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カシヤマ・ザ・スマートテーラーの出張採寸を見学した話

先日、カシヤマ・ザ・スマートテーラーの出張採寸を見学した。
オンワード樫山が開始した低価格パターンオーダースーツで、今は地域限定だが、採寸師が出張採寸してくれるというサービスだ。

いつもの深地雅也さんが予約をしたというので早速、見に行った。

その顛末はすでに深地さんがまとめている。よければご一読を。

KASHIYAMA the Smart Tailorの出張採寸が超便利な件

https://note.mu/fukaji/n/nf1604735f624

横で見学していた限りにおいては、通常のパターンオーダーの採寸と各種オプションで、極めて標準的なサービスに見えた。

当方も12年くらい前に一度、オンリーでパターンオーダースーツを作ってみたことがある。
また、先日は大手生地ブランドからの依頼で、東京と大阪のテーラーでパターンオーダースーツづくりの取材をした。

それらと比較してみても、まあ標準的なサービスだといえる。

ただ、パターンオーダーにつきものの基準となる「ゲージ服」の着用はなかった。
カシヤマのショップでなら「ゲージ服」を着用しての採寸もあるのではないかと思う。

価格はジャケットとパンツで

ウール50%・ポリエステル50%生地が3万円
ウール100%国産生地が4万円
インポート生地が5万円

となっている。

各種のオプションは

・袖口のボタンの数
・切羽にするかどうか
・裏地の色
・ベント(ノーベントかセンターベントかサイドベンツか)
・ジャケットの両脇のポケットの形
・胸ポケットの形
・パンツのタック(ノータックかワンタックかツータックか)
・ボタンの色と材質

くらいになる。

で、スーツはこれまであまり着たことがなかった深地さんを横で観察していたのだが、これらの各種オプションを選ぶのがちょっとめんどくさそうだったのが印象的だった。

スーツの好きな人、スーツに慣れている人なら、これらのオプションは標準的で、それを選ぶことが「楽しい」と感じる。
決してこのオプションは多すぎるとは思わない。

しかし、慣れない人にとっては、これらのオプションを選ぶことはけっこう面倒に感じる場合があるということを初めて知った。

もしかすると、スーツ慣れしていない人やスーツに詳しくない人に対しては、もっと提案機能を持たせた方が顧客満足度が高くなるのではないかと思った。

来店した客を「スーツ慣れした人」か「スーツ慣れしていない人」か見分けるのがなかなか難しいが、何らかの方法で見分けて、それによってスーツ慣れしていない客にはもっと積極的に提案した方が良いのかもしれない。

カシヤマの採寸師の方は、決して投げっぱなしというわけではなかったが、お客の要望に合わせるというスタンスだった。
当方ならそういうスタンスの接客で十分なのだが、慣れていない人にとっては、逆にそちらがサジェスチョンしてほしいと思うようだった。

それとその時に採寸師の方からいろいろとお聞きしたことが興味深かったのが、おもにこのパターンオーダー事業の業績に関することだった。

中国の大連にすでに専用の縫製工場を作っており、第二工場ももうすぐ稼働し、第三工場も建設することが決まっているという。
最近のOEM丸投げアパレルの水準からすると1つでも工場を作るというのがすごいが、まあ1つくらいならわからないではない。
しかし、事業がスタートしたばかりでもう第三工場まで作ることが決まっているというのは、相当に売れ行きが好調なのだろう。

1日あたりの売れ行きを尋ねてみると、「だいたい毎日800着」だという。
これは予想外にすごい数字ではないか。

客単価3万円としても1日に3万×800着で2400万円の売上高になる。
1か月だと2400万円×30日で7億2000万円となる。

このペースで1年が経過したと仮定すると、7億2000万円×12か月で86億4000万円の売上高となる。

深地さんは、客単価4万円で計算しているが、4万円だとだいたい115億円強の売上高となる。

実際の売上高はこの86億と115億円の間ということになるのではないか。

しかし、それにしても事業開始と同時に縫製工場を作るというのは、さすがは老舗アパレルであるオンワード樫山だといえる。

もちろん老舗アパレルだってOEMやODMに丸投げするのは珍しくないが、このオーダースーツ事業に関しては、製造の段階から自社で用意しており、その力の入れ具合がわかる。
物作りをどうするかということを最初から考えるのは、さすがは老舗アパレルで、泥縄式に製造関係者を募集しているZOZOとは姿勢がまるで異なっている。

話は少し戻るが、スーツに慣れていない人・初心者をターゲットにした、「なるべく選ぶオプションが少ないパターンオーダー」というのも考えてみてはどうだろうか。

極言すれば「標準服」のサイズを修正するだけである。

そのキモとなる「標準服」のデザインやシルエットはよほど魅力的なものにする必要がある。
選ぶことに慣れていない人にとっては、選択肢を制限する、もしくは無くすことが最高のサービスになる。

逆説的だが、顧客サービスとは、たくさんの中から選ぶようにしてあげることばかりではないということである。

10何種類もシルエットが存在するジーンズ専業メーカーのジーンズよりも、4種類くらいしかシルエットのないユニクロや無印良品のジーンズの方が売れていることを考えてみても、選択肢を制限することが対象によっては、顧客サービスになり得るということがわかるのではないだろうか。

久しぶりに有料NOTEを更新しました~♪
ジーンズメーカーとジーンズショップの変遷と苦戦低迷する理由
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/ne3e4f29b4276

 

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8月1日から始まった、はるやまの新パターンオーダー、イージーセレクトもどうぞ
今度試してレポートしてみようかな?

洋服の製造を完全受注生産にしても廃棄問題・売れ残り問題はなくならない

洋服の廃棄が話題になっているが、なぜか「焼却」という言葉が頻繁につかわれているが、洋服が生地だけで作られているなら焼却も可能だろうが、付属や副資材が使われているから焼却は無理で、産業廃棄物として処理される。
もしかして「償却」という言葉を聞いて「焼却」と変換されてしまったのだろうか。

それ以外に、日本には何十年も前から「バッタ屋」という職種があり、さまざまなブランドの在庫品を安く仕入れてきて安く売る。
当方が手伝っているラック・ドゥもその一つだし、大手メディアでときどき取り上げられるショーイチもその一つだ。
ジーンズメイトも創業当時はジーンズ関連のバッタ屋だったといわれている。
それ以外にもそういう業者は数えきれないほど存在する。
実際、当方は、違うバッタ屋何軒かで何度か買い物をしたことがある。

http://doluck.jp/

 

本当にさまざまなブランドの不良在庫品がバッタ市場には流れてくる。
アーバンリサーチ、タケオキクチ、ユナイテッドアローズという錚々たるブランドの不良在庫品もバッタ屋の店頭で見たことがあるし、世間的には安売りで知られ、最後の一枚まで売り切ると思われているしまむらの在庫品もバッタ屋の店頭で見たことがある。
しまむらの値札は1500円だったが、バッタ屋はそれを590円に値下げして販売して無事完売していた。
中には大手セレクトショップや有名ブランドのサンプル品もバッタ屋に流れてくる。

産廃として処分するのと、バッタ屋に安値で払い下げるという2通りの処分方法があるのだが、どちらにもメリットとデメリットが存在する。

産廃として処理されるのメリットは、安売り市場に出回らないのでブランド価値が維持できる。
デメリットは、産廃処理費用がかかるということと、近年注目されているサスティナビリティとエシカルに反するというところである。
ちなみに個人的には過剰なサスティナビリティも過剰なエシカルもあまり好きではない。

バッタ屋に払い下げたときのデメリットは、産廃だと金を払わないといけないのに、バッタ屋だと少額とはいえ金をもらえる点にある。
デメリットは、ブランド価値が大きく毀損する点である。

そういえば、今年7月上旬に、天満のバッタ屋でアースミュージック&エコロジーのサンダルが399円で売られていて、その3週間後くらいに訪れた際、299円に値引きされていた。今でも何足か残ってて売られているはずだ。

