南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

ジーンズ

ジーンズ専業メーカーが苦境に陥った4つの理由

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 先日、久しぶりに西の方にある某ジーンズ専業メーカーの社員さんにお会いした。

御多分に漏れず、このメーカーの業績も悪く、売上高もピーク時の6割程度にまで落ち込んでおり、大規模なリストラも何度か行われている。

そういう状況なので、さぞかし社内にも危機感がみなぎっているのかと思ったら、年配層・上層部はまるで危機感がなく、そのうちにまた売れるようになると考えているとのことで、その暢気さに驚かされた。

その根拠ない自信はどこから湧いて出るのだろうか。
それくらい楽天的なら人生も楽しいだろうなあ。

ジーンズ専業メーカーが苦戦に陥った理由はさまざまある。

1、主要卸先だったジーンズ専門店チェーンの激減
2、そのジーンズ専門店チェーンのSPA化
3、他のメーカーもジーンズやカジュアルパンツも企画製造するように(できるように)なった
4、低価格商品の見た目が向上した

おもにはこの4点だと考えている。

まず、1だが、三信衣料の倒産から始まり、フロムUSA、ロードランナーの倒産、マルフルの解散、デンバーの廃業などジーンズチェーン店の倒産や廃業が相次いだ。

また生き残った大手のライトオン、マックハウス、ジーンズメイトの苦戦も挙げられる。

要するに卸売り先が減っているのである。

次に2だが、OEM/ODM業者の増加によって、ジーンズ専門店チェーンも自主企画製品が作れるようになった。
有名なところだとライトオンのバックナンバーなんていうのはその典型だが、生き残った地方専門店も自主企画製品を企画製造販売し始めている。
仕入れ100%という店が少なくなった。

3はジーンズ専門店チェーンに限らず、OEM/ODM業者の増加で、様々なブランドが自主企画のジーンズやカジュアルパンツを企画製造できるようになった。

タケオキクチやポールスミスでもオリジナルジーンズが販売されているご時世だし、ビームスやユナイテッドアローズもオリジナルジーンズを企画製造販売している。

ジーンズ専業メーカーとしての優位性はほとんどなくなっている。

4はユニクロやアダストリア、ジーユー、無印良品などの低価格ブランドが企画製造しているジーンズやカジュアルパンツの見た目が良くなり、ジーンズ専業メーカーの商品との区別が一見したくらいではつけられなくなった。

OEM/ODM業者の増加に加えて、これまでジーンズ専業メーカーとガッチリ組んでいた縫製工場や洗い加工場がそういう低価格ブランドや百貨店ブランド、セレクトショップのオリジナルジーンズの製造に携わるようになったことも大きい。

かつてナショナルブランドを手掛けていた洗い加工場が今ではアダストリアのジーンズのOEM生産を手掛けているなんてことは別に珍しいことではなくなっている。

製造・加工する工場が同じなのだから、ジーンズ専業メーカーとその他ブランドとの商品の見た目にそん色がなくなるのは当然である。

こういう状況なのだから、何らかの変革・努力なしにはジーンズ専業メーカーの業績が回復することはありえない。従来通りのままなら縮小を続けていくしかない。

苦境が続いている業種だから少しは危機感を持っているのかと思ったら、まだそんな暢気でいるのだから驚くほかない。

他の不振アパレルメーカーや小売店も年配層・上層部にはこれほど暢気坊主がそろっているのだろうか?
もしそうなら座して死を待つばかりである。

この手のジーンズメーカーのベテラン社員は以前は

「低価格ブランドや百貨店向けブランドのジーンズとワシらのジーンズは物が違う」

と言っていた。空元気なのか本当にそう思い込んでいるのかはわからなかったが。

しかし、今では製造・加工している工場も同じだし、使用しているデニム生地も同じ先から仕入れているわけで、ユニクロだってカイハラのデニム生地を使用している。
そうするとおのずと見た目はほとんど変わらなくなる。
おまけに低価格ブランドの商品価格は専業ブランドの半分程度である。

