南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

百貨店

6兆円を割り込んだ百貨店売上高は今後さらに縮小する

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 はてなブックマーク - 6兆円を割り込んだ百貨店売上高は今後さらに縮小する
 多くの人がすでに話題にしているが、百貨店の売上高が36年ぶりに6兆円を割り込んだ。

16年の百貨店売上高6兆円割れ 36年ぶり 主力の衣料品落ち込む
http://www.sankeibiz.jp/business/news/170121/bsd1701210647002-n1.htm

日本百貨店協会が20日発表した2016年の全国の百貨店売上高(全店ベース)は5兆9780億円で2年連続で前年実績を下回り、36年ぶりに6兆円を割り込んだ。既存店ベースで前年比2.9%減だった。

16年の売上高は化粧品以外、ほぼ全ての商品で前年実績を下回った。特に主力の衣料品が前年比5.8%減と苦戦した。インバウンドは購買客数が18.5%増の約297万人だったものの、円高の影響もあり、免税売上高は5.3%減の約1843億円だった。

とのことであり、百貨店の売上高は1980年当時の水準に戻ったということになる。

衣料品不振のほか、この記事では触れられていないが、日経新聞の記事では食料品も1・8%減と微減しており、苦戦に転じたことがうかがえる。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL20HK5_Q7A120C1000000/

順調なのは、2・0%増となった化粧品を含む雑貨だけである。

衣料品が苦戦していることは隠しようもない事実で、外野から見ていて、百貨店衣料品の売上高が回復することはありえないと感じる。

これまで散々、このブログで書いてきたことの繰り返しになるが、百貨店の衣料品が売れなくなった理由は

1、消費者の可処分所得の減少または伸び悩み
2、百貨店に納品しているアパレル企業の商品企画の劣化
3、低価格ブランド商品の「見た目」の飛躍的な向上
4、ファッション業界人と百貨店関係者の浮世離れ

この4つである。

2と3の原因は、実は同根で、百貨店に納品していたアパレル各社、ワールドやらオンワードやらTSIやらは人件費削減の名目で90年代後半から企画部門を削減し続けている。

企画部門というのは主にデザイナー、パタンナーが属しており、彼らの多くはリストラされ、外部に放り出された。

彼らとて食べていかねばならないから、自分たちでOEM/ODM会社を作ったり、そういう会社に就職したり、商社の製品事業部に入社したりした。

アパレル各社は人件費を削減したのは良いが、結局、モノは企画できなくなるから、そういうOEM/ODM会社に商品企画を依頼するか、商社の製品部門に依頼する。

そういう会社は、特定の1社とだけ契約するわけではなく、売上高を稼ぐためには多くのアパレルと契約する。

百貨店に納品するアパレルの商品企画を手掛けながら、低価格ブランドの商品企画も手掛けるということが日常茶飯事に行われることになる。

同じ会社、同じ人間が企画するので、必然的に両者の企画内容は近しいものになる。

これが90年代後半なら、百貨店アパレルへの納入価格と低価格アパレルへの納入価格には大きな差があったから、百貨店アパレルには上質な素材を使い、低価格アパレルには廉価な素材を使ったりして、商品の見た目にも歴然とした差があった。

しかし、百貨店アパレルが苦戦に転じると、彼らは利益を何とか確保しようと納入価格の引き下げ、原価率の引き下げを平然と行うようになった。貧すれば鈍するを絵に描いたような状態である。

その結果、低価格ブランドと納入価格が大して変わらなくなり、使用素材もクオリティが低下し、商品の見た目も変わらなくなった。

同じような商品なら人間はだれでも安いほうで買う。

2017年現在、低価格ブランドが売れて、百貨店ブランドが売れないのは当たり前のことである。

化粧品を含む雑貨が唯一堅調といえるが、化粧品と衣料品を同様に比較して、化粧品を見習えという論調はミスリードを引き起こす。

化粧品はファッション用品ではあるが、消耗品である。
使い続ければ必ずなくなる。気に入った物は定期的に買いなおす必要がある。

ルブタンの口紅は使い続ければいつかはなくなる。
じゃあ、ルブタンの口紅は定期的に買いなおさねばならなくなる。
毎日使えば使うほどその消耗頻度は高くなり、買いなおすまでの期間は短くなる。

