南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

倒産

スキニージーンズはついに中高年男性にまで広まった?

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 今春夏はジーンズが久しぶりに復活したと言われている。
といっても、全ブランドが良かったのではなく、ジーンズがトレンドに浮上したため、好調だったブランドが多かったということであり、期待した割にはあまり動かなかったというブランドもある。

10年前のようにジーンズがトレンドで全ブランドが軒並み好調という図式ではなく、今後はそんな状況になることはないだろうと考えられる。

ジーンズはズボンの一種で、ズボンしか着用物がない男性にとっても、チノパンあり、ジョガーパンツあり、ミリタリーパンツあり、スエットパンツあり、とジーンズ以外の選択肢が増えた。

当然、ジーンズの着用率は減るから、年間での購入本数も減る。
また、ユニクロや無印良品の3900円台のジーンズも決して品質、見た目ともに悪くない。
特にこだわりがない層はここで買う。

ズボンのバリエーションが増えただけではなく、消費者にとっての買場も増えて、それだけ分散化しているといえる。

若者が「ジーンズ」をはかなくなった? 生産10年で3割減…「カジュアル」多様化、パンツを替える時代!
http://www.sankei.com/west/news/161021/wst1610210004-n1.html

先日、産経新聞にこんな記事が出て、コメントを出させてもらった。

記事の論調はまったくその通りで、普段このブログで書いていることを再構成してもらったような形になる。

ジーンズ協議会の生産統計発表も4年前で中断しており、その理由は協議会の非加盟ブランドがジーンズを多く企画製造しており、統計に実態が反映されなくなったためである。
ユニクロもジーユーも無印良品もハニーズもGAPもグローバルワークもウィゴーも全て非加盟である。
これらのブランドの製造数量は統計には反映されていない。

ユニクロだけでも年間1000万本を販売すると言われているから、これらのブランドの数量が反映されない統計は実態とはまるでかけ離れているといえる。

この記事にコメントした通り、今後もジーンズの売れ行きはトレンドによって左右される程度であり、10年前までのようにカジュアル=ジーンズというような単純な構図が復活することはありえないし、ジーンズを扱う全ブランドが潤うようなこともありえないと考えるのが適切だろう。

ところで、空前のジーンズ不振といわれた2009年以降の数年間だが、40代・50代のジーンズ着用率は高かったし、中年のジーンズ需要がジーンズ業界を支えているといわれていた。これは男女ともにである。
正確には30代半ば~50代のジーンズ愛用率は高い。

当時、小学校や中学校の行事に参加するとその年代の保護者のジーンズ着用率は異常に高かった。
当時はスキニーブームになっていたが、この年代がスキニーを穿いていることは稀で、女性はブーツカット、男性はレッドペッパーやトゥルーレリジョンを彷彿とさせるコテコテ加工のジーンズが多かった。

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(エドウインのコテコテジーンズ)



どちらもトレンドからワンテンポ遅れた商品である。

あれから7年ぐらいが経過しているが、この間、街中ではブーツカットの女性もコテコテ加工の男性も見かけることがめっきり少なくなった。

2017年にはトレンドとしてワイドシルエットやフレアシルエット(いわゆるブーツカット、ベルボトム)が注目だとされているが、スキニーやそれに近い細目ストレートは依然としてベースになっていると考えられる。

最近では学校の行事に参加することもなくなったので中高年保護者の服装の変化はつかんでいなかったが、先日、ある大手ジーンズメーカーの営業マンと話していると、保護者の服装も最近は大きく変化しているという。

その営業マンによると、ブーツカット女性とコテコテ男性が減ったのは言うまでもないことだが、中高年男性保護者のスキニー着用比率がかなり高くなっていたという。

そういえば、街中でもスキニーを穿いたオヤジの姿を見かけることが増えたような気がする。

またその営業マンによると、某ネット通販会社の統計資料によると、30代半ば以上の男性のスキニージーンズの購入比率がかなり高くなっているともいう。

筆者も昨年、45歳の時に無印良品のアメリカンコットンスキニージーンズを購入した。
定価3980円の商品が半額になり、さらにレジで何%か引かれて1600円くらいになって非常にお買い得だった。

このジーンズが長期間着用しても膝が出ないので非常にクオリティも高い。

それ以降、スキニーに抵抗がなくなって、何本か投げ売り品を買った。
おそらく世の中高年男性もためしにスキニーを買ってみたら、ストレッチ混の機能性が心地よかったのと、自分が思っているよりもスキニーシルエットがコーディネイトに合わせやすいということに気が付いたのかもしれない。

スキニーはついに中高年層にまで達してマス化したといえるのではないか。
トレンドは正反対に動きつつあるが、世の中のベーシックゾーンはスキニーになり、スキニーを基本にルックスを組み立てることが必要になるのではないか。








アパレルの倒産が続いている

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 かねてから苦戦のうわさが流れていたジェットレーベルがついに倒産した。

これで、2005年ごろに「在阪で次の成長株」と目されていたアパレルはすべて消滅したことになる。
フィットの解散、遊心クリエイションの会社清算、そして今回のジェットレーベルの倒産である。

