作者別: minami (1ページ / 179ページ)

ファッション業界にはびこる「過剰なフィクション」と「嘘の神話」

衣料品をわかりにくくしている原因の一つに、業界の内外にはびこる「過剰なフィクション」がある。

モノ余り状態の現在において、商品を売るには「ストーリー作り」「物語性」が必要であることは言うまでもないが、あまりにも過剰にフィクション性が取り入れられた場合、かえって消費者を惑わせてしまう。

衣料品に関してはこれは今に始まったことではなく、かなり昔から連綿と続いているのだが。

80歳縫製士が最後の挑戦、クラウドファンディングで”究極のシャツ”発売
https://www.fashionsnap.com/article/2018-01-12/teruko-original-shirt/

奈良の縫製工場がシャツでクラウドファンディングに挑戦しており、これはこれでがんばってもらいたいのだが、業界人から一斉に突っ込みが入ったのは、動画で「一生着られるシャツ」という発言の部分にだった。

もちろん、動画の編集工程でカットされた言葉があるのかもしれないが、この動画ではシャツというアイテムの性質自体をミスリードさせる。

断言すると、一生着られるシャツなんていうのは存在しない。
リペア(補修、修理)を加えれば着られるシャツはある。しかし、リペアなしで一生着続けられるシャツなんていうものはこの世には存在しない。今のところ。

まず、長年着続ければ袖口と襟が擦り切れる。
以前にお会いしたことのある積水ハウスのベテラン営業マン(推定40代)はシャツの袖口が擦り切れていた。
それが気になって仕方がなく、何を話したか覚えていないが、袖口が擦り切れたシャツだけは鮮明に覚えている。

またこのシャツのように白シャツは着用を繰り返せば、皮脂がこびりついて必ず黄ばむ。
また襟の内側には「汚れの首輪」が確実に刻み込まれる。
どんなにウタマロ石鹸で丹念にこすっていても、何十年かの間には確実に汚れの首輪は刻み込まれる。

これらを解決しないかぎりは一生着られるシャツなんていう商品にはなり得ない。

衣服の傷みは着用回数と洗濯の回数に反比例するから、年に1度くらいしか着用しないというならもしかしたら一生着られるかもしれないが、デイリーユースで月に何回か着用するのであれば、確実に20年は持たない。

おまけにいえば、「縫製士」なる職業も実在するのかどうかすら怪しい。
40年前とか50年前には存在していたのかもしれないが、少なくとも20年前からこの称号を持つ人には会ったことはないし、見聞きしたこともない。もし、「縫製士」に関してご存知の方が居られたらご教授いただきたい。

この過剰に盛られたストーリー性と「縫製士」なる実在未確認職業がなんとも気色悪い。

最近は「10年持つ服」だとか「100年持つ服」なんていうキャッチフレーズが横行しているが、はっきりいえば、ユニクロの商品は10年持つ。10年持つ服が欲しければユニクロで買えば解決する。

当方のタンスには10年前に買ったユニクロの服が何枚もある。
いずれ画像付きで紹介しよう。

先ほども書いたように、衣服の耐久性は、着用回数と洗濯回数に反比例するから、デイリーユースでも10年持つユニクロの服を極限まで着用回数と洗濯回数を減らせば30年くらいは優に持つだろう。
それだけのことで、そこに過剰なフィクションを差し込むことが気色悪くてならない。

衣料品だけでなく、原料や製造工程にもわけのわからない過剰なフィクションがあふれている。

例えば、

https://ameblo.jp/takukawai/entry-12344165904.html



彼らは「イタリアの素材と日本の素材の大きな違いはエージングにある。イタリアは生産した生地を数年寝かし風合いをだして出荷するが、日本は生産したら直ぐに出荷する。だから、ワインと一緒で滑らかさが違うのだ」という説明でした。

実は、これは大嘘で、日本に二次情報や推測で、このような「嘘」や「神話」がまかり通っています。

とのことで、この「生地のエージング」は素材メーカーや商社、生地問屋などで当方も何度か耳にした。
完全なる嘘っぱちである。

また、ユニクロと契約したことで一挙に注目を集めた完全無縫製のニット製造機、ホールガーメントも過剰なフィクションで彩られている。

一体成型でセーターが編めることが特徴のホールガーメントだが、これの最大の利点は

1、プログラミングが正しくでき、機械の操作を正しくできれば、驚くほどの少人数でセーターが量産できること
2、リンキングが不要であること
3、ホールガーメントでしか実現できないデザインがあること