似たような物なら安い方を買う人は増えるのが当然である。

こういう状況になると、専業メーカーはえてして「わしらのジーンズはこの部分の縫製仕様が(少しだけ)異なる」なんてことを言い募るのだが、そのミクロの違いに満足する人は数少ない。
おとなしくその少数派に向けた小規模ブランドに転身すればまだしも、なぜだか昔の栄光が忘れられずに、ミクロの違いを持ってマスに売ろうとし続けている。

売上高3億円とか5億円くらいならそういうミクロの違いが大好きなマニアを集めることは可能だろうが、50億円とか100億円規模の売上高を作ることは不可能である。
ミクロの違いを支持する人はそんなにたくさん存在しない。

それにしてもここまで苦境に追い込まれながら、まったく認識が変わらないメーカーがあることには驚かされるばかりである。
このジーンズ専業メーカーはそうやって今後さらに縮小し続けていくのだろう。


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ジーンズもデニム生地も特別視されなくなった

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 今回はジーンズの話でも。

3年くらい前から「若い人がリーバイスの古着ジーンズを買っている。しかも80年代とか90年代前半の物を」という話をよく耳にする。
40代以上の層からすると、若い人の嗜好が何とも奇異に感じる。

というのは、当時のジーンズは股上が深く、何よりも使用しているデニム生地がのっぺりしていてヒゲなどのアタリ感がまったくでないといういう特徴がある。

これは「カッコ悪いジーンズの象徴」として、少なくともこの20年間とらえ続けられてきた商品だから、30代半ば以上のオッサン層からすると、それを嬉々として買い漁っている若い人の嗜好が奇異に感じられるというわけだ。

そしてこの商品傾向は90年代半ばまで続いた。

ジーンズ、デニム生地の傾向は90年代前半と後半で丸っきり変わってしまうのである。

90年代前半にはレーヨンやテンセルなどの素材を交織・混紡したソフトジーンズブームが起きる。
95年・96年ごろからビンテージジーンズブームが起きる。

ビンテージジーンズブームによって、デニム生地の傾向はそれまでと180度、いや540度変わってしまう。

綿100%の厚くて固い、ヒゲやアタリが出やすい表面に凹凸感のあるデニム生地が喜ばれるようになる。
そしてヒゲやアタリと同時に「タテ落ち」と呼ばれる縦方向へ細かくスジが出るような落ち方が好まれるようになった。

いわば色落ちのメリハリがはっきりくっきりわかるようになる。
ソフトジーンズも含めたそれまでのジーンズの色落ちにはメリハリがほとんどなかった。

そして99年ごろからはローライズジーンズブームが始まり股上が浅くなった。

現在、主流となっているジーンズは90年代半ばのビンテージジーンズブームと99年ごろのローライズジーンズが合体融合したものといえる。

デニム生地に関していえば、95年ごろから「タテ落ち」が王道となって今に至る。
そういう価値観が元になって、80年代・90年代前半のあのジーンズはこの20年間「超ダサい物」と評価されていた。

もうすでにちょうど1年前にこのことを書いているブログがあるからご紹介したい。

ダサ・デニムは、もはや ダサくないのだ。そーなのだ。
http://ameblo.jp/tcd-co-ltd/entry-12147427811.html



先日、あるカジュアルブランドのデザイナーと話をしたが、その際、

「20代~30代前半の若い人が運営しているブランドでは、80年代の『あのデニム生地』が使いたいというが、国内でも中国でも『あのデニム生地』はほとんど製造されていないから困っている」

という話題が出た。

国内のデニム生地メーカーの多くは、80年代のあのデニム生地を作ることを嫌がるし、現在は大量生産を行っていない。また中国のデニム生地メーカーも日本ブランドにその感覚を合わせているから、中国でもあまり生産されていない。