 

どちらの処分方法を選ぶのかは、経営者判断にならざるを得ない。
ブランド価値を維持するのか、目先の少額な現金を取るのか、である。

売れ残り品の処分をしなくて済むようにするなら、過剰供給はやめねばならない。
その一つの方法としてオーダーメードのような受注生産が注目されている。

じゃあ、それで解決でめでたしめでたしとはならない。

洋服を作るための生地、裏地、芯地、ボタン、ファスナー、織りネームなどは常に大量生産され続けている。

そしてそれらをメーカーや問屋が大量に備蓄しているのである。

例えば、タレントが思い付きでブランドを開始するときに、どうしてすぐに商品が作れるのかというと、洋服を作るためのそれら材料がメーカーや問屋にたっぷり備蓄されているからである。

小規模ブランドや小規模デザイナーズブランドがいとも簡単に直近で商品を作ることができるのは、それらの材料がメーカーや問屋にたっぷり備蓄されているからである。

そして需要が少なくなれば、備蓄されていて動きの悪い商材は廃棄されるかこれまた材料のバッタ屋に二束三文で売り飛ばされることになる。

エドウインの本社がある西日暮里には1メートル100円くらいの安い生地を売っている店が何軒もあるが、あれらはそういう材料のバッタ屋なのである。

洋服製造の部分だけをオーダーメードや受注生産に切り替えたところで廃棄ないし安売りはなくならず、材料段階でそれが行われるだけのことであり、さらにいえば、いつでも生地が織れる・編めるように、糸も大量に備蓄されているし、糸の元となる原料も大量に備蓄されている。

これが事実であり、そこまでを解決するとなるとどれほどの費用やシステムの構築が必要になるのか想像もできない。

じゃあ、どうして、そういう生産しかできないのかというと、各段階で採算ベースに乗る「経済ロット」というものがあるからだ。

その一端はこのブログに詳しい。編み生地の場合がわかりやすく説明されている。

ロットと在庫とわたし

http://www.ulcloworks.net/posts/4611965

しかし、生地商社さんは各色のバランスを生産コストを一律にしてストックしておく必要があるため一色辺りの経済ロットで生産して在庫を持つことになる。

染色の経済ロットは染色工場によって様々だが、概ね6反/色というのがある程度の規模の工場が提示している経済ロットである。
なのでこれ以下の数量に関しては加工賃にチャージアップなどの経費が加算されるので基本的にはこの経済ロットに応じて加工していることが多い。

一つの生地品番あたり、染色ロットが満たせても、色数が少なければ編みの経済ロットをクリアすることができない可能性がある。
無地編みの場合、生機(染色前の生地)の経済ロットは生地組織によるが基本的には「糸ひと立て分」が提示されるケースが多い。
「糸ひと立て分」とは、編み機のフィーダーと呼ばれる糸を送り込む糸口の数に合わせて糸を買うロットのことを意味するので生地によるのだが、わかりやすくするために例として今回は一般的な量産型の30インチ28ゲージという編機を利用した天竺という生地を編む場合で話を進めていく。

30インチ28ゲージ天竺の機械のフィーダーは高速機なら国内はほとんどが90口である。
つまり「糸ひと立て分」は糸90本分ということになる。
糸は分割といって小割して使うこともできるが、このひと立て分という意味の中に分割してという言葉は付かない。
糸は綿糸の場合1本1.875kgが中心で、糸ひと立て分は90口x1.875kg=168.75kg(30/1天竺40m巻き1反がだいたい11kgくらいなので15反とちょっと)が編みの経済ロットという認識になる。

ところが、綿糸は90本という綺麗な数字で買うことができない。
1ケースという単位で買い取る必要があり、1ケースは12本入りの22.5kgが糸を買う際の最小ロットになる。
90本揃えなければならないので90口÷12本=7.5ケース。そして糸は半端ケースで買えないため切り上げ8ケースという量の糸を買うことになる。
8ケース×22.5kg/ケース÷11kg/反=16反と余り糸4kgが編みの経済ロットになる。

これと、先程の染色ロットの最小公倍数がいわゆる経済ロットということになる。
色数はストック生地を販売していく上で2色展開などではあまりにも寂しいので、4-6色が少なくとも容易されている。
そして一色6反以上×色数でアソートを組んで編みの経済ロットと染色ロットの最小公倍数を探していくのである。
例として単純に全部の色が6反の加工をするとした場合、染め6反と編み16反の最小公倍数は48反編んで8色染めるのが答えになる。

アパレルメーカーさんに別注の生地提案をして一色6反染めて編みで48反という注文をもらうのは簡単ではない。
なのでニッター編工場は生地問屋めがけて営業をかけたほうが工場稼働をまもりやすい。

しかしこうした経済ロットをクリアして積み込まれた在庫をキレイに売り捌くのは非常に難しい。必ず売れ残りの在庫が出る。
こうしたものがバッタ屋などに破格で流通していくことになる。生地の世界でもこのようなことはザラである。

ちょっと長いが読んでいただければ、生地作りの数量問題の一端が理解できる。

編みの場合は、重さ(㎏)が基本となっているが、織りの場合は、長さ(メートル)が基本となる。
これは生地の場合だが、ほかの付属や副資材、織りネームなども同様の理屈で「経済ロット」が求められる。

廃棄問題に心を痛めるのは個人の自由だが、ここの部分を変えない限りは廃棄問題はなくならない。
そしてそれを変えるには膨大な費用と膨大な手間がかかる。綺麗事のスローガンを念仏のように唱えるだけでは何も変わらないし、変えられない。

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バッタ屋の小説があったよ~

低価格ブランドが売れているのは「価格」だけが評価されているのではない

インターネット、とりわけブログも含めたSNSが普及したことによっていろんな人が意見を発信することができるようになった。
デメリットもあるがメリットも大きく、当方もいろいろとデメリットを感じることもあったが、何とか生きていられるのもSNSの普及によるところが大きい。

で、様々なファッション業界人(あえて衣料品業界とはいわない)の発信を見ていると、「ズレ」てるなあと感じることが多い。

その多くはやっぱり自分たちの飯のタネに直結する「商品価格」のことである。
中には被害妄想ではないのかと思う人も少なからず見かけられて辟易させられる。

よくある論調として

「ユニクロなどの低価格ブランドが持て囃されているが、高い服を着ることで精神がウンタラカンタラ」(うざっ)

というものである。

もちろん、バブル崩壊以降の可処分所得の低下・伸び悩みによって、バブル期以前のような高価格な洋服が売れにくくなった。

バブル崩壊直後の93年とか94年には、このケチな当方でさえ、10万円のスーツが6万円に値引きされたのを買っていたのである。
その理由は、何度も書いているが、低価格店にそういうデザインのスーツがなかったからである。

もちろん当時は今より平均的な可処分所得は多かった。
しかし、似たように見える商品があったら間違いなくそちらで買っていた人は多かっただろう。

何度も書くが、93年当時に黒い無地のスーツは、DCブランド系の店にしか売ってなかったのである。
ロードサイドの青山、はるやまには黒無地スーツは略礼服しかなかった。

DCブランドならセールで6万円だが、もし、青山やはるやまに売っていたら定価でも3万~4万円くらいだっただろうし、バーゲンになればそこからさらに2割か3割は安くなっただろう。

だから、もし、当時、黒い無地のスーツが青山やはるやまにあればそちらで買うという人が多かっただろう。

ない物は買えないから、高いDCブランド系で買うしかない。
それだけのことだ。

これはスーツに限らず、Tシャツしかりジーンズしかりドレスしかりである。

元嫁は93年当時、今は亡きビバユーというサンエーインターナショナルのブランドの服を高値で買っていた。
生地はいわゆるスーツっぽいウールまたはウール混で、モスグリーンのロングベストだった。
モスグリーンというだけですでにイズミヤやジャスコには売ってなかったのだが、襟(ラペル)の形状が変わっていて、雲形定規で切り抜いたような丸いグニャグニャした形状をしていた。

