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ストライプデパートメントの事業計画が控えめであることは正しい

ストライプインターナショナルとソフトバンクが提携し、合弁会社ストライプデパートメントを設立し、ECモールを開設した。
これに対して様々な意見があるが、個人的にはピンと来ない。
いつも眉唾で見ている経済系インフルエンサーやスタートアップ界隈も賛否両論に分かれている。

期待している人たちには申し訳ないが、彼らの目論見ほどは広がらないのではないかと見ている。

「日本一のファッションECデパートに」ストライプとソフトバンクの合弁会社がF2層向けオンラインモール開設
https://www.fashionsnap.com/article/2018-02-15/stripe-department/

ターゲットはF2と分類される35歳~49歳の女性で、百貨店ブランドをそろえる。

スタート時は、百貨店で取り扱いがある「ビューティフルピープル(beautiful people)」「タロウ ホリウチ(TARO HORIUCHI)」「アキラ ナカ(AKIRA NAKA)」といった国内ブランドや、三越伊勢丹のプライベートブランドなど約600ブランドのアイテム計6万点以上をラインナップ。

とのことで、

アパレルと雑貨が6対4、今後はスポーツアパレルや美容・健康分野を増やし、セレクトショップや海外のハイブランドの出店も視野に入れている。基本的に委託販売で、物流は外注。客単価は1万5,000円を想定し、取扱高の目標は初年度16億円、3年後に100億円。事業計画として、取り扱い3000ブランド、購入顧客数300万人、1000億円の取扱高を目指す。

としている。

百貨店ブランドや百貨店価格帯を扱うECというのはたしかにあまりなかったから、挑戦してみる価値はあると思う。
しかし、なかなか上手く行かないのではないかと思う。
実際に、事業計画もそれほど大きくない。
初年度の取扱高は16億円と抑えているし、3年後の取扱高も100億円と控えめだ。

取扱高というのは、出店テナントの売れた総額で、ストライプデパートメントはそこから手数料やら出店料をもらうという形になっている。
取扱高が16億円というのは、初年度の出店ブランドすべて合わせた売上高が16億円ということで、商品単価の高さや出店ブランド数から考えるとそれほど大きな数字とは言えない。

むしろ、かなり控えめに見積もっているといえ、ストライプデパートメント側もかなり慎重である。当方としてもこれくらいが妥当で、もしかしたらこの見積もりを下回るのではないかとも思っている。

そもそも衣料品をEC、ネット通販で買う人は業界人やスタートアップ界隈が想像しているより少ない。
先日アップした当方のブログでもそれをまとめている。

ファッション性が高くて高価格な服はインターネット通販では売れにくい

・1年に1回以下服をECで購入する人が8・6%
・直近の1年間は購入していない人が13・5%
・インターネットで服を買わない人が36・0%

という数字になっており、合計すると58%強にもなる。
いかにインターネットで服を買う人が少ないかである。

で、インターネットで服を買う場合、

・試着したことがあったり、以前に買ったことがあってサイズ感がわかっている
・生地を触ったことがある

この2点をクリアできない限りは高額な洋服は売れにくい。

先日の記事でも紹介したが、圧倒的に利用されているのはユニクロ(22%)で、それにニッセン、セシール、ベルメゾン、ゾゾ(それぞれ9%ずつ)と続く。
どれも低価格帯の商品を扱っているところばかりだ。

唯一ゾゾだけは違う印象があるが、ゾゾも近年はウィゴーやタカキュー、ジーンズメイトなどの低価格ブランドの出店が相次いでおり、低価格帯の商品量が増えている。
ゾゾの利用者(9%)の何割かはこれらを利用しているのではないかと見ている。

インターネットで購入される衣料品の主力は、サイズ感が厳密ではないTシャツ類・カットソー類・セーター類となり、あとは肌着や靴下となり、これもブラジャーやガードル、コルセットなどのファンデーションは除いてサイズ感が厳密ではない。
オッサンがワイシャツの下に着る肌着Tシャツなんて1センチや2センチ小さかろうが大きかろうが大した障害ではない。
靴下だって同じことだ。1センチ小さいからといってさほどの弊害はない。

こう考えるとストライプデパートメントが狙っている百貨店価格帯の衣服がそう簡単には売れるのかと疑問に感じる。
恐らくは売れないだろう。だから取扱量が控えめに16億円となっているのではないか。

またターゲット層としているF2層がそれほどネットで高額衣料品を買うかどうかも怪しい。
当方はほとんど買わないと見ている。

もちろん、ユニクロやらニッセン、セシール、ベルメゾンなんかの低価格品は買うだろうが、試着もせずに生地も触らずに1万円を越える服をネットで買う人がそれほど多いとは考えられない。

返品・交換のめんどくささを考えると、触ったこともない衣料品をインターネット通販で買う場合は、「もし合わなかったら捨てても惜しくない」という値段帯に限られるといえる。

この辺りを冷静に考えて、初年度取扱高(くどいようだが売上高ではない)を16億円と控えめに設定しているのではないかと思う。
新しい物好きのスタートアップ界隈ですら否定論が散見されるのはこの辺りを踏まえてで、無条件にワクテカしているスタートアップ界隈はよほどに無邪気な性質なのだろう。英語でいうところのnaiveである。

また、ストライプデパートメントの集客もなかなか難しい。
そもそも知名度がない。
凋落しているとはいえ、ニッセン、セシール、ベルメゾンがゾゾと同率で利用されているのは、以前からカタログ通販としての知名度が強固だからだ。
またカタログを利用していた人たちの中にもインターネット利用へ乗り換えた人も多いだろう。

そのどちらもストライプにはない。

さらにいえば「ストライプ」という社名・ショップ名とF2層もミスマッチである。
ストライプインターナショナルといえば、アースミュージック&エコロジーやイーハイフンワールドギャラリーなどのブランドが知られており、圧倒的に10代・20代前半の若い女性層(F1層)での知名度が高い。
当然、社名に対するイメージも若い女性層と密接にリンクしており、F2層とはマッチしない。
F2層の人で、ストライプという社名を聞いて自分たち向けの衣服を販売しているとイメージする人がどれほどいるだろうか。
恐らくほとんどいないのではないかと思う。

「あ~、若い女の子向けね」と思う人がほとんどだろう。

となると、社名・ショップ名に「ストライプ」の冠を付けてF2層を狙うというのは得策ではない。

ある知り合いが「ソフバンデパートメントという名前の方がよかったんじゃないですかね?」と言ったが、ソフバンではあまりにダサいが、ストライプを冠する必要性はまるでなかったと思う。

ソフバンとストライプでSSデパートメントか何かの店名の方がよかったのではないか。

そんなわけで、ストライプデパートメントが爆発的に売れるということは考えにくく、ストライプインターナショナルが展開するメチャカリ同様に少数安定的な売れ行きで推移するのではないかと思う。

市場を開拓するにはさまざまな挑戦が必要となり、今回も貴重な挑戦だとは思うが、これは嚆矢に過ぎず、すぐさま成功をおさめられるような事業プランではない。
目標に掲げている取扱高1000億円に到達するには相当に長い期間が必要となるだろう。

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ファッション性が高くて高価格な服はインターネット通販では売れにくい

相も変わらずアパレル業界人もメディア業界人も経済系インフルエンサーもインターネット通販比率を高めることが、アパレル復活のための最有力な手段だと信じているが本当だろうか。

インターネットで服「も」売れる時代にはなったが、インターネットで服「を」買いたいという志向ではないと見ている。
ファッション専門学校生に聞いてもインターネットで買う物は圧倒的に服以外が多い。
雑貨、日用品、アクセサリー、消耗品、本などなどだ。当方はそこにガンダムのプラモデルが加わる。

インターネットで服を買いづらい理由は

1、サイズ感がわからない
採寸データの明示だけではシルエットは類推できない。採寸データはあくまでも数値で数値さえ合えばサイズが合うというものではない

2、素材感がわからない
その素材が薄いのか厚いのか、固いのか柔らかいのか、伸縮率がどれくらいかは触ってみないとわからない

この2つだと思う。
サイズの不安を払拭しようとしているZOZOTOWNの取り組みは流石だと思うが、素材感までは解決できない。バーチャル触感みたいな技術が開発されない限りはこれを払拭する手立てはない。

で、統計データではインターネット市場が伸びているとはいえ、それは服も含めての市場規模であり、インターネットでも買いやすい雑貨、日用品、消耗品、部品、家電などが多分に含まれていることを忘れてはいけない。
「インターネットなら服が売れる」論者はそこを考慮していないのではないかとさえ思う。

ファッション通販サイトに関する最新のアンケート結果がある。

【ファッション通販サイトに関するアンケート調査】
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000557.000007815.html

