南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

ネット通販

やっぱり、インターネット通販では服と靴は買いにくいと思う

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 Amazonをはじめとするインターネット通販市場の拡大によって、配送サービスがパンク状態であることは、各社から報道されている。
それもそのはずで、10年前まで5兆円だった通販市場規模は、現在16兆円くらいにまで膨れ上がっている。ということはそれだけ多くの荷物が配送されているということになる。

Amazonは年会費3900円を払ってプレミア会員になると、送料無料で当日配送してくれるが、これがさらに配送サービスを圧迫している。
このあおりを受けたのか、ZOZOTOWNは当日配送から撤退している。

まあ、今すぐにどうしても欲しいというような品物はそこまでないと思うが、そんなに当日配送って必要なんだろうかと思ってしまう。

2~3週間も経過すればすっかり注文したことを忘れてしまいそうだが、4~5日くらいかかっても構わないと思うのだがどうだろうか。

当方はインターネット通販に本格デビューをしてまだ3年ほどである。
5年ほど前に子供へのプレゼント用で、国内の書店では手に入りにくい本をAmazonで注文したことがあったきりである。
それ以外はインターネット通販を利用することに抵抗があった。

当方の買い物は服や靴が多いから、実際に試着できない通販にはけっこう抵抗があり、これは今でも変わらない。
今でも通販で服や靴はあまり買わない。
サイズ感・素材感がわからないからだ。

ユニクロのネット通販はたまに利用する。
なぜなら、店頭で試着してサイズ感・素材感が分かっているからである。

とはいえ、先日、Yahoo!でスニーカーを買った。(Amazonよりも安かった)
試着したことがなくサイズ感がわからないので、かなり迷った。

アディダスのクライマクールクロベという水陸両用のスニーカーである。

何故買ったのかというと、今年は結局、関西は比較的雨の少ない梅雨だったが、いつも雨の日に履く靴を迷う。
防水靴以外の通常の靴は、雨がしみ込んで靴下が濡れてしまう。
すぐに帰宅できればそれでもかまわないが、濡れたままで一日過ごさねばならないことになるとなかなか不快感はマックスである。

そこで、3年前にこれもインターネット通販で防水スニーカー、コンバースエヴォブーツを買った。
聞いたことのない新潟の靴屋のサイトで、1足4600円と破格に安かったので、白と黒の2足を買った。

3年が経過すると、ちょっと劣化気味で、ときどき雨がうっすらとしみ込むことがある。
また、防水靴は気密性が高いため、夏場はかなり足先が暖かいことになる。
頭寒足熱とはいうが、夏場に足熱することは暑さが倍増するので、できれば履きたくない。

そこで、梅雨に備えて買おうと思った。
このクライマクールクロベは逆に濡れることが前提になっている。
これを素足に履けば、濡れても構わないのではないかと考えた。

秋冬にこれを履くとおそらく寒すぎて足先がしもやけになるが、夏場はこちらの方が快適ではないかと考えた。

そこで、6月の初めにインターネットで最安値を探した。
同じ物を買うならできるだけ安く買うのが当然である。

結果、消費税込み・送料込み・貯まったポイント(100ポイントくらい)使用で3990円というところを見つけて購入した。

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迷ったのはサイズ感である。
サイズ表を見ると、27センチの次は28センチになっている。

通常、筆者はアディダスやナイキ、プーマのスニーカーはほとんどの場合、27・5センチを買っている。

しかし、27・5センチがない。

27センチと28センチのどちらを買うべきだろうか。
そこで今度は商品の消費者レビューを読み始めた。

サイズ感は小さめと書かれているレビューが多く、それなら「28センチだ」と思いきや、何割かの割合で「ちょうど良い大きさ」とか「ちょっと大きめでした」というレビューもある。

足の形は人それぞれ個人差が大きいがここまで意見が割れると、決めかねてしまう。

悩みに悩んで、結局27センチを買った。

もし小さかったら交換してもらうのがめんどくせえなあと思いながら。

送られてきて試着してみると、27センチは素足に本当にピッタリで、靴下を着用すると履けないくらいのフィット感だった。

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(クライマクールクロベの着用感)


言ってみれば、ゴム底が付いた靴下を履いているようなフィット感と言えば通じるだろうか?