グリーンでグニャグニャした形の襟のついたベストなので、当方は「昆布ベスト」と呼んでいた。

昆布ベストのイメージ画
自分で書いたので下手くそご容赦

 

そんな変な襟の形をしたベストはイズミヤにもジャスコにも売っていなかったから、それが欲しければ、高値でビバユーで買うしかなかった。
それだけのことだ。

上の論調のようなファッション業界人は、当方より若い人が多いが、20年前の売り場を見ていない、もしくは記憶が薄いからそういうことをいうのだろうが、ユニクロなり無印良品なりジーユーなり、その他低価格ブランドが売れているのは「価格」だけでは決してない。
百貨店納入ブランドが売れないのは、消費者の意識が低いからでは決してない。

今、黒い無地のスーツといった場合、素材や縫製の品質の良し悪しを除くと、どこでも買える。
ユニクロの「感動ジャケット」+「感動パンツ」だって黒無地のセットがあって、定価で1万円くらいで買える。

25年前なら、低価格品は色や柄は同じでも形がおかしかったり、素材の表面感が違ったりしたが、今の低価格ブランドはそこもそれほど差はない。

だったら、服マニアや服オタクみたいな人以外はそちらで買うのが当然だろう。
6万円と1万円じゃ、見た目にほとんど差がなければ1万円の商品をマスは買う。

黒い無地のスーツに限らず、セーターしかりジーンズしかりである。
昔のイズミヤやジャスコの平場に並んでいた低価格ジーンズはクソダサかった。2010年ごろまでのユニクロのジーンズもクソダサかった。
それが細かい差異はあるにせよ、今ではほとんど見た目がジーンズブランドと変わらなくなっている。
それでいて値段は最低でも2倍はちがうのだから、安い方がマスに売れるのは当たり前である。

被害妄想丸出しの自称ファッションクラスタあたりは、消費者心理や世の中の風潮を責める前に、低価格ブランドと見た目の区別がつかない物しか作れなくなった百貨店アパレルを責めるべきである。

そして「価格」問題以前に、低価格品の見た目が良くなったことを飲み込まないと、売れる商品なんて永遠に作れない。
もう「日本製だから」とか「職人がナンタラ」とかそんなありきたりな文言だけでは高い衣料品なんて売れない。

昨日も取り上げたが、ブルーモンスタークロージングのジーンズは、カイハラのデニム生地を使って3000円台とか4000円台で発売している。

高い服が売りたいなら、「昆布ベスト」みたいに明らかに「見た目から違う服」を作り、それの値打ちを響くように伝える必要がある。
先日取り上げた6000円のデザインタンクトップが良い例である。

上手く見せて伝えることができれば、たかがタンクトップに6000円払う人が少なくとも毎月100人は存在する。
年間にすればのべ1200人が買うことになる。

下手をすると、半場不振にチビって安全パイばかりの百貨店ブランドよりも、ユニクロのデザイナーコラボの方がよほどデザイン性の高い服になっている。おまけに価格は安い。
左右で切り替えられたボーダー柄Tシャツなんていう「デザイン物」はユニクロにしかなかったりする。(今夏のアンダーソンコラボ)

990円に値下がりしたときに買ったユニクロアンダーソンのボーダー柄Tシャツ 今は500円に値下がりしている

商品を「価格」だけで切り取って、上から目線のピントの外れた啓蒙活動を行っているから、ファッション業界人は一般人から理解されないのである。
そういうピントの外れた啓蒙活動がカルト的な小規模集団になることはあってもカルトは所詮カルトでマスにはなれない。

それにしてももう一回、どこかのブランドで「昆布ベスト」発売しないかな。(笑)

久しぶりに有料NOTEを更新しました~♪
ジーンズメーカーとジーンズショップの変遷と苦戦低迷する理由
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【告知】多数の要望があり、8月24日のマサ佐藤(佐藤正臣)氏とのトークショーを昼間から夜の飲み会へと変更しました。(笑)
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雲形定規をどうぞ~

今、ビバユーはバッグしかやってないね~

銭湯からジーンズショップに転換した企業があったほど、昔はジーンズが「売れる商品」だった

先日、ワークとジーンズカジュアルを両刀で攻めるブランド「ブルーモンスタークロージング」を運営するブリッツワークスの青野睦社長と対談した。対談というと大げさだが雑談した。

この雑談はブリッツワークスのウェブサイトに記事として近々掲載される予定となっている。

https://www.bmc-tokyo.com/

↑ここね。

で、ついでに告知・拡散を頼まれたのでやっておくと、5月の連休にセメントプロデュースデザインの金谷勉社長と居酒屋で対談した。その様子が動画で編集されているので興味のある人は見ていただきたい。

当方は自分の顔と声が嫌いなので見ようとは思わないが。(笑)
金持ちになったら中条きよしみたいな顔に整形したいと思っている。

8月から配信開始なのでどうぞ。 ↑

それはさておき、青野社長との対談で、様々なジーンズカジュアル店や国内ジーンズメーカーの話が出たが、その中で、ジーンズカジュアルチェーン店の生い立ちみたいなのも話題に上った。

某大手チェーン店はもともとワーキングウェア販売店(今でいうところのワークマン)だったが、ジーンズブームを見た創業者が、これを商機だと考えてジーンズ販売店に変えた。

また、2015年末で廃業したジーンズショップ デンバーを運営していたモリオカという会社は、もともとは銭湯として起業している。ところが折からのジーンズブームを見た創業者がジーンズ販売店へと業種を変更した。

当方は生まれてなかったり、生まれて間もなかったりするが、1960年代後半~1970年代にかけて、ジーンズが爆発的に売れた。
ジーンズというのはホットなアイテムだったといえる。
だから、それを見ていた人たちが「チャンスがある」ということで、ジーンズ販売店に業種を変更することが相次いだ。
ワーキングウェアからジーンズとか、スーツからジーンズというのはまだわかるが、銭湯からジーンズというのは今からするとちょっと想像できない。

しかし、80年代~90年代前半に続々と街中にコンビニができ、酒屋や小間物屋がフランチャイズでコンビニに変わっていったが、それと同様だと考えれば何となく当時のムードはわかる。

90年代後半~2005年くらいにかけては携帯電話ショップが続々とできて、商店街の電器屋なんかが携帯電話ショップに変わっていった。

まあ、そういうことである。

現在、わざわざジーンズショップを開業したり、コンビニを開業したり、携帯電話ショップを開業したりしようとする人はほとんどいない。
もう優勝劣敗がついてしまったし、マーケットも飽和状態にある。いるとしたらよほどのお馬鹿さんか変わり者だろう。

そして90年代後半からはジーンズショップが業態変更を始めている。
従来型のジーンズとジーンズショップが曲がり角になりつつあると見えたのだろう。

水戸のジーンズショップ「ポイント」は「ローリーズファーム」という自社ブランドを開発して、SPA企業へと転身を図った。
これが現在のアダストリアホールディングスである。

また、東大阪のジーンズショップであるジグ三信はセレクトショップ「アーバンリサーチ」を97年に立ち上げた。現在は社名もアーバンリサーチに変わっている。

こうして見ると、90年代後半は従来型のジーンズが曲がり角に差し掛かっており、その当時のホットな業態はSPAかセレクトショップだったといえる。

それから20年が経過した現在では、わざわざSPAブランドやセレクトショップを立ち上げようという人は減っている。
ゼロではないが20年前と比べると減っていると感じる。