おそらく、日本や中国が技術指導を行っていない東南アジアの工場では作られているのではないかと思うが、どうだろうか。

先に挙げたTCDさんのブログから画像をお借りする。
今のデニム生地と80年代のデニム生地ではこれほど見え方が異なる。
左が80年代のデニム生地、右が現在のデニム生地である。

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色落ちの違いがお分かりになるだろう。

だから、先のデザイナーは、80年代デニム生地を好む若い層を指して、「30代半ば以上と以下では洋服に関する感覚がまったく異なっている」と指摘する。

そういえば、ここ何日間かで20代前半と思しき、若い女性がモロに80年代調のジーンズを穿いているのをちょこちょこ見かける。
生地はもちろん、あののっぺりとしたデニム生地。
形はおへそまで隠れるであろうハイウエストで、それは昨今のデザイン的ハイウエストジーンズとも形状が異なっている。

どう見ても、25年前(四半世紀前!)、筆者が大学4年生くらいの時代の人にしか見えないのだが、それがよしとされる感覚はやっぱりだいぶと異なっているといえる。

どうしてこういうことになったのかというと、20代の人は物心ついたころから、ずっと今のビンテージ調デニム生地を使ったジーンズを見て育ってきた。
40代以上のオッサンは、その商品を「20年前にわざわざ選んで買った」のだが、彼らからすると「当たり前に在る物、なんの変哲もない物」ということになる。

そして、若者にとって記憶にない80年代・90年代前半の「あのジーンズ」は「見たこともない斬新な商品」に見えるのだろう。

オッサン世代からすると、ほぼゴミ屑同然だった80年代・90年代前半のリーバイスの古着が、人気沸騰で品切れ状態になるというのも信じられない話である。

前回も書いたが、老若男女を問わず、「色落ちしにくいデニム」が一定の支持を受け、若者層にのっぺりとしたデニム生地が受けている状況を見ると、これまでデニム生地業界やジーンズ業界が「ジーンズとは」「デニムの魅力とは」と力説してきたことがどうもニッチなマニア層だけのものとなりつつあるように思える。

ジーンズやデニム生地は特別なアイテムや生地ではなく、洋服や生地の一種に過ぎなくなっているということで、今後はますますジーンズやデニム生地への特別視はなくなるだろう。


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スタートから1か月間で600本を出荷したジーンズブランド「BMC」

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 リストラ、ブランド廃止、大量閉店、会社倒産、廃業が日常茶飯事なアパレル・繊維業界において、年齢制限やらその他もろもろの理由で再就職ではなく、独立・起業を選ぶ人もいる。

そういう人から相談を受けることが増えたが、基本的には筆者はこの業界での起業をあまりお勧めしない。
右肩下がりの業界なので確率論で言えば失敗する確率の方が高いからである。
今では大企業然としている大手アパレルだってその昔は起業からスタートしているわけだが、彼らの多くは戦後直後とか高度経済成長期やバブル期に創業しており、もちろん並大抵の苦労でなかったことはいうまでもないが、商品が欠乏していた時代なのである意味で、商品を並べたら売れたという要素も大きかった。

もともと商品自体がなので、「市場に無い物」を提案すると売れる確率が高かった。
しかし、現在はそういう時代ではない。
物はあふれているし、基本的にどんなデザイン・テイストの服も流通している。
「画期的に新しいデザイン」の商品というものを考案することすら難しい。

プラットフォームの時代だ!なんていう人もいるが、すでにプラットフォーム自体が溢れかえっており、プラットフォーム間での優劣の格差が大きくなっている。
結局は、品ぞろえの豊富さと割安感(激安ではない)の競争となっており、それを突き詰めるとAmazonには勝てないよねという話になる。

一説にはAmazonの物流倉庫の広さは東京都中野区とほぼ同面積だという。
ネット上ではスペースは無限にあるから、Amazonは中野区と同じ広さの倉庫に並べた商品をネット上で見せられるということになる。
そして価格幅も大きい。高額品もあるが、激安商品もある。

