カテゴリー: ネット通販 (1ページ / 8ページ)

5000円未満なのに、なぜかユニクロのTシャツが送料無料で買えてしまった話

とりあえずお盆休みが終わった。

まだお盆休みが続いている企業もある。

今夏、当方はたくさん持っているにもかかわらず、また半袖Tシャツを何枚か買った。

お盆休み中に思い返してみると、そのほとんどがユニクロの値下げ品だった。
昨年はライトオンの値下げ品ばかり買っていた。

どうも毎年、個人的なツボにはまるブランドがあるらしい。

そんなユニクロでお盆休み前に不思議な体験をした。

今まで何度か、オンライン通販で買っている。多分もう4回くらい。
自宅配送の場合は、5000円以上買わないと送料無料にならない。
店舗受け取りの場合は送料無料だ。しかし、ユニクロやジーユーでなかなか5000円以上も買うことがない。とくに単価が安い夏物で5000円以上買おうと思ったらけっこうな枚数になってしまう。

当方が欲しいのはたいていその瞬間に1枚か2枚なので最近は店舗受け取りを選んでいる。
先日はジーユーで3500円に値下がりしたスーパーストレッチドライスーツをオンラインで買って、店舗受け取りにした。
その前は590円のTシャツ1枚を店舗受け取りにしてオンラインで買った。

で、お盆休み前、履歴を見ると8月7日のこと。

ユニクロでユニクロUのボーダーTシャツがやっと990円に値下がりした。
定価1990円で、長い間1290円に値下がりしたままでそこから値下がりしなかった。

以前にも書いたことがあるが、ユニクロとジーユーは基本的に火曜日と金曜日に値下がりする。

だから毎週火曜日と金曜日は値下がり品をチェックする。
目当ての物が値下がりしているときもあるし、目当ての物が値下がりしておらずがっかりするときもある。

8月7日の火曜日はついにユニクロUのボーダーTシャツが990円に値下がりした。

オンライン通販で確認してから店に行った。

で、目当てじゃないTシャツも買ったが、黒地に白ボーダーのTシャツが欲しくなって、スマホのアプリで検索すると店頭にはないが、オンライン通販にはMサイズだけが残っていた。

なぜか送料無料で買えたボーダーTシャツ990円

今夏のユニクロUのTシャツはビッグサイズ傾向なのでMサイズでも十分ゆったりしている。

で、ユニクロの店頭からスマホでオンライン通販で買った。
なんというハイテクな男。

オンライン通販と店頭の在庫を一括化できればもっと便利になるのになあ。
まあ、お金はかかるけど。(笑)

で、990円のTシャツ一枚だけだから当然店頭受け取りを選ぼうと思ったら、なぜか、送り先に登録してある自宅住所でも「無料」の文字が。

目を疑った。
もしかしたら何かの間違いかもしれないから、何分かそこで画面を見ながら悩んでいた。

傍から見ると、スマホの画面を睨みながら逡巡する怪しげな初老の男である。

しかし、まあ失敗したとして何らかのリカバリーの方法はあるだろうから、意を決して買ってみた。
たった400円くらいの送料でここまで悩んでいるわけである。

そうすると、なんと送料無料だった。

8月11日くらいに990円のTシャツ1枚が自宅に届いた。
納品書には990円、税込み1065円だけ印字されている。

何たる奇跡。

 

 

で、そのときにふと思ったのだが、ユニクロもジーユーも単価が安いから、送料無料にするために5000円以上買うのは結構苦しい。
ダウンジャケットなんかがある冬はそうでもないが、夏物は難しい。
冬だってセーター1枚がほしいときはオンラインで送料払うのはなんだかあほらしく感じる。

で、例えば、年間何千円か何万円かをファーストリテイリングが基準を決めて、オンライン通販での購入総額がそれをクリアしたら、翌年からは何円の商品でも送料無料という仕組みを作ってみてはどうだろうか。

そうすれば、恐らくオンライン通販の売上高は飛躍的に伸びるのではないかと思う。

現在、ユニクロのオンライン通販は伸びている。
売上高も500億円くらいになっており、通常の洋服ブランドでは相手にならない規模になっている。

それでもアホな経済系識者やファッションテック系は、「ユニクロがネット比率が低いことが弱点」なんてことを平気で垂れ流している。

単価の安い商品を送料払ってまで買うというのは、当方みたいなバーゲンハンターにとってはなんだかひどく無駄なことのように感じられる。
「ユニクロは安いで」「ジーユーは安いで」と愛用しているオッサン、オバハンも実は送料を払うのが嫌で、ネットでは買っていない場合があるのではないかと思う。

とくにTシャツ790円1枚とか590円1枚なんて送料を払うのが馬鹿らしいのではないかと、ケチな初老のオッサンは推測する。

で、そんなキャンペーンをやってみてはどうだろうか?
他人の会社なのでひどく無責任な提案ではあるが。(笑)

それにしてもどうして990円のTシャツ1枚で送料無料になったのだろう?
未だに謎である。あとで送料請求されたらいやだなあ。そのときは返品したろうかな。(笑)

久しぶりに有料NOTEを更新しました~♪
ジーンズメーカーとジーンズショップの変遷と苦戦低迷する理由
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/ne3e4f29b4276

 

 

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フワっとした願望や印象論では物は売れない

はやいもので今日で七月も終わる。
今年ももう5か月しか残っていない。

本当に光陰矢の如しである。

ネット通販への注目は依然として高いままだが、さまざまな企業やブランドの施策や現場を見ていると、ネット通販なら何でも売れるというわけではない。

客層と集客方法と商品がマッチしないと売れない。

商品の中にはデザイン、価格が含まれており、それがマッチしないことには売れない。
某社で手掛けているブランドサイトとECサイトがあるが、現状を聞いていると、集客はできるしブログの読者も大幅に増えているが、ネットでは物はほとんど売れないらしい。

これは集客は成功しているが、商品の何かが客層に適合していないために起きる現象だといえる。

責任はウェブではなく、メーカー側にある。
おそらく、客層に商品の値段が合っておらず、安すぎるか高すぎるかのどちらかだろうと思うが、安すぎるなら金額は別として数量は動くから、数量も動かないのであれば値段設定が高すぎるということになり、メーカー側は価格設定を変えなくてはならない。

実はこんなブランドは掃いて捨てるほどある。

これをメーカー側が「いや、僕たちは最善の努力を尽くしています」とか「これ以上値段は下げられません」と突っぱねることもよくある。
そういうブランドはだいたい売れないまま消えていく。
いくら最善の努力を尽くしていても消費者にはそれは伝わっていないし、売れないなら学芸会じゃないんだからブランドは消滅する。
適時適品適価がマーチャンダイジングの基本ではないのか。
基本ができずに言い訳するならメーカーなんてやめちまえよ。

あとは自社なり自ブランドの売り上げ規模設定をどうするのかである。

3億円でいいのか、10億円を目指したいのか、100億円を目指したいのか、によって商材も価格設定も変わってくる。
そのあたりを見極めずに「売れるだけ売りたい」なんて漠然とした望みを口にしているブランドは数多くある。
そういうブランドは得てして全く売れないままに終わるのだが。(笑)

例えば、昨日、美肌プリンス氏がNOTEに上げていたこのブランドのこのタンクトップ。

https://note.mu/fukaji/n/n2aa625328ce6

定価6000円もするが、プリンス氏もプリンス氏のアシスタントの若い女性もそれが高いとは思わないらしい。
はっきり言ってデザインこそ少し珍しいが、タンクトップに6000円は高い。
当方なら絶対に買わない。

しかし、このデザインが欲しい人なら買うだろう。
6000円は高いとはいえ、めちゃくちゃに高くはないからだ。
もしこれが1万円を越えていたら「高くはない」とは感じないだろう。