今、起業したり業態を転換したりしようという人は、必ずウェブを前面に押し出す。
衣料品を売るにしてもウェブを介在させることがほとんどだ。

SPAブランドもセレクトショップも優勝劣敗が決しているし、市場を見渡しても飽和状態にある。
だから「海外へ進出せよ」とか「海外需要を取り込め」という議論になるが、SPAブランドはまだしも、いわゆる教科書的「セレクトショップ」では利益率も低く、各地のローカルトレンドに細かく対応しなくてはならないため、大規模企業にはなりにくい。

欧米のセレクトショップのほとんどが零細規模であることがそれを証明している。

SPAとて、海外進出とはいわず、立ち上げるだけでも莫大な資金が必要になる。

物事は何でもそうだが、黎明期には小規模企業が大雑把なプランと勢いだけでやっても何とかなるが、市場が成熟してくると、徐々に細分化され大規模な資本投下が求められるようになる。
今更、零細企業がSPAブランドを立ち上げることはかなり難しくなっている。
新たにSPAブランドを立ち上げるなら、中規模以上の企業が新ブランドとして立ち上げるか、そういう企業から支援されるかでないと不可能になっている。

デザイン業の黎明期には、オンワード樫山のデザイナーだった大河原邦男氏が、アニメのメカニックデザインへ転身して、後年、ガンダムのモビルスーツをデザインして大ヒットを飛ばしたが、今はそんなことは不可能になっている。

アパレルブランドのデザイナーが、アニメ制作会社にメカニックデザイナーやキャラクターデザイナーとして転身することは現在はほぼ不可能である。
これは成熟化し、細分化した結果そうなっており、SPAもセレクトショップも同様の状況にある。

そんなことをツラツラと考えると、「こだわり」だとか「本物」だとか掲げているジーンズショップの多くも当時の「売れるアイテム」「売りやすいアイテム」に飛びついただけだし、90年代に立ち上がったSPAやセレクトショップも同様だということがわかる。

「売れる物」「売りやすい物」を売るというのはビジネスとしては正解なので、そういう意味では、ジーンズもSPAもセレクトも今までの商品ややり方で売れないのなら、売れるように変わるというのが自然な流れなのではないかと思う。

とはいえ、どのように変われば良いのかというのは当方にもわからない。わかるならそれを指南して巨万の富を得て、中条きよしみたいな顔にとっくの昔に整形している。

とりあえずいえることは、「今まで通りのやり方以外は邪道」とか「新しいやり方は偽物」というような思考停止のままでは、永遠に売れるようにはならないということだけである。

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外資ファストファッションは国内低価格ブランドに負けた

2008年ごろに上陸し、猛威を振るった外資系グローバル低価格SPAの勢いが目に見えて衰えてきた。

H&Mの銀座店もついに閉店してしまった。H&M自体は日本撤退は考えられないものの、フォーエバー21は店舗数も20店舗を下回っているし、いつ日本から撤退してもおかしくはない。

遅れて上陸したオールドネイビーはわずか4年半で2017年1月に日本から撤退してしまった。
まあ、それだけ売れてなかったということである。

それについてポストセブンに原稿を書いた。

H&Mなど外資ファストファッションが苦戦に転じた3つの理由

https://www.news-postseven.com/archives/20180718_720418.html

多くの業界メディア人が論考を書いているが正直どれもしっくりこない。
もちろん自分の見方がすべて正しいとはいわない。

それでも例えば、

ギンザシックスで人の流れが変わったとか、洋服を長く使いたい人が増えた、とかそういう見方はちょっと的外れではないかと思う。

まずギンザシックスだが、たしかに前身の松坂屋銀座店よりは売上高が大幅に増えたが、しかし今後さらに伸びる気配はなく、600億円くらいで横ばいから微減になると見ている。

「600億円はすごい」という称賛が業界からはあふれたが、三越銀座店もそれくらい売っているから、銀座という立地ならそれくらい売れて当然なのではないかと思う。
逆に前身の松坂屋銀座店がたった100億円程度しか売れなかった方があの立地ではおかしい。

洋服を長く使いたいというのも疑問だ。
可処分所得の伸び悩みや減少で、短期間で買い替えたくないというニーズはあるとは思うが、「洋服を長く使いたい」が先に来るのではなく、「気に入った洋服があったら」長く使いたいのであって、順序が逆である。

「長く使いたい」が前提条件ではない。
気に入らない服ならすぐに捨てても良いというのが消費者である。
しかも、そのために「安い」ファストファッションを利用してきたのだから、まるっきり順序が逆だ。

当方が考える外資系グローバル低価格SPA(ファストファッションと略す)が日本国内で苦戦し始めた理由は次の3つだ。

(1)価格が安いだけで品質が劣っていた
(2)日本独自のトレンドに対応できなかった
(3)日本独自の低価格トレンドブランドが成長した

である。
1については、上陸当初からさんざん言われてきて、何を今更である。
まあ、一度か二度買ってみたが、品質が悪いのでリピーターにはならなかったということだろう。

ユニクロはおろかジーユーにも品質的に遠く及ばないブランドがほとんどで、価格帯はそのジーユーと変わらない。
だったらジーユーで買えば良いということになるのは当たり前だろう。

2は、業界では知られているが、例えば2015年のガウチョパンツブームは世界的トレンドなどではなく、日本国内の限定トレンドだった。
それに対応したジーユーは100万本を売ったが、グローバル企画である外資系ファストファッションはほとんど対応できなかった。

ローカルトレンドが存在する国は日本だけではなく、どの国でもローカルトレンドは存在する。
ユニクロだってイスラム教徒が多い中東向けにはローカルトレンドに対応した商品を販売している。
日本にローカルトレンドが存在するからと言って、日本が遅れているとか日本が負けるとかそういう論調になることは的外れでしかない。

アメリカだってローカルトレンドはある。ジョギングの帰りみたいな服装が「アスレジャー」として一大トレンドになるなんていうのは完全なるローカルトレンドで服装に無頓着なアメリカ人らしいといえる。

そして、あまり指摘されないが3が一番大きな要因なのではないかと思う。

「廉価版粗悪ユニクロ」として2006年にスタートしたジーユーがトレンド対応低価格ブランドへと変身したのは2010年のこと。
2012年には562億円まで売上高を拡大し、そこからわずか6年で1500億円前後も売上高を増やしている。(2018年8月期決算では2000億円超の売上高を見込む)
この1500億円は外資ファストファッションからもぎ取った売上高だといえる。

ジーユーだけではない。
ストライプインターナショナル(旧社名クロスカンパニー)もそうだ。
決算を公開していないが、2010年の売上高は400億円だったが、2017年1月期は単体の売上高は990億円となっている。
7年間で600億円弱も売上高を伸ばしており、これも頻発するタイムセールと低価格商品で外資ファストファッションからもぎ取った売上高だといえる。

また、アダストリアホールディングスもそうだ。
2015年にトリニティアーツと合併したので、単純比較はできないが、今では2000億円以上の巨大SPAアパレルに成長した。
この成長も外資ファストファッションから売上高をもぎり取った結果といえる。

そのほか、ユナイテッドアローズの低価格ブランド「コーエン」の成長や、アーバンリサーチが開始した低価格ブランド「センスオブプレイス」など国内企業の低価格ブランドは増えているし、この8年間で売上高を拡大したものも多い。

となると、それだけ外資ファストファッションは売上高を国内各ブランドに売上高を削り取られてきたといえる。

外資ファストファッションが2008年、2009年の上陸時に持て囃され、その後数年間支持されたのは、「高トレンド」という部分にあったと思う。
低価格・高トレンドというブランドが日本には少なく、その需要が取り込めたのだと思うが、上記の各社がトレンド性を強め、価格据え置きになれば、グローバル企画でピントがぼけたブランドよりも、国内の雰囲気を反映する国内ブランドの方が支持されるのは当たり前だ。おまけに素材や縫製の品質は国内ブランドの方が高い。

