も一通り全部覚えてしまったから、徐々に買う頻度が減っていった。
94年頃からとすると足掛け15年に渡って毎月メンズのファッション雑誌を買っていた。

2009年以降は毎月は買わなくなり、ネタ枯れで街頭スナップばかりになる2月発売号と8月発売号は買わなくなった。
街頭スナップばかりのページが延々と続くから読む意味も感じなかったからだ。

2011年を越えるころからは、年に何冊かしか買わなくなり、2015年以降はまったく買わなくなった。
発売日に本屋でパラパラと一通りめくるだけ、散髪屋で髪を切ってもらいながら備え付けのを読むだけ、というふうになって今に至る。

メンズのファッション雑誌の発行部数・販売部数ともに恐ろしいことになっているのだろうと思う。

発行部数を調べたい方はここで調べると良いだろう。

https://www.j-magazine.or.jp/

最新データは2017年10月~12月の3か月間の平均データが掲載されているが、案の定、メンズファッション誌は壊滅的な数字が掲載されている。

男性ヤングという分類のファッション雑誌を見ると、メンズノンノ、メンズジョーカー、ポパイの3誌の発行部数が掲載されているが、すべて10万部ぎりぎりである。
2018年年末までには3誌とも10万部を割り込むことになるだろう。

発行部数が10万部なのだから、販売部数は当然それよりも少ない。
月刊誌は書店でなるべく売り切れが出ないように、販売部数よりも少し多めに印刷する。
少し多めに印刷して10万部なのだから、実際の販売部数は当然10万部未満ということになる。
個人的に推測すれば恐らくは5万~7万部あたりが販売部数ということになるのではないだろうか。

メンズノンノ、メンズジョーカーあたりは2011年頃と比べると3万~5万部は発行部数が減っている。
恐らく販売部数はもっと減っているのだろう。

5~6年前に12万部~13万部くらいを発行していた「ライトニング」はついに6万4000部となっており、ほぼ半減している。

メンズファッション雑誌で唯一発行部数が落ちずに踏ん張っているのが、サファリで以前と変わらず18万部をキープしている。
同年代向けのファッション雑誌(レオンやウォモ、メンズEXなど)は3万~7万部の発行部数しかないことを考えると、サファリの発行部数はメンズファッション雑誌の中では断トツである。

さて、メンズファッション雑誌よりはマシだが女性ファッション雑誌各誌もその凋落ぶりは悲惨といえる。

つい先日、こんな報道があった。

日本の女性ファッション雑誌販売部数ランキング、「リンネル」が初の1位に
https://www.fashionsnap.com/article/2018-05-11/abc-liniere/

一般社団法人日本ABC協会が2017年下半期(2017年7月~12月)の雑誌販売部数を発表し、宝島社の「リンネル」が月刊女性ファッション雑誌の販売部数において初の1位を獲得した。リンネルが17万7,052部

とのことだ。

発行部数と販売部数だと販売部数の方が少なくなるのだが、それでもたった17万部で1位になるということは、他の女性ファッション雑誌の販売部数がいかに少ないかということを物語っている。

ちなみに2010年にはこんな記事が掲載されている。

出版不況もどこ吹く風?
雑誌「sweet」が100万部を突破できた宝島社の秘密
http://diamond.jp/articles/-/9063

くどいようだが、発行部数と販売部数は異なり、販売部数の方が発行部数よりも少ない。
8年前に発行部数が100万部を越えていた「sweet」は、8年後の現在の販売部数はリンネルよりも少ない17万5,844部しかない。

発行部数はこれよりも当然もう少し多いだろうが、それでも何十万部も多いわけではない。
販売部数に比して異様に発行部数を多くすると、それは大手新聞各社が指摘されている「押し紙」と同様になってしまう。

媒体力を上げ底にするために、販売部数に比して異様に発行部数を増やすという水増しだ。

「発行部数が多いから媒体力が衰えておらず、だから広告費を高く設定しますよ」

という目的がある。
しかし、雑誌の場合はそこまで水増しはされていない。
sweetの場合、多くても水増しは10万部程度ではないかと個人的には推測する。

だとするとsweetの発行部数は30万部前後ではないだろうか。

発行部数という同じ基準で考えた場合、sweetは8年間で3分の1程度にまで縮小しているといえる。

これは他の雑誌も同様だろう。リンネルは昔から地味な雑誌なので落差は少ないと考えられるが、赤文字だの青文字だのエビちゃんだモエちゃんだと囃し立てられてブームになった各雑誌の落差はおそらくsweetと同等かそれ以上の落ち込みだと考えられる。

これだけ媒体力が落ち込んでしまうと、ファッション雑誌に広告掲載する意味もほぼなくなってしまう。
また、広報目的として商品やブランドを掲載する意味もほぼなくなってしまう。

今後、アパレル企業やブランドのプレス担当者や広報担当者はこれまでの「ファッション雑誌一辺倒」という姿勢では仕事ができなくなり、ファッション雑誌一辺倒という能力しか持たないプレス担当者や広報担当者はこれから生き残れないと見ている。

生き残れるプレス担当者・広報担当者はファッション雑誌ではなく、紙・ウェブを問わず活字メディアに強い人物、ウェブメディアに強い人物になるだろう。

ファッション雑誌編集者と酒を飲んで休日に遊ぶことで親睦を深めて、それで掲載を勝ち取ってきたようなプレス担当者・広報担当者はほぼ必要なくなってしまうのではないか。
この辺りもアパレル業界・ファッション業界に起きた地殻変動の一つといえる。

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原料と直結した数少ないアパレル製品の一つがジーンズ ~エドウインはどうなる?~
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リンネルをどうぞ

ポップアップストアのメリットとデメリットはここ

どんなものでもそうだが必ずメリットとデメリットがある。
ポップアップストア(期間限定出店)も同じだ。メリットとデメリットがある。

先日、岡山県津山市のネクタイ縫製工場が自社ネクタイブランド「笏の音」のポップアップストアを阪急メンズ館うめだで開催していたので、覗きに行ってきた。
フェイスブックでお友達になっていたので、一度お会いしようと思ったわけだ。
1万円のネクタイが1日に10本以上売れ続けたということで成功といえるだろう。

「笏の音」のネクタイ

ポップアップストアのメリットとしては、無名ブランドや知名度の低いブランドが有名な商業施設で開催することで、知名度を高められるという点がある。

そういう意味では広告宣伝費と等しい。
通常の広告宣伝費はカネを払いっぱなしだが、ポップアップストアの場合は、物が売れれば収入となる。
そのため通常の広告宣伝よりも費用的に美味しくなる可能性がある。

常設店を作れば、家賃や人件費が必要になるが、1週間とか2週間くらいのポップアップストアなら自社スタッフで何とか回せるため、人件費はそこまで増えない。また家賃も必要ない。

一方でデメリットもある。
ポップアップストアではそれほど大幅な利益を稼ぐことは難しい。
ポップアップストアは家賃が必要ない代わりに、必ず売上高の何%を施設側に徴収される。
百貨店の場合は通常だとだいたい30~40%を徴収される。

10万円売れたとしても3万~4万円は百貨店に取られる。

よほど、超人気ブランドで百貨店が頼み込んでポップアップを開催してもらった場合はこの%はもっと低くなるが、通常のブランドだとだいたいそれくらいである。
1日に10万売れて、それが7日間開催だったとすると、売上高は70万円になる。
このうち百貨店は21万~28万円をもっていくというわけで、出店者の手元には42万~49万円しか残らないということになる。

