南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

百貨店

百貨店事業依存度が高く、百貨店事業収益率が低い三越伊勢丹

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 三越伊勢丹HDの大西洋社長退任が話題となったが、もっとも内情を詳細に分析して報道しているのは、この日経ビジネスオンラインの記事である。

三越伊勢丹の社長退任、頼みの「新宿」低迷響く
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/030600602/?i_cid=nbpnbo_tp&rt=nocnt

まず、前提として、辞任を申し出たのではなく、解任動議が決議される予定ということである。

三越伊勢丹ホールディングス(HD)の大西洋社長が月内に退任する見通しとなった。同社は7日に開く取締役会で「代表取締役の異動について決議する予定」と発表した。

とのことで、いわば反対派によるクー・デタとたとえることができるだろう。

この記事でも触れられているように、5月の決算発表に向けて新経営計画を策定中だったということで、自ら退任する意思は微塵もなかったと考えることができる。
なにせ、新経営計画策定中という話は、2月に耳にしているからだ。

また先週金曜日には自身が地方で講演されていたという情報もあり、退任の決議は寝耳に水だったのではないかと推測される。

それだけ、反対派は周到に根回しをしていたということであり、社内政治という点においては反対派が1枚も2枚も上だったということになる。

立ち上げて事業が始まったばかりの数々の合弁会社、数々の買収企業、そして、大西社長の肝煎りで行った中途採用の人員などは、どうなるのだろうか。
おそらく、反対派はこれらの事柄を継承しないと考えられる。

なぜなら、継承するつもりなら大西社長を失脚させる必要はないからだ。

退任後、会長にもならないということは文字通りの失脚である。

さて、この記事では三越伊勢丹の事業を数値で分析しているがなかなか秀逸である。
百貨店の盟主と目されている三越伊勢丹だが、その内実は崩壊の一歩手前という印象だ。

記事から引用抜粋してみよう。

高島屋、Jフロントリテイリング、三越伊勢丹の3社を比較している。

三越伊勢丹HDの2016年4月~12月期の売上高は約9300億円。このうち百貨店事業が約8500億円を占め、比率は約92%に達する。同じく第3四半期までの累計で、同比率が約65%のJフロント、同約87%の高島屋と比較しても、百貨店依存度が高いことが分かる。

一方、百貨店事業の利益率は三越伊勢丹HDが最も低い。百貨店事業で稼いだ利益を同売上高で割った百貨店利益率は1.04%しかなく、Jフロント(同2.43%)の半分以下で、高島屋(同1.22%)にも届かない。


現在「衣料品不況」などの逆風もあって、流通業界の中でも、百貨店の厳しさは際立つ。

三越伊勢丹HDは、百貨店事業に集中しながら、その事業の利益率が低いという、危機的な状況にあるのだ。2016年1月以降の株価を見ると、他の2社と比べて低迷が続いている。

とのことである。

株価云々は置いておいて、あれだけ華やかなイメージがある三越伊勢丹だが、事業の収益性という点においてはかなり厳しい状況に追い込まれている。

脱百貨店を掲げているJフロントは置いておくとしても、「ザ・百貨店」的なクラシカルなイメージの強い高島屋よりも百貨店依存度が高い。
そして百貨店利益率は高島屋よりも低い。

これは致命的で絶体絶命のピンチだといえる。

また新宿伊勢丹、銀座三越、日本橋三越の旗艦三店舗も苦戦している。

2016年4月~12月期で、伊勢丹新宿本店の売上高は、1979億6900万円と前年同期比2.8%の減少。三越日本橋本店は1261億6500万円で、2.2%減、三越銀座店は599億4300万円で6.9%減と苦戦した。

とあり、さらに

2014年3月期の新宿本店の売上高は、2654億円と前の期比で12.1%増となったが、翌2015年3月期は2585億円と2.6%減。

とも指摘されており、2016年3月期も減収が予想される。

「ファッションの伊勢丹新宿」にも陰りが出ており、2014年3月期の大幅増収は爆買いによる買い支えがあっただけで、日本人の需要は伸び悩んでいたと考えられるのではないか。

