南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

販促

製造加工業者は「物作り」と同じ熱量を「販促」にも費やせ

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 下請け受注の減少から、自社オリジナル製品の開発を始めた製造加工業者は少なくない。
今では産地企業のブランドも珍しくない。

しかし、その多くはなかなかうまく離陸しない。

その理由は大雑把にいって2つある。

1、商品自体のデザインが良くない
2、商品は良いが売り方・見せ方・伝え方・パッケージが良くない

この2つある。

1が起きる背景には、デザインという「形のない物」に金を払いたくないという製造加工業者特有のメンタリティが働くことがある。
デザイナーへの支払いをケチるあまりに、社内や身内の素人にデザインさせてしまうことがある。
それが成功する場合もあるが、多くの場合は素人は素人であり、売り物のレベルには達していない。

物そのものが良くないのだから、売れなくて当然である。

問題は2の場合だ。
物そのものはそこそこの出来であるのに、売り方・見せ方・伝え方・パッケージが良くないため、期待したほど売れないという状況だ。
最近は、製造加工業のオリジナル企画も向上しているので、こちらの場合の方が多くなっている印象がある。

例えば、ラグジュアリーブランド「〇〇」と同じ素材を使って、それよりも形状も工夫したという商品がある。
しかし、ラグジュアリーブランド「〇〇」ほどは当然売れない。
なぜなら、売り方・見せ方・伝え方・パッケージのレベルが全く異なるからだ。

先日、ある業者から新ブランドについての相談を受けた。
その際、一人の同席者がおられた。

商品自体の出来は及第点を越えていた。
だから「物」だけで勝負できるなら、そこそこの売れ行きが十分に期待できる。

そこで、同席者がこう指摘した。

ハイクラスブランドとの競合を目指すなら、例えばお買い上げいただいたときの「箱」と「ショッパー」は必要ですし、値札や下げ札のデザインにも工夫を凝らす必要があります。ハイクラスブランドはそれらも含めて顧客から支持されているのです。

この指摘は納得である。
同席者は12歳くらい年下と若いが、最先端ブランドで展示会やブランディング、ウェブ、印刷物などのディレクションを行っておられ、その指摘はさすがというほかない。

若くて、いわゆる「クリエイションガー」とだけ無責任に叫んでいるような輩とは一線を画している。

日本人には「ボロは着てても心は錦」を美徳とする部分がある。
小銭にシビアな関西人や地方民はとくにそれをよしとする。

パッケージや見せ方、伝え方などは些末な問題で、「物」そのものの品質やらデザインが良ければ、それでいいじゃないかと考える人は日本人には多い。

「ボロいけど安くて美味い飲食店」が支持されるのもそういう理由がある。

これは一面、たしかにそうなのだが、食品にせよ、ファッション用品にせよ「物」そのものの良し悪しだけで判断できる消費者というのは実際はそれほど多くない。
やっぱり、店構えや箱、ショッパー、ディスプレイ、販売員の態度、ステイタス性などにその判断は大きく左右される。

話は少しそれるが、昨今の店頭の同質化問題の一因は、プロであるバイヤーやマーチャンダイザーまでもが、「物」ではなく、店構えやディスプレイ、ステイタス性で商品を判断してしまっている点にあり、プロの素人化が進んでいるともいえる。

「外装ばかり立派で中身は大したことない」という批判は間違ってはいないが、逆にいえば、「大したこともない商品を高値で売ってそれで消費者を納得させられる」というのは大した手腕だともいえる。
それは単に、小手先のキャッチコピーを付けたり、きれいな外国人モデルを使った広告を出稿するだけでは到底なしえないことである。

しかし、商品自体の出来が良いなら、見せ方・売り方・伝え方・パッケージを工夫すれば売れる可能性が格段に高まる。それをやらないことは非常にもったいない。

しかも昨今は低価格ブランドでも商品自体のデザインやクオリティは水準点に達している。
一昔前のように「安かろう悪かろう」という商品は分野を問わず、かなり減っており、「安かろうそこそこ良かろう」が標準といえる。

そうなると、「物」自体の優劣はそれほどなくなってくるから、見せ方・売り方・パッケージなどの工夫が勝負を左右することになる。

時々、お会いするセメントプロデュースデザインの金谷勉社長から、以前こんな話を聞いた。
大阪の石鹸メーカーをブランディングした際、それまで普通の長方形の石鹸を作っていた地味なメーカーだったが、これを五角形に形状を変更し、パッケージをリニューアルしたところ、かなり売り上げが増え百貨店などからもオファーがあったという。
石鹸の成分そのものは変わっていないにもかかわらずである。