アッパーは合繊のニット地なので、おそらく着用を繰り返すうちに幾分かは伸びると考えられるので、気長に使っていこうと思う。

7月になってから、昨年からトレンドになっているロングシャツを買おうとネットで検索した。
Amazonで安値の商品をいくつか見つけたが、結局は買わなかった。
素材感や生地の厚さが皆目わからなかったからだ。
そのほとんどが生地の組成を書いていなかったり、生地の厚さに言及していなかったりした。

なるほど、着用写真だけはかっこいいが、そんなもんだけでは買う決め手にはならない。
そんな小手先の手練で売れると思ったら大間違いである。
この手のアホな業者には腹立たしささえ感じる。

結局、Amazonをはじめとするインターネット通販で買うのは、着用感を必要としないガンダムのプラモデル、本、それから雑貨、日用品消耗品ばかりで、まれに服や靴があるという感じで、靴は今回が2度目しかない。

逆にガンダムのプラモデルなら、安値になっていればインターネット通販で買う。
6月には2600円に値下がりしたマスターグレード「ジムスナイパーカスタムⅡ」を買った。

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(ジムスナイパーカスタムⅡの勇姿)



昨今は、返品無料だとか交換しやすいサービスだとか、そういうのがインターネット通販各社から新たに提案されている。

これで「消費者利便性がさらに高まる」と賞賛する声は多いが、こんなことを過剰にやっていれば、配送サービスはさらに危機的状況になる。
みんながコンビニなどの店舗受け取りを活用すると幾分緩和できそうだが、利用者が増えすぎると、今度はコンビニや店舗がストックルームを圧迫されることになりかねない。

インターネット通販こそ不況解消の切り札かのように、吹聴するダメコンサルやアホな業者も多いが、インターネット通販が増えれば増えるほど配送や店舗受け取りシステムは危機感を増す。

個人的には、配送にも店舗にもなるべく迷惑が掛からないように

1、当日配送や翌日配送は求めない
2、返品・交換を前提として気軽に注文しない


という今の自分の活用スタイルを維持することだけが、緩和策ではないかと思っている。

それにしても、ネットをやっていない年寄りに限ってどうしてインターネット通販を過剰に礼賛するのだろうか?

隣の芝生は青く見えるとはいうが、そんな感覚で世論形成がなされれば、ますますミスリードされる情弱が増えるだけではないかと思う。




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ウェブでこれだけバーゲンが常態化しているのに、実店舗でバーゲンを後倒ししても意味はない

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 今年の6月もそうだが、商業施設を見ていて、何年か前ほどのバーゲン早期化はあまり感じない。

今年は6月30日の金曜日に夏バーゲンを開催する商業施設が多そうで、曜日を考えれば6月30日がベターだと思う。

一方、バーゲンの通知が常に届くのはウェブ通販である。
一昨年に始めてAmazonで買い物をして以来、年間で8回~10回くらいは買うようになった。
主には値引きされたガンダムのプラモデルだが、たまに本を買う。
あと極まれに服や靴を買う。

服や靴はもちろん値引きされた商品しか買わない。

そうなると、Amazonから頻繁にお知らせのメールが送られてくる。
やれタイムセールだ、やれアウトレットセールだ、やれプレセールだ、という具合である。

またユニクロやアダストリアのウェブでもこれまで何回か買ったから、そこからも頻繁にメールで安売りのお知らせが来る。
6月20日にはアダストリアから3通も安売りのお知らせメールが来た。

2つは21日から夏セール開催という内容だが、もう1つは先行セール開催というものだ。

ユニクロはだいたい毎週火曜と金曜に「期間限定割引」のお知らせメールが来る。

GAPはウェブで買ったことがないが会員登録しているからメールが来る。
だいたい、GAPかバナリパで「なんちゃらセール開催中」とか、「〇〇すれば〇%引き」とかそういう内容である。

ウェブからのお知らせだけを見ていたら、ほぼ毎週何かの安売りセールをやっている。

筆者が受け取るのはこの3社がほとんどだが、もっとたくさんの通販サイトを利用したことのある人は、もっとたくさんの安売りのお知らせをそれこそ週に何通も受け取っているだろう。