個人的な感想をいえば、伊勢丹新宿の売り上げ効率がいまだに高いことは大したものだが、いわゆる「最先端ファッション特化」路線は2014年3月期の2654億円が限界値ではないかと感じる。
その数値以上に、日本人に「最先端ファッション」の需要は無いし、潜在的需要もない。
「最先端の高価格ファッション」なんて誰もが求めるものではない。

銀座三越の爆買い向け改装は大失敗で、

初年度133億円の売り上げ目標に対し、売上高は44億円、営業損益は20億円の赤字となる見込みだ。

とのことで、爆買いブームは去り、中国人優遇に嫌気がさした日本人の富裕客層の上位3割も離れ、虻蜂取らずの見本のような事態になっている。

最後は

大西氏の退任の背景として、取締役など幹部の間で、かねて不協和音があったことを指摘する声は多い。業績悪化が鮮明になる中で、社内の摩擦は抑えきれないところまで来たのかもしれない。三越と伊勢丹が経営統合したのは2008年。約10年を経て、業界の盟主は岐路に立っている。

と締めくくられているが、業績が良ければ反対派は黙るが、業績が悪化して求心力が低下すれば、反対派は活動を活発化させる。三越伊勢丹に限らず、どの組織でも同じだ。

それにしても三越との統合から10年が経過して、盟主と目された伊勢丹自体も衰退の危機を迎えるようになるとは、まさにこの世は盛者必衰といえる。

評論や記事の中には、新社長が改革路線を継承することや、激しいリストラを期待する論調もあるが、それはあり得ないだろう。
なぜなら、改革路線に賛成なら、今の段階でわざわざ大西社長を失脚させる必要などないからだ。
もう少し成果が出始めるまで、上に戴いておくのがもっとも効率的で効果的だ。

まあ、そんなわけで今後、しばらく三越伊勢丹は混迷の度合いを深めることになるだろう。

三越伊勢丹の最新 儀式110番: こんなときどうする? 冠婚葬祭
三越伊勢丹ホールディングス
誠文堂新光社
2016-05-25



誰からも信頼される 三越伊勢丹の心づかい
株式会社三越伊勢丹ヒューマン・ソリューションズ
KADOKAWA
2017-02-24






後任を決めずに社長が辞任する異例事態となった三越伊勢丹

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 予定を変更して(予定なんてないけど、言ってみただけ)今日はこの話題に触れたいと思う。

三越伊勢丹HD、大西社長が辞任へ 多角化の成果出ず
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ05H6O_V00C17A3MM8000/

 三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長(61)が3月31日付で辞任することが5日わかった。傘下の事業会社、三越伊勢丹の社長も同時に辞任する。消費者の百貨店離れが進むなか、事業の多角化を目指す構造改革で成果を上げることができなかった。後任の社長は週内をめどに社内から選ぶ方向で調整し、石塚邦雄会長(67)は当面続投するとみられる。

 大西氏は2012年に三越伊勢丹HDの社長に就任。消費者との接点を広げる小型店の積極出店などに取り組む一方、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)や婚礼事業のプラン・ドゥ・シー(東京・千代田)といった外部企業との提携も推進してきた。

 ただ、17年3月期の連結営業利益は前期比28%減の240億円となる見通し。急速に事業分野を広げる大西氏に対し、社内からは「少ない人数で運営している現場への負荷が大きい」との指摘も多かった。

とのことで、直近の業績急低下を見ていると、引責辞任もやむなしだと感じられてしまう。

昨年、6回に渡ってインタビューをさせていただいたこともあるので、今回はこのニュースについての感想をまとめてみたい。あくまでも個人的な感想である。

記事中で挙げられている多角化の事例のほかに、外食産業のトランジットジェネラルオフィスとの合弁会社設立や旅行会社ニッコウトラベルの買収などもあり、2012年の就任以来、百貨店のみでは限界があるとしての多角化を進めていた。