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http://cocoon-soap.com/index.html

製造加工業者はどうしても「作ること」を重視し、それの工夫と改良に邁進する特性があるが、それと同等の熱量を見せ方・売り方・伝え方・パッケージ作りに振り分ける必要がある。
「ボロは着てても心は錦」ではなく、心が錦なら着飾るべきなのである。








陳腐化した「日本製」というキーワード

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 販促ワードとしての「日本製」は陳腐化したと感じる。

ワールドはTHE SHOP TKで「新潟ニット」「長崎シャツ」などを打ち出している。
価格は5500円くらいとなっている。

新潟は五泉というニットの産地があるが、新潟全体がニットの産地ではないから、ニットに詳しい人からすると何とも微妙なネーミングといえる。

新潟ニット



高野口のフェイクファーを和歌山フェイクファーと呼び直すような感じである。

しかし、まあ、わからないではない。

長崎シャツはちょっとわからない。
長崎ちゃんぽんの方がはるかに有名だろう。

長崎シャツ




九州にはシャツの縫製工場が多いから、その背景もあって長崎の工場に決めたのだろうと推測される。
しかし、ウェブサイトに書かれた文言はちょっとわかりにくい。

「220年の歴史、
播州織で仕立てた
長崎シャツ」

と書かれてあり、産地に詳しくない人からすると「播州なのか長崎なのかよくわからない」と感じるのではないか。
それならもっとシンプルに播州織シャツにでもしたほうがわかりやすいのではないか。

さらにサイトには、こうも書かれてある。

そのこだわりを込めた生地は海を渡り、
長崎の工場へと届けられ、
服へと生まれ変わる。

ちょっと大げさすぎないだろうか。
通常、日本語で「海を渡り」といった場合は、海外へ行くことを指す。
日本の四方が海だからだ。

たしかに、播州と長崎の間には海はある。
瀬戸内海と関門海峡だ。
しかし「海を渡る」というにはちょっと狭すぎないか。
せめて日本海くらいは渡ってもらいたい、と思うのは筆者がひねくれているからではないだろう。

まあ、それはさておき。

この業態はおもにショッピングセンターとファッションビルへのテナント出店である。
価格帯は低価格から中価格帯。
ユニクロとほぼ同等か、それに1000円~2000円プラスしたのが中心価格帯になる。

そういう価格帯のブランドまでが「日本製」を打ち出しているのである。
なぜ打ち出すかというとそれが付加価値を高めたり、消費者を動かしてくれるのではないか、とブランド側が考えるからだ。

しかし、そういう価格帯のブランドまでが「日本製」を使うということは、「日本製」という言葉が如何に陳腐化してしまったかということの証明でもある。


だが、これは百歩譲ってもまだ日本製をそれなりに重要視しているといえるが、コムサイズムの打ち出しは最早、日本製を重要視しているとはいえない。

「コムサイズム」、日本の伝統技を海外工場でも
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO14922660U7A400C1TI5000/

アパレル大手のファイブフォックス(東京・渋谷)はショッピングセンター向けブランド「コムサイズム」で、国内の伝統技を取り入れた商品群を発売した。職人の技術や伝統的なデザインなどを海外の協力工場に指導し、大量生産して値ごろ感を出す。

とのことだが、言葉もない。

それは単なる無償での海外への技術供与ではないか。
海外工場へ技術を流出させているだけのことではないか。

また、「職人の技術や伝統的なデザイン」というが、製造地は海外工場なわけで、そこに何の付加価値があるのだろうか。
これに付加価値があると考えた人がいるということなのだが、その思考回路はまったく理解ができない。

そもそも、数あるコムサシリーズの中で、コムサイズムは大型スーパー向けに開発された低価格ラインだった。
90年代後半に一大ブームを巻き起こしたユニクロへの対抗策だともっぱら噂になった。

たしかに当初はユニクロとほぼ同価格で、デザイン性はイズムの方が高かったからバーゲン時にはけっこうな人気があった。

けれどもそこから10年、15年が経過すると、価格もユニクロよりも高くなったし、見た目のデザイン以外での打ち出しがそれほどなく、機能性や有名デザイナーとのコラボなどを仕掛けるユニクロとはずいぶんと差ができてしまった。
感じ方は人それぞれだが、筆者個人は現在の商業施設でコムサイズムの存在感をほとんど感じない。
それほどに存在感がなくなってしまった。