例えば、ウェブでは買ったことがないが、ナノユニバースは6月21日現在、ウェブでは絶賛バーゲン開催中だ。
しかも「1000円、3000円、5000円の3プライスバーゲン」である。
実店舗でのバーゲン後倒しがどうのこうのなんて論争している次元ではなく、破格の投げ売りを開催している。

キャプチャ



このように、ウェブ通販だけを見ると年がら年中、毎週何かの安売りセールをやっていると感じる。

こんなに安売りセールが頻繁に開催されているなら、何も実店舗で買う必要もなく、安い服が欲しければウェブを検索すれば良いと感じる。
ますます、実店舗離れが起きるだろう。

さて、そういう社会状況になったにもかかわらず、ルミネが今年の7月もセール後倒しを行い、7月28日から開始するとの発表があった。
率直な感想をいえば、こういう状況でルミネだけがセールを後倒しする意味があるのかと感じる。

もちろん、業界、特に製造業系からは歓迎の声があがっており、その気持ちもわかるが、個人的にはその考え方は評価できない。

各社が足並みをそろえているならまだしも、安い商品が欲しい人はいくらでもウェブで手に入るのが現実だ。


じゃあ、どういう売り方が良いのかという話になると、これだけウェブ通販が年がら年中安売りをしているなら、最早全社そろってセール時期を後倒しするというのは実現不可能である。
実店舗でバーゲンを後倒ししたところで、ウェブでやってるなら、多くの客はウェブで購入する。

だったら、店舗はセールを後倒しせず、今年なら6月30日で足並みをそろえるべきだろう。

そして、1月~3月に入荷した「古い商品」を70%オフくらいで叩き売って、集客装置としつつ、5月ごろに入荷した新しい商品を10%オフとか20%オフくらいで販売するのが正解ではないか。

どうしても売れ残った商品は,そのあとのバーゲン末期で大幅値引きをして投げ売る。

こういう方法で各社は乗り切るべきだろう。

ウェブがこれほどバーゲンを早期化・常態化している中で、たかがルミネだけがバーゲンを後倒しにしたところで、業界の趨勢がそちらに向かうことはないし、各社がバーゲンを後倒ししたところで、ウェブはそれに縛られないだろうから今のバーゲン常態化は続くだろう。

そうなるとますます実店舗の売上高が下がりウェブでの購入率が高まる。
これが進み過ぎるとアメリカのように実店舗の大量閉鎖につながることになる。

各社がそういう結果を望まないなら、バーゲンの後倒しなんていう非現実的なファンタジーとは決別すべきではないか。

ウェブがこれだけ、バーゲン早期化・常態化している中で、実店舗のバーゲン後倒しという施策は何ら意味が無い。

バーゲン品が欲しい人はウェブないし、他の商業施設で買うだけのことにしかならない。
業界からバーゲンがなくなることはないし、定価販売が広がることもない。


ところで、繊研プラスを読むと、ルミネの新井社長のこんなコメントが掲載されているがこれは事実だろうか?

「ファッションビジネス業界が膠着(こうちゃく)状態にある大きな要因はセール(の早期化)ということをオーナーの人たちも分かっている。『夏のセールはやめましょう』という幹事会社もある。そもそも、これから暑くなる時期にセールをやるのはおかしい。本来なら、8月スタートにしたかった」という。


この人がセールを8月にやりたいというのは個人の嗜好の問題なのでどうでもいい。
疑問を感じるのはその前段である。

ファッションビジネス業界が膠着状態にある大きな要因はセールの早期化とあるが、これは事実誤認だろう。
セールが早期化しているから膠着しているのではなく、膠着して不良在庫がダブついているからセールが早期化しているのである。
因果関係を完全に取り違えている。

で、セールを後倒しすればその膠着状態が解除されるのかというと、その可能性は極めてゼロに近い。

膠着しているのは、セールの開始時期が早いからとか遅いからではなく、国内のファッション業界が、消費者の消費行動・嗜好の変化に対応できなくなっているからである。

また、オーナーが「夏のセールをやめましょう」と言ったというのも本当だろうか。
もし事実ならそのオーナーはよほどのアホか、リップサービスをふるまう人かのどちらかだろう。

