南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

企業研究

新参ブランドこそマージンミックスの考え方で商品構成を考えてみては?

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 すでにある程度の知名度を得て、ステイタス性を得たブランドは別として、新しく立ち上がるブランドはどこかに「お得感」がなくてはならないのではないかと思う。

激安品を作れということではなく、どこかのキャッチフレーズではないが「お!値段以上」みたいな商品やサービスが一つや二つは必要ではないか。

産地の製造加工業者がオリジナル製品を作ることは最早、当たり前となっているが、知名度もステイタス性もない商品を高値で売ることは相当に難しい。

そういう業者でよく見かけるのが、「全品で利益を確保したい」という姿勢である。
もちろん、企業として利益を追求する姿勢は正しいのだが、知名度もステイタス性もないブランドがすべての商品を高値で売るのは至難の業だ。
売れなければ利益確保もクソもない。

ブランドトータルで利益を得ることは当然としても、品目の中には「客寄せ」目的で儲け無しとか、下手をすると少し赤字になるくらいの「お得感」のある商品が必要ではないだろうか。

先日、東洋経済オンラインで居酒屋チェーン店の鳥貴族の大型連載があった。
なかなか読み応えのある連載だった。
鳥貴族はついに500店舗の出店を達成したことからこのような連載があったのだろうと推察される。

そんな連載記事の中でこんな箇所がある。

http://toyokeizai.net/articles/-/157686

1985年、大倉は25歳のとき、150円、250円、350円の3本立て均一料金の焼き鳥専門店「鳥貴族 俊徳道店」(約9坪、27席)を個人創業した。立地は近鉄大阪線の乗降客数の非常に少ない、俊徳道駅前商店街で、鳥貴族の第1号店である。

最初は全品250円均一にしようとしたが、ビールの原価が200円程度もして250円均一では赤字になると判断、350円均一メニューを加えた。

中略

夢は大きかったが「150円、250円、350円の3本立ての均一価格」には損をしたくないという思いがにじみ出ていた。その結果、顧客吸引力が弱く、閑古鳥が鳴く日が続いた。開業から1年数カ月間は倒産と隣り合わせの切迫した状態が続いたのである。

とある。

飲食と衣料品・繊維製品という違いはあるが、どこかの産地ブランドと似てはいないだろうか?
全品で利益を出そうとして「お得感」が全くない価格設定になってしまっているブランドをよく見かける。

とくに知名度もステイタス性もない新参ブランドでそういう売り方はかなり受け入れられにくい。

そんなときに「村さ来」創業者の本を読んだのだそうだ。

原価率の高いビールを原価で売って損を出しても、原価率の安い酎ハイを売って儲けるやり方を編み出した。「それで利益が出なくなったらビールは値上げせずにお通しで100円取れ!」というのが清宮の考え方だった。
清宮は飲料・フードメニューのトータルで利益を出すという当時としては画期的なマージンミックスの方法を実践した。こうして「村さ来」は「イッキ飲み」に代表される酎ハイブームをつくった。

そしてこれに触発されて、鳥貴族は

大倉は清宮の著書に触発され粗利益率の高い商品と低い商品とを組み合わせて販売し、一定の粗利益率と客単価の確保を狙うマージンミックスの考え方を導入した。

ビールも含め「全品250円(税抜)均一」に業態転換、勝負を懸けた。大倉は飲料・フードメニューすべてのマージンミックスで少しでも利益を確保すればよいと、腹をくくった。結果的に大倉のこの決断が倒産寸前の鳥貴族を救ったのである。


とのことである。

30年前のことだからビールの原価などは今は少し違ってきているのかもしれないが、飲食業以外の業態でも参考になる考え方ではないだろうか。

繊維製品においてハンドメイド、オーダーメイド、オートクチュールの分野以外は、原料段階から店頭までのあらゆるシステム・機械類は大量生産を前提として組み立てられている。

