南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

企業研究

三越伊勢丹の従業員は「変わらないこと」を選んだように見える

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 三越伊勢丹ホールディングスの今回の社長解任劇は、本当に興味深い。
大西社長を追い落としたのは誰だったのかというところに注目が集まっていたが、日経新聞の報道によるとそれは労働組合だったとのことである。

なんという強大な労組なのだろうか。

三越伊勢丹、大西改革に労組反旗 石塚会長が辞任迫る
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ07I3B_X00C17A3EA2000/?dg=1&nf=1

百貨店最大手、三越伊勢丹ホールディングス(HD)の経営トップが代わる。7日、大西洋社長(61)が辞任し、杉江俊彦取締役専務執行役員(56)が4月1日付で昇格すると発表した。大西氏は収益の柱を増やそうと、多くの新規事業を進めてきた。これに現場が反発して、労働組合が辞任を要求。経営から距離を置きつつあった石塚邦雄会長(67)が辞任を迫る異常事態だった。


とのことである。

記事自体は途中までしか読めないが、この報道を元にまとめられたこのブログでおおよその顛末はわかる。

[三越伊勢丹社長降ろしのドラマが深い] 三越伊勢丹HDの労組が大西改革に反旗。辞任というより降ろされたに等しい。次期社長の杉江氏は融和派だが、また百貨店一本足経営に戻るつもりなのか、今後どうするのか。
http://www.okatai.com/blog/2017/03/07/mitsukoshi-isetan-rouso-onishi-sugie/

新しい試みに現場社員の負荷は増え続けていたが、インバウンド(訪日外国人)や富裕層による消費が拡大している局面はよかった

その効果がはがれ落ちると「『新規事業で収益を上げろ』と厳命されても対応できない」(関係者)と、隠れていたひずみが表面化

本業の立て直しに追われている中、最終的には労働組合の関係者が石塚氏に泣きつき、改善を強く要求する事態となった

事態が動き出したのは4日午後

「現場がもうもたない。構造改革による混乱の責任をとりやめてもらいたい」
三越伊勢丹HD本社の一室で石塚氏は大西氏にこう切り出し辞表を差し出した
 
なんと労働組合関係者が会長に直訴。で、会長が大西氏に、辞めてくれという事態。完全に社長降ろしの現場。


とのことである。

当初は、三越派による巻き返しかと考えられていたが、労組と現場が反発していたということで、もちろん、それに同調した上層部もいたことだろう。

三越伊勢丹に限らず、複数の百貨店で催事販売をした経験からいうと、百貨店の社員は基本的に保守的で新たな試みを嫌う人が多いと感じる。

矢継ぎ早にさまざまな改革が行われれば、当然それに対する現場からの反発はあっただろうと推察される。
また、大西社長自身もそれを知っていたので、なかなか現場が変わらないという発言もあった。

大西支持者の社員もいたが、結局は少数派だったということだろう。

著書でも買いているように、大西社長はとにかくスピードを上げることを重視した。
個人的な経験で言っても、百貨店はなかなか物事が決まりにくい。

そういう多くの社員はスピード化に反発を覚えたのだろう。

それでも実際のところは、社員が反発するほどのスピード化でもなく、三越伊勢丹との合弁相手の会社に取材をしたこともあるが、やっぱり百貨店の意思決定は遅いという感想を相手が抱いていた。

一例でいえば、出張でもそちらは即決するが、三越伊勢丹はなかなかその稟議が通らない。

現場からするとスピード化を強制されて苦痛だったのかもしれないが、異業種と比べるとまだまだ遅いのが実情である。

各報道で指摘されているように、三越伊勢丹の業績悪化に対する大西社長の経営責任はある。
4年以上も社長に就いていたのだから、責任追及されることは仕方がないだろう。

それでも百貨店事業比率が高すぎ、その百貨店事業そのものが苦戦に転じた状況下で、多角化という方針は完全なる間違いとは言えないのではないかと個人的には思う。

逆に新社長に就任する杉江俊彦専務が、「本業回帰」というメッセージを発しておられるが、大丈夫だろうかと疑問を感じる。
大西社長も多角化とは言いながら、本質的には百貨店重視の姿勢であり、その結果が現在の業績悪化なのである。これ以上さらに百貨店を重視するという姿勢で効果が出るのだろうか。