この49万円で売れた商品の仕入れ代や製造費、店頭で立ってくれたスタッフの人件費・交通費・宿泊費、あとはこまごまとした備品などを支払うから純粋な儲けはさらに減る。

だからポップアップストアで大幅な利益を稼ぐことは基本的には難しい。

この構造を理解した上でポップアップストア出店するならそれはそれで一つの販売戦略といえる。
笏の音の場合は、ブランドスタートから間もないため、広告宣伝活動の一環とすれば大いにポップアップストアのメリットは大いにある。

しかし、すでに知名度が高いブランドはポップアップストアを頻繁に開催するメリットは少ない。
まあ、年に1回か2回くらいやるのは気分転換にもなって良いが、年間何十回もやる意味は、収益面から考えるとほとんどない。

逆にそこまで頻繁にやるなら、通常のスタッフをローテーションで回すことは難しく、それ専用のスタッフを雇ったり、販売代行社と契約しなくてはならなくなり、さらに収益面は圧迫される。

なんでこんなことをクドクド書いているのかというと、先日読んだ記事に疑問を感じたからだ。

1万円でバカ売れ 神戸発バレエ靴の戦略
http://president.jp/articles/-/24758

神戸のクロシェという企業が発売しているファルファーレという1万円のバレエシューズが年間8万足も売れるという内容である。

3万円以上か4000円以下かの2極化しているバレエシューズ市場に1万円という中間価格帯で提案した結果、年間8万足を売るまでに成長した。

ファッション用品不況の現状では、参考になることの多い内容だが、個人的にはこのクロシェのやり方はオンリーワンの要素が強く、真似ても失敗する可能性が高いと見ている。
参考にするのは構わないが、真に受けて真似るとひどいことになるだろう。

まず、中間価格帯商品のあえての投入という部分だが、個人的には意味のあることだとは思うが、現実的には攻め方を間違えて苦戦している中間価格帯ブランドは山のようにある。
エドウインなんかもその一つといえる。

日本製で8000円くらいのジーンズは本来価値があると思うが、それが高い評価を受けているかというとそうでもない。

また

ファルファーレには常設店舗はない。そのかわりにファルファーレは、1週間単位でポップアップストアを全国の各所で次々に出店していく。その数は年間で100以上にのぼる。これで年間8万足という販売の根幹を確保する。

とあるが、年間の3分の1もポップアップストアを開催するには、それ相応の投資が必要となる。
まず人件費である。本社スタッフをローテーションで投入して賄うことは100回以上もやっていれば不可能だ。
ポップアップ専門スタッフを雇っているか、そういう派遣と契約しているかだろう。クロシェはこれで成功したとされているが、他社が真似ても確実に成果が出るとは限らない。
むしろ、上でも書いたように収益は低いから早々にポップアップ疲れを起こすだろう。
労多くして益少なしの事態に陥る。

その昔、付き合いのあった独立したばかりのデザイナーズバッグブランドがあった。
彼らはブランドスタート当初はポップアップストアを頻繁に開催していた(とはいえ年間100回もやっていない)が、3年目か5年目くらいからポップアップストアを大幅に減らした。
理由は収益が悪いからである。いくらシャカリキに開催したって大きな利益は確保できなかったからだ。

これが現実である。

これまでと違うやり方として参考にするのは良いが、クロシェをそのまま真似ることはかなり危険度が高いといえる。

あと、この記事の書き方には疑問がある。
クロシェを中堅企業としているが、年間14億円程度の売上高では中堅企業とは言わない。
最低でも20億~30億円は必要だろう。

また、見出しの「バカ売れ」も陳腐で逆にうさん臭さを煽っている。
この手の経済雑誌や経済紙の記事は「バカ売れ」という表現を多用する。
しかしその実態の多くは、数量が少なかったり、数量自体が明示されていなかったりする。
クロシェの8万足は売れているといえるが、バカ売れという見出しは本当にバカっぽくしか見えないので、媒体側はあまり使わない方が良いのではないかと思う。

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5年後ダメになっているアパレルを3つ挙げてみたよ
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こんな感じの靴らしい。

ZOZOはそれほど大衆に知られていないし支持もされていない

物事を考える場合いはミクロな視点とマクロな視点が必要になる。
ミクロとマクロが両輪で必要なのは何も経済学だけのことではない。

衣料品業界だってミクロとマクロがある。
業界人の多くが注目しているのはたいていがミクロな現象である場合が多い。

これが80年代とか90年代なら、それこそ、わけのわからん業界人が注目したといわれるちっぽけな裏原宿の店がブームになることも珍しくなかった。
当時はミクロな視点がマクロっぽい(完全なるマクロでもない)ブームを引き起こすこともあった。
しかし、2005年以降はそういうブームはほとんど起きなくなった。

あるとすれば、最初からマクロ狙いのヒートテックブームやウルトラライトダウンブームくらいだろうか。
夏場の男性の超短い靴下のフットカバーも着用人口が多いからマクロブームといえるが、これはアイテムがブームであって、特定のブランドがブームであるわけではない。

〇〇ブランドのフットカバーでなくてはダメ!

そんな買い方をする人はいない。ブランドがどこだろうが、脱げにくければそれで良いのである。
その観点からいけば、脱げにくく安いのはグンゼと無印良品が双璧といえる。
グンゼの自社ブランド、トゥシェやボディワイルドは2足で1000円未満だし、無印良品は3足990円だ。しかも無印良品のは日本製だ。
グンゼのは定価が990円くらいだが、値引きで2足500円台になることもある。

この2ブランドがあれば、ほかのフットカバーはカネがもったいなくてちょっと買えなくなる。

それは置いておいて、まあ、最近の衣料品業界の業界人が注目する事象は影響力がミクロにとどまることが多いと感じる。
このあたりも衣料品業界、ファッション業界の影響力が下がった、あるいは業界への注目度が低下していることの現れではないかとも思う。

さて、現在、業界は猫も杓子もアホの一つ覚えみたいに「ネット通販」「EC強化」である。
その成功事例として、業界人とメディア、スタートアップ界隈の騒ぎ屋どもが注目するのが、スタートトゥデイが展開するZOZOTOWNであり、それに付随した各種サービスだ。

しかし、その注目は所詮はミクロな現象でしかないと当方は感じている。
盛り上がっているのは業界人だけ、そんな印象でしかない。

以前にネット通販についてのアンケート調査をこのブログで紹介した。

ファッション性が高くて高価格な服はインターネット通販では売れにくい
http://minamimitsuhiro.info/archives/2242.html

この中で、アンケート調査の結果を引用した。

 

その消費者アンケートによると、衣料品を購入した通販サイトの圧倒的1位(22%)はユニクロである。
二位が半分以下の9・9%でニッセン、三位が僅差の9・8%でセシールであり、業界人が大好きなZOZOTOWNは9・3%でベルメゾン(千趣会)と同率四位でしかない。

一般大衆にいかにZOZOTOWNの知名度が低いか、いかに支持されていないかがわかる。

ユニクロの半分以下というのが本当にその事実を示している。

そして、スタートアップ界隈の騒ぎ屋どもとイシキタカイ系が注目しているゾゾスーツだが、これも知名度は低い。
極めてミクロにしか注目されていないといえる。
それをまとめたアンケートがこちらだ。