この辺りが、「見せ方」「伝え方」がこのブランドの上手さだと思う。

何でもかんでも品質の高さと価格の安さで決まるわけではない。
当方はそういう買い方しかしないが、そうではない買い方があることも十分に理解している。

このブランドは、そういう売り方をしておらず、それが上手く伝わっているといえる。

売れ行きに関しては

Q.お客さんは何歳くらいの方が多いんでしょうか?
A.メインは30〜40代の方が多いです。新宿でポップアップ展開したら年配の方まで買いに来たりはします。Instagramでお店の事を知った若年層の方々はほとんどタンクトップのみ購入していきます。

Q.1日何枚くらい売れますか?
A.店頭では1日3〜4枚くらいですが、オンラインでは即完売するくらい売れます。

とのことで、自店頭では1か月に100~120枚くらい売れることになる。
オンラインでの完売というのはどれだけ在庫を積んでいるかわからないので、皆目見当もつかない。
オンラインにすごく在庫を積んでいるブランドもあれば、けっこう薄くしか積んでいない場合もあるのでそれはブランドの方針次第だといえる。

例えば、ブランドステイタスを上げることを目的に、すぐに完売状態にするために薄くしかオンラインには在庫を積まないブランドもある。
すぐに「SOLD OUT」状態を作り出して、「人気」をアピールするというやり方である。

まあ、仮に店頭よりも売れているとなると1か月で200~300枚程度だろうか。

店頭での販売額は1か月でだいたい60万~70万円ということになる。

このブランドやこのタンクトップが年間何万枚も売れるほどの超人気商品になるとは当方は思えない。
価格が高いからだ。
2000円程度のタンクトップなら枚数はもっと売れるだろうが、高すぎることはないとはいえ、6000円のタンクトップはそこまで枚数は捌けない。

しかし、この店が、そういう売り方を目指していないだろうから、この価格でその売れ行きで十分なのだろう。
これが「規模設定」である。

いくらデザインが変わっているとはいえ、6000円のタンクトップを「毎年10万枚売りたいんです」なんて言ってたら、ちょっとアホなんだろうと思う。

これを読んでる方は「そりゃそうだろう」と思われるかもしれないが、実際に現場でお会いする方の多くは、「高い商品をなるべくたくさん売りたい」と思っていて、心の中では「できれば1万枚とか5万枚売れてほしい」と思っている。

しかし、そんな虫のイイ話は今の衣料品業界には存在しない。

それはかつてのDCブームのころや、ビンテージジーンズブームのころまでの話で、その幻想を追いかけても無駄だし、そういう時代は二度とはやってこない。

これに対して「ファッションへの渇望がなくなった」とか「日本が衰退している」とかいう人も多いが、そこそこの安値でそこそこの物が買えるからそちらを買うだけの話で、分不相応な買い物をしなくなったということは社会が成熟化したといえる。
また、H&Mが苦戦していることに対してすぐに「日本の購買力がなくなった」という紋切り型のアホもいるが、H&Mはドイツでもアメリカでも減収しており、その論法でいくならドイツもアメリカも衰退して購買力がなくなっているということになる。

H&M程度の価格の服が買えないわけはなく、それは日本人の収入の問題ではなく、H&Mの商品や売り方に魅力がないからである。だからドイツでもアメリカでも減収しているのである。

第一印象とか感情ではなく因果関係をはっきりさせて論じることが必要で、ブランドのマーチャンダイジングや規模設定に関してもそれは同様であり、フワっとした願望を根拠にしてはならない。

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ジーンズメーカーとジーンズショップの変遷と苦戦低迷する理由
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個人的にはこんな5枚組のタンクトップを買ってしまう(笑)1枚500円くらいね。

百貨店のネット通販がさっぱり伸びない理由は明白

ふとこんな記事が目に飛び込んできた。

百貨店がECで成功するために必要なこと

https://www.fashionsnap.com/article/2018-07-25/ec-2028/

繊研プラスからファッションスナップに転載された記事だ。

百貨店にとってECは長年の課題だ。大手各社は20年前からネット販売に着手し、M&A(企業の合併・買収)を含めてビジネスモデルの構築に取り組んできた。EC売上高は2ケタ増が続くが、全社売上高に占める比率は1~2%に過ぎない。

日本の百貨店はECで、実店舗と異なる客層を狙っていた。その結果が店舗と連携できず、新規客の獲得に至らなかった。

とある。

当方は百貨店のネット通販にはさっぱり興味はないし、今後も彼らが拡大できるとは毛頭思わないが、そりゃこんなやり方をしていたら伸びないのは当たり前だと改めて思った。
やっぱり彼らはアホだと。

彼ら百貨店が実店舗とは異なる客層をECで狙った理由を推測してみる。

1、俺たちは知名度が高いから実店舗と異なる客層が流入するだろうと考えた
2、実店舗の売上高を取られるのが嫌だった
3、実店舗と異なる客層でプラスアルファの売上高獲得を狙った

こんなところではないかと思う。

しかし、百貨店は自分たちが思っているほど知名度は高くないし、多くの消費者から支持されているわけではない。
むろん、コアなマニアみたいな百貨店支持者は今でもいるが、それは最早多数派ではない。

48歳の初老の当方だってもう10年以上百貨店で買い物をしていない。
当方は食にはこだわりがないから、百貨店のデパ地下では買い物をしない。
近所のスーパー万代の投げ売り品で十分だ。

職業柄、洋服は買うが百貨店ブランドを買う必要性は10年くらい前から感じなくなった。
ODM(デザインから生産までを丸ごと請け負うこと)業者を多用して同質化してしまった百貨店納入アパレルの商品にさっぱり魅力を感じなくなったからだ。
おまけに価格が高い。

低価格ブランドの洋服の「見た目」も向上しているから、そちらで代用できてしまう。

百貨店で買い物をしたことがないという若い層が多いが、恐らく、当方と同じ理由ではないかと思う。

こういう有様で、いくら百貨店が通販サイトを開設したからといって、おいそれと新規客が流入するはずもない。

となると、百貨店が目論んだ「新規客の流入」というのは、端から考え方が間違っていたということである。
あとは実店舗部隊のくだらない縄張り意識も大いに邪魔をしただろう。

この記事を読んで、先日紹介した、川添隆さんの著書、『「実店舗+EC」戦略、成功の法則』をまた思い出した。

ここには、ECの客は実店舗から連れてくるべきと書かれてある。
なぜなら、実店舗で買っている客はそのブランドや店の絶対的なファンだからだ。

見ず知らずの他人を連れてきたって買い上げ率は低い。
皆さんだって、今まで買ったこともないような店やブランドですぐに商品は買わないだろう。
いろいろと触ったり試着したりしてようやく買う。

だが、いつも買っている店やブランドなら、実店舗でも買うし、実店舗に行く時間がないときはインターネット通販で買う。

こういうファンはネット通販のみでは買わず、必ず実店舗とネット両方で買う。
この著書の中には、

「私が以前勤務していたレディースアパレルの場合は、『店頭・ECを併用するお客様』の店頭購入額は、『店舗のみ利用のお客様』による店頭購入額と比べて1・9倍、メガネスーパーの場合は(中略)2・6倍というデータが出ています」

とある。

実店舗のファンは実店舗とネット両方で買う傾向が強く、購入額は2倍前後に跳ね上がるということになる。

ちなみに、川添さんは、メガネスーパーの前は、クレッジ(のちにオルケスに社名変更)というアパレルに勤務しておられた。川添さんが離れたあと、たった2年弱でオルケスはあえなく63億円もの負債を抱えて経営破綻してしまったのだが。
当時のオルケス経営者の破綻させる手腕は凄まじい。たった2年弱でこれほど鮮やかに企業を経営破綻に追い込める人もそうはいないだろう。