「おばちゃんが手編みして月に何枚も編めないから、セーターが1枚15万円する」というような売り方は、通常の繊維製品ではほぼ不可能だ。
できなくはないしやっても良いが、よほどの巧妙にストーリーを作ってメディアを使わないと絶対に売れない。

自社サイト(俗にいうホームページ)すら満足に所有していない製造加工業者がそんなに巧妙にストーリーを組み立て、ウェブも含めたメディアを使いこなせるとは到底思えない。

じゃあ、大量生産を前提とした中で、マージンミックスの考え方を取り入れて「お得感」を出して販売量を増やし、さらなる大量生産につなげる方が理論的ではないか。

「うちの〇〇は本物にこだわっているから」といって名も知らぬ新参ブランドが高価格設定していて、本物かどうかちょっと怪しい部分はあるが著名ブランドがそれよりも安くて同じカテゴリーの商品を売っていたら、間違いなく多くの消費者は著名ブランドを支持する。

じゃあ、「損して得とれ」ではないが、新参ブランドは何か1品か2品くらいはマージンミックスの考え方を採用して、赤字覚悟の客寄せ商品が必要ではないか。

資金繰りや生活費に切羽詰まっていたとしてもだ。

もし、自分が繊維業界の人間ではなく、まったくの一消費者だとして「知名度があって割安なブランド」と「知名度がなくて高いブランド」のどちらを選ぶか考えてみれば良い。

そんなわけで売り方や値段設定を、とくに知名度のない新参ブランドはもう一度見つめ直してもらいたい。










ワールドの持株会社の新社名を見て感じること

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 かねてより4月1日から持ち株会社に移行すると発表されていたワールドだが、その各社の新社名が発表された。

数が多すぎて覚えきれないので以下を参照してもらいたい。

http://www.senken.co.jp/news/corporation/world-170214/

さて、一覧表でみてもらってもわかるように「ワールド」の冠が付く会社と、そうでない会社がある。

ここからは個人的な意見になるが、「ワールド」の冠が付かない会社は基本的に今後売却される方向になるのではないかと見ている。

そもそも「持ち株会社」にするメリットとは一般的に

企業買収や事業売却などがスムーズに行いやすい事です。

他の会社を買収する際、吸収合併するには時間も手間もかかります。買収される側の企業には、クライアントや顧客への社名変更の告知、あるいは看板やら社員の名刺やら、色んなものを変更する必要があり、膨大なコストが掛かります。社名変更に伴い、手違いなど大小様々なトラブルも起こるでしょう。

ところが、持株会社を設けていて、その傘下に入る形式にすれば、買収される企業はそのままの社名で事業を継続でき、コストやトラブルはほとんど発生しません。同様に、事業の一部を売却する場合も、持株会社にしていれば様々な手間やコストを省略できます。

http://www.777money.com/tameru/column/motikabu_riyuu.html

と説明されている。

だから、ワールドが持ち株会社制にするのは、企業買収もさることながら、不振ブランドの売却が目的ではないかと個人的には見ている。

そして「ワールド」の冠が付かない新会社はその対象ではないかと思う。

先程の繊研プラスの一覧表を見ると、ワールドの冠が付く会社はいわゆる管理、開発会社がほとんどで、それ以外のメンズ、レディース、セレクトなどの業態はすべてワールドの冠が付かないので、今後ワールドは管理・開発関係の会社のみ残して、メンズやレディースなどは条件次第で売却することがあり得るのではないかと思う。

一つだけ奇異に感じるのは、卸売り事業だけが「ワールド」の冠を付けた社名を与えられており、ここは手放すつもりはないようだ。

アパレル業界は90年代後半から狂ったようにSPA化を推進してきたが、近年、そのSPA事業が行き詰まる企業が増えた。
ワールドしかりイトキンしかり三陽商会しかりである。