衣料品はどうだろうか。
1度購入すれば何年間も破損しない。
また、いくら気に入ろうが、化粧品ほど毎日使えるわけでもない。

分厚いウールのセーターはいくら気に入ろうが、真夏には着用できない。
せいぜい12月~3月までに4か月間しか着用できない。
保管中に虫に食われた場合は別として、4か月間の着用だから破損するまでには最低でも5年前後はかかるだろう。
保管場所にも限りがあるから、毎年毎年ウールのセーターを買い足すことはできない。

必然的に洋服を年間に買う枚数は制限されてしまう。

おそらく、もっとも洋服を買っている人は、一般消費者ではなく、衣料品業界関係者とアパレル販売員である。

衣料品は、「業界人の業界人による業界人のための商品」という傾向が色濃くなっている部分があるのではないか。

一方、同じ消耗品でありながら、有望視されていた「デパ地下」の食料品が減少しているのはどういうわけだろうか。

食品に関しては知識がないのでその理由はわからない。
もし、ご存知の方がおられたらぜひともご教授いただきたい。

甲斐性なしの貧乏人たる筆者からすると、デパ地下の食料品は化粧品と違って「日常使い」するものではないからかなと思える。
やっぱりハレの日だとか特別な日や贈答に買うけれど、日常的に自家需要として毎日買い続ける人は少ないのではないか、と貧乏人は思う。

あと、百貨店売上高が減少し続けている理由としては、

1、外商が弱っている、または横ばいである
2、地方店を中心に閉店が相次いでおり、百貨店の店舗数が減り続けている

である。

外商の強い百貨店と弱い百貨店の格差が開いていると耳にする。
高島屋や松坂屋、三越などは比較的外商が強いと耳にするが、一方で「うちの外商売上高はそんなに大きくない」と首脳陣が公式発表している百貨店もある。

http://fashion-hr.com/hr-talks/hr-talks_real/4842/

このサイトによると、

外商部の規模自体、バブル期と比べると今は40%くらいに小さくなってしまいましたしね。

と指摘している。

また、地方店はこれまでから閉店・倒産が続いており百貨店店舗数自体が減少し続けており、今後この傾向はますます強まる。
昨年後半にもそごう西武、三越伊勢丹、阪急阪神などが中小型地方店の閉鎖を発表しており、2017年以降はそういうケースがさらに増えると考えられる。
その一方で、今後新しく百貨店が新規オープンすることは考えにくく、店舗数は減少の一途をたどるだろう。

店舗数が減れば、売上高が減るのは当然といえる。

個人的には百貨店売上高は今後さらに縮小すると見ている。
将来的に残っているのは、都心の大型旗艦店のみということになっているのではないか。
そこが百貨店売上高の下げ止まりになるのではないだろうか。

鈴木敏文 孤高
日経BP社
2016-12-22



わがセブン秘録
鈴木 敏文
プレジデント社
2016-12-17










この7年間、百貨店で買い物をしたことがないことに気が付いた!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 はてなブックマーク - この7年間、百貨店で買い物をしたことがないことに気が付いた!
 新年が明けても相変わらず百貨店を取り巻く状況は厳しく、良くないニュースが相次いでいる。

三越伊勢丹、新たに5店舗リストラ…札幌や新潟
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20170109-OYT1T50008.html

5店舗を閉鎖するのではなく、縮小や業態変更で対応する考えのようだが、今後の商況如何ではその対応も変わる可能性が高いと見ている。

近鉄百、営業利益が8割減の6600万円 衣料品が不振
http://www.sankei.com/west/news/170110/wst1701100065-n1.html

 近鉄百貨店が10日発表した平成28年3~11月期連結決算は、本業のもうけを示す営業利益が前年同期比82・6%減の6600万円だった。消費者の節約志向などの影響で衣料品が振るわず、百貨店事業が苦戦した。

 連結売上高は1・7%減の1919億円。純損益は2億円の黒字(前年同期は6億円の赤字)となった。

 衣料品は紳士服や婦人服などが不振だった。
 「あべのハルカス」に入る本店単独の売上高は1・0%減の694億円にとどまった。

とのことである。

近鉄百貨店の苦戦の原因の1つには、人目を惹くような店舗が少ないことが挙げられるだろうか。
例えばかつての本店だった上本町店だが実に小ぢんまりとしている。
向かいに、新歌舞伎座に併設された「上本町ユフラ」というファッションビル?商業施設?があるが、衣料品を買うならユフラの方が使い勝手が良い。