まあ、それはさておき。

ネット通販導入で、揉める理由の一つが「実店舗部隊によるくだらない縄張り意識」である。
恐らく百貨店にもこれは根強く残っているだろう。

外野から見れば、会社全体の売上高が増えるんならネットで売れようが、実店舗で売れようがどっちでも構わないと思うのだが、百貨店の年配スタッフ層にはやたらと「実店舗意識」の強いのが多いから、縄張り意識も強固なのではないかと思う。

しかし、本当にECを強化したいと思っているなら、経営者は断固として導入すべきだし、新しい評価基準を策定すべきである。

それができないなら「EC強化」なんてのは絵に描いた餅でしかない。

ちなみにECで業績を伸ばしている企業やブランドはそれなりに評価基準を策定している。

川添さんの著書ではメガネスーパーの事例が書かれており、

・EC購入品の店頭受け取り
・メガネフレームはEC購入、レンズは実店舗購入

という二つの場合が紹介されている。

EC購入品の店頭受け取りの場合、売上も評価もECに付く。
一方、フレームはEC購入・レンズは実店舗購入の場合、売上はEC・評価は実店舗に付く。

そういう風に評価制度を作っている。

もちろん、誰もが全員納得するような評価基準や評価制度は存在しないし、作ることはできない。
だがそれでも評価制度を作らねば、EC強化なんて夢のまた夢でしかない。

導入には反対の声も上がるだろうが、そこを断固として導入できなれば経営者としては失格である。
それをやるのが嫌なら経営者なんて辞めてしまった方がいいし、百貨店はEC強化なんて目標を掲げるべきではない。
それだけのことである。

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まあ、そんなことが書かれてある本なので「EC強化」を掲げている企業やブランドは読んだ方がいいと思う。

フルオーダーとイージーオーダーとパターンオーダーの違いを改めてまとめてみた

もう様々な方が書いておられるので、繰り返しとなるが、パターンオーダーとイージーオーダーとフルオーダーはまったく別物である。

ちょっとググれば山ほどその違いについて述べておられるブログがあるが、それでもこのブログしか読んでいないという珍しい人も何人かはおられるだろうから、くどいとは思うが改めてまとめてみる。

1、パターンオーダー

あらかじめ決められたパターンをサイズに合わせて微修正するやり方。
各部を採寸後、「ゲージ服」と呼ばれる基準服を着てその差異を修正する。

スーツだと、このパターンオーダーの場合は、ゲージ服をどういう形にするのかが、けっこう大きなウェイトを占めているのではないかと思う。なぜなら、そのゲージ服のパターンを修正するわけだから、それがどういうシルエットなのか、どういうパターン(型紙)なのかで仕上がりの形が変わる。

比較的低価格でできる。平均価格は2万~4万円。

2、イージーオーダー

これはパターンオーダーよりも高額になるが、フルオーダーよりは安い。
各部を採寸後、自分と似た体型の人のパターンを修正するというもの。

基準が決められているイージーオーダーよりも自分の体型に合いやすい。

3、フルオーダー

これは各部を採寸後、その数値を基に、一から型紙を作るというオーダー。
すごく高額になって最低でも20万~30万円はする。

パターンを一から起こすのがどれほどの技術が要るのかは、洋服業界の人でもあまり理解していないが、かなり高等な技術を要する。

通りいっぺんの型紙なら少し勉強すれば引けるらしいが、シルエットの美しさと動きやすさを兼ね備えたパターンを引くには相当の知識と技能が必要となる。
また何をどう重視するのかでパターンは変わってくる(らしい)。

動きやすさを重視するのかシルエットの美しさを重視するのか、シワがよりにくいのを重視するのかでそれぞれパターンが異なる。

まあ、門外漢が知っているのはこの辺りまでである。

だから、パターンオーダーとイージーオーダーとフルオーダーは厳密に使い分けられるべきなのだが、業界の人もこの違いを知らない人が結構いるし、最近注目が高いファッションテック系の人間はほとんど理解していない。
その代表例がZOZOだろう。

販促のテクニックとしては、「盛る」ということがある。
ソフトバンクなんかもよく「盛って」いた。
しかし、個人的には、パターンオーダーをフルオーダーと「盛る」ことは詐欺に近いと思っている。

例えば、ZOZOがPBとして発売したTシャツとジーンズだが、発表当初は「フルオーダー」と発言していたが、今、ウェブサイトに行くと「パターンオーダーです」と書かれてある。
そもそもTシャツとジーンズにフルオーダーなんて必要ないと思っていたが、案の定「盛って」いたのである。ジーンズはそもそも製造関係者によると初回800SKUを製造したそうなので、既製品かパターンオーダー以外は考えられないというのが事実である。

業界外の人から見たら「どっちでもええやん」ということになるだろうが、こういう間違いがさらに消費者を混乱させる。

続いて発売されたオックスフォードシャツもしっかりと「パターンオーダー」と書かれてある。
当たり前だ。フルオーダーのシャツが3,900円程度で発売できるはずがない。

そして、ZOZOのオーダースーツも価格的に見てパターンオーダーだと思う。

まあ、それは置いておいて、オーダースーツと同時に発売されたドレスシャツは「カスタムオーダー」だと書いてある。

カスタムオーダーとはなんぞや?

カスタムオーダーでググってみると明確な定義はない。

しかし、カスタムオーダーとはけっこう幅広く使える言葉で、ワイシャツの襟の形やカフスの形を変えるのもカスタムオーダーだし、ユニクロが個別注文でTシャツやポロシャツにワッペンを縫い付けたり、刺繍を入れたりするのもカスタムオーダーである。
ジーンズの裾を自分の脚の長さに合わせて短く裾上げするのもカスタムオーダーといえる。

通常の既製スーツのズボンは裾上げをするのがほとんどだが、これだってカスタムオーダーといえる。

まあ、要するに既製品でもなんでも、自分流に手直しすることだと思っていて間違いないのではないかと思う。

ところがZOZOのサイトにはこう書いてある。

【カスタムオーダーとは】
お客様の体型に合わせ1点1点ゼロから作り上げる完全オーダーメイド製品です。

ゼロから作り上げるのはフルオーダーで、カスタムオーダーではない。
じゃあこのワイシャツはパターンから作っているのだろうか?たかが2900円の商品なのに。

この言い回しはまた「盛り」気味だし、消費者を混乱させるだけではないかと思う。

消火器を売りつける業者が「消防署の方から来ました」と言うのに似ている。
決して「消防署から来ました」とは言っていないのである。

多少の「盛り」は販促のテクニックとしてはありだが、あまりにも「盛りすぎる」のは詐欺ではないかと思う。

そして「盛りすぎ」が横行した結果引き起こされるのは、間違った知識が世間に広まってしまうことである。

よく、生地関係で話題になるのが、

デニムとダンガリーとシャンブレーの違いである。
デニムとダンガリーは経糸と緯糸が入れ替わっているだけだから見た目には区別ができにくい。

一方、ダンガリーとシャンブレーは綾織りと平織りの違いはあるが、どちらもブルーのシャツ生地用途が多いのでごっちゃに使っている業界人も多い。

業界人がごっちゃにするくらいだから、消費者もごっちゃにする。
そうなると今度は製造側は困惑する。
「あのダンガリーでシャツを作りたい」なんて言われたとき、その「ダンガリー」はダンガリーを指しておらずにシャンブレーを指していることは珍しくない。

このままでは、ファッションはいっそう混沌としてむずかしくなる
https://t.co/hlXgymQ62k

このブログはまさにそれを憂いている。

都合の悪いことに、テック側がリリースしたものは拡散されやすく、どちらでもよくないことが間違った方で広まってしまう風潮です。(ZOZO PBの謳ったフルオーダーがパターンオーダーだった件は記憶に新しいですね。大手通販サイトには、アイテム名称の誤認表記が溢れています)

