カテゴリー: ネット通販 (1ページ / 6ページ)

メルカリが支持されているのは経済的合理性と利便性。若者が古着好きだからではない

メルカリの浸透と古着の愛好は似て非なるものであると考えるのが適切だろう。

メルカリが意識調査 「若者の新品離れ」くっきり
https://senken.co.jp/posts/mercari-survey-2018

メルカリが調査したアンケート結果の記事だが、正直いうとこの見方には疑問しか感じない。

若者に限らず、要らなくなった服をメルカリで売る人・買う人が増えたのは、Q1のグラフでも1位になっている通り「価格メリット」があるからである。
買う人は、欲しかった服・買おうと思っていたけど売り切れた服が定価よりも安く買えるからというのが一番の理由だろう。

 

逆に売る人にもメルカリはメリットがある。

通常、不要になった服を古着屋に持っていくと、よほどのブランド物を除いては二束三文で買いたたかれる。
しかしメルカリだとその相場よりは高く売れる。

ちょうど昨年の今頃、ユニクロで買いそびれた薄手ワークジャケットの在庫状況を調べていて、メルカリに迷い込んだことがある。
そのジャケットは売り切れる手前はたしか990円くらいにまで値下がりしていたと記憶しているのだが、メルカリではなんと2000円くらいで出品されていた。
もちろん定価よりは安くなっていたが、店頭の最終販売価格に比べると高い。

これで最終取引が成立したかどうかまでは見ていなかったが、もし仮に成立するとしたら、そこら辺の古着屋に持ち込むよりはよほど売りがいがある。
ユニクロの古着なんて買い取り査定の対象にもならない。
だから、メルカリは買う方ばかりではなく売る方にも価格メリットがある。

メルカリの支持はいわば「経済的合理性」が最大の要因だと見ている。
ちなみに、口では「個性」を謳いながら、何の工夫もなく大手セレクトショップや大手SPAが他社の売れ筋追随をすることが「経済的合理性」では断じて無い。

このアンケートはまだ続くのだが、見て行けば見て行くほどに、「若者の新品離れくっきり」とは思えなくなる。
Q2では中古品の購入に抵抗感があるか?という問いに対して、「まったく抵抗感がない」と答えた20代は16・0%と一番多いが、とはいえ、30代でも7・5%いるし、50代に至っては10・5%もいる。
そもそも16%の人しか支持してない時点でそれほど「多数派」とはいえない。

Q3は中古品を買う機会が増えましたか?という問いだが、フリマアプリ利用者は「とても増えた」が13%、「やや増えた」が35%となっているが、フリマアプリ非利用者は「とても増えた」が2・6%、「やや増えた」が11・8%しかいない。
そもそも、フリマアプリ利用者と非利用者の割合が示されていない時点でアンケートとしてはあまり価値がない。

極端に言えば、利用者が10人、非利用者が990人ということだって考えられる。
ここまで母数が変われば、それぞれに含まれる比率を比較したところでまったく意味がない。

さらにいえば、フリマアプリ利用者だって「増えていない」と答えている人が51・4%もいる。
フリマアプリ利用者ですら「増えていない」という人が過半数を占めている。

この結果で「若者は古着を買う回数が増えた」と結論付けることはかなり無理がある。

そもそも我が国には古着愛好者がメルカリ登場以前から一定数量存在する。
古着を買うことにまったく抵抗感がないと答えた50代が10・5%もいることがその証拠といえる。

古着を買う人がいるのはメルカリとはあまり関係ないと考えた方が事実に即した施策を講じられるのではないかと思う。

20年くらい前に、ビンテージジーンズブームが起きた。

この当時、かつてのビンテージジーンズのレプリカを作って販売するレプリカメーカーが多数生まれた。
エヴィス、ドゥニーム、ダ・ルチザン、シュガーケーンなどなどだ。
しかし、その一方で「本物志向」も強まり、かつて生産されていたジーンズを古着で買うこともかなり流行した。
タレントの何某が、ン十万円で何十年前のリーバイスジーンズの古着を購入したというようなことはその一例といえる。

この当時の30代が今の50代であり、この当時の20代が今の40代である。
当然、だから50代は古着愛好家が多いし、40代だって「まったく抵抗がない」人が9・0%もいる。

さらにルーツをさかのぼれば、我が国にジーンズが流入したのは第二次世界大戦直後のことである。
敗戦した我が国に、アメリカからジーンズが輸入された。
輸入された当初のジーンズは新品ではなく、古着だったのである。

敗戦から何年間かはジーンズといえばアメリカの古着しかなかったというのが事実だ。

古着のジーンズは当然のことながら色落ちしていて、生地は柔らかくなっている。

日本のジーンズメーカー、製造加工業者が、色を落とす洗い加工や生地の柔らかさを追求したのは、日本人が最初に出会ったジーンズが古着だったからだという説があり、これは相当に正しいのではないかと思う。

国産ジーンズが作られ始めたのが1960年代初期になるが、このときにジーンズ製造に携わった人々は敗戦直後の古着ジーンズで育っていたからだ。

このように、歴史的事実に基づいて考えてみれば、70年前から日本人はすでに古着に親しんでいたといえるし、遅くとも20年前には古着がファッションアイテムの一つとして浸透したともいえる。

古着の愛好は何も今に始まったことではない。

メルカリのQ1の「商品を買う際に重視する点」に戻ろう。
表題の「新品であること」は5位になっていて、たしかにプライオリティは低い。
しかし、1位は「価格」2位は「品質・機能」3位は「信頼性」4位は「買い物しやすい場所」となっていて、どう見てもこれらは「経済的合理性」「利便性」が重視されているといえる。
新品か古着かなんて「経済的合理性」の前では重要な要素ではないと分析すべきではないか。

さらに進んで言えば、メルカリの支持される理由も「経済的合理性」「利便性」のみということになり、これがなくなればメルカリはたちどころに支持を失うと考えた方が良いだろう。

というか、メルカリは意図的に分析を捻じ曲げて「古着」を強調しているがそこに何のメリットがあったのだろうか?不思議でならない。

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メルカリ関係本って怪しいタイトル多いわ。(笑)

ワールドとオンワード樫山の新しい動き。成功できるのか?失敗を繰り返すことになるのか?

2008年以降、さっぱり良いところがなかったアパレル業界の2トップのワールドとオンワード樫山にこのところ新しい動きがある。
起死回生の手札になるのかどうか外野から見守りたいと思う。

まず、ワールドは有力企業を2社買収した。

ワールドがラグタグとレンタルサービス「サスティナ」のM&Aを発表
https://www.wwdjapan.com/594621

タイトルの通りの記事なのだが、ブランド古着販売の「ラグタグ」と洋服レンタルサービスの「サスティナ」をワールドが買収したという話だ。
このところさっぱり良いところがなかったワールドにしては目の付け所がシャープな感じがする。
メディアや業界の識者の論調を見ていても好意的なものが多く、当方もその見方に賛成する。

またオンワード樫山だが、こちらも明るいニュースである。

オンワードHDのEC売上高が203億円を達成 SC向けの新ブランドを今秋スタート
https://www.wwdjapan.com/597630

これも読んでタイトルの通りで、オンワードのEC売上高が37%増で200億円に到達したという話だ。
じゃあ、どうやってEC売上高を増やしたかというと、

具体的なEC強化策は、EC上での受注販売の開始をはじめ、EC限定商品の拡充によるプロパー売り上げの底上げだ。オンラインでのセールを強化し、店舗の催事販売からECに切り替えたことで在庫処分を効率化させた。また、3月までに実店舗の在庫一元化を実行し、8月にはEC在庫の一元化を実現する予定で、今後も商品の機会ロスを減少させていく。

とのことで、珍しいことは何もしていない。

1、EC限定品の拡充
2、オンラインセールの強化
3、それに伴う店頭催事(要は安売り催事)をECへ切り替えた

であり、極めてオーソドックスなやり方で、アダストリアホールディングスとほとんど同じである。
アダストリアの場合はこれに、EC限定のタイムセール連発が加わるのだが。