また、今回の解任劇で三越伊勢丹のイメージは悪化した。
この悪イメージを逆転させるのは簡単なことではない。

単なる本業回帰だけではまったく効果がないだろう。

これから中期的には三越伊勢丹にかなり厳しい状況が続くだろうと見ているが、果たしてどうなることやら。







大西洋漂流76日間 (ハヤカワ文庫NF)
スティーヴン キャラハン
早川書房
1999-05






百貨店事業依存度が高く、百貨店事業収益率が低い三越伊勢丹

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 三越伊勢丹HDの大西洋社長退任が話題となったが、もっとも内情を詳細に分析して報道しているのは、この日経ビジネスオンラインの記事である。

三越伊勢丹の社長退任、頼みの「新宿」低迷響く
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/030600602/?i_cid=nbpnbo_tp&rt=nocnt

まず、前提として、辞任を申し出たのではなく、解任動議が決議される予定ということである。

三越伊勢丹ホールディングス(HD)の大西洋社長が月内に退任する見通しとなった。同社は7日に開く取締役会で「代表取締役の異動について決議する予定」と発表した。

とのことで、いわば反対派によるクー・デタとたとえることができるだろう。

この記事でも触れられているように、5月の決算発表に向けて新経営計画を策定中だったということで、自ら退任する意思は微塵もなかったと考えることができる。
なにせ、新経営計画策定中という話は、2月に耳にしているからだ。

また先週金曜日には自身が地方で講演されていたという情報もあり、退任の決議は寝耳に水だったのではないかと推測される。

それだけ、反対派は周到に根回しをしていたということであり、社内政治という点においては反対派が1枚も2枚も上だったということになる。

立ち上げて事業が始まったばかりの数々の合弁会社、数々の買収企業、そして、大西社長の肝煎りで行った中途採用の人員などは、どうなるのだろうか。
おそらく、反対派はこれらの事柄を継承しないと考えられる。

なぜなら、継承するつもりなら大西社長を失脚させる必要はないからだ。

退任後、会長にもならないということは文字通りの失脚である。

さて、この記事では三越伊勢丹の事業を数値で分析しているがなかなか秀逸である。
百貨店の盟主と目されている三越伊勢丹だが、その内実は崩壊の一歩手前という印象だ。

記事から引用抜粋してみよう。

高島屋、Jフロントリテイリング、三越伊勢丹の3社を比較している。

三越伊勢丹HDの2016年4月~12月期の売上高は約9300億円。このうち百貨店事業が約8500億円を占め、比率は約92%に達する。同じく第3四半期までの累計で、同比率が約65%のJフロント、同約87%の高島屋と比較しても、百貨店依存度が高いことが分かる。

一方、百貨店事業の利益率は三越伊勢丹HDが最も低い。百貨店事業で稼いだ利益を同売上高で割った百貨店利益率は1.04%しかなく、Jフロント(同2.43%)の半分以下で、高島屋(同1.22%)にも届かない。


現在「衣料品不況」などの逆風もあって、流通業界の中でも、百貨店の厳しさは際立つ。

三越伊勢丹HDは、百貨店事業に集中しながら、その事業の利益率が低いという、危機的な状況にあるのだ。2016年1月以降の株価を見ると、他の2社と比べて低迷が続いている。

とのことである。

株価云々は置いておいて、あれだけ華やかなイメージがある三越伊勢丹だが、事業の収益性という点においてはかなり厳しい状況に追い込まれている。

脱百貨店を掲げているJフロントは置いておくとしても、「ザ・百貨店」的なクラシカルなイメージの強い高島屋よりも百貨店依存度が高い。
そして百貨店利益率は高島屋よりも低い。

