南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

企業研究

低価格・高機能のカジュアルウェアでワークマンが実演する「小売りの輪」理論

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 ワーキングウェアナンバーワンのワークマンが、カジュアルシェアをさらに拡大するのは確実なことになるだろう。

先日、商品説明会が行われたようで、その様子が各メディアで報じられている。
もっともわかりやすい内容がファッションスナップドットコムなのでこれを引用する。

「目指すはアウトドアのファストファッション」仕事着のワークマンが増産&拡充で一般層に訴求
https://www.fashionsnap.com/news/2017-09-12/workman-outdoor-sports/

スポーツ、アウトドアへの拡販ということだが、その中の何割かは確実にカジュアルシーンで使用を狙っているのではないだろうか。

ランニング人口が増えている現状では、純然たるスポーツシーンでの着用はそれなりの割合を占めると考えられるが、アウトドア人口は一時期の山ガールブームも終息しており、純然たるアウトドアでの着用というよりはカジュアル用途での着用を期待しているのではないかと思う。

すでに一昨年あたりから、ネットではユニクロをはるかに超える低価格・高機能のワークマンの商品がカジュアル用途で注目されており、今後こちらの需要が激増するのではないかと考えられる。

一部完売する商品も出るなど反響を受け、今年は増産と共にラインナップを拡充。アウトドアおよびスポーツ向けの商品群は昨年30億円、今年は60億円を売り上げ、来期は100億円を突破する見込みで右肩上がりだ。

とのことだが、100億円突破というとジーンズメイトよりも売上高が大きいということになるし、ローカルカジュアルチェーンよりもはるかに大きいということになる。

ドン・キホーテのオリジナルカジュアルブランドも100億円に到達しており、いよいよ、中途半端なカジュアルチェーン店はドン・キホーテとワークマンに駆逐されることが現実になりそうだ。

また、ユニクロも今後はある程度は牙城を侵食されることになるだろう。


価格は専門ブランドと比べスポーツ系商品は1/3、アウトドア系商品は1/2で提供し、低価格に設定することで極力値引きや特売を行わず、数年間売り続けることができるためロスが生じずに粗利率35%での値付けが可能だという。「フィールドコア」の「驚くほど軽いSTRETCH」シリーズの防寒用ブルゾン(税込2,900円)は昨年10万着を売り上げ、今年は2倍となる20万着を目指し10月から販売を開始する。

とのことで、販売数量も百貨店やファッションビル内で展開するアパレルブランドとはケタ違いになりつつある。100枚だ50枚だとチマチマ生産している百貨店やファッションビル内のブランドはもはや、追いつけない水準の生産数量となっている。


ただ、記事の見出しについては疑問を感じる。ワークマンが「ファストファッション」を目指すのなら、トレンド要素を排除したベーシック商品を数年間売り続けることでコストダウンを図るという手法は、おかしいのではないか。

この手法はファストとは正反対の手法で、かつてのジーンズメーカーやユニクロと近い「売り減らし」構造だと読めるからだ。

単に「低価格」だけを指して何でもかんでも「ファスト」とまとめるのは、さまざまな定義が揺らぐもとであり、その一端をメディア自らが担っているという笑えない状況を作っているといえる。


さて、ワークマンは全国800店舗とはいえ、郊外が中心で都心に店舗が少ないのが弱点で、都心にも店舗が多いドン・キホーテとは事業構造が異なる。
郊外店主体ということでは、ワークマンはしまむらに近いといえる。

郊外での出店が近いうちに飽和状態を迎えたときに、しまむらとワークマンは都心進出をどうするのかという決断に迫られることになる。

また、圧倒的に男性需要が多いと考えられるワークマンは、女性客を伸ばすのかどうするのか、という決断にもそのうちに迫られることになる。

盤石のビジネスモデル、永遠に劣化しない事業構造は存在しない。


男性客向けの郊外店として特化するもよし、女性客を取り込んで都心進出を果たして一気にメガブランドを狙うもよし、正解・不正解はない。

どちらの道を選んでもそれなりに苦難はあるし、失敗する可能性もある。
それらを飲み込んでどういう結論を出すのかに注目したい。


それにしてもワークマンの躍進、注目度の向上を見ると、まさに「小売りの輪」理論だと感じる。


ジーンズメーカーやカジュアルメーカーからの仕入れ商品を販売していたジーンズカジュアルチェーン店や大型スーパーに対して、低価格で価格競争を仕掛けたユニクロが、市場の王者となった。これが2005年ごろまでの話だ。