この3点である。

にもかかわらず「一体成型でフィット感が良い」とか「着心地に優れる」などと言ったまやかしの言説が売り場にもメーカーにもあふれている。

以前、ジーンズメイトで1000円に値下がりしたホールガーメントセーターを購入して何年間か着続けた経験でいえば、そんなものは一切ないと断言できる。
着心地も普通のセーターと変わらないし、そもそもセーターは編み方にもよるが、3センチ~5センチは伸び縮みするので、そこまで厳密な採寸は必要ない。
さらにいえばどうして一体成型だからフィット感が高まるという理屈になるのかも理解できない。それなら丸編みのTシャツのボディはフィット感が良いのだろうか。

セーターは首とか袖や裾部分のリブとかそういうところを本体に取り付ける。
布帛だと普通に「縫製」するのだが、セーターの場合はリンキングという処理を行う。
パーツと本体を目だ無いようにつなぐのである。
そしてリンキングにはリンキング専門の工場がある。

リンキング工場はリンキングしかできないため、セーター工場と異なりオリジナル商品は作りにくい。
そのため自立化もできず倒産廃業が相次いでいる。

ホールガーメントはそのリンキングが不要になる技術であり、だからこそ、ホールガーメントが注目を集めているともいえる。
着心地云々ではなく製造側のメリットがあってのことである。

じゃあ、なぜそれを説明しないのかと書いたところ、老年のパタンナーから「そんな後ろ向きのことが言えるか!」と反発を受けたが、だからといって、まったく別のしかも間違ったメリットをでっち上げて良いとはこれっぽっちも思わない。
一体、この人は何を言っているのだろうか。

だったら、人員の削減やら生産効率の上昇やらそこを強調すべきであり、ありもしない着心地やらフィット感をでっち上げることは消費者にとっても業界にとっても何のメリットもない。むしろ害悪だ。

そしてこういう間違った評判が定着し、それゆえに衣料品はわかりにくくなる。
今までからそれを繰り返してきた。
衣料品業界はこういう「過剰なフィクション」にいつまで頼るつもりだろうか。そして過去の「過剰なフィクション」が衣料品をわかりにくいものにし、それが衣料品不振の原因の一つになっているにもかかわらずだ。

ナントカは死ななきゃ治らないといわれるが、まさに衣料品業界は一度完全にクラッシュしてみないとわからないのだろう。

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繊維・アパレル業界は極端にウェブに弱い

最近、ウェブがらみの仕事を相談されることが増えた。
相談してくる企業は零細・小規模企業もあるが、けっこうな大手アパレル・大手繊維企業もある。
結局は取り組みに至っていないので、名前を出すことは差し控えるが、上場企業もあれば、その分野でのトップ企業もある。
自慢がしたいというわけではなく、腰が重かったこういう企業もウェブに対して「何らか取り組まねばならない」という姿勢に変わりつつあるということが言いたいのである。

そういう昭和型の大手アパレルメーカーですら、ウェブに対しては「何か取り組みをしなくてはならない」と思い始めている。
まあ、はっきり言ってその動きは遅すぎるのだが、何も思わないよりはずっとマシだ。
そういうレベルでは評価している。

そういう状況になってきているので、ようやくアパレル・繊維業界でもウェブの重要性が理解され、そういう人材が必要とされ始めたといえるのだが、考え方や人材への扱い方は相変わらずである。

マサ佐藤さんがブログでこう書いておられる。

http://blog.apparel-web.com/theme/consultant/author/fashion-soroban/b7344ef8-611d-45a1-bb46-4fd4602fcb5d

”アパレル小売業でもWEB・EC関連の求人は多くなっています。しかしながら、WEB関連の求人を出す側が、(WEB関連の)仕事の理解・関心が薄く、求人を出しておきながらどんな業務をさせるのかは相手に丸投げ。しかも給料水準は(WEB関連の)他の業種に比べ格段に低いのが現状です。”