ルミネに出店しているブランドというのは、個人経営のブティックではなくて、ある程度の店舗数を持ったチェーン店が9割以上である。
そういう大手企業のオーナーが「夏のセールをやめましょう」というなら、ルミネに出店しているテナントだけでなく、自社が各地に何店舗か構えている路面店で夏のセールをやめれば良いのである。

路面店ならだれに気兼ねすることもない。
ファッションビルや百貨店やショッピングモールのように、管理されているわけでもない。

セールをやめるのも後倒しするのも自由自在である。

自社の路面店ですらセールをやめられないような企業のオーナーがなぜ、「夏のセールをやめましょう」なんてことを発言できるのだろうか。

この発言が本心なのだとしたら、そのオーナーがよほどのアホか恥知らずである。


今後もルミネはバーゲンは後倒しし続けるだろう。
しかし、その動きはルミネだけに限定されたものとなり、今後は淀川の花火大会よろしく、単なる夏の風物詩の一つとして認識されるにとどまるだろう。

「また今年も、ルミネがバーゲン後倒し宣言をしたわ。そろそろ夏よね~」なんて会話が毎年6月には聞かれるようになるかもしれない。



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バーゲン後倒しに敬意を表して、現在、値下げ販売されているナノユニバースの商品のいくつかをどうぞ~♪




















カネもアイデアも知名度もない企業はEコマースでも売れない

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 実店舗での洋服販売不振を受けて、猫も杓子も「EC強化」を打ち出しており、あんまり詳しくなさそうなコンサルと称する人は安易に「EC強化」「ネットショップ」を勧めてくる。

本当に最近の猫と杓子は「EC強化」か「大草直子」かである。

アメリカでは大量の実店舗閉鎖、商業施設閉鎖が相次ぎ、その要因はECの拡大だとされており、日本でも何年か後にはそれに類した(完全に同じではない)動きが見られるようになると考えられる。

業界のおじさんたちもすっかりその気で「EC強化」とか「ネットで売ったら何とかなる」なんて極めてイージーに考えている人が増えた。
もちろん、中には「今のご時世でネットの売上高がポンポン増えるとは思えないが、とりあえずやるだけやる」という、まともなおじさんも相当数いるのだが、ネットに親しんでいないおじさんは本当に極めてイージーに捉えていて、アホらしくてこちらも諫める気にもならない。

失敗して金をドブに捨てるのは筆者ではなくて、イージーなおじさんなので、勝手にどうぞである。

筆者が見るところ、Eコマースはブランドや企業にとっては不可欠だが、そこで成功するにはよほどの「何か」がないと不可能な状況になっていると考えられる。
2005年ごろのように、Eコマースのプレイヤー自体が少なくて、立ち上げればすぐさまある程度の売上高が見込めるという市場ではすでになくなっている。

それを数値を挙げながら永江一石さんが説明しておられるので、イージーなおじさんは熟読してもらいたい。

楽天をやめてどこに行くというんだ、ジョー・・・・
https://www.landerblue.co.jp/blog/?p=32386

発端は、楽天市場の凋落についての日経MJの報道である。
これは事実だ。出店者数も4万店台で足踏みが続いている。

ちなみにYahoo!ショッピングは出店者数が40万店ですでに楽天の10倍となっている。
楽天は抜本的な改革がなされない限り、このまま沈んでしまうだろう。

またAmazonの台頭も著しいし、ファッションならZOZOTOWNの一人勝ちともいえる。
これらに伍して支持されるだけの魅力が楽天市場には皆無である。

で、日経MJの記事は、「自社直営サイトかBASEでがんばる」と結論付けているのだが、これがおかしいと永江さんはご指摘されていて、その通りなのである。

まず、楽天の欠点について

○楽天は制限が多すぎる。しかもダサイ
○インスタなどの外部リンクが貼れない
※インスタ貼ったところで売り上げかわんないですけどね
○使いづらい
※そりゃ基本設計が20年くらい前のものですから・・・
○上納金高すぎ

とのことで、ここに異論のある人はいないだろう。

問題はその次なのだが、現在のEC市場はどうなっているかというところで、

これは講演とかがあるといつも言ってることなんですが、15年前はネットショップとか始めるとすぐに月数十万から数百万くらいの売り上げが上がりました。

商材によっては数ヶ月たったら月商500万とかいう事例もありました。嘘のような本当の話。

しかし現在では、よほど名前の通ったブランドやリアルの店舗が多数あるようなもの、大量の広告投資を行ったケースを除いてはこんな美味しい話はございません。逆に15年前から比較する99%のネットショップはアクセス数、売り上げともに落としているはずです。