その王者ユニクロは、+J(ジル・サンダー氏とのコラボ)、UU(アンダーカバーとのコラボ)、ルメール、イネス、JWアンダーソンとブランドステイタスの向上を目的とした高付加価値路線に突入し始めた。

そうすると、今度は、ドン・キホーテやワークマンが、低価格・高機能を武器に、その牙城に侵入し始める。

まさしく「小売りの輪」理論だ。

ドン・キホーテやワークマンがこのまま成長を続けたと仮定すると、10年後か20年後には両者が今度は高付加価値ラインを導入し、そこに新たに低価格を武器にした新興企業が侵入し始めるだろう。

小売りの輪は永遠に循環し続ける。

これを見ると、人間の営みなんて意味があるのかと思ってしまうが、とりあえず自然死するまで生き続けたいなら、経済活動をやめるわけにはいかない。

反戦小説や反戦ドラマみたいに「虚しさを感じて、隠遁する」なんて行動をとることはできない。
現実から逃げて隠遁することが高潔な行動でもないし、賞賛されるべきふるまいでもない。

虚しかろうがなんだろうが、勝ち残らねば自然死を迎えるまで生き続けることはできない。

まあ、そんなわけで目の前で繰り広げられる「小売りの輪」理論の実演を楽しみながら眺めることにしたいと思う。



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アパレル業界は丸投げ体質か?
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イケアの売上高が日本で減少傾向にあるのは当たり前ではないか

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 洋服は毎月何枚か趣味と実益を兼ねて買っているが、家具類は買ったことがない。
そういえば、もうかれこれ10年近く家具は買っていない。

もともと家具にはまったく興味がないし、今使っている物が壊れたら買い替えるだけで、買い足しやら買い直しは毛頭する気がない。

逆に、引っ越しなどの必要に迫られてもいないのに、頻繁に家具店に行く人の気持ちはまったくわからないし、家具を頻繁に買う人の気持ちもわからない。

そんな当方からするとニトリだ、イケアだ、と騒ぐ人々が理解できない。
ニトリは相変わらず出店ラッシュが続いておりますます巨大化する兆しを見せているが、イケアは最近ほとんど出店を聞かず、噂すらあまり聞こえてこなくなっている。

そんなことを考えていたら、東洋経済オンラインにイケア不振の記事が掲載された。

意外と不調?イケア・ジャパンの巻き返し策
8年ぶり大幅値下げでニトリ・無印を追う
http://toyokeizai.net/articles/-/186013

2016年度の売上高は前年よりも減少して、767億円におわったという。


華やかな説明会の陰で、イケア・ジャパンの業績は冴えない。親会社を含めて非上場のため開示されている情報は少ないが、決算公告によると売上成長は2014年度を境に鈍化。2016年度の売上高は767億円で、同社が2020年までの目標に掲げる「1500億円」には程遠い。

2006年に日本1号店を千葉県船橋市にオープンしてから10年以上が経つが、店舗数は熊本の小型店1店を含めても9店のみ。2018年度の出店計画も1店で、目標とする2020年までの全国14店体制達成には黄色信号が灯る。

売り上げと出店ペースが伸び悩む中、2013年度に87億円あった営業利益も、2016年度には5分の1未満の16億円まで激減した。営業利益率は2.2%で、イケアグループ全体の12.8%から大きく見劣りする。

とのことで、記事中で使用されているグラフによると、2016年度の売上高は明らかに2015年度よりも低下して、2014年度とほぼ同じであることがわかる。

また営業利益と純利益は、2015年度、2016年度はかなり低い。
グラフの目盛りから判断すると2015年度の営業利益は10億円程度、純利益も3億円程度だろう。
また2016年度の純利益も10億円程度だと推測される。