ZOZOにばかり目を奪われ、ユニクロはネット通販比率が低いからダメとか言ってた連中は息をしているのか?という結果になっている。

まず、購入頻度だが

◆インターネットでの衣料品の購入頻度
直近1年間にインターネットで衣料品を購入した人は5割、男性4割強、女性6割です。購入頻度は、「3~4ヶ月に1回程度」「半年に1回程度」がボリュームゾーンとなっています。



とのことで、購入頻度はそれほど高くない。
毎月ネットで服を買う奴なんてごくわずかのマニアに過ぎない。
マニアを基準に語るからアパレル業界は不振業界になっている。これはネット通販に限らずである。

そして「インターネットで服は購入しない」という人も36%存在する。

 

◆衣料品を購入した通販サイト
直近1年間に衣料品をインターネットで購入した人のうち、ファッション通販サイトでの購入者は8割です。提示した選択肢の中では、「ユニクロ」が22.0%、「ニッセン」「セシールオンラインショップ」「ベルメゾンネット」「ゾゾタウン」が各9%台となっています。

「ショッピングモールサイト(楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazonなど)」での購入者は5割弱、30・40代で比率が高い傾向です

とのことで、業界的・インフルエンサー的見地からすると圧倒的に注目度が高いはずのZOZOはユニクロの利用率の半分以下で、苦戦が伝えられるニッセン、セシールあたりとまったく同率となっている。
ZOZOを利用している人は決してマスカスタマーではないということがわかる。

ユニクロは圧倒的に利用率が高い。「ユニクロはネット比率が低いのが弱点」論者は息をしているのだろうか?

当方でもユニクロのネット通販を利用するが、それ以外のブランドはほとんどネット通販で買わない。
理由は、先ほどの2点をユニクロがクリアしているからだ。
全国800店以上あり、自宅近所にも職場近所にも、また乗換駅近所にもユニクロはあり、そこで一度は試着したり生地を触ったりしているからだ。店に寄る時間がないときはネットで注文をする。

他のブランドの利用率が低い(例:ユナイテッドアローズ1・9%)のは、店数が少なくユニクロほど気軽に試着しに店に入れないからだろう。
ユナイテッドアローズでユニクロのように気軽に入店して試着することも生地を触ることも難しい。
消費者の大嫌いな販売員が絶対に近づいてきて会話をしなくてはならない。
そんなめんどくさい思いまでして服なんて誰も試着したくない。

さらにいえば、ユナイテッドアローズの服はユニクロほど安くない。
試着せず、生地を触らずに「試し」で買うにはハードルが高い。
もちろん、返品交換はできるかもしれないが、送料がかかったり再梱包して集荷をお願いするめんどくささがある。
今年の1月に2度Amazonでサイズが合わなくて返品したことをこのブログで書いたが、送料無料とはいえ、再梱包と集荷のめんどくささは感じた。次からその作業はしたくない。
だからサイズがわからない服は通販では買わない。

またファッション単独サイトよりもAmazonや楽天、Yahoo!での買い物が多い。
これは取りも直さず、衣料品をネットで買いたいという人がそこまで多くないということで、衣料品以外が豊富にそろっているその3サイトに訪問者が集中しているということである。

購入品目にもそれが表れている。

◆インターネットで購入した衣料品
直近1年間にインターネットで購入した衣料品は、「下着、インナー」「Tシャツ、カットソー、ポロシャツ」「パンツ、ズボン、スラックス」が購入者の3~4割です。男性20~40代では「Tシャツ、カットソー、ポロシャツ」が最も多く、「ニット、セーター、カーディガン」は女性で比率が高くなっています。

とのことで、サイズ感が多少違っていても伸縮するから着やすいTシャツ、カットソー、セーター、肌着類が多い。
パンツが上位にあることが以外だが、これは

1、昨今イージーパンツ系が流行している
2、昨今ワイドシルエットが流行している

この2点が理由ではないかと思う。
イージーパンツ系はウエストがゴムや紐になっているので、通常のパンツよりもサイズが厳密ではない。
また、ワイドパンツが流行していて、太ももやヒップのサイズも緩い。
これが以前のようなタイトシルエットしかない状態だったらここまで上位に来たかどうか。

サイズ感とフィット感が重視されるスーツやビジネスコート、ドレスシャツはまったく姿を見せていない。
当たり前で、ZOZOSUITが最も必要とされるのはTシャツやジーンズなどではなく、これらのアイテムに対してだろうと思う。
あとは5ミリの違いでも履けなくなる「靴」というアイテムにも最も必要とされる。
Tシャツやカットソーなんて1センチや2センチなんてどうとでも伸び縮みするからまったく不要だ。

回答者のコメントも非常にためになるので以下に貼り付けておく。

◆衣料品を購入する通販サイトの不満点・改善してほしい点 (全1,942件)
・自分から検索しないと出てこないので、何となくのイメージで探したい時には不向き。(男性28歳)
・サイズ感がわからないので、試着できるようなシステムがあれば嬉しい(特に靴)。またズボンなどは裾上げなんかもできればバッチリ。(男性35歳)
・品切れ中の商品を出品欄に載せないでほしい。(男性36歳)
・金額が小額だと送料と合わせてあまりお得な金額にならず購入を断念する事がある。(男性48歳)
・選んで服の上下の組み合わせなど提案してほしい。(女性22歳)
・着用モデルが外人だと逆にイメージしづらい。イメージしやすいように一般人に近い体型の人をモデルに使ってほしい。(女性31歳)
・モデルが着ていない服は、丈の長さがわかりにくいので、モデルの身長と共に着ていてほしい。同じカットが多いものもあるので、後ろ姿などもみられるとわかりやすい。(女性40歳)
・詳しく調べなくても商品の在庫がわかるようにして欲しい。(女性58歳)

となっており、「見た目の綺麗さ」とか「見た目のかっこよさ」だけを追求したサイトでなんて到底服は買えないということである。
外人モデルというよりも、ステージ向けモデルは体型が一般人と違いすぎて「イメージ写真」には適しているかもしれないが、購入してもらうページには不要である。
例えば、冨永愛さんの全身像が映っていて、一般人がその体型を見て参考になるだろうか。まったくならないだろう。
男性だって同じで購入ページに阿部寛さんが映っていて参考になるわけがない。阿部寛さんの身長は190センチもある。

この結果を見ると、ファッション業界人が期待するほど服は売れてないし、ZOZOの利用率も高くない。
逆に経済系インフルエンサーの指摘するユニクロ危機論も的外れにもほどがある。

ファッション性が高く、高価格な服はインターネットでは売れにくい。

これを前提として組み立てないと、またぞろアパレル業界は苦戦を強いられることは間違いない。
まあ、考えが浅くて自意識過剰な人が多いアパレル業界人がこの事実を直視するのは難しいのだろうけど。

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プライベートブランド「ゾゾ」のすごさは商品ではなく、そのプロモーション手法にある

プライベートブランド「ゾゾ」が発表され、各報道を見ると、矛盾した言説・受け答えが溢れており、読めば読むほど整合性がなくなる。
長らく交流している方から、ゾゾ商品のサイトが完成していると教えていただき、直接自分の目で確認することにした。

http://zozo.jp/pb/

基本的に、ゾゾという商品はフルオーダーではなく、パターンオーダーだということがわかる。
ゾゾスーツでの採寸によって、サイズを合わせるという「仕掛け」によって、「一からその人に合うサイズの服を作る」と思っている人が多いように感じる。
とくに、衣料品業界外のイシキタカイ系ジャーナリストや経済紙関係者にはその嫌いが多い。

採寸によって、一から型紙を起こすというのは、「フルオーダー」でこれは何十万円もする。
何せ、ゼロから形を作り上げるのである。

一方、近年、3万円前後で「オーダースーツ」が売られるようになっているが、これはフルオーダーではなく、パターンオーダーないしイージーオーダーと呼ばれる手法で、厳密にいうとパターンオーダーとイージーオーダーは別らしいが、ここではほぼ同じとして取り扱わせてもらう。

あらかじめ決まったパターン(型紙)があり、採寸したデータをもとにそれを微修正するのがパターンオーダーである。

A6サイズのスーツがあったとして、採寸したデータをもとに、袖を短くしたりウエストを広げたりと微修正する。
襟の形やボタンの種類を選べるようなオプションを付けることができるが、それもゼロから作り上げるわけではない。

これによって、製造期間は短縮できるし、製造コストも抑えることができる。
だから3万円前後でオーダースーツが作れるというわけだ。

受注して即日~2週間で納品できると謳っているゾゾは取りも直さずパターンオーダー商品だといえる。
また「即日納品」が可能だということは、あらかじめ標準商品を何枚か作りおいていて、その標準商品に適応した体格の人から受注があれば、それを即座に送り出すということになり、これなどはパターンオーダーですらなく、単なる既製服販売と同じということになる。
既製Tシャツ1200円というのは、果たして「破格値の安さ」といえるだろうか?