そしてSC向けの新ブランドを始めるとのことだが、これはいわゆる真っ新のブランドではない。
リバイバルのブランドである。

フィールドドリームというブランドだ。

記憶だと2000年初めに開始して、いつの間にか話題に上らなくなったブランドで、2010年くらいには廃止になっていたのかと思ったら、記事によると2016年までひっそり継続していたとのことで、逆に10年以上も良く我慢していたなというのが正直な感想である。

旧フィールドドリームのロゴマーク

 

もともと、ユニクロが牽引する低価格ブームへの対応として生まれたブランドで、当初はメンズ・レディースの両方があった。当方も実際にメンズ服を何枚か買った。
メンズは売れ行きが悪くて廃止され、中盤以降はレディースのみの展開となっていたと記憶する。(間違っていたらごめん)
これをショッピングセンター向けの低価格ブランドとしてリバイバルするということだ。

2トップ企業がようやく新しい動きを見せたといえるが、当方には懸念も少しある。

まず、ワールドの買収だが、ワールドは過去にも積極的買収を仕掛けていた時期があった。
そのときに買収されたのがコキュとミニマムである。
若い人はこんなブランド知らないと思うが、90年代後半にはそれなりに話題になった新進気鋭のブランドだった。

ところが買収された途端に、クソつまらないブランドになり下がり、そのうちに消滅してしまった。

詳しい内部事情は知らないが、コキュやミニマムが得意とした面白い商品作りがワールドの管理下に置かれてすっかり精彩を失ったというのが当方の感想である。

あれから20年近くが経過していて、ワールドの経営陣のメンバーもあらかた交代している。(全部ではない)
ラグタグやサスティナがワールド仕様のクソつまらないブランドになり下がることはないと思うが、そうならないように気を付けてもらいたいと思う。

次にオンワードのフィールドドリームだがこちらも以前とターゲット層が同じなので、また同じ失敗を繰り返すのではないかという不安がある。

90年代後半から2000年代前半に投入された大手アパレルメーカーの低価格対応ブランドは軒並み失敗に終わっている。
フィールドドリームしかり、コムサイズムしかりだ。
イトキンのオフオンやショッピングセンター向けブランド群もその失敗の一つだ。

彼らのやり方はユニクロの低価格に合わせるのが大前提だったが、生産ロットの違い(ユニクロは多い、彼らはそれより少ない)もあって、完全にユニクロと同等価格にすることはできなかった。
彼らのブランドの方が幾分かは高くなってしまった。

2004年以前のユニクロは安くて高品質かもしれないが、デザイン・シルエット・色柄はクソダサかったから、本来は彼らの持っていたデザイン性を導入すれば勝ち目はあった。
しかし、彼らはデザイン性を強調するわけでもなく、ひたすら価格を強調したために「でもユニクロの方が安いやん」ということになった。

また彼らの導入したデザイン性や意匠性は、低価格が障壁となって十分な見せ方ができなかった。
例えば、本来ならもっと斬新な色柄やデザインになっただろうはずなのに、5900円に抑えるためにそこを省略したり、簡素化で誤魔化したりた。
その結果、デザイン性も価格も中途半端な商品が出来上がることになった。

中途半端なデザインなのに中途半端に高いという商品だ。

明らかに彼らの持つ百貨店ライン・ファッションビルラインよりも見劣りした。
その結果、だれからも選ばれなくなったというのがこのブランドたちで、売れないからさらに値上がりするという悪循環の繰り返しに陥った。

フィールドドリームは廃止になり、イトキンはショッピングセンター向けブランドから撤退した。
コムサイズムは続いているが、安くもなくデザイン性が高くもないという中途半端な位置づけになっており、本来は本体とされるコムサ・デ・モードと値段もデザインもどう違うのかさっぱりわからないブランドになってしまっている。

幾分か毛色は違うがパルのチャオパニックとチャオパニックティピーも似たようなものだろう。

以前は高価格のチャオパニック、低価格のティピーと別れていたが、不振からかチャオパニックが低額化し、ティピーが値上がりして価格差はなくなった。逆にティピーの方が高い商品があるという珍現象に陥った。
おまけにテイストは元から同じだから余計に区別ができなくなった。

一方、コーエンとユナイテッドアローズは区別ができていて、コーエンはスタート当初はクソダサかったが、年々商品企画がマシになっていっており、ユニクロに飽きたら買っても良いかと思わせる商品が出始めている。

再スタートするフィールドドリームだが、前回の失敗を繰り返すのかどうか、そこに注目したい。
フィールドドリームが成功すれば、他の大手アパレルの失敗続きの低価格ブランドにも幾分が光が差すのではないかと思う。

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こんな古い本を改めて読んでみても面白いかも。買おうかな。

値下げ販売で収益を圧迫したのは実店舗じゃなくてECサイトでは? ~アダストリアの場合~

アダストリアホールディングスの2018年2月期連結が発表された。

売上高2227億8700万円(対前期比9・4%増)
営業利益50億500万円(同66・4%減)
経常利益54億2800万円(同64・1%減)
当期利益8億6300万円(同92・5%減)

と増収ながら大幅減益に終わった。

大幅減益の理由については、各メディアで、

また、頻繁なセールの実施や、客のニーズをとらえきれなかった商品の在庫消化のための値下げ販売を推し進めたことで、売上総利益率は54.2%と2.1ポイント悪化した。

https://www.wwdjapan.com/595815

などと伝えられている。
これについてはその通りだろうと思う。
実際に店頭を見ていると、頻繁に値下げセールが開催されており、現に今の春物だってすでに50%オフにまで値下げされており、この値下げ販売は「終わった話」などではなく、現在も進行形の話であり、これが収益悪化の原因なら2019年2月期の収益だって悪化したままになるのではないかとすら思う。

趣味で店頭を見る際、レディースには興味がないので見ない。
アダストリアの場合、メンズのレイジブルーとグローバルワークの店頭を見た感想でいえば、値引きは2017年度だけに行われたものではなく、毎年頻繁に行われていた。
2016年秋冬物でも、ウール系のコートは2016年末にすでに40~50%オフにまで下げられていた。

この2ブランドに関しては防寒アウターが割安になるというのが、個人的な評価である。

一方、同じWWDの記事でも

EC売上高は同17.3%増の333億円と順調に推移した。

と報道されており、他メディアでもだいたい似たような論調が主流だが、アダストリアのECを定点観測していると容易にわかることだが、ECでの値引きはリアル店舗とは比べ物にならないほどに凄まじい。

リアル店舗ではやらない「タイムセール」も頻繁に行われている。
値下げで収益を圧迫しているのはリアル店舗よりも各紙が「好調」と報じているECの方ではないのかとさえ思う。

例えば、2016年秋冬商品も、ECサイトのドットエスティを見ている限りにおいては多数在庫を抱えている。
それが2017年12月にはいきなり当時の店頭価格の半額以下で販売される。
もう店頭にはない2017年秋冬物だってECでなら今でも買える。
しかも値下げされたままだ。

多くの2017年秋冬アイテムは半額から6割程度にまで値下げされている。
今年秋に備えて買うなら今がお買い得だろう。もっとも今年秋にはさらに値下げされる可能性も十分に高いが。

そんな中でなぜかレイジブルーのウール混のチェスターフィールドコートだけは頑なに16%オフでとどまったままだ。
よほど製造原価が高かったのだろうか。それ以上は値下げしたくないというのがありありと伝わってくる。

一方、昨年12月から頻繁にドットエスティでは数日間の「タイムセール」が行われている。
例えば、50%オフされている商品があったとして、数日間だけはそこからさらに20~30%オフくらいになる。
しかもそれが毎月とか月に2回とかの頻繁なペースで行われており、早速2018年春物のタイムセールも行われた。

値引き販売で収益を圧迫しているのはリアル店舗ではなく、ECの方ではないのか。

ここを見ないとアダストリアの値引きの本質は見えないだろう。

その一方で、ECサイトの使い方としては上手いと思う。
某ワールドのようになんでもかんでもすぐにアウトレットストアの「ネクストドア」に放り込むというのは乱暴に過ぎてお話にならない。
あんたらの会社ごとネクストドアに放り込んだらどうかと思ってしまう。(笑)

リアルなアウトレットストアを大規模に展開すれば、どうしてもそちらと見比べて正規店のイメージダウンにつながる可能性がある。
また、シーズン遅れ商品や昨年の売れ残り商品はアウトレットでもなかなか売り切りづらい。