逆にここ2~3年は卸売り事業が見直される会社も出てきた。
ワールドもその一つである。
売上高は大きく伸びないものの、ある程度の利益率は確保できるからだ。

ワールドは寺井秀蔵社長のもと、97年から猛烈な勢いで卸売り事業を毎年縮小し続けてきた。
2003年ごろまで筆者は決算会見に出席していたが、「今年は卸売り事業を〇〇%縮小しました」とむしろ誇らしげに発表されていたことを覚えている。

しかし、猛烈なSPA化は近年の業界を見ていれば諸刃の剣だったことがわかる。

SPAはたしかに成功すれば高収益が見込めるが、売り上げ不振に陥れば立て直すことが難しい。
なぜなら、企画から販売までを一貫で手掛けているため、店頭の売れ行きを修正しにくいからだ。
売れないということはその店自体、ブランド自体が支持されにくくなっているため、店舗内装も含めてよほど大幅な軌道修正でもしない限りは、消費者に振り向いてもらうことができない。

極端な話、ブランド名は同じでも丸っきりすべてを変えてしまうくらいのことが要求される。

一方、卸売りは、売り上げ規模を大きくするのは難しいが、売り先を変えることができる。
なぜなら、売り先は自社店舗ではなく他社店舗だからだ。

A店から売り先をC店に変える。

そんなことが可能になる。

結果的に、C店に変えたおかげでブランド自体の消費者イメージが変わることもある。

だから卸売り業態が見直されつつあり、ワールドもその例外ではないといわれており、卸売り事業だけがワールドの冠を残すようになったと業界ではみられている。

ワールドに限らず、業界には売りに出されているブランドが数多くあるが、不振SPAブランドは総じて評価が低く買い手がつかない状況にある。

さて、今後は、ワールドも含めて様々なかつての著名ブランドが売却や廃止の憂き目を見ると考えられており、ブランド勢力図は大きく変化することになるだろう。

5年後、10年後はどのようになっているのか、なかなか想像もできない。






三陽商会のV字回復はありえない

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 三陽商会が遅れてきた中期計画を発表したのだが、無難な感じにまとめられており、新鮮さ斬新さはなかったと感じた。

長らく百貨店にほぼ特化してきた同社だが、ショッピングセンターへ進出し、ファッションビルとネット通販を強化するという内容で、常識の範囲内でまとまったという印象が強い。

即効性はほぼ期待できず、どれだけ地道に気長に根気よく取り組めるかにかかっていると思う。
この内容で、V字回復できると思っている人がいるなら、ちょっとその見識を疑う。

三陽商会、直営店とECに投資 新中計を策定
https://www.wwdjapan.com/381482

この記事が過不足なく公平にまとめていると思う。

同社にとって売上高の7割を占める百貨店の市場縮小を見据え、ECやショッピングセンター(SC)での事業拡大に乗り出す。

とあるが、残念ながらショッピングセンターも市場規模は縮小しているし、ECは市場の拡大ペースが鈍化しており、優勝劣敗が鮮明になりつつある。
とても後発の企業が一朝一夕で業績を拡大できる状況ではない。

ちょっと脱線するが、同じ事柄でも書き方一つで大きく変わる。
このWWDの記事や繊研新聞の記事なら、「新鮮味はないがまあ、それしかやりようがないよな」という感想を持つが、正式発表の前に書かれた日経新聞の記事なら「今さら何を言ってるの?三陽商会の首脳陣はちょっとおかしいんじゃないの?」と感じられる。

記事の切り抜き画像を貼っておく。

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見出しは「三陽商会、SCや駅ビルに活路 百貨店苦戦で 低価格の新ブランド」となっており、現在のSCや駅ビルの状況を知っている人間にとっては「そこに活路なんてないわ」としか感じられず、そこに「活路がある」と思っている経営陣はおかしいのではないかと感じられてしまう。

日経新聞としては、新機軸をより集中的に書くことで、記事への注目度を高めたかっただけだと思うが、この書き方では注目は集まるかもしれないが、三陽商会の首脳陣の見識が疑われる方が可能性が高いのではないかと思う。