標準商品で満足できない人には、採寸データをもとにした「微修正」が加えられる。
裾丈の長さ、袖の長さ、袖幅などなどを微修正する。

これはジーンズでも同じである。

型紙の微修正なんていうのは、現在ではパソコンのCADCAMを使って行う。
袖丈や袖幅を変更した際に最適なように全体を自動的に微修正してくれる。

ジーンズで限りなく、ウエストのデカい人(150センチくらい)がいて、それ用にウエストを広げた場合、グレーディングと呼ばれる各部の比率変更が必要となる。これを今ではパソコンソフトでできる。
ウエスト150センチに広げた場合、それに比例して各部を広げると、ジーンズの裾幅なんてめちゃくちゃに広くなって袴みたいなジーンズになってしまう。
それではさすがにおかしいので、裾幅はあまり広げずにウエストだけを広げる。
これがグレーディングという作業で、標準とされるS~Lサイズだって同じグレーディングが行われている。

例えば、アダストリアのレイジブルーの商品で見てみよう。

http://www.dot-st.com/rageblue/disp/CSfGoodsPage_001.jsp?ITEM_CD=780048

このズボンのサイズは

Sサイズ ウエスト74センチ・もも周り62センチ・裾幅31センチ

となっている。また、

Lサイズ ウエスト89センチ・もも周り64センチ・裾幅34センチ

となっている。

見比べてみてどうだろうか?
ウエストは15センチ拡大しているのに、もも周りは2センチしか違わない。
裾幅も3センチしか大きくなっていない。

これはウエストに比例して各部を広げていないという証明で、このサイズ比率の変更がグレーディングであり、これは既製服でも普通に用いられている。

ゾゾのオーダーとはパターンオーダーと採寸によるグレーディングを合わせた手法で、「完全オーダーメイド」ではなく、イシキタカイ系が夢想するような「フルオーダー」でもないということである。

商品そのものについてはどうだろうか。
Tシャツとジーンズの画像と説明文を見た限りでは、はっきり言って「普通」である。
恐ろしくかっこいいわけでもないし、恐ろしくダサいわけでもない。
あくまでも「普通」であり、それ以上でもそれ以下でもない。

素材も普通だが、ちょっと奇妙なこともある。

メンズのTシャツの使用素材は40番手双糸なのに対して、レディースのTシャツは20番手単糸なのである。(ウェブサイトにそう書いてある)

ちょっとでも生地や糸の知識がある人にはその可笑しさが伝わると思うのだが、そうではない人のために蛇足ながら説明をする。

この二つの生地は一見するとほぼ同じに見えるだろう。
生地の厚さも同じだ。

しかし、どちらが高品質な素材かというとメンズである。

20番、40番とは糸の太さを表す「番手」であり、数字が大きい方が糸は細くなる。
40番より20番の方が糸が太い。

ところが、糸というのは1本だけで生地を織ったり編んだりせずに、2本を撚り合わせて使うこともある。
1本の糸で織ったり編んだりすると「単糸使い」といい、2本撚り合わせた糸で生地を構築すると「双糸使い」となる。
当然、糸を2本使っているので、材料費は「双糸使い」の方が高くなる。

じゃあどうしてそんなめんどくさい「双糸使い」なんていう生地があるのかというと、単糸使いの生地は総じて、洗濯をすると斜行しやすくなるからだ。とくにTシャツやカットソーの単糸生地は斜行しやすい。これを防ぐために「双糸使い」という生地がある。

そういう意味でメンズTシャツ素材の方が圧倒的にレディースよりも高品質である。

またなぜ生地の厚さが同じかというと、細い40番手の糸も2本撚り合わせると、太さは倍になる。当たり前だ。
40番手2本で、20番手単糸と同じ太さの糸になるため、それぞれを使って編んだ生地は厚さは同じになる。

だから、見た目はメンズもレディースも同じ生地に見えるが、中身は別物だ。

通常、レディースの方の生地クオリティをメンズより落とすことは考えにくく、これは恐らく、同じ生地が手配できなかったための代替措置ではないかと思う。
それでも当方なら20番単糸生地をメンズに使うが、あえてそれをレディースに持ってきたスタートトゥデイは本当に生地に興味がないんだと思う。

プライベートブランド「ゾゾ」の商品自体は限りなく「普通」で、レディースのTシャツ生地のクオリティはあまり高くない。
ジーンズも普通だし、デニム生地も綿99%・ポリウレタン1%の12・75オンスデニム生地なので、ありふれている。

ゾゾの「物」自体は大したことがない。現段階では。

ゾゾのすごいところはその「仕掛け」「販促の手法」にある。
アパレル業界が見習うべきはこの部分である。

まず、採寸できるゾゾスーツの開発に投資するという「仕掛け」。

そして、そのスーツを無料配布するという手法。
それで期待感を煽り、商品の発表ということになるが、期待感で煽られている人が多数いるため(特に経済系インフルエンサーやメディアなど)、メディアに大量に記事掲載される。

従来からあるパターンオーダーと場合によっては既製服販売に過ぎないものが、最新鋭テクノロジーで作られた服かのように報道される。

商品自体はあくまでも「普通」だし、その供給システムも従来型パターンオーダーの域を何一つ出ていないのに、最新テクノロジー服という「イメージ」だけが醸成され続けていく。

この「イメージ戦略」は正直なところ、海外ラグジュアリーブランドにも匹敵するといえる。
単なる塩化ビニールの鞄をさも「良い物」というイメージを与えているルイ・ヴィトンと同じ手法といえる。

そういう意味では、この「仕掛け」「販促手法」「見せ方」は見事だというほかない。

そもそも、今の衣料品でだれもが驚くような画期的な商品なんてものは出現しない。
もしかしたら、未来においては1ミリ秒で蒸着できるようなコンバットスーツが開発されるかもしれないが、そういうものでない限りは、驚くほど画期的な服なんてものは出現しない。

そういうものが現れるとしたら、ハイテクノロジーを詰め込んだウェアラブルだったり、ハイテク機能を満載した機能素材で作られた服くらいしかない。

洋服という商品においては「物自体」での差別化や革新は生まれにくくなっており、「普通の物」と「従来型パターンオーダー」という手垢にまみれた供給システムを再編集して見せなおしたというスタートトゥデイの手腕はすさまじいものがある。
国内のアパレル業界に足りないのはこの部分であり、そこは大いに見習うべきである。

ただし、個人的にはこの商品を買おうとは思わない。
ユニクロで1990円に値下がりしたジーンズを無料で裾上げしてもらった方がコスパが高い。

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プライベートブランド「ゾゾ」に関する報道は矛盾が多くてさっぱり理解できない

スタートトゥデイによるプライベートブランド「ゾゾ」の概要は様々な記事を読んでもさっぱりつかめない。
どうしてつかめないかというと、価格帯と納品までのリードタイムと製造の仕組みがそれぞれバラバラで矛盾しているからだ。

一般紙の記事はもちろんのこと、業界紙の記事も同様でサッパリわからない。
業界紙の場合は、製造などについて一般紙よりも詳しいはずなのだが、そのところへの言及はなく、発表時の文言のみで報道しているとしか思えない。

WWDを例に出す。

https://www.wwdjapan.com/515448

この記事によると、

“ぴったりな”サイズを注文できる受注生産体制をとる。しかも、袖丈や着丈などのサイズ感は自分で調整でき、注文後は即日〜2週間で商品が届く。

とある。

これはいわゆる、パターンオーダーの考え方でその都度の受注生産だと考えられるが、通常、この生産方法だとフルオーダー(フルオーダーとパターンオーダーは生産構造自体がまったくの別物)ほどの高価格にはならないが、ユニクロに並ぶ低価格には抑えられない。
さらに注文後は「即日~2週間で納品」とあるが、ここも良くわからない。

衣料品業界は製造と商品企画と売り場がそれぞれ分断されていて、包括的に知識を持つことが難しい業界であり、それこそ誰でも知っているような著名なデザイナーや企画マンですら製造のことはあまり知らない。
大手セレクトショップの社長なんて製造のことを知っているはずもない。

だから、この「即日~2週間」という文言を見たとき、消費者はもとより、業界の製造に携わらない人たちだってまったく何がおかしいのかわからない。
現に、普段から当方と頻繁に行き来しているスタイルピックスの深地雅也社長だって、ピンとこなかった。

ここでの疑問点は、「生地はどうしているのか?」という点である。
当たり前だが生地が無くては服は作れない。

当然のことながら、生地を用意する必要があるが、即日~2週間という短期間で納品するためには、生地をその都度作るのでは到底間に合わない。

おわかりだろうか?
生地をそんな短期間で製造することは不可能なのである。

この場合、ゾゾは2つの方策で生地を手配すると考えられる。

1、商社・生地問屋または工場が備蓄する、またはゾゾが備蓄する
2、業界に常に流れている定番生地を使う

この2つである。
即日納品なんて看板を掲げているので、その都度注文が入ってから生地を作ることは絶対にできない。

これ以外に短納期で洋服を作ることは不可能で、もしかすると、一般メディアやイシキタカイ系経済関係者は「ゾゾが画期的なシステムを構築したかもしれないだろ」と反論しそうだが、ゾゾが生地の背景まで買収やら業務提携したという話は聞かないし、いまだに発表もされていない。