このままでは、ファッションに関する情報が正誤入り乱れてカオスと化し、いざファッションを知りたい、関わりたいを興味を持ちかけた人が、この混沌ぶりに入口で頓挫してしまうのではないかと気がかりです。アイテム名から間違っていたら、検索すらかけられません。

私は、これ以上ファッションを複雑にしたくありません。

フルオーダーとパターンオーダーを意図的に混同することは、衣料品をさらに混乱させ、複雑化させているだけといえる。
ZOZOはもう少し控えめに盛ってみてはどうか。今の「盛り方」はあまりにも見苦しい。

 

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金曜日に紹介したらAmazonでけっこう売れているECの本をどうぞ

川添隆さんの『「実店舗+EC」戦略、成功の法則」を読んだ感想

世の中、インターネット通販流行りで、洋服もインターネット通販への注目が高まっている。
とはいえ、消費者としたら便利であれば、どこで買っても良いのであって、インターネットだろうが実店舗だろうが、カタログ通販だろうが、自分にとって利便性が高いところで買うだけのことである。

注目しているのは販売不振に苦しむ衣料品業界側である。
メディアも判断基準が画一的でアホだから、EC化比率が高ければ高いほど将来が有望であるという意味不明の記事掲載が多い。

アパレルの経営者もインターネットはからっきしみたいな人が多いから、インターネット通販さえすれば飛ぶように売れるようになると勘違いしている輩が多い。

インターネットがこれだけ普及しているから、インターネットなしでのブランド運営や販売は難しい。
インターネットは不可欠だが、EC化比率が高ければ高いほど良いとか、インターネット通販をすれば飛ぶように売れるようになるとか、そういったことは迷信でしかない。

インターネット通販をマクロに語る人はいる。コンサルタントやIT企業の関係者なんかがそうだ。
しかし、マクロ論はあまりにも綺麗に過ぎており、システムを構築すれば自動的に物事は進んでいくというような印象を受ける。

ちょうど、マクロな人たちが洋服や生地の製造や加工が、あたかも全自動でできてしまうというようなイメージを振りまいているのと似たようなものである。

言ってしまえば、自分がかかわっている業界以外は、誰しもが知識がないから、そういう「綺麗な世界」を思い描いているが、どんな分野だってチマチマとした作業があって成立している。

先日、メガネスーパーのEC担当として名を馳せる川添隆さんから自身の初めての著書である『「実店舗+EC」戦略、成功の法則』(翔泳社)の献本をいただいた。

 

タイトルからすると、そういうマクロな視点からの「綺麗なEC論」なのかと思ったが、全然違った。
実に泥くさい、手動と地味な作業の積み重ねが書かれてある。

一つ難を言えば、ECやインターネットの実務に携わっていない人が読むと、内容が現場的で具体的過ぎるから、理解ができないのではないかと思う。
ケチをつけているわけではなく、ターゲットを絞り込んでいるからそれ以外の人が読むと理解しがたいというのは、立派な戦略であり、客を選んでいるともいえる。

当方もインターネット通販業務は担当したことがないが、例えば、このブログをリファインしてくれた美肌プリンス率いるスタイルピックスの作業を横で見ていると、インターネット通販の運営とかウェブページの構築というのは果てしなく地味な作業だということがわかる。
ひたすらにデザインしてコーディングして、大量に撮影した画像の中から数点を選んで、キャプションや文章を考える。
完成したらパソコンやタブレット、スマホから見え方をチェックしてまた微修正する。それの繰り返しである。

だから、各ブランドのEC担当の作業がどれほど地味なものかは想像くらいはできる。

個人的に良かったと思う部分をいくつかランダムに抜き出して紹介したい。

まず、「社内交渉・深掘り・社内外のパートナーづくり」という点だ。
そこそこの規模のある企業に勤めたことのある人なら誰しも経験があるが、社内交渉や社内の根回しは重要である。
ベンチャーの3人くらいの会社ならそんなものは要らないが、10人以上の会社なら絶対に必要になる。

当方も昔、広報という部門にいたことがあるが、営業や企画、経営者との社内交渉と根回しの連続である。
短気な当方には到底向いていなかったが、ECとて同じだ。

EC、インターネット通販はとくにそうだが、営業も企画も経営者もまるで理解していないから、通常の部署よりも社内交渉が捗らない。
これをどのように捗らせるかがEC担当者の腕ということになる。

綺麗なページがデザインできるとか、SNSにフォロワーが大量にいるとか、そんなことがEC担当者の価値ではない。
社内交渉と根回しこそがEC担当者の最大の腕だといえる。

また、こんな箇所もある。

新規ECユーザーは実店舗から連れてくる

実店舗顧客はそのブランドや企業のファンなのだからECに誘致しやすい。
まったく知らない人をECに連れてくるよりもずっと手っ取り早い。

そして、狡いコンサルタントと、アホな経営者がよく言うことにもダメ出しをしていて痛快である。

一方で、ECがうまくいっていない企業ほど、集客の話をするとWEB広告やSNSが真っ先に出てきますが、前述のとおり、短期的にEC売上アップを狙うなら、優先度は低めになります。

とのことだ。
狡いコンサルタントはWEB広告とSNSを喧伝することで自分の飯のタネを確保しようとしているし、アホな経営者はそれを頭から信じてドブにカネを捨てているのである。

SNSの拡散はもちろん有効な手段だが、かといって必ず成功するわけではない。
ツイッターには今では企業やブランドのアカウントがあるが、常に注目されて拡散されているアカウントはほんの一握りである。

衣料品や繊維業界でいえば、まったく顧みられていないアカウントが山ほどある。
そのどれもが「〇〇の新作投入は9月1日から」とか「〇〇の展示会を8月20日開催」とかそんなことばかり書いている。

そもそも「〇〇」ブランド自体の知名度がないのだから、新作投入とか展示会開催とか書いたところでだれも注目しない。
それが何なのかすらわかっていない人がほとんどなのである。

だから即効性はない。

これら以外にもまだまだ具体的かつ現場的な事例が豊富にまとめられている。
EC担当者やECのリアルを理解したい経営者は一読すべき内容といえる。

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ナインオクロックのオーダーTシャツが開始されたので試してみた

どこもかしこもオーダーばやりで、猫も杓子もオーダーという状況になっていて、笑えるのだが、単純なパターンオーダースーツなら百貨店の催事で26800円でできてしまう。
催事の既製品スーツならなんと10800円で、イトーヨーカドーやら西友の自社スーツ並みである。

昔は百貨店催事のスーツは2着48000円とか1着20000円くらいだったのが、ここまで値下がりしているとは驚きである。

というのは、昨日たまたま阪急百貨店うめだ本店9階の催事場を覗いたところ、既製品スーツとパターンオーダーの催事をやっていた。
価格は既製品スーツが10800円~、パターンオーダーが26800円~、でもちろんそれ以上の価格帯もあるが、一番人が集まっていたのはやっぱり10800円と26800円だった。

 

パッと見たところ、10800円はウインドーペンの柄が合っていなかったりするが、全体的なシルエットはトレンドを押さえていて、ちゃんと着こなせばブランド物と見分けがつかない。
昔の百貨店催事のスーツはオッサンぽいモサっとした商品が多かったが、逆に今ではそういうオッサンスーツを探す方が難しくなっている。