しかし、ECサイトなら話は別だ。

リアルなアウトレットストアとは異なり、誰でも見られるというわけでもない。
その存在を知らない人は見つけようもない。ウェブの苦手な人は一生見つけることはできない。

シーズン遅れ品や昨年度の在庫を値引き販売していたところでイメージもあまり悪化しない。
むしろ、ネットで買う場合こういう格安品を探すことが醍醐味となっている部分もある。

リアル店舗と異なり、陳列場所の広さにも制限はないから、売れ残りの格安品をいくらでも表示できる。

このように見ると、アダストリアのECサイト「ドットエスティ」の使い方は他ブランドよりも上手いと思う。
さらに頻繁なタイムセールで消化を高めている。

逆にちょっと笑ってしまうこともドットエスティではある。

お気に入りに登録したアイテムが残り少なくなると「残りわずかです」というお知らせメールと、その商品が再入荷したら「再入荷しました」メールが送られてくる。
これはこれで非常に便利な機能なのだが、ときどき「残りわずかです」というメールが送られてきた10分後くらいに「再入荷しました」というメールが送られてくることがある。

これには笑うしかなく、単なるマッチポンプではないのか。

そもそも10分後に再入荷することもわからないのかということにもなるし、10分後に再入荷させるくらいならあらかじめ数量を積んどけよって話でもある。

まあ、もしかしたら、現在、スタートアップ界隈の騒ぎ屋連中がワーワー言っているAI(人工知能)のなせる技かもしれないが、数十年後はどこまで進化しているのかわからないが、現状はこの程度だとするとAIに職を奪われるということはあり得ないといえる。

まあ、なんにせよ、アダストリアのブランドを安値で買いたいという人がいたら、もっともお勧めできるのはECサイトのドットエスティである。リアル店舗で買うよりも格段に安い。返品不可だったり試着できないという不便があったりするが、コストパフォーマンスを狙うならこちらで買う方が圧倒的にお得だといえる。

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こんなの見つけた。なんだこれ?

決して盤石ではないゾゾの足元。有力ブランドのゾゾ離れが起きる可能性

いまだに経済紙やらIT系オピニオンからは、ZOZOTOWNへの賞賛が相次いでいるが、現実的にはそれは盤石で強固なものとはいえない。
むしろ、何かのきっかけでそれが崩壊する可能性も十分に秘めている。

少し以前に東洋経済オンラインにこんな記事が掲載された。

「ゾゾ頼み」から脱却へ、アパレル企業の苦闘
https://toyokeizai.net/articles/-/210060

初期からZOZOTOWNに出店していた有名ブランド・有名セレクトショップの多くはこのタイトルが示すようにZOZOTOWNから離れたがっているのが現状である。
その理由はこの記事にも書かれてある。

1、ZOZOTOWNに徴収される手数料が年々値上がりしていること
2、値引きクーポンの乱発で買い上げ客単価は年々低下していること
3、低価格ブランドが大挙して出店していること

この3つが理由である。
1、については記事中でも

代表格であるゾゾタウンは、順調に商品取扱高の拡大を続ける傍ら、手数料比率を年々引き上げている。現状は30%程度と百貨店での手数料に匹敵。モールで購入した顧客の詳細なデータも、アパレル側は入手できない。

とあるが、当方が聞いた数字は35%とのことだった。
売上高の35%も徴収されては、百貨店に出店するのと変わらない。
おまけに大手ブランド・大手セレクトは製造を商社に任せており、その商社は、ブランドによっても異なるが製造時に平均で20%の利ザヤを稼いでいる。もちろん、ブランドによってはもっと低い%しか取られていないブランドもあるが。

製造時に商社に20%取られ、販売する時にZOZOTOWNに35%取られるため、大手ブランド・大手セレクトの稼げる利益は極端に低くなる。
高い販売価格の大半は商社とZOZOTOWNに取られることになるのだから、一体何のための価格かということになる。

2、についても記事中で語られているが、当方が有名ブランド担当者から聞いた数字でいえば、毎年ZOZOTOWNでの買い上げ客単価は20%減で低下しているとのことだ。

そして、3、についても記事中での言及があるが、この数年間でジーンズメイトやウィゴー、タカキューなどの低価格ブランドが続々とZOZOTOWNに出店しており、出店ブランド数は4000近くにまでなっている。
実際にZOZOTOWNをパソコンやスマホの画面で見ると、低価格ブランドの商品が上位に表示されている。

人は同じ物・似たような商品なら安い方で買う。

当然、有名ブランドや有名セレクトと似たような商品はこれらの低価格ブランドで買われることが増える。

彼らからすると出店するメリットはほぼなくなったといえる。

この東洋経済オンラインの記事は「とは言っても、自社ECサイトを強化することも困難で、各社はジレンマに苦しんでいる」という論調だが、実際のところは有力ブランドは何かきっかけがあれば、ZOZOTOWNから離脱する心づもりがあると耳にしている。
そこまでのジレンマも葛藤もないのだと。

そのきっかけとは何だろうか。

ある関係者は、ZOZOSUITの配布がなされなかったときではないかと推測している。

鳴り物入りで発表されたZOZOSUITは、先日、ようやく発送開始がアナウンスされたものの、ツイッターやフェイスブック、インスタグラム上でもいまだに「手元に届いた」という報告を当方は見たことがない。
もちろん、発表時に先行して何人かのインフルエンサーには配布されていたがそれっきりであり、すでにもう4月になっている。

そもそもベンチャーが開発したあのスーツを26万枚も製造できるのかという疑問もある。

スタートトゥデイ自体は、別のサイズ測定ノウハウや数値を高値で買ったりもしているため、ZOZOSUITがそちらに置き換わるのではないかという見方も業界内にはある。

そうなったときに、有名ブランドのゾゾ離れが起きるのではないかというわけだ。

ZOZOSUIT発表時には26万人分の体型データを手に入れた(手に入れることになる)強みというものが盛んに論じられたが、もし、ZOZOSUITが本当に配布されず、別の手法に置き換わってしまうなら、26万人分の体型データではなく26万人分のクレジットカードデータを手に入れることが目的だったのではないかとさえ思えてくる。

しかも、スーツがなければ測定できない体型データと異なり、クレジットカードデータはすでにスーツの申し込み時に入手できているのだから、別の測定方法に置き換わったところで、スタートトゥデイ自体には何の不都合もない。

また、気になる情報もある。
某有名ブランド担当者によると、ZOZOTOWNへの新規流入はほとんど増えなくなっているという。
他方、Amazonは今もどんどんと新規流入を増やしている。

これは、服しか売っていないZOZOTOWNに対して、なんでも幅広く売っているAmazonとの違いで、ZOZOTOWNの弱みもそこにある。

ZOZOTOWNの利用者は比較的服好き・ファッション好きにとどまっており、その層はもうすでに取り込み切ったと考えられる。
以前にもここで紹介したアンケート結果では、ZOZOTOWNの利用者はユニクロの半分以下、ニッセンよりも下位の9%強しかいなかった。
これが広く大衆から見たZOZOTOWNの認知度・支持率である。

 

他方Amazonは本、玩具、食品、雑貨、家電、文具と幅広い商品を扱っているから、服好きでなくても利用できるし、利用してしまう。
先日は当方もAmazonでコピー用紙を発注した。

服に興味のない人(それが圧倒的大衆)からすると「ZOZOTOWNって何?それ美味しいの?」というのが実情だ。

服好きしか利用せず、その層は取り込み切ったZOZOTOWNと、服好き以外の幅広い需要を集められるAmazonとでは土台が勝負にならない。
圧倒的にAmazonの勝ちだ。

しかも、Amazonは服にも熱心にアプローチをかけており、東京ファッションウィークのスポンサーまで務めている。
「日本のファッションガー」というなら、どうしてZOZOTOWNや楽天がスポンサーにならないのか不思議でならない。
100億円の絵を買うカネはあっても東京ファッションウィークに出資するカネはないということか。(笑)

そんなわけで、ZOZOTOWNの足元というのは意外に揺らいでいるように見えてしまう。

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ZOZOはそれほど大衆に知られていないし支持もされていない

物事を考える場合いはミクロな視点とマクロな視点が必要になる。
ミクロとマクロが両輪で必要なのは何も経済学だけのことではない。

衣料品業界だってミクロとマクロがある。
業界人の多くが注目しているのはたいていがミクロな現象である場合が多い。

これが80年代とか90年代なら、それこそ、わけのわからん業界人が注目したといわれるちっぽけな裏原宿の店がブームになることも珍しくなかった。
当時はミクロな視点がマクロっぽい(完全なるマクロでもない)ブームを引き起こすこともあった。
しかし、2005年以降はそういうブームはほとんど起きなくなった。

あるとすれば、最初からマクロ狙いのヒートテックブームやウルトラライトダウンブームくらいだろうか。
夏場の男性の超短い靴下のフットカバーも着用人口が多いからマクロブームといえるが、これはアイテムがブームであって、特定のブランドがブームであるわけではない。

〇〇ブランドのフットカバーでなくてはダメ!