縫製段階までは何らかの手を打って投資したと発表しているが、生地製造に関しては何の発表もない。

90年代後半にワールドがクイックレスポンス体制(QR体制)を構築し、市場を席捲したが、これは「売れ行きが良かった商品をクイックに(2週間~3週間)で追加生産して店頭に並べる」ということが目的だった。
しかし、同じ生地がない場合も多く、その場合、どうしていたかというと、「似たような生地」もしくは「まったく別の生地」を用意して同じデザインの商品に仕上げて対応していた。

それほどに生地を一から作るのは時間がかかる。追加発注から3週間で店頭に並べるのに、一から生地を製造している時間はないのである。

一概に生地を製造と言っても、さまざまな段階がある。大きく分けて

1、綿(わた)から配合して生地を作る
2、糸を交撚や加工する段階から生地を作る
3、完成した糸は備蓄してあり、生地を織る(編む)

の3つがあるが、まったく完成までの時間が異なる。
もちろん、1がもっとも時間がかかる。

糸の成分組成や生地の組成のレシピが残っている場合よりも、そういうものが残っていない方が時間がかかる。
試織・試編みを繰り返さなければならないからだ。

もっと細かく言えば、染色堅牢度や引き裂き強度も試さなくてはならない。

こうした作業で普通に完成まで何か月かかかる。
一から生地を作った場合、最低でも3か月くらいは生地の製造が完成するまでかかり、場合によってはもっとかかる。

東レという合繊メーカーと提携しているユニクロがどうして1年前とか1年半前から商品企画にとりかかるのかというと、生地の開発・製造の時間を考慮している部分もある。

どこぞの商社経由で在りものの生地をどこかから仕入れてくるという体制ではないからだ。
逆にユニクロ以外のアパレルブランドはそういうケースが多い。
とくに中小・零細アパレルは生地開発までやっている時間も体力もない。

生地問屋で買ってくるか、商社経由で手配してもらっているかのどちらかで、生地工場と直接開発しているブランドなんて業界全体から見たらホンの一握りしかない。

こういう背景を知っていると、ゾゾは生地をどうやって手配するのだろうと疑問しか感じない。
スタートトゥデイのこれまでの記事を読んでいると、前澤友作社長自身も生地にはあまり思い入れや思い込みがなく、話題にも上らない。

当方は別に生地にこだわれとは思っていないし、産地ガーなんてこれっぽっちも思っていないが、生地が変わると同じデザインでも商品としての見え方が変わるのも事実である。
ワールドがQR体制を構築したものの、経営不振に陥った原因の一つには、生地を変えて同じデザインを並べても、それは初回生産分ほど売れ
なかったということも挙げられる。
いくら形が同じでも生地が変わると消費者は「別の商品」と見なすから、改めて追加補充分を買おうとは思わなくなる。

生地にこだわりすぎるのも危険だが、こだわらなさすぎるのもまた危険でもある。

安易に「生地変え」しての対応なんてしても往年のワールドよろしく、不良在庫の山を築くことにもなりかねない。
それにしても読めば読むほど、プライベートブランド「ゾゾ」の詳細は分からなくなる。
これを手放しで「スゴイ」なんて褒めちぎれる人はよほど純粋かおめでたいか、のどちらかだろう。

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大手広告代理店を使って残念な結果を甘受する残念な国内アパレル 企業
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↓Amazonで見つけたお買い得品

怪しさと矛盾点が際立つプライベートブランド「ゾゾ」の発表

ようやく、延び延びになっていたZOZOTOWNのプライベートブランド「ZOZO」の一端が発表になった。
どんな商品なのかなと一応興味を持って外野から眺めていたが、第1弾はTシャツ(1200円)とジーンズ(3800円)だと判明し、正直期待外れだと感じた。

価格面でいうと、ユニクロに合わせてきたという感じだが、体型測定スーツ「ZOZOSUIT」で得られることになるであろう26万人の膨大な体型データを使ってTシャツを作る必要があるのかと正直疑問しか感じない。

某人気ブランドの中の人が言っていた「ZOZO社員は本気でユニクロと競合する気でいる」というのは価格設定を見ると、本当だったのだとわかる。ただし、値段が同じくらいだからユニクロと同等には売れない。それなら、今頃イオンもイトーヨーカドーもジーンズメイトももっと衣料品が売れている。

ZOZOSUITが発表されたときには随分と熱狂があったが、発送が延び延びになり、有名人と一部顧客にしか届いていない状況にあり、身の回りでも「発注したけど遅いからもう興味が薄れた」という人もちらほら現れている。

ZOZOSUITの報道や熱狂には違和感があり、その違和感は今でもあるのだが、例えばこういう見出しの記事については本当に疑問しか感じない。

一つ断っておくと、ZOZOSUITのような開発は続けるべきだし、全否定するのはナンセンスだが、逆に持ち上げすぎるのもどうかと思う。

「ミリ単位の精度求めた」ZOZOSUITの体型計測データが生み出すスタートトゥデイの新展開
http://jp.techcrunch.com/2018/01/31/zozo-maezawa-kanayama/

この「ミリ単位の精度」っていうのがちょっとどうかと思う。
例えば、今回発表されたTシャツだ。

Tシャツは、ニット生地で綿100%組成であろうが、生地の構造上伸縮性がある。
5ミリくらいは普通に伸び縮みするから、はっきり言って「ミリ単位の精度」なんてものはTシャツには必要ない。
さらにいえば、縫製する段階で普通に1ミリくらいはズレや誤差がある。
逆にミリ単位の精度で縫製できる工員なんてほとんどいない。

これはセーターでも同じで、5ミリや1センチは伸縮性が生地自体にあるし、縫製やリンキングの段階で1ミリくらいは普通にズレる。

いくらミリ単位でデータを調整しても実際の製造工程では1ミリや2ミリは確実にズレるから無駄である。

こういう発言をする人やこういう記事を書く人は衣料品を精密機器か何かと勘違いしているのではないか。
こういう発言や記事が独り歩きして、ミリ単位の服なんていうユニコーンやグリフォンみたいな奇妙な空想の産物が生まれる。

逆に、そういう「ミリ単位」という発表をある程度信用していたからTシャツという選択には首を傾げてしまう。
ミリ単位が売り物になるのは例えば、スーツ、ワイシャツ、ビジネス用コートなど、である。
こちらは1ミリ・2ミリの精度なんて意味がないが、5ミリや1センチは重要な差になる。

ワイシャツの首回りが1センチ変わればフィット感も見た目も大きく変わる。
昔のソフトスーツは別としてスーツだって1センチの差で大きくシルエットが変わる。

Tシャツやセーターの着心地にミリ単位の精度はまったく必要ないのに、それを選んでしまうところが拍子抜けというか期待外れだった。

またワイドシルエットの商品もミリ単位では着心地は左右されない。

おわかりだろうか?ガウチョパンツやそれのフルレングス版ワイドパンツなんて1ミリや2ミリ細かろうが太かろうが着心地には全く関係ない。
今春にジーユーから発売されているリーバイスセカンドの完コピジージャンだってダボっとした古臭いシルエットだから1ミリ違ったところでまったく着心地には影響しない。

ミリ単位の精度が求められるのは先に挙げたスーツ、ワイシャツ類とタイトシルエットが売り物のカジュアル商品に限られる。それだって実際のところ1ミリや2ミリ程度は誤差があるし縫製段階でズレる。
これが現実の洋服である。

しかし、ZOZOSUITによる採寸がまったく無駄とは思っていない。
むしろ、着心地よりもそのデータを使って「より美しいシルエット」「よりスマートに見えるシルエット」作りに取り組むべきである。

今回の会見の記事はこちらがコンパクトにまとめられている。

“ZOZOSUIT”到着は最大8カ月の遅延も、PB発表で前澤社長が決算会見に登場
https://www.wwdjapan.com/515448

最大8か月の遅延って、今年の8月ごろ届くということだから、はっきり言ってますます興味は薄れる。
忘れたころに届くことになって「ああ、そんなのも頼んでいたっけなあ」という感じになるだろう。

今回、前澤友作・社長は

「注目すべきは値段。メディアにはいろんな予測記事が出ていたが、期待を上回るというか下回るというか、Tシャツが税込1200円、デニムは税込3800円で販売する。過剰に在庫を積み上げるつもりはない。オーダーメードに近い受発注生産を行うことで、価格を下げられた」とコメント。

と話しているが、オーダーメードに近い受注生産だから価格が安いというところがちょっと意味不明だ。
恐らく、在庫を持たずにその都度生産するから、在庫処分での投げ売りが無くなるからその分販売定価を下げたということなのだろうが、その都度縫製する方が普通は縫製工賃は高くなる。
極端な話、一挙に100枚縫製した方が、1枚ずつその都度縫製するよりも工賃はずっと安くなる。
逆に1枚とか2枚しか縫わないサンプル縫製の工賃は最低でも5000円とか1万円くらいはする。
どう考えてもシステムに矛盾がある。
しかも生地は、専用生地ならどこかの問屋が備蓄しているとしか考えられず、専用生地でないなら、市場に流通している「在り物」の定番
生地をその都度購入することになる。
「在り物」の定番生地ならはっきり言ってユニクロにはまったく生地の値打ちではかなわないが、そのことは理解しているのだろうか?