2010年以降のジーユーはグローバルファストファッションキラーだったし、ストライプやアダストリアもキラーぶりを発揮したといえる。

ファッション業界やメディア業界には外資ブランドが受けないことが「ファッションへの渇望がなくなった」とか「感度が退化した」とかいう人が多いが、そんな見方は強度の舶来コンプレックスでしかないし、当方としては国内ブランドはよくぞ外資ファストファッションを追い込んだと各社を褒め称えたいほどである。

よくやった!国内ブランド。

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コーエンの激安品をどうぞ

「安くて良い商品」が好まれるのは日本も英国も変わりない

「安い物ばかり売れる日本の現状は嘆かわしい」とか「デフレの日本は衰退している」とか、その手の言説が多く聞かれるが、「安くてそこそこ良い物」が売れるのは日本だけではなく、世界共通ではないかと思う。

当方は仕事でなければ海外に行かない。
旅行自体がそんなに好きではないし、実際のところ海外に行かねばならない仕事は来ない。
だから海外にはまったく行っていない。

海外からの記事を読んで理解しているのだが、例えば、記事を読む限りイギリスの消費傾向も日本と変わらないと感じる。

老舗大手が100店閉鎖!英国を襲う消費激変
ネットだけが敵じゃなかった

https://toyokeizai.net/articles/-/227314

5月、老舗小売り大手「マークス&スペンサー」が、2022年までに100店舗を閉鎖すると発表し、英国内に大きな衝撃が走った。1884年創業の通称「M&S」は国内で約6万人を雇用する小売業で、海外30カ国のフランチャイズ店を含めると約8万人が働く。

低迷の理由は、一言でいえば「市場の競争に負けた」こと。その端的な例が、主力の衣料品販売の不振だ。M&Sといえば英国人が真っ先に思い浮かべるのは、家族全員の下着がそろい、多くの女性が心をときめかすようなデザインで、かつ価格も手ごろな衣料品がそろっていることだ。
調査会社「グローバルデータ」によれば、衣料品販売市場でM&Sが13.5%のシェアを占めてトップの座に君臨していたのは1997年。今でも首位の座はかろうじて維持しているものの(7.6%)、その後ろには僅差(7%)で廉価の衣料販売チェーン「プライマーク」が控える。

とある。

日本には進出していない低価格トレンド衣料品ブランド「プライマーク」に猛追されて、マークス&スペンサーの衣料品はシェアを落とし続けている。
支持されているブランドが異なるだけで、低価格トレンド衣料品ブランドが支持を集めているのはイギリスも日本と変わりないということである。

小売業界の危機の原因は何か。筆頭に挙げられるのは、インターネットの影響だろう。各小売業はオンライン上のライバルと本気で戦わなければならなくなった。

たとえば、衣料品小売り「ネクスト」は年間収入約40億ポンドの半分近くをオンラインショッピング部門に投資している。しかし、先のM&Sの投資額は4億ポンドで、経営陣はサイトがまだ十分に使いやすくなっていないことを認めている。

とあり、このマークス&スペンサーのネット通販の遅れぶりはちょうど、日本では、しまむらグループの遅れっぷりと重なるところが多いように感じる。とはいえ、たしか「プライマーク」もネット通販はあまり熱心ではなく、この辺りの関係はどうなのだろうと、記事を読みながら疑問を持った。

ネット通販がすべての売り上げ不振を解決するとはまったく思わないが、何事を調べる際にもまずはネット検索から入るから、企業やブランドにはウェブサイトが必須となる。

そして、インターネット草創期なら、手作りのホームページでも問題なかったが、これだけインターネットが浸透し、各種サービスが立ち上がれば、そんな手作り感満載のホームページでは相手にされなくなる。
それ相応の専門家に対価を支払ってウェブサイトを構築してもらうことが必要となり、ウェブへの投資は不可欠といえる。

このあたりも日英同じといえる。
さらに以下の部分も日英ともに変わらない。

百貨店というビジネスモデルそのものへも疑問が呈されている。かつて、その特徴は「ありとあらゆる品物が1つの屋根の下でそろう」ことだったが、オンライン・ショッピングが普通になった今、これだけでは弱い。また、百貨店はこれまでファッション衣料に主眼を置いてきたが、「可もなく不可もない」品ぞろえになりがち。それより今は、より個性的で、手ごろ感がある安いブランドが人気だ。

賃金の上昇率はインフレ率より低いため、過分所得が減少している。
英国の小売業界で最も窮地に陥っているのは、価格帯が中間にある小売業やマス市場を狙う小売業だ。逆に、元気がいいのは付加価値付きの商品市場か廉価市場にいる小売だ。

「ファッション衣料偏重の百貨店の苦戦と安全パイ商品蔓延による同質化」「可処分所得の減少」「低価格品と高付加価値品の二極化」これらすべて日本で言われていることがそのままイギリスでも起きているといえる。

今の日本人は「日本衰退論」を好み、欧米やアジア諸国への憧憬を語るが、この記事が事実だったとすると、イギリスの消費傾向だって日本の現状と変わらないということになる。
日本にいようが、イギリスに移住しようが、小売業の立たされている状況は変わらない。

そして、この傾向は各国共通ではないかと思う。
どこの国民だって、安くて良い物が欲しいし、便利なところで買い物をしたい。それは変わらない人間の性質だろう。

結局のところ、自虐論は日本国内のビジネス弱者たちが自国をディスって自慰しているだけではないだろうか。

こんな環境だから俺たちが売れないのは仕方がない。

 

そう言いたいだけではないのか。

そういうビジネス弱者はイギリスに拠点を移したとしても結果的には同様にビジネス弱者にしかならないだろう。
なぜならば、消費動向の根源は日英変わらないからだ。

もちろん、国民性の違いによる嗜好の違いはあり、日本では弱者にしかなれなかった商品が、イギリスでは人気商品になる可能性はある。

しかし、その嗜好の違いによる商品への支持以外では、日本でのビジネス弱者が海外に出て一発逆転できる可能性はゼロだといえる。
安くて良い物が選ばれるという消費者心理はどの国でも共通しているからだ。

売上高を増やすには、客単価を上げるか買い上げ客数を増やすか、その両方を実現させるか、のどれかを実践するしかない。
そのどれもへの努力を怠っているビジネス弱者ブランドの売上高が低迷し続けるのは何の不思議もないし、そういうブランドは海外に逃避しても決して売れることはないだろうと、今回のイギリスの記事を読んで改めて感じた。

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プライマークの並行輸入品も安いな~

ネット通販の普及でビッグシルエット需要は長続きしている

3年くらい前にビッグシルエットが復活したときには、すぐに廃れるだろうと思ったが、最近、これはもっと長続きすると思い始めた。
長続きするというよりは、一つのジャンルとして定着し、一定需要があり続けるのではないかと思う。

なぜそう思うかというと、

着ていて楽だから

である。

それに加えて、当方はブランドや商品によってMサイズが合ったり、Lサイズが合ったりする。
ユニクロなら大抵はMサイズで着られるが、品番によってはMではピチピチになってしまってLを着ることもある。
中途半端なサイズといえる。
ところが、ビッグシルエットだとそういう微妙なサイズ加減を心配しなくても済む。

試着をせずに買うことが可能になり、非常に楽である。
着ていて楽というだけでなく、買うときにも楽である。

2005年頃からのタイトシルエットの洋服は、試着なしで買うことは難しかった。
試着せずに買っても失敗しないのは、すでに手持ちの商品の色違いや柄違いに限られていた。

Lサイズなら大丈夫だろうと思って試着してみたら、それでもピチピチだったということも珍しくなく、そのたびに「試着して良かった。試着せずに買ったら失敗しているところだった」と胸をなでおろしていた。

ところが、ビッグシルエットの洋服はそういう失敗はない。
Mサイズで十分という場合が多く、最悪でもLサイズさえ買っておけば着られないことはまずない。

そういう意味ではビッグシルエットの洋服は非常に便利で利便性が高いともいえる。

これに加えて人気ファッションブロガーMB氏はこう考察されている。

ビッグシルエットの流行はいつ終わるのか?