今回の辞任発表は、多くの方々が指摘しておられるように後任を決めないままの辞任発表なので、かなり異例で異常な事態だといえる。

同社の決算は3月期で、5月に毎年決算発表がある。
実はそれに向けて、新経営計画を策定しており、決算発表前に一度聞かせていただけそうな話もあった。

それだけに今回の辞任発表はかなり突発的な何かが内部で起きたと考えられる。

個人的な印象では昨年秋口からムードが変わったと感じる。
というのは、東洋経済オンラインに社内の反対派の大西改革への否定的なコメントが掲載された。

そのときに「ああ、業績に陰りが出て、反対派の活動が活発になってきたんだなあ」と感じ、下手をすると反対派に足元をすくわれることがあるかもしれないとも感じたが、それが現実になったということだろう。

知り合いの某経済誌記者にその話をすると、「実は大西反対派の愚痴みたいなものは以前からも頻繁に寄せられていた」との返事があったので、以前から根深い対立があったのだと改めて感じた。

業績の急低下の原因はいくつかあるのだろうけど、目に見えての大失敗は銀座三越店の改装だろう。
爆買い重視の改装だったが、改装オープンと同時に爆買いのムードは終結した。
その結果、中国人は来なくなり、日本人客も離れた。

インタビューでは、大西社長自ら「中国人客を重視しすぎて、日本人の富裕客層の上位3割が離れた」と認めておられた。

大西社長が提唱された改革の中身が正しかったのかどうかはわからない。
最終形態にたどり着いておらず、結果がわからないからだ。

しかし、方向性の正誤は別として、百貨店が今までのままで生き残れる可能性はほぼないから、何かを変えねばならなかったことは事実である。

トランジットとの合弁会社による、新規外食店はやっと今年4月に第1号店オープンが発表されたばかりである。

シドニー発のイタリアンダイニング「フラテリ パラディソ」を4月末に表参道ヒルズにオープンするとのことだが、筆者のような田舎者にはシドニー発のイタリアンというのはなんだか微妙なフレーズだと感じられてならない。たとえて言うなら、「東京発の本格中華料理」みたいな感じを受けてしまう。

まあ、中身はともかくとして第1号案件がやっと決まったばかりだ。

また、以前から旅行業強化を掲げていて、先日、ニッコウトラベルを買収したばかりである。

改革プランの良し悪しは別として、やっと形になったばかりのものも多かった。

これらの案件は、社長が辞任することで、間違いなく方向転換は強いられるから、当初に描かれていた完成形態にたどり着くことはできなくなった。
逆にすべての合弁事業が中途半端な尻すぼみで終わってしまう可能性も極めて高い。
尻すぼみで終わればかえってホールディングスの収益を圧迫することになり、三越伊勢丹HDはかなり厳しい状況に追い込まれると個人的には見ている。

じゃあ、これまで通りの三越と伊勢丹のやり方、ひいては百貨店のやり方を継続していればよかったのかというと、その選択肢がありえないことは誰しも認めるところだろう。
現に、「これまで通りのやり方」で百貨店の業績は低下する一方だったから、そのやり方は間違っていたということである。

残念ながら、三越に往年の勢いはすでにないし、伊勢丹のファッション特化路線は新宿本店以外で成功したためしがない。

名古屋のイセタンハウスも苦戦しているという話しか聞かないし、大阪・梅田のルクアイーレの伊勢丹コーナーも縮小されている。JR京都以外の地方店では伊勢丹は連戦連敗である。

伊勢丹はトップから現場まで東京大好き人間で固められている。
大西社長自身だって、著書で明かしておられるように、就職する際、東京にあるという理由で伊勢丹を選んでいる。

東京大好き人間だけで固められた百貨店が地方民の需要を正確に把握できるはずがない。
伊勢丹新宿店のような「先端ファッション」を求める人数は地方には少ない。
そもそも各地方の人口は首都圏の足元にも及ばない。
ファッション大好き人間の比率は変わらなくても、分母が少なくなれば実数も少なくなる。
それだけのことである。