また

ヤマト運輸の配送運賃変更による経費15億円やPB業務委託の13億5000万円などのコストが発生したにもかかわらず、増収増益を記録した。

という箇所があるが、やはりPB製造にはOEMやODMを使っているということだろうか。
たしか、工場なんかも買ったというような記事も読んだ記憶があるが、PB業務委託13・5億円ということは製造も委託していると考えられ、それはとりもなおさずOEM・ODMを使用したということになる。

なんだか生産システムも製造も矛盾だらけの内容だが、ますます実態の見えない怪しげなプロジェクトだとしか感じられなくなっている。
各メディアの記事の書き方が悪いのか、説明した方の説明が悪いのかわからないが、その結果、怪しさと矛盾点だけが際立ってしまっている。

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グローバルブランドが各国で等しく支持されるわけではない

ZARAやH&M、GAPなどのグローバルSPAブランドのことになると「その良さがわからない。世界基準なのにそれがわからない」というような反応を見ることがある。

はっきり言って当方にもわからない。(笑)
正確にいうなら、わからない商品が何割か常に含まれている。

当方は別にグローバル志向でもないし、グローバルでありたいとも思っていない。

実際のところ、グローバルに展開しているブランドだからグローバルにまんべんなく受け入れられているわけではない。
例えば、デマンドワークスの齋藤さんが以前に書かれていたことがあるが、ZARAはアメリカに進出して20年になるが、それほど店舗数は増えなかった。最近では増加に転じたという報道があったが、そうなるまでに20年以上を必要とした。

一方で、H&Mはアメリカでは好調に広がった。

同じグローバルブランドがアメリカに進出してもこれほどの差が出る。
もちろん、各ブランドのビジネスモデルの組み立て方の違いもあるだろうが、それほどに各国・各地域で人間の嗜好性には差があるということである。

日本人がZARAやH&M、GAPの商品でその良さがわからないと思うのは何の不思議でもない。

低価格ブランドではないが、スペインのデシグアルというブランドがある。
日本ではどう見ても売れてない。
デザインの色柄が激しすぎるからだ。チェック柄の上に刺繍とプリントをさらに施すような過剰な柄付けを行い、そしてその色彩は常に派手である。こんな盛り盛りの服を好む日本人はかなり少ない。

あべのHOOPの2階のグリーンレーベルリラクシングの跡地にオープンしたが、すぐさま閉店になった。
客が入っているのを見たことがないほど閑散としていたから当然だろう。
ちなみにそのスペースはいまだにテナント入店がなく、空き家になったままである。

デシグアルと多少のかかわりがあるという日本人から聞いたことがあるが、本国は日本での不振が信じられないと言っているらしい。
本社の言い分としては「スペインでこれほど好調なのになぜ日本で売れないのか」というものらしいのだが、色柄のセンスが日本人に合っていないからであり、それを早く認識した方が良いのではないかと思う。

世界各国で変わらず支持されるようなブランドなんて存在しない。
ユニクロはアジアでは強いが、欧米ではイマイチだし、オールドネイビーは米国では売れたが日本からは撤退した。
そんなもんである。

先日、こんな記事も掲載された。

欧州発ファストファッション、米国で伸びない訳
ネット通販しないプライマーク、一部店舗は縮小へ

http://jp.wsj.com/articles/SB11636997194453903320304583596910111609112?mod=searchresults&page=5&pos=17

ところが近年、米国の数都市を含む欧州外に展開していくなかで、実店舗のみで販売する戦略にひび割れが生じ始めてきた。米国進出から2年、同社は米国内の8店舗中の3店舗で規模縮小を図っている。販売実績が予想を下回ったからだ。

とのことで、ヨーロッパでは人気が高く、日本未上陸のプライマークだがアメリカ進出は苦戦している。
日本人は一括りに「欧米」というが、ヨーロッパ市場とアメリカ市場は異なる。ヨーロッパでも国ごとにその市場は異なる。
ヨーロッパで人気だからアメリカでも人気になるとは必ずしも限らず、古くはZARAがそれに当てはまったし、プライマークもその一つだといえる。

だから日本人が「グローバルブランドの良さがわからない」というのも至極当然だし、日本でグローバルブランドが売れないのも別段恥ずかしいことでも日本の後進性の現れでも何でもない。売れなくても全く不思議ではない。

さて、ここではプライマークの不振の理由として、オムニチャネルをやっていないことが挙げられている。
記事ではオムニチャネルをシームレスショッピングと表現している。

店舗とネットの垣根をなくし、消費者がストレスを感じることなく買い物ができる環境を提供する「シームレスショッピング」というビジネスモデルをプライマークが受け入れていないことで、「その戦略に大きな穴が開いている」とオーストラリアのマッコーリー・グループのアナリスト、アンドレアス・インダースト氏は指摘する。

とのことで、これに対して

だがプライマークではそうせざるを得ない、とABFのベーソンCFOは反論する。
「われわれのプライスポイントでは宅配のためのコストを賄いきれない」が、売上高成長が見込めれば低価格には十分な価値があると同CFOは主張する。「販売数量はわずかではなく大幅に伸びるからだ」

と反論しているが、これを読んだときに気付かされたのは、低価格すぎるとネット通販の宅配コストが賄えないということだった。
当方は生来、不明な性質なのでこれに今まで気が付かなかったのだが、そういわれればそうだ。

ネット通販での宅配が盛んな米国と、宅配の少ないヨーロッパではやはりそこに対する嗜好が異なるということだろう。

そして、これを読んだときに、しまむらが宅配ネット通販に参入しない(できない)理由の一つも同じなのではないかと思った。
ユニクロと並んで勝ち組低価格ブランドと称されるしまむらだが、ネット受注からの店舗受け取りは新たに発表したものの、宅配には依然として参入していない。

しまむらは2000店舗あることが強みのように言われるが、2000店舗もあってユニクロよりも売上高が低いということは、1店舗あたりの売上高は相当に低いということになる。
大雑把にいうと、しまむらグループは約2000店舗で5600億円の売上高があるから、1店舗あたりの平均売上高は年間で2・8億円ということになる。もちろん平均なのでもっと売ってる店もあればもっと売ってない店もある。
一方、ユニクロは約800店舗で8000億円なので1店舗あたり10億円ということになり、しまむらグループの1店舗あたりの売上高は低い。
おまけに従業員はほとんどがアルバイト、パートでローコストオペレーションに徹している。
だからプライマークと同じ理由で宅配は賄いきれないのではないか。

それに比べると同じようなプライスラインで宅配まで行っているジーユーはすさまじいということになる。
もちろん、ファーストリテイリングという超巨大企業の資金力があったればこそなのだが。

ネット通販に対する考え・仕組みもさまざまだし、国ごと・地方ごとにも人間の嗜好性は異なる。
グローバルブランドだからどの国でも等しく売れるなんていうのは単なる幻想・幻覚に過ぎない。

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新規顧客獲得の手法を誤ることが多いファッション業界

11月に発表されて以来、一部の有名人以外には、ゾゾスーツが手元に届いたという話は聞かない。
もう1月も下旬に差し掛かろうとしているが、一向に配送がアナウンスされる気配もない。

当方はゾゾで一度も買ったことがなく、これからもよほどの安売りでもしない限り買う気がない。
さらにいえば体型データを提供する気もないのでゾゾスーツを申し込んでいない。

しかし、これだけ音無しの構えを続けられると、どうでも良くなってきていて、あの狂騒曲ともいうべき過剰反応は何だったんだろうと笑えて来る。
実際には存在しない物に対していい年をしたオッサンやオバハンが泣いたり喚いたりしていたんだから、お笑い種だ。

そんなコントはさておき。

ゾゾスーツが無料で配布されるというやり方は、オッサンである当方からすると2000年頃のYahoo!BBのやり方を連想した。
恐らく、同じ連想をしたオッサン世代の人も多いのではないかと思う。

当時のYahoo!BBはモデムは店頭で無料配布していた。
Yahoo!BBとプロバイダー契約をするとモデムが無料でもらえるのである。
ただし、プロバイダー契約料は発生するから何から何までタダというわけにはいかない。