今回のブログは別に何の解決策も問題提起もなく、単なる所感である。

「Jet Label」ブランドの(株)ジェットレーベル(大阪)/破産開始決定
http://n-seikei.jp/2016/03/JetLabel-tousan.html

この報道が上がったのは昨日(3月9日)だが、その前に事業停止が新聞に掲載されたという。
その新聞記事によると、3月2日に事業停止していると報道されている。

ファッ ションブランド「Jet Label」の(株)ジェットレーベル(大阪市中央区南船場4-6-10、代表:金山英紀)は3月3日、大阪地方裁判所におい て、破産手続きの開始決定を受けた。破産管財人には、畑山和幸弁護士(電話06-6130-7786)が選任されている。なお、当破産手続きの開始決定は 債権者による第3者破産申し立てによるもの。

負債額は約6億5千万円。


とのことであり、通常の破産と異なるのは、債権者(第三者)からの破産申し立てであるところだ。

よほどの債権がたまっていたのではないかと思う。
もしくはジェットレーベルからの支払いがよほど滞っていたのか。

売上高は、以前は11億円台を計上していたが、最近はかなり落ちていたようだ。そうした中、債権者から破産を申し立てられ、対応することができなかった。

とあるが、業界では現在の売上高は5億~7億円弱だったと噂されている。

それにしても最近のアパレル業界は厳しい。
東京もそうだが、とくに関西圏は厳しい。
10年前に注目を集めた3社がそろって退場してしまった。
小規模なところでは、つい先日もマックスインターナショナル、シャルトルという在阪アパレルが倒産している。

もちろん全国的にアパレルは厳しい。

同じ昨日にはこんなブランドも破産している。

「ダニー&アン」の土(旧ダブルウェア)が破産 積極出店が裏目に
https://www.wwdjapan.com/business/2016/03/09/00019896.html

「ダニー&アン(DANNY&ANNE)」を手掛ける土(旧ダブルウェア(WWEAR)、石山杏奈・社長)が3月2日、東京地裁から破産開始決定を受けた。ただし、「ダニー&アン」は先月、別会社に事業譲渡しており、ブランドは継続する。


とのことである。
よくある芸能人が立ち上げたブランドで、この手のブランドが長続きすることはかなり稀である。
元芸能人のノリだけでブランドが運営できるほど、2005年以降の市況は甘くない。

そんな中、バッタリと顔見知りのアパレル勤務の若い女性に出くわした。
まだ彼女は20代だったと思う。

彼女が

「本当に業界厳しいですよ。周辺企業がバタバタと倒れています。氷河期です」

という感想を言ってて賛同するとともにちょっと驚いた。
筆者が30歳手前の頃も不況だったが、業界には「まだ活路はある」というムードもあった。
それから18年くらいが経過したのだが、今の業界のムードはもっと暗い。
若い女性までが「氷河期」だと感じるほどに暗い。
活路を見いだせている人なんてほとんどいないのじゃないかと思う。

マクロ的に俯瞰してみれば、供給過剰が続いていたアパレル業界だから、供給量が需要量に合わさってきており、昨年からの倒産ラッシュは極めて当たり前の状態だといえる。

今の状況は、供給量がさらに減るまで当分の間は続くと考えられる。

成功するかどうかはまだまだ不透明だが、単純に洋服を売るのではないサービスも台頭し始めている。
レンタルだとかフリマアプリだとかである。

これらの新規ビジネスが成功をおさめればおさめるほど、消費者が通常店(インターネット通販含む)で「洋服を買う量」は減り続けるだろう。通常店での洋服販売とレンタルやフリマは両立できない。
どちらかが増えればどちらかが減る。
両方ともに変わらない量を利用し続ける「服中毒」消費者なんてかなりの少数種族である。

ファッションを好む層はたしかにそれなりに多いかもしれない。
しかし、その層の人口の何倍もの洋服が市場に供給されているのが現在の状況であり、全ブランドが売れ残らないなんて状況はあり得ない。

そういう状況下で売るためにはどうすれば良いか。

最早、値下げ競争も限界である。
値下げせずに売れるためにどうするか。

「ファッションの楽しさを伝える」みたいな精神論だけではどうしようもないのではないか。

まあ、そんな雑感である。












WOmBが民事再生法を申請

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 昨日、カジュアルセレクトの「WOmB」が民事再生法を申請したニュースが流れた。
負債総額は約10億円。
報道では「メンズカジュアルセレクト」とされているが、実際は、セレクト品と自社オリジナル品を販売するタイプのチェーン店であり、レディースも扱っている。