三越も変わらない、伊勢丹も変わらないということを反対派が選択したのなら、三越伊勢丹HD自体も三越という暖簾も伊勢丹という暖簾もこのまま衰退することになる。

百貨店という業態も、変わらないなら売上高はこのままどんどん低下し続ける。

今回の異例の事態はそんな未来を確実にしてしまったのではないか。










6兆円を割り込んだ百貨店売上高は今後さらに縮小する

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 多くの人がすでに話題にしているが、百貨店の売上高が36年ぶりに6兆円を割り込んだ。

16年の百貨店売上高6兆円割れ 36年ぶり 主力の衣料品落ち込む
http://www.sankeibiz.jp/business/news/170121/bsd1701210647002-n1.htm

日本百貨店協会が20日発表した2016年の全国の百貨店売上高(全店ベース)は5兆9780億円で2年連続で前年実績を下回り、36年ぶりに6兆円を割り込んだ。既存店ベースで前年比2.9%減だった。

16年の売上高は化粧品以外、ほぼ全ての商品で前年実績を下回った。特に主力の衣料品が前年比5.8%減と苦戦した。インバウンドは購買客数が18.5%増の約297万人だったものの、円高の影響もあり、免税売上高は5.3%減の約1843億円だった。

とのことであり、百貨店の売上高は1980年当時の水準に戻ったということになる。

衣料品不振のほか、この記事では触れられていないが、日経新聞の記事では食料品も1・8%減と微減しており、苦戦に転じたことがうかがえる。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL20HK5_Q7A120C1000000/

順調なのは、2・0%増となった化粧品を含む雑貨だけである。

衣料品が苦戦していることは隠しようもない事実で、外野から見ていて、百貨店衣料品の売上高が回復することはありえないと感じる。

これまで散々、このブログで書いてきたことの繰り返しになるが、百貨店の衣料品が売れなくなった理由は

1、消費者の可処分所得の減少または伸び悩み
2、百貨店に納品しているアパレル企業の商品企画の劣化
3、低価格ブランド商品の「見た目」の飛躍的な向上
4、ファッション業界人と百貨店関係者の浮世離れ

この4つである。

2と3の原因は、実は同根で、百貨店に納品していたアパレル各社、ワールドやらオンワードやらTSIやらは人件費削減の名目で90年代後半から企画部門を削減し続けている。

企画部門というのは主にデザイナー、パタンナーが属しており、彼らの多くはリストラされ、外部に放り出された。

彼らとて食べていかねばならないから、自分たちでOEM/ODM会社を作ったり、そういう会社に就職したり、商社の製品事業部に入社したりした。

アパレル各社は人件費を削減したのは良いが、結局、モノは企画できなくなるから、そういうOEM/ODM会社に商品企画を依頼するか、商社の製品部門に依頼する。

そういう会社は、特定の1社とだけ契約するわけではなく、売上高を稼ぐためには多くのアパレルと契約する。

百貨店に納品するアパレルの商品企画を手掛けながら、低価格ブランドの商品企画も手掛けるということが日常茶飯事に行われることになる。

同じ会社、同じ人間が企画するので、必然的に両者の企画内容は近しいものになる。

これが90年代後半なら、百貨店アパレルへの納入価格と低価格アパレルへの納入価格には大きな差があったから、百貨店アパレルには上質な素材を使い、低価格アパレルには廉価な素材を使ったりして、商品の見た目にも歴然とした差があった。

しかし、百貨店アパレルが苦戦に転じると、彼らは利益を何とか確保しようと納入価格の引き下げ、原価率の引き下げを平然と行うようになった。貧すれば鈍するを絵に描いたような状態である。