現在、Yahoo!BBとプロバイダー契約をしている人はあまり見かけないが、あの当時はこれによって一気に契約者が増えた。
また、これによってブロードバンドを使用する人も増えたといえる。

無料で配ることによって一気に使用者を増やして業界標準を狙うというやり方で、気を付けて見ていると、同じやり方を採る企業やブランドはほかにも多くある。

これは一種のCPA (Cost per Acquisition) といえる。

ゾゾスーツもこのCPA (Cost per Acquisition) であり、ヨドバシカメラドットコムの100円の商品でも送料無料というのも同じである。

そして、これを上手く活用できる企業やブランドがある反面、失敗に終わる企業やブランドもある。
衣料品・ファッション業界は失敗に終わる企業が多いように感じる。

さて、CPAについては河合拓さんのブログで解説されているのでご紹介する。

https://ameblo.jp/takukawai/entry-12340008298.html



CPAという考え方があります。分子は広告宣伝費の総額、分母はその広告によって購買した(新規の)顧客数となります。

CPAというと、一般論しか書かれていない教科書には「広告によって」としか書かれていませんから、ダメコンサルは「SNSだ」とか「インフルエンサーだ」など、適当なことをいっていますが、しかし、そんなものでCPA効率が上がるはずありません。CPAの本来の意味は「顧客をデータベースの中に放り込むこと」です。その目的のためなら別に広告でなくともよいのです。ぜひCPAをググってみてください。どれをみても「広告」としか書かれていません。全くおかしな話です。

 

しかし、本来的な意味合いを追いかければ、「出血大サービス」に見える施策も、実は、ネットビジネスの場合、顧客をストックしているCPAであるという見方も可能です。環境が変わっても本質は変わらないからです。

ネットビジネスは、勝利の方程式がまだまだ一般化されておらず、こうした技を駆使した企業が、気づかない企業に大きな差を付けているのかもしれません。広告公害の中で目立つ方法は、ビジネスそのものをあたかも広告のように使うこと、なのです。

とのことであり、通常のビジネス書籍にはCPAとは広告によってと書いてあるから、多くの日本企業は馬鹿正直に広告によって新規顧客を獲得しようとするが、別に広告でなくても良いのである。
ゾゾスーツの無料配布だろうがモデムの無料配布だろうがなんでも良いので、投資によって新規顧客を獲得できれば良く、ゾゾやYahoo!などのネットビジネス、EC業者にとっては新規顧客(見込みも含む)の個人情報が手に入ればそれで目的は完了する。

別にゾゾやYahoo!に限らず、ネットでは「アンケートに答えてくれたら〇〇ポイントプレゼント」とか「アンケートに答えてくれたら豪華賞品をプレゼント」なんていうのが掃いて捨てるほどあるが、あれは全部CPAの一環で、新規の個人情報が入手できれば良いのである。
アンケートに答える人は自分の個人情報と引き換えに〇〇ポイントをゲットしているだけのことで、たかが1ポイントや5ポイントを獲得するために個人情報を開示しているといえる。

この原理を理解していないヘボコンサルやヘボ業者が、いまだに「SEO対策をー」とか寝言を言っているし、その解決方法として「SNSガー」とか「インフルエンサーがー」と言って人心を惑わせている。

SNSもインフルエンサーも告知する「手段(たかが手段でしかない)」でしかないのに、最近では取り違えてSNSで発信することやインフルエンサーを活用することが「目的」と化している人も多く見受ける。

そして、このCPAを正しく理解できていなかった過去の例を挙げるとすると、ジーンズメイトとモーブッサンだろう。
ジーンズメイトは2009年とか2010年頃に、新店オープンした際に「リーバイスジーンズを先着〇名に無料配布」したことがあった。
3900円に値下がりした商品ではなく、1万円前後の定価品である。

これはCPAを曲解した行為といえ、結果は現在のジーンズメイトを見てもわかるように失敗に終わっている。

まず最大の間違いは、自社製品ではなく、リーバイスという他社製品を配布した点にある。
自社製品を配布するなら、「この商品が欲しいからジーンズメイトに次も行こう」ということになるが、「リーバイス」という大手ブランドの商品なのでそれが欲しければ、ジーンズメイトだけに行く必要はなく、ライトオンでもリーバイスストアでもマックハウスでも構わないということになる。
この根本的な問題が当時のジーンズメイトの経営者にはまるで見えていなかったといえる。

この当時もそこを指摘したがジーンズ業界村の住人たちはジーンズメイトを弁護していたが、そんなレベルだからジーンズ業界村は衰退したといえる。

高級宝飾ブランドのモーブッサンも銀座店オープンの時に超小粒のダイヤ(記憶によると5000円相当)を配布した。これも2009年とか2010年だったような記憶があり、すさまじい行列ができてワイドショーでも取り上げられていた。

結果的にはこれも失敗だったのではないか。

本来は自店の永続的顧客と成りうる高所得者層を掘り起こしたかったのだと思うが、結果的には大量の貧民層を掘り起こしただけになってしまった。
高所得者層はそもそも無料配布なんていうものには並ばない。

おまけにもらえるのはダイヤの粒だけで、これをアクセサリーにしようとするとどこかで台座(指輪、イヤリング、ピアスなどの)に取り付けてもらわないならない。
もちろんモーブッサンでも取り付けてもらえるが、取り付けには「取り付け料金」が発生し、そしてそれはそんなに安い金額ではない。
モーブッサンの狙いはここにもあったのだろうが、行列を作った貧民層はそこには金を払いたがらない。
だからモーブッサンは二重に失敗している。

どういう投資をすれば、自社の望む新規顧客を獲得できるのかを企業は考える必要があり、意味のない無料配布をしてもそれはCPAにはならない。このことを冷静に考えるべきだろう。
そして、SNSもインフルエンサーも新規顧客を獲得するための「手段」に過ぎず、発信することやインフルエンサーを活用することを「目的」だと勘違いしてはならないということである。勘違いをすればヘボコンサルの食い物にされるだけだ。

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繊維・アパレル業界は極端にウェブに弱い

最近、ウェブがらみの仕事を相談されることが増えた。
相談してくる企業は零細・小規模企業もあるが、けっこうな大手アパレル・大手繊維企業もある。
結局は取り組みに至っていないので、名前を出すことは差し控えるが、上場企業もあれば、その分野でのトップ企業もある。
自慢がしたいというわけではなく、腰が重かったこういう企業もウェブに対して「何らか取り組まねばならない」という姿勢に変わりつつあるということが言いたいのである。

そういう昭和型の大手アパレルメーカーですら、ウェブに対しては「何か取り組みをしなくてはならない」と思い始めている。
まあ、はっきり言ってその動きは遅すぎるのだが、何も思わないよりはずっとマシだ。
そういうレベルでは評価している。

そういう状況になってきているので、ようやくアパレル・繊維業界でもウェブの重要性が理解され、そういう人材が必要とされ始めたといえるのだが、考え方や人材への扱い方は相変わらずである。

マサ佐藤さんがブログでこう書いておられる。

http://blog.apparel-web.com/theme/consultant/author/fashion-soroban/b7344ef8-611d-45a1-bb46-4fd4602fcb5d

”アパレル小売業でもWEB・EC関連の求人は多くなっています。しかしながら、WEB関連の求人を出す側が、(WEB関連の)仕事の理解・関心が薄く、求人を出しておきながらどんな業務をさせるのかは相手に丸投げ。しかも給料水準は(WEB関連の)他の業種に比べ格段に低いのが現状です。”

とのことで、これはまったくアパレル・繊維業界の今の状況を象徴している。
大手企業ならまだしもスタッフが20人前後しかいない企業でさえ同じだ。

先日、ある20人規模の企業と話したが、まったくのウェブ無策であり、ウェブ系の施策は外部から来た部長に丸投げしている。
その部長はたまたま、異業種出身でパソコンやコンピューターのハードやソフトに強いため、その担当にさせられているのだが、ウェブ関連の専門家ではない。
しかし、「パソコン=ウェブ」という昭和のような発想でそういう仕事を担当させられるのだから、お気の毒としかいいようがない。

そしてこれは100人規模、1000人規模、5000人規模の会社でも同じで、だからこそ大手といえども一部を除いてはまったくウェブを生かし切れていないのである。

一方、当方が昨年から一緒に仕事をさせてもらっているスタイルピックスの深地雅也さんもブログでこう書いておられる。

http://blog.apparel-web.com/theme/consultant/author/fukaji/eb5f7242-0a13-4757-9601-ceea05ef570b

先日、とある企業に訪問した際に「ソーシャルを強化したい」という希望がありその相談に乗っていたのですが、多くのケースで勘違いされているのは、

「ソーシャルを強化したらすぐ集客できる」

と思われている点です。更に厄介なのは、専門家に任せたら魔法のようにフォロワーが増えるというイメージでもあるのでしょうか、そこからは丸投げできると思っておられるのです。