これはもちろん好みの問題だが、グローバルワーク、ユニクロ、無印良品とそろえているユフラの方が30代~50代の人間にとっては使い勝手が良いし、親しみのあるブランドが集まっているといえるだろう。

増床改築された「あべのハルカス本店」は確かに人目を惹くが、モダンすぎて天王寺という街には合わないのかもしれない。
何より、かつての阿倍野近鉄はJR天王寺駅から直結する2階陸橋入口すぐに常に「お買い得コーナー」があって、それがいかにも天王寺らしかった。
「5000円・3000円均一パンプス」とか「3000円ハンドバッグ」とか、そういう「お買い得コーナー」が常にあった。

あの界隈で育った筆者の元妻も、「お買い得の靴を買いたいときは阿倍野近鉄へ行く」と言っていたが、増床改築後、入口にはそういう「お買い得コーナー」がなくなった。

IMG_2202

(JR天王寺駅と直結する陸橋入口)

恰好は良くなったが、そういう地元顧客からすると「親しみにくくなった」と感じられるのではないか。


「お買い得コーナー」がなくなったわけではない。
JR天王寺東口を見下ろす2階部分にはそういう「イベントスペース」が設けられているが、この入口はJR駅とは陸橋で直結していない分、目立たず利用客が少ない。
この部分は専門店街「ソラハ」との連絡通路に当たるが、ここからの入場客数は2階の陸橋口に比べると圧倒的に少ない。そんなところでひっそりと「お買い得品」が売られている。

洋服、服飾雑貨に限っていうと、低価格ゾーンは「あべのキューズモール」に客を取られていると思う。
で、もう少し上の価格帯のファッションブランドということになると、天王寺MIOに客を取られていると思う。
それを打破する目的もあり、ソラハを作ったと思うが、誘致テナントのラインナップを比較すると天王寺MIOの圧勝である。

それと、以前は、月に1度くらいは定休日に「会員様優待販売会」みたいなものを開催していた。
その日はクローズドで会員だけが入場でき、全品が10~30%オフで買えた。
バーゲンではない時期に開催することが多かったので、バーゲンに先んじて値引き価格で新作が買えるため、けっこうな人気のイベントで、かなりの売上高を稼いでいたといわれている。

改装オープン後はこれの開催がめっきり減った。
正確にカウントしていないので、間違っているかもしれないが、ほとんど開催されていないのではないか。
これがほぼなくなったことも業績の低迷に大いに関係しているのではないかと思う。

これまでの強みをすべて捨てて、外見だけを洗練させたのが「あべのハルカス本店」であるように見えて仕方がない。

正直に言って、近鉄百貨店に対して即効性のある施策は思いつかない。

三越伊勢丹HDの大西洋社長は、常々さまざまな機会において「今のままの百貨店が、全店そろって売上高を回復できたり、ピーク時に戻すようなことは難しいと思う」というようなことを発言しておられるがまさしくその通りだと思う。

外商と化粧品、地下の食品はさておき、1階~4階までを各ジャンルの婦人服、5階・6階が紳士服、7階子供服というような洋服一辺倒の売り場構成のままでは到底売上高を回復させることは不可能だろう。
ファッションに特化した伊勢丹新宿本店は別格としても、それ以外にそういうファッション売り場が日本全国にどれほど必要だろうか。おそらく今の半分程度で十分ではないか。

別格といわれる伊勢丹新宿本店だって、これ以上に売上高が大幅に伸びるとは個人的には見ていないし、あれと同じものは他の地域には必要ないと思っている。

一般人は業界関係者が思っているほど、ファッションにそこまで興味は持っていない。
そこそこに恰好が良くて、そこそこに安ければそれで十分なのである。
百貨店に納品しているアパレルブランドの商品デザインもクオリティも、低価格ブランドと変わらなくなってきている現状では安い方が支持されるのは当然のことだといえる。