その結果、低価格ブランドと納入価格が大して変わらなくなり、使用素材もクオリティが低下し、商品の見た目も変わらなくなった。

同じような商品なら人間はだれでも安いほうで買う。

2017年現在、低価格ブランドが売れて、百貨店ブランドが売れないのは当たり前のことである。

化粧品を含む雑貨が唯一堅調といえるが、化粧品と衣料品を同様に比較して、化粧品を見習えという論調はミスリードを引き起こす。

化粧品はファッション用品ではあるが、消耗品である。
使い続ければ必ずなくなる。気に入った物は定期的に買いなおす必要がある。

ルブタンの口紅は使い続ければいつかはなくなる。
じゃあ、ルブタンの口紅は定期的に買いなおさねばならなくなる。
毎日使えば使うほどその消耗頻度は高くなり、買いなおすまでの期間は短くなる。

衣料品はどうだろうか。
1度購入すれば何年間も破損しない。
また、いくら気に入ろうが、化粧品ほど毎日使えるわけでもない。

分厚いウールのセーターはいくら気に入ろうが、真夏には着用できない。
せいぜい12月~3月までに4か月間しか着用できない。
保管中に虫に食われた場合は別として、4か月間の着用だから破損するまでには最低でも5年前後はかかるだろう。
保管場所にも限りがあるから、毎年毎年ウールのセーターを買い足すことはできない。

必然的に洋服を年間に買う枚数は制限されてしまう。

おそらく、もっとも洋服を買っている人は、一般消費者ではなく、衣料品業界関係者とアパレル販売員である。

衣料品は、「業界人の業界人による業界人のための商品」という傾向が色濃くなっている部分があるのではないか。

一方、同じ消耗品でありながら、有望視されていた「デパ地下」の食料品が減少しているのはどういうわけだろうか。

食品に関しては知識がないのでその理由はわからない。
もし、ご存知の方がおられたらぜひともご教授いただきたい。

甲斐性なしの貧乏人たる筆者からすると、デパ地下の食料品は化粧品と違って「日常使い」するものではないからかなと思える。
やっぱりハレの日だとか特別な日や贈答に買うけれど、日常的に自家需要として毎日買い続ける人は少ないのではないか、と貧乏人は思う。

あと、百貨店売上高が減少し続けている理由としては、

1、外商が弱っている、または横ばいである
2、地方店を中心に閉店が相次いでおり、百貨店の店舗数が減り続けている

である。

外商の強い百貨店と弱い百貨店の格差が開いていると耳にする。
高島屋や松坂屋、三越などは比較的外商が強いと耳にするが、一方で「うちの外商売上高はそんなに大きくない」と首脳陣が公式発表している百貨店もある。

http://fashion-hr.com/hr-talks/hr-talks_real/4842/

このサイトによると、

外商部の規模自体、バブル期と比べると今は40%くらいに小さくなってしまいましたしね。

と指摘している。

また、地方店はこれまでから閉店・倒産が続いており百貨店店舗数自体が減少し続けており、今後この傾向はますます強まる。
昨年後半にもそごう西武、三越伊勢丹、阪急阪神などが中小型地方店の閉鎖を発表しており、2017年以降はそういうケースがさらに増えると考えられる。
その一方で、今後新しく百貨店が新規オープンすることは考えにくく、店舗数は減少の一途をたどるだろう。

店舗数が減れば、売上高が減るのは当然といえる。

個人的には百貨店売上高は今後さらに縮小すると見ている。
将来的に残っているのは、都心の大型旗艦店のみということになっているのではないか。
そこが百貨店売上高の下げ止まりになるのではないだろうか。

鈴木敏文 孤高
日経BP社
2016-12-22



わがセブン秘録
鈴木 敏文
プレジデント社
2016-12-17










この7年間、百貨店で買い物をしたことがないことに気が付いた!

