南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

新商品発表

洋服以外の商材に活路を求めた縫製工場

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 カジュアルパンツのOEM生産を請け負っている友人から「今年に入って製造地を国内から中国へ再度移転した」との報告があった。

理由の1つとして夏場から円高傾向が進んだことが挙げられる。
現在はトランプ次期大統領の就任が決まって再び110円越えの円安基調へ変わっている。

また、日本の縫製工場よりも中国の工場の方が使い勝手が良いこともある。
大ロットの受注がアセアン諸国へ移ったため、中国国内の縫製工場はかなり小ロット対応も積極的に行うようになっている。
さらに、副資材の手配や取り付けなども一貫生産で中国では行える。

国内の縫製工場は分業体制が確立されているため、ボタンやリベット、ファスナーなどの副資材の手配は、ブランド側が行わなくてはならないし、取り付けはそれぞれ別の専門の工場へ送らねばならない。

そういう諸々の要素によって、縫製の多くは再び中国へ戻りつつある。
11月から円安基調が加速したが、だからといって再び国内工場へ受注が戻ることは考えにくい。
機能性、機動性、利便性の上で中国工場が国内工場を上回っている場合が多いからだ。

そんな中、三重県の縫製工場、近藤ソウイングの近藤喜成社長と久しぶりにお会いした。

近藤ソウイングは受注はそれなりにあるそうだが、付き合いのある縫製工場の多くが閑散としており、1年前の活況は見られない状況にあるという。理由は多くの注文が中国工場へ戻ったからだ。

いやはや厳しい状況である。

その際、近藤社長が「新製品のサンプルだ」と言って、「指ヨガ手袋」をいただいた。

自力ではできないほどキツイ状態になるが、左右の手のそれぞれの人差し指と小指を内側に曲げずにくっ付けると、体の柔軟性が増すのだそうだ。
これは近藤社長が勝手に言っているのではなく、カイロプラクティクの小平芳弘さんの提案だそうだ。
この手袋の考案者もその小平芳弘さんである。

言葉ではわかりにくいので実際に手袋をはめてみるとこんな感じである。
人差し指と小指が縫い付けられており、強制的にくっつけさせられる形になっている。


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これを30分はめると肩こりや腰痛などが緩和されるという。

いやー、それは単なるプラシーボ効果じゃないのか?

筆者はこの手の健康グッズはあまり信用しないので、即座に疑った。

筆者は肩こりがひどく、首、背中、腰も常に重だるい。
ちょうど社長とお会いしたときは、首の左側がひきつったように痛い上に、腰が10日以上痛かった。

だまされるつもりでこの手袋を30分はめてみた。
何がどうなったかはわからない。
べつにどこか体の部位に刺激を感じたわけではないが、30分が過ぎたころから、首と腰の痛みがマシになってきた。

これには驚いた。

社長と別れてから、夜、もう一度はめてしばらくすごした。
翌朝はさらに体全体のだるさが緩和されている。

そこから毎日、30分くらい手袋をはめるようにしているが、以前より肩こりがマシになっているように感じる。

近藤社長は、「もう洋服の縫製の注文は目に見えて増えることは考えにくい。それよりもこういうアイデア商材を新たに取り組む方が生き残れる可能性が高いのではないか」と話しておられ、本当にその通りではないかと思った。

筆者のようなド素人から見ると、形が変なだけの単なる手袋ではないかと思うのだが、実はミリ単位にまで注意を払って縫製しているという。だから少しズレただけで不良品になるため、不良品比率はかなり高いそうだ。

縫製工場の新しい取り組みとしては成功する可能性は低くはないのではないかと思う。
さっそく近藤社長は販売サイトまで立ち上げておられる。

http://www.wis5455.com/

洋服の販売不振はピークを迎えており、事態が好転することは今後もほとんど望めない。
もう「トレンド提案」だとか「アクセントカラーの提案」だとかそんな小手先だけでは洋服の売上高が回復することはありえない。