「ZOZOスーツ」認知率33%、Instagramでファッション情報入手するのは22%
https://netshop.impress.co.jp/node/5253

ZOZOSUIT」を「利用したことがある」と答えた割合は1.6%。「利用したことはないが知っている」は16.4%、「名前は聞いたことがある」は15.2%だった。回答者全体から「知らない」(66.8%)の割合を除いた認知率は33.2%。

とのことで、67%の人間はゾゾスーツの存在すら知らないのである。
これがマクロの正しい反応である。業界人やスタートアップ界隈の騒ぎ屋どもがいかにニッチな嗜好なのかがよくわかるではないか。

しかもまだほとんどの人間の手元にしか届いていないはずのゾゾスーツを利用したことがあると答えている1・6%という数字は盛っているのではないかとさえ思う。
もし、盛っているとなると、ゾゾスーツの認知度はもう少し低くなる。まあ1%くらいの話だが。

実情は68%くらいの人間がその存在を知らないというところだろう。

この結果に立脚すると、最近、メディアやスタートアップ界隈の騒ぎ屋どもが煽っているように、「ゾゾがユニクロに取って代わる」なんていうことは短期的にはほとんど可能性はゼロといえる。

知名度も利用者数もユニクロの半分以下であり、これが現在のゾゾへの評価である。
そんな程度の存在が発売したPBごときでユニクロの牙城が崩されることは短期的にはない。
あったとしてもそれは10年後~20年後のことだろう。そのときまでゾゾが存在していればの話だが。

某ブランドのネット担当者が、「ゾゾのスタッフは本気でユニクロ追撃を狙ってますよ」と言っていたが、スタッフは白昼夢か幻覚でも見ているのだろう。

現時点においては、ゾゾはマス化しておらず、ニッチな存在であり、これがユニクロほどの存在になることはちょっと考えにくいと言わなくてはならない。
そのため当方はゾゾを極めて冷ややかにしか眺めていない。

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「知名度主義」の人材起用がアパレル業界を低迷させている
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まだ読んでない人はこちらもどうぞ。ちきりんの推薦文は要らんけど。(笑)

スニーカービズってなんで私服警官みたいな服装を提案してんの?提案する側はアホなの?

健康増進のためにビジネスでもスニーカー着用というスニーカービズが提唱されているが、意味がわからない展開になっている。

提唱した行政はもとから服装のことなんてちっともわかっていないのは当然として、受けている衣料品業界、靴業界もなぜか「本来は」服装のプロであるはずが、ネクタイ着用のかっちりとしたスーツにナイキやニューバランスなどのオーソドックスなスニーカーを合わせようとしていたり、それを見てファッソニスタたちは「合わない」と叫んでいたりする。
およそ「プロ」とは思えない動向ばかりである。

もちろん、革靴よりはスニーカーの方が歩きやすく足が疲れにくいことは言うまでもない。
また革底の革靴よりもゴム底の革靴の方が疲れにくく機能性が高いことも言うまでもない。

現在、多くのビジネスマンが革底の革靴ではなく、ゴム底の革靴を履いているのは極めて当然といえる。
本来の「スニーカービズ」はこれをさらに進めるべきであり、「スニーカー」にこだわる必要はまったくない。
ゴム底のクッション性をさらに高めるとか、アッパーの革(合皮も含む)をさらにソフトにするとか、そういう工夫で達成できる。

しかし、プロであるはずの受け手が提唱するのは、選挙運動中の政治家か私服警官みたいなスーツ+ネクタイ+スポーツシューズである。
ちょっと頭がおかしいのではないかと思う。

端的に提示してくれているのが、このセシールのページなので紹介してみたい。
画像もいくつかお借りする。

https://www.cecile.co.jp/sc/sneakers/

これらはどう見ても巡回中の私服警官かブレザーが制服の高校生にしか見えない。また手提げのスポーツバッグっぽい鞄が高校生感を10倍増ししている。
仮にもファッションを販売する会社がこの程度の提案力しかないから服もファッションも売れないのではないかと思う。
何もセシールだけのことではない。同様の提案をしている衣料品、ファッション企業は掃いて捨てるほどある。

この手のナイキ、アディダス、ニューバランスなどのスポーツシューズに合わせるなら、正絹布帛のネクタイまで締めるべきではない。
スーツはそのままとして、インナーはTシャツやタートルネックなどのカジュアルアイテムを合わせ、ズボンの裾は短めに切るかロールアップするかすべきである。
こうすれば、カジュアルなおしゃれセットアップになるが、この服装だと出版やアパレルなどの企業なら問題ないかもしれないが、ゼネコンや金融などのお堅い職場では叱責される。

出版やアパレルなどの服装規定の緩い職場の服装をさらに緩くさせるのが目的ではなく、お堅い職場に勤める人の健康増進を考えるなら、私服警官ルックなんて推奨すべきでもないし、政府が認可すべきでもない。

例えば、見た目は限りなく革靴に近いが、クッション性や機能性は限りなくスニーカーに近い靴を推奨すべきだし、業界はそういう物を提案すべきで、業界が先んじてなんらスタイリッシュではない私服警官ルックを推奨するというのは「プロ」としていかがなものか。

例えば、アシックス商事が展開する「テクシーリュクス」というシリーズがある。

https://www.asics-trading.co.jp/brand/texcy_luxe/

画像を一つお借りすると、こういう具合である。

これなら、普通のゴム底革靴にしか見えないから金融などのお堅いスーツにも合わせても違和感はない。
決して私服警官には見えない。

もちろんこのほかにもさまざまなブランドがこういう機能性革靴を打ち出している。
あんまり認知されていないが。

行政に服装のことを期待する気なんてさらさらないが、衣料品・靴業界はこういう物を提案、開発すべきで、無理やりに私服警官ルックを「イケてる」と吹聴するのはプロとしての意識があまりにも低いのではないか。

また、ファッション雑誌を除くメディア関係者も極めて服装に疎い人が多いから、私服警官ルックに少し疑問を感じながらも報道してしまう。

とはいうものの、快適な商材に需要が流れるのも事実で、正統派とされる革底の革靴の着用者が減るのは極めて当然である。
クッション性がない上に、雨の日は底から水が染みこんでくる。
「欧米デワー」の出羽守どもや「本物ガー」が何を言おうと知ったこっちゃない。
こんな不便な靴は履きたくない。しかも価格は高い。

それなら安価でクッション性がまだましで底から水も染みこんでこないゴム底の革靴を履いた方が一億倍ましだ。

しかし、ゴム底の革靴も従来のマス需要に安住しすぎてきたのではないかと思う。
もちろん、さまざまな取り組みがこれまでもあったし工夫もあった。
ただ、これまで大衆には認知されなかったし、業界やメーカーも認知されるための努力が不足していた。

今回の「スニーカービズ」はそういうさらに機能性を高めたゴム底革靴の認知を高め、需要を増やす好機なのではないか。

業界はそこに注力すべきで、私服警官や万引き防止Gメンみたいな服装を推奨することでお茶を濁すべきではない。
そういう安易なお茶の濁し方をしてきたから「売れない」という状況に陥っているのではないか。