先日、ふと、そういえばここ7年間くらいは百貨店で買い物をしたことがないことに気が付いた。

これでも2000年代前半くらいまでは、夏冬のバーゲンでは百貨店で1枚くらいは洋服を買っていたのである。
当時はユニクロをはじめとする低価格ブランドのデザインは激ダサだったし、完全SPAに転換したばかりのアダストリア(当時社名ポイント)の商品は激ダサな上にクオリティも最悪だった。
必然的にファッションビルか百貨店で買わざるを得なかった。

しかし、2005年くらいから百貨店で買うことが減り、2010年以降は確実に百貨店で1枚も服を買っていない。
もちろん食品なんて買ったことがない。雑貨類も皆無だ。

しいて挙げれば、大丸梅田店に入店しているユニクロで2~3度買い物をしたことがあるくらいである。

若者どころか、業界関係者(底辺の片隅にいるだけだが)の初老のオッサンでさえ「百貨店離れ」を起こしている。

筆者と同様の人は業界関係者が考えている以上に多いのではないか。

そこを直視しないと百貨店の業績低下は止められないだろう。
あと、外国人観光客は今後も増えると考えられるが「爆買い」現象は二度と起きない。
二度と僥倖に期待してはならない。

〈写真集〉昭和の大阪
青木 茂夫/杉田 米行
アーカイブス出版
2007-03-13





伊勢丹新宿本店のような店舗は複数存在できないのではないか

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 はてなブックマーク - 伊勢丹新宿本店のような店舗は複数存在できないのではないか
 年末に読売新聞でコラムを書かせてもらった。

失速・三越伊勢丹…老舗百貨店が陥ったワナ
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20161215-OYT8T50009.html

昨年秋から三越伊勢丹HDの業績ににわかに陰りが出てきたから、各紙とも厳しい論調が目立つようになった。
それは仕方がないこととはいえ、ちょっと違うかなあという感じも抱いている。

1つは、伊勢丹新宿本店の強さは現時点では絶対的で、売上高2位の阪急百貨店うめだ本店と逆転される可能性は中期的にはほぼないこと。

もう1つは、メディアもアパレル業界関係者も伊勢丹新宿本店のような「先端・高級ファッション」に特化した百貨店が今以上に大幅に成長できると考えている点と、それが他の地方でも可能だと考えている節があること。

この2点である。

まず、2016年3月期(2015年4月~2016年3月)の伊勢丹新宿本店の売上高は2724億円で、百貨店では日本一の売上高を誇る。一方で、売り場面積は6万5000平方メートル弱しかない。


鳴り物入りで増床オープンした近鉄百貨店あべのハルカス本店の売り場面積は10万平方メートルもある。しかし売上高は1026億円で伊勢丹新宿本店の半分にも満たない。また「西の雄」といわれる阪急百貨店うめだ本店の売上高は2183億円と伊勢丹新宿本店に次いで2位に位置するが売り場面積は8万平方メートルもある。

割り算をすると、阪急百貨店うめだ本店は1平方メートルあたり売上高が272万8750円となるが、伊勢丹新宿本店は419万769円となり、伊勢丹新宿本店の効率性は際立っている。これがすぐさま崩れるということは考えにくい。

ただ、販売関係者からは、「狭いスペースで高効率(各売り場が狭くて商品をたくさん陳列できない)なので、ストックルームと売り場を頻繁に行き来しながら接客するのがかなりの労力」というデメリットも指摘されている。

筆者も昨年夏前から秋口にかけて何度も新宿本店に足を運んだが、その狭さに驚いた。
これは入場客が増えればかなり息苦しいなと感じた。

それと実際に何度もこの目で見て感じたのが、「先端・高級ファッション」に特化した売り場への違和感である。
ご存じのとおり、筆者は甲斐性なしの貧乏人だから、伊勢丹新宿本店に並んでいるような洋服、服飾雑貨類は金銭的に買えないし、また買おうとは思わない。

ああいう、先端ファッションブランドが持つ独特の雰囲気が苦手である。
あれなら、まだイオンモールでユニクロを見ているほうが落ち着く。

そこまで格好つける必要があるのかとつい思ってしまう。

もちろんそういう売り場が必要であることは理解している。決して不要だとも思っていない。
しかし、これが東京都23区内以外の地方で成立するとは到底思えないのである。

23区内ですら、新宿本店1つあれば十分ではないかと思う。

だから、今後新宿本店が爆発的に売上高を増やして、顧客数が圧倒的に増えるようなことはあり得ないと見ている。

現在でも新宿本店は「先端・高級ファッション」好きな消費者の大部分を囲い込んでしまっているのではないか。今以上にそういうものが好きな消費者は今後増えないのではないか、とそう思っている。

かつて、伊勢丹は大阪を撤退した。
大阪が不振だった理由は、新宿本店とはまったく異なる品揃えに消費者が失望したからではないかと考えているが、もし、仮に新宿本店とほぼ同じ品揃えだったとして、支持されただろうか?