しかし、ここで言わせてもらいたいのは、

「ソーシャルでリーチを伸ばしたければコンテンツを強化」

してほしいという事です。

とのことで、同席する機会が多いので、実際にこういう場面を当方は横で眺めている。

ウェブブランディングの相談に乗ってほしいといわれ、出かけてみると、単にSNSアカウントの運用代行を求めていたなんていうことは掃いて捨てるほどある。
いやいや、ブランドの基本政策は何一つ買えないまま、小手先のSNSでの発信をいくら増やしたところで意味がない。
またSNSの発信だって、やみくもに回数を増やせば良いというものではない。

「〇月〇日、新商品の店頭投入開始!」

とか

「今日から〇〇%オフのセール開始」

とか

こんなことだけをいくらソーシャル上に流したってなんの効果もない。
これだけじゃフォロワーも増えないしアクセス数も増えない。なぜなら、これはウェブ広告と同じだからだ。
広告の効果がゼロだと言っているわけではない。広告まがいの投稿ばかりではそんなアカウントには誰も興味を持ってくれないのである。
ここの理解が重要なのだが、多くのアパレル・繊維企業には欠落している。

インスタグラムなら美しい画像、興味を持たれるような画像とストーリー(物語ではなく、そういう投稿サービス)の投稿が重要だし、ツイッターなら、興味を持たれるような面白い書き込みや主観を交えた書き込みが必要になる。
ツイッターで「〇〇%オフセール開始」とか「冬のバーゲン開始」なんて書き込みだけを百万回繰り返したところでフォロワーなんてまったく増えない。

また深地さんのブログでは

◯コンテンツの指標は「ブランドコンセプト」
ターゲットの好む情報ですが、これは運営元がブランドであるなら、ブランドコンセプトに沿ってコンテンツを企画します。ブランド価値を適切に高めるには、コンセプトを反映したコンテンツを同様に積み上げていかなければなりません。

とあり、先日、ある大手メーカーのウェブ施策の相談を受けたことがあるのだが、まったくここを理解していなかったので驚いたことがあった。

本来はマス層に販売していた老舗メーカーなのだが、現在、マス層への訴求力は弱まっている。
そこで、ある特定のユーザーとの結びつきを強化して、その分野での認知を高めてから、徐々にマスへ広げようという案を提示したところ、「うちはマス層への打ち出しをしているので、これは・・・。」と言われてしまった。

マス層への訴求力が弱まっているからその打開策であり、「でもマス層に」と言われるなら話は堂々巡りになってしまう。
それに過去何十年間も同じ手法で「マス層に訴えて」きたのだから、今更同じ手法を使っても結果は同じになる。
どうしてそこが理解できないのかがまったく理解できない。

このメーカーに限らず、過去何十年間もやってきて効果がなかった手法に固執する大手メーカー、大手ブランドは本当に数多くあり、体感では9割がたはそういう企業が占めていると感じる。

この部分はまた別の機会に「大手アパレルあるある失敗集」とでも名付けて別途書いてみようか。

ウェブの重要性だけは理解しつつも、30年前からの手法に固執し、他業界よりもウェブ関連人材への賃金が低いため、今後もアパレル・繊維業界はウェブ戦略に四苦八苦するだろう。
そしてそれはとりもなおさず自業自得であり、他社への丸投げで切り抜けられるようなものではない。
商品生産はOEMやODMに丸投げできても、ブランドのコンテンツ作りまでは丸投げできないしすべきではない。これはブランドの根幹であり、ここまでを丸投げにしてしまうなら、最早、自社ブランドなんて展開する必要すらない。それがしたいならブローカーか中継ぎ業者にでも業態転換すれば良いのである。

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6480円で買ったナイキエアマックスインビガープリントは足が本当に疲れにくい

今年の正月バーゲンは、人ごみの揉まれるのが嫌で、20年来で初めて店頭へ買い物に行かずにネット通販で済ませたことを書いた。
前回はネット通販での買い物の失敗を紹介し、生まれて初めてネット通販で返品作業を行った。

今後、買い物をする際には「返品交換無料」と書かれているかどうかをより気を付けて見てみることにする。

例えば、今回返品したコーエンの中綿入りコートだが、同じような商品がAmazon内にいくつかある。
ユナイテッドアローズグリーンレーベルリラクシングとかナノユニバースとかの商品である。
このうち、ユナイテッドアローズグリーンレーベルリラクシングは返品交換無料と書かれているが、ナノユニバースの商品は書かれていない。しかもナノユニバースの商品はマルイが出品している。

となると、値段が同じくらいでもグリーンレーベルリラクシングを買った方が安全といえる。

ネット通販を利用するならこういう部分も気を付けなくてはならない。

さて、今回は正月ネット通販で買って成功した物を紹介しよう。

成功したのはアダストリアホールディングスの通販サイト、ドットエスティで買った商品だ。

ちなみに、実店舗でのタイムセール乱発はストライプインターナショナルの十八番だが、アダストリアはドットエスティでタイムセールを年末年始乱発しており、思ったより売れ残りが多いのか、今日12日からまた数日間タイムセールを開始する。
実店舗でのタイムセール乱発は八百屋か魚屋みたいにしか見えないので、アダストリアのやり方の方がスマートではないかと感じる。

さて、今回買って最もよかったと感じたのは、ナイキのスニーカー、エアマックスインビガープリントである。
これも試着せずに買ってみた。サイズは27・5センチである。

価格は9720円から6480円に値下がりしていて、再値下げされる前に売り切れるのではないかと判断したため、買うことにした。
そして読み通り、今日12日現在で完売している。

このエアマックスインビガープリントは大ブームを巻き起こしたエアマックス95をモデルとしてデザインされているそうだ。
たしかにエアマックス95のグレー×イエローに似ている。

95年に追い剥ぎが出没するほどの大ブームとなったエアマックス95だが、正直にいうと当方も欲しかった。
しかし、ネットも普及しておらず実店舗でも品薄な状態であり、しかも値段が高いので当方は諦めていた。
そして22年ぶりに似たような商品を、しかも安値で発見したので買ってみようと思った。
復刻版も発売されているがこちらは2万円前後とお高いため、まったく買う気はない。

ネット検索を繰り返した中でいうと、この6480円が最安値である。

これははっきり言って大成功だった。
サイズもぴったりで、種明かしをすると、アディダスやリーボック、コンバースなどの競合ブランドのスニーカーはほとんどが27・5センチを履いているため、そこから類推できた。
また、亡くなった弟が以前にエアマックス95の復刻版を買った際に、一度だけ試着させてもらっており、その時のサイズが27・5センチだったことを覚えていた。まあ、だから「試着なし」というのは半分は誇大報告である。

エアマックス95をモデルにデザインしているのだから、サイズ感も同じだろうと類推したのである。

早速、1週間ほど履き続けているが、長時間歩いても足の疲れがない。
あと、これを履いてラックドゥの店頭にも立ってみたが、足裏の疲れがない。
ナイキのエアクッション恐るべしである。
リーボックのフューリーライトも足裏の疲れがないと書いたが、それ以上である。
フューリーライトだとかすかに足裏に疲れが長時間の立ち仕事では出てくるが、これはほぼまったくない。

繰り返すがエアマックス95復刻版は高いから、このインビガープリントを何色かそろえても良いと思った。
それほどの快適さである。

あとはシャツ1枚、パンツ2本である。すべてグローバルワークである。

まず、シャツから。
ロンドンストライプよりもはるかに太いストライプ柄。
素材は綿100%でありながらストレッチブロードと表記されている。
わずかにストレッチ性を感じる。

サイズ表記からLサイズだと判断し、これもその判断が正しかった。
ブルーとワインレッドがあったが、ワインは着こなしが難しいのと、自分の顔に合わないと判断したため、ブルーをかった。

定価は4320円で、これが1728円に値下がりしていた。
ちなみに送られてきた商品についている値札には2500円のシールが貼られていた。
店頭で2500円に値下げしても売れ残ったので1728円(税込み)にまで値下げされてネットで売られていたと考えられる。

次は、テイパードチノパンである。
綿96%・ポリウレタン4%の素材。
ヒップや太もも部分がゆったりしたシルエットなので安心してMサイズを買った。
定価4320円が1728円(税込み)に値下がりしていた。

買ったのはもっとも苦手なベージュ。
白っぽいベージュのチノパンが多いが、これが苦手で、現在のユニクロ店頭のストレッチチノパンも幾分白っぽいのでいくら値下がりしても買わない。
これはそれよりも黄色というか茶色が勝っていたので購入した。

まず洗濯をせずに試着してみて驚いたのが股上の深さ。
おヘソが隠れるほどで、通常のパンツよりも3センチ前後は深い。
おヘソが隠れるほどのハイウエストパンツというのは実に20年ぶりくらいに穿く。
なんとも不思議な履き心地である。ローライズに慣れている人には穿きづらいのではないかと思う。
この股上の深さもネット通販の表記ではわかりにくいし体感しにくい。