だから、起爆剤に「日本製」が使いたかったのだろうと推測する。
しかし、本当の日本製(国内で生産した物)を扱うと店頭販売価格がさらに上がる。
そこで、それを海外工場で作らせることで店頭販売価格を抑えようとしたのだろう。

冷静に考えてもらいたいのだが、コムサには「コムサ・デ・モード」「コムサ・コレクション」などの高価格ラインがある。その両ラインでも「日本製」は扱われている。

そうなると、そちらとのすみわけが難しくなる。

さらにいうと、イズムの海外製の日本製は矛盾に陥ってしまう。

イズムの低価格を「日本の職人技」だとすると、本体の「日本製」の高価格は何なのか?ということになる。

一方、イズムの低価格はあくまでも海外製だとすると、じゃあ、それは単なる海外製でほかの海外製品と同一なんですね、ということになる。

違わないか?

こういう事例を見るにつけても、「日本製」ブームは終了したと感じる。

イズムのような低価格ブランドまでが、製造地は別として「日本製」「日本の職人技」を販促のキーワードにするということが、「日本製」ということに価値がなくなりつつあるということになる。

オッサンまでがスキニーパンツを穿くようになったら、スキニーパンツはトレンドアイテムではなくなってしまったというのと同じである。

物作りを標榜するブランドは、今後、日本製プラスアルファ、職人技プラスアルファの打ち出しが求められることになったということである。

そのプラスアルファを真剣に考えないと、陳腐化した「日本製」では消費者には響かなくなっている。











業界では「当たり前」のことでも世間では知られていない

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 卸売り型の衣料品メーカーは、小売店を招いて展示会を開催する。
小売り店はここで仕入れる商品を発注する。

展示会開催サイクルとしては、従来だと半年前であり、2017年秋冬商品なら、まさに今が開催時期である。
2月から4月末ごろまでが秋冬向け展示会の開催時期で、数多くのブランドがこの時期に開催する。

だから9月から11月ごろは来春夏向け商品の展示会が開催され、古くは春秋の年2回での開催が標準だった。


しかし、90年代後半ごろから店頭での売れ行き状況にクイックに対応する目的から、店頭投入の2カ月前、3か月前に展示会を開催するメーカーが増えた。
この場合は、だいたい年間に3回から5回展示会を開催する。


衣料品業界の人間からすると、投入2カ月前の展示会なんて製造のリードタイムが短すぎて、大丈夫なのかとちょっと心配になるが、衣料品業界外の人からすると「店頭の売れ行き状況の変化は早いのに、そんなに時間をかけて大丈夫なの?」という感想になる。実際に、自分もそう言われたことがある。


衣料品業界に限ったことではないが、業界の「当たり前」が広く世間には知られておらず、それがさらにビジネス環境を難しくしているという側面がある。


まともに衣料品を企画提案して、製造するとなると、受注数をまとめてから2カ月くらいで店頭納入するというのはかなりギリギリの作業になる。
製造枚数にもよるが、生地からオリジナルで作るとなると、さらに日程はギリギリになってしまう。


会社や製造物、製造数量によっても異なるが、ざっくりとした目安でいうと、オリジナルの生地を必要分だけ製造するのに最低でも1カ月弱はかかる。そこから生地を裁断して縫製するのに、また最低でも1カ月弱はかかる。こういうことが周知されていれば、2カ月前の展示会開催ということはかなりギリギリだということが理解できる。
大手生地問屋が抱えている生地を使用するなら、生地を作る時間だけは省ける。

先日、西陣織の業者がツイッター上で炎上したが、その後、状況が知られるとともに騒ぎは沈静化した。
ご存知の方も多いと思うが、業者が技術伝承を目的に弟子を募集したのだが、

「西陣織を習いたい、将来的に仕事にしたい方を募集します。ただし最初の半年は給与的なものも出ませんし、その後の仕事を保証はできません。ただ、この西陣織の職人が減りゆくなか、将来的に技術を覚えておきたい方に無料で教授いたします」

と書いてしまって、ブラック企業だという批判が続出した。

しかし、この業者の書き込みは内情を知っている人間からすると、そういう意図がなかったと読み取れるし、実際に業者も後付けだが「習い事をする感覚で入門してもらいたい」とそういう説明をしている。