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 新年が明けても相変わらず百貨店を取り巻く状況は厳しく、良くないニュースが相次いでいる。

三越伊勢丹、新たに5店舗リストラ…札幌や新潟
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20170109-OYT1T50008.html

5店舗を閉鎖するのではなく、縮小や業態変更で対応する考えのようだが、今後の商況如何ではその対応も変わる可能性が高いと見ている。

近鉄百、営業利益が8割減の6600万円 衣料品が不振
http://www.sankei.com/west/news/170110/wst1701100065-n1.html

 近鉄百貨店が10日発表した平成28年3~11月期連結決算は、本業のもうけを示す営業利益が前年同期比82・6%減の6600万円だった。消費者の節約志向などの影響で衣料品が振るわず、百貨店事業が苦戦した。

 連結売上高は1・7%減の1919億円。純損益は2億円の黒字(前年同期は6億円の赤字)となった。

 衣料品は紳士服や婦人服などが不振だった。
 「あべのハルカス」に入る本店単独の売上高は1・0%減の694億円にとどまった。

とのことである。

近鉄百貨店の苦戦の原因の1つには、人目を惹くような店舗が少ないことが挙げられるだろうか。
例えばかつての本店だった上本町店だが実に小ぢんまりとしている。
向かいに、新歌舞伎座に併設された「上本町ユフラ」というファッションビル?商業施設?があるが、衣料品を買うならユフラの方が使い勝手が良い。

これはもちろん好みの問題だが、グローバルワーク、ユニクロ、無印良品とそろえているユフラの方が30代~50代の人間にとっては使い勝手が良いし、親しみのあるブランドが集まっているといえるだろう。

増床改築された「あべのハルカス本店」は確かに人目を惹くが、モダンすぎて天王寺という街には合わないのかもしれない。
何より、かつての阿倍野近鉄はJR天王寺駅から直結する2階陸橋入口すぐに常に「お買い得コーナー」があって、それがいかにも天王寺らしかった。
「5000円・3000円均一パンプス」とか「3000円ハンドバッグ」とか、そういう「お買い得コーナー」が常にあった。

あの界隈で育った筆者の元妻も、「お買い得の靴を買いたいときは阿倍野近鉄へ行く」と言っていたが、増床改築後、入口にはそういう「お買い得コーナー」がなくなった。

IMG_2202

(JR天王寺駅と直結する陸橋入口)

恰好は良くなったが、そういう地元顧客からすると「親しみにくくなった」と感じられるのではないか。


「お買い得コーナー」がなくなったわけではない。
JR天王寺東口を見下ろす2階部分にはそういう「イベントスペース」が設けられているが、この入口はJR駅とは陸橋で直結していない分、目立たず利用客が少ない。
この部分は専門店街「ソラハ」との連絡通路に当たるが、ここからの入場客数は2階の陸橋口に比べると圧倒的に少ない。そんなところでひっそりと「お買い得品」が売られている。

洋服、服飾雑貨に限っていうと、低価格ゾーンは「あべのキューズモール」に客を取られていると思う。
で、もう少し上の価格帯のファッションブランドということになると、天王寺MIOに客を取られていると思う。
それを打破する目的もあり、ソラハを作ったと思うが、誘致テナントのラインナップを比較すると天王寺MIOの圧勝である。

それと、以前は、月に1度くらいは定休日に「会員様優待販売会」みたいなものを開催していた。
その日はクローズドで会員だけが入場でき、全品が10~30%オフで買えた。
バーゲンではない時期に開催することが多かったので、バーゲンに先んじて値引き価格で新作が買えるため、けっこうな人気のイベントで、かなりの売上高を稼いでいたといわれている。

改装オープン後はこれの開催がめっきり減った。
正確にカウントしていないので、間違っているかもしれないが、ほとんど開催されていないのではないか。
これがほぼなくなったことも業績の低迷に大いに関係しているのではないかと思う。

これまでの強みをすべて捨てて、外見だけを洗練させたのが「あべのハルカス本店」であるように見えて仕方がない。

正直に言って、近鉄百貨店に対して即効性のある施策は思いつかない。

三越伊勢丹HDの大西洋社長は、常々さまざまな機会において「今のままの百貨店が、全店そろって売上高を回復できたり、ピーク時に戻すようなことは難しいと思う」というようなことを発言しておられるがまさしくその通りだと思う。