26800円のパターンオーダーは生地が展示されていたがインビスタの機能素材「クールマックス」混の生地があり、ちょっと興味をひかれた。

10800円の麻100%スーツは買っても良いかなあと思う。
もうちょっと熟考して買いに行こうと思う。

百貨店のパターンオーダーが26800円にまで値下がりしているのも驚きで、わざわざ計測がめんどくさいZOZOSUITを着て、ZOZOの自称「フルオーダー」スーツを39900円で買う必要があるのか本当に疑問に思う。

定価30000円で、指定した場所までフィッターが出向いてきて採寸してくれて、次からはそのデータをスマホで入力して買える上に、最速1週間で完成する「カシヤマ・ザ・スマートテーラー」の方がずっと便利だし、ずっと革命的ではないかと思う。

ところで、先日、久しぶりに立ち上げを手伝ったTシャツブランド「ナインオクロック」の香取さんから連絡をもらった。

このTシャツブランドも短納期オーダーを開始したので試してもらいたいとのことだ。
もちろん、パターンオーダーである。

https://9oclock.co.jp/ordermade/

ついでにいうと、ZOZOが自社PB第1弾として発売したTシャツとジーンズだが、発表当初は「フルオーダー」と言っていたくせに、今ではサイトに「パターンオーダー」と書いてある。なぜ最初からパターンオーダーだと言わないのだろうか。詐欺すれすれではないかと思う。

Tシャツなんて生地が横に3センチくらいは優に伸びるから、そもそも「フルオーダー」なんて大げさなものは必要ないのは明白である。
ジーンズだって、いくらスキニーだ細身だといったところで、元が作業服のカジュアルパンツで、ストレッチ素材を使用していれば数センチくらいは伸びるので「フルオーダー」なんて大げさなシステムは端から必要ではない。

そういうところがZOZOの嫌いなところである。

で、早速ナインオクロックを試してみた。

2枚やってみたのだが、1枚は2年前にサンプルでもらったのと同じスムース素材、もう一枚は通常のTシャツに多い天竺素材を選んだ。

スムースはVネックのLLサイズ、天竺は深クルーネックのLサイズを選んだ。

当方は顔がデカいうえに首が短いからなるべくすっきり見えるようにネックの開きが深めのものをいつも選ぶようにしている。
ナインオクロックのオーダーはネックの深さと着丈の長さが2センチ刻みで選べるから、両方ともネックを2センチ深めにした。

いただいたサンプルは着丈が短かったので、両方とも2センチ長くした。
着丈が短いとふとした拍子にオッサンの汚いヘソが見えてしまう。オッサンの汚いヘソなんて誰も見たくないだろうし、当方もわざわざ見せたくはないので、着丈は長めにした。

注文してから2週間~3週間くらいして到着した。

サイトには最速3日、最長30日とある。

選んだ色はVネックが薄グレー、深クルーネックは紺。

 

両方とも着用してみた。また洗濯後、2年前にもらったサンプルと比較してみた。

着丈を2センチ長くしてみて正解だった。
オッサンのヘソは無事に守られた。

ネックを深くしたのも短い首が少しスッキリ見えるような気がする。

生地に関してはスムースはつるっとして肌触りは良いが、汗っかきには不安がある。
その点天竺はガッシリしていて多汗なオッサンにも安心感がある。

2年前のサンプルと比較してみたのだが、身幅は2年前のLサイズと、今回のLサイズ・LLサイズとも同じだ。
だからLLサイズといえどもそれほど身幅にゆとりがあるわけではない。

下が紺のLサイズ

下が薄グレーのLLサイズ

 

 

比較してみて気が付いたのだが、2年前の方が肩幅が広い。
LLサイズですら肩幅が2年前よりも狭く、Lサイズだと一層狭くなっている。

下が紺のLサイズ。肩幅が2年前より狭くなっている

下が薄グレーのLLサイズ。肩幅は2年前のLサイズの方が大きい

 

 

スタイリッシュには見えるが、もしかすると身幅を広げる機能を設置した方が支持が増えるのではないかと思う。

オッサンになると薄い生地はちょっと不安がある。
透けてしまわないかとか、汗だくになったら濡れ方がヤバイとか。

某メーカーの同年配の男性も「30番手で編まれたTシャツは薄くて不安。オッサンは20番手で編んでくれると安心できる」と語っておられ、その場で激しく共感してしまった。

ナインオクロックもオッサンは、今回から新たに展開されている少し厚めの天竺の方が支持されやすいのではないかと思う。

今後どのようにシステムや生産体制、商品企画をブラッシュアップされるのかに期待したい。

【告知】8月24日にあのマサ佐藤(佐藤正臣)氏と有料トークショーを開催します。
ぜひともご参加を。詳細は以下のURLで。
https://eventon.jp/13683/

 

 

 

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アパレルの「デジタル化」は販売方法だけにとどまっている現状

プリンス氏の企画で有料トークショーを開催することになった。

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インターネット通販の成長ぶりにアパレル業界は色めき立ち、「IT化推進」とか「デジタル化推進」なんて掛け声ばかりが聞こえてくるが、販売方法・受注方法だけが「デジタル化」「IT化」しているだけに過ぎない。

販売方法・受注方法だけが「デジタル化」したところで、製造や加工、原料工程はほとんどが旧態依然とした受発注システムを使っており、何が変わるのかと言ったところで、単に消費者(買う人)が便利になったよねという程度にしか過ぎない。

製造・加工は何も変わらないし、そこに製造・加工を依頼するブランド側の商品供給体制も何も変わらない。

ブランド側が商品を取りそろえるシステム、速さ、タイミングはウェブが普及する前と何も変わっていないから、当方のように製造・加工側から衣料品を見る機会のある人間からすると「デジタル化」の効果は極めて限定的にしか見えない。

製造・加工、メーカー側からするとデジタル化で何が変わったのかわからない。
せいぜいが納入先の社名が変わったくらいである。
今まで百貨店アパレルに納入していたが、今はインターネット通販会社に納入するという程度の変化でしかない。

最近、洋服の供給量が多すぎるということが指摘されることがあるが、一部の「識者と呼ばれる人たちww」からは「オーダー生産を強化することで減らせることができる」という声が聞こえてくる。
インフルエンサーとか著名人と呼ばれる人たちは、フルオーダーとパターンオーダーの区別ができていない人たちばかりだから、ここでいう「オーダー」はすべてがごっちゃになった状態であることは言うまでもない。

ZOZOのオーダースーツが話題となっているが、じゃあ、ポッと出のスタートトゥデイなんていう会社がどうしていきなりプライベートブランド(自社企画製品)を発売できるのかというと、それは生地、付属(ボタンやファスナー)、副資材(芯地など)が大量生産されて、メーカーや問屋に大量に備蓄されているからである。

タレントがいきなり洋服ブランドを開始することができるのも、それらが大量生産されていて、大量に備蓄されているからである。

だから、思い付きで「ジーンズを作りたい」「スーツを作りたい」と言っても、すぐに生産することができる。

結局のところ、服が仮に大量生産されなくなったとしても(大量生産されないなら縫製工場はほとんど死滅するから考えにくい未来だが)、生地・副資材・付属は大量生産され続けているから、それが大量廃棄されるだけになる。

インターネットと使ったオーダー受注なんてほんの小手先の誤魔化しに過ぎない。

アパレルが真にデジタル化するには、そういう製造・加工段階までデジタルにつながる必要がある。
とはいえ、そのあたりの人々は高齢化が進んでいてEメールすらろくに使えない人も多い上に、国内の工場は零細が多く、デジタルへの設備投資をする資金力がない。

この製造段階をデジタルで統合することで効率化できるというのは当方のオリジナルではない。

コンサルタントの河合拓さんが最近、何度も提案しておられることである。
例えば。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56225