これは致命的で絶体絶命のピンチだといえる。

また新宿伊勢丹、銀座三越、日本橋三越の旗艦三店舗も苦戦している。

2016年4月~12月期で、伊勢丹新宿本店の売上高は、1979億6900万円と前年同期比2.8%の減少。三越日本橋本店は1261億6500万円で、2.2%減、三越銀座店は599億4300万円で6.9%減と苦戦した。

とあり、さらに

2014年3月期の新宿本店の売上高は、2654億円と前の期比で12.1%増となったが、翌2015年3月期は2585億円と2.6%減。

とも指摘されており、2016年3月期も減収が予想される。

「ファッションの伊勢丹新宿」にも陰りが出ており、2014年3月期の大幅増収は爆買いによる買い支えがあっただけで、日本人の需要は伸び悩んでいたと考えられるのではないか。

個人的な感想をいえば、伊勢丹新宿の売り上げ効率がいまだに高いことは大したものだが、いわゆる「最先端ファッション特化」路線は2014年3月期の2654億円が限界値ではないかと感じる。
その数値以上に、日本人に「最先端ファッション」の需要は無いし、潜在的需要もない。
「最先端の高価格ファッション」なんて誰もが求めるものではない。

銀座三越の爆買い向け改装は大失敗で、

初年度133億円の売り上げ目標に対し、売上高は44億円、営業損益は20億円の赤字となる見込みだ。

とのことで、爆買いブームは去り、中国人優遇に嫌気がさした日本人の富裕客層の上位3割も離れ、虻蜂取らずの見本のような事態になっている。

最後は

大西氏の退任の背景として、取締役など幹部の間で、かねて不協和音があったことを指摘する声は多い。業績悪化が鮮明になる中で、社内の摩擦は抑えきれないところまで来たのかもしれない。三越と伊勢丹が経営統合したのは2008年。約10年を経て、業界の盟主は岐路に立っている。

と締めくくられているが、業績が良ければ反対派は黙るが、業績が悪化して求心力が低下すれば、反対派は活動を活発化させる。三越伊勢丹に限らず、どの組織でも同じだ。

それにしても三越との統合から10年が経過して、盟主と目された伊勢丹自体も衰退の危機を迎えるようになるとは、まさにこの世は盛者必衰といえる。

評論や記事の中には、新社長が改革路線を継承することや、激しいリストラを期待する論調もあるが、それはあり得ないだろう。
なぜなら、改革路線に賛成なら、今の段階でわざわざ大西社長を失脚させる必要などないからだ。
もう少し成果が出始めるまで、上に戴いておくのがもっとも効率的で効果的だ。

まあ、そんなわけで今後、しばらく三越伊勢丹は混迷の度合いを深めることになるだろう。

三越伊勢丹の最新 儀式110番: こんなときどうする? 冠婚葬祭
三越伊勢丹ホールディングス
誠文堂新光社
2016-05-25



誰からも信頼される 三越伊勢丹の心づかい
株式会社三越伊勢丹ヒューマン・ソリューションズ
KADOKAWA
2017-02-24






後任を決めずに社長が辞任する異例事態となった三越伊勢丹

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 予定を変更して(予定なんてないけど、言ってみただけ)今日はこの話題に触れたいと思う。

三越伊勢丹HD、大西社長が辞任へ 多角化の成果出ず
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ05H6O_V00C17A3MM8000/

 三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長(61)が3月31日付で辞任することが5日わかった。傘下の事業会社、三越伊勢丹の社長も同時に辞任する。消費者の百貨店離れが進むなか、事業の多角化を目指す構造改革で成果を上げることができなかった。後任の社長は週内をめどに社内から選ぶ方向で調整し、石塚邦雄会長(67)は当面続投するとみられる。

 大西氏は2012年に三越伊勢丹HDの社長に就任。消費者との接点を広げる小型店の積極出店などに取り組む一方、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)や婚礼事業のプラン・ドゥ・シー(東京・千代田)といった外部企業との提携も推進してきた。

 ただ、17年3月期の連結営業利益は前期比28%減の240億円となる見通し。急速に事業分野を広げる大西氏に対し、社内からは「少ない人数で運営している現場への負荷が大きい」との指摘も多かった。