しかし現代は「通販」がすっかりメインストリームとなりました。
すると試着もお直しも出来ません。ZOZOはあれだけの規模の通販サイトにも関わらずお直しは出来ないし、試着サービスもありません。(返品による試着は可能ですが、「試着サービス」と銘打ったものは存在しない)
だからこそ多くの人が「試着をしなくても買える服」を求めているのです。
そこで好まれているのがビッグシルエットなワケ。

とのことで、なるほど一理あるといえる。

通販、とくにネット通販の売り上げ規模は伸びており、メインストリームとまでいえるかどうかはわからないが、利用者数が増えていることは間違いない。

ネット通販は、当たり前のことだが試着ができない。
それを解消するためにZOZOTOWNはサイズ計測スーツを配布しているのだが、現在配布されているゾゾスーツは計測に大きな誤差が出ることが多いようだ。

なぜ、誤差が出やすいのかはこのブログでも以前に書いた。

設計思想の根本が間違っているので、小手先の修正ではどうしようもないのではないかと思う。

それはさておき。

ゾゾスーツのような計測システムが整備されない限りは、ネット通販は試着なしで服を買わねばならない。
サイトに明記されているサイズ表を見ながら、自分の身体のサイズと照らし合わせながら購入しなくてはならない。

十分に自分の身体のサイズと比べてから購入したはずなのに、何回かに1回はやっぱり小さすぎたり、大きすぎたりする商品が届く。
届くというか、自分が買っていてサイズ選びに失敗しているのである。

ところがビッグシルエットの洋服はそういう失敗が減る。

返品交換無料というサイトもあるが、いくら無料とはいえ、梱包は自分でやらねばならないからめんどくさい。
ビッグシルエットの洋服はそのめんどくささを軽減してくれることが多い。

またMB氏はこうも指摘している。

リラックスしたスタイルに少々飽きを感じつつも、それを捨てることが出来ない新しいトレンドにどうしても移ることが出来ないのは「試着がすっかり嫌いになったから」に違いありません。

通販で「試着をしないで購入すること」に慣れてしまったせいで、実店舗でも試着の件数は少なくなっていると聞きます。
大きめサイズを選んで試着しないで買う人が市場には増えている様です。

とのことで、試着は実際にめんどくさいから、やらずに済ませるなら済ませたいと当方ですら頭のどこかでは思っている。
しかし、スキニージーンズとかピッタリしたスーツは試着なしで購入するのは至難の業だし、失敗する可能性が高い。

以前にも書いたが、Amazonではるやまの9000円に値下がりしたスーツを買ったことがあったが、ジャケットが小さすぎて返品したことがある。
いわゆるジャストサイズのピッタリしたスーツだったからだ。

もし、これがビッグシルエットのスーツだったらどうだろう?
恐らく返品するほど着られない商品を選んでしまう事態は少なくなるだろう。

そしてこれが、2010年までなら、ビッグシルエットはいずれ廃れて、市場から姿を消してしまっただろうが、今のファッションはジャンルが細分化され、併存するように変わっているから、ビッグシルエットは一つのジャンルとして存続し、今後も一定の需要を集めると考えられる。

90年代後半のBボーイみたいな極端なビッグシルエットは廃れるだろうが、少しゆとりのある感じのビッグシルエットはその利便性故に今後も需要はなくならないだろう。

そんなわけでビッグシルエットは一過性のトレンドではなく、息長く存続するだろうから、今年買ったビッグシルエットの服が来年には着られなくなるということはないだろう。

また今夏のバーゲンでも投げ売り品を買っても息長く活用し続けられるだろう。

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こんな感じのすこしゆとりのあるビッグシルエットは息長く続くと思う

細分化して「併存型」になったファッショントレンド ~消費動向の変化~ 

今回初めて、現代ビジネスというウェブメディアに寄稿させてもらった。

ヒットが出ない…!アパレル業界「トレンドの崩壊」はなぜ起きたか

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56185

という記事で、この20年間の総まとめみたいな感じである。

48歳のオッサンになって、過去の業界やファッション消費の動向を振り返ると、現在と若い頃ではだいぶ違うような気がする。
これは誰でもがそう感じることなのだろうが、オッサンの単純な思い込みだけではないと思いたい。

例えば、2005~2007年まで、レディースではブーツカットパンツが大ブームだったが、2008年にスキニーパンツがブームになると、2010年頃にはブーツカットパンツを穿いた女性の姿はほとんど消えた。(一部の愛好家を除いて)

ところが、2015年にワイドシルエットのガウチョパンツがブームになってもいまだにスキニーパンツは消えない。
ユニクロやジーユーも主力商品の1つとして扱っている。

街行く人を見ていても相当数、スキニーパンツを着用している。
消費動向からすると、ワイドパンツとスキニーパンツを一人の消費者が併用しているような感じである。

これには理由はさまざまあるのだろうと思う。
思いつくままに挙げさせていただく。

1、社会の成熟化
2、所得の減少または伸び悩み
3、娯楽・趣味の選択肢が増え、ファッションという娯楽の優先順が下がった
4、過去のトレンドがそれぞれファッションジャンルとして定着した

2018年の現在から20年前というと、98年頃である。
まだ股上の深いパンツを穿いていた。パンツが一様にローライズになる直前である。

しかし、股上の深い・浅いは別にして、全体的な服装のテイストや髪型は現在とさほど変わっていない。
微妙な差異は当然あるものの、大きくは変わっていないと感じる。
40代の方なら20年前なんて昨日のことのように覚えているのではないだろうか。
現在の生活様式や服装、髪型とそれほど変わっていないことに気が付くのではないかと思う。

しかし、90年代にその20年前である70年代を振り返ると、そこ最早異世界である。
90年代にあんな重たいモッサリした長髪の男はいなかったし、あんなベルボトムのズボンを穿いた人もいない。
あんなヒッピーみたいな服装の男女もいない。

もちろん90年代には空前のキムタクブームでロン毛の男は山ほどいたが、もっと軽るめにカットされたサラサラのロン毛だった。
あんな、散髪をに行くのを2年間さぼったような重たいロン毛はいない。

70年代から90年代までの毎年と言っていいほどの目まぐるしいトレンド変化は、90年代以降はそこまで起きていないということがわかる。
もちろん、記事中に書いたようにそれでも90年代から2005年までというのは意外にアパレル業界にとっては、やりやすかった時代で、それでもほぼ毎年大ヒット商品が生まれていた。

2008年のスキニー登場以降、トレンドはほとんど変わらなくなった。

その一方で、「トレンド消費がスマホの登場で目まぐるしくなった」という意見もある。

それは個々のアイテムの人気が持続している期間が短くなったことを指しているのだろうと思う。
例えば、2015年にジーユーが100万本売ったガウチョパンツだが、今ではアンクル丈ワイドパンツに名前が変わっている。
その一方で、天神橋筋商店街のバッタ屋に飛び込んでくる大阪のオバハンは「ガウチョパンツ欲しいねん」というほど、ガウチョという名称を連呼している。

3年後には大阪のオバハンまでがガウチョを愛用するにようになっているのである。

人気ファッションブロガーのMB氏のブログで、つい先日まで大人気だったスニーカー、アディダスのスタンスミスの着用者が急速に減り、代わって田舎のオバハンがスタンスミスを着用するようになったことが触れられている。
ガウチョもこれと同じといえる。

スタンスミスの前はニューバランスのスニーカーが大人気だったが、その人気は短期間で終息した。

しかし、現在もニューバランスの着用者は普通にいるし、一時期に比べてスタンスミスの着用者は減ったものの普通にいる。

「うわ、まだニューバランス履いてるの?ダサ」とか「まだスタンスミスで消耗しているの?プゲラ」とかそういう雰囲気ではない。
普通の定番スニーカーとして少なからず着用者がいる。