この原因を記事ではニトリに押されているためだと説明するが、それはまったくその通りではないか。

日本人の中にはイケアを知らない人も多数いるのではないか。
逆にいうとイケアを知っていたり、イケアに対して興味のある消費者はもう取り込み切ったのではないか。

家具にあまり興味のない人間からすると、イケアがあろうとなかろうとどうでもよい。あまり自分の生活に変化はない。

中には「イケアの家具はデザインが良い」という人もいるが、当方からすると、ニトリの家具だってそこそこデザインは良いし、他の店もそれなりのデザインの商品がそろっているので、デザインの優越性なんてほとんど理解できない。

おそらく、洋服に興味のない人もそういう感じなのだろうと思う。

洋服で「ユニクロのデザインは」とか「イタリア物は」と言っている人のほとんどは、実は「物」ではなくて「ブランド名」だけで判断しているにすぎないが、商品の見た目の差異なんてかなり小さくなっていて、本当に興味のある人か、本当の目利きでないと判別できない。

家具もそんな感じになっているように当方からは見える。

家具も洋服も、多くの消費者は「見た目がそこそこ、品質もそこそこで値段は安ければ良い」という志向だから、見た目と品質がそこそこで低価格のニトリは売れる。イケアも同じ範疇だが、ニトリがあればイケアは要らない。

あと、個人的にイケアを使いたくないと思うのは、買ってきた家具を組み立てるのがめんどくさいからだ。それならニトリやその他家具店で最初から組み立ててある商品を選ぶ。

洋服も売れにくくなっているが、家具は本来ならもっと売るのが難しい。

それこそ洋服なら1枚や2枚余計に買っても収納場所を確保するのは容易だ。
しかし、家具はそうはいかない。
椅子が安かったから1脚余計に買ってきたなんてことはできない。
通りがかったらソファーが安かったから衝動買いしたなんてことはちょっとできない。

そうすると、買い替え需要や買い足し需要は数年に1度あるかないかだから、洋服よりも日々販売することは難しいのではないかと思ってしまう。

洋服なら毎月複数ブランドを買うこともできるが、家具はそういうわけにもいかない。

1ブランドで買いそろえたら、最低でも数年間は他ブランドを買い足す必要がなくなる。

洋服の場合は複数ブランドが並立できるが、家具の場合はそれは難しいのではないかと思う。
ニトリとイケアが拮抗して並立するという事態は極めて起こりにくく、どちらかのシェアが大きくなれば、もう片方は小さいシェアを獲得して存続するしかない。

ニトリが圧倒的になれば、イケアの売り上げ規模が今以上に成長することはほぼ不可能に近いと個人的には見ている。

だからイケアが国内で伸び悩んでいることは何の不思議もない。

それにしてもニトリのおかげでグローバルインテリアブランドの本格上陸が阻止されているというのは、洋服でいえばユニクロ、ジーユーのおかげでグローバル低価格ブランドの本格上陸が阻止されているというのに似ていて興味深い。

運営側の不手際もあるがトップショップ、オールドネイビーは撤退、フォーエバー21は伸び悩んでいる。

わけのわからんグローバルブランドにわが物顔をされるよりは、ユニクロやニトリといった自国企業が君臨してくれている方が好ましいといえる。


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鎌倉シャツのビジネスモデルが秀逸なポイントを考えてみた
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/na76c612e6d37


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中途半端なアパレルはワークマンとドン・キホーテに食い散らかされる

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 メディアはもとより、その折々のトレンドに流されやすいアパレル企業経営者は、今、ユニクロとゾゾタウンと百貨店くらいしか注目していないように感じられる。

しかし、ことカジュアル分野でいえば、ワークマンとドン・キホーテが既存アパレルの牙城を脅かすダークホースになると見ている。もしかしたら、「高機能・低価格」という評価軸に限定すれば、この両者はユニクロの牙城も侵食できるのではないだろうか。

以前に、ワークマンの防水透湿ジャケット「イージス」をユニクロのブロックテックパーカと比較してみた。
発表されているスペックだけで見ると、ワークマンの「イージス」の圧勝だった。そして低価格でもイージスの圧勝である。

残念ながらというか、こちらの勉強不足で、いまだにイージスの現物が確認できていないのだが、着用してみてシルエットがおかしくなければ、もうブロックテックパーカを買う必要はなく、これからはイージスのみを買うことになる。