私服警官ルックが本当に、心底かっこいいと思っているなら、霞が関の官僚がやってみてはどうか。
まず隗より始めよでないか。言い出した人間が手本を見せるべきである。

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アシックスのテクシーリュクスはAmazonでも売ってるよ。

H&MとCOSの比較なんて店舗数も価格帯も違うから意味がない

比較対象の基準がおかしなアパレル業界記事は日本のメディア内では日常茶飯事である。

アパレルブランドの自社EC売上高比率の記事では、なぜかユニクロは外されている。
これはまた別に書いてみるが、アパレルブランドでもっともEC売上高が大きいのがユニクロである。
今期は500億円前後まで成長すると考えられ、単に「EC比率が低い」というだけの理由でユニクロを軽視するのは机上の空論でしかない。
どんなに「EC売上が急増」と報じられているブランドでもEC売上高はユニクロに遠く及んでいない。

比較対象の基準がおかしいのは日本だけかと思っていたら、海外も同じらしい。
まあ、人間なんて国や人種がちがったって愚かしさは同じということだ。

最近はH&M凋落の記事が目につく。
凋落はその通りだろうし、日本で店頭を見ていても勢いもないし、近年に限ったことではなく、もとから売り場が汚い。
内装やら照明にごまかされているが、場末のイズミヤ平場のようにサークルラックには服がパンパンにかけられているし、シングルラックにもパンパンにかけられており、これが普通の量販店平場の内装だったらとてもではないが売れないだろうと思う。

心斎橋筋商店街で見ても、対面にあるユニクロに比べて入店客はかなり少ない。

しかし、H&Mの凋落を報道するのと、比較対象の基準がおかしいことは別だ。
比較するなら正しく比較されなくてはならない。

例えばこの記事だ。

苦戦するH&Mの秘密兵器? 好調な姉妹ブランド「COS」に行ってみた
https://www.businessinsider.jp/post-162835

概略はこれである。

・H&Mは苦戦が続いているが、同社CEOのカール・ヨハン・パーソン氏によると、同グループの別ブランドは好調だ。
・2007年にスタートした「コス(COS)」は、現代的かつタイムレスでミニマリストなデザインを提供し、成功している。
・コスの戦略は、トレンドを追い、大量に販売しようとする姉妹ブランドのH&Mとは異なる。

COSの好調さを報道するのは良いが、どうしてH&Mと比較する必要があるのだろうか。
まったく理解できない。

同じグループ会社とはいえ、店舗数も商品価格もまったく違う。
ちょうどユニクロとセオリーと同じ関係である。

店舗数でいえばH&Mは全世界に3000店以上あるが、COSは全世界で300店ほどしかない。
また商品価格帯でいえばH&Mはユニクロよりも安いくらいだが、COSはこの記事にも書かれてあるように、シルクのジャケットとレザーのバッグはそれぞれ225ドル(約2万4000円)、白いベーシックシャツが9600円である。

一方でアクセサリー類は2000円台から3000円台とそれほど高くはないし、Tシャツも20ドル(2000円台)とそれほど高くはないらしい。

しかし、客層はH&Mとは違う。
とくにこの記事はアメリカで書かれており、アメリカではCOSの客がH&Mに来ることはあってもその逆はない。
客層はまったく違う。

店舗数も客数も異なる2ブランドを比較して何の意味があるのだろうか。

この記事には結論はなく、単なる紹介という要素が強いが、もしこの記事を読んで「低価格ブランドは苦戦でそこそこの値段の服が復活している」なんていう総括をする人がいるならちょっと知能を疑う。

ZARAもそうだが、ユニクロやジーユー、H&Mほど安くはない。
安くはないが昨年あたりまで日本でもかなりの高回転率を誇ってきた。

しかし、ZARAの好調が高額ファッションの復活にはつながっていない。
むしろZARAの国内客は今まで百貨店で買っていた客で、彼らからすると「百貨店ブランドの半額で買えるZARAは割安感がある」という。
実際にアパレル業界人も多くZARAを購入している。

COSの日本での客層も同じで、アメリカも同じではないかと推測される。

高額ファッションは復活しているのではなく、ZARAやCOSなどの割安ブランドが買われているといえる。

欧米でH&MやZARA,GAPのような低価格ブランドが成長したことはそれだけ先進諸国で需要があったということに他ならない。
日本もバブルが崩壊して同じ需要構造になったというだけのことで、別に消費者の感性が退化したわけではない。
可処分所得の減少とか社会構造の変化はあるが、それ以上に、今まで高かった服と見た目が変わらない安い服が出てくればそちらに消費者がなびくのは極めて当然である。

同じような商品が安ければだれだってそちらで買う。

ガンプラもユンケルの錠剤も服も同じだ。
安くて利便性の高い方で大多数は買う。

そういう価格競争に巻き込まれたくなければ、異なる売り方・見せ方をするほかない。
それは、今のアパレル業界人が勘違いしている「品質ガー」とか「生地ガー」とか「エシカルガー」ではない。
そんなもんに魅力を感じるのは少数のマニアだけだ。

少し前から、河合拓さんのブログを拝読しているが、非常にロジカルな河合さんはマッキントッシュのゴム引きコートを愛用しておられて、定期的に修理に出しているとのことだが、このゴム引きコートは読んでみると非常に不便だ。
すぐに劣化するし、おまけに雨に濡れるとダメらしい(なんじゃそりゃw)。
よって、こんな不便で高額な商品は大衆に売れるはずもないが、それに魅力を感じて使い続けておられる河合さんはこの点に関しては非常なマニアだといえる。

しかし、重要なことは、マニア嗜好のままで大衆向け商品を作らないというところで、河合さんはこの点の混同はない。
それは一マニアとしてひっそりと楽しめば良いだけのことで、大衆はブロックテックやワークマンのイージスを支持する。

結局アパレル業界人とメディア業界人が致命的なのはこの使い分けができないところだと思っている。
だからH&MとCOSの比較だとか、EC売上高でユニクロを外すだとか、そういう的外れな議論が横行してしまう。
そこを整理できない限り、アパレル業界もメディア業界も現在の洋服の低価格化の核心に触れることは100万年かかったって不可能だろう。

NOTEを更新~♪
プライベートブランド「ZOZO」の生産システムは、現時点では「完全オーダーメイド」ではない
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nc6e9da2bffeb

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そうそう、的外れと言えばこの本も。
書いている予言がすべて外れているという稀有な本。(笑)
逆の意味で参考になる。

アパレルブランドの広告が失敗する理由

アパレルブランドにとって広告は必要不可欠なもので、ブランド側はもう何十年も出稿し続けているわけだから、本来はすごく広告に詳しいはずである。
しかし、業界紙、編集プロダクションで勤務した経験上でいうと、そういうブランドはほんの一握りしかない。

多くのブランドは、惰性とお付き合いと「何となく」で出稿している。
そしてそれらは広告代理店にお任せである。

例外的な少数を除くと、アパレルブランドの広告担当者のお仕事というのは広告代理店と親しくすることが8割くらいを占めている。
各ブランドにはそれぞれお抱えに近いような代理店が存在する。
1社の場合もあれば、それが複数の場合もある。
要はそれら「お抱え」と親しく付き合って、リサーチからプランからすべてお抱えに丸投げし、出てきたものに対して判断を下すだけであり、その判断自体も担当者の好き嫌いやその上司の好き嫌い程度しか基準がない。
広告担当者か上司(社長である場合も多い)が「これ、ええやん」といえば、それで終わりなのである。
その「ええやん」の基準は好き嫌いだ。