製造加工業の自立化も以前からいわれているが、商況が極度に悪い洋服という商品で、自立化を目指すのは並大抵ではない。

だとすると、こういうアイデアグッズ的、健康グッズ的な商材からスタートする方が理に適っているのかもしれない。近藤ソウイングという縫製工場が自立化を開始したのだが、そのとっかかりとしてはこういうやり方もありなのではないか。








イオンリテールは新レディースブランド「ムーディラ」で何を目指したのかよく分からない

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 イオンリテールが9月10日にヤングレディースの新ブランド「ムーディラ」を渋谷109に出店した。

店舗をまだ見ていないので、店に関する感想を述べることはできない。

ただ、このブランドは何を目指しているのかが皆目わからない。
大手総合スーパー各社の衣料品は苦戦を続けているから、それに対してのイメージ向上だったり、新販路開拓が目的だと想像できるのだが、果してそれが実現できるかどうかは非常に怪しいと個人的には見ている。

大手流通企業がテナントとして他社商業施設に出店するという例は、三越伊勢丹の先例がある。
イセタンミラーや今年3月に改装を終えた大名古屋ビルヂングに初出店したイセタンハウスなどである。
凋落し続ける百貨店が、自主編集した商材を他社商業施設内でテナントとして販売するというやり方である。
基幹である百貨店事業において、既存店の売上高を増やすことも、百貨店の新店オープンをすることもかなり難しい。そう簡単に既存店の売上高が増やせるのならとっくに増やせている。

また目ぼしい立地にはすでにほとんど百貨店が出店しており、現在出店のない地域というのはもともとが売上高が見込めない。こういう状況で新たに百貨店を出店することは事実上不可能である。

となると、他社商業施設内にテナント出店をすることで会社としての売上高を増やすことは理に適っている。

イオンリテールのこのブランド出店も他社商業施設内にテナント出店することで会社としての売上高を増やそうという狙いは当然あるだろう。
まったくの推測だが三越伊勢丹のそういう動きにヒントを得た部分もあるのではないかと思う。

しかし、イオンリテールのやり方には現段階において疑問点しか残らない。

まず、イオンリテール本体の衣料品のイメージ向上が果たしてこのやり方で実現可能なのかどうかという点である。

イセタンミラーやイセタンハウスに倣うなら、イオンやイオンリテールという名称はどこかに残さねばならない。
トップバリュでも良いだろう。
「イオン ムーディラ」とか「ムーディラBYトップバリュ」とかが理想である。

だが、プレスリリースを読む限りにおいて「ムーディラ」というブランドがそういう表記をされているのを見たことがない。

おそらく先日オープンしたショップでもそういう表記がされていないのではないかと考えられる。

そうすると、一般消費者に対してムーディラとイオンの関係はまったく伝わらないということになる。
イオン側からすれば「プレスリリースを配布して、メディアも記事を書いているから多くの消費者に伝わった」と考えていると思うが、それはまったくの幻想にすぎない。

そんな告知記事なんてほとんどの消費者は気にも留めていない。
読んでいるのはメディア関係者と業界関係者くらいだろう。

仮にムーディラが大ヒットしたとして(可能性は極めて低いと思うが)、この展開方法では、ムーディラというブランドをイオンやイオンリテールとリンクさせて認識する消費者はほとんどゼロに近いと推測される。

じゃあ、このブランドを開始したのは何のためだろうということになる。

今後の新規ビジネスを想定して新たなノウハウを蓄積するために自社が苦手とするファッションブランドを開始したとも考えられるが、売上高は別として収益性が激烈に悪化しているイオンリテールに、失敗することが高確率で見込めるような新規ビジネスに投資できるほどの資金的余裕があるとは思えない。

逆に「イオン ムーディラ」とか「ムーディラBYトップバリュ」と表示したとすると、これはまたファッションブランドとしては売りづらくなる。
昨今では「イオンモールはファッショントレンドをけん引している」なんて言説もあるが、田舎のファッショントレンドをけん引しているのはイオンモールに入店するテナントブランドであって、決して「イオンモールそのもの」がトレンドをけん引しているのではない。
イオンモールに入店しているテナント店に対してファッションイメージを抱く消費者はいるだろうが、「イオンモールそのもの」にファッションイメージを抱く消費者は極めて少ない。