とのことで、直近の業績急低下を見ていると、引責辞任もやむなしだと感じられてしまう。

昨年、6回に渡ってインタビューをさせていただいたこともあるので、今回はこのニュースについての感想をまとめてみたい。あくまでも個人的な感想である。

記事中で挙げられている多角化の事例のほかに、外食産業のトランジットジェネラルオフィスとの合弁会社設立や旅行会社ニッコウトラベルの買収などもあり、2012年の就任以来、百貨店のみでは限界があるとしての多角化を進めていた。

今回の辞任発表は、多くの方々が指摘しておられるように後任を決めないままの辞任発表なので、かなり異例で異常な事態だといえる。

同社の決算は3月期で、5月に毎年決算発表がある。
実はそれに向けて、新経営計画を策定しており、決算発表前に一度聞かせていただけそうな話もあった。

それだけに今回の辞任発表はかなり突発的な何かが内部で起きたと考えられる。

個人的な印象では昨年秋口からムードが変わったと感じる。
というのは、東洋経済オンラインに社内の反対派の大西改革への否定的なコメントが掲載された。

そのときに「ああ、業績に陰りが出て、反対派の活動が活発になってきたんだなあ」と感じ、下手をすると反対派に足元をすくわれることがあるかもしれないとも感じたが、それが現実になったということだろう。

知り合いの某経済誌記者にその話をすると、「実は大西反対派の愚痴みたいなものは以前からも頻繁に寄せられていた」との返事があったので、以前から根深い対立があったのだと改めて感じた。

業績の急低下の原因はいくつかあるのだろうけど、目に見えての大失敗は銀座三越店の改装だろう。
爆買い重視の改装だったが、改装オープンと同時に爆買いのムードは終結した。
その結果、中国人は来なくなり、日本人客も離れた。

インタビューでは、大西社長自ら「中国人客を重視しすぎて、日本人の富裕客層の上位3割が離れた」と認めておられた。

大西社長が提唱された改革の中身が正しかったのかどうかはわからない。
最終形態にたどり着いておらず、結果がわからないからだ。

しかし、方向性の正誤は別として、百貨店が今までのままで生き残れる可能性はほぼないから、何かを変えねばならなかったことは事実である。

トランジットとの合弁会社による、新規外食店はやっと今年4月に第1号店オープンが発表されたばかりである。

シドニー発のイタリアンダイニング「フラテリ パラディソ」を4月末に表参道ヒルズにオープンするとのことだが、筆者のような田舎者にはシドニー発のイタリアンというのはなんだか微妙なフレーズだと感じられてならない。たとえて言うなら、「東京発の本格中華料理」みたいな感じを受けてしまう。

まあ、中身はともかくとして第1号案件がやっと決まったばかりだ。

また、以前から旅行業強化を掲げていて、先日、ニッコウトラベルを買収したばかりである。

改革プランの良し悪しは別として、やっと形になったばかりのものも多かった。

これらの案件は、社長が辞任することで、間違いなく方向転換は強いられるから、当初に描かれていた完成形態にたどり着くことはできなくなった。
逆にすべての合弁事業が中途半端な尻すぼみで終わってしまう可能性も極めて高い。
尻すぼみで終わればかえってホールディングスの収益を圧迫することになり、三越伊勢丹HDはかなり厳しい状況に追い込まれると個人的には見ている。

じゃあ、これまで通りの三越と伊勢丹のやり方、ひいては百貨店のやり方を継続していればよかったのかというと、その選択肢がありえないことは誰しも認めるところだろう。
現に、「これまで通りのやり方」で百貨店の業績は低下する一方だったから、そのやり方は間違っていたということである。

残念ながら、三越に往年の勢いはすでにないし、伊勢丹のファッション特化路線は新宿本店以外で成功したためしがない。

名古屋のイセタンハウスも苦戦しているという話しか聞かないし、大阪・梅田のルクアイーレの伊勢丹コーナーも縮小されている。JR京都以外の地方店では伊勢丹は連戦連敗である。