とのことで、これはまったくアパレル・繊維業界の今の状況を象徴している。
大手企業ならまだしもスタッフが20人前後しかいない企業でさえ同じだ。

先日、ある20人規模の企業と話したが、まったくのウェブ無策であり、ウェブ系の施策は外部から来た部長に丸投げしている。
その部長はたまたま、異業種出身でパソコンやコンピューターのハードやソフトに強いため、その担当にさせられているのだが、ウェブ関連の専門家ではない。
しかし、「パソコン=ウェブ」という昭和のような発想でそういう仕事を担当させられるのだから、お気の毒としかいいようがない。

そしてこれは100人規模、1000人規模、5000人規模の会社でも同じで、だからこそ大手といえども一部を除いてはまったくウェブを生かし切れていないのである。

一方、当方が昨年から一緒に仕事をさせてもらっているスタイルピックスの深地雅也さんもブログでこう書いておられる。

http://blog.apparel-web.com/theme/consultant/author/fukaji/eb5f7242-0a13-4757-9601-ceea05ef570b

先日、とある企業に訪問した際に「ソーシャルを強化したい」という希望がありその相談に乗っていたのですが、多くのケースで勘違いされているのは、

「ソーシャルを強化したらすぐ集客できる」

と思われている点です。更に厄介なのは、専門家に任せたら魔法のようにフォロワーが増えるというイメージでもあるのでしょうか、そこからは丸投げできると思っておられるのです。

しかし、ここで言わせてもらいたいのは、

「ソーシャルでリーチを伸ばしたければコンテンツを強化」

してほしいという事です。

とのことで、同席する機会が多いので、実際にこういう場面を当方は横で眺めている。

ウェブブランディングの相談に乗ってほしいといわれ、出かけてみると、単にSNSアカウントの運用代行を求めていたなんていうことは掃いて捨てるほどある。
いやいや、ブランドの基本政策は何一つ買えないまま、小手先のSNSでの発信をいくら増やしたところで意味がない。
またSNSの発信だって、やみくもに回数を増やせば良いというものではない。

「〇月〇日、新商品の店頭投入開始!」

とか

「今日から〇〇%オフのセール開始」

とか

こんなことだけをいくらソーシャル上に流したってなんの効果もない。
これだけじゃフォロワーも増えないしアクセス数も増えない。なぜなら、これはウェブ広告と同じだからだ。
広告の効果がゼロだと言っているわけではない。広告まがいの投稿ばかりではそんなアカウントには誰も興味を持ってくれないのである。
ここの理解が重要なのだが、多くのアパレル・繊維企業には欠落している。

インスタグラムなら美しい画像、興味を持たれるような画像とストーリー(物語ではなく、そういう投稿サービス)の投稿が重要だし、ツイッターなら、興味を持たれるような面白い書き込みや主観を交えた書き込みが必要になる。
ツイッターで「〇〇%オフセール開始」とか「冬のバーゲン開始」なんて書き込みだけを百万回繰り返したところでフォロワーなんてまったく増えない。

また深地さんのブログでは

◯コンテンツの指標は「ブランドコンセプト」
ターゲットの好む情報ですが、これは運営元がブランドであるなら、ブランドコンセプトに沿ってコンテンツを企画します。ブランド価値を適切に高めるには、コンセプトを反映したコンテンツを同様に積み上げていかなければなりません。

とあり、先日、ある大手メーカーのウェブ施策の相談を受けたことがあるのだが、まったくここを理解していなかったので驚いたことがあった。

本来はマス層に販売していた老舗メーカーなのだが、現在、マス層への訴求力は弱まっている。
そこで、ある特定のユーザーとの結びつきを強化して、その分野での認知を高めてから、徐々にマスへ広げようという案を提示したところ、「うちはマス層への打ち出しをしているので、これは・・・。」と言われてしまった。

マス層への訴求力が弱まっているからその打開策であり、「でもマス層に」と言われるなら話は堂々巡りになってしまう。
それに過去何十年間も同じ手法で「マス層に訴えて」きたのだから、今更同じ手法を使っても結果は同じになる。
どうしてそこが理解できないのかがまったく理解できない。

このメーカーに限らず、過去何十年間もやってきて効果がなかった手法に固執する大手メーカー、大手ブランドは本当に数多くあり、体感では9割がたはそういう企業が占めていると感じる。