ワークマンには、探せばほかにもこの手の商品は山ほどあるのではないかと思う。

先日、ドン・キホーテの決算発表があった。増収増益だが、その中で「時計・ファッション用品」の売上高が2・8%増の1584億円にまで増えた。

しかし、この中には高単価のラグジュアリーブランドの商品も多数含まれているため、1584億円がまるまる通常価格のファッション用品の売上高ではない。

この分野の中で、ドン・キホーテのプライベートブランド(PB)である「アクティブギア」と「レストレーション」の2ブランドが含まれる。前者がスポーツウェアで後者はカジュアルである。
もちろん、スポーツウェアといってもアスレジャー寄りなのでカジュアルとして使えるアイテムも多数ある。

中でも「レストレーション」は売上高100億円に到達したということで、次は300億円まで拡大させる計画が発表されている。

ちなみにこの「レストレーション」の売上高の方が、ジーンズメイト(売上高91・5億円)よりも大きくなっているというのが現実だ。

https://senken.co.jp/posts/donki-hd-170818

この2PB強化のニュースは様々な媒体で取り上げられたが、実際に商品写真が掲載されているものは少なかった。
そういう当方もドン・キホーテを利用することは年間でほとんどないから実際にその売り場を見ていない。どのような商品なのか皆目わからないのに感想を述べることはできないので、いくつかニュースを見ていたら商品画像が掲載されているものがあったのでご紹介しつつ、画像を少し引用したい。

http://fashion-j.com/news/2017/05/donki-fashion/


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画像からだけでいえば、商品の「見た目」はそれほど悪くないと思う。
とくにスポーツの「アクティブギア」はジーユースポーツよりもデザイン的には良いのではないかとも思う。

カジュアルの「レストレーション」も少し安物っぽさがあるが、デザインはそれほど悪いとは思わない。これよりも変なデザインの商品は珍しくない。

0531donk3


0531donk5



あとは値段が安ければそれなりに売れるだろうと思う。
これで値段が高ければ売れる見込みはゼロだが、ユニクロ並みかそれより少し安い程度で抑えれば、それなりに売れるだろう。300億円の達成は難しくないだろう。

一昔前までのスーパーマーケットに並んでいた低価格カジュアルは商品の見た目が圧倒的に劣っていたが、同価格帯の2017年のドン・キホーテの商品はそこまで見た目は劣っていない。

その理由はここで報道されていた。

https://www.wwdjapan.com/454216

PB開発の責任者としてプロジェクトを率いるのは、ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)出身で、UA内で初めて本格的なSPA業態として「グリーンレーベルリラクシング(GREEN LABEL RERAXING)」を立ち上げから手掛けた、小田切正一さんです。

50歳になるのを機に独立され、ブランド開発やマーケティングなどを業容として活動されていたところ、大原(孝治ドンキホーテホールディングス)社長兼CEOから「ドンキでセレクトショップを作りたいので協力してほしい」とラブコールを受けて事業に参画。今はドンキホーテホールディングス・リテール・マネジメント取締役兼ドン・キホーテSPA開発本部本部長に就かれています。

とのことで、個人的にはこの小田切氏とはまったく面識がないのでどんな個性と能力の持ち主なのかはわからない。
しかし、出身母体で長く要職に就いていたということは、仮に本人に商品デザインや商品製造の能力がなかったとしても、人脈やら背景やらブレーンを持っているはずで、ドン・キホーテのPBにそれがふんだんに使われていることは間違いない。

というか、それがなければ、ドン・キホーテが小田切氏をスカウトする理由はない。

グリーンレーベルリラクシングの商品企画のノウハウが投入されているから、マシな商品デザインに仕上がっている。

実はこれはドン・キホーテだけの特殊事例ではなく、2005年以降、スーパーマーケットの衣料品も含めた低価格ブランドの商品デザインがマシになったのは、すべて同じ理由である。

この小田切氏のような人たちがあちこちにいて、その人たちにスーパーマーケットも低価格ブランドも商品企画を依頼しているからだ。

かつての一流ブランドに属していた企画担当やデザイナーが独立して(企業側からリストラされて)こういう企画請負会社を数多く設立している。
彼らは彼らで食わねばならないから、低価格ブランドやスーパー向けの商品企画だって条件さえ合えば引き受ける。

