南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

新商品発表

エアリズムを凌駕したグンゼYGカットオフのコスパと技術力の高さ

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 トータル展開での商品の機能性の高さとそれに反比例した割安感においては、ユニクロの優位性は疑いようがないが、単品アイテムで見るとユニクロを上回る商品が業界にはまだまだある。

浅学非才な当方がそのすべてを網羅することはできないが、知っている範囲でいうなら、フットカバーは無印良品とグンゼが圧倒的に高品質で低価格である。
フットカバーは脱げやすいの問題点であり、昨年にジーユー、ユニクロともに買って試したが、履いていないのと同じではないかと思うほどに脱げやすかった。


無印良品、グンゼは価格はユニクロとほぼ同じ3足990円(グンゼはAmazonならもっと安くなるときがある。当方は3足560円くらいで買った)だが、圧倒的に脱げにくい。

また白シャツの下に着ても透けにくい切りっぱなしの肌着では、グンゼのYGカットオフがユニクロのエアリズムシームレスよりも優れていて、定価は同じ1500円だ。

さて、そのグンゼの2018春夏展示会を見た。
メンズ肌着、レディース肌着、パジャマ、靴下の4事業部合同の総合展示会である。

レディース肌着についてもなかなか面白い商品はあるが、当方が、女性の肌着のことを書くとなんだかやいやらしいような気がするので書かない。
業界新聞記者時代は、レディース肌着担当だったこともあるので、その時は仕事としてブラジャーが云々とかショーツがナンタラとか書いていたが、今はよほど仕事の依頼でもない限りレディースのランジェリーファンデーションは書かない。

メンズ肌着では、圧倒的な機能性と低価格が実現されていたので、そちらを紹介したい。

当方が注目するのは、やっぱりYGカットオフである。
そういえば、ユニクロのエアリズムシームレスは「シームレス(縫い目がない)」と名乗っているのに、YGカットオフよりも縫い目が多いことは以前にこのブログで書いた。

品番によって価格は異なるが、年間定番の半袖商品は今春夏は1500円で販売していたが、これを2018年はなんと200円値下げして1300円にする。

「低価格競争ガー」なんていう声も聞こえてきそうだが、ここは素直に感心しておきたい。

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(1300円に値下げされるYGカットオフの定番品)


YGカットオフの特徴は、品番によって多少含有率が異なるが、綿40~55%程度とカットオフ(切りっぱなし)でありながら、綿の含有率がかなり高い点にある。

ユニクロのエアリズムシームレスはナイロンが84%・ポリウレタンが16%で合繊のみの組成である。

50歳以上のオッサンが持つ「綿素材信仰」は当方は少ない方だが、それでもナイロン84%と綿55%なら、綿55%の方を選んでしまう。

綿の高混率のカットオフ素材を製造できる特許を取得しているのはグンゼのみで、このほかには違う工程を特許取得したトリンプがあるくらいで、トリンプは綿35%混前後の商品を展開している。

YGカットオフでは、新商品として、無縫製モデルを打ち出している。
こちらはさすがに高くて2000円となっている。

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グンゼはレディース肌着の「キレイラボ」では何年か前から無縫製肌着を出していたが、その技術をメンズに導入したものである。

キレイラボもYGも無縫製とはいうものの、ホールガーメントセーターのような一体成型ではない。
YGカットオフでいうと、本体に袖を取り付けるのだが、それを縫製ではなく接着している。

もともと、YGカットオフは本体と袖を取り付ける部分だけにしか縫い目がなかった。
これを縫製ではなく接着で取り付けるようにしたということで、言葉の定義的に「無縫製」「シームレス」だといえる。

いっそのこと「ゼロシーム」とでも名乗ってはどうか?
商標登録がどうなっているのか知らんけど。


こんな感じで、単品アイテムならユニクロよりも高品質・高機能で価格が安いという商品が業界にはまだまだ存在するはずだ。

今さら、トータル展開ではユニクロには勝てないし、かといって「ユニクロより少し高い(1000~2000円くらい)けどファッション性は云々」なんていうのも中途半端すぎて消費者には響かない。

あとは伝え方であり、広報・宣伝・販促の手法を見直すことだろう。
良い物を作っただけでは売れないし、タレントを使えば必ず売れるというものでもない。
ましてやファッション雑誌やファッションイベントに乗っかっただけでは絶対に売れない。

グンゼも含めて、各アイテムでユニクロを越える高品質低価格商品を持っているメーカー、ブランドはそこを見直すことが課題であり急務である。


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オールユアーズのクラウドファンディング第3弾商品とその売り方について

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 先日、新進気鋭のカジュアルアパレル、オールユアーズの原康人さんにお会いしたのは、新商品の内容を尋ねるためだった。

オールユアーズはこれまで機能性素材を使用しながらも、よくある「産地とのコラボ」や「製造加工業とのコラボ」を打ち出してこなかったが、昨日から発売になった新商品は、産地とのコラボを打ち出している。

そして、オールユアーズとしては今後は様々な産地とのコラボを手掛けたいとのことで、希望する産地は連絡してみてはどうか?

今回は「身にまとう毛布」というキャッチフレーズで、いわゆる「毛布」の技術を利用した生地をカーディガン、パーカ、ダッフルコートの3型に仕上げている。

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そして、その「毛布」の技術を応用した生地を加工しているのが、毛布産地として有名?な大阪府の泉大津である。

ほんの少しでも産地をかじったことのある人なら泉大津がタオル、毛織、毛布、ニットなどの産地であることは知っているが、産地なんて無縁のファッション畑の人ならそんなことは全然知らないだろう。

泉大津に限らず、日本の各産地というのは、産地の中の人が思っているよりも知名度が低い。
それを読み違えると、ビジネスに多大な支障をきたすので、できるだけ客観的に自身を判断してもらいたい。

さて、今回の生地は、いわゆるニット(編地)で、製造地は和歌山だ。
表が綿、裏にウールが出るようになったプレーティング編みである。
プレーティング編みとは何ぞやというと、表と裏で別の素材が出てくる編地である。
今回なら表は綿で裏はウールである。

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(上が表、下が裏面)



ファッションブロガーMB氏がグローバルワークの吸水速乾Tシャツを絶賛していたことがあるが、あれもプレーティング編みで、表地は綿で裏面はポリエステルだった。

プレーティング編みというのはそういう技術である。

この和歌山産地で編んだ生地を、泉大津の藤井若宮製絨で起毛加工を施し、毛布状に仕上げている。
藤井若宮製絨は染色・整理加工などを手掛ける泉大津の老舗業者で、かつて一度2006年ごろに民事再生法を申請したが、今でも存続できているのは何よりといえる。

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さて、この毛布生地を使ったトップス3型がキャンプファイヤーのクラウドファンディングに出品されている。

https://camp-fire.jp/projects/view/42749

9月4日に出品されたばかりなのに、目標金額100万円をたった1日でほとんど到達している。
9月5日の朝時点ですでに86万1000円を集めているから驚きである。

オールユアーズは連続24か月クラウドファンディングというプロジェクトを仕掛けており、今回の毛布は第3弾となる。
第1弾、第2弾ともに目標金額を達成したが、とくに第2弾は集めた金額がとてつもなく大きかった。

8月末までに2か月間で集めた金額はなんと1800万円強で、クラウドファンディング史上ファッション分野での集めた金額の最大額となっている。

https://camp-fire.jp/projects/view/34653

今回の第3弾の金額の集まり具合も前回の勢いをそのまま引き継いでいるといえる。

第2弾と比べると話題になることが少なかった第1弾の「色落ちしないブラックパンツ」だが、それでも目標金額は優に達成している。

この調子が続くなら、12商品すべてで目標金額を達成することができそうだ。

原さんとの雑談は少し前のブログに一部を利用した。

アパレルブランドの「小売店向け展示会」は意味がなくなりつつある
http://minamimitsuhiro.info/archives/4827762.html

である。

ここで言われているように、小売店向け展示会を開催しても、販売不振でビビっている小売店はほとんどオーダーを出さない。
ならば、展示会を廃止して新商品はクラウドファンディングで発表してしまえということで、クラウドファンディングで売れていれば、ビビっている小売店も安心してオーダーしてくるからである。

何とも情けない話ではあるが。

さて、オールユアーズの商品が売れている要因は何かというと、それは「わかりやすさ」である。

クラウドファンディングに登場した商品を例に出そう。

第1弾は「色落ちしないブラックパンツ」
第2弾は「着心地が良くてイージーケアなセットアップ」

である。

種明かしをすると、二つの商品で使用されている生地はまったく同じである。
組成はポリエステル100%。

この純ポリエステルの生地には、様々な機能がある。
まず、吸水速乾、そして軽量、ストレッチ性である。
この吸水速乾機能だけをフィーチャーして「ファストパス」という商品群をオールユアーズはすでに発売している。

ファストパスのキャッチフレーズは「真冬でも部屋干し3時間で乾燥する」であり、その他の軽量やらストレッチ性は一切謳っていない。

軽量はポリエステル本来の機能性で、実はそんなに特筆すべき機能ではない。
ポリエステルは基本的に軽いのである。
またストレッチ性は、現在では着心地のためにはマストな機能で特別なことはない。

それでもこれを謳おうと思えば謳えるが、あえて「吸水速乾」一つに絞った。

今度は、「色落ちしないブラックパンツ」を見てみよう。
素材は全くファストパスと同じだ。だから吸水速乾性も軽量性もストレッチ性もある。

しかし、それは全く謳わない。

そのとき謳っているのは「色落ちしない」ということだけである。
綿主体のブラックパンツは、かならず色落ちする。
デニムみたいに白っぽく色落ちするのではなく、綿主体のカツラギやサテン素材は、赤褐色に色落ちする。ブラックのはずが少しチョコレートっぽい茶色になる。
こうなったら、そのズボンは寿命だといえる。

ところが、ポリエステルはこの商品に使われている素材に限らず、基本的にほとんど色落ちしない。

だから、それのみを謳っている。
実は何の特別な機能でもなく、ポリエステルが本来持っている機能にすぎない。

よくある産地ブランドやファクトリーブランド、モノづくり神話系ブランドだと、

「ドコソコで栽培された綿花を紡いで作ったナンタラという糸を使い、〇〇産地で織りあげた(編んだ)〇〇という生地に、××という染色を施し、さらに▽▽という加工も施して〇〇な風合いに仕上げました」

とか

「この商品には、吸水速乾だけでなく、消臭、防汚、撥水、ストレッチ性、軽量性、防シワ、UVカットなど様々な機能性がてんこ盛りです」

とか

そういう打ち出しが多い。
多いというか99%のブランドがこれだ。

しかし、そんなものは実は消費者にはほとんど響いていない。
響いていたら産地ブランドやファクトリーブランド、モノづくり神話系ブランドはもっと売れているだろう。

「ナンタラ織りシャツ」とか「ナンタラ編みニット」がもっと売れているはずだ。

形態安定で爆発的に売れたワイシャツはその後、機能性を毎年1つずつ付加していき、最終的には7つくらいの機能性(防臭、防汚、UVカット、ビタミンC、マイナスイオンなど)を持っていたが、今、店頭に並んでいるワイシャツの多くは形態安定のみがほとんどで、あってもそこに防臭か防汚が付けられているだけで、機能性をてんこ盛りにしてもそんなものは何のセールスポイントにもならないことが証明されている。

製造工程の詳細すぎる説明も、てんこ盛りの機能性も販促には実際のところほとんど必要なくて、わかりやすい切り口が1つだけあれば良いのである。

もし、他のアパレルがオールユアーズに見習う部分があるとするなら、そこである。


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洋服以外の商材に活路を求めた縫製工場

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 カジュアルパンツのOEM生産を請け負っている友人から「今年に入って製造地を国内から中国へ再度移転した」との報告があった。

理由の1つとして夏場から円高傾向が進んだことが挙げられる。
現在はトランプ次期大統領の就任が決まって再び110円越えの円安基調へ変わっている。

また、日本の縫製工場よりも中国の工場の方が使い勝手が良いこともある。
大ロットの受注がアセアン諸国へ移ったため、中国国内の縫製工場はかなり小ロット対応も積極的に行うようになっている。
さらに、副資材の手配や取り付けなども一貫生産で中国では行える。

国内の縫製工場は分業体制が確立されているため、ボタンやリベット、ファスナーなどの副資材の手配は、ブランド側が行わなくてはならないし、取り付けはそれぞれ別の専門の工場へ送らねばならない。

そういう諸々の要素によって、縫製の多くは再び中国へ戻りつつある。
11月から円安基調が加速したが、だからといって再び国内工場へ受注が戻ることは考えにくい。
機能性、機動性、利便性の上で中国工場が国内工場を上回っている場合が多いからだ。

そんな中、三重県の縫製工場、近藤ソウイングの近藤喜成社長と久しぶりにお会いした。

近藤ソウイングは受注はそれなりにあるそうだが、付き合いのある縫製工場の多くが閑散としており、1年前の活況は見られない状況にあるという。理由は多くの注文が中国工場へ戻ったからだ。

いやはや厳しい状況である。

その際、近藤社長が「新製品のサンプルだ」と言って、「指ヨガ手袋」をいただいた。

自力ではできないほどキツイ状態になるが、左右の手のそれぞれの人差し指と小指を内側に曲げずにくっ付けると、体の柔軟性が増すのだそうだ。
これは近藤社長が勝手に言っているのではなく、カイロプラクティクの小平芳弘さんの提案だそうだ。
この手袋の考案者もその小平芳弘さんである。

言葉ではわかりにくいので実際に手袋をはめてみるとこんな感じである。
人差し指と小指が縫い付けられており、強制的にくっつけさせられる形になっている。


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これを30分はめると肩こりや腰痛などが緩和されるという。

いやー、それは単なるプラシーボ効果じゃないのか?

筆者はこの手の健康グッズはあまり信用しないので、即座に疑った。

筆者は肩こりがひどく、首、背中、腰も常に重だるい。
ちょうど社長とお会いしたときは、首の左側がひきつったように痛い上に、腰が10日以上痛かった。

だまされるつもりでこの手袋を30分はめてみた。
何がどうなったかはわからない。
べつにどこか体の部位に刺激を感じたわけではないが、30分が過ぎたころから、首と腰の痛みがマシになってきた。

これには驚いた。

社長と別れてから、夜、もう一度はめてしばらくすごした。
翌朝はさらに体全体のだるさが緩和されている。

そこから毎日、30分くらい手袋をはめるようにしているが、以前より肩こりがマシになっているように感じる。

近藤社長は、「もう洋服の縫製の注文は目に見えて増えることは考えにくい。それよりもこういうアイデア商材を新たに取り組む方が生き残れる可能性が高いのではないか」と話しておられ、本当にその通りではないかと思った。

筆者のようなド素人から見ると、形が変なだけの単なる手袋ではないかと思うのだが、実はミリ単位にまで注意を払って縫製しているという。だから少しズレただけで不良品になるため、不良品比率はかなり高いそうだ。

縫製工場の新しい取り組みとしては成功する可能性は低くはないのではないかと思う。
さっそく近藤社長は販売サイトまで立ち上げておられる。

http://www.wis5455.com/

洋服の販売不振はピークを迎えており、事態が好転することは今後もほとんど望めない。
もう「トレンド提案」だとか「アクセントカラーの提案」だとかそんな小手先だけでは洋服の売上高が回復することはありえない。

製造加工業の自立化も以前からいわれているが、商況が極度に悪い洋服という商品で、自立化を目指すのは並大抵ではない。

だとすると、こういうアイデアグッズ的、健康グッズ的な商材からスタートする方が理に適っているのかもしれない。近藤ソウイングという縫製工場が自立化を開始したのだが、そのとっかかりとしてはこういうやり方もありなのではないか。








イオンリテールは新レディースブランド「ムーディラ」で何を目指したのかよく分からない

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 イオンリテールが9月10日にヤングレディースの新ブランド「ムーディラ」を渋谷109に出店した。

店舗をまだ見ていないので、店に関する感想を述べることはできない。

ただ、このブランドは何を目指しているのかが皆目わからない。
大手総合スーパー各社の衣料品は苦戦を続けているから、それに対してのイメージ向上だったり、新販路開拓が目的だと想像できるのだが、果してそれが実現できるかどうかは非常に怪しいと個人的には見ている。

大手流通企業がテナントとして他社商業施設に出店するという例は、三越伊勢丹の先例がある。
イセタンミラーや今年3月に改装を終えた大名古屋ビルヂングに初出店したイセタンハウスなどである。
凋落し続ける百貨店が、自主編集した商材を他社商業施設内でテナントとして販売するというやり方である。
基幹である百貨店事業において、既存店の売上高を増やすことも、百貨店の新店オープンをすることもかなり難しい。そう簡単に既存店の売上高が増やせるのならとっくに増やせている。

また目ぼしい立地にはすでにほとんど百貨店が出店しており、現在出店のない地域というのはもともとが売上高が見込めない。こういう状況で新たに百貨店を出店することは事実上不可能である。

となると、他社商業施設内にテナント出店をすることで会社としての売上高を増やすことは理に適っている。

イオンリテールのこのブランド出店も他社商業施設内にテナント出店することで会社としての売上高を増やそうという狙いは当然あるだろう。
まったくの推測だが三越伊勢丹のそういう動きにヒントを得た部分もあるのではないかと思う。

しかし、イオンリテールのやり方には現段階において疑問点しか残らない。

まず、イオンリテール本体の衣料品のイメージ向上が果たしてこのやり方で実現可能なのかどうかという点である。

イセタンミラーやイセタンハウスに倣うなら、イオンやイオンリテールという名称はどこかに残さねばならない。
トップバリュでも良いだろう。
「イオン ムーディラ」とか「ムーディラBYトップバリュ」とかが理想である。

だが、プレスリリースを読む限りにおいて「ムーディラ」というブランドがそういう表記をされているのを見たことがない。

おそらく先日オープンしたショップでもそういう表記がされていないのではないかと考えられる。

そうすると、一般消費者に対してムーディラとイオンの関係はまったく伝わらないということになる。
イオン側からすれば「プレスリリースを配布して、メディアも記事を書いているから多くの消費者に伝わった」と考えていると思うが、それはまったくの幻想にすぎない。

そんな告知記事なんてほとんどの消費者は気にも留めていない。
読んでいるのはメディア関係者と業界関係者くらいだろう。

仮にムーディラが大ヒットしたとして(可能性は極めて低いと思うが)、この展開方法では、ムーディラというブランドをイオンやイオンリテールとリンクさせて認識する消費者はほとんどゼロに近いと推測される。

じゃあ、このブランドを開始したのは何のためだろうということになる。

今後の新規ビジネスを想定して新たなノウハウを蓄積するために自社が苦手とするファッションブランドを開始したとも考えられるが、売上高は別として収益性が激烈に悪化しているイオンリテールに、失敗することが高確率で見込めるような新規ビジネスに投資できるほどの資金的余裕があるとは思えない。

逆に「イオン ムーディラ」とか「ムーディラBYトップバリュ」と表示したとすると、これはまたファッションブランドとしては売りづらくなる。
昨今では「イオンモールはファッショントレンドをけん引している」なんて言説もあるが、田舎のファッショントレンドをけん引しているのはイオンモールに入店するテナントブランドであって、決して「イオンモールそのもの」がトレンドをけん引しているのではない。
イオンモールに入店しているテナント店に対してファッションイメージを抱く消費者はいるだろうが、「イオンモールそのもの」にファッションイメージを抱く消費者は極めて少ない。

イオンのイメージ付けがファッションブランドに対しては逆効果になると考えたから、あえて「ムーディラ」のみの表記にしたのではないか。

となると、ムーディラが売れようと売れまいとイオンやイオンリテールに対するイメージ向上にはあまり役に立たないということになる。

じゃあ、一体何のためのブランド開発なのかとますますわからなくなる。

ムーディラ自体はどうかというと、ルック画像を見るにおいては「極めてフツー」という感想しかない。
平均とか標準とかいう表現しかできない。

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(ムーディラの商品画像)


「気まぐれな女の子の心を掴む、おしゃれでラフなスタイル“Girl’s street style”」をテーマに、スニーカーを軸としたストリートスタイルのファッション。

コアターゲットは23~25歳の女性。

2018年を目途に駅前のターミナルビルやファッションビルを中心に15店舗の出店を目指す。

アイテム数は、アパレルや雑貨(シューズを含む)約110アイテムで、
価格帯(税込)はトップスが2,149円~7,549円、ワンピースは5,389円~7,549円、デニムは税込7,549円~11,869円、アウターが7,549円~15,109円など。

とのことだが、ルック画像を見る限りにおいては、23~25歳向け女性より下の年代がターゲットに見える。
大学生向けブランドではないかと思う。

23~25歳という年代は、もう就職している。
昨今は女性の方が就職内定率が高いからほとんどの女性が企業に就職していると考えられる。

そうした女性がこんな「ストリートカジュアル」を好んで着るだろうか。
間違いなくこの服装は多くの会社でNGである。

ストリートファンの女性ももちろん存在するだろうが、着用頻度は学生時代に比べて極めて低くなる。
週に2日着るか着ないかだろう。
そんな着用頻度が低い服を頻繁に購入する23~25歳女性がどれほど存在するのか。
独身で可処分所得が多いとはいえ、初任給は20万円前後であるから、都心で暮らしているならそこまでゆとりはない。

出店場所が都心ターミナルなのだから、ターゲットも当然都心近郊に住んでいる女性と考えるべきだろう。
そうすると、そもそもターゲット設定と商品のテイストがミスマッチなのではないかと思う。

価格はイオンのトップバリュよりも1ランク上という感じに見える。
決して高すぎるとは思わないが、リーズナブルだとも思わない。
価格で言えば、他の109ブランドと横並びだろうと思うから特別に価格競争力があるわけではない。

商品のデザインが特徴があるかと言われると、さっきも書いたように「極めてフツー」としか言いようがない。

となると、強烈なアンチも発生しない代わりに強烈な支持者も生まれにくい特徴のないブランドということになる。

それに凋落しきっている渋谷109へに第1号店を出店するというのもなんだか微妙な選択である。
「ファッション=若い女性=渋谷109」というステレオタイプな発想はいかにも脂ギッシュなオッサン的である。
華麗なる加齢臭が漂うほどオッサン的だ。

独自のファッションブランドを開発したいという意欲は理解できるが、イオンに限らず大手総合スーパーはこれまでの開発手法と固定概念を見直すべきではないか。そうでなくては、100年やってもファッションブランド開発なんて成功しない。









白いズボンでも透けにくいグンゼYGは女性向けを作ったら大ヒットするのでは?

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 今日は小ネタを。

先日、グンゼの2017年春夏展示会にお邪魔した。
毎回、肌着、靴下、ストッキング、パジャマと盛りだくさんである。

今回、これはアイデア商品だと思ったのがあった。
グンゼYGカットオフのパンツである。ズボンではなく、肌着のパンツである。

サンプルでいただいたトップスはこの夏重宝した。
薄手の丸編み生地でありながら、袖口、首回り、裾とすべて切りっぱなしで段差がない。
段差がないからワイシャツの下に着ていても透けにくくクールビズに最適である。
しかも綿素材が主体なので、合繊主体のエアリズムに嫌悪感のある中高年にはピッタリではないかと思う。

筆者はフリーランスになってから冠婚葬祭以外ほとんどワイシャツを着用しないので、Tシャツの下に重ねたのだが、生地が薄いのでTシャツの下に重ねるのにも重宝した。

それのパンツ版である。

で、ディスプレイを見てなるほどと思ったのだが、白いズボンの下に着用すると透けにくいのでこういう需要はあるのではないかと思った。

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(白いズボンでも透けにくいグンゼYGカットオフのベージュのロングパンツ)


昨今、好き嫌いは別として(こう書かないと、クールビズはダサいって言ってくるめんどくさい業界関係者がいるからね)、クールビズが定着している。
夏場の白っぽい綿パンはクールビズの定番でもある。

またカジュアルシーンでもホワイトジーンズも含めて白いズボンはここ数シーズンで定番化している。

白いズボンは清潔感があって、涼しげなイメージがあるが、一つ問題がある。
下着が透けやすい。
とくに昨今はコスト削減の影響からか生地が薄くなっていてただでさえ透けやすい白いズボンがさらに透けやすくなっている。

オッサンの肌着パンツが透けてて、それを見て嬉しく思う人間はほとんどいない。
透けるというのは不思議なもので、肌着パンツのまま歩いているよりもいやらしく見えてしまう。(笑)
15年位前なら、ブリーフ派のおっさんが少なからず世間を闊歩しており、白ズボンのお尻にブリーフのラインをくっきりと浮かび上がらせていて、今のボクサーブリーフが透けているよりもダサく見えていたが、現在はブリーフ派のオッサンはほとんど消滅しており、その分、まだ透けていてもマシに感じる。

が、まあ、オッサンに限らず野郎の肌着パンツなんて透けないに越したことはない。

そういうわけでこのグンゼYGカットオフの肌着パンツは、透けにくいから白ズボンスタイルに最適ではないかと思う。

で、会場で商品を見ていてふと思ったのだが、これは男性用だが、もしかしたら女性用に改良したほうが売れるのではないかと。

白ズボンが定番化しているのはレディースも同様だ。
さらに白スカートも定番化している。

で、レディースのズボンの方がメンズよりも生地が薄い場合が多い。
これは女性の方が、男性よりも柔らかくて軽い生地を好むことが多いからなのだそうで、それは白ズボンにも適応されている。
レディースに比べれば肉厚感のあるメンズの白ズボンですら肌着のパンツは透けやすいのに、それよりも薄いレディースの白ズボンは透けないわけがない。

実際に街で少しゆっくりと見てみるといい。

白ズボンを穿いた女性の体感では8割くらいは下着のパンツが透けている。(当社調べ)
最近、性欲の減退も著しいし、女性肌着のファッションショーなんかも見慣れてるから、それでムラムラしたりはしないが、あんまりスケスケなのもナントカならないのかと思ってしまう。


白スカートになるとさらに生地が薄い場合がある。
中にペチコートがついていたとしても結構スケスケの場合があって、本人はこれを気付いているのかと不安になることがある。たまに注意してあげようかと思ったこともあったが、そんなことをしたら確実に変態認定されてしまうので黙っていた。

このグンゼYGカットオフのベージュを女性用に改良すれば、そういう「スケスケおパンツ事件」は随分と減るのではないかと思う。
もちろんメンズにも重宝されるとは思うが、レディースの方が需要は大きいのではないか。

グンゼYGカットオフベージュの女性版肌着パンツを開発すれば、大ヒット商品になりそうな気がする。














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