イオンのイメージ付けがファッションブランドに対しては逆効果になると考えたから、あえて「ムーディラ」のみの表記にしたのではないか。

となると、ムーディラが売れようと売れまいとイオンやイオンリテールに対するイメージ向上にはあまり役に立たないということになる。

じゃあ、一体何のためのブランド開発なのかとますますわからなくなる。

ムーディラ自体はどうかというと、ルック画像を見るにおいては「極めてフツー」という感想しかない。
平均とか標準とかいう表現しかできない。

無題


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(ムーディラの商品画像)


「気まぐれな女の子の心を掴む、おしゃれでラフなスタイル“Girl’s street style”」をテーマに、スニーカーを軸としたストリートスタイルのファッション。

コアターゲットは23~25歳の女性。

2018年を目途に駅前のターミナルビルやファッションビルを中心に15店舗の出店を目指す。

アイテム数は、アパレルや雑貨(シューズを含む)約110アイテムで、
価格帯(税込)はトップスが2,149円~7,549円、ワンピースは5,389円~7,549円、デニムは税込7,549円~11,869円、アウターが7,549円~15,109円など。

とのことだが、ルック画像を見る限りにおいては、23~25歳向け女性より下の年代がターゲットに見える。
大学生向けブランドではないかと思う。

23~25歳という年代は、もう就職している。
昨今は女性の方が就職内定率が高いからほとんどの女性が企業に就職していると考えられる。

そうした女性がこんな「ストリートカジュアル」を好んで着るだろうか。
間違いなくこの服装は多くの会社でNGである。

ストリートファンの女性ももちろん存在するだろうが、着用頻度は学生時代に比べて極めて低くなる。
週に2日着るか着ないかだろう。
そんな着用頻度が低い服を頻繁に購入する23~25歳女性がどれほど存在するのか。
独身で可処分所得が多いとはいえ、初任給は20万円前後であるから、都心で暮らしているならそこまでゆとりはない。

出店場所が都心ターミナルなのだから、ターゲットも当然都心近郊に住んでいる女性と考えるべきだろう。
そうすると、そもそもターゲット設定と商品のテイストがミスマッチなのではないかと思う。

価格はイオンのトップバリュよりも1ランク上という感じに見える。
決して高すぎるとは思わないが、リーズナブルだとも思わない。
価格で言えば、他の109ブランドと横並びだろうと思うから特別に価格競争力があるわけではない。

商品のデザインが特徴があるかと言われると、さっきも書いたように「極めてフツー」としか言いようがない。

となると、強烈なアンチも発生しない代わりに強烈な支持者も生まれにくい特徴のないブランドということになる。

それに凋落しきっている渋谷109へに第1号店を出店するというのもなんだか微妙な選択である。
「ファッション=若い女性=渋谷109」というステレオタイプな発想はいかにも脂ギッシュなオッサン的である。
華麗なる加齢臭が漂うほどオッサン的だ。

独自のファッションブランドを開発したいという意欲は理解できるが、イオンに限らず大手総合スーパーはこれまでの開発手法と固定概念を見直すべきではないか。そうでなくては、100年やってもファッションブランド開発なんて成功しない。









白いズボンでも透けにくいグンゼYGは女性向けを作ったら大ヒットするのでは?

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 今日は小ネタを。

先日、グンゼの2017年春夏展示会にお邪魔した。
毎回、肌着、靴下、ストッキング、パジャマと盛りだくさんである。

今回、これはアイデア商品だと思ったのがあった。
グンゼYGカットオフのパンツである。ズボンではなく、肌着のパンツである。

サンプルでいただいたトップスはこの夏重宝した。
薄手の丸編み生地でありながら、袖口、首回り、裾とすべて切りっぱなしで段差がない。
段差がないからワイシャツの下に着ていても透けにくくクールビズに最適である。
しかも綿素材が主体なので、合繊主体のエアリズムに嫌悪感のある中高年にはピッタリではないかと思う。