この部分はまた別の機会に「大手アパレルあるある失敗集」とでも名付けて別途書いてみようか。

ウェブの重要性だけは理解しつつも、30年前からの手法に固執し、他業界よりもウェブ関連人材への賃金が低いため、今後もアパレル・繊維業界はウェブ戦略に四苦八苦するだろう。
そしてそれはとりもなおさず自業自得であり、他社への丸投げで切り抜けられるようなものではない。
商品生産はOEMやODMに丸投げできても、ブランドのコンテンツ作りまでは丸投げできないしすべきではない。これはブランドの根幹であり、ここまでを丸投げにしてしまうなら、最早、自社ブランドなんて展開する必要すらない。それがしたいならブローカーか中継ぎ業者にでも業態転換すれば良いのである。

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6480円で買ったナイキエアマックスインビガープリントは足が本当に疲れにくい

今年の正月バーゲンは、人ごみの揉まれるのが嫌で、20年来で初めて店頭へ買い物に行かずにネット通販で済ませたことを書いた。
前回はネット通販での買い物の失敗を紹介し、生まれて初めてネット通販で返品作業を行った。

今後、買い物をする際には「返品交換無料」と書かれているかどうかをより気を付けて見てみることにする。

例えば、今回返品したコーエンの中綿入りコートだが、同じような商品がAmazon内にいくつかある。
ユナイテッドアローズグリーンレーベルリラクシングとかナノユニバースとかの商品である。
このうち、ユナイテッドアローズグリーンレーベルリラクシングは返品交換無料と書かれているが、ナノユニバースの商品は書かれていない。しかもナノユニバースの商品はマルイが出品している。

となると、値段が同じくらいでもグリーンレーベルリラクシングを買った方が安全といえる。

ネット通販を利用するならこういう部分も気を付けなくてはならない。

さて、今回は正月ネット通販で買って成功した物を紹介しよう。

成功したのはアダストリアホールディングスの通販サイト、ドットエスティで買った商品だ。

ちなみに、実店舗でのタイムセール乱発はストライプインターナショナルの十八番だが、アダストリアはドットエスティでタイムセールを年末年始乱発しており、思ったより売れ残りが多いのか、今日12日からまた数日間タイムセールを開始する。
実店舗でのタイムセール乱発は八百屋か魚屋みたいにしか見えないので、アダストリアのやり方の方がスマートではないかと感じる。

さて、今回買って最もよかったと感じたのは、ナイキのスニーカー、エアマックスインビガープリントである。
これも試着せずに買ってみた。サイズは27・5センチである。

価格は9720円から6480円に値下がりしていて、再値下げされる前に売り切れるのではないかと判断したため、買うことにした。
そして読み通り、今日12日現在で完売している。

このエアマックスインビガープリントは大ブームを巻き起こしたエアマックス95をモデルとしてデザインされているそうだ。
たしかにエアマックス95のグレー×イエローに似ている。

95年に追い剥ぎが出没するほどの大ブームとなったエアマックス95だが、正直にいうと当方も欲しかった。
しかし、ネットも普及しておらず実店舗でも品薄な状態であり、しかも値段が高いので当方は諦めていた。
そして22年ぶりに似たような商品を、しかも安値で発見したので買ってみようと思った。
復刻版も発売されているがこちらは2万円前後とお高いため、まったく買う気はない。

ネット検索を繰り返した中でいうと、この6480円が最安値である。

これははっきり言って大成功だった。
サイズもぴったりで、種明かしをすると、アディダスやリーボック、コンバースなどの競合ブランドのスニーカーはほとんどが27・5センチを履いているため、そこから類推できた。
また、亡くなった弟が以前にエアマックス95の復刻版を買った際に、一度だけ試着させてもらっており、その時のサイズが27・5センチだったことを覚えていた。まあ、だから「試着なし」というのは半分は誇大報告である。

エアマックス95をモデルにデザインしているのだから、サイズ感も同じだろうと類推したのである。

早速、1週間ほど履き続けているが、長時間歩いても足の疲れがない。
あと、これを履いてラックドゥの店頭にも立ってみたが、足裏の疲れがない。
ナイキのエアクッション恐るべしである。
リーボックのフューリーライトも足裏の疲れがないと書いたが、それ以上である。
フューリーライトだとかすかに足裏に疲れが長時間の立ち仕事では出てくるが、これはほぼまったくない。