外商と化粧品、地下の食品はさておき、1階~4階までを各ジャンルの婦人服、5階・6階が紳士服、7階子供服というような洋服一辺倒の売り場構成のままでは到底売上高を回復させることは不可能だろう。
ファッションに特化した伊勢丹新宿本店は別格としても、それ以外にそういうファッション売り場が日本全国にどれほど必要だろうか。おそらく今の半分程度で十分ではないか。

別格といわれる伊勢丹新宿本店だって、これ以上に売上高が大幅に伸びるとは個人的には見ていないし、あれと同じものは他の地域には必要ないと思っている。

一般人は業界関係者が思っているほど、ファッションにそこまで興味は持っていない。
そこそこに恰好が良くて、そこそこに安ければそれで十分なのである。
百貨店に納品しているアパレルブランドの商品デザインもクオリティも、低価格ブランドと変わらなくなってきている現状では安い方が支持されるのは当然のことだといえる。

先日、ふと、そういえばここ7年間くらいは百貨店で買い物をしたことがないことに気が付いた。

これでも2000年代前半くらいまでは、夏冬のバーゲンでは百貨店で1枚くらいは洋服を買っていたのである。
当時はユニクロをはじめとする低価格ブランドのデザインは激ダサだったし、完全SPAに転換したばかりのアダストリア(当時社名ポイント)の商品は激ダサな上にクオリティも最悪だった。
必然的にファッションビルか百貨店で買わざるを得なかった。

しかし、2005年くらいから百貨店で買うことが減り、2010年以降は確実に百貨店で1枚も服を買っていない。
もちろん食品なんて買ったことがない。雑貨類も皆無だ。

しいて挙げれば、大丸梅田店に入店しているユニクロで2~3度買い物をしたことがあるくらいである。

若者どころか、業界関係者(底辺の片隅にいるだけだが)の初老のオッサンでさえ「百貨店離れ」を起こしている。

筆者と同様の人は業界関係者が考えている以上に多いのではないか。

そこを直視しないと百貨店の業績低下は止められないだろう。
あと、外国人観光客は今後も増えると考えられるが「爆買い」現象は二度と起きない。
二度と僥倖に期待してはならない。

〈写真集〉昭和の大阪
青木 茂夫/杉田 米行
アーカイブス出版
2007-03-13





伊勢丹新宿本店のような店舗は複数存在できないのではないか

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 年末に読売新聞でコラムを書かせてもらった。

失速・三越伊勢丹…老舗百貨店が陥ったワナ
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20161215-OYT8T50009.html

昨年秋から三越伊勢丹HDの業績ににわかに陰りが出てきたから、各紙とも厳しい論調が目立つようになった。
それは仕方がないこととはいえ、ちょっと違うかなあという感じも抱いている。

1つは、伊勢丹新宿本店の強さは現時点では絶対的で、売上高2位の阪急百貨店うめだ本店と逆転される可能性は中期的にはほぼないこと。

もう1つは、メディアもアパレル業界関係者も伊勢丹新宿本店のような「先端・高級ファッション」に特化した百貨店が今以上に大幅に成長できると考えている点と、それが他の地方でも可能だと考えている節があること。

この2点である。

まず、2016年3月期(2015年4月~2016年3月)の伊勢丹新宿本店の売上高は2724億円で、百貨店では日本一の売上高を誇る。一方で、売り場面積は6万5000平方メートル弱しかない。


鳴り物入りで増床オープンした近鉄百貨店あべのハルカス本店の売り場面積は10万平方メートルもある。しかし売上高は1026億円で伊勢丹新宿本店の半分にも満たない。また「西の雄」といわれる阪急百貨店うめだ本店の売上高は2183億円と伊勢丹新宿本店に次いで2位に位置するが売り場面積は8万平方メートルもある。

割り算をすると、阪急百貨店うめだ本店は1平方メートルあたり売上高が272万8750円となるが、伊勢丹新宿本店は419万769円となり、伊勢丹新宿本店の効率性は際立っている。これがすぐさま崩れるということは考えにくい。