そんな買い方をする人はいない。ブランドがどこだろうが、脱げにくければそれで良いのである。
その観点からいけば、脱げにくく安いのはグンゼと無印良品が双璧といえる。
グンゼの自社ブランド、トゥシェやボディワイルドは2足で1000円未満だし、無印良品は3足990円だ。しかも無印良品のは日本製だ。
グンゼのは定価が990円くらいだが、値引きで2足500円台になることもある。

この2ブランドがあれば、ほかのフットカバーはカネがもったいなくてちょっと買えなくなる。

それは置いておいて、まあ、最近の衣料品業界の業界人が注目する事象は影響力がミクロにとどまることが多いと感じる。
このあたりも衣料品業界、ファッション業界の影響力が下がった、あるいは業界への注目度が低下していることの現れではないかとも思う。

さて、現在、業界は猫も杓子もアホの一つ覚えみたいに「ネット通販」「EC強化」である。
その成功事例として、業界人とメディア、スタートアップ界隈の騒ぎ屋どもが注目するのが、スタートトゥデイが展開するZOZOTOWNであり、それに付随した各種サービスだ。

しかし、その注目は所詮はミクロな現象でしかないと当方は感じている。
盛り上がっているのは業界人だけ、そんな印象でしかない。

以前にネット通販についてのアンケート調査をこのブログで紹介した。

ファッション性が高くて高価格な服はインターネット通販では売れにくい
http://minamimitsuhiro.info/archives/2242.html

この中で、アンケート調査の結果を引用した。

 

その消費者アンケートによると、衣料品を購入した通販サイトの圧倒的1位(22%)はユニクロである。
二位が半分以下の9・9%でニッセン、三位が僅差の9・8%でセシールであり、業界人が大好きなZOZOTOWNは9・3%でベルメゾン(千趣会)と同率四位でしかない。

一般大衆にいかにZOZOTOWNの知名度が低いか、いかに支持されていないかがわかる。

ユニクロの半分以下というのが本当にその事実を示している。

そして、スタートアップ界隈の騒ぎ屋どもとイシキタカイ系が注目しているゾゾスーツだが、これも知名度は低い。
極めてミクロにしか注目されていないといえる。
それをまとめたアンケートがこちらだ。

「ZOZOスーツ」認知率33%、Instagramでファッション情報入手するのは22%
https://netshop.impress.co.jp/node/5253

ZOZOSUIT」を「利用したことがある」と答えた割合は1.6%。「利用したことはないが知っている」は16.4%、「名前は聞いたことがある」は15.2%だった。回答者全体から「知らない」(66.8%)の割合を除いた認知率は33.2%。

とのことで、67%の人間はゾゾスーツの存在すら知らないのである。
これがマクロの正しい反応である。業界人やスタートアップ界隈の騒ぎ屋どもがいかにニッチな嗜好なのかがよくわかるではないか。

しかもまだほとんどの人間の手元にしか届いていないはずのゾゾスーツを利用したことがあると答えている1・6%という数字は盛っているのではないかとさえ思う。
もし、盛っているとなると、ゾゾスーツの認知度はもう少し低くなる。まあ1%くらいの話だが。

実情は68%くらいの人間がその存在を知らないというところだろう。

この結果に立脚すると、最近、メディアやスタートアップ界隈の騒ぎ屋どもが煽っているように、「ゾゾがユニクロに取って代わる」なんていうことは短期的にはほとんど可能性はゼロといえる。

知名度も利用者数もユニクロの半分以下であり、これが現在のゾゾへの評価である。
そんな程度の存在が発売したPBごときでユニクロの牙城が崩されることは短期的にはない。
あったとしてもそれは10年後~20年後のことだろう。そのときまでゾゾが存在していればの話だが。

某ブランドのネット担当者が、「ゾゾのスタッフは本気でユニクロ追撃を狙ってますよ」と言っていたが、スタッフは白昼夢か幻覚でも見ているのだろう。

現時点においては、ゾゾはマス化しておらず、ニッチな存在であり、これがユニクロほどの存在になることはちょっと考えにくいと言わなくてはならない。
そのため当方はゾゾを極めて冷ややかにしか眺めていない。

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「知名度主義」の人材起用がアパレル業界を低迷させている
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n50ca3a6bf56c

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まだ読んでない人はこちらもどうぞ。ちきりんの推薦文は要らんけど。(笑)

ウェブに無理解な「アホな指示」に失笑を禁じ得なかった話

アパレル業界は本当にロジカルに考えられない人が多い。
とくに昔ながらのやり方で育ち、独学で個店や小規模ブランドを運営している人にそういうタイプをたびたび見かける。

先日、ある高額洋服店でのやり取りをそれとなく聞いていたら、アホな指示ばかりで失笑を禁じ得なかった。
ほぼ個店といえる小規模な店なのだが、まるで的外れな指示を出していた。例えば、

 

1、ブログを1日に3回アップしてほしい
2、ZOZOTOWNに出店しているブランドに取引ができないかどうかを片っ端からアプローチしろ



である。

普通に筋道立てて考えられる人間なら、この指示がいかに馬鹿げているかが瞬時に理解できるだろう。
まず、1だが、ブログを1日に3回も更新したら読者からすれば鬱陶しいことこの上ない。
読者は専業主婦やニート、年金生活者に限られているわけではなく、仕事を持っている人も多数いる。
そういう人たちがいくらブログを愛読してくれているからといって、1日に3回も更新すれば仕事をしている人間にとっては鬱陶しくて仕方がない。
逆にいえば、その指示をした人は、自分がその立場になってなぜ考えられないのだろうか。
愛読しているブログがあったとして、毎日3本ずつ更新なんてされたら、ただでさえ仕事をしていて時間がないのに、とてもではないが全部は読み切れないだろう。更新頻度が高すぎて、そのうちに読まなくなる。

次にZOZOTOWNに出店しているブランドへのアプローチだが、現在、ZOZOTOWNに出店しているブランドは約4000あるということを知っているのだろうか。
以前のZOZOTOWNはユナイテッドアローズやアーバンリサーチなどの中級価格帯のオシャレブランドの出店しかなかったが、現在はウィゴー、ジーンズメイト、タカキューなどの低価格ブランドの出店数が増えている。
ウィゴーやジーンズメイト、タカキューの1900円とか2900円の商品を仕入れて店に並べたいのだろうか?
彼らからすれば投げ売るほどに過剰在庫を抱えているから喜んで卸してくれると思うが。(笑)

このアホな指示から導き出せる結論はただ一つ。
この人たちはウェブをまるで理解していないし、もしかしたらインターネットの画面すらほとんど見ないのではないかということである。

もし、まともにインターネットの画面を1日に20分ずつでも見ていれば、こんなアホな指示は恥ずかしくて出せないだろう。

しかし、これが個店レベルのたたき上げの年配層の感覚であることもまた事実で、アパレル業界はなるほど凋落するはずである。

一見するとウェブを重視しすぎているかのような指示だが、その根底には無理解とウェブの軽視がある。
ウェブなんて単なる道具に過ぎないから、重視しすぎるのも軽視しすぎるのもどちらもダメで、さらにいえばこの手の無理解な年配層は害悪でしかない。

それにしても、この程度の人がそれなりになんとかやってこられたのが、2000年までのアパレル業界で、勘と度胸とどんぶり勘定(K・D・D)で何とかなってきた業界だった。
バブルが崩壊していた90年代半ばでもそんな雰囲気はあった。