繰り返すがエアマックス95復刻版は高いから、このインビガープリントを何色かそろえても良いと思った。
それほどの快適さである。

あとはシャツ1枚、パンツ2本である。すべてグローバルワークである。

まず、シャツから。
ロンドンストライプよりもはるかに太いストライプ柄。
素材は綿100%でありながらストレッチブロードと表記されている。
わずかにストレッチ性を感じる。

サイズ表記からLサイズだと判断し、これもその判断が正しかった。
ブルーとワインレッドがあったが、ワインは着こなしが難しいのと、自分の顔に合わないと判断したため、ブルーをかった。

定価は4320円で、これが1728円に値下がりしていた。
ちなみに送られてきた商品についている値札には2500円のシールが貼られていた。
店頭で2500円に値下げしても売れ残ったので1728円(税込み)にまで値下げされてネットで売られていたと考えられる。

次は、テイパードチノパンである。
綿96%・ポリウレタン4%の素材。
ヒップや太もも部分がゆったりしたシルエットなので安心してMサイズを買った。
定価4320円が1728円(税込み)に値下がりしていた。

買ったのはもっとも苦手なベージュ。
白っぽいベージュのチノパンが多いが、これが苦手で、現在のユニクロ店頭のストレッチチノパンも幾分白っぽいのでいくら値下がりしても買わない。
これはそれよりも黄色というか茶色が勝っていたので購入した。

まず洗濯をせずに試着してみて驚いたのが股上の深さ。
おヘソが隠れるほどで、通常のパンツよりも3センチ前後は深い。
おヘソが隠れるほどのハイウエストパンツというのは実に20年ぶりくらいに穿く。
なんとも不思議な履き心地である。ローライズに慣れている人には穿きづらいのではないかと思う。
この股上の深さもネット通販の表記ではわかりにくいし体感しにくい。

生地は少し薄い。元来は春夏物として製造されたのだろう。

次はグレーのチェック柄のワイドイージーパンツだ。
定価5400円が1641円(税込み)にまで値下がりしていた。
これも生地が薄いので春夏物だろう。
ポリエステル68%・レーヨン31%・ポリウレタン1%という組成。

かなりのワイドシルエットな上にウエストはゴム入りで、サイズ表記を気にせずにMサイズを買った。
これはサイズは全く問題がない。
これほどのワイドシルエットに果たしてポリウレタンが必要なのかどうか疑問を感じる。

生地は、フランスのCARREMANというメーカーのものらしい。そういうタグがついている。
調べてみると、2016年8月31日のアーバンリサーチのショップブログに出てくる。
そのほかにもアダム・エ・ロペとかチャオパニックティピーとかセンスオブプレイスとかそういうブランドが使用している。

これも日本のアパレルのアホなところで、一つの人気ブランドが使うとそれの競合もこぞって使いだす。
そして横並びになる。これを繰り返してきたのが日本のアパレルである。

3点合計で約5000円(税込み)という驚異的な安さで買え、エアマックスインビガーと合わせても11577円にしかならなかった。

このアダストリアのネット通販での買い物はコスパも含めて満足できた。

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「はれのひ」事件は着物業界の失策が遠因

「はれのひ」という着物業者が詐欺にも等しい消え方をして大事件となっているが、被害に合われた方はまことにお気の毒だと思う。

これに対してさまざまな意見が出ているが、着物という衣服や戦後の着物業界の問題点が集約された事件だといえる。
当方は着物をまったく着用しない。
子供のころに浴衣を一度着せられたくらいであり、その時が不快だったのでその後一度も着用しないままに初老を迎えている。

もちろん、最大の責任は「はれのひ」にある。
しかし、巷には「着付けをできないことが原因」という意見もあり、それはそれで根本的な原因の指摘ではあるが、それを言ったところで、今更日本人の多くが一人で着付けができるようにはならない。

最大の原因は着物業界の売り方の悪さにあるし、着物という衣服を「日常で使ってほしい」と言いながら、まったく改良を加えてこなかった製造側の責任もある。
また「着付け教室」と結託して、「着物」という衣服の価格も入門ハードルも引き上げ続けた業界の施策も裏目に出たといえる。