実はそれも難しかったのではないかと最近は思い始めている。

関西にももちろん「先端・高級ファッション」好きは存在するが、人口比率から考えても23区内よりも圧倒的に数が少ない。
大多数は「そこまで先端でなくても構わない」と考えており、それは23区内以外の地域に共通しているのではないか。

筆者自身もああいう雰囲気に囲まれるのはなんだか、居心地が悪いから、もし同じ品揃えができたとしても大阪店には足を運ばなかっただろう。

昨年春に開業した大名古屋ビルヂングも思ったほどの推移ではないとリーシング関係者からは聞こえてくる。
ここにはイセタンハウスが入店しているが、やっぱり先端ファッションはそこまで望まれていなかったのではないかと思えてならない。

「先端・高級ファッション」ブランドが一堂に会した売り場はたまに見る分には目の保養にはなるが、日常ではない。これが筆者個人の感じ方で、同様に感じる消費者は、業界関係者が思うよりも数が多いのではないか。

だから、新宿本店的なものを23区内以外の土地で作っても支持されにくいと考えている。

三越伊勢丹、新たに5店舗リストラ…札幌や新潟
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20170109-OYT1T50008.html

こんな発表がまたあった。

店舗を閉鎖するのではなく、売り場縮小や業態転換を図るそうだが、新宿本店的なものを目指すとまた厳しい状況に陥るのではないかと思う。もっと地方に根差した「ベタ」な売り場を作ったほうが賢明ではないかと思う。

伊勢丹関係者と接していて気になるのは、ほとんどが東京都心出身か、大学時代に東京に出てきてそのまま就職した「東京大好き」な人たちであるということである。しかも「先端ファッション好き」である。
売り場側の人間と、地方消費者との嗜好は大きくズレており、これは容易に埋められるものではないと感じた。

新宿本店は完全なる特異物として、地方店は地域に根差した「ベタ」さ、「泥臭さ」に徹底すべきではないか。そうすれば、ある程度のHD全体の業績回復は可能ではないかと思っているが、果たしてどうだろうか。




三越伊勢丹の最新 儀式110番: こんなときどうする? 冠婚葬祭
三越伊勢丹ホールディングス
誠文堂新光社
2016-05-25







百貨店店舗別売上高ランキングから見る高島屋の強さ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 はてなブックマーク - 百貨店店舗別売上高ランキングから見る高島屋の強さ
 百貨店の売上高は何かと話題になるが、実際のところ業界人でも百貨店各店の売上高と売り場面積をどれくらい正確に踏まえて話しているのかは不明である。

もちろん極めて正確に把握して論じておられる方もいるが、そうではなく感覚的にわめいている方もおられる。前者は聞くに値するが、後者はまったく何の益もない。

直近の百貨店各店の売上高をまとめたブログがある。

http://motokadenchan.seesaa.net/article/441488448.html

これは今年8月17日の日経MJに掲載されたデータを転載したものだそうだ。
それでは引用させていただく。

【2016年 全国百貨店 店舗別 売上高ランキング】

順位 店舗名     売上高   対前年比

1位 伊勢丹新宿本店 2,724億円(+5.4%)
2位 阪急うめだ本店 2,183億円(+10.4%)
3位 西武池袋本店  1,900億円(+1.4%)
4位 三越日本橋本店 1,683億円(+1.7%)
5位 高島屋日本橋店 1,366億円(+5.2%)
6位 高島屋横浜店  1,320億円(-2.1%)
7位 JR名古屋高島屋 1,301億円(+3.2%)
8位 高島屋大阪店  1,276億円(+4.2%)
9位 松坂屋名古屋店 1,248億円(-0.6%)
10位 そごう横浜店  1,142億円(+1.1%)
11位 あべのハルカス近鉄本店 1,026億円(-1.0%)
12位 東武池袋本店  1,019億円(-3.1%)
13位 小田急新宿本店  949億円(+2.4%)
14位 東急渋谷本店   918億円(+3.0%)
15位 大丸心斎橋店   910億円(+7.8%)
16位 高島屋京都店   859億円(+1.8%)
17位 三越銀座店    852億円(+14.6%)
18位 大丸神戸店    850億円(-1.1%)
19位 JR京都伊勢丹   801億円(+1.3%)
20位 名古屋栄三越   791億円(+1.4%)