もちろん、商売において勘と度胸は必要だが、どんぶり勘定は不要だし、それらのみではどうしようもない。
アホな指示と場当たり的政策のオンパレードで現場は嫌気がさしてしまうし、アホな上役は確実に軽蔑される。

それにしても現在のアパレル業界はこの手のウェブ無理解派と、スタートアップ界隈の「騒ぎ屋」に毒されたウェブ妄信派との二極化が進んでいると感じる。

ウェブ妄信派はマスコミにも多く、企業やブランドの評価を「EC比率の高さ」に置いている。
しかし、何度もいうようにウェブなんてものは道具に過ぎなく、そのブランドが実店舗で売れているならウェブ通販に力を入れる必要もないし、実店舗で売れない商品がネット通販では売れるなんていうこともあり得ない。
なぜ、EC比率が高まれば、アパレル企業やブランドの業績は上向くと無邪気に信じられるのかまったく理解ができない。

一方の無理解派は、なんだか「ウェブはすごいらしい」「ZOZOTOWNは売れているらしい」というところで思考停止しており、ZOZOTOWNの現在の出店ブランド数さえ確認しない。
その結果、4000あるブランドにすべてアプローチしろなんていうアホそのものの指示を出してしまう。

また、ZOZOTOWNに低価格ブランドの出店が増え、客単価が低下しているという現状の問題点を理解していないから「ZOZOTOWNに」なんていう安易な指示を出してしまう。

その結果、ますます業績は低迷する。

いつの時代だってどんな業界だって、効果的な施策は正しい現状認識に基づいて立てられる。
勘と度胸とどんぶり勘定と思い込みだけで立てた施策なんて使い物にならない。

見切り発車で走りながら修正するという方法はあるだろうが、先の2つの指示なんて試すまでもないほどの愚策である。
それはブログというメディアの性質を正しく理解していないし、ZOZOTOWNが抱えている現在の問題点をまったく理解していない上に成り立っている。

この手の上層部が定年退職を迎えればもしかしたらアパレル業界の不振は底打ちになるかもしれない。
それまであと15年くらいは必要だろうから、その間に一体どれほどの企業やブランドが消滅するだろうか。

NOTEを更新~♪
プライベートブランド「ZOZO」の生産システムは、現時点では「完全オーダーメイド」ではない
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nc6e9da2bffeb

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ストライプデパートメントの事業計画が控えめであることは正しい

ストライプインターナショナルとソフトバンクが提携し、合弁会社ストライプデパートメントを設立し、ECモールを開設した。
これに対して様々な意見があるが、個人的にはピンと来ない。
いつも眉唾で見ている経済系インフルエンサーやスタートアップ界隈も賛否両論に分かれている。

期待している人たちには申し訳ないが、彼らの目論見ほどは広がらないのではないかと見ている。

「日本一のファッションECデパートに」ストライプとソフトバンクの合弁会社がF2層向けオンラインモール開設
https://www.fashionsnap.com/article/2018-02-15/stripe-department/

ターゲットはF2と分類される35歳~49歳の女性で、百貨店ブランドをそろえる。

スタート時は、百貨店で取り扱いがある「ビューティフルピープル(beautiful people)」「タロウ ホリウチ(TARO HORIUCHI)」「アキラ ナカ(AKIRA NAKA)」といった国内ブランドや、三越伊勢丹のプライベートブランドなど約600ブランドのアイテム計6万点以上をラインナップ。

とのことで、

アパレルと雑貨が6対4、今後はスポーツアパレルや美容・健康分野を増やし、セレクトショップや海外のハイブランドの出店も視野に入れている。基本的に委託販売で、物流は外注。客単価は1万5,000円を想定し、取扱高の目標は初年度16億円、3年後に100億円。事業計画として、取り扱い3000ブランド、購入顧客数300万人、1000億円の取扱高を目指す。

としている。

百貨店ブランドや百貨店価格帯を扱うECというのはたしかにあまりなかったから、挑戦してみる価値はあると思う。
しかし、なかなか上手く行かないのではないかと思う。
実際に、事業計画もそれほど大きくない。
初年度の取扱高は16億円と抑えているし、3年後の取扱高も100億円と控えめだ。

取扱高というのは、出店テナントの売れた総額で、ストライプデパートメントはそこから手数料やら出店料をもらうという形になっている。
取扱高が16億円というのは、初年度の出店ブランドすべて合わせた売上高が16億円ということで、商品単価の高さや出店ブランド数から考えるとそれほど大きな数字とは言えない。

むしろ、かなり控えめに見積もっているといえ、ストライプデパートメント側もかなり慎重である。当方としてもこれくらいが妥当で、もしかしたらこの見積もりを下回るのではないかとも思っている。

そもそも衣料品をEC、ネット通販で買う人は業界人やスタートアップ界隈が想像しているより少ない。
先日アップした当方のブログでもそれをまとめている。

ファッション性が高くて高価格な服はインターネット通販では売れにくい

・1年に1回以下服をECで購入する人が8・6%
・直近の1年間は購入していない人が13・5%
・インターネットで服を買わない人が36・0%

という数字になっており、合計すると58%強にもなる。
いかにインターネットで服を買う人が少ないかである。

で、インターネットで服を買う場合、

・試着したことがあったり、以前に買ったことがあってサイズ感がわかっている
・生地を触ったことがある

この2点をクリアできない限りは高額な洋服は売れにくい。

先日の記事でも紹介したが、圧倒的に利用されているのはユニクロ(22%)で、それにニッセン、セシール、ベルメゾン、ゾゾ(それぞれ9%ずつ)と続く。
どれも低価格帯の商品を扱っているところばかりだ。

唯一ゾゾだけは違う印象があるが、ゾゾも近年はウィゴーやタカキュー、ジーンズメイトなどの低価格ブランドの出店が相次いでおり、低価格帯の商品量が増えている。
ゾゾの利用者(9%)の何割かはこれらを利用しているのではないかと見ている。

インターネットで購入される衣料品の主力は、サイズ感が厳密ではないTシャツ類・カットソー類・セーター類となり、あとは肌着や靴下となり、これもブラジャーやガードル、コルセットなどのファンデーションは除いてサイズ感が厳密ではない。
オッサンがワイシャツの下に着る肌着Tシャツなんて1センチや2センチ小さかろうが大きかろうが大した障害ではない。
靴下だって同じことだ。1センチ小さいからといってさほどの弊害はない。

こう考えるとストライプデパートメントが狙っている百貨店価格帯の衣服がそう簡単には売れるのかと疑問に感じる。
恐らくは売れないだろう。だから取扱量が控えめに16億円となっているのではないか。

またターゲット層としているF2層がそれほどネットで高額衣料品を買うかどうかも怪しい。
当方はほとんど買わないと見ている。

もちろん、ユニクロやらニッセン、セシール、ベルメゾンなんかの低価格品は買うだろうが、試着もせずに生地も触らずに1万円を越える服をネットで買う人がそれほど多いとは考えられない。

返品・交換のめんどくささを考えると、触ったこともない衣料品をインターネット通販で買う場合は、「もし合わなかったら捨てても惜しくない」という値段帯に限られるといえる。

この辺りを冷静に考えて、初年度取扱高(くどいようだが売上高ではない)を16億円と控えめに設定しているのではないかと思う。
新しい物好きのスタートアップ界隈ですら否定論が散見されるのはこの辺りを踏まえてで、無条件にワクテカしているスタートアップ界隈はよほどに無邪気な性質なのだろう。英語でいうところのnaiveである。

また、ストライプデパートメントの集客もなかなか難しい。
そもそも知名度がない。
凋落しているとはいえ、ニッセン、セシール、ベルメゾンがゾゾと同率で利用されているのは、以前からカタログ通販としての知名度が強固だからだ。
またカタログを利用していた人たちの中にもインターネット利用へ乗り換えた人も多いだろう。