筆者はフリーランスになってから冠婚葬祭以外ほとんどワイシャツを着用しないので、Tシャツの下に重ねたのだが、生地が薄いのでTシャツの下に重ねるのにも重宝した。

それのパンツ版である。

で、ディスプレイを見てなるほどと思ったのだが、白いズボンの下に着用すると透けにくいのでこういう需要はあるのではないかと思った。

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(白いズボンでも透けにくいグンゼYGカットオフのベージュのロングパンツ)


昨今、好き嫌いは別として(こう書かないと、クールビズはダサいって言ってくるめんどくさい業界関係者がいるからね)、クールビズが定着している。
夏場の白っぽい綿パンはクールビズの定番でもある。

またカジュアルシーンでもホワイトジーンズも含めて白いズボンはここ数シーズンで定番化している。

白いズボンは清潔感があって、涼しげなイメージがあるが、一つ問題がある。
下着が透けやすい。
とくに昨今はコスト削減の影響からか生地が薄くなっていてただでさえ透けやすい白いズボンがさらに透けやすくなっている。

オッサンの肌着パンツが透けてて、それを見て嬉しく思う人間はほとんどいない。
透けるというのは不思議なもので、肌着パンツのまま歩いているよりもいやらしく見えてしまう。(笑)
15年位前なら、ブリーフ派のおっさんが少なからず世間を闊歩しており、白ズボンのお尻にブリーフのラインをくっきりと浮かび上がらせていて、今のボクサーブリーフが透けているよりもダサく見えていたが、現在はブリーフ派のオッサンはほとんど消滅しており、その分、まだ透けていてもマシに感じる。

が、まあ、オッサンに限らず野郎の肌着パンツなんて透けないに越したことはない。

そういうわけでこのグンゼYGカットオフの肌着パンツは、透けにくいから白ズボンスタイルに最適ではないかと思う。

で、会場で商品を見ていてふと思ったのだが、これは男性用だが、もしかしたら女性用に改良したほうが売れるのではないかと。

白ズボンが定番化しているのはレディースも同様だ。
さらに白スカートも定番化している。

で、レディースのズボンの方がメンズよりも生地が薄い場合が多い。
これは女性の方が、男性よりも柔らかくて軽い生地を好むことが多いからなのだそうで、それは白ズボンにも適応されている。
レディースに比べれば肉厚感のあるメンズの白ズボンですら肌着のパンツは透けやすいのに、それよりも薄いレディースの白ズボンは透けないわけがない。

実際に街で少しゆっくりと見てみるといい。

白ズボンを穿いた女性の体感では8割くらいは下着のパンツが透けている。(当社調べ)
最近、性欲の減退も著しいし、女性肌着のファッションショーなんかも見慣れてるから、それでムラムラしたりはしないが、あんまりスケスケなのもナントカならないのかと思ってしまう。


白スカートになるとさらに生地が薄い場合がある。
中にペチコートがついていたとしても結構スケスケの場合があって、本人はこれを気付いているのかと不安になることがある。たまに注意してあげようかと思ったこともあったが、そんなことをしたら確実に変態認定されてしまうので黙っていた。

このグンゼYGカットオフのベージュを女性用に改良すれば、そういう「スケスケおパンツ事件」は随分と減るのではないかと思う。
もちろんメンズにも重宝されるとは思うが、レディースの方が需要は大きいのではないか。

グンゼYGカットオフベージュの女性版肌着パンツを開発すれば、大ヒット商品になりそうな気がする。









ブルーウェイブランドが今秋から正式に復活

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 昨年6月に倒産したブルーワークスカンパニーが展開していた国産ジーンズブランド「ブルーウェイ」と国産スラックスブランド「コントライバンス」の復活が正式に決定した。

昨年倒産したブルーウェイのブランドが復活
https://www.wwdjapan.com/fashion/2016/08/16/00021246.html


といっても、ブルーワークスカンパニーという会社が復活するわけではない。
元ブルーワークスカンパニーの社員が商標権を取得して、今後は企画製造・販売を行うということである。