とのことで、これも体感的にはその通りではないか。
イージーなおじさんはここに目をつむっているか、そもそもネットを触らないのでまったく知らないかのどちらかなのだろう。

で、ここからが今回の秀逸な部分なのだが、

なかなか年度が古いものがないのだが、日本のB to CのECマーケットは2005年に3.1兆。2015年に13.8兆だから、10年で4.5倍になったわけ。

でね。どうググっても「マーケットは拡大した」というのばかりで、ECサイトの数自体はどうなったかの調査がない。

まあ、数えるだけでも大変だし、調査のしようもないというのもありますが、3年前に講演したときに人力で数えてもらったら、ざっくり見ただけで数十倍以上になってました。細かいのまでみたら数百倍でしょう。

いまでは小洒落た小売店ならたいていサイトがあってネット販売もしている。ほとんど売れてはいないと思うがBASEみたいな無料のCMSもある。BASEみたらこれで30万店がオープンしたとあります。

市場が5倍になっても店舗が数百倍ですよ


とのことで、競争率は格段に高まっている。

イージーなおじさんやイージーなコンサルがECを「魔法の杖」みたいに考えている理由の一つに、EC市場規模の拡大ということが挙げられるが、彼らはECサイトの数がどれだけ増えているかにはまったく気が付いていないのである。

下手をすると、ECサイト数が増えたからEC市場規模が拡大したと考えられないこともない。

確率論だけでいくと、売上規模が5倍になっても、店舗数が数百倍になっていたら、これはかなり競争が激しくなっている。ここを考慮せずにECを「魔法の杖」みたいに考えている人らはちょっとおかしいんじゃないかと思う。

日経MJの記事では、ユナイテッドアローズやメガネのオンデーズが自社ECで好調な一例として挙げられているが、それ、どっちも大手企業だから!
無名の零細企業が参考にできるモデルケースではない。

無名の零細企業が、「ただ単に」ECサイトを立ち上げたところで、埋没してしまってだれからも注目されない。

イージーな人たちはネットに対して「ネットは世界と直結しているから売れるはず」というが、いくら世界と直結してようが、そのネット空間に店は何百万店・何千万店もある。
何百万店もある中から、どうして無名の店に「わざわざ」客が来るのだろうか。
ちょっと考えればわかりそうなものだが。

永江さんの提示する解決策は

○エッジの効いたオリジナルの商品
○良質なコンテンツSEO
○正しいソーシャルの運用

であり、それを実施てきている企業は極めて少ない。

話は逸れるが、「ユニクロのEC化比率は5%程度と低いのが弱点だ」なんて言ってるちょっとアレな人たちがいるが、ユニクロは自社直営ECだけで売っていて、売上高が400億円以上もある。
シップスやフランドルよりもユニクロのECだけの売上高の方がはるかに大きい。
%だけを見て絶対額を考慮していない「%バカ」の典型といえる。


EC市場が広がる可能性はまだあるが、それ以上に店舗数は増え、競合は激化する。
無策で無名の零細企業が売上高を拡大できる要素はすでにゼロである。EC市場で競争を勝ち抜けるのは、それなりの大手企業か、無名の零細でも「無策ではない」企業に限られる。

カネもアイデアも知名度もない企業が一発逆転できるなんていう甘い市場ではすでになくなっている。








「ECサイトを開設しさえすれば労せずして売れる」と考えるのは大間違い

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 今時、「SPAブランドって流行ってるらしいな。俺も何のノウハウもないけどちょっとSPAブランド立ち上げてみるよ。バカ売れするかもしれない。やってみれば何とかなるだろう」なんて軽い気持ちで、SPAアパレルブランドを開始する人はいないだろう。

いるとしたらよほどのおバカさんではないかと思う。

新しくSPAアパレル事業に参入する企業や個人はあるだろうが、相当の覚悟を持って臨んでいるはずだ。
SPAどころかアパレル、洋服店そのものがレッドオーシャンになり果てていることは多くの人は知っている。
レッドオーシャンどころか、ブラッディオーシャンである。