だからアパレルブランドの広告は成功しにくい。

いくつか失敗例を提示する。
当方が広告に携わったのは雑誌媒体なのでそれがメインになる。

以前、某中堅ジーンズメーカーに雑誌「Begin」の広告を相談されたことがある。
このジーンズメーカーに限らず、アパレルブランドの勘違いは、そこそこ人気のあるファッション雑誌に1度広告を掲載すれば、売上が即座に増える・回復すると思っている点である。

で、相談をされたのでこれまた、ファッション雑誌広告に強い某中堅代理店を紹介した。

ジーンズメーカーの予算は年間1000万円、代理店はこの予算で、Beginの年4回掲載を獲得してきたと記憶している。
単なる純広告(綺麗なイメージ写真とブランド名だけの広告)ではなく、タイアップ記事広告だったので、1回あたり200万円以上した。
通常、雑誌では純広告よりもタイアップ記事広告の方が高額になる。

これで決まるかと思った矢先に、メーカーが「以前から懇意にしている地域密着の小規模代理店から出稿したい」と言い出した。
これは本来は厳禁な行為である。
なぜなら、その料金プランはその中堅代理店が掛け合って実現したもので、お抱え代理店が作ったプランではない。
お抱え代理店が本来すべきことは、己らも掛け合って独自のお得感のある料金プランを作成することである。

しかし、お抱え代理店の甘えとそれを許したメーカーの不見識が相まって、結局はそのプランをお抱え代理店からやることになった。

こうなると、次からはその中堅代理店はメーカーには協力しなくなる。当たり前だ。先に不義理をしたのはメーカー側である。

結果からいうとこの広告はさほど効果がなかった。
年4回というのは無名ブランドにとっては掲載回数が少なすぎるし、Beginという雑誌がそれほどの「大部数」を抱えているわけでもないからだ。モノに対する記事や写真での見せ方に定評のある雑誌ではあるが、読者数はそれほど多くないし、読者層とブランドの相性も考慮しなくてはならない。
これはBeginに限らずどのファッション雑誌でも同じだ。
読者数の多寡も重要だが、読者層との相性がさらに重要となり、どんなに大部数のある雑誌でも読者層との相性が悪ければ、まったく反応はない。
ブランドの広告担当者はそこをよく考え、リサーチを自身でし、判断しなくてはならないが、それができている広告担当者は知っている範囲でいえば見たことがない。

結局はこのタイアップを1年か2年でメーカーはやめてしまった。効果もさることながら1000万円の広告費が捻出できなくなったからだ。できなくなったというのは表向きの理由でもしかすると、もったいないと感じたのかもしれない。

これはもっとも非効率的なカネの使い方である。
無名のブランドが年4回ちょろっと広告を掲載したところですぐさま認知度が上がるわけでもない。
もっと回数を多く、長期間にわたって掲載しないと実はファッション雑誌広告には意味がない。
年6回以上で、3年~5年間の広告掲載は必要だろうと思う。

1年や2年でやめてしまえば、その広告費は無駄になる。
このメーカーでいえば、2000万円をドブに捨てたようなものである。
これで従業員を雇うとか、従業員のボーナスを増やすとか、従業員と豪勢な食事を楽しむとか、に使った方がずっと社内の士気が上がる。

こういう失敗をするブランドは本当に珍しくない。アパレルブランドのありふれた日常風景である。

じゃあ、中小代理店を使わずに大手代理店を使えば成功するんじゃないかと考えるのが、アパレルブランドの浅はかさである。

また別のジーンズメーカーが20年くらい前まで10年間、電通を使っていた。
このメーカーはかつて「大手」と呼ばれており、ピーク時の年商は130億円くらいあった。

結果的にいえば、このメーカーの売上高は現在はピーク時の6分の1以下にまで低下している。
完全なる「ドブ金」だったといえる。

年間予算は毎年5000万円~1億円だったと聞いている。

これだけ多額の予算を払えばさぞかし効果があると、アパレル業界では考えるが、結果はまったく逆だ。
それがこのメーカーの凋落が証拠といえる。

アパレル業界からすれば広告宣伝費5000万~1億円というのは多額だが、電通からすれば鼻くそである。
だから電通はこの程度の予算では身を入れて仕事をしない。

例えば、当方とは比べ物にならないほど著名人で広告業界ともかかわりの深い永江一石さんもご自身のブログでこう述べられている。

東京都の豊洲市場における、スーパーお馬鹿なインフルエンサーマーケティングが草ボウボウ
https://www.landerblue.co.jp/blog/?p=37864

電通で5000万というのは鼻くそですので、わたしの推測ではPR会社に丸投げしたものと思います。

とのことで、年間5000万円程度の予算では電通にとっては「どうでも良い」依頼なのである。

文中で述べられている事例は、大手広告代理店ならやらかしそうなウェブマーケティングでの失敗例といえる。
アパレルも行政も理解していないのは、広告代理店には各社それぞれ得意分野と不得意分野があるということで、電通でいうならファッション雑誌やらウェブは苦手で、芸能人のブッキングやビッグイベントやテレビCMは得意なのである。
分野によって代理店を使い分けるのが得策で、大手に少ない金額で丸投げするのが最愚策といえる。

かつての大手ジーンズメーカーも東京都もその最愚策を採用している。
5000万円はまさしく「ドブ金」だ。

かつての大手ジーンズメーカーなんて総額10億円以上を使って、売上高を6分の1以下にまで低下させたのだから愚の骨頂としか言いようがない。

まあ、付け加えておくと、今現在も電通とか博報堂を何十年間も使い続けているのに、中高年以外の層にはまったく知名度が上がらない大手肌着メーカーというのもある。知名度が上がらないどころか、知名度は下がっているのではないかと思う。
これも現在進行形の「ドブ金」の一つの代表事例といえる。

アパレル業界が広告で成功したいのなら、

1、広告というのは多額のカネが必要と強く認識する(節約のために年1回の掲載なんて効果なし)
2、広告代理店にはそれぞれ得手不得手があり、それを見極めて事案ごとに代理店を使い分ける
3、大手に少額のカネで頼めば、必ず手抜きされる

これを徹底的に頭に叩き込まないと、アパレル業界の「ドブ金」事例がさらに積み上がることは間違いない。

NOTEを更新~♪
プライベートブランド「ZOZO」の生産システムは、現時点では「完全オーダーメイド」ではない
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怪しさと矛盾点が際立つプライベートブランド「ゾゾ」の発表

ようやく、延び延びになっていたZOZOTOWNのプライベートブランド「ZOZO」の一端が発表になった。
どんな商品なのかなと一応興味を持って外野から眺めていたが、第1弾はTシャツ(1200円)とジーンズ(3800円)だと判明し、正直期待外れだと感じた。

価格面でいうと、ユニクロに合わせてきたという感じだが、体型測定スーツ「ZOZOSUIT」で得られることになるであろう26万人の膨大な体型データを使ってTシャツを作る必要があるのかと正直疑問しか感じない。

某人気ブランドの中の人が言っていた「ZOZO社員は本気でユニクロと競合する気でいる」というのは価格設定を見ると、本当だったのだとわかる。ただし、値段が同じくらいだからユニクロと同等には売れない。それなら、今頃イオンもイトーヨーカドーもジーンズメイトももっと衣料品が売れている。