伊勢丹はトップから現場まで東京大好き人間で固められている。
大西社長自身だって、著書で明かしておられるように、就職する際、東京にあるという理由で伊勢丹を選んでいる。

東京大好き人間だけで固められた百貨店が地方民の需要を正確に把握できるはずがない。
伊勢丹新宿店のような「先端ファッション」を求める人数は地方には少ない。
そもそも各地方の人口は首都圏の足元にも及ばない。
ファッション大好き人間の比率は変わらなくても、分母が少なくなれば実数も少なくなる。
それだけのことである。

三越も変わらない、伊勢丹も変わらないということを反対派が選択したのなら、三越伊勢丹HD自体も三越という暖簾も伊勢丹という暖簾もこのまま衰退することになる。

百貨店という業態も、変わらないなら売上高はこのままどんどん低下し続ける。

今回の異例の事態はそんな未来を確実にしてしまったのではないか。










実店舗の衣料品販売が苦戦する理由は「プロとしてのアドバイス」が足りないからでは?

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 正直にいうと、洋服のレンタルサービスに魅力を感じない。
だから今後も利用することはないと思う。筆者が今購入している洋服の価格を考えると、レンタルするよりもはるかに安い投げ売り品を買っているから、価格的なメリットはあまりない。

それでもレンタルなら返却できるから、保管スペースを省略できるというメリットがあることは理解できる。

昨年末の衣替えから、断続的に要らない服をピックアップして、中古衣料品の回収サービスを行っているユニクロやライトオン、無印良品に何度か持ち込んで保管スペースを少し回復させたが、それでも「捨てようか残そうか」迷っている服はいくつかある。

春夏物に衣替えしたらまた断続的に持ち込むことになるのではないか。

洋服のレンタルサービスがじわじわと市場を拡大しており、その要因はあまり理解ができなかった。

先日、アエラの記事を読んで少しだけその理由が理解できた。

服は買うより借りる方が得なのか? 安さだけじゃない人気の秘密
https://dot.asahi.com/aera/2017022400038.html?page=1

この中で、

スタイリストとLINEを通して服装への悩み、週末の予定に合う服装は何かなどを相談できる。個人の好みに合わせて、スタイリストが似合う服を選んで送ってくれる仕組みだ。1回で6万円相当の洋服が入っていてお得感もある。

という部分がある。

メディアの多くの悪い点は、まず価格での切り口から始まる点にある。
6万円相当の洋服が入っていてお得感があると書いているが、借り手からしたら「適切なコーディネイトを適切な分量だけ送ってくれる」ことに価値を見出しているから、1回に6万円分の洋服が入っていようが、2万円分の洋服が入っていようがあまり関係ない。

定価で買うと6万円の物が借りられてお得ということが、レンタルがじわじわと売り上げ規模を拡大している理由ではないだろう。

そのコーディネイト提案が適切なら、極端な言い方をすれば1回1万円分の洋服だってレンタル会員は満足するだろう。

それよりも各レンタルサービスが、それなりに支持を得られ始めているのは、スタイリストが個人の好みに合わせたコーディネイトを提案してくれ、洋服への相談ができるところにあると考える方が適切なのではないか。
記事でもその点については、

これらのサービスが利用者に喜ばれている理由のひとつは、定期的にプロからの個別アドバイスをもらえることだ。これまでのパーソナルスタイリングは、費用もハードルも高い印象があるが、ネットを使って低価格で気軽にスタイリストとやりとりをするサービスも登場している。

と指摘している。

こう考えると、実店舗での洋服の販売が不調な原因の一つには、これが足りないのではないかと思う。

今でこそ、低価格ブランドの投げ売り品ばかり買う筆者だが、昔は百貨店やセレクトショップでも買っていた。
はじめて着るような洋服は自分がそれが似合っているのかどうかわからない。