元ブルーワークスカンパニーの中田直樹氏が、かつての得意先からブランド消滅を惜しむ声を受けて、新会社はね(東京)を設立し社長に就任。今年6月から「コントライバンス」のテスト販売を開始していた。今後は同ブランドの企画・製造、および「ブルーウェイ」の関東地区での卸売りを営業代行として行う。また、元同社の営業部長であり、両ブランドの商標を所有する山本聖人氏は、新会社じんくら(広島)を立ち上げ、西日本で卸売りを担当する。

という経緯だ。

実は今年の6月くらいから「ブルーウェイ」の新商品が出回っているという情報を耳にしていた。
正式に復活したという報せは受け取っていなかったので、おかしいな?と思いながら、もうすぐ正式にブランドが復活するのではないかと推測していた。

もともと昨年6月に倒産したブルーワークスカンパニーだが、その後、同業の何社かが商標獲得に手を挙げたという噂を耳にしていた。
その中の三備地区の某量販店向けカジュアルパンツメーカーがもっとも商標取得に熱心だとも聞いていた。

まったくの第三者的立場から見ると、その某社は旧ブルーウェイの本社とも近隣にある上に、主力商材は1900~4900円の量販店向けの低価格カジュアルパンツであることから、7900円以上の高価格帯のブルーウェイの商品を扱うには打ってつけだった。
自社の主力商品とまったく被らないから住み分けしやすく、新販路獲得もしやすい。
部外者としてはその某社で決まりだろうと勝手に思い込んでいたが、元社員が商標を獲得するというのは予想外だった。

しかし、心情的に考えれば、商標に愛着を持っていた元従業員が獲得するほうがしっくりとくる。

今後の商況がどうなるかはわからないが、ブランドにとっては一番良い結果だったのではないかと思う。

ただ、正式に復活したといっても、商品の供給過多な状況下において、売れ行きが易々と伸びる可能性は低い。
コツコツと小さい売上高を積み重ねるという売り方になると見たほうが良いだろう。

今回、復活発表に先立って、株式会社はねの中田社長から「コントライバンス」のトラウザーをサンプルでいただいた。
濃紺ストレッチデニム素材とカラーストレッチピケ素材があったのだが、ストレッチデニム素材を送っていただいた。

サイズはL(32インチ)を選んで正解だった。
ストレッチ素材ということもあって、ウエストはおそらくM(30インチ)でも合ったのではないかと思う。
なぜなら少し伸びるからだ。

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しかし、筆者の太ももとふくらはぎは太い。
Lでも意外にピタっとするが、Mならレオタード状態になってしまっただろう。

太短い脚のおっさんがシルエットを露わにするのは、他人が見て気持ちの良いものではないだろう。
筆者自身もわざわざそんなものを他人に露出したいとは思わない。

デニム素材だが、表面はフラットで変な凹凸感はない。
中田社長に聞くと「通常のデニム生地なので洗濯を繰り返すうちに色落ちする」そうだが、わざわざ説明せねば、洋服に詳しい人以外はこれがデニム生地だとはわからないだろう。
それほどにフラットな表面感である。

組成は綿98%・ポリウレタン2%だが、表示から予想するよりもストレッチ性は高いように感じる。

丈は8分丈で今風である。

デニム生地特有のズッシリ感もなく、むしろ、合繊が含まれているかと思うくらいに軽さがある。

いわゆるオフィスカジュアルにも着用が可能だ。

今後、色落ちするとどういう見え方になるのか穿き込んで実験してみたいと思う。

ウェブサイトでも通販が開始されているので気になる人はこちらを見てもらいたい。

http://contrivance.jp


さて、ブルーウェイの歴史について検索してみたがウェブ上では出てこない。
そこで昭和63年発行の古い業界誌を引っ張り出してみると、創業は昭和24年とあるから、1949年になる。

ここからは推測だが、この時期に日本では国産ジーンズは誕生していない。
日本で国産ジーンズが作られるようになったのは1960年代以降である。
それに際して、作業服メーカーや学生服メーカーがジーンズメーカーに転身している。
ブルーウェイも創業当時はそういう被服を扱っていたのだろう。