ここで伊勢丹新宿店がいくら「品揃えの豊富さを追求しました」なんて言ったって、中野区ほどの広さの倉庫にある商品すべてを見せているAmazonに勝てるはずもない。
逆に伊勢丹新宿店の品ぞろえの中途半端さが目立つだけになる。
イオンモールがいくら広大でも中野区ほどの広さはない。

この話はまた後日書いてみるが、そういう状況なので、新しいブランドがおいそれと売れる可能性は極めて低い。

安全なのはOEM/ODM屋を開業することだが、ここもすでに山ほど競争相手があって、大手とつながらないと生き残れない。多くの競争相手があるから大手は強気で工賃とマージンを叩いてくる。
嫌ならよそへ仕事を振るよというわけだ。
1枚のマージン50円で100枚のロットの製造を請け負わなくてはならなくなる。
だからOEM/ODM屋を開業するのも茨の道である。

そんな中、エドウインを退職して、ジーンズブランドを起業した人がいる。
ブリッツワークスという社名で、ブルーモンスタークロージング、略して「BMC」というブランドを開始した。

http://www.bmc-tokyo.com/

こんなブランドである。

価格は6900円、生地と加工は日本、縫製は中国製。

販路はジーンズ専門店チェーンで、ターゲット層は30代・40代の父親で、いわゆる昔ながらのジーンズカジュアルが好きな男性と設定する。
ちょっとコテコテ系の加工である。

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で、相談を受けたのだが、正直なところなかなか厳しいのではないかというのが最初の感想だった。

なぜなら、5900・6900・7900円というのはジーンズというアイテムで要望は多いが、メーカーの供給が少ない価格帯である。
市場規模としてはそれなりにあると個人的には見ているが、メーカーからすると「旨味がない」とか「売りにくい」と思われている価格帯で、ほぼ真空状態になっている。

そこにあえて参入するというのは、ハイリスクハイリターンといえる。

しかし、決心が固いようでそのまま起業して活動を開始された。

今回、東京出張で現状をうかがうことができた。
7月末に店頭デビューして、なんと1か月間で600本を地方のジーンズ専門店チェーンに納品したという。
8月も商談が好調に進み、9月末には納品が累計で1000本を越える見込みだともいうから恐れ入る。

失礼だが無名のブランドで活動開始早々にこれだけの本数を納品できるのは、上場の滑り出しといえるのではないだろうか。
社長となった青野さんの営業力がすさまじいと思う。

9月以降の商況がどうなるかはまだまだ予断を許さないが、注目の新ブランドといえる。

青野社長と初めてお会いしたのは、昨年10月のデザビレで開催した講演会でだった。
TOKIOの長瀬智也似のイケメンがけっこう前の列で座っておられて、ちょっとウケを狙ってしゃべってみても、ニヤリと不敵な笑み(に見えた)を浮かべるだけだったので、「後でしばかれるかも」と壇上から内心ちょっとビビっていたのだが、終わってから懇親会で話してみると好青年だったのでホッとした次第である。

個人的には5900~7900円で、それなりにデザイン性のあるジーンズは市場に必要ではないかと思っていた。
業界の人も含めて多くの人が事実に反してこう考えている。
「3990円のユニクロか、1万円を越えるジーンズしかない。この価格差はつらい。ユニクロに2000~3000円足して買えるようなファッションジーンズがほしい」と。

実際はそうではなくて、探せば5900~7900円の商品はある。少ないけど。
ただし、あるという情報が消費者にも業界人にもあまり伝わっていないのだ。

そんなわけでその市場に飛び込んで上場の滑り出しを見せた青野社長の胆力には驚嘆するばかりである。

5900~7900円のファッションジーンズというジャンルをぜひとも確立してもらいたいと思う。














ブルーウェイブランドが今秋から正式に復活

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 昨年6月に倒産したブルーワークスカンパニーが展開していた国産ジーンズブランド「ブルーウェイ」と国産スラックスブランド「コントライバンス」の復活が正式に決定した。