生地は少し薄い。元来は春夏物として製造されたのだろう。

次はグレーのチェック柄のワイドイージーパンツだ。
定価5400円が1641円(税込み)にまで値下がりしていた。
これも生地が薄いので春夏物だろう。
ポリエステル68%・レーヨン31%・ポリウレタン1%という組成。

かなりのワイドシルエットな上にウエストはゴム入りで、サイズ表記を気にせずにMサイズを買った。
これはサイズは全く問題がない。
これほどのワイドシルエットに果たしてポリウレタンが必要なのかどうか疑問を感じる。

生地は、フランスのCARREMANというメーカーのものらしい。そういうタグがついている。
調べてみると、2016年8月31日のアーバンリサーチのショップブログに出てくる。
そのほかにもアダム・エ・ロペとかチャオパニックティピーとかセンスオブプレイスとかそういうブランドが使用している。

これも日本のアパレルのアホなところで、一つの人気ブランドが使うとそれの競合もこぞって使いだす。
そして横並びになる。これを繰り返してきたのが日本のアパレルである。

3点合計で約5000円(税込み)という驚異的な安さで買え、エアマックスインビガーと合わせても11577円にしかならなかった。

このアダストリアのネット通販での買い物はコスパも含めて満足できた。

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ネット通販で服を買うときの生地と型紙の重要性

アパレル業界の新たな販路としてEC/ネット通販が注目を集めていることは言うまでもないが、実際にEC/ネット通販を論じているエライ人の多くはネット通販で服を買っていないように見える。

もちろん、実際に購入して論じている人もいるが、それのほとんどは若い世代に限られているように見えるし、いわゆるベテランのエライ人の論調には自分で買い物をしたという体験が微塵もにじみ出ていないものが多い。

そんなレベルの人の指摘やら指導をありがたがって受けているアパレル企業の経営陣はやっぱりアホなんだろうと思う。
そういう経営陣も自分がネット通販で触ったこともないのだろう。

アパレル業界には笑い話みたいなことが実際にたびたび起きる。
例えば、社員にEメールアドレスも与えずにファックスと電話のみで仕事をさせているくせに、あまり売れていないとはいえ、形ばかりのネット通販を行っているアパレルもある。
これが実話なのだから下手な漫才やコントよりも面白い

それはさておき。

毎年、正月バーゲンは貧乏ながらも幾点か服を買う(もちろん値下げ品を。定価商品は絶対に買わない)が、今年の正月はネット通販で買ってみた。
理由はくだらないことだが2つある。

1、ネット通販の利用頻度を高めてみようという実験
2、人ごみが嫌いなこと

この2つである。
個人的には他人はすべて嫌いなので、駅でも街でも商業施設でも電車でも混雑しているところは漏れなく嫌いだ。
そして、正月は毎年、どれほど景気が悪くてもそれなりにどこも混雑している。

今まではネット通販が発達していなかったので、人ごみを我慢しながら店舗に行ってバーゲン品を買っていたが、今年は一念発起してネット通販を利用してみようと思った。
ネット通販は2016年頃から毎月1度くらいは使うようになったが、何度も書いているように、ガンダムのプラモデルとパソコン回りの備品や日用消耗品がほとんどで、衣料品を買ったことはほとんどない。
グンゼの肌着と靴下とかユニクロの商品とか、比較的サイズ感が必要ない物、もしくは、以前に試着したことのある商品に限られていた。

ZOZOSUITが発表されてから(一部の有名人以外には誰の手元にも届いていない)サイズというものが改めて脚光を浴びているが、洋服を買い慣れている人間からすると、ある程度の自分の体のサイズは把握しているので、取り立ててZOZOSUITは必要ないと感じられる。
洋服が取り立てて好きとは言えない当方だが、買う枚数は多いので、それなりに自分の体のサイズは把握しているつもりである。

だから今回は試着したことのない商品やサイズ感が必要になる商品を買ってみようと思った。
もちろん狙うは格安値下げ品である。

2017年には靴のネット通販での購入も何度か試してみた。
これは一切試着せずにサイズ表記とレビューの書き込みだけで推測しながら買うという行為で、当方からするとイチかバチかの賭けだったのだが、いずれもぴったりのサイズだった。(くどいようだが格安品)

だから、当方にはその成功体験における慢心があった。

ZOZOTOWNは会員登録すらしていないので選択肢から外れる。
AmazonとYahoo!ショッピングを見て回ったが、結局はAmazonで2点買おうと思った。
1つは、コーエンの中綿入りバルカラーコート、もう1つはパーフェクトスーツファクトリーのウール30%・ポリエステル70%のスーツである。

結果的にはこの2点の買い物は大失敗で、理由はサイズが合わないためだ。
サイズの重要性を再認識することになった。

コーエンの中綿入りコートは定価10800円が6480円に値下がりしていた。購入後5148円に再値下げされている。
素材は表地が綿65%・ナイロン35%、裏地がポリエステル100%、中綿はポリエステル100%。
袖がラグランスリーブになっている。

 

 

サイズ表記は、例えばMだと、着丈94センチ・身幅57・5センチ・ゆき(裄丈)85センチ となっている。
この表記のみを元にMを買ってみた。

 

 

結果をいうと、身幅と袖丈は問題なかったが、肩幅が狭すぎた。
当方は大した運動もしていないのに、もともと骨格ががっしりしていて肩幅が広く胸が厚い。
極めて迷惑な体型である。

Amazonのこの表記だと肩幅は表記されていないからわからない。
これが失敗の原因の1つといえる。

パーフェクトスーツファクトリーのスーツはなんと、定価20520円が9234円にまで値下がりしている。

 

ツープライススーツブランドなのでサイズ表記はA6とかA7とはY7とかそういう表記しかない。
かろうじてあるとするとウエストがセンチ表記されている程度で、あとはすべて一律でサイズ展開されている。

もし、体格に合うなら、ツープライススーツこそネット通販で買いやすいのではないかと思う。

これも結果をいうと、ズボンのウエストは問題なかったが、ジャケットの肩幅が小さすぎた。
当方は手が短いから袖丈はぴったりだったが、タイトシルエットなスーツなので肩幅が小さく、アームホールのパターンどりもなんだかおかしく、手が上がりにくい。実際に着用したら電車でつり革を持つのにも一苦労しただろう。
さらにいうと、生地がノンストレッチなため、さらに動きにくさが加わっていた。

そのうえ、生地の表記はウール30%・ポリエステル70%のみで、総裏なのか背抜きかすらも表記されていない。
実物は背抜きだったのだが、スーツを売るのにその表記がないのはAmazonの怠慢としか言いようがない。

 

ちなみにZOZOTOWNで買うつもりはないが、覗いてみると、独自の採寸によってジャケットだと、着丈・身幅・肩幅・袖丈の4つを表示している。この辺りは流石といえる。

サイズ表記に関してAmazonの取り組みは甘すぎる。
この程度の甘さでAmazonがファッション衣料を強化すると言っているのだからお笑い種だ。

さらにもう一つ重要なのは、素材とパターンだ。
こればかりはどれほど技術が進歩しても画像だけでは確かめようがない。

コーエンのコートは、生地が厚手でおまけに中綿の入りも厚かった。
となると、実際に表記されているサイズ感よりは小さくなってしまう。

またパーフェクトスーツファクトリーのスーツは、一度書いたようにノンストレッチ生地で意外に厚手なため、ぴったりしすぎると動きにくくなる。さらに、袖の付け方がどうにもおかしくて、腕がひどく上げづらい。

この部分はいかに技術が進歩しようと解消はできない。
逆にいうと、生地の質感とパターンは洋服にとっては非常に重要で購買を左右してしまうということを再認識した。

しかし、ZOZOTOWNよりもAmazonの方が使いやすいのは、この2つの商品は未使用で30日以内なら返品交換が無料だというところだ。
今回初めて返品をしてみた。

返品理由を書いてウェブで送り、バーコードをプリントアウトしてから同梱して集配所に持ち込む。
そして着払いで送る。

このとき返送料が無料になるというところがAmazonを当方が利用する理由だ。
もちろん、2000円以上で送料も無料になっている。
個人的にはZOZOTOWNに200円は絶対に払いたくない。

多くの識者が論じているように、この送料無料が宅配業者を圧迫しているということは周知の事実だ。しかし、消費者利益の視点から考えれば、送料無料で指定された物は返送料も無料になる(Amazonの着払い)というのは、非常に魅力的で、利用者が減らないということは大いに理解できる。

宅配業に関わらない人間からすると、送料無料とか返送料無料(通販業者持ち)を利用するのは当たり前だ。

消費者利益と宅配業者の状況をどうすり合わせるかが今後の課題になることは言うまでもないが、当方は送料無料の利用をやめるつもりは全くない。

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