生産プロセスを最初から最後まで牛耳る「SPA型」プラットフォーマー(垂直型プラットフォーマー)が生まれるのも時間の問題です。

とあり、

日本のアパレル産業は万単位の中小企業群でなりたっており、日本のアパレル産業の将来を考えるなら、こうした中小企業がどうしていくか、に目を向ける必要があります。

大多数の中小企業は、見てきたような最先端技術に対して投資余力がなく、このままいけば大手の勝ち組と中小企業の差は広がる一方です。
しかし、別の角度から見れば事情は違ってきます。中堅企業の取りまとめ役を伝統的に行ってきたのはアパレル専門の「商社」。

彼らは企画機能、調達機能、生産管理、物流、ファイナンスなど一連の機能を有しており、その気になればデジタルSPAを導入することも可能です。
デジタルSPAを大手商社が導入し、投資余力がない中堅企業にソフトウエア・サービスとして提供し新しい産業エコ・システムを作り上げることも考えられます。商社は、グループ内にIT企業もシンクタンクももっており、優秀な経営者も次々と輩出しています。

とある。

正直なところ、今のウェブ、インターネット技術の要求水準は高まっており、零細企業のオヤジが20万~30万円くらい出したところでまったく効果がないのが実態である。

河合さんは、商社育ちなので商社の良い点と悪い点をよく理解しておられる。
たしかに資金力のある大手商社や専門商社(いわゆる大手問屋)なら本格的なデジタル化への設備投資も可能になる。
業界には商社を嫌う人も多いが、実際のところは商社なしではあの大手アパレルもあの大手アパレルも商品生産が立ち行かなくなることは業界内では公然の事実である。

店頭での販売と、顧客からの受注のみのデジタル化では生産体系はまったく変わらないし、供給体制自体を変えたいと思うのなら、デジタル化を製造・加工段階まで進める必要がある。

問題はその設備投資を誰が行うのかという点であり、河合さんは商社なら可能だと言っておられる。
たしかに商社ならその資金力から考えて可能だろう。

しかし、利にガメつい商社がそこまで業界全体のための設備投資をするのかどうか、当方はイマイチ信用しきれない。

とはいえ、個別の零細工場ではとてもじゃないがそんな大々的な設備投資ができないことは、火を見るより明らかであるという点は当方も深く賛同する。

店頭や通販段階だけのデジタル化・IT化で製造・加工の問題が何も取沙汰されていないのは、その界隈の識者wwやインフルエンサーがその方面の知識を何も持ち合わせていないからで、彼らこそ、単なる思い付きを次々と商品化できているのは、その製造・加工段階の恩恵を被っているからにすぎない。

販売方法のデジタル化なんて小手先では、業界構造は何も変わらない。

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ZOZOのオーダースーツの価格は極めて平均的 ~ZOZOよりもお買い得なオーダースーツはこんなにある~

本日はちょっとお気楽に。

先日、ZOZOのオーダースーツが発表されたが、すごく安いという印象が世間で独り歩きしているが、実際のところはそんなに安くない。
今回はお試しで2万円台だが、定価は39,900円と発表されている。

業界の人ならだれでも知っている知識だが、オーダースーツには、大きく分けて3種類のオーダースーツがある。

基本的なことのおさらいをさらっと簡単にしておく。

1、パターンオーダー
2、イージーオーダー
3、フルオーダ

の3つがある。

パターンオーダーとは、基となるパターン(型紙)があり、それを体型に合わせて修正する。
標準仕様の服を着て、採寸し、それを基として各部を調節する。
現在の国内価格だと2万~5万円くらいでできる。ZOZOのオーダースーツは価格的にこれだ。

イージーオーダーとは、その人と似た体型の人用の型紙を修正して使う。これはパターンオーダーよりも少し高い。

フルオーダーとは採寸して、その人専用の型紙を作るところから始める。これは最低でも何十万円かはする。

だから、ZOZOが「フルオーダー」と言っているのは、完全に誤りで「パターンオーダー」が正しい。

で、市場には2万~4万円程度のパターンオーダーはあふれかえっており、取り立ててZOZOが割安ということもない。

付け加えておくと、素材の「スーパー110」というのは高級ウール素材だが、すでに10何年前のツープライススーツショップでも使われていた。数字が大きくなるごとに糸が細くなって高級素材となるが、「スーパー150」以上は細すぎて耐久性がなくなって、スーツ地としては実用に適さないと言われている。

ちなみに当方が12年前くらいに買ったスーパースーツストアのスーツにもすでに「スーパー110」が使われていた。
既製服なので19000円くらいだったと思う。

近年、団塊世代のリタイアとスーツのカジュアル化によって、スーツ販売各社は既製服スーツの売れ行きが鈍ってきた。
そのため、各種方策を繰り出してその穴埋めをしていたのだが、その方策の一つが低価格パターンオーダーの導入だった。

そのほかの方策は、レディースビジネススーツ類の拡充、カジュアルウェアの拡充である。

まとめると

1、低価格パターンオーダーの導入
2、レディースビジネスウェアの拡充
3、カジュアルウェアの拡充

がスーツ販売各社の2007年以降の方策である。

だから、39900円程度のパターンオーダーなんて実際は珍しくもなんともない。
世間にはもっと安いパターンオーダーが実は溢れている。

今回は各社の低価格パターンオーダーを見てみよう。

〇まずは関西ローカルチェーン店のツキムラ

http://www.tukimura.com/

1着28,800円、3着50,000円という安さ。これだけですでにZOZOより破格に安い。

 

〇次にかつて「ザ・スーパースーツストア」でツープライス業態を開発したオンリー

https://only.co.jp/

1着28,000円、2着38,000円という破格値。2着作ってもZOZOより1900円も安い。
1900円あればジーユーで590円のTシャツが3枚買えてしまう。

 

〇エフワン かつては既製スーツを販売していたが、経営破綻して縫製工場グッドヒルの子会社になってからオーダー専門店へと変わった

https://www.f-one.co.jp/

1着29,800円でここは纏めオーダーはやっていない。

 

〇最近店舗数を増やしたグローバルスタイル

https://www.global-style.jp/

1着38,000円だが2着で47,000円という値引きスタイル。

 

〇大手ツープライススーツショップの「スーツカンパニー」の派生形態「ユニバーサルランゲージ」

https://www.uktsc.com/custom-order/

1着39,000円、2着49,000円という安さ。

 

〇最近始まったオンワード樫山の新業態「カシヤマ・ザ・スマートテーラー」

https://kashiyama1927.jp/

1着30,000円(税抜き)が最低価格。

とざっと駆け足で見てきたが、ZOZOのオーダースーツの価格がどれほど「平均点」なのかということがわかるだろう。
39,900円のオーダースーツなんて珍しくもなんともない。

また、一度作ったら採寸データは残るから、リピートするのも簡単で、IT化が進んでいるから、パソコンやスマホからデータを自分で入力して買えるというサービスも別に珍しくない。現に「カシヤマ・ザ・スマートテーラー」は指定した場所にフィッターが出張してきて採寸してくれるだけでなく、2着目からはスマホからもオーダーできるし、最速で1週間で完成するから、ZOZOのサービスが霞んで見える。

逆にあんなに12回もクルクル回らねばならない上に、採寸に誤差が生じやすい水玉模様のZOZOSUITよりもプロのフィッターに出張してきてもらった方が手軽だし信頼できる。

こうして見ると、ZOZOよりも価格競争力もあり、サービスも優れているオーダースーツは業界には掃いて捨てるほどある。
ZOZOが上手いのは現時点ではイメージ戦略だけということができる。

それにしてもメディアはこういう競争力のあるブランドを紹介せずに何をイメージ優先のZOZOばかり紹介しているのか。
偏向報道と叩かれても当然の報いといえる。

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ZOZOのオーダースーツがホールガーメントで作られるという完全なるミスリード