かくして、かつての大手アパレルと低価格ブランドのデザイン差異は限りなくゼロに近づいたというわけだ。

同じようなデザインでそこそこの品質が担保されているなら、よほどの変人マニアでない限りは安い方で買う。

これが低価格ブランド隆盛の一因である。

さて、ラグジュアリーブランドやその横並びの高価格ブランドは別として、かつて百貨店や専門店を席捲した「中価格帯」といわれるようなブランドは、今後ますます苦しくなる。

見た目も商品の品質も低価格ブランドとさほど変わらなくなっているからだ。
それでいていまだに価格差がある。変人マニアではない大多数の人は必ず安い方で買う。

この現実を直視できないなら、この手のブランドはますます凋落する。
いずれ、ワークマンとドン・キホーテに大きく売上高を削り取られることになる。
ユニクロだってもう「高機能・低価格」だけではこの2社にある部分では追い越されている。

「ブランド」とは何か?「付加価値」とは何か?を既存アパレルは鼻血も出なくなるほど考えなくてはならない局面に追い込まれている。



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三越伊勢丹とカルチュアコンビニエンスクラブの提携は何が目的だったのか?
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n101ec8cd6c29?creator_urlname=minami_mitsuhiro


ファクトリエが国内工場を立て直せない最大の理由
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ジーンズメイトに必要なことはオリジナルジーンズの開発ではない

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 経済系のメディアでは一挙手一投足が注目されがちなライザップグループによるアパレル買収だが、正直なところ短期間でのV字回復は難しいと見ている。

ジーンズメイトも何かと話題だが、今のところ、売り場を見ている限りにおいては新方針は具現化されていない。

その一環で、東洋経済オンラインに新しい記事が掲載されたのだが、いろいろな意味で興味深く読んだ。

ジーンズメイト、RIZAP傘下で再生できるか
2人のユニクロ出身者によるジーンズが武器
http://toyokeizai.net/articles/-/184981

1つには、ライザップも手をこまねいているわけではなく、様々な策を講じている点
もう1つは、この記事で紹介されている施策は業績回復にはほとんど効果がないだろうという点
3つ目は、元ユニクロ社員といっても、モノづくり担当は、所詮モノづくり担当に過ぎないという点

である。

大まかにまとめると、ジーンズメイトの回復の切り札として、自社ジーンズブランド「メイト」を開発したとのこと。価格は4900~6900円。

メイトジーンズは裏地のオレンジが映える、独特なデザインが印象的だ。おしりポケットのステッチはmateのMと富士山をイメージ。正面のポケット下には隠しリベットを仕込ませるなど、細部の作りにもこだわった。

とある。

しかし、読んで写真を見た限りではこれを消費者が買いたいと思う決め手はゼロだ。
裏地がオレンジだろうが赤だろうが関係ないし、バックポケットのステッチがあろうとなかろうと関係ない。
それが消費者が「買いたい」と思うポイントではまったくない。

そもそもジーンズメイトが自社企画製品(プライベートブランド)を手掛けるのは初めてではない。
あまり売れておらず、話題にもならなかったがすでにいくつかやっている。

例えば、プレイン、ブルースタンダードなどだ。
またジーンズだけでいえば、ビッグジョンとのコラボ別注品やビッグジョンにOEM生産させたものなども過去にあった。

直截な言い方をするとそれらはいずれも不発だった。

今後、この「メイト」もジーンズだけではなくトータル展開を考えているとのことだが、それならトータルに展開しているブルースタンダードとの棲み分けはどうするのか?

ジーンズメイトの直近の2017年2月期決算は、売上高91億9500万円(対前期比1・2%減)、営業赤字、経常赤字、当期赤字で9期連続赤字を更新した。

その前年も売上高は93億円にとどまっており、すでにローカルチェーン並みの売り上げ規模にまで縮小している。

そんなジーンズメイトが売り上げ回復を目指すのであれば、やることは「商品の単品開発」ではない。
単品の商品で戦局を一変させるには、1年戦争当時のガンダムや、波動砲を装備したヤマト並みの超兵器でなくてはならない。

しかし、今回の「メイト」ブランドのジーンズは、「普通のジーンズ」でしかない。
じゃあ、同じ価格帯のライトオンの「バックナンバー」ジーンズとどう違うの?
グローバルワークやその他の同価格帯ブランドのジーンズとどう違うの?