現在、西陣織に限らず、技術者は老齢化している。国内の洋服縫製工場も同じで最年少工員は60代という工場だって珍しくない。
技術を伝えるためには後継者を募集しなくてはならないのだが、なかなか集まらない。

賃金が低いからだ。

低価格衣料が注目されている洋服関係の賃金が低いことは多くの人は体感的に理解できるが、何十万円もする着物関係の職人が低賃金だということは多くの人はあまり理解できていなかったのではないか。

「半年給与なし。仕事保証なし」  京都・西陣織職人の「弟子募集」はブラックと言えるのか
http://www.j-cast.com/2017/03/18293227.html?p=all

これはきちんと取材をした良記事だがこの中で、

「いま、西陣織の職人の平均年齢は75歳程度です。こうした熟練の職人は、もう年金を貰っていますよね。そこで起きたのが、年金の支給額を踏まえた上で『工賃』が決まるといった現象なんです」

   佐々木さんによれば、こうした動きによって西陣織全体の工賃の相場が大きく下がることになった。その結果、「西陣織だけでは家族を支えていくことができない」と判断した40~50代の職人が、次々と転職するという動きが出た。

とある。

今の主力となる職人は75歳前後であり、彼らは年金を支給されている。
その年金額があって、そこに少しだけ工賃をプラスオンするという仕組みになっている。

何十万円・何百万円の商品を製造しているのに工賃は安いのである。
おそらく工賃は1カ月トータルで数万円程度なのではないかと個人的には推測している。

それが基準になるので、若い世代の職人に支払われる工賃も激安になる。
支払う側からすると「超ベテラン(75歳)の職人がこの工賃なのに、どうして年数の浅い君らにこれ以上を支払わなくてはならないのか」という理屈が成り立っているということになる。

そういう状況だということは業界に近しい人間なら知っているが、広く世間一般には知られていない。

だから、反射的に「ブラックだ」という批判が出てしまったのではないか。
知らない人間からすると何十万円もの商品を作っているのだから、それなりに高い工賃をもらっていると想像できてしまう。

ちなみに何十万円もする着物なのに工賃が異様に安くなってしまったのは、着物の売れ行きが不振になったことに加えて、着物業界の取引が何段階もの多重構造のままであることが理由として挙げられる。
洋服のようなSPA業態はなかなか着物は難しいだろうが、多重構造を少しシンプルにするだけで、販売価格を下げられるか、職人の工賃を上げられるか、ができるようになる。

今回、このブログで何が言いたかったのかというと、業界で「当たり前と思われていることも広く知らしめる必要があるのではないかということである。

そうすれば今回のような炎上は起きなかっただろうし、洋服ブランドが2カ月前に展示会を開催して「遅い」と批判されることもない。

各社、各業界とも情報発信に力を入れ始めているが、そういう基本的な「当たり前」のことも発信すべきではないかと思う。

基本がコモンセンスとして共有されていないから、各社の発信が伝わりにくいのではないかと思う。
業界や自分たちが「当たり前」と思っていることが、実はあまり知られていないと事例だということは、想像以上にあるのではないか。
それをコモンセンス化できれば商況が好転する部分も出てくるのではないかと思う。和装洋装に限らず。

日本の工芸を元気にする!
中川 政七
東洋経済新報社
2017-02-24




「〇〇%オフ」価格という表記では、安さが伝わらない可能性がある

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 よくFランク大学の学生が、分数や小数の計算ができないといわれる。
百分率も理解できていないともいわれる。

ファッション専門学校で何年間か定期的に講義しているが、計数管理では百分率の計算は必須だが、毎年、それを根本から理解していない生徒が何人かいる。

「粗利率は何%ですか?」とか「前年対比何%の増減がありますか?」というのは、ファッション業界の業務では日常的に必要になる。いや、ファッション業界に限らず、現代社会においてどの業界でも必要不可欠な基本作業である。

ところが、先日、ある人と話していたところ、「社会人や主婦層にも百分率を理解しない人はけっこういるみたいですよ」と言われ衝撃を受けた。

この人はショッピングセンター内にテナント出店しているブランド店舗の管理をしていたことがある。
その時の経験談を話してくれたのだが、パートを募集したところ応募してきた主婦がいたそうで、この人はその店の常連顧客でもあったという。