スタートトゥデイがオーダースーツを開始することが発表された。

生地が伸び縮みして多少のサイズ違いなんてどうとでもできるTシャツとは異なり、メンズのスーツ、ワイシャツというのはそれこそ「ミリ単位」は大げさでも「1センチ単位」での正確さが要求される。
首回り39センチの男が、40センチのワイシャツを着るのはひどくだらしなく見える。

それほどの精度が求められる。

自己採寸できるZOZOSUITによる計測は現在のところ、誤差が大きく、果たしてあの誤差で大丈夫なのかと思ってしまう。

とはいえ、まあ、オーダースーツに進出するのは規定路線だっただろうから、当方はそれほど興味がなく、発表も注目していなかった。

ついでに言っておくと、スタートトゥデイは「フルオーダー」と言っているが、これは間違いで、「パターンオーダー」である。
フルオーダーというのは一人ずつ型紙(パターン)が全く異なり、型紙作りから行われるオーダーであるが、そのため価格も非常に高額になる。定価として発表されている39,900円なんて低価格では絶対に実現できない。

 

パターンオーダーとは「原型」となるパターンがあり、それを基に各個人の体型に合わせて修正するオーダーであり、こちらは比較的低価格にすることが可能だ。

ゾゾの定価である39900円という値段設定は、パターンオーダーなら極めて当たり前の平均的価格である。

スーツカンパニーのオーダースーツの最低価格は39000円だし、麻布テーラーのオーダースーツの最低価格は37000円でzozoよりも安い。
グローバルスタイルなら2着48000円で、1着当たりは24000円となり、zozoよりも圧倒的に安い。

オンリーならオーダースーツが1着28000円、2着38000円で2着作ってもzozoよりも安い。

zozoのパターンオーダースーツの定価設定は同業他社よりも高いくらいに設定されているというのが事実である。

発表後、ツイッターのタイムラインには「ZOZOがオーダースーツをホールガーメントで無人製造」みたいな意味不明のツイートが多数流れてきた。

それもある程度業界知識があるはずの人まで一緒になってやっているのだから呆れ果てるほかない。

よく記事を読んでみると、スタートトゥデイの発表は大きくわけて2つの項目があった。

1、オーダースーツを開始すること
2、ホールガーメントを導入すること

である。そしてこの2つのトピックスは全くの別物で、オーダースーツとホールガーメントは何ら関係ない。ホールガーメントはあくまでもセーターなどのニット製品向けである。
それを2つを合体させてしまうからわけのわからないことになっている。

1、ラーメン屋に行った
2、そのあとでユニクロに行って服を買った

というのを「ラーメン屋でユニクロの服を買った」と合体させてしまうのと同じくらい意味不明である。

ではどうしてホールガーメンで通常のスーツが製造できないのか説明していく。

ホールガーメントとは?

 

ホールガーメントとは、島精機製作所が開発したニット編み機で、一体成型でセーターが編み上げることができる。
これが開発された理由の一つに、国内リンキング工場の激減という事情がある。

同じ編み物でありながら、セーターとカットソー(Tシャツ類)は業界では区別される。

Tシャツ類は、各パーツを縫い合わせる(縫製する)ことに対して、セーターは袖口や裾、襟のリブを縫い合わせるのではなく、編み合わせる。これを「リンキング」という。大雑把に、リンキングされている物はセーター、されていない物はカットソーと業界では分類される。

リンキングはセーター本体と比べると、極めて細い針をセーター本体の編み目に通して編み合わせる作業なので、視力が良くないとできない。
国内工場はリンキングに限らず、高齢化が進んでいるから、老齢で視力が衰えるとリンキングは満足にできなくなる。
そしてリンキング工場は儲からないし、その技術を生かして独自製品を開発することもできない。
結果的に廃業していくということになった。

リンキングなしでは「セーター」は製造できないから、その解決法の一つとして、一体成型のセーターが提案された。
これがホールガーメントである。

今回の発表でにわかに注目を集めたホールガーメントだが、開発されたのは相当前で20年くらい前の話である。
もちろん毎年改良は加えられているが、何も「最新鋭技術」というわけではない。

ホールガーメントはいわゆる頭被りのオーソドックスなセーターだけではなく、前開きのカーディガンやらニットジャケットなんかも編めるし、ニットスカート、ニットワンピースも編める。

だから、ニットジャケット、ニットズボンも編めるが、いわゆる「通常のスーツ」は製造できない。
もし、ニット生地を縫製するならスーツは製造できるが、ホールガーメントの一体成型では「通常のスーツ」は製造できない。

なぜなら、一体成型ということは芯地を挟み込むことができないからだ。

「通常のスーツ」、とくにテーラードジャケットがパリっとしているのは、芯地を挟んで縫製されているからだ。
ついでにいうとワイシャツの襟と袖口が胴体よりも硬くてパリっとしているのはそこに芯地が挟み込まれているからである。
だからホールガーメントでワイシャツを製造することもできない。

高級スーツ、高級ワイシャツになればなるほど使っている生地は柔らかく薄くなる。
そんな柔らかくて薄い生地を2枚重ねて縫ったところで、多くの人が想像するようなスーツやワイシャツみたいにパリっとはしない。
その間に芯地を挟み込んで縫製するから硬くてパリっとするのである。

一体成型なのだから芯地を挟み込んで縫製なんてできるわけがない。
だから多くの人が思い描く「通常のスーツ」「通常のワイシャツ」はどうしたってホールガーメントでは製造できない。

だが、例えば、通販ニュースですらこの混同ぶりだ。

ZOZO、海外展開開始…ゾゾスーツなど10万人に無償配布

 

 

 PB商品の生産体制についても言及した。「体型データ」と「オンデマンド生産機器」を組み合わせた生産を行うとし、一例として(株)島精機製作所とコラボレーションし商品ごとに最適な製造インフラを構築すると言う。前澤社長が「3Dプリンターの洋服版」と称した「WHOLEGARMENT(ホールガーメント)」という機械などを使用し、無人のアパレル生産を行うとした。

これだと、ホールガーメントという機械wwwでどんな洋服でも製造できるように読めてしまう。
残念ながら製造できるのは編み物に限られている。
だからセーター、カットソー、トレーナー類に限定される。

ジーンズ風ニットズボンは製造できても、「通常のジーンズ」は製造できない。

織物と編み物の違い

 

生地には織物と編み物があり、それぞれ生地の構造も製造する機械の構造も異なる。
少ない本数の糸を輪っか状にして連結させる「編み物」と、合計何千本、何万本という本数の経糸と緯糸を組み合わせる「織物」はまったく別物の生地構造をしており、通常のスーツやワイシャツ、ジーンズは織物で作られている。

お分かりだろうか。

ツイッターでは、「布帛(織物)も一体成型できるようになる気がする」なんて意見もあるが、それは絶対に無理だ。
編み物は、脇に縫い目のないTシャツやセーターがあることを見てもわかるように、円形に編むことができる。しかし織物は平面の直線で織られており、円形に織ることは生地の構造上からも機械の構造上からも不可能である。

だから「織物の一体成型」は現時点では不可能で、それが開発されることはまずない。

一方、島精機製作所のウェブサイトにはインレイ編みで布帛に近いハリコシのあるホールガーメントができると書いてあることから、インレイ編みに期待を寄せた人もいるが、インレイ編みがいくら通常のニットよりもハリコシがあるとはいえ、芯地を挟み込まなければスーツにパリっと感は再現できない。

http://www.shimaseiki.co.jp/wholegarment/

インレイ技術を活用したホールガーメント製品で、驚きの軽さと快適な着心地が特長です。ジャケット、コート、スーツなど従来布帛でしかなかったようなアイテムをニットで表現できます。横方向に編成することで、横方向にストレッチ性を持たせながらも、縦方向には伸縮を抑えて形態を安定させることも可能です。

とあり、なかなかミスリードさせるような文面だが、芯地がなければ通常の布帛スーツや布帛コートのパリっと感は実現できない。
島精機も罪な書き方をしている。わざとだろうか?わざとだとすると極めて悪質だ。

インレイ編みってなんだ?インレイ編みは万能じゃない

 

じゃあ、インレイ編みってなんだろう?