ただ、販売関係者からは、「狭いスペースで高効率(各売り場が狭くて商品をたくさん陳列できない)なので、ストックルームと売り場を頻繁に行き来しながら接客するのがかなりの労力」というデメリットも指摘されている。

筆者も昨年夏前から秋口にかけて何度も新宿本店に足を運んだが、その狭さに驚いた。
これは入場客が増えればかなり息苦しいなと感じた。

それと実際に何度もこの目で見て感じたのが、「先端・高級ファッション」に特化した売り場への違和感である。
ご存じのとおり、筆者は甲斐性なしの貧乏人だから、伊勢丹新宿本店に並んでいるような洋服、服飾雑貨類は金銭的に買えないし、また買おうとは思わない。

ああいう、先端ファッションブランドが持つ独特の雰囲気が苦手である。
あれなら、まだイオンモールでユニクロを見ているほうが落ち着く。

そこまで格好つける必要があるのかとつい思ってしまう。

もちろんそういう売り場が必要であることは理解している。決して不要だとも思っていない。
しかし、これが東京都23区内以外の地方で成立するとは到底思えないのである。

23区内ですら、新宿本店1つあれば十分ではないかと思う。

だから、今後新宿本店が爆発的に売上高を増やして、顧客数が圧倒的に増えるようなことはあり得ないと見ている。

現在でも新宿本店は「先端・高級ファッション」好きな消費者の大部分を囲い込んでしまっているのではないか。今以上にそういうものが好きな消費者は今後増えないのではないか、とそう思っている。

かつて、伊勢丹は大阪を撤退した。
大阪が不振だった理由は、新宿本店とはまったく異なる品揃えに消費者が失望したからではないかと考えているが、もし、仮に新宿本店とほぼ同じ品揃えだったとして、支持されただろうか?

実はそれも難しかったのではないかと最近は思い始めている。

関西にももちろん「先端・高級ファッション」好きは存在するが、人口比率から考えても23区内よりも圧倒的に数が少ない。
大多数は「そこまで先端でなくても構わない」と考えており、それは23区内以外の地域に共通しているのではないか。

筆者自身もああいう雰囲気に囲まれるのはなんだか、居心地が悪いから、もし同じ品揃えができたとしても大阪店には足を運ばなかっただろう。

昨年春に開業した大名古屋ビルヂングも思ったほどの推移ではないとリーシング関係者からは聞こえてくる。
ここにはイセタンハウスが入店しているが、やっぱり先端ファッションはそこまで望まれていなかったのではないかと思えてならない。

「先端・高級ファッション」ブランドが一堂に会した売り場はたまに見る分には目の保養にはなるが、日常ではない。これが筆者個人の感じ方で、同様に感じる消費者は、業界関係者が思うよりも数が多いのではないか。

だから、新宿本店的なものを23区内以外の土地で作っても支持されにくいと考えている。

三越伊勢丹、新たに5店舗リストラ…札幌や新潟
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20170109-OYT1T50008.html

こんな発表がまたあった。

店舗を閉鎖するのではなく、売り場縮小や業態転換を図るそうだが、新宿本店的なものを目指すとまた厳しい状況に陥るのではないかと思う。もっと地方に根差した「ベタ」な売り場を作ったほうが賢明ではないかと思う。

伊勢丹関係者と接していて気になるのは、ほとんどが東京都心出身か、大学時代に東京に出てきてそのまま就職した「東京大好き」な人たちであるということである。しかも「先端ファッション好き」である。
売り場側の人間と、地方消費者との嗜好は大きくズレており、これは容易に埋められるものではないと感じた。

新宿本店は完全なる特異物として、地方店は地域に根差した「ベタ」さ、「泥臭さ」に徹底すべきではないか。そうすれば、ある程度のHD全体の業績回復は可能ではないかと思っているが、果たしてどうだろうか。




三越伊勢丹の最新 儀式110番: こんなときどうする? 冠婚葬祭
三越伊勢丹ホールディングス
誠文堂新光社
2016-05-25







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