ここが、オッサン世代が見てきた70年代~90年代までのトレンド変化と、現在が大きく異なっている点だと思う。

天神橋筋商店街のオバハンがガウチョを穿いてたって、若いおねえちゃんもアンクル丈ワイドパンツという名のガウチョパンツを穿いている。
田舎のオバハンと都心のファッション好きの若い衆が共通してスタンスミスを履いているのと同じである。

この辺りが社会の成熟化といえるのではないかと思う。
また、各ファッションジャンルの定着化といえるのではないかと思う。

それに加えて、所得の伸び悩みまたは減少も大きく、2000年頃までの「トレンドアイテム総入れ替え」体制だと、人気アイテムに合わせてトップスや靴、アウター類まですべて買いなおさなければならなくなる。

エディスリマンのピチピチシルエットが流行って、それに一斉に変わってしまえば、それまでのバブル期のダボダボの服はすべて捨ててしまわなくてはならない。
今は、そんなもったいないことはできないということだろう。

だから5年前に買ったスキニーパンツと、去年買ったワイドパンツを併用するのだろう。
それぞれに合わせるトップスも異なるから、スキニーに合わせるのは以前に買ったトップスで、ワイドパンツに合わせるトップスを何枚か今年買い足すという消費動向になる。

現在、ワイドパンツにワイドなトップスがトレンド最先端だが、このジャンルもトレンドが去った後も消滅することはないと思うし、このトレンドは意外に長く続くのではないかと思う。

MB氏がブログで触れているように、ワイドシルエットの上下は「試着なし」で買うことが可能だからだ。
そしてネット通販が定着すればするほど「試着なし」で買って失敗する可能性が少ないワイドシルエットの服は重宝されるということだ。
アパレル各社がネット通販に力を入れれば入れるほど、ワイドシルエットの服の寿命は長くなると見た方が良いだろう。

その一方で、スキニーも今後も消滅することはないだろう。
なぜなら、カッコよく見える着こなしには3つのシルエットがあるからだ。

1、Aライン(トップスがタイトでパンツがワイド)
2、Iライン(トップスもタイト・パンツもタイト)
3、VラインまたはYライン(トップスがワイドでパンツがタイト)

3シルエット中の2つまでがタイトなパンツであるから、確率論的に言えば、タイトなパンツを買っていれば間違いが少ないということになる。そしてそのタイトなパンツの代表例がスキニーといえるから、こちらも消滅することはなく、むしろマスアイテムとして生き続けるのではないかと思う。

当方より上の年代層のアパレル企業幹部が「2000年ごろまでの総取り換え」の消費動向を理想として思い描いているとしたら、それはあまりにも時代遅れだといえる。そんな時代はもう二度とやってこない。今後は、各ジャンルのファッションが共存並立する時代である。その消費動向に向けた商品開発や販売方法を模索できないアパレル企業やブランドは消え去るのみになるだろう。

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天神橋筋商店街のオバハンまでもが愛用しているガウチョパンツをどうぞ

合繊メンズカジュアルスーツはマス層に広がる可能性が高いお買い得商品

先日、あるメーカーの役員を交えた会合に出席したので、50歳手前のオッサンがTシャツ1枚というのもさすがに憚れたので、先日、ジーユーで買ったスーパーストレッチドライスーツのオリーブグリーンの上下を着てみた。

暑いのが苦手なので、もちろん、上着は冷房の効いた部屋のみの着用である。
夏に上着を着ることが信じられない。

以前にも書いたが、これはジャケットの定価4990円(税抜き)、パンツ2490円(同)だが、期間限定値下げでジャケット3490円(同)、パンツ1990円(同)になったのをさらに100円割引クーポンを使って、5810円(税込み)で購入したものである。

ナイロン86%・ポリウレタン14%の平織り生地で作られている。

その画像をインスタグラムに上げて、翌日に某生地問屋の展示会に行くと、マッハの速さで即日にチェックしていた男性社員さんに「昨日、ジーユーの上下をアップしていましたね」と言われてしまった。
何これ?怖い。汗

で、ついでに話していると、その社員さんもスーツは着用するものの、ここ何年間か、とくに夏場はこの手のイージーケアスーツを着用しているそうで、その日もジャーナルスタンダードのポリエステル100%のスーツを着用しておられた。
定価は18000円くらいだったそうだ。

ジーユーの商品との違いは、価格差以外にも生地にあり、ジーユーは平織り、こちらは綾織りであり、こちらの方がシワになりにくい。さらに軽くシワ加工が施してあるので余計にシワは目立ちにくい。
ジーユーのはシワ加工のない平織りなのでシワになりやすい。実際にオンライン購入したが、そのときにすでに畳みジワができていた。
まあ、カジュアルな見え方なのでシワが入っていてもあまり気にはならないが、その部分に価格差が現れているような気がした。

ついでに気になって、ジャーナルスタンダードのオンライン通販を覗いたところ、東レの「プライムフレックス」という機能性素材を使用した2ボタンセットアップがなんと、40%オフの9020円(税込み)にまで下がっていた。定価は15120円である。

https://baycrews.jp/item/detail/journalstandard/jacket/18010600805010?q_sclrcd=036

で、何が言いたいのかというと、この手の機能性素材、リラックス素材を使用したメンズのスーツは今後さらに需要を伸ばすのではないかということである。

正確にいうと3年くらい前からジャーナルスタンダードのような大手セレクトショップで発売され始めたが、現在のところ、完全なるマス層にまで広がっているとは言いにくい。
ピラミッドの一番下の「マス層」にはまだ認知されていない状態だといえる。

マス層はトレンド追随も遅く、また所得も低い場合が多い。

しかし、この手の機能性素材のスーツは、認知さえされれば「マス層」に爆発的に受け入れられる可能性が高いのではないか。

当然、「スーツはウール生地、またはウール混生地」というこだわりを持った層が根強いことは承知しているが、そういう「こだわり」は快適さ・便利さ・安さの前にはニッチ市場でしかありえないと見ている。

断っておくと、ウールスーツが滅びれば良いとは考えていないが、今後の需要は圧倒的にあちらに流れる可能性が高いと考えている。

この手の機能性素材スーツはジーユーが最安値で、次がユニクロの感動ジャケット+感動パンツだと見ている。
その上にジャーナルスタンダードなどの大手セレクトショップの商品が位置する。

その商品群のメリットを考えてみよう。

1、イージーケア性が高い
2、ストレッチ性や速乾性があり快適である
3、価格が安い
4、保管が楽
5、カジュアルにも使える

である。

1と4は重複している部分もあるので同時に見てみる。

ポリエステルやナイロンを主体としているため、家庭洗濯が可能で、夏シーズンが終わって保管する場合も雑に保管しても虫に食われる心配がない。
ウール生地やウール混生地の風合いの良さやなんとも言えない表面感の良さは理解しているが、保管に失敗するとたちどころに虫に食われて穴が開いてしまう。
数千円で買った物ならあきらめもできるが、5万円以上で買った物だとショックの大きさが半端ではない。

また合繊主体なのでシワになりにくい。このため畳んで収納しておくことも可能で、保管に場所を取らないと同時に出張などの移動の際でも持ち運びが楽である。

2も合繊主体の生地だからこその特色である。
ストレッチ性があり、速乾性がある。汗で濡れてもすぐに乾く。
もちろん、綿やウールなどの天然繊維愛好者には評判はあまり良くないが、合繊が気にならない人は着用感に抵抗はないだろう。

そしてマスに広がる要素として最も重要な点が3の価格が安いということである。

どの道でも愛好家とか数寄者というのはほとんど変態だから、変態は愛好する物に金に糸目は付けないし、その人口は少ない。
ウールの高級スーツを愛好する人は所得の面から考えても人口は少ない。

貧困層が背伸びをして35万円のオーダースーツを買う必要なんてさらさらない。
もっとも35万円のオーダースーツが破格に高いとは全く思わない。副総理がそれを着ているからと言って叩く奴の気が知れない。