しかし、インターネット通販に対してはどうだろうか?
SPAブランドのところをインターネット通販やECに置き換えてみて欲しい。
こういうことを言っている人は業界の内外を問わず、ゴマンといるのではないか。
とくにインターネットで物を売ったことも買ったこともないような人に限って「インターネット通販は成長分野。ノウハウはないけどやってみたら何とかなるだろう」なんて寝言を平気で口にしている。

寝言は寝ても言うなよってことである。

残念ながらすでにインターネット通販はレッドオーシャンになっており、成果の出ない企業はとことん成果が出ない。
衣料品・アパレル分野はとくに。

たとえば、先日、こんなニュースが報道された。

スクロールがアパレルECから撤退
http://news.infoseek.co.jp/article/netshoptantoushaforum_3964/

スクロールは2月末でアパレルECから撤退する。
旗艦ECサイト「スクロールショップ」とシニア向けアパレルECサイト「ブリアージュ」を2月28日に閉鎖すると発表。スクロールが運営するECサイトでのアパレルの取り扱いがなくなる。シニア向けアパレルのカタログ通販、生協会員向けの販売は継続する。

選択と集中を進め、生協会員向け販売や化粧品、健康食品販売事業の強化を図る。

スクロールでは2014年9月にF1層向けファッション通販カタログ「ラプティ」を廃刊し、あわせてF1向け専門ECサイトも終了していた。これにより、スクロールが運営するアパレルECサイトは旗艦店の「スクロールショップ」とシニア向けアパレルECサイト「ブリアージュ」のみとなっていた。
今回、両サイトを2月末で閉鎖し、アパレルECから撤退する。
今後は、好調な「コスメランド」「豆腐の盛田屋」などの化粧品通販事業を中心に、キッチン用品、ブランドバッグなど専門ECサイトの事業展開を強化していく。

とある。

通販大手の1つであるスクロールがアパレルECを完全に閉鎖する。
記事にもあるように、すでに2年半前に若い女性向けのアパレルブランドをカタログ、ECともに廃止しており、今回の廃止によってスクロールのアパレルECは取り扱いがなくなる。

要するにスクロールはアパレルECから完全撤退するということである。

ちなみにスクロールの2016年3月期連結決算の売上高は前年比1・1%減とはいえ、628億3900万円もある。
2017年3月期連結の売上高は前年比6・6%減の590億円を見込んでいる。

やり方の不備やさまざまな要因があったとはいえ、年商規模600億円の大手ですらアパレルECからは撤退しているのである。

年商ン千万円程度の零細企業が、「何のノウハウもなしに」ECサイトを開設したり、インターネット通販を開始したりして、果たして成功するのだろうか?
よほどの僥倖に恵まれなければ成功はありえないだろう。
年末ジャンボ宝くじの1等に当たるくらいの幸運に恵まれなければ成功しない。

あの巨大資本のセブン&アイでもオムニセブンは軌道に乗っていない。
こちらはもちろん、売上高の金額自体はそれなりにあるが、昨年秋の時点では663億円にとどまっている。
洋服だけではなく、食品やら日用雑貨やらあらゆるジャンルの商品すべての合計が663億円なのだから、洋服の売上高がどれだけ低いかは想像できるだろう。


それにしても何のノウハウもないド素人に限って「インターネット通販なら何とかなる」なんていうスイーツな考えをしてしまうのだろうか。

その原因の一つとして、評論家が盛んにこだわる「EC化比率の低さ」が世のスイーツたちをミスリードしているのではないかと思う。

物事を判断するには何かしらの基準が必要であることは言うまでもない。
だから各種の比率の数字は重要であるが、それのみに注目しすぎるととんでもない判断ミスを起こすことになる。

評論家や出来の悪いコンサルタントはよくこんなことを言ってEC進出を煽る。
「ユニクロはEC化比率が以上に低いからダメだ。もっとEC化比率を高めるべきだ」と。
現在のユニクロのEC売上高比率は5%くらいである。

だから評論家やコンサルタントは「EC売上高比率を最低でも10%に伸ばすべきだ、伸ばせる」と煽るのである。そのほうが彼らには仕事が舞い込むのだろう。呼び込みご苦労様。