最近ひそかなブームになりつつあるニットインレイ編みとは?

通常の横編み(いわゆるセーター生地)に緯糸を通すことで、ハリコシを持たせる編み方で、構造は以下の図のようになっている。

しかし、いくらハリコシが出るとはいえ、何千本・何万本もの経糸と緯糸で高密度に織られた織物には遠く及ばない。
ニットは所詮ニットなのであり、さらにそこに芯地がないとなれば、通常のニットジャケット、カットソージャケットの少し硬い程度でしかない。

スタートトゥデイはここを意図的か無意識なのか混同させるような説明の仕方をしていた。

そして、製造や生地のことの知識を持ち合わせていないメディア関係者や、知識の浅いファッション業界人はまんまとそれを鵜呑みにした。

それが今回の騒動の原因である。

スタートトゥデイは話題作りが上手いと思う。しかし、いつも優良誤認させるような手法を積極的に用い、今回もまたそういう手法を用いた。ここが好きになれない点である。

ホールガーメントは別に未来の最新テクノロジーでもないし、どんな服でも自動製造してくれる魔法の箱でもない。
ホールガーメントは20年くらい前に開発された一体成型型のセーター類専用製造機で、それ以上のものではない。

とんだ空騒ぎである。馬鹿馬鹿しい。

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「安くて良い商品」が好まれるのは日本も英国も変わりない

「安い物ばかり売れる日本の現状は嘆かわしい」とか「デフレの日本は衰退している」とか、その手の言説が多く聞かれるが、「安くてそこそこ良い物」が売れるのは日本だけではなく、世界共通ではないかと思う。

当方は仕事でなければ海外に行かない。
旅行自体がそんなに好きではないし、実際のところ海外に行かねばならない仕事は来ない。
だから海外にはまったく行っていない。

海外からの記事を読んで理解しているのだが、例えば、記事を読む限りイギリスの消費傾向も日本と変わらないと感じる。

老舗大手が100店閉鎖!英国を襲う消費激変
ネットだけが敵じゃなかった

https://toyokeizai.net/articles/-/227314

5月、老舗小売り大手「マークス&スペンサー」が、2022年までに100店舗を閉鎖すると発表し、英国内に大きな衝撃が走った。1884年創業の通称「M&S」は国内で約6万人を雇用する小売業で、海外30カ国のフランチャイズ店を含めると約8万人が働く。

低迷の理由は、一言でいえば「市場の競争に負けた」こと。その端的な例が、主力の衣料品販売の不振だ。M&Sといえば英国人が真っ先に思い浮かべるのは、家族全員の下着がそろい、多くの女性が心をときめかすようなデザインで、かつ価格も手ごろな衣料品がそろっていることだ。
調査会社「グローバルデータ」によれば、衣料品販売市場でM&Sが13.5%のシェアを占めてトップの座に君臨していたのは1997年。今でも首位の座はかろうじて維持しているものの(7.6%)、その後ろには僅差(7%)で廉価の衣料販売チェーン「プライマーク」が控える。

とある。

日本には進出していない低価格トレンド衣料品ブランド「プライマーク」に猛追されて、マークス&スペンサーの衣料品はシェアを落とし続けている。
支持されているブランドが異なるだけで、低価格トレンド衣料品ブランドが支持を集めているのはイギリスも日本と変わりないということである。

小売業界の危機の原因は何か。筆頭に挙げられるのは、インターネットの影響だろう。各小売業はオンライン上のライバルと本気で戦わなければならなくなった。

たとえば、衣料品小売り「ネクスト」は年間収入約40億ポンドの半分近くをオンラインショッピング部門に投資している。しかし、先のM&Sの投資額は4億ポンドで、経営陣はサイトがまだ十分に使いやすくなっていないことを認めている。

とあり、このマークス&スペンサーのネット通販の遅れぶりはちょうど、日本では、しまむらグループの遅れっぷりと重なるところが多いように感じる。とはいえ、たしか「プライマーク」もネット通販はあまり熱心ではなく、この辺りの関係はどうなのだろうと、記事を読みながら疑問を持った。

ネット通販がすべての売り上げ不振を解決するとはまったく思わないが、何事を調べる際にもまずはネット検索から入るから、企業やブランドにはウェブサイトが必須となる。

そして、インターネット草創期なら、手作りのホームページでも問題なかったが、これだけインターネットが浸透し、各種サービスが立ち上がれば、そんな手作り感満載のホームページでは相手にされなくなる。
それ相応の専門家に対価を支払ってウェブサイトを構築してもらうことが必要となり、ウェブへの投資は不可欠といえる。

このあたりも日英同じといえる。
さらに以下の部分も日英ともに変わらない。

百貨店というビジネスモデルそのものへも疑問が呈されている。かつて、その特徴は「ありとあらゆる品物が1つの屋根の下でそろう」ことだったが、オンライン・ショッピングが普通になった今、これだけでは弱い。また、百貨店はこれまでファッション衣料に主眼を置いてきたが、「可もなく不可もない」品ぞろえになりがち。それより今は、より個性的で、手ごろ感がある安いブランドが人気だ。

賃金の上昇率はインフレ率より低いため、過分所得が減少している。
英国の小売業界で最も窮地に陥っているのは、価格帯が中間にある小売業やマス市場を狙う小売業だ。逆に、元気がいいのは付加価値付きの商品市場か廉価市場にいる小売だ。

「ファッション衣料偏重の百貨店の苦戦と安全パイ商品蔓延による同質化」「可処分所得の減少」「低価格品と高付加価値品の二極化」これらすべて日本で言われていることがそのままイギリスでも起きているといえる。

今の日本人は「日本衰退論」を好み、欧米やアジア諸国への憧憬を語るが、この記事が事実だったとすると、イギリスの消費傾向だって日本の現状と変わらないということになる。
日本にいようが、イギリスに移住しようが、小売業の立たされている状況は変わらない。

そして、この傾向は各国共通ではないかと思う。
どこの国民だって、安くて良い物が欲しいし、便利なところで買い物をしたい。それは変わらない人間の性質だろう。

結局のところ、自虐論は日本国内のビジネス弱者たちが自国をディスって自慰しているだけではないだろうか。

こんな環境だから俺たちが売れないのは仕方がない。

 

そう言いたいだけではないのか。

そういうビジネス弱者はイギリスに拠点を移したとしても結果的には同様にビジネス弱者にしかならないだろう。
なぜならば、消費動向の根源は日英変わらないからだ。

もちろん、国民性の違いによる嗜好の違いはあり、日本では弱者にしかなれなかった商品が、イギリスでは人気商品になる可能性はある。

しかし、その嗜好の違いによる商品への支持以外では、日本でのビジネス弱者が海外に出て一発逆転できる可能性はゼロだといえる。
安くて良い物が選ばれるという消費者心理はどの国でも共通しているからだ。

売上高を増やすには、客単価を上げるか買い上げ客数を増やすか、その両方を実現させるか、のどれかを実践するしかない。
そのどれもへの努力を怠っているビジネス弱者ブランドの売上高が低迷し続けるのは何の不思議もないし、そういうブランドは海外に逃避しても決して売れることはないだろうと、今回のイギリスの記事を読んで改めて感じた。

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トウキョウベースの香港店は活況なのか?売上高から入店客数を類推してみた
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n78d0021044a2

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