自戒も込めて気を付けなくてはならないと改めて思う。

それはさておき。

識者の方々は置いておくとして、SCももう青天井の状態ではない。
単なる体感で語ってるわけではなく、数字がそれを示している。

2016年(暦年)の既存SC売上高対前年比は▲1.1%と2013年以来3年ぶりに下回った。
http://www.jcsc.or.jp/cat_sales/p_20170209_6586

日本ショッピングセンター協会の正式発表である。
既存店ベースでは前年割れを起こしているのであり、個人的には来年以降もこれが続くのではないかと考えている。

ちなみに新店も含めた業績は

SC年間総売上高(全SC 3,212ベース・推計)は、速報値で31兆1,241億円で前年比+0.1%となった。テナント総合は▲0.9%、キーテナント総合は▲1.4%となった。

とあり、▲はマイナスという意味で、新店を合わせてすら0・1%増にしかなっていない。
新店効果はほぼなかったということである。

ショッピングセンターにこれから新規参入する三陽商会は並大抵ではない苦戦を強いられるであろうことは容易に想像できる。
さらにいえば同じ大手の一社であるイトキンはショッピングセンターを大幅縮小しており、そこに三陽商会が新規参入するというのはよほどキチンとした構想を持って当たらないと確実に失敗するだろう。
どのような構想を描くのか注目したい。

また駅ビル(いわゆる駅近隣のファッションビル)だが、これもすでに成長分野ではなくなっている。
しかし、定期的に不振テナントを入れ替えるため、最初のチャンスくらいはもらえるだろう。
問題はそこで出店した後、実績を残し続けられるかどうかである。
売り上げ不振が続けばテナントを入れ替えられるだけである。

業界紙の中には、小規模ながら実績を残した同社のギルドプライムに期待する声もあるが、ギルドプライムはかなりニッチな層に特化しており、大規模に成長する見込みはほぼない。
テイストを薄めるとそれは可能かもしれないが、おそらく「ブランドらしさ」がなくなって逆に大苦戦に陥るのではないか。

WWDの記事中にもあるように新ブランドを立ち上げて対応するしかないが、マンパワーが低下した三陽商会にヒットを飛ばせる新ブランドを立ち上げられるような人材が残っているのかどうか疑問を感じる。

EC(いわゆるネット通販)に関しても同じで、成長分野と目されているものの、アパレルに関してはなかなか厳しい状況になっている。
先日、ここでも書いたが、先行していた通販のスクロールがアパレルECの撤退を決定した。
年商600億円規模の通販会社ですらアパレルECは成功できなかった。

これまでEC分野では、ほぼ鳴かず飛ばずだった三陽商会がすんなりと業績を拡大させてもらえるとは到底考えにくい。

今回中期経営計画で打ち出されたいずれの項目も、苦戦が予想されるので、三陽商会は引き続きイバラの道を歩むことになると思う。

記事中では、駅ビルに関して

それでも岩田社長は「失敗の経験も生かせるはず。モノ作り、MD、価格設定などうまくいかなかった理由を分析し、一つ一つつぶしていく」と再チャレンジに意欲を見せる。

という抱負が述べられているが、駅ビル以外のSC、EC、その他全分野に対してこの姿勢で臨む必要がある。

そうすればもしかすると将来的には展望が開ける可能性がわずかながら残っている。
どの分野に対してもイージーには考えておられないとは思うのだが。

くどいようだが、今回打ち出されたどの販路もすでにレッドオーシャンになりつつあり、V字回復できることは考えにくいので、その部分を加味して取り組んでもらいたいと思っている。






アパレル業界の「よいときを知っている人間」はあまり期待できない

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 先日、こんな記事が掲載された。

ライザップは「第2のユニクロ」を狙っている
アパレルで6社目のジーンズメイトを買収
http://toyokeizai.net/articles/-/155794