もちろん、まだ伸ばせるとは筆者も思うが、5%という数字だけ見れば「低い、少ない」と感じる。だが、実際の金額に換算してみると400億円くらいあるということになる。
先ほどのオムニセブンが、様々なジャンルの商品すべてを合わせて、昨年秋の時点で660億円しか売上高がなかったのに、ユニクロは衣料品のみで年間400億円も売上高があるということになる。

また年間400億円という売上高はアパレル業界においては大手の一角を担える売上高である。

例えば、人気セレクトショップ大手の1つアーバンリサーチの2015年1月期の売上高は460億円、2016年1月期の売上高は540億円と発表されているが、ユニクロのEC売上高はこれとほぼ同等なのである。

衣料品のみをインターネットで400億円売るということは、衣料品業界においてどれほどの大きな数字なのかがお分かりいただけるのではないか。

ちなみにユニクロがEC売上比率を20%にまで拡大できたとすると、おそらくEC売上高は1600億円弱ということになっているだろう。衣料品だけで1600億円を売るというのはとてつもない金額である。

メガネスーパーのECを担当している川添隆さんは、ネットでこんな意見を書き込んでおられる。

今のところ、国内でEC化率が高いのは、「ECで買ってもいい商品」か「ECで買うメリットがある商品」かなと捉えています。前者はショッピングをする際の体験価値を問わないモノ(コンタクトレンズ、書籍、音楽、映像、文具、事務用品など)や、後者はECで買ったほうが安いとか、配送してくれる利便性が効くモノ(家電など)。

とのことで、これはその通りではないか。

筆者もAmazonやヨドバシドットコムをときどき使うが、ガンダムのプラモデルの格安品、家電製品類の格安品、一部バッグの格安品に限られており、衣料品を買う場合は1、格安品 2、サイズ感や着用感がわかっている物 の2点を満たした商品だけしか買っていない。

ユニクロのオンライン通販もときどき使うが、この2点を満たしているからだ。
あと、店頭で売り切れていたり、500円割引オンライン専用クーポンを所有していたりする場合に例外的に利用する。

こういう状況であるから、評論家やコンサルタントが言うほど簡単に、衣料品のインターネット通販が拡大できるとは思えない。

自分で携帯メールも、パソコンのEメールも打てないような製造加工業者のオッサンや問屋のオッサンに限って、インターネット通販を始めたら明日にでも莫大な売上高ができると勘違いしている。

そして評論家やコンサルタントのカモにされて金を吸い取られているというのが業界に蔓延している喜劇である。

喜劇は吉本と松竹だけにしてもらいたい。










意味不明の商品説明文を書き連ねてるブランドが多すぎる

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 なんだかんだで、オンライン通販で服や服飾雑貨を買うことが増えた。
もっぱら買うのはユニクロか、一度試着したことのあるアイテムに限られているのだが。

そうすると当たり前だが、定期的にメルマガが来ることになる。
筆者のもとに定期的に届くのは、ユニクロ、ジーユー、アダストリア、Amazonくらいである。
Amazonはいろんなブランドの案内が併記されている。

一応、情報収集も兼ねてそれらのメルマガにはざっと目を通すのだが、正直に言って、意味の分からない商品説明が多い。

商品説明文で一番マシなのはユニクロとジーユーだが、それでも「?」と感じることがある。
それ以外のブランドやAmazonで見かけるブランドの商品説明文はほとんどが「?」である。

あんな意味の分からない説明文を書いているから洋服が売れないのではないか。
あと商品名も企画担当者の自己満足でしかない短縮形が多い。
あれではどんな商品なのか消費者にはまったく伝わらないだろう。
伝わると思ってるならそれは業界人の傲慢である。

例えば

スライバーニットを使用したスライバーチェスターコート。 適度なふくらみ感がありつつ、軽くて暖かな着心地が特徴の素材です。 スタンダードで洗練されたデザインですのでコーディネートに取り入れやすく、 ワードローブに入れて頂きますと大変便利な1着になっております。 オススメはGジャンやライダースなどの軽アウターの上から、コートを羽織って頂くスタイリングです。