その後、93年にインポートブランドを扱う関連会社としてブルーワークスカンパニーが設立される。
ジーンズチェーン店が相次いで倒産するなどして、ブルーウェイの業績が年々低下し、2012年にブルーワークスカンパニーがブルーウェイを吸収する形で事業を継続した。
しかし、その後も業績の悪化は止まらず2015年6月にブルーワークスカンパニーも倒産した。


それにしても昔はもっとたくさんのジーンズメーカーがあった。
ちょっとページを繰ってみると、フジタツ、ドット、大石貿易、日本ハーフ、サンダイヤアパレル、帝人ワオなどの社名が並んでいる。

各社の年商を見ると最低でも10億円を越えている。
ジーンズをやっていれば儲かった時代だったというわけだ。

作りさえすれば売れていたのが70年代と80年代だった。
一転したのが90年代後半からで、現在の状況に至る。

仮に75年に創業したメーカーがあったとして、不況が押し寄せたのは97年ごろだから、優に22年間の猶予があったといえる。
前半の15年はイケイケドンドンだったとして、残り7年間で社内体制を一新することはできなかったのだろうかと部外者としては疑問に感じる。

しかし、筆者がもし75年当時の社員だったとして、97年に不況が押し寄せても「変わらなければ生き残れない」などとは考えられなかっただろう。
当然経営者も同じだっただろう。

その結果、2000年に入る前に多くのジーンズメーカーが淘汰され、2000年代になってもまだ淘汰が進んだ。

先ごろ、WWDで恒例のジーンズ特集号が発売されたが、ナショナルブランドのジーンズメーカーとして掲載されているのはエドウインとリーバイ・ストラウス・ジャパンだけである。
あとは年配の人なら耳にしたことがないようなインポートブランドやSPAブランドばかりである。

筆者が業界紙でジーンズ関係を担当したのが98年だから、たった18年でガラっと様変わりしたということになる。

ブルーウェイブランドの復活とともに改めて「昭和は遠くになりにけり」だと感じた。







国産Tシャツブランド「ナインオクロック」は「お!値段以上」を実現できるか?

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 さて、今日は気分を変えて。

昨日、午後9時に国産Tシャツブランド「ナインオクロック」が正式スタートとなり、同時に直営通販サイトも稼働開始した。

http://9oclock.co.jp/

価格は3500円(税抜き)で、これが高いか妥当かは意見の分かれるところだろう。
オープンに先立って、サンプル品が送られてきた。
60番手のスムース素材だが、光沢があり、ちょっとしっとりとした触感がある。
おそらくシルケット加工か何かを施しているのではないかと思う。
縫製は岩手県久慈市のアクティブという工場が担当している。

形はややタイトで、46歳のオッサンはLサイズでピタっとした感じになる。

これを開始したのは香取正博さんという若い衆なのだが、彼はアパレル勤務経験がない。
もちろん繊維素材メーカー勤務の経験もない。

元オーナー美容師で、都内で2店舗を経営していたが売却して、Tシャツを作って売りたいと思い立ったそうだ。
繊維業界に対して明るい展望をまるで持てない筆者からすると「その選択はどうなん?」と首をかしげざるを得ない。
その香取さんと出会ったのはちょうど1年前である。
昨年5月の東京テキスタイル・マルシェ会場にひょっこり現れた。

「Tシャツ作りたいけどどうすればいいんですかね?」というすさまじくバックリとした質問を投げかけてきた。
一応、縫製工場はこの時点で岩手県の久慈市に目星をつけているようだったが、生地の仕入れ先をまるで知らなかった。

東京マルシェの会期が終わって、丸編み(Tシャツの生地は基本的に丸編みという編み方)生地に強い生地問屋を何社か紹介した。

最初は丸編み生地工場を紹介しようかと思ったが、工場はあくまでも工場でさまざま種類の生地を備蓄しているわけではない。むしろ、「こんな生地がほしい」というのが明確でないときは、さまざまな生地を備蓄している問屋のほうが選びやすい。
工場と直接やる場合は「〇番の糸を使ってこんな風に編んでほしい」というのが明確にあるときだけである。