とはいえ、普通の所得者からするとぜいたく品だし、高いから頑丈ではなく、その逆で非常にデリケートで着用にも気を使うし、保管も雑にはできない。ワーキングユニホームのようにスーツを着る層からすると、非常にコスパの悪い商品であり所有することをお勧めはできない。

しかし、機能性スーツなら価格も安く合繊主体なので頑丈だ。

ジーユーで上下合わせて定価は7000円くらい、ユニクロの感動ジャケット+感動パンツは定価で9000円くらいである。
そしてジャーナルスタンダードで15120円だし、ユナイテッドアローズやビームスでも1万円台から2万円台で売られている。

ドゥクラッセで14000円くらいだ。

圧倒的に価格が安く、これなら普通に働いている人ならだれでも1着か2着買える。
しかもカジュアルブランドと違って、ロゴマークやロゴプリントが付いているわけではないから、ジーユーやユニクロを着ていてもほとんどバレない。

青山やAOKI、はるやま、コナカに行かずとも有名なセレクトショップでも1万円前後で買えてしまう。

青山などにもストレッチ混やウォッシャブルのビジネススーツはあるが、カジュアルシーンには使いにくい。

あくまでも見え方はビジネス用だ。
しかし、ジーユーを最下層とするセットアップはカジュアルにも使える見え方であるから、こちらの方が利用頻度が高くなり、コスパが高い。

認知さえ高まればマス層のサラリーマンは飛びつくことが予想される。
一方、青山やAOKIなどの大手スーツ専門店は、夏の客をセレクトショップやSPAカジュアルブランドに取られる可能性もある。

50歳手前のオッサンたる我が身からすれば、この手の楽チンな商品がもっと広がって欲しいと思うが、さてさて、どのブランドがどのように市場を占有するのか興味を持って見守りたいと思う。

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ファッショントレンド陰謀論は論理破綻していると思う

一部からは「トレンド不要論」「トレンド陰謀論」があるが、2018年の現在にどうしてこれを唱える必要があるのか甚だ理解に苦しむ。

2010年以降は本当にファッショントレンドの変化が緩やかになるとともに、多様化が定着してきた。
例えばズボンの形を見ると、2008年から超細身のスキニーパンツが流行した。その反動が2015年の極太シルエットのガウチョパンツブームといえる。
現在はガウチョパンツ人気から派生したワイドパンツ着用者をけっこう見かける。

これが2000年前半までの日本なら、スキニーパンツ着用者は絶滅してしまうのだが、2018年現在でもスキニーパンツ着用者はそれなりに見かける。しかもそれが「ダサい」と言われることなく、普通に街を闊歩している。

なんなら、同じ人が月曜日はワイドパンツを穿き、火曜日にはスキニーパンツを穿くというようなライフスタイルになっている。

トップスもそれまでの超タイトシルエットからゆったりシルエットが増えたが、それでもタイトシルエットトップスが絶滅したわけではない。日によって、気分によって着用し分けているというのがリアルな生活者のスタイルである。

ファッションジャンルも多岐に渡って細分化されていて、それぞれがそういうジャンルとして認められている。

アメカジ、ミリタリー、スポーツ、モード、セクシー系、ワーク系、ナチュラル系などなどだ。

80年代のようにDCブランド一辺倒とか、90年代半ばのようにビンテージジーンズ一辺倒なんていう偏りはない。

80年代や90年代、2000年前半に比べて2018年はファッションに関しては格段に暮らしやすくなっているといえる。
トレンドの変化が激しく、トレンド一辺倒だったころに「トレンド追随の愚」を説くのなら理解できるが、今、この状況でそれを唱える意味がわからない。

ファッショントレンド自体は、ローマ時代からあるし、我が国の衣服だって時代とともに流行り廃りがあって今に至っている。
平安時代と室町時代と江戸時代でそれぞれ服装が異なっているのはそのためだ。

トレンド不要論は、現在のトレンドが人為的に作り出されているという点に立脚していることに特徴がある。
トレンドを作り出しているのは、ラグジュアリーブランドであり、グローバルブランドであり、素材メーカーであり、国内アパレルブランドだといういわば「陰謀論」だといえる。

しかし、これにも疑問があって、世界的人気ブランドといえども全世界で満遍なく売れているわけではなく、各国の気質も違うので売れ行きには差がある。
例えば、ZARAだが、最近ようやく上昇基調になったとはいえ、アメリカでは進出してから20年間苦戦し続けてきた。
店舗数もいまだに100店舗もない。

フォーエバー21は、日本に上陸した当初は華々しかったが、そこから停滞しており、店舗数も20店舗に達したが、そこから徐々に減っている。

ヴェルサーチが一度日本から撤退したこともある。

ファッショントレンドはもちろんブランド側が仕掛ける場合も数多くあるが、その仕掛けが成功しないことも数多くある。
その一方で、やっぱり着こなしにはそれなりのトレンドがいつの間にか生まれることもある。

2010年ごろまでは上下ともにピタピタの細身シルエットだったが、やっぱり長年そればかり着ていると飽きてくるから、2015年ごろからはビッグシルエットやルーズシルエットを支持する人が増えた。
かといって、昔のようにビッグシルエット一辺倒にならないのが今の我が国の消費者心理なのだが。

今では冬の定番となったビジネススーツのインナーにダウンベストを着るという着こなしだが、あれはもちろん業界が仕掛けた側面も強いが、試してみて不具合があれば支持されない。具合が良ければ支持される。

多くの人が試してみて具合が良いと感じたのだろう、今ではサラリーマンのおっちゃんの多くが、ジャケットの下に薄手のダウンベストを着ている。

ところが、それが定着すると「あれはサラリーマンみたいでダサい」という声が挙がり、ジャケットの下に薄手ダウンベストを着用することを避けるファッション好きも現れてくる。

定着と揺り戻しの繰り返しがファッショントレンドだといえる。

ビッグシルエット着用者が増えると、今春夏はブラウスの前だけをタックインして後ろを垂らしているという着こなしが流行している。

https://arine.jp/articles/8799

理由はいろいろと考えられる。

1、キメ過ぎないさりげなさを演出している

2、ビッグシルエットをインせずに着ると、単に太っている人に見えやすいから、「ウエストはくびれていますよ」ということをアピールしている

3、ダラっと長く見えてしまうから前だけをタックインすることでバランスを取って、さらに足を長く見せるために腰の位置をアピールしている

などなどだ。

ファッション雑誌がレクチャーしているとはいえ、やってみて不具合を感じたらだれも継続しないが、それなりに具合が良いと感じる人が多いから継続されているといえる。

こんなふうに企業や業界の仕掛けと消費者の評価が合致すればトレンドはマス化するし、合致しなければ即座に終わってしまう。
トレンドなんてそんなもんである。

ブランドが人為的にファッショントレンドを作り上げ、人為的にマス化させることが仮にできるとするなら、どうして各国と我が国のアパレル企業はこれほどに業績を悪化させているのか。
そこまでの全能さがあれば、業績は少なくとも悪化しないはずだ。トレンドを自在に引き起こしてその商品を大衆に売りつけるのだから業績が良くなることはあっても悪くなることはないはずだ。

ところが現実は逆で、多くのアパレル企業の業績は悪化している。

安倍政権になってから我が国は株価が伸びている。
これを指して「政府だから株価を操作できる」という陰謀論を唱える者がいるが、ならどうして、民主党は政権時に株価を操作して上げなかったのかということになる。仮に操作できるのにしなかったとしたらよほどのバカがそろっていたということになる。

政治にしろ、経済にしろ、歴史にしろ過度な「陰謀論」はフィクションとしては面白いが現実的ではない。
トレンド陰謀論もこの類だといえる。

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ジーンズの洗い加工はレーザー光線で行う時代
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