ライザップグループによるジーンズメイト買収に対する未来予想記事なのだが、正直この見出しは外れていると思う。

第2のユニクロなんて狙っていないし、狙う資格もないし、狙ったところでそうはなれないからだ。

一般メディアの悪癖の中に「なんでもユニクロと比べる」というものがある。
東洋経済は本来決算に強いはずなのだが、売上高100億円未満にまで縮小したジーンズメイトがどうやって売上高8000億円のユニクロに追随できるというのだろうか。

ジーンズメイトの今の規模ならライトオン、マックハウスに追随することすら難しい。

ライザップの買収したアパレルはいずれも「卸業」ではなく「小売業」である。
ということは、日銭稼ぎと株価対策がメインの目的ではないかと想像できる。

もちろん、何らかのシナジー効果は期待しているとは思うが、低価格ヤングレディースの夢展望、百貨店ミセスの馬里邑、ジーンズカジュアルのジーンズメイトと、買収したアパレル小売り業のテイストもターゲットもバラバラである。
テイストもターゲットも価格帯もバラバラの企業をいくら買収したところでシナジー効果は望みにくい。よほど上手く設計しないと、相乗効果は発揮できない。

で、この東洋経済オンラインの記事は、有益な部分が一つあって、ライザップグループにアパレル業界のベテランが多数参加していることを記録してくれている。抜粋してみる。

まず、2016年11月に入社した岡田章二氏(51)。「ユニクロ」のファーストリテイリングに20年以上在籍、システム部長や執行役員CIO(最高情報責任者)などを歴任し、ファーストリテイリンググループ全体の業務改革と業務システムの構築、IT戦略を担った人物だ。ライザップでは、CSO(最高戦略責任者)兼CIOとして、各社のサービスをIT面で支える。

岡田氏の紹介で2月1日に入社するのが、宇山敦氏(53)だ。レナウンを経て入社したファーストリテイリングには2000年から2012年まで在籍。2002年のソルトレイクシティ冬季五輪と2004年のアテネ夏季五輪では日本選手団の公式ユニホーム開発責任者を務め、デザイナーのジル・サンダー氏とのコラボブランド「+J」を立ち上げた。

商品開発にとどまらず、ユニクロの欧米進出や商品開発機能の上海移管などにも携わっている。この宇山氏がライザップのSPA計画のキーパーソンと見られる。

買収子会社の社長を務める岩本眞二氏(54)、大西雅美氏(58)、濱中眞紀夫氏(54)も、アパレル業界に知見の深い人物だ。岩本氏は女性ファッション通販のスタイライフ(楽天グループに入り2013年に上場廃止)の創業者で、同社を上場に導いた経験を持つ。

とのことである。

瀬戸社長は「イケてる会社で業績のよいときを知っている人間」を外部から登用していると話す。

とあるが、果たしてどうだろうか。
筆者は個人的にその効果を懐疑的に見ている。

もちろん彼らのこれまでの実績は大いにある。
彼らがそうだとはいわないが、40代後半~60歳手前の「よいときを知っている人間」の多くは業界にリリースされると使い物にならないケースも多い。

まさしく、「昔の~♪ 名前で~出ています~♪」という人はアパレル業界には掃いて捨てるほどいる。
某大手アパレル出身のその年代の人間なんて虚名しか鳴り響いていない人が多い。

その年代の人間が業界にリリースされた途端に失敗するのは、彼らの実績は、所属していた企業のシステムと人材がそろってはじめて達成できたものであるからだ。
企業のシステム、彼らを支える人材抜きで、彼らが一人になったときに出来ることはほとんどない。

その結果、ブランドをつぶしたり会社を倒産させたり、赤字転落させたりしている。

それでも連戦連敗の記録を持ちながらも虚名だけで次々と寄生先を探せる手腕とバイタリティだけは大したものではあるのだが(笑)。

言い換えれば、アパレル業界はそういう「チョロい業界」だということもできる。

個人的に最近感じているのは、実績は重要だが、未曾有の不振に見舞われているアパレル・ファッション業界は「よいときを知っている人間」では改革・改善できないのではないかということである。