自分では似合っていると思っても、他人から見れば似合っていない場合もある。

自分で鏡を見たときには「俺もまんざらではない」と思うが、写真や動画で自分を見ると、ひどいブ男だったというのと同じである。

そんなときに、販売員に「これで良いのだろうか?」と尋ねたが、満足できる返答だったのは体感的に4割くらいだろうか。

「とりあえず売っておこう」というお薦めが何度もあった。

とくに大手のチェーン店では価格の高低に関係なく、販売員のスキルにはバラつきがある。
誰でも最初は新人で知識がないものだが、大手のチェーン店の販売員にはそういう知識のない人も多い。
だから意味のわからない接客トークをしてくる。

例えば、ジーンズを見ていた筆者に「それ、デニムなんですよ」と声をかけてきた大手セレクトショップの販売員もいたし、少し商品のデザインについて尋ねただけで、その商品の歴史的背景から今現在のパリコレの傾向についてまで延々と講釈を垂れた低価格店の販売員もいた。

販売員のなり手が少なく、アルバイト募集で急場を凌いでいる店舗も多いから、そういうレベルの低い販売員が
少なからずいることは仕方がない部分もある。

しかし、実店舗での洋服販売が価格の高低を問わずに不振なのは、レンタルサービスが導入しているようなサービスが足りていないからではないかと思う。

逆にいえば、そういうコーディネイト提案ができ、パーソナルスタイリストのようなコンサルティング能力のある販売員は今後、重宝がられるということでもある。

世間で支持されるサービスは、やっぱりそれなりの理由があるということを再認識した。

とはいえ、筆者が今後、洋服をレンタルすることは一生ないだろう。(笑)



行き過ぎた前年実績主義でますます衣料品は売れなくなる

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 洋服が売れない理由はさまざまあるが、その一つに「前年実績主義」がある。

これはPOSの発達による部分も大きいとは思うが、前年売れた物を再度投入するというやり方だ。
もちろん、洋服には「定番」と「シーズン物」「トレンド物」があり、「定番」は文字通りの定番品なので何シーズンにも渡って販売されるのは当然といえるが、昨今の不振ブランド、不振店の多くは「シーズン物」「トレンド品」までを前年実績主義で品揃えしてしまう。

これには、各社の「失敗したくない」というチビった姿勢が表れているのだが、結局、上層部を説得する材料が「前年実績」しかないからだろう。

意見を押し通せない現場もだらしないし、単純に前年実績でしか判断できない上層部も情けない。
上も下もそうだからブランド全体、社全体が低迷するのは当然の結果といえる。

定番品とシーズン物、トレンド物の構成比率は当たり前だが工夫する必要がある。
ブランドや店ごとにコンセプトや売り上げ目標に対してその構成比率は変わる。
このあたりの計数管理はマーチャンダイザーの仕事であり、その職務経験のない筆者に教える能力はない。

佐藤正臣さんあたりに習われた方が良いだろう。
http://www.apalog.com/fashion_soroban/

それはさておき。

チビってブルっている各社は過度に前年実績主義にすがるから、何年間も同じ物が売り続けられることになる。
そういう商品が1型とか2型とか程度で展開されるなら何の問題もないが、定番品でもないのに何年間も同じ物が数多く売られ過ぎていることが問題なのである。

先日、アクセサリー・ファッション雑貨向けのある部材メーカーにお邪魔した。

さまざまな百貨店向けアパレルとの付き合いがある会社なのだが、チビってブルっている百貨店向けアパレルは、もう何年間も同じ商品を発注し続けてくるのだという。
デザインを買えるわけでもなく、アレンジのやり方を変更するわけでもなく、形は同じでせいぜい色柄を変えるだけの発注をもう10年間も続けているブランドもある。

メーカー側としては、デザイン変更も提案したし、アレンジ変更も提案したが、ブランド側が「前年実績通りで」という返事しか出さないため、10年間同じ商品を作り続けている。
メーカー側は「10年も同じ商品を投入し続ければ売れなくなるのは当たり前」と吐き捨てるが、まさにその通りである。