ということになる。

そしてそれらを押しのけて、「メイト」を選ぶ理由がどこにあるの?

ということになる。

裏地のオレンジとかバックポケットのM字ステッチとか、そんな些末なディテールなどまったく意味はない。

単品で戦局を一変させた例としては、例えばユニクロのフリース、ヒートテックがある。
どちらかというとフリースよりもヒートテックの方がそういう実績にふさわしいと思う。

フリースもいろいろと開発秘話はあるだろうが、買ってみた感想は「安かろう悪かろう」だった。当方にとって低価格以外に魅力はなかった。

ユニクロはフリース大ヒットの反動で既存店が大幅に前年割れする。
そんな中で2度目の大ヒット商品となったのがヒートテックで、寒さが苦にならない当方にとっては無用の長物だが、世の中からは圧倒的な支持を受けた。
初ヒットは一発屋が数多くいることから考えても、まぐれ当たりでできることもあるが、2度目のヒットはそれよりも難しい。

単品での戦局を変えることを望むなら、ヒートテックほどの超兵器でなくてはならない。

単なるジーンズの色違い、ステッチ違いでは戦局を一変させるどころか、戦局に飲み込まれて終わりである。

ジーンズメイトに今、必要なことは、

1、マーチャンダイジングの見直し
2、販促方法の見直し
3、広報・宣伝方法の見直し
4、各店舗の改装・リニューアル

である。単品開発ではない。

文中にもあるように、中高生時代にジーンズメイトを愛用していた学生も、卒業後は利用しなくなるのはなぜか?

それはジーンズメイト各店の内装、店づくり、品揃え、雰囲気が圧倒的に中高生向けだからである。
実際のところ、探せば大人でも着られる商品もあるし、価格の割に品質・デザインの良い商品もあるが、そんなものはすべて帳消しにされるし、そこまで丁寧に見てくれる消費者なんていない。

どうみてもジーンズメイト各店は、中高生向けの店にしか見えない。
そんな中高生向けの店に、「37・5歳がターゲット」というブルースタンダードを突っ込むのだから、売れなくて当然である。

中高生向けの店に、オッサン向けブランドを並べて売れると思っている方がおかしい。

中高生とオッサンが一緒に買い物をするユニクロやジーユーとは、ジーンズメイトの置かれた状況、品揃え、世間のイメージは大きく異なる。同じようなことが再現できるとなぜ考えられるのか不思議でしょうがない。

ジーンズメイトがいずれ規模拡大に転じる局面があるかもしれないが、それは直近のことではなく、数年後以降のことだろう。

反攻の狼煙として、商品開発を掲げる気持ちはわからないではないが、過去にもさんざん失敗した商品開発の総括なしに新たなブランドを立ち上げるのはいかがなものだろうか。

そんな小手先のことではなく、必要なことは根本的な部分の見直しではないか。


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三越伊勢丹とカルチュアコンビニエンスクラブの提携は何が目的だったのか?
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ファクトリエが国内工場を立て直せない最大の理由
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「販売員は五年で使い捨て」では人員は集まらない

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 景気回復の実感は伴わないといわれながらも人件費は上がり始めている。
アルバイトの時給は上がっており、現在の大阪市内では800円台の時給の店にはアルバイトの問い合わせはほとんどない。

例えば、先日、バッタ屋の聖地である天神橋筋商店街で顔見知りのバッタ屋のお兄さんと立ち話をした。
「求人を出してもさっぱり問い合わせがない」とのことだった。
時給はおそらく最低賃金で900円未満なのだろうが、その条件だと他の店の時給がもっと高いから問い合わせすら来ない。
他のバッタ店でも似たり寄ったりだと聞いたことがある。

一方で、ファッション専門学校生でユニクロやジーユー、牛丼のすき家でアルバイトをしている学生が毎年何人かいる。
一昨年くらいから話を聞いてみると、時給はかなり高い。夜間勤務になると時給は1000円を越えているだろう。
学校が終わってからの平日夕方と、土日の休みにフルに入ると、月額20万円以上の給料は当たり前にあるという。