着物という衣服は

1、動きにくい
2、着付けが一人でできない
3、正絹素材が正当とされており(実際はそんなことはない)、洗濯や保管が面倒

という3つの欠点があると個人的に見ている。

「そんなことはない。動きやすいし一人で簡単に着られる」というごくわずかな着物強者の意見は無視して、大多数の人間はそう思っている。

おまけに価格が高い。
個人的に親しくしてもらっている仁平幸春さんという和装の染色作家がおられるが、ほとんど着物を着用されない。
なぜなら、価格が高いからである。
着物単体を安値で買っても襦袢やら帯やらその周辺の物を揃えるとかなり高額になってしまう。
だから私は買わない(金銭的にも買えない)と仰っておられる。

着物業界の人からは「日常的に着用してもらえるようにしたい」という声を聞くが、価格も含めた4つの欠点を改めない限りそれは不可能である。

まず、価格から見ていこう。
和装業界の人に言わせると「10万円程度の着物なんて安物」とのこと(実際にそう言ってるのを何度も聞いた)だが、10万円の洋服といえば結構な高額品で、高級ブランドである。
ぶっちゃけて高級ブランドと競合して選んでもらえるほど着物に魅力があるとはまったく思わない。

三陽商会がライセンス生産していたころのバーバリーのコートが10万円くらいからあったが、そのころのバーバリーと比べて着物にブランド的魅力があるかといわれれば、まったくないと思う。
多くの消費者は洋服がベースの価値観になっており、着物着用者を増やすということは、そういう層に買ってもらわねばならないということになる。そういう層にとってバーバリーと着物のどちらがステイタス性が高いかというと、圧倒的にバーバリーである。

つぎに「動きにくい」「着付けが一人でできない」「洗濯・保管がめんどくさい」という三つの欠点について見てみる。

日常着とするためには毎日着用するものだから一人で着用できないと意味がない。
そんなめんどくさい物を毎日着たいと思う人はほとんどいない。
着物業界はなぜこれを改良してこなかったのか。

例えば、入門編としてワンタッチで着られるような着物をもっと普及させるべきではなかったか。
実際にはそういう商品もあるが、着物業界はこれを積極的に拡販してこなかった。
その代わりに着付け教室と結託して、着物という衣服への入門ハードルを上げ続けた。
その結果、着物は一部のマニア向けの商品となった。
和装業界の市場規模が3000億円弱まで低下してしまった原因の一つである。

動きにくさにしてもそうだ。
もっと動きやすい形状の商品を開発してそれを普及させるべきだったのではないか。
これもそういう商品もあるが、業界としては拡販・普及には力を入れなかった。
業界人は「それなりにやった」と反論するかもしれないが、外野から見ているとまったくそれは伝わらない。
ワンタッチ着物しかりだ。
知られていないのは存在しないのも同然である。知られるための努力をどれほどしたのだろうか?

そもそも、幕末に洋装が取り入れられたきっかけの一つが、戦闘時の動きやすさだった。
維新軍の多くは戦闘時は洋装になったし、幕府軍でも洋装に切り替えた者も多かった。
和服は圧倒的に洋装に比べて動きにくいことがわかる。

そして、正絹素材への過剰な重視である。
正絹素材は洗濯にも保管にも気を遣う。
下手にすれば変色するし虫にも食われてしまう。

こんな物を日常着として着られるはずがない。
やっぱりハレの日とか冠婚葬祭くらいにしか着用しなくなる。

明治以前は和装しかなかったわけだから、当然、日常的にもみんなが着物を着ていた。
日常着は正絹ではなく洗濯しやすい木綿や麻だった。当たり前である。

今はポリエステルという機能性に優れた素材もある。
どうして合繊着物や木綿着物、麻着物などをもっと広めなかったのか。
単に販売単価を引き上げたかっただけではないのか。

以前に同じことを書いたら、「単価が安い割には枚数が売れない」と反論してきた和装業者がいたが、じゃあ、合繊着物や綿着物を拡販する努力をどれほどしたのかと問いたい。

これらの要因によって、着物という衣服の販売枚数は戦後減り続け、その枚数減少を補うために商品単価を着物業界は上げ続けてきた。
それがさらに着物離れを誘発し販売枚数を下げ続けるという悪循環スパイラルを招いた。