ZOZOSUITが発表されたときには随分と熱狂があったが、発送が延び延びになり、有名人と一部顧客にしか届いていない状況にあり、身の回りでも「発注したけど遅いからもう興味が薄れた」という人もちらほら現れている。

ZOZOSUITの報道や熱狂には違和感があり、その違和感は今でもあるのだが、例えばこういう見出しの記事については本当に疑問しか感じない。

一つ断っておくと、ZOZOSUITのような開発は続けるべきだし、全否定するのはナンセンスだが、逆に持ち上げすぎるのもどうかと思う。

「ミリ単位の精度求めた」ZOZOSUITの体型計測データが生み出すスタートトゥデイの新展開
http://jp.techcrunch.com/2018/01/31/zozo-maezawa-kanayama/

この「ミリ単位の精度」っていうのがちょっとどうかと思う。
例えば、今回発表されたTシャツだ。

Tシャツは、ニット生地で綿100%組成であろうが、生地の構造上伸縮性がある。
5ミリくらいは普通に伸び縮みするから、はっきり言って「ミリ単位の精度」なんてものはTシャツには必要ない。
さらにいえば、縫製する段階で普通に1ミリくらいはズレや誤差がある。
逆にミリ単位の精度で縫製できる工員なんてほとんどいない。

これはセーターでも同じで、5ミリや1センチは伸縮性が生地自体にあるし、縫製やリンキングの段階で1ミリくらいは普通にズレる。

いくらミリ単位でデータを調整しても実際の製造工程では1ミリや2ミリは確実にズレるから無駄である。

こういう発言をする人やこういう記事を書く人は衣料品を精密機器か何かと勘違いしているのではないか。
こういう発言や記事が独り歩きして、ミリ単位の服なんていうユニコーンやグリフォンみたいな奇妙な空想の産物が生まれる。

逆に、そういう「ミリ単位」という発表をある程度信用していたからTシャツという選択には首を傾げてしまう。
ミリ単位が売り物になるのは例えば、スーツ、ワイシャツ、ビジネス用コートなど、である。
こちらは1ミリ・2ミリの精度なんて意味がないが、5ミリや1センチは重要な差になる。

ワイシャツの首回りが1センチ変わればフィット感も見た目も大きく変わる。
昔のソフトスーツは別としてスーツだって1センチの差で大きくシルエットが変わる。

Tシャツやセーターの着心地にミリ単位の精度はまったく必要ないのに、それを選んでしまうところが拍子抜けというか期待外れだった。

またワイドシルエットの商品もミリ単位では着心地は左右されない。

おわかりだろうか?ガウチョパンツやそれのフルレングス版ワイドパンツなんて1ミリや2ミリ細かろうが太かろうが着心地には全く関係ない。
今春にジーユーから発売されているリーバイスセカンドの完コピジージャンだってダボっとした古臭いシルエットだから1ミリ違ったところでまったく着心地には影響しない。

ミリ単位の精度が求められるのは先に挙げたスーツ、ワイシャツ類とタイトシルエットが売り物のカジュアル商品に限られる。それだって実際のところ1ミリや2ミリ程度は誤差があるし縫製段階でズレる。
これが現実の洋服である。

しかし、ZOZOSUITによる採寸がまったく無駄とは思っていない。
むしろ、着心地よりもそのデータを使って「より美しいシルエット」「よりスマートに見えるシルエット」作りに取り組むべきである。

今回の会見の記事はこちらがコンパクトにまとめられている。

“ZOZOSUIT”到着は最大8カ月の遅延も、PB発表で前澤社長が決算会見に登場
https://www.wwdjapan.com/515448

最大8か月の遅延って、今年の8月ごろ届くということだから、はっきり言ってますます興味は薄れる。
忘れたころに届くことになって「ああ、そんなのも頼んでいたっけなあ」という感じになるだろう。

今回、前澤友作・社長は

「注目すべきは値段。メディアにはいろんな予測記事が出ていたが、期待を上回るというか下回るというか、Tシャツが税込1200円、デニムは税込3800円で販売する。過剰に在庫を積み上げるつもりはない。オーダーメードに近い受発注生産を行うことで、価格を下げられた」とコメント。

と話しているが、オーダーメードに近い受注生産だから価格が安いというところがちょっと意味不明だ。
恐らく、在庫を持たずにその都度生産するから、在庫処分での投げ売りが無くなるからその分販売定価を下げたということなのだろうが、その都度縫製する方が普通は縫製工賃は高くなる。
極端な話、一挙に100枚縫製した方が、1枚ずつその都度縫製するよりも工賃はずっと安くなる。
逆に1枚とか2枚しか縫わないサンプル縫製の工賃は最低でも5000円とか1万円くらいはする。
どう考えてもシステムに矛盾がある。
しかも生地は、専用生地ならどこかの問屋が備蓄しているとしか考えられず、専用生地でないなら、市場に流通している「在り物」の定番
生地をその都度購入することになる。
「在り物」の定番生地ならはっきり言ってユニクロにはまったく生地の値打ちではかなわないが、そのことは理解しているのだろうか?

また

ヤマト運輸の配送運賃変更による経費15億円やPB業務委託の13億5000万円などのコストが発生したにもかかわらず、増収増益を記録した。

という箇所があるが、やはりPB製造にはOEMやODMを使っているということだろうか。
たしか、工場なんかも買ったというような記事も読んだ記憶があるが、PB業務委託13・5億円ということは製造も委託していると考えられ、それはとりもなおさずOEM・ODMを使用したということになる。

なんだか生産システムも製造も矛盾だらけの内容だが、ますます実態の見えない怪しげなプロジェクトだとしか感じられなくなっている。
各メディアの記事の書き方が悪いのか、説明した方の説明が悪いのかわからないが、その結果、怪しさと矛盾点だけが際立ってしまっている。

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大手広告代理店を使って残念な結果を甘受する残念な国内アパレル 企業
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メディアの「何でもユニクロ病」「何でもゾゾ病」はミスリードを引き起こすだけ

仕事らしい仕事にもなっていないのに、一応、衣料品関連の記事は目につく限り読むようにしている。

繊維・アパレル業界はそれはそれなりに混迷し続けているが、記事を読んでいるとメディア側も相当に混迷している。
というか、メディア側は少なくとも20年前から混迷していて、ステレオタイプの紋切り型の報道が多い。

今のメディア側のトレンドでいうと、「なんでもユニクロ」「なんでもゾゾ」である。
業績好調な新興アパレルがあれば「第二のユニクロ」、衣料品のネット通販関連なら「第二のゾゾ」とか「ゾゾと比べて云々」である。

少し前まではストライプインターナショナル(旧社名クロスカンパニー)も成長途中はずいぶんと「第二のユニクロ」とか「ユニクロを追撃」なんて報道があったが、ストライプインターナショナルのどこが第二のユニクロなのか当方にはさっぱりわからない。

メンズ服をほとんど手掛けないストライプと、メンズ服の売上構成比が大きいユニクロは土台がブランドスタンスが異なる。
どこぞの経済記事で、「ユニクロはなんとメンズ売上高が4割を占める」というのを見たが、昔から知っている人たちからすると「何を今更」だし、逆に「メンズ売上高が4割まで低下したのか」と驚かされる。

ユニクロは元々メンズ服の方が強かった。
2005年ごろでさえメンズ服の売上高が6割強あったとも聞いている。

低価格・高機能性・高品質というユニクロのキーワードは、レディースよりもメンズの方が響きやすい。
ユニクロというブランドは極めて男性的な思考で構築されていると思う。
だから、当方はユニクロが好きなのかもしれない。

感性だとか共感だとかカワイイだとか雰囲気だとかそういう女性的な判断基準のブランドは当方の好むところではないからだ。

手の届く範囲の価格でそれなりの見え方をする洋服を提供するというところは共通しているかもしれないが、それなら、コックスもパレモもキャラジャも第二のユニクロといえる。
低価格でそれなりの見え方をする洋服を提供しているSPA型企業は全部「第二のユニクロ」ということになる。

第二のユニクロ、どんだけあんねん?!