だから、パートとして勤務が決まった時にはそれなりに面識があったというわけだが、その時に「定価から〇〇%引きといわれても実はそれが最終的に何円になるのかあんまり理解していないんです」と言われて衝撃を受けたそうだ。

しかし、たしかにそういう人はいると体験的に感じる。

以前から何度か、バッタ屋での店頭販売を手伝っていたことを書いているが、そのときにも少なからぬ大阪のおばちゃんから「値札からさらに〇〇%引きって結局何円になるの?」と尋ねらることが日常茶飯事だったからだ。

「500円からレジでさらに30%引き」だと350円になるのだが、ずっと「どうしてこんな簡単な計算を暗算しないのか?めんどくさいのか?」と訝しく感じていたのだが、もしかすると百分率の計算を理解していない人がかなりの割合で含まれていたのではないかと思い始めた。

となると、各社が店頭で声を張り上げている「セール価格からさらにレジにて〇〇%引きになります」という呼び込みはあまり効果がないということになる。
群がっている人たちの何割かはそれが何円になるのかわからずにただ、「雰囲気だけで」群がっているということになる。

店内にPOPをいくら「さらに〇〇%オフ」と貼り付けても実際のところ、意味を理解していない人が何割か確実に存在するということだ。


実際に、そのパートの女性も「〇〇%オフで何円になるかはわからないけど、安くなりそうな雰囲気なので購買意欲が刺激される」と話していたという。


ではセール時の表現は何がもっとも効果的に伝わるのだろうか?


「〇〇%オフ」という表現は、こちら側が想像しているよりも具体的には伝わっていない可能性が高い。
もっと具体的にセールの効果を伝えられて理解されやすい文言は何だろうか?

おそらく、「半額」というのはもっともわかりやすいのだろう。
また「〇〇円引き」というのもわかりやすいだろう。
それ以外だと「1000円均一」とか「500円均一」みたいな表現もわかりやすいのではないだろうか。

でも実際のセールでは一律「半額」にすることも難しいし、1000円均一・500円均一にすることも難しい。
一番実践しやすいのは「〇〇円引き」ということになるだろうか。
そういう意味では〇〇%引きと表示せず、790円、990円、1290円と値段を書き換えるユニクロ方式が一番理解されやすいといえるのではないか。
ユニクロはこの部分でもマス層に最適な表示をしているといえるのではないか。


最終セールで投げ売り価格を提示してもワゴンに洋服が山盛りに残っていることがある。

通常、業界人は「商品に魅力がなかったから」というように理解するが、もしかすると表示方法に問題があり、安さが伝わっていなかったという可能性もある。

伝わっていないのは存在しないのも同然だ。

いくら「値札から80%オフのさらにレジにて30%オフ」と書いてみても、それが伝わらなかったら値引きしていないのも同然なのである。

表示の方法を工夫すると、ひょっとするとセールでの消化率はもっと高まるのではないかとも思う。





HP Easy Calc 100 (ブルー)
HP(日本ヒューレット・パッカード)







意味不明の商品説明文を書き連ねてるブランドが多すぎる

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 なんだかんだで、オンライン通販で服や服飾雑貨を買うことが増えた。
もっぱら買うのはユニクロか、一度試着したことのあるアイテムに限られているのだが。

そうすると当たり前だが、定期的にメルマガが来ることになる。
筆者のもとに定期的に届くのは、ユニクロ、ジーユー、アダストリア、Amazonくらいである。
Amazonはいろんなブランドの案内が併記されている。

一応、情報収集も兼ねてそれらのメルマガにはざっと目を通すのだが、正直に言って、意味の分からない商品説明が多い。

商品説明文で一番マシなのはユニクロとジーユーだが、それでも「?」と感じることがある。
それ以外のブランドやAmazonで見かけるブランドの商品説明文はほとんどが「?」である。

あんな意味の分からない説明文を書いているから洋服が売れないのではないか。
あと商品名も企画担当者の自己満足でしかない短縮形が多い。
あれではどんな商品なのか消費者にはまったく伝わらないだろう。
伝わると思ってるならそれは業界人の傲慢である。

例えば

スライバーニットを使用したスライバーチェスターコート。 適度なふくらみ感がありつつ、軽くて暖かな着心地が特徴の素材です。 スタンダードで洗練されたデザインですのでコーディネートに取り入れやすく、 ワードローブに入れて頂きますと大変便利な1着になっております。 オススメはGジャンやライダースなどの軽アウターの上から、コートを羽織って頂くスタイリングです。