どうしても「よかった時」と比べてしまうし、過去の成功体験から離れられないからドラスティックな改革・改善ができない。

極論すれば、繊維の製造加工業が集積した「産地」は疲弊しきっているが、「産地」には「よいときを知っている」人間は山ほどいる。
そういう人間が山ほどいても、疲弊を食い止めることができていないではないか。

縮小し続ける百貨店業界も同じだ。百貨店の幹部は軒並み「よいときを知っている」年配層で占められている。
その結果が今の6兆円を割り込んだ売上高である。

アパレル・ファッション業界も同じことになるのではないかと思う。

ライザップグループがどうなろうと知ったことではないが、アパレル・ファッション業界を改革・改善できて、成長産業の仲間入りをさせることができるのは、異業種から来た人間だけではないかと思う。
もしくは、「よいときを知らない」ままで、業界内で実績を残してきた人か。

綺羅星のごとく「昔の名前で出ています」を集めて、それでいて短期間のうちに消え去ったアパレル企業やアパレルブランドは枚挙にいとまがない。

ちなみに、「綺羅星のごとく」は、正しくは「綺羅・星のごとく」と発音するのが正しい。
綺羅星だと「キラボシ☆彡」とあいさつをし合う「綺羅星十字団」みたいになってしまう。
本来の意味は「綺羅が星のごとく集まっている様」なのだから、「綺羅・星のごとく」が正しいのである。

まあ、そんなわけで有能な異業種出身者、よいときを知らないままで業界内で実績を残してきた人物、が多数出現して業界を盛り上げてくれることを願っている。
「昔の名前で出ています」はもうお腹いっぱいなのである。

それではみなさま キラボシ☆彡











Rニューボールドの撤退は、90年代の手法が通用しないことを証明している

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 相変わらずブランド廃止ラッシュが止まらない。

ジョイックスコーポレーションのRニューボールドは2016春夏物でブランド廃止となった。

https://www.wwdjapan.com/375791

この記事によると、

渋谷店と京都店は同社が撤退を決めた「アールニューボールド(R.NEWBOLD)」の路面店を「サイコバニー」に業態転換する。

とのことで、他のRニューボールドの直営店は2016秋には完全閉店していたのだろう。
どうせ秋物は企画製造していないのだから、秋口に閉店するのは当然である。
ちなみにZOZOTOWNの店は、昨年10月で閉鎖となっている。

それにしても感慨はある。

Rニューボールドというブランドはポールスミスのセカンドラインとして業界では20年来知られてきた。
しかし、もともとはポールスミス氏が始めたブランドではない。
途中で買収したのであるが、そのあたりのいきさつはこちらにまとめられている。

https://www.fashion-press.net/brands/1849

1885年、イギリス・ダービーのペアツリーロードにロバート・ブリュースター・ニューボールドが服の工場とショップを開いた。

1900年に入ると工場の生産品目も拡大し、炭鉱夫の作業服や軍服、警察・消防・救急隊のユニフォーム等も製造を始めた。また、70年代初めに当時独立したばかりだったイギリス人デザイナーのポール・スミスとも親交を持ち、ポール・スミスのシャツを生産していた。

1990年に倒産の危機に陥った際、ニューボールド社の買収をポール・スミスに依頼。


とのことである。

それ以来、ポールスミスのセカンドラインという位置づけで日本では展開されていた。

なぜ、感慨があるかというと筆者も90年代後半にはRニューボールドを買っていたからだ。
筆者の記憶では、Rニューボールドというブランドは、スーツよりもカジュアルがメインである。
ブランドを国内展開していたジョイックスコーポレーションはどういう見解かしらないが、店頭の雰囲気、商品構成を見ると、90年代後半は明らかにカジュアル色が強かった。

なぜ筆者が買っていたかというと理由は2つある。

1、ファーストラインであるポールスミスが高くて、バーゲンで値下げされても買えなかったから。
  要はポールスミスよりも安かったからである。ただし、テイストは別物。