20年前後、記者会見に出席してきた経験からすると、業界紙や業界雑誌ではなく、朝日・読売・産経・毎日などの「大手一般紙」(部数が激減しているのでそろそろ大手でもなくなりそうだが)の記者は、会見の場で見ている限りにおいては、繊維・ファッション業界に詳しくない人が多く、質問が的外れなことが多い。

これも以前に書いたが、グランフロント大阪のオープン会見に出席したときのことだ。

記者会見場では質疑応答の際、記者は所属会社と名前を述べてから質問する。

読売新聞経済部の若い記者が質問をしたのだが、その質問内容に驚かされた。

「グランフロント大阪にはアウトレットモールに入店しているブランドが多数入店していますが、グランフロント大阪の競合相手はアウトレットモールでしょうか?」

という質問で、傍から聞いていて失笑を禁じ得なかった。
これに冷静に丁寧に回答されたグランフロント大阪側の人は流石に大人だと感心した。
当方なら、アホらしすぎて質問を却下しただろうから。

この記者は正規店とアウトレット店の関係すら知らないのである。
デスクによる手直しがあるとはいえ、こういう記者が記事を書いている。

だから、一般紙のファッション記事がおかしいのは仕方がないとして、業界紙・業界雑誌・経済誌・経済紙と呼ばれる媒体が、一般紙よろしく「何でもユニクロ」「何でもゾゾ」という報道姿勢はいかがなものか。

このブログの改装でもお世話になり、ウェブ関連の仕事でもお世話になっているスタイルピックスの深地雅也社長がこんな記事を書いている。

メディアはわかりにくい指標を使わないでください
https://note.mu/fukaji/n/n3eacc37e63a0

これは先ごろWWDのウェブに掲載された

ユークス ネッタポルテの2017年通期決算 売上高2800億円で「ゾゾ」に拮抗か
https://www.wwdjapan.com/536735

という記事に対しての意見である。

ユークスネッタポルテというのはリシュモン傘下(そこからの売却が先日発表されたが)で、ラグジュアリーブランドECの最大手企業である。当然、国内企業ではない。

一般にECには直販型とモール型があり、さまざまなブランドをテナントとして入店させているゾゾはモール型である。
早い話がファッションビルといえ、それぞれのテナントから出店料やら手数料やらを徴収していて、それがゾゾの「売上高」である。
テナントの売上高合計は「取扱高」として表される。
当然のことながら、仮に「取扱高」が1兆円を越えようと、それはゾゾ自体の売上高にはならない。おわかりだろうか。
1兆円の何%かがゾゾの売上高ということになる。

一方、ユークスネッタポルテは今のところ直販型である。
そうすると売上高は直接的な売上高であり、取扱高ではない。

しかも取り扱いブランドがまったく異なる。
方や欧米ラグジュアリーブランド、方や国内ファッションブランド(一部に量販ブランドも含む)。
当然、顧客層も客単価も販売価格も異なる。

これでどうして「ゾゾに拮抗」などという見出しを付けるのかまったく理解できない。

顧客層やらなんやらは置いておいたとしても「取扱高」と「売上高」を並べて「拮抗した」と報道することに何の意味があるのか、いや、ない。(反語的表現)

これこそ、グランフロント大阪とアウトレットモールを並べて論じようとした読売新聞経済部記者と同じレベルといえる。

ゾゾはもしかしたらユークスネッタポルテもベンチマーク対象としているかもしれないが、おそらくユークスネッタポルテはゾゾを歯牙にもかけていないだろう。ラグジュアリーからするとジーンズメイトやタカキューまで入店しているゾゾはまったくの競合相手ではないからだ。

これを知ってて混同させたならWWDの編集方針はおかしいし、知らなくて混同してしまったのなら業界メディアとも思えない。

メディアの「何でもユニクロ」「何でもゾゾ」病は本当に根深く、百害あって一利なしでしかない。

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年間8000万枚を製造する縫製企業マツオカコーポレーションが上場

地味であまり業界人も注目しておらず、SNS上でも拡散されていないが、WWDの

縫製の巨人マツオカコーポが東証一部に上場、ベールに包まれてきた事業内容が明らかに
https://www.wwdjapan.com/519875

という記事に注目した。
この記事を素直に評価したい。

当方は縫製業にうとく、国内の縫製工場をいくつか見学したことはあるが、その程度の経験と知識しかない。
縫製業自身もあまりメディアには登場せず、業界紙にすらめったに登場しない。

それゆえに、同業者や縫製業に詳しい人以外には、実態があまり知られていない。

マツオカコーポレーションも当方はその社名は知っていたものの、実態はほとんど知らなかった。
こういう記事は勉強になる。
今回はほとんど当方の勉強のための転記みたいな内容になりそうなので、めんどくさい人は読まない方が良いかもしれない。

日本最大手の縫製企業で、広島県福山市に本社を置くマツオカコーポレーションが13日、東証一部に上場した。カジュアルウエアの縫製からスタートした同社は現在、中国、バングラデシュ、ミャンマーなどに縫製工場を持ち、従業員数は約1万人、年間の生産量は約8000万枚の巨大な縫製企業グループだ。

とのことで、

上場目論見書によるとマツオカコーポ―レーションは、直接あるいは間接的に、売上高の7割を「ユニクロ(UNIQLO)」を中心にしたファーストリテイリング向けが占めており、ファーストリテイリングは2.89%を出資する大株主として名を連ねている。主力工場は3万8470平方メートルの土地に従業員数約4000人を抱えるバングラデシュで、現在は約20億円を投じ、月産200万枚にまで生産能力を増力中だ。

この数年は減収傾向が続いてきたが、2018年3月期は売上高が前期比9.7%増の567億円、営業利益が同12.7%減の36億円、経常利益は同5.3%減の38億円、純利益は同0.5%増の25億円を見込んでいる。自己資本比率は9月末で総資産388億円に対し純資産168億円で39.5%、売上高営業利益率6.3%と、ファイナンスや利益率の低さが構造的な課題として指摘されることの多い日本の縫製企業の中で高水準になっている。