記事中でも断りがあるようにこれは2015年度の売上高である。
例えば、三越伊勢丹HDの決算期は3月なので2015年4月~2016年3月までの売上高ということになる。
だから正確にいうなら、2016年(2015年度)売上高となる。

記事には50位まで掲載されているので興味のある人はそちらで見ていただきたい。

もちろん現在商戦真っ只中の2016年売上高はこれとは異なる推移をしていることは言うまでもない。

今年4月以降不振が報じられている1位の伊勢丹新宿本店はこの数字よりは確実に低くなるだろう。
連日、一般紙で報道されているように売上高は減収基調で推移している。

同じく、不振と伝えられる三越銀座店も数字は低くなると考えられる。

じゃあ、伊勢丹新宿店がすぐにでも大減収するかのような報道が正しいのかというとそうでもない。
売上高1位の座は変わらないだろう。

また、売り場面積で見ると伊勢丹新宿本店の効率は圧倒的である。
伊勢丹新宿本店は6万5000平方メートルしかない。

2位の阪急うめだは8万平方メートルもある。
11位の近鉄百貨店あべのハルカスは10万平方メートルもある。

そういう意味では伊勢丹新宿本店は限りなく強いといえる。

その一方で、「伊勢丹」という屋号の店は新宿本店のみが突出しているだけで、それ以外の店の売上高はランクインしないほど小さい。そのため、「伊勢丹」という屋号は恐ろしくバランスが悪い組織体だといえる。

三越の屋号の店は3店舗ランクインしており、伊勢丹よりはバランスが取れているといえる。

伊勢丹と同じくらいバランスが悪いのが阪急だといえる。
うめだ本店のみが突出しすぎている。

その昔、あるメンズアパレルの当時の某役員が「ファッション関係者は伊勢丹、阪急を特別視するが、企業としてロットがまとまる取引先は高島屋であり大丸であり三越である」と教えてくださったことがある。
まだ百貨店が合併する前の2000年ごろのことである。

その名残は今もランキングを見る限り残っており、三越、大丸はまだ大型店が20位内に複数存在している。

さらにいえば、高島屋の強さがこのランキングでは際立っているといえる。
20位以内に5店舗ランクインしており、これは百貨店としては最多である。
うちJR名古屋高島屋だけはJRとの合弁だとはいえ、他の百貨店に比べてそのバランスの良さは群を抜いているといえる。

ちなみに50位までにランクインしている店舗だと高島屋は新宿と玉川の2店舗が加わり、JR名古屋高島屋も含めると7店舗が50位以内にランクインしていることになり、店舗数では他の百貨店グループを圧倒している。

大丸も50位まで広げると、さらに5店舗が加わるためこちらもまずまずのバランスだといえる。

2016年春以降、各百貨店は再び不調に転じてしまったが、今後このまま百貨店の販売状況が回復せずに落ち込み続けていくとして、最後まで残る百貨店は、業界人の大好きな伊勢丹や阪急ではなく、高島屋になるのではないかと個人的に見ている。







そごう西武の店舗バラ売りで百貨店の再編は最終段階に突入した

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 はてなブックマーク - そごう西武の店舗バラ売りで百貨店の再編は最終段階に突入した
 連休前に、そごう西武が関西の3店舗を阪急阪神のH2Oリテイリングに譲渡するという報道があった。
最初に資本業務提携の報道があった。これによると、お互いに3%ずつの株式を持ち合うことで合意したという。ちなみにH2Oは高島屋とも資本提携しており、現在、5%ずつの株式を持ち合っている。