2、ポールスミスよりもカジュアル色が強くて筆者の好みだった。


この2つである。

例えばTシャツが2900円とか3900円くらいで、90年代後半のバーゲンではそれが30%オフになっていた。今から思うと、何のいわくもないTシャツによく2000円以上も払っていたなと感心するほかないが、当時はこれでもまだ安い部類だった。

中でも覚えているのは、ユニクロのフリースブームが始まる直前か始まった直後、96年~98年のどれかの年に、なんとジップアップの前開きフリースを9800円で買ったことである。

IMG_2326

(20年前のRニューボールドのフリース)



今から思うと、よく洋服1枚に9800円なんて支払ったなあと驚くほかないのだが、当時はこれでもまだ安い部類だった。これ以下だとユニクロの1900円しかなかった。

実はこのフリースジャケットをまだ持っている。
なんといつの間にか所有してから20年も経過してしまった。
まだときどき着ている。

この当時もシルエットはタイト気味が流行していた。
多分、チビTシャツブームの影響なのではないかと思う。
だから2000年代でも着用していてもおかしくなかった。

一番直近だと昨年の年末に着用している。
これを着て、29日~31日にかけて自宅で大掃除をしたのである。

フリースは風を通すことと燃えやすいことを除くと、ほぼメンテナンスフリーの楽ちん素材である。

しかし、この当時のフリースはアンチピリング加工されていないものが多いので、毛玉がつく。
これは当時のユニクロのフリースも同様で毛玉だらけになった。
そこから、フリースのアンチピリング加工が急速に進んだ。

このRニューボールドのフリースは御覧のように細かい毛玉がびっしりである。

IMG_2329



一方、これも買ってから7年くらいが経過したユニクロのフリースだが、まったく毛玉がない。
たしか2009年とか2010年に1990円に値下がりした時に買った記憶がある。

IMG_2327

(7年くらい前に買ったユニクロのフリースパーカ)


IMG_2328

(7年経過しても毛玉がつかない)


生地もRニューボールドのフリースよりもユニクロの7年前のフリースの方がソフト感がある。

もしもユニクロが1900円で売り出していなかったら、このユニクロフリースはもっと高値で売れたのではないかと思う。それほどに品質が高い。

それでも20年間断続的に着ているからこのRニューボールドのフリースにはそれなりに愛着がある。
20年前の服で手元残っているのはこれを含めて数少ない。

ところで、Rニューボールドで買わなくなったのは、やっぱり2005年前後からだ。

このころになると、ユニクロをはじめとする低価格ブランドの商品の見た目がグンと向上している。

比較的安いとはいえ、Rニューボールドの商品はそれらよりは高いのである。
おまけに見た目はそんなに変わらなくなってきたとなると、人間は誰でも安い方で買う。

だから買わなくなった。

Rニューボールドがブランド廃止にまで追い込まれたのは、

1、値段が中途半端に高いままだった。
2、販促、広報、PRがファッション雑誌に偏重し過ぎていた。


この2点が理由だと見ている。

カジュアルは低価格ブランドのおかげで市場での平均価格が下落した。
本来、Rニューボールドは値段を下げて(激安にまで下げる必要はない)、低価格ブランドに対抗すべきだったのではないかと思う。

それに加えて、広報・告知活動がファッション雑誌に偏重しすぎていたのが致命的だった。

実はこれはRニューボールドだけではなく、ジョイックスコーポレーションという会社全体に共通する宿病である。SNSが急速に普及した現在においても、社全体がファッション雑誌一辺倒の広報告知体制で動いており、ポールスミスに次ぐブランドを育てられないの要因の一つはここにあると個人的に見ている。

そう。90年代後半はメンズファッション雑誌の常連だったRニューボールドだが、同じやり方では2010年代は生き残れなかったというわけである。
そして、これはジョイックスコーポレーションだけではなく、他のアパレル企業、他のブランドにもいえることである。

アパレル各社はもうそろそろ2000年までのやり方は通用しないことを直視してはどうか。








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