とある。

国内で苦戦する縫製工場が多い中で、いち早くアジアへ進出してグローバル化に成功しつつある。

同社のウェブサイト(ホームページとは言わないww)の会社概要によると、

1956 株式会社松岡呉服店 従業員10人
資本金100万円 縫製業を始める

とあり、その後、90年に中国へ進出し、98年に国内工場を閉鎖している。

多くの工場が、95年ごろから中国進出を本格化させていったが、それよりも一足早く中国へ進出している。

記事中に、売上高の7割がファーストリテイリング中心だと書いてある部分があり、そこに対しては「過度に依存していて大丈夫なのかな?」と一抹の不安を感じる。

このマツオカコーポレーションのように、国内では一部の関係者を除いてほとんど知られていないが、実はグローバルに活動しているという企業がいくつかある。

例えば、安全靴・ワーキングユニフォームの大手、ミドリ安全もその一つといえる。

中国への進出はもちろん、近年はアセアン諸国にも積極的に進出している。

当方はよく、ワーキングユニフォーム関係でその社名を耳にしていたがこちらも実態はほとんど知らない。
ミドリ安全の沿革によると、

73年に皮革製造会社でしてブラジルに進出、88年に中国進出、2008年にラオス、2009年にベトナム進出、2015年にカンボジア進出とある。また2006年からはメキシコで自動車用のレザーシート製造も開始しており、なかなかのグローバル企業ぶりが伺える。

個人的には全企業がグローバル化する必要はないと思っているが、ともすれば「グローバル企業に押されて日本は負け組」みたいな自虐的な見方が幅を利かす風潮の中で、世間一般の知名度は高くないものの、このようにグローバル化している国内の製造加工業者があるということは特筆すべきニュースだといえる。

これらの企業はなかなか取材しにくかったり、よしんば取材ができても知識がないと理解できない話の内容も多いから記事にしにくい。
また企業名の知名度もないことから、掲載しても反響が少ないことが考えられるため、メディア側としてはあまり積極的に報道しようとは思わない。

マツオカコーポレーションだって今回の株式公開というきっかけがあったから、詳細を公表しただけで、これがなければ今後も実態はほとんどわからないままだったと考えられる。

それにしても、業界にはまだまだ知られていない重要情報が多いことを再認識した。
業界全体を一通り知るということは、才能乏しい当方にとっては不可能ではないかと思う。
少しずつでも見識を広めるためには日々勉強するほかない。

しかし、当方ももう47歳。年が明けると4回目の年男で48歳となる。
老年に差し掛かった今、思うことは「日暮れて途遠し」である。

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専業ジーンズメーカーは決して新しいことに取り組まなかったわけではない
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nd4bc9e30188b

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ファッション雑誌の販売部数は激減している

最近、ファッション雑誌をほとんど読まなくなった。
当方はモデルやタレントに一切興味はないので、元からそれが目的では読んでいない。

93年に「デモシカ」で洋服販売員になるまではファッションに興味はなかったから、働き出してから「勉強しなくちゃ」ということでファッション雑誌を読み始めた。
仕事で商品を扱っていることもあって、読んでみると意外に面白かった。
まあ、暗記することが好きなので、読んで新しい用語を覚えることが当方にとっての快楽だっただけのことである。

洋服のコーディネイトなんてまったく知識がなかったから、ファッション雑誌の全コーディネートを暗記するまで繰り返し読んだ。
月刊誌を1冊買って、それを10回以上全ページ読んですべてのコーディネイトを暗記した。

暗記量が増えると、買い物に行っても「あ、あの号のあのページに掲載されていたシャツと似ている」ということが瞬時に思いつくようになり、じゃあ、「似たようなこのジャケットと合わせればあのページが再現できる」という選び方ができるようになった。

もちろん、雑誌に載っている商品はン万円もするので、貧乏人であり貧乏性な当方がそのまま買うはずもない。
似たような安い商品で代用するのである。

似たような安い商品だけでどこまで再現できるか、というのも貧乏性の当方にとってはなかなかの快楽で、そのまま今に至っている。

2005年までおよそ10年間はそんな生活が続いていた。
2007年ごろから、一応1冊は買うけどそんなに繰り返し読むことはなくなった。
覚えなくてはならないコーディネイトがなくなったからだ。

それでも惰性で毎月1冊は買っていたが、2010年頃から買うことすらしなくなった。
今では発売日に書店に行って、30秒くらいペラペラ流すくらいしかしない。

ファッション雑誌に掲載されていることで未知のことがなくなったというのが最大の理由だ。
それとコーディネイトが見たければ、インターネット上で無数にある。しかも雑誌と違って日替わりだ。
また、インターネットだとブランドの公式サイトでもそれぞれのコーディネイトが掲載されている。

コーディネイトが知りたければファッション雑誌を買うよりもインターネットのほうが圧倒的に利便性がたかく、サンプル数も桁違いに多い。

ファッション雑誌が冬の時代になるはずである。笑

そういえば、先日、こんな報道があって驚いた。

宝島社がトップ独占で依然好調 2017年上半期雑誌売り上げ
https://www.wwdjapan.com/508530

これを読んで「相変わらず宝島は絶好調!」とか「宝島スゲー」なんて思ってはいけない。
この報道で注目すべきは販売部数だ。

女性ファッション雑誌1位は「スウィート(sweet)」で月間平均販売部数25万7554部、2位は「リンネル(Liniere)」で19万3001部、3位は「グロー(GLOW)」で18万4783部、4位は「インレッド(InRed)」で15万2729部となり、上位を宝島社が独占した。「スウィート」は09年上半期に1位を獲得して以来、17期中(09年~17年)14期1位を獲得している。5位には「ニコラ(nicola)」(新潮社)が14万9014部でランクインし、ティーン誌が健闘した。

とある。

しかし、2008年頃までは宝島のファッション雑誌は100万部くらいあった。
それが今はトップのスウィートですら25万部しかない。
ピーク時の4分の1か5分の1まで販売部数が減少している。

2位のリンネルや3位のグロー、4位のインレッドの販売部数は20万部を下回っている。
20万部を越えているのがスウィートしかないというところが、ファッション雑誌の不振を如実に物語っている。

インレッドの15万部というのはメンズのサファリやライトニングとあまり大きく変わらない。

女性ファッション雑誌はそこまで低迷しているということである。

「マニアック」と評されたメンズのライトニングとほとんど変わらない部数にまで追い込まれてしまっている。
ファッション雑誌は最早「マスコミ」などではなく「ミニコミ」になっているといえる。

もちろん、ミニコミとして狭い範囲の人々に厚く深く支持されるという在り方は一つの存在理由になる。
それを否定するつもりはまったくない。ミニコミとして突き進めば良い。

注意を喚起したいのは、アパレル企業、アパレルブランドに対してである。

ごくまれにアパレルやブランドの販促に関わるミーティングを覗かせてもらうことがあるのだが、旧型アパレルはほぼ全社といっても良いくらいにいまだにファッション雑誌と人気タレントにこだわっている。
90年代の手法を20何年間も後生大事に続けているわけだ。

しかし、近年、とくに2010年以降不振が続いているということは、その90年代手法は現代においてまったく販促効果がないということにほかならない。

アパレル経営者の大好きな「費用対効果」でいえば、まったくないということになる。
ボーナスをカットしたり、昇給を据え置きしたりというコストカットには俊敏に行う癖に、なぜ費用対効果が限りなく低い90年代販促手法に固執するのかまったく理解に苦しむ。

売りたいのなら「売れる手法」を取り入れるべきで、90年代のままの手法を続けている限り、「売れるようになる」ことは絶対にない。
そして「売れない手法」しかいまだに提案できないような広告代理店とは付き合うべきではない。

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三越伊勢丹HDが「ケイタマルヤマ」を手放す理由とは?
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n06274a064cba

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