これは実際の通販サイトに書かれてある説明文である。

これを読んでどんな商品なのかわかる人がどれだけいるのか、これを読んで「この商品欲しい」と思える人がどれほどいるのか。

まず、「スライバーニット」ってなんやねん、である。
業界人ですらわからない人が相当数いるのではないか。
とくに昨今は業界人の商品知識レベルは劣化しているので。

個人的に気になるのは、このコートの生地は「ニット」なのか「織物」なのかであるが、この文章だけではあまりわからない。スライバーニットを使っていると書いてあるのでニットなのだろうと推測するほかない。

ニット生地だということは、防風性が弱いということになる。
セーターは風を通すから。
そこに対する何らかの施策(生地の裏にフィルムが貼り付けてあるとか)があるのか?
何も書いてないということはないと判断せざるを得ないが、もしそういう施策があるなら書いていないならそれは伝わらない。
伝わっていないことは存在しないのも同然なのである。

防風性が弱いならコートとしてどうなのかということになる。

お薦めはGジャンの上から羽織れと書いているが、防風性が弱い(と仮定するなら)コートをGジャンみたいに保温力の弱い衣類の上から羽織って真冬に着用できると思っているのだろうか。

この文章を作った人、それから商品企画担当者はそんな寒々しい恰好で真冬に出歩いているのか。

また

寒い季節にぴったりなキュウシン柄のニット。
印象的なデザインなのでアウターを羽織った時に、チラッと見える柄が◎
また、ジャガード部分に起毛をかけ、暖かな着心地と肌触りも追求しています。
ホワイト・ブラック・ブラウンなど、ベーシックな色を基調とした配色で、
様々なアウター・ボトムスと合わせられるのもオススメのポイントです。


これも実際のサイトの説明文である。

そもそも「ジャガード」という表記自体が間違いで正しくは「ジャカード」である。

で、これはセーターなのだが、ジャカード編の柄部分に起毛をかけているとあるが、柄のない部分は起毛をかけていないのだろうか?
そういう技法で作られたセーターもあるが、そんな面倒なことをこの低価格ブランドがやるとは思えない。
低価格ブランドなら全面に起毛をかけるか、まったくかけないかのどちらかである。
そのほうが加工コストが安い。

長くなるのでこのあたりにしておくが、どのサイトの説明文もほぼこれらと同様か、これら以下の内容である。

そもそもが、商品名の「キュウシン柄ニット」って何なのか。
首元から胸あたりにかけて柄があって、それが首元を中心とした円形状に広がっているから「求心柄」なのだと思うが、求心をキュウシンとカタカナ表記にすることで何のことやらまったく意味が分からなくなる。もしかして「求心」という漢字を読めないと思っているのだろうか。
それはあまりにも消費者をバカにしているし、自分らの知能レベルに合わせて消費者を判断しているとしか言いようがない。

KHFAA21059-03P-90-O

(キュウシン柄ニットの実例)

http://www.itokin.net/avv/products/detail.php?product_id=82192



 キュウシンと書かれても救心かもしれないし、急進かもしれない。もしかしたら球審かもしれない。

おそらく以前はノルディック柄の一種として紹介されていた柄だが、今の店頭やサイトで見ていると純粋な「ノルディック」ではなく、南米風だったり民族調だったりする柄も含まれているから、「キュウシン」と呼び名を変更したのだと思うが、この中途半端な変更と意味不明のカタカナ表記によって、消費者には一層伝わりにくい商品名となっている。

衣料品業界のオンライン通販は、つまるところ画像に頼りすぎている。
もしかしたら、かつていわれた「オンライン通販に説明文は必要ない。画像がすべてだ」という間違ったやり方をいまだに妄信しているのかもしれない。

オンライン通販に画像は不可欠だが、説明文も不可欠である。
「説明文は短ければ短いほど良い」なんてデマが流布されたこともあるが、実際に手に取って風合いやら触感やら生地の厚みなんかがわからない分、説明文はかなり詳細に書き込む必要がある。

「説明文は短ければ短いほど良い」なんてことをいまだに信じているなら、それはお気の毒なことである。

洋服が売れなくなった理由は様々あるだろうが、こういう伝わらない説明文や意味の分からない商品名などという部分も大きいのではないか。

もう、きれいな画像と、雰囲気だけの意味の分からない説明だけで洋服が売れる時代ではないということを業界人は痛感すべきである。












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