近年、急速に伸びてきたブランドなので正直驚いた。
一昨年あたりから商況が厳しいとは耳にしていたが。


詳細は、信用交換所の記事に詳しいので以下に引用する。

10歳代後半~20歳代をターゲットとしたカジュアルウエアを扱い、「WOmB」(ウーム)ほかの店名で西日本中心に多店舗展開するほか、インターネット通販で一般消費者に販売、ピークとなる26/8期には年商19億1396万円を計上していた。
しかし、収益面は既往より採算維持程度と低調な推移を強いられていたところ、同期は店舗経費増や在庫評価損などもあり数千万円台の赤字となり債務超過に転落、金融機関に対しリスケを要請していた。翌27/8期には不採算となっていた15店舗を閉鎖したことなどから売上は10億5504万円にまで急減、借入負担もあり多忙な資金繰りを余儀なくされる中、遂に今回の事態となった模様。


とある。



昨日の時点では、店舗数は数店舗しかなかったが、正直にいうと「こんなに店舗数少なかったか?」と疑問を覚えたがこの記事を読んで納得した。
昨年に不採算店を15店舗も閉鎖していたのである。

不採算店を閉鎖するのは経営の王道といえるが、一気に閉鎖して、店舗数が半減以下になったのなら企業経営は厳しくなる。
なぜなら、収入も半分以下になってしまうからだ。
赤字、黒字の前に収入そのものがなくなってしまったら話にならない。

民事再生ということは、これから支援先を探すことになるが、見つからなかった場合は破産整理されることになる。はたして支援先は見つかるのだろうか。

この会社は、SPA型カジュアルチェーンのウィゴーと親密なので、ウィゴーが支援に乗り出すのではないかと見ている人もおり、もし支援先が現れるとしたら、それが一番現実的ではないかと筆者も見ている。

それにしても急成長中の会社があっけなく経営破綻したことには驚かされた。

同時に、知人から「某ジーンズカジュアルチェーン店も1月末での廃業を決定した」という知らせがあった。

ここはまったく面識はないが、名前くらいは以前から耳にしたことがある。
創業から50年強の老舗だがついに廃業ということになる。
民事再生法申請やら倒産よりは廃業の方がずっとマシだが、これ以上続けても見込みがないと経営者が判断したということだろう。

あ、ついでに書いておくとこのジーンズチェーン店は楽天市場に出店していたが、年末で閉鎖している。
たんにネット通販をやっただけでは何の効果もないことが立証されたといえるだろう。

それにしてもアパレル業界はさらに厳しさを増している。

カジュアル分野がもっとも厳しいと感じるのだが、それ以外の分野も同様に厳しい。
レディースインポートでも相当に苦しいブランドもあると耳にするし、ワールドやイトキンなどの大手総合アパレルの不振もそれを物語っている。

ファーストリテイリングの決算下方修正とはまったく次元が異なる厳しさである。

アパレル業界は参入障壁が低い。
小売店だと特別な免許が必要なわけではない。
資金さえあれば誰でも開業できる。
継続できるかどうかは別問題として。

バブル崩壊直後くらいまでは、メーカーとして新規参入することは難しかった。
資金もさることながら、製造ルートを探すことが難しかったからだ。
しかし、90年代後半からOEM・ODM請負企業が急速に増えたことから、資金さえあればド素人でもオリジナルブランド品を作ることができるようになり、さらに参入障壁が下がった。

継続できるかどうかは別として、誰でもがSPA(製造小売り)業態を立ち上げられるようになった。

これがさらに過剰供給をもたらす。
ユニクロだけのことではない。

アパレルや小売店がつぶれるたびに細胞分裂のように、そこにいた旧スタッフたちがどんどんとブランドやSPAを立ち上げる。
彼らも食わねばならない。
異業種へ転職できる人・できた人は別として、それ以外の者はこの業界で食うほかない。
ならば自衛策として、オリジナルブランドを立ち上げるか、小売りも同時に手掛けるSPA業態を立ち上げるほかない。

かくしてさらに過剰供給は進み、当然のことだが、価格競争を引き起こす。

これは日本人の意識が低いからとか、消費者のモラルが壊れたからとかそんな問題ではなく、自然の摂理である。
昨年11月か12月に「暖冬によってダイコンが超豊作になり値崩れを起こしている」という報道があったが、それと同じである。豊作になれば値崩れを起こす。
衣料品も同じである。
ブランドやショップが増えすぎて供給量が過剰になると、その多くは価格競争に走る。
「安い」ということがもっとも効果的な販促の一つだからだ。

それに巻き込まれたくなければ、そうではない「価値」を作り上げるほかない。

それにしても、もうすぐ遊心クリエイションの解散に伴い、アソコを除く各店舗が完全閉鎖となる。
WOmBが再生するにしても過剰在庫の処分が必要となる。
そして某ジーンズチェーン店の廃業である。

在庫品が山のように存在する。

これらがすべて在庫処分屋に流れることとなる。
在庫処分屋は商売のタネには困らない。

この衣料品業界で、今後、もっとも需要があり、商売として成立するのは在庫処分屋ではないかとも思う。

ブランドやショップを立ち上げるよりも在庫処分屋を立ち上げた方が食うには困らないのではないだろうか。
個人的には衣料品業界でもっとも手堅い商売は、在庫処分屋を立ち上げることではないかと最近思い始めてきた。










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