はれのひ事件はいわばこれまでの着物業界の失策が引き起こしたものだといえるのではないか。

真摯に取り組んでいる和装業者も多く知っているが、この4つを改善しないことには着物着用人口は絶対に増えない。

ところで、業界を挙げて商品単価を引き上げ続けるということは、これほど初心者を排除してしまうことになる。
洋服業界も気を付けなくてはならないのではないか。
グッチやらプラダという個別のブランドがそういう高価格政策を採ることは良いとしても、業界全体が「安物は悪」「安物を排除」なんて言い出すと、待っているのは着物業界と同じ結末になる。
幸い、洋服に代わる衣服は見当たらないからまったく売れなくなるとは思えないが、人々は高価格すぎると買うことを確実に手控える。それこそヨーロッパのように何度も破れ目を縫って使い続けることになり、そうなると、国内外の製造加工業者はさらに経営が厳しくなる。

入門編として低価格のジーユーやユニクロがあることは産業としては健全だといえる。
和装の問題は、入門編商品の見た目の水準が上がりすぎたことと、本来は入門編でないブランドの商品がまったくその付加価値を消費者に知らせられていないことにある。まあ、まったく付加価値のない商品とかブランドとかアパレル企業も多数あるのだが。(笑)

和装業界の施策は洋装業界にとって他山の石になるのではないか。

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ネット通販で服を買うときの生地と型紙の重要性

アパレル業界の新たな販路としてEC/ネット通販が注目を集めていることは言うまでもないが、実際にEC/ネット通販を論じているエライ人の多くはネット通販で服を買っていないように見える。

もちろん、実際に購入して論じている人もいるが、それのほとんどは若い世代に限られているように見えるし、いわゆるベテランのエライ人の論調には自分で買い物をしたという体験が微塵もにじみ出ていないものが多い。

そんなレベルの人の指摘やら指導をありがたがって受けているアパレル企業の経営陣はやっぱりアホなんだろうと思う。
そういう経営陣も自分がネット通販で触ったこともないのだろう。

アパレル業界には笑い話みたいなことが実際にたびたび起きる。
例えば、社員にEメールアドレスも与えずにファックスと電話のみで仕事をさせているくせに、あまり売れていないとはいえ、形ばかりのネット通販を行っているアパレルもある。
これが実話なのだから下手な漫才やコントよりも面白い

それはさておき。

毎年、正月バーゲンは貧乏ながらも幾点か服を買う(もちろん値下げ品を。定価商品は絶対に買わない)が、今年の正月はネット通販で買ってみた。
理由はくだらないことだが2つある。

1、ネット通販の利用頻度を高めてみようという実験
2、人ごみが嫌いなこと

この2つである。
個人的には他人はすべて嫌いなので、駅でも街でも商業施設でも電車でも混雑しているところは漏れなく嫌いだ。
そして、正月は毎年、どれほど景気が悪くてもそれなりにどこも混雑している。

今まではネット通販が発達していなかったので、人ごみを我慢しながら店舗に行ってバーゲン品を買っていたが、今年は一念発起してネット通販を利用してみようと思った。
ネット通販は2016年頃から毎月1度くらいは使うようになったが、何度も書いているように、ガンダムのプラモデルとパソコン回りの備品や日用消耗品がほとんどで、衣料品を買ったことはほとんどない。
グンゼの肌着と靴下とかユニクロの商品とか、比較的サイズ感が必要ない物、もしくは、以前に試着したことのある商品に限られていた。

ZOZOSUITが発表されてから(一部の有名人以外には誰の手元にも届いていない)サイズというものが改めて脚光を浴びているが、洋服を買い慣れている人間からすると、ある程度の自分の体のサイズは把握しているので、取り立ててZOZOSUITは必要ないと感じられる。
洋服が取り立てて好きとは言えない当方だが、買う枚数は多いので、それなりに自分の体のサイズは把握しているつもりである。

だから今回は試着したことのない商品やサイズ感が必要になる商品を買ってみようと思った。
もちろん狙うは格安値