そのどちらもストライプにはない。

さらにいえば「ストライプ」という社名・ショップ名とF2層もミスマッチである。
ストライプインターナショナルといえば、アースミュージック&エコロジーやイーハイフンワールドギャラリーなどのブランドが知られており、圧倒的に10代・20代前半の若い女性層(F1層)での知名度が高い。
当然、社名に対するイメージも若い女性層と密接にリンクしており、F2層とはマッチしない。
F2層の人で、ストライプという社名を聞いて自分たち向けの衣服を販売しているとイメージする人がどれほどいるだろうか。
恐らくほとんどいないのではないかと思う。

「あ~、若い女の子向けね」と思う人がほとんどだろう。

となると、社名・ショップ名に「ストライプ」の冠を付けてF2層を狙うというのは得策ではない。

ある知り合いが「ソフバンデパートメントという名前の方がよかったんじゃないですかね?」と言ったが、ソフバンではあまりにダサいが、ストライプを冠する必要性はまるでなかったと思う。

ソフバンとストライプでSSデパートメントか何かの店名の方がよかったのではないか。

そんなわけで、ストライプデパートメントが爆発的に売れるということは考えにくく、ストライプインターナショナルが展開するメチャカリ同様に少数安定的な売れ行きで推移するのではないかと思う。

市場を開拓するにはさまざまな挑戦が必要となり、今回も貴重な挑戦だとは思うが、これは嚆矢に過ぎず、すぐさま成功をおさめられるような事業プランではない。
目標に掲げている取扱高1000億円に到達するには相当に長い期間が必要となるだろう。

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ファッション性が高くて高価格な服はインターネット通販では売れにくい

相も変わらずアパレル業界人もメディア業界人も経済系インフルエンサーもインターネット通販比率を高めることが、アパレル復活のための最有力な手段だと信じているが本当だろうか。

インターネットで服「も」売れる時代にはなったが、インターネットで服「を」買いたいという志向ではないと見ている。
ファッション専門学校生に聞いてもインターネットで買う物は圧倒的に服以外が多い。
雑貨、日用品、アクセサリー、消耗品、本などなどだ。当方はそこにガンダムのプラモデルが加わる。

インターネットで服を買いづらい理由は

1、サイズ感がわからない
採寸データの明示だけではシルエットは類推できない。採寸データはあくまでも数値で数値さえ合えばサイズが合うというものではない

2、素材感がわからない
その素材が薄いのか厚いのか、固いのか柔らかいのか、伸縮率がどれくらいかは触ってみないとわからない

この2つだと思う。
サイズの不安を払拭しようとしているZOZOTOWNの取り組みは流石だと思うが、素材感までは解決できない。バーチャル触感みたいな技術が開発されない限りはこれを払拭する手立てはない。

で、統計データではインターネット市場が伸びているとはいえ、それは服も含めての市場規模であり、インターネットでも買いやすい雑貨、日用品、消耗品、部品、家電などが多分に含まれていることを忘れてはいけない。
「インターネットなら服が売れる」論者はそこを考慮していないのではないかとさえ思う。

ファッション通販サイトに関する最新のアンケート結果がある。

【ファッション通販サイトに関するアンケート調査】
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000557.000007815.html

ZOZOにばかり目を奪われ、ユニクロはネット通販比率が低いからダメとか言ってた連中は息をしているのか?という結果になっている。

まず、購入頻度だが

◆インターネットでの衣料品の購入頻度
直近1年間にインターネットで衣料品を購入した人は5割、男性4割強、女性6割です。購入頻度は、「3~4ヶ月に1回程度」「半年に1回程度」がボリュームゾーンとなっています。



とのことで、購入頻度はそれほど高くない。
毎月ネットで服を買う奴なんてごくわずかのマニアに過ぎない。
マニアを基準に語るからアパレル業界は不振業界になっている。これはネット通販に限らずである。

そして「インターネットで服は購入しない」という人も36%存在する。

 

◆衣料品を購入した通販サイト
直近1年間に衣料品をインターネットで購入した人のうち、ファッション通販サイトでの購入者は8割です。提示した選択肢の中では、「ユニクロ」が22.0%、「ニッセン」「セシールオンラインショップ」「ベルメゾンネット」「ゾゾタウン」が各9%台となっています。

「ショッピングモールサイト(楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazonなど)」での購入者は5割弱、30・40代で比率が高い傾向です

とのことで、業界的・インフルエンサー的見地からすると圧倒的に注目度が高いはずのZOZOはユニクロの利用率の半分以下で、苦戦が伝えられるニッセン、セシールあたりとまったく同率となっている。
ZOZOを利用している人は決してマスカスタマーではないということがわかる。

ユニクロは圧倒的に利用率が高い。「ユニクロはネット比率が低いのが弱点」論者は息をしているのだろうか?

当方でもユニクロのネット通販を利用するが、それ以外のブランドはほとんどネット通販で買わない。
理由は、先ほどの2点をユニクロがクリアしているからだ。
全国800店以上あり、自宅近所にも職場近所にも、また乗換駅近所にもユニクロはあり、そこで一度は試着したり生地を触ったりしているからだ。店に寄る時間がないときはネットで注文をする。

他のブランドの利用率が低い(例:ユナイテッドアローズ1・9%)のは、店数が少なくユニクロほど気軽に試着しに店に入れないからだろう。
ユナイテッドアローズでユニクロのように気軽に入店して試着することも生地を触ることも難しい。
消費者の大嫌いな販売員が絶対に近づいてきて会話をしなくてはならない。
そんなめんどくさい思いまでして服なんて誰も試着したくない。

さらにいえば、ユナイテッドアローズの服はユニクロほど安くない。
試着せず、生地を触らずに「試し」で買うにはハードルが高い。
もちろん、返品交換はできるかもしれないが、送料がかかったり再梱包して集荷をお願いするめんどくささがある。
今年の1月に2度Amazonでサイズが合わなくて返品したことをこのブログで書いたが、送料無料とはいえ、再梱包と集荷のめんどくささは感じた。次からその作業はしたくない。
だからサイズがわからない服は通販では買わない。

またファッション単独サイトよりもAmazonや楽天、Yahoo!での買い物が多い。
これは取りも直さず、衣料品をネットで買いたいという人がそこまで多くないということで、衣料品以外が豊富にそろっているその3サイトに訪問者が集中しているということである。

購入品目にもそれが表れている。

◆インターネットで購入した衣料品
直近1年間にインターネットで購入した衣料品は、「下着、インナー」「Tシャツ、カットソー、ポロシャツ」「パンツ、ズボン、スラックス」が購入者の3~4割です。男性20~40代では「Tシャツ、カットソー、ポロシャツ」が最も多く、「ニット、セーター、カーディガン」は女性で比率が高くなっています。

とのことで、サイズ感が多少違っていても伸縮するから着やすいTシャツ、カットソー、セーター、肌着類が多い。
パンツが上位にあることが以外だが、これは

1、昨今イージーパンツ系が流行している
2、昨今ワイドシルエットが流行している

この2点が理由ではないかと思う。
イージーパンツ系はウエストがゴムや紐になっているので、通常のパンツよりもサイズが厳密ではない。
また、ワイドパンツが流行していて、太ももやヒップのサイズも緩い。
これが以前のようなタイトシルエットしかない状態だったらここまで上位に来たかどうか。

サイズ感とフィット感が重視されるスーツやビジネスコート、ドレスシャツはまったく姿を見せていない。
当たり前で、ZOZOSUITが最も必要とされるのはTシャツやジーンズなどではなく、これらのアイテムに対してだろうと思う。
あとは5ミリの違いでも履けなくなる「靴」というアイテムにも最も必要とされる。
Tシャツやカットソーなんて1センチや2センチなんてどうとでも伸び縮みするからまったく不要だ。

回答者のコメントも非常にためになるので以下に貼り付けておく。

◆衣料品を購入する通販サイトの不満点・改善してほしい点 (全1,942件)
・自分から検索しないと出てこないので、何となくのイメージで探したい時には不向き。(男性28歳)
・サイズ感がわからないので、試着できるようなシステムがあれば嬉しい(特に靴)。またズボンなどは裾上げなんかもできればバッチリ。(男性35歳)
・品切れ中の商品を出品欄に載せないでほしい。(男性36歳)
・金額が小額だと送料と合わせてあまりお得な金額にならず購入を断念する事がある。(男性48歳)
・選んで服の上下の組み合わせなど提案してほしい。(女性22歳)
・着用モデルが外人だと逆にイメージしづらい。イメージしやすいように一般人に近い体型の人をモデルに使ってほしい。(女性31歳)
・モデルが着ていない服は、丈の長さがわかりにくいので、モデルの身長と共に着ていてほしい。同じカットが多いものもあるので、後ろ姿などもみられるとわかりやすい。(女性40歳)
・詳しく調べなくても商品の在庫がわかるようにして欲しい。(女性58歳)