その中で、関西にある西武高槻、そごう神戸、そごう西神の3店舗を譲渡するという事実が明らかになった。

これを聞いて、百貨店グループの再編はいよいよ最終段階に入ったと感じた。

前段階として、大手百貨店が5グループに再編された。
三越伊勢丹とH2O、そごう西武、Jフロントリテイリングそれから依然として単体であり続ける高島屋である。

高島屋を除いてグループ化し、一旦は危機を乗り越えたかに見えたが、実情は延命措置を講じただけであり、その延命措置もいよいよ難しくなってきており、もっとも体力のない西武そごうが真っ先に個別店舗譲渡という手段を取り始めたといえる。

そごう西武はもともと経営破綻した2社が統合したこともあり、極めて基盤が弱い。
それに、店舗譲渡は今回が初めてではなく、鳴り物入りで再建したそごう心斎橋店だったが、営業不振を理由に隣の大丸に譲渡しており、現在では大丸心斎橋店北館として営業が続けられている。
おそらく、関西の3店舗も屋号が早晩変えられるだろう。

そごう心斎橋店のにぎわいはリニューアルオープン直後だけだった。
末期の閑散ぶりはひどいものだった。
たしか、クリスマス直前の平日夜にそごう心斎橋店の地下食品売り場に行ったことがあるのだが、本来は時間帯的にも時期的にも地下食品売り場はにぎわっていないといけないはずである。

時間帯で考えれば、夕飯用の総菜や食材が売れるはずだし、クリスマス直前という時期からするとケーキ類が売れていなくてはいけない。
にもかかわらず両方とも売れていなかった。

隣の大丸地下へ移動すると、こちらは予想通りの混雑ぶりで、隣り合っているのに客入りのあまりの違いに驚いたものだった。
それからほんのしばらくしてから店舗譲渡が発表され、あの閑散ぶりでは当然だと思った。

連休前に百貨店3社の中間決算が発表されたが、三社ともかなりの苦戦であるが、中でも西武そごうの苦戦は際立っている。

百貨店3社が減収減益
2月期見通しも下方修正
http://this.kiji.is/157070734327399930

大丸と松坂屋を運営するJ・フロントリテイリングの連結決算は売上高が前年同期比5.9%減の5392億円、本業のもうけを示す営業利益が12.5%減の190億円だった。

高島屋は売上高に当たる営業収益が1.4%減の4433億円、営業利益は0.3%減の137億円だった。

そごう・西武の単体決算は売上高4.6%減の3642億円、営業利益は96.1%減の4300万円だった。

とある。

そごう西武は単体決算とはいえ、営業利益が突出して低い。
半期でたったの4300万円しかない。

96・1%減だから仕方がないという見方ができるが、冷静に見てみると前期実績も低いことがわかる。
前期実績は今期実績のおよそ10倍である。
4300万円を10倍してみると4億3000万円である。

売上高3600億円の会社で4億3000万円しか営業利益がないということは、よほど利益率が悪いということになる。

同業他社のJフロントや高島屋と比べてみても営業利益額の低さは一目瞭然だろう。
両社は減益したとはいえ、営業利益額は100億円をはるかに越えている。

そごう西武の経営基盤は現在でも極めて弱いままだといえる。

新聞紙上では、そごう西武は主戦場である首都圏に集中するとあるが、広島や滋賀県の大津にもまだ店舗はある。これら残った西日本店舗をどう処理するつもりだろうか。
紙上でも今後はまだまだ不透明だと結論付けられている。

しかし、今後は、こういう店舗のバラ売り譲渡が、そごう西武に限らず増えるのではないか。
そごう西武はすでに心斎橋店の売却を経験していたから店舗のバラ売りに抵抗感が少なかったのだろうと推測される。

例えば、三越伊勢丹は伊勢丹新宿、銀座三越(苦戦傾向だが)、日本橋三越の3旗艦店以外が弱い。
H2Oは阪急梅田と西宮、阪神梅田以外が弱い。
松坂屋が強いのは名古屋だけ。
大丸と高島屋がまんべんなく全国的に売れる店舗がある。(不振店舗もあるが)

そういう有力店、旗艦店以外の不振地方店は今後、各グループがバラ売りを開始するのではないだろうか。

百貨店各社は、近い将来、都心旗艦店と有力店だけの店舗網にまで縮小するのではないだろうか。
現在の商況を見ていると、百貨店各社がV字回復できる要素は何一つない。













PR
PR

PR






記事検索
livedoor プロフィール
タグクラウド
QRコード
QRコード