これは実際の通販サイトに書かれてある説明文である。

これを読んでどんな商品なのかわかる人がどれだけいるのか、これを読んで「この商品欲しい」と思える人がどれほどいるのか。

まず、「スライバーニット」ってなんやねん、である。
業界人ですらわからない人が相当数いるのではないか。
とくに昨今は業界人の商品知識レベルは劣化しているので。

個人的に気になるのは、このコートの生地は「ニット」なのか「織物」なのかであるが、この文章だけではあまりわからない。スライバーニットを使っていると書いてあるのでニットなのだろうと推測するほかない。

ニット生地だということは、防風性が弱いということになる。
セーターは風を通すから。
そこに対する何らかの施策(生地の裏にフィルムが貼り付けてあるとか)があるのか?
何も書いてないということはないと判断せざるを得ないが、もしそういう施策があるなら書いていないならそれは伝わらない。
伝わっていないことは存在しないのも同然なのである。

防風性が弱いならコートとしてどうなのかということになる。

お薦めはGジャンの上から羽織れと書いているが、防風性が弱い(と仮定するなら)コートをGジャンみたいに保温力の弱い衣類の上から羽織って真冬に着用できると思っているのだろうか。

この文章を作った人、それから商品企画担当者はそんな寒々しい恰好で真冬に出歩いているのか。

また

寒い季節にぴったりなキュウシン柄のニット。
印象的なデザインなのでアウターを羽織った時に、チラッと見える柄が◎
また、ジャガード部分に起毛をかけ、暖かな着心地と肌触りも追求しています。
ホワイト・ブラック・ブラウンなど、ベーシックな色を基調とした配色で、
様々なアウター・ボトムスと合わせられるのもオススメのポイントです。


これも実際のサイトの説明文である。

そもそも「ジャガード」という表記自体が間違いで正しくは「ジャカード」である。

で、これはセーターなのだが、ジャカード編の柄部分に起毛をかけているとあるが、柄のない部分は起毛をかけていないのだろうか?
そういう技法で作られたセーターもあるが、そんな面倒なことをこの低価格ブランドがやるとは思えない。
低価格ブランドなら全面に起毛をかけるか、まったくかけないかのどちらかである。
そのほうが加工コストが安い。

長くなるのでこのあたりにしておくが、どのサイトの説明文もほぼこれらと同様か、これら以下の内容である。

そもそもが、商品名の「キュウシン柄ニット」って何なのか。
首元から胸あたりにかけて柄があって、それが首元を中心とした円形状に広がっているから「求心柄」なのだと思うが、求心をキュウシンとカタカナ表記にすることで何のことやらまったく意味が分からなくなる。もしかして「求心」という漢字を読めないと思っているのだろうか。
それはあまりにも消費者をバカにしているし、自分らの知能レベルに合わせて消費者を判断しているとしか言いようがない。

KHFAA21059-03P-90-O

(キュウシン柄ニットの実例)

http://www.itokin.net/avv/products/detail.php?product_id=82192



 キュウシンと書かれても救心かもしれないし、急進かもしれない。もしかしたら球審かもしれない。

おそらく以前はノルディック柄の一種として紹介されていた柄だが、今の店頭やサイトで見ていると純粋な「ノルディック」ではなく、南米風だったり民族調だったりする柄も含まれているから、「キュウシン」と呼び名を変更したのだと思うが、この中途半端な変更と意味不明のカタカナ表記によって、消費者には一層伝わりにくい商品名となっている。

衣料品業界のオンライン通販は、つまるところ画像に頼りすぎている。
もしかしたら、かつていわれた「オンライン通販に説明文は必要ない。画像がすべてだ」という間違ったやり方をいまだに妄信しているのかもしれない。

オンライン通販に画像は不可欠だが、説明文も不可欠である。
「説明文は短ければ短いほど良い」なんてデマが流布されたこともあるが、実際に手に取って風合いやら触感やら生地の厚みなんかがわからない分、説明文はかなり詳細に書き込む必要がある。

「説明文は短ければ短いほど良い」なんてことをいまだに信じているなら、それはお気の毒なことである。

洋服が売れなくなった理由は様々あるだろうが、こういう伝わらない説明文や意味の分からない商品名などという部分も大きいのではないか。

もう、きれいな画像と、雰囲気だけの意味の分からない説明だけで洋服が売れる時代ではないということを業界人は痛感すべきである。












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