また別の衣料品メーカーでは、3年前にそこそこのヒットを出した商品を、ほとんど変えることなく投入し続けているが、やはり売上高が鈍ってきているとのこと。
商品のプランニング担当者は「同じ商品を3年も投入し続けたら飽きられるのは確実。初年度は新規性で売れる。二年目は昨年買えなかった人が買うから売れる。でも3年目は行き渡っているし、飽きられているから売れなくなるのは当然」と指摘するが、上層部が「前年実績」に固執した結果、そういう商品政策となってしまっている。

これで4年目も変わらなければ、この衣料品メーカーの業績はさらに低下するだけだろう。

どんなにバカ売れした商品だって何年間も同じ物を投入し続ければ、売れなくなるのは当たり前で、かつてのユニクロのフリースだって、大ヒットの反動で大ブレーキとなり、売上高が激減した時期がある。
2002年あたりのことだ。

今でもフリースは売られているが、店頭での展開数量は2000年ごろと比べると圧倒的に少ない。
2016年秋冬シーズンなんてフリースの存在感はほとんどない。
根強いファンがいるので、店頭には並んでいるが、数量は全盛期の何分の1という程度である。

考えてみれば当たり前のことで、いくら何百万枚売ろうが、複数年に渡って展開し続ければ多くの人は所有するようになっているし飽きている。
新色・新柄投入といったって根本的には何も変わっていないのだから、買われなくなるのは何の不思議もない。

毎年秋冬にユニクロのフリースを複数枚買い続ける人間なんて存在しない。

需要はゼロにはならない。買い替え需要もあるだろうし、今まで持ってなかった人が買ってみたいという場合もある。しかし、その枚数は全盛期とはケタ違いに少ない。
需要と供給とはそういうもので、服に限らずiPhoneでも自動車でも液晶テレビでも永遠に同じ数量だけ売れ続ける商品なんてものはこの世にはない。

定番品は別として前年継続品があるのはかまわない。
問題の本質は、前年継続品番があまりにも多すぎることである。

これによって店頭は新鮮味がなくなるし、各社から類似品も出回り店頭が一挙に同質化してしまう。
同じようなものなら、値段の安いところで買おうと思う人が増えるのは自然な流れである。

前にもこのブログで書いたが、3年位前まで、秋冬の大型スーパーの肌着売り場には「保温ステテコ」「発熱ステテコ」なる珍妙な商品が数多く並んでいた。

そもそもステテコというのは、春夏向けのズボン下(ズボンの下に穿く肌着。汗でズボンの裏地が肌に貼り付くことを防ぐ)であり、秋冬にはパッチ・股引と呼ばれる保温肌着が古くから存在する。

はっきりといえば、パッチ・股引・タイツがあるから、秋冬向けの保温ステテコなんていう商品は存在意義がない。

じゃあ、どうしてこんな珍妙な商品が数多く並んでいたのかというと、アホみたいな「前年実績主義」の賜物である。

2010年くらいから春夏の部屋着として、色柄を工夫したステテコが注目を集めた。
2011年の電力不足からそのステテコブームが拡大して、各社とも相当な売れ行きとなった。

2012年もその人気はある程度続く。2013年になると人気は陰り始める。
2014年には終わった。

しかし、前年実績主義でやると肌着売り場には「ステテコ」という商品の前年実績がある。
この「ステテコの前年実績」を守るためには春夏で落ち込んだ分を、秋冬で稼がないといけない。
かくして秋冬向けの「保温ステテコ」なんていう意味の分からない商品が作られて並べられた。

2016年秋冬の売り場では見たことがないので、各社とも大爆死で終わったのだろう。

当たり前だ。こんなに存在意義のない商品が売れるほど世の中は甘くない。

「ステテコの前年実績をキープせよ」と命じた大型スーパーの経営陣が一番のアホで、それに従った現場、メーカーも結果的にはアホだった。

これが「過度な前年実績主義」であり、百貨店も大型スーパーもその病に根元まで冒されている。
そして「保温ステテコ」みたいな意味の分からない商品を作っている。
そりゃ、衣料品・ファッション雑貨が売れなくなるわけである。














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