給与条件はかなり改善されており、そりゃ、時給900円未満の店にはアルバイトの問い合わせすらないのは当然といえる。

顔見知りのバッタ屋に限らず、アルバイトですら販売員が集まらない洋服店が急増している。
理由は給料が低く、待遇が悪いからだ。

一方で、高額が稼げるユニクロやジーユーなどの店がある。

どちらに人が集まるのかというと当然後者となる。

苦戦する洋服店は多いが、その苦戦を理由に待遇を低くしたままだと、さらに人員は集まらなくなりつつあり、人員が集まらないからさらに店舗運営に苦慮するという悪循環スパイラルに陥っている。

麻布テーラーが提案する「販売員は五年で使い捨て」な粋なスタイリングのお話
http://ryoheiyotsumoto.com/5year/



悪循環スパイラルに陥りながら、それに気が付かず「人件費抑制は絶対正義」という周回遅れの考えを持った企業の話である。

「契約社員募集」という求人に対して、「5年で辞めてもらうけどイイ?」と面接官が尋ねたというが、景気が緩やかに回復しつつあり、販売員の人手不足が顕著になりつつあるこの環境下で、「ハイハイ」とその条件を呑む人はほとんどいないだろう。

この会社は2008年のリーマンショックで脳内が停止しているといえる。

そもそも「麻布テーラー」はメルボメンズウェアーが運営するオーダースーツショップで、現在30店舗弱ある。

メルボメンズウェアーはメルボ紳士服の子会社という形態をとっているが、メルボグループは2001年に一度民事再生法を申請している。

90年代後半から2000年前半は、メンズビジネスウェア関連企業が数多く経営破綻した。
ワイシャツメーカーだと、カネタ、信和シャツ、トミヤアパレル、松屋シャツなどなど。
ネクタイ問屋だと、朝倉商事、安藤、アルプスカワムラなどなど。
スーツだと、メルボ、トレンザ、エフワンなど。

メルボの経営破綻はそのうちの一つだった。

メルボの現在の方針はこのときの教訓?によるものだと思われるが、そろそろ時代も環境も変わりつつある。

人余り現象はなくなり、現在はあらゆる分野で人手が足りなくなりつつある。
それを反映してかつて「ブラック企業」と揶揄されたユニクロ、マクドナルド、すき家あたりは従業員とアルバイトの待遇を大幅に改善して、それが業績慎重につながっている。
マクドナルドもすき家も一時期の不振は完全に脱した。

メルボのスタイルは完全に周回遅れだし、メルボと同じ思想のアパレル企業は完全に周回遅れになってしまったといえる。

大学卒業者の内定率も、高校卒業者の内定率も過去最高となっている。

少ない人件費と休日でワンオペ労働を強いるローコスト経営なんてやり続けていたら、ますます、アルバイトも正社員も集まらなくなる。これが今の状況であり、それが理解できないアパレル企業は今後さらに淘汰されることになるのは間違いない。

メルボの2001年当時の経営破綻には驚いたが、その後、民事再生から復活したのも驚きだった。
アパレル企業で民事再生法を申請して、復活できる企業はほとんどないからだ。
先に挙げた企業でも現存しているのは、メルボ、トレンザ、トミヤアパレル、エフワンくらいだ。
あとはすべて倒産した。

民事再生法が認められてメルボに資金投入された理由は、新業態だった「麻布テーラー」が評価されたことにあった。

その後、麻布テーラーは有名店に成長するが、断続的に外野から見ていると、それほど成長する理由がわからなかった。
キーマンとなった役員がおられたと聞くが、その方も何年か前にお亡くなりになったとも聞く。

その役員のキーマンぶり以外で、そこまで成長できる要素は外野からは見当たらないから、メルボの復活も奇跡(当時の麻布テーラーが成長エンジンだと評価されるとは思わなかった)だし、麻布テーラーのそのあとの成長も奇跡だと思っていて、二重の奇跡が重なったと個人的には思っている。

まあ、そんなわけで、リーマンショックのまま思考停止したアパレルと、そこから脱したアパレルとは今後ますます優勝劣敗が明確化し、リーマンショックのまま思考停止したアパレルは淘汰され消え去ることになるだろう。



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