昨年倒産したブルーウェイのブランドが復活
https://www.wwdjapan.com/fashion/2016/08/16/00021246.html


といっても、ブルーワークスカンパニーという会社が復活するわけではない。
元ブルーワークスカンパニーの社員が商標権を取得して、今後は企画製造・販売を行うということである。

元ブルーワークスカンパニーの中田直樹氏が、かつての得意先からブランド消滅を惜しむ声を受けて、新会社はね(東京)を設立し社長に就任。今年6月から「コントライバンス」のテスト販売を開始していた。今後は同ブランドの企画・製造、および「ブルーウェイ」の関東地区での卸売りを営業代行として行う。また、元同社の営業部長であり、両ブランドの商標を所有する山本聖人氏は、新会社じんくら(広島)を立ち上げ、西日本で卸売りを担当する。

という経緯だ。

実は今年の6月くらいから「ブルーウェイ」の新商品が出回っているという情報を耳にしていた。
正式に復活したという報せは受け取っていなかったので、おかしいな?と思いながら、もうすぐ正式にブランドが復活するのではないかと推測していた。

もともと昨年6月に倒産したブルーワークスカンパニーだが、その後、同業の何社かが商標獲得に手を挙げたという噂を耳にしていた。
その中の三備地区の某量販店向けカジュアルパンツメーカーがもっとも商標取得に熱心だとも聞いていた。

まったくの第三者的立場から見ると、その某社は旧ブルーウェイの本社とも近隣にある上に、主力商材は1900~4900円の量販店向けの低価格カジュアルパンツであることから、7900円以上の高価格帯のブルーウェイの商品を扱うには打ってつけだった。
自社の主力商品とまったく被らないから住み分けしやすく、新販路獲得もしやすい。
部外者としてはその某社で決まりだろうと勝手に思い込んでいたが、元社員が商標を獲得するというのは予想外だった。

しかし、心情的に考えれば、商標に愛着を持っていた元従業員が獲得するほうがしっくりとくる。

今後の商況がどうなるかはわからないが、ブランドにとっては一番良い結果だったのではないかと思う。

ただ、正式に復活したといっても、商品の供給過多な状況下において、売れ行きが易々と伸びる可能性は低い。
コツコツと小さい売上高を積み重ねるという売り方になると見たほうが良いだろう。

今回、復活発表に先立って、株式会社はねの中田社長から「コントライバンス」のトラウザーをサンプルでいただいた。
濃紺ストレッチデニム素材とカラーストレッチピケ素材があったのだが、ストレッチデニム素材を送っていただいた。

サイズはL(32インチ)を選んで正解だった。
ストレッチ素材ということもあって、ウエストはおそらくM(30インチ)でも合ったのではないかと思う。
なぜなら少し伸びるからだ。

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しかし、筆者の太ももとふくらはぎは太い。
Lでも意外にピタっとするが、Mならレオタード状態になってしまっただろう。

太短い脚のおっさんがシルエットを露わにするのは、他人が見て気持ちの良いものではないだろう。
筆者自身もわざわざそんなものを他人に露出したいとは思わない。

デニム素材だが、表面はフラットで変な凹凸感はない。
中田社長に聞くと「通常のデニム生地なので洗濯を繰り返すうちに色落ちする」そうだが、わざわざ説明せねば、洋服に詳しい人以外はこれがデニム生地だとはわからないだろう。
それほどにフラットな表面感である。

組成は綿98%・ポリウレタン2%だが、表示から予想するよりもストレッチ性は高いように感じる。

丈は8分丈で今風である。

デニム生地特有のズッシリ感もなく、むしろ、合繊が含まれているかと思うくらいに軽さがある。

いわゆるオフィスカジュアルにも着用が可能だ。

今後、色落ちするとどういう見え方になるのか穿き込んで実験してみたいと思う。

ウェブサイトでも通販が開始されているので気になる人はこちらを見てもらいたい。

http://contrivance.jp


さて、ブルーウェイの歴史について検索してみたがウェブ上では出てこない。
そこで昭和63年発行の古い業界誌を引っ張り出してみると、創業は昭和24年とあるから、1949年になる。

ここからは推測だが、この時期に日本では国産ジーンズは誕生していない。
日本で国産ジーンズが作られるようになったのは1960年代以降である。
それに際して、作業服メーカーや学生服メーカーがジーンズメーカーに転身している。
ブルーウェイも創業当時はそういう被服を扱っていたのだろう。

その後、93年にインポートブランドを扱う関連会社としてブルーワークスカンパニーが設立される。
ジーンズチェーン店が相次いで倒産するなどして、ブルーウェイの業績が年々低下し、2012年にブルーワークスカンパニーがブルーウェイを吸収する形で事業を継続した。
しかし、その後も業績の悪化は止まらず2015年6月にブルーワークスカンパニーも倒産した。


それにしても昔はもっとたくさんのジーンズメーカーがあった。
ちょっとページを繰ってみると、フジタツ、ドット、大石貿易、日本ハーフ、サンダイヤアパレル、帝人ワオなどの社名が並んでいる。

各社の年商を見ると最低でも10億円を越えている。
ジーンズをやっていれば儲かった時代だったというわけだ。

作りさえすれば売れていたのが70年代と80年代だった。
一転したのが90年代後半からで、現在の状況に至る。

仮に75年に創業したメーカーがあったとして、不況が押し寄せたのは97年ごろだから、優に22年間の猶予があったといえる。
前半の15年はイケイケドンドンだったとして、残り7年間で社内体制を一新することはできなかったのだろうかと部外者としては疑問に感じる。

しかし、筆者がもし75年当時の社員だったとして、97年に不況が押し寄せても「変わらなければ生き残れない」などとは考えられなかっただろう。
当然経営者も同じだっただろう。

その結果、2000年に入る前に多くのジーンズメーカーが淘汰され、2000年代になってもまだ淘汰が進んだ。

先ごろ、WWDで恒例のジーンズ特集号が発売されたが、ナショナルブランドのジーンズメーカーとして掲載されているのはエドウインとリーバイ・ストラウス・ジャパンだけである。
あとは年配の人なら耳にしたことがないようなインポートブランドやSPAブランドばかりである。

筆者が業界紙でジーンズ関係を担当したのが98年だから、たった18年でガラっと様変わりしたということになる。

ブルーウェイブランドの復活とともに改めて「昭和は遠くになりにけり」だと感じた。







ダメージジーンズにも価格破壊の波

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 ジーンズに詳しい方にとっては当たり前のことなので読み飛ばしてもらいたい。

今春は低価格SPAまでが破れたジーンズを発売している。
あれはわざわざ新品の物を加工で破いているわけで、穴が開いたままの状態の物を「クラッシュ加工」「ダメージ加工」、その穴を布を当てたり、ミシンで破れ目を再度縫ったりして塞いだ物を「リペア加工」と呼ぶ。

似ているけれども厳密に言えば両者は別物である。

このクラッシュ(ダメージ)加工、リペア加工はこれまで中価格帯~高額ブランドのみの展開だったが、今春からついに低価格SPAが発売を開始した。

この加工の好き嫌いは置いておく。

個人的にダメージ加工は嫌いである。
穴が開いているから夏は涼しいが冬は寒い。
たまに真冬でも膝が丸見えになるくらい破れているジーンズを穿いている人を見かけるが寒くないのだろうか?

それと、この加工は穿くときに足先に破れ目が引っかかり易い。
足先が引っかかると破れ目が拡大する。
長年所有すればするほど足先の引っかかる回数が増えて穴が拡大し続け、最後はボロ布のようになってしまう。

それよりは冬でも寒くなく、足先も引っかからないリペア加工の方が好きである。

ユニクロは今春、ダメージ加工のジーンズを3990円で発売した。
H&Mも3900~4900円でダメージ加工ジーンズを発売している。
ZARAはリペア加工ジーンズを7990円で発売しており、一部商品はすでに半額に下がっている。

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(ユニクロのダメージジーンズ)


これまで低価格ブランドにダメージ加工、リペア加工のジーンズがなかったのは加工代が高いからである。
国内の洗い加工場で加工を施した場合、各工場で価格は様々だが最低でも2000円や3000円はするだろう。
そうすると必然的に低価格では展開できなくなる。

当然、これらの低価格SPAは海外の工場で加工を施していると考えられるが、海外の工場でも通常の洗い加工よりは加工賃が高くなるから、3900円前後で発売できるというのはなかなか画期的なことだといえる。

なぜ加工賃が高くなるかというと、各ジーンズを1本ずつ加工してリアルに破らなくてはならない。
リペア加工だと破ってからさらに再度縫わねばならない。
ワンウォッシュだと大量の枚数を洗濯機に突っ込んで洗うことが可能だが、ダメージ、リペア加工はどんなに効率的に組み立てても1本ずつ加工する工程が必ず入る。
その手間賃によって加工賃は高くなる。

ワンウォッシュのジーンズとダメージ加工のジーンズが同じ3990円で発売されるというのはこれまではあり得なかった。
かなり戦略的な重点商品として低価格SPAは位置づけているのではないか。

ただ、好き嫌いのはっきりと別れる商品なので、マス層に広まるかどうかはちょっと不透明ではないか。

今春のこの3ブランドの取り組みを見て、ジーンズの価格破壊も極まったと感じる。
今までは加工賃の問題からダメージ、リペア加工を低価格ゾーンで展開することは難しかった。
それゆえに、ウンチクのある高額ブランドから安くても7000円~8000円商品まででこの加工を囲い込むことができていた。

ところがこれが3900円前後で発売できるようになった。

見た目もそこまでおかしくはない。
ジーンズに詳しい人が見れば、あちこち甘い部分が見えるかもしれないが、一般消費者レベルではこれで十分にそれらしく見えている。

こうなると、もういわゆる商品デザインだけで、低価格商品との差別化は不可能である。
非常に細かいウンチクの世界に逃げ込むくらいしか手はない。
しかしそのウンチクの世界はニッチな市場である。何ブランドもが生息できるほどの規模ではない。

こういう低価格ブランドの価格破壊に対して、絶対悪とみなす人も出てくるだろうが、筆者は絶対悪とは思わない。
所詮、服なんて工業製品だから、これまで高額品だったものに対して低価格代替品が登場するのは当たり前である。テレビだってパソコンだってスマホだって電子レンジだって同じことである。

逆にいうとこれまでよくダメージ・リペア加工は持ちこたえたと思う。

しかし、その特別感もこれまでである。
もうジーンズに特別な手法はほぼなくなった。

そしてこの低価格代替品が登場するのは、洋服において何もジーンズだけではない。
もうすでに洋服は低価格代替品が出回っている業界であり、ジーンズにとっての最後の砦ともいえるダメージ・リペア加工にもついに低価格代替品が登場したということになる。

デザインや商品の見え方だけで低価格ブランドとの差別化を図るのは今後ますます困難になるだろう。
かと言ってウンチクの市場はそれほどの規模がない。
ある程度の規模を求めるブランドは、デザインや商品の見え方だけに頼らないブランド作りに取り組まねばならない。

言うは易しだが行うは難しである。
筆者だって「じゃあどうすれば良いのか?」と問われても即座に返答できない。
そういう難しい局面に業界は突入しているとしか言えない。
いやはや。










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