となっており、「見た目の綺麗さ」とか「見た目のかっこよさ」だけを追求したサイトでなんて到底服は買えないということである。
外人モデルというよりも、ステージ向けモデルは体型が一般人と違いすぎて「イメージ写真」には適しているかもしれないが、購入してもらうページには不要である。
例えば、冨永愛さんの全身像が映っていて、一般人がその体型を見て参考になるだろうか。まったくならないだろう。
男性だって同じで購入ページに阿部寛さんが映っていて参考になるわけがない。阿部寛さんの身長は190センチもある。

この結果を見ると、ファッション業界人が期待するほど服は売れてないし、ZOZOの利用率も高くない。
逆に経済系インフルエンサーの指摘するユニクロ危機論も的外れにもほどがある。

ファッション性が高く、高価格な服はインターネットでは売れにくい。

これを前提として組み立てないと、またぞろアパレル業界は苦戦を強いられることは間違いない。
まあ、考えが浅くて自意識過剰な人が多いアパレル業界人がこの事実を直視するのは難しいのだろうけど。

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足が疲れにくいお勧めスニーカーを貼っておく

プライベートブランド「ゾゾ」のすごさは商品ではなく、そのプロモーション手法にある

プライベートブランド「ゾゾ」が発表され、各報道を見ると、矛盾した言説・受け答えが溢れており、読めば読むほど整合性がなくなる。
長らく交流している方から、ゾゾ商品のサイトが完成していると教えていただき、直接自分の目で確認することにした。

http://zozo.jp/pb/

基本的に、ゾゾという商品はフルオーダーではなく、パターンオーダーだということがわかる。
ゾゾスーツでの採寸によって、サイズを合わせるという「仕掛け」によって、「一からその人に合うサイズの服を作る」と思っている人が多いように感じる。
とくに、衣料品業界外のイシキタカイ系ジャーナリストや経済紙関係者にはその嫌いが多い。

採寸によって、一から型紙を起こすというのは、「フルオーダー」でこれは何十万円もする。
何せ、ゼロから形を作り上げるのである。

一方、近年、3万円前後で「オーダースーツ」が売られるようになっているが、これはフルオーダーではなく、パターンオーダーないしイージーオーダーと呼ばれる手法で、厳密にいうとパターンオーダーとイージーオーダーは別らしいが、ここではほぼ同じとして取り扱わせてもらう。

あらかじめ決まったパターン(型紙)があり、採寸したデータをもとにそれを微修正するのがパターンオーダーである。

A6サイズのスーツがあったとして、採寸したデータをもとに、袖を短くしたりウエストを広げたりと微修正する。
襟の形やボタンの種類を選べるようなオプションを付けることができるが、それもゼロから作り上げるわけではない。

これによって、製造期間は短縮できるし、製造コストも抑えることができる。
だから3万円前後でオーダースーツが作れるというわけだ。

受注して即日~2週間で納品できると謳っているゾゾは取りも直さずパターンオーダー商品だといえる。
また「即日納品」が可能だということは、あらかじめ標準商品を何枚か作りおいていて、その標準商品に適応した体格の人から受注があれば、それを即座に送り出すということになり、これなどはパターンオーダーですらなく、単なる既製服販売と同じということになる。
既製Tシャツ1200円というのは、果たして「破格値の安さ」といえるだろうか?

標準商品で満足できない人には、採寸データをもとにした「微修正」が加えられる。
裾丈の長さ、袖の長さ、袖幅などなどを微修正する。

これはジーンズでも同じである。

型紙の微修正なんていうのは、現在ではパソコンのCADCAMを使って行う。
袖丈や袖幅を変更した際に最適なように全体を自動的に微修正してくれる。

ジーンズで限りなく、ウエストのデカい人(150センチくらい)がいて、それ用にウエストを広げた場合、グレーディングと呼ばれる各部の比率変更が必要となる。これを今ではパソコンソフトでできる。
ウエスト150センチに広げた場合、それに比例して各部を広げると、ジーンズの裾幅なんてめちゃくちゃに広くなって袴みたいなジーンズになってしまう。
それではさすがにおかしいので、裾幅はあまり広げずにウエストだけを広げる。
これがグレーディングという作業で、標準とされるS~Lサイズだって同じグレーディングが行われている。

例えば、アダストリアのレイジブルーの商品で見てみよう。

http://www.dot-st.com/rageblue/disp/CSfGoodsPage_001.jsp?ITEM_CD=780048

このズボンのサイズは

Sサイズ ウエスト74センチ・もも周り62センチ・裾幅31センチ

となっている。また、

Lサイズ ウエスト89センチ・もも周り64センチ・裾幅34センチ

となっている。

見比べてみてどうだろうか?
ウエストは15センチ拡大しているのに、もも周りは2センチしか違わない。
裾幅も3センチしか大きくなっていない。

これはウエストに比例して各部を広げていないという証明で、このサイズ比率の変更がグレーディングであり、これは既製服でも普通に用いられている。

ゾゾのオーダーとはパターンオーダーと採寸によるグレーディングを合わせた手法で、「完全オーダーメイド」ではなく、イシキタカイ系が夢想するような「フルオーダー」でもないということである。

商品そのものについてはどうだろうか。
Tシャツとジーンズの画像と説明文を見た限りでは、はっきり言って「普通」である。
恐ろしくかっこいいわけでもないし、恐ろしくダサいわけでもない。
あくまでも「普通」であり、それ以上でもそれ以下でもない。

素材も普通だが、ちょっと奇妙なこともある。

メンズのTシャツの使用素材は40番手双糸なのに対して、レディースのTシャツは20番手単糸なのである。(ウェブサイトにそう書いてある)

ちょっとでも生地や糸の知識がある人にはその可笑しさが伝わると思うのだが、そうではない人のために蛇足ながら説明をする。

この二つの生地は一見するとほぼ同じに見えるだろう。
生地の厚さも同じだ。

しかし、どちらが高品質な素材かというとメンズである。

20番、40番とは糸の太さを表す「番手」であり、数字が大きい方が糸は細くなる。
40番より20番の方が糸が太い。

ところが、糸というのは1本だけで生地を織ったり編んだりせずに、2本を撚り合わせて使うこともある。
1本の糸で織ったり編んだりすると「単糸使い」といい、2本撚り合わせた糸で生地を構築すると「双糸使い」となる。
当然、糸を2本使っているので、材料費は「双糸使い」の方が高くなる。

じゃあどうしてそんなめんどくさい「双糸使い」なんていう生地があるのかというと、単糸使いの生地は総じて、洗濯をすると斜行しやすくなるからだ。とくにTシャツやカットソーの単糸生地は斜行しやすい。これを防ぐために「双糸使い」という生地がある。

そういう意味でメンズTシャツ素材の方が圧倒的にレディースよりも高品質である。

またなぜ生地の厚さが同じかというと、細い40番手の糸も2本撚り合わせると、太さは倍になる。当たり前だ。
40番手2本で、20番手単糸と同じ太さの糸になるため、それぞれを使って編んだ生地は厚さは同じになる。

だから、見た目はメンズもレディースも同じ生地に見えるが、中身は別物だ。

通常、レディースの方の生地クオリティをメンズより落とすことは考えにくく、これは恐らく、同じ生地が手配できなかったための代替措置ではないかと思う。
それでも当方なら20番単糸生地をメンズに使うが、あえてそれをレディースに持ってきたスタートトゥデイは本当に生地に興味がないんだと思う。

プライベートブランド「ゾゾ」の商品自体は限りなく「普通」で、レディースのTシャツ生地のクオリティはあまり高くない。
ジーンズも普通だし、デニム生地も綿99%・ポリウレタン1%の12・75オンスデニム生地なので、ありふれている。

ゾゾの「物」自体は大したことがない。現段階では。

ゾゾのすごいところはその「仕掛け」「販促の手法」にある。
アパレル業界が見習うべきはこの部分である。

まず、採寸できるゾゾスーツの開発に投資するという「仕掛け」。

そして、そのスーツを無料配布するという手法。
それで期待感を煽り、商品の発表ということになるが、期待感で煽られている人が多数いるため(特に経済系インフルエンサーやメディアなど)、メディアに大量に記事掲載される。

従来からあるパターンオーダーと場合によっては既製服販売に過ぎないものが、最新鋭テクノロジーで作られた服かのように報道される。

商品自体はあくまでも「普通」だし、その供給システムも従来型パターンオーダーの域を何一つ出ていないのに、最新テクノロジー服という「イメージ」だけが醸成され続けていく。

この「イメージ戦略」は正直なところ、海外ラグジュアリーブランドにも匹敵するといえる。
単なる塩化ビニールの鞄をさも「良い物」というイメージを与えているルイ・ヴィトンと同じ手法といえる。

そういう意味では、この「仕掛け」「販促手法」「見せ方」は見事だというほかない。

そもそも、今の衣料品でだれもが驚くような画期的な商品なんてものは出現しない。
もしかしたら、未来においては1ミリ秒で蒸着できるようなコンバットスーツが開発されるかもしれないが、そういうものでない限りは、驚くほど画期的な服なんてものは出現しない。

そういうものが現れるとしたら、ハイテクノロジーを詰め込んだウェアラブルだったり、ハイテク機能を満載した機能素材で作られた服くらいしかない。

洋服という商品においては「物自体」での差別化や革新は生まれにくくなっており、「普通の物」と「従来型パターンオーダー」という手垢にまみれた供給システムを再編集して見せなおしたというスタートトゥデイの手腕はすさまじいものがある。
国内のアパレル業界に足りないのはこの部分であり、そこは大いに見習うべきである。

ただし、個人的にはこの商品を買おうとは思わない。
ユニクロで1990円に値下がりしたジーンズを無料で裾上げしてもらった方がコスパが高い。

NOTEを更新~♪
大手広告代理店を使って残念な結果を甘受する残念な国内アパレル 企業
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n9a5a776d532a

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プライベートブランド「ゾゾ」に関する報道は矛盾が多くてさっぱり理解できない

スタートトゥデイによるプライベートブランド「ゾゾ」の概要は様々な記事を読んでもさっぱりつかめない。
どうしてつかめないかというと、価格帯と納品までのリードタイムと製造の仕組みがそれぞれバラバラで矛盾しているからだ。

一般紙の記事はもちろんのこと、業界紙の記事も同様でサッパリわからない。
業界紙の場合は、製造などについて一般紙よりも詳しいはずなのだが、そのところへの言及はなく、発表時の文言のみで報道しているとしか思えない。

WWDを例に出す。

https://www.wwdjapan.com/515448

この記事によると、

“ぴったりな”サイズを注文できる受注生産体制をとる。しかも、袖丈や着丈などのサイズ感は自分で調整でき、注文後は即日〜2週間で商品が届く。

とある。

これはいわゆる、パターンオーダーの考え方でその都度の受注生産だと考えられるが、通常、この生産方法だとフルオーダー(フルオーダーとパターンオーダーは生産構造自体がまったくの別物)ほどの高価格にはならないが、ユニクロに並ぶ低価格には抑えられない。
さらに注文後は「即日~2週間で納品」とあるが、ここも良くわからない。

衣料品業界は製造と商品企画と売り場がそれぞれ分断されていて、包括的に知識を持つことが難しい業界であり、それこそ誰でも知っているような著名なデザイナーや企画マンですら製造のことはあまり知らない。
大手セレクトショップの社長なんて製造のことを知っているはずもない。

だから、この「即日~2週間」という文言を見たとき、消費者はもとより、業界の製造に携わらない人たちだってまったく何がおかしいのかわからない。
現に、普段から当方と頻繁に行き来しているスタイルピックスの深地雅也社長だって、ピンとこなかった。

ここでの疑問点は、「生地はどうしているのか?」という点である。
当たり前だが生地が無くては服は作れない。

当然のことながら、生地を用意する必要があるが、即日~2週間という短期間で納品するためには、生地をその都度作るのでは到底間に合わない。

おわかりだろうか?
生地をそんな短期間で製造することは不可能なのである。

この場合、ゾゾは2つの方策で生地を手配すると考えられる。

1、商社・生地問屋または工場が備蓄する、またはゾゾが備蓄する
2、業界に常に流れている定番生地を使う

この2つである。
即日納品なんて看板を掲げているので、その都度注文が入ってから生地を作ることは絶対にできない。

これ以外に短納期で洋服を作ることは不可能で、もしかすると、一般メディアやイシキタカイ系経済関係者は「ゾゾが画期的なシステムを構築したかもしれないだろ」と反論しそうだが、ゾゾが生地の背景まで買収やら業務提携したという話は聞かないし、いまだに発表もされていない。

縫製段階までは何らかの手を打って投資したと発表しているが、生地製造に関しては何の発表もない。

90年代後半にワールドがクイックレスポンス体制(QR体制)を構築し、市場を席捲したが、これは「売れ行きが良かった商品をクイックに(2週間~3週間)で追加生産して店頭に並べる」ということが目的だった。
しかし、同じ生地がない場合も多く、その場合、どうしていたかというと、「似たような生地」もしくは「まったく別の生地」を用意して同じデザインの商品に仕上げて対応していた。

それほどに生地を一から作るのは時間がかかる。追加発注から3週間で店頭に並べるのに、一から生地を製造している時間はないのである。

一概に生地を製造と言っても、さまざまな段階がある。大きく分けて

1、綿(わた)から配合して生地を作る
2、糸を交撚や加工する段階から生地を作る
3、完成した糸は備蓄してあり、生地を織る(編む)

の3つがあるが、まったく完成までの時間が異なる。
もちろん、1がもっとも時間がかかる。

糸の成分組成や生地の組成のレシピが残っている場合よりも、そういうものが残っていない方が時間がかかる。
試織・試編みを繰り返さなければならないからだ。

もっと細かく言えば、染色堅牢度や引き裂き強度も試さなくてはならない。

こうした作業で普通に完成まで何か月かかかる。
一から生地を作った場合、最低でも3か月くらいは生地の製造が完成するまでかかり、場合によってはもっとかかる。

東レという合繊メーカーと提携しているユニクロがどうして1年前とか1年半前から商品企画にとりかかるのかというと、生地の開発・製造の時間を考慮している部分もある。

どこぞの商社経由で在りものの生地をどこかから仕入れてくるという体制ではないからだ。
逆にユニクロ以外のアパレルブランドはそういうケースが多い。
とくに中小・零細アパレルは生地開発までやっている時間も体力もない。

生地問屋で買ってくるか、商社経由で手配してもらっているかのどちらかで、生地工場と直接開発しているブランドなんて業界全体から見たらホンの一握りしかない。

こういう背景を知っていると、ゾゾは生地をどうやって手配するのだろうと疑問しか感じない。
スタートトゥデイのこれまでの記事を読んでいると、前澤友作社長自身も生地にはあまり思い入れや思い込みがなく、話題にも上らない。

当方は別に生地にこだわれとは思っていないし、産地ガーなんてこれっぽっちも思っていないが、生地が変わると同じデザインでも商品としての見え方が変わるのも事実である。
ワールドがQR体制を構築したものの、経営不振に陥った原因の一つには、生地を変えて同じデザインを並べても、それは初回生産分ほど売れ
なかったということも挙げられる。
いくら形が同じでも生地が変わると消費者は「別の商品」と見なすから、改めて追加補充分を買おうとは思わなくなる。

生地にこだわりすぎるのも危険だが、こだわらなさすぎるのもまた危険でもある。

安易に「生地変え」しての対応なんてしても往年のワールドよろしく、不良在庫の山を築くことにもなりかねない。
それにしても読めば読むほど、プライベートブランド「ゾゾ」の詳細は分からなくなる。
これを手放しで「スゴイ」なんて褒めちぎれる人はよほど純粋かおめでたいか、のどちらかだろう。

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大手広告代理店を使って残念な結果を甘受する残念な国内アパレル 企業
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