どうも筆者のところに来るまでに何社かにはバックリとした質問を投げかけて断られた様子だったが、当然といえば当然だろう。

生地問屋各社で何種類もの生地を見せてもらったがなかなか決まらない。
というか香取さんが決められないのである。

筆者は基本的に薄い生地のTシャツは嫌いで分厚い生地のTシャツが好きである。
理由は汗かきなので夏だと薄地のTシャツはすぐボトボトになる。
だから夏に着るのは分厚い生地のTシャツにしている。薄地のTシャツは汗をかかない季節にシャツやニットの下に着ている。

しかし彼は割合に薄地のTシャツを好む。
ただ、ベルシュカあたりで販売されているあまりにも薄すぎる生地はいやだそうで、そのあたりのこだわりは本人の語彙力の乏しさもあって周りの人間にはなかなか伝わらなかった。

でそんな感じでグダグダしたまま11月になった。

正直なところ、この企画は流れるのかなあ?と思っていたが、11月に訪ねたところで「とりあえず気になる生地をいくつか選んでそれをサンプルに仕上げてみましょう。生地だけ見ててもわからないですよ」といわれ、なるほどそうだということで、サンプル縫製に入ってやっと動き始めた。

その後、彼はわざわざ縫製工場のある岩手県久慈市に引っ越してしまったので、今年に入ってからは会っていない。昨年の11月のサンプル縫製からそのあとどのようにして今の生地を選定したのかは詳細を聞けていない。

で、ネット通販用のサイトだがこれも当初の予定から遅れに遅れてしまって、傍から見ていてどうなることかと心配したが何とかオープンにこぎつけた。

サンプルが入っていた箱はこんな箱である。

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白と黒のVネックを1枚ずつ送ってもらった。

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白だけを洗濯して天日干ししてみたが、縦はほとんど縮まないが横幅はだいたい3センチほど縮む。
どんなTシャツでも洗濯して乾燥させれば、縮むのでこれは当たり前である。
ただ、縮み方にもさまざまあり、縦横ともに縮むTシャツもあるが、この「ナインオクロック」は縦にはあまり縮まないようだ。

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そうそう、ブランド名の「ナインオクロック」だがその由来は、久慈産=クジ=9時=9'oclockというわけである。

そんな感じでようやく始まったブランドだがこれからどうなるのか予断を許さない。

彼の取り組みを一連サポートしてみて、いわばど素人ですらお金さえ払えばオリジナル商品が作れるという業界インフラの整備され具合に改めて驚いた。
ブランドを展開するには、シーズンごと・年間通じての商品計画が必要である。
これをマーチャンダイジングと呼ぶがこれがまともでないと「ブランド」として商品は売れにくい。
もちろん筆者も彼もマーチャンダイジング担当者(マーチャンダイザー)として仕事をしたことがないから、シーズンごと・通年でのマーチャンダイジングは組めない。

しかし、単品だけでよければ、業界の製造インフラは極度に整備されているため、ど素人でも製造することが可能なのである。

これは今に始まったことではなく、すでに2000年ごろには今とほぼ変わらない業界インフラが整備されていた。
2003年の時点ですでに、ある倒産したカジュアルメーカーのベテラン社長は「業界には製造インフラが極度に整備されているから誰でもすぐに物が作れる。この参入障壁の低さがこの業界の特徴だ」と話しておられたくらいである。

業界の製造インフラが整った理由は、政府や行政が整えたわけでもなく、大手の有志が理想を掲げて整備したわけでもない。
倒産やリストラ、独立が繰り返され、そういった人々が自衛のためにOEM/ODM企業を立ち上げた結果である。
いわば自然発生的に業界に製造インフラが整った。

単品を作るだけで良ければ、ど素人にだって簡単にできてしまう。
しかも品質は通常のメーカー品と変わらない。

じゃあ仮にも「ブランド」を名乗っていたら、それと同じレベルだと消費者から支持されないのは明白だろう。
ど素人の単品作りでは到底追いつけないブランドの強みとは何か?
そこを忘れて製造インフラに丸投げ依存しているから、現在のブランドの凋落があるのではないか。
製造インフラに丸投げ依存して原価率を下げることしか考えていない「ブランド」が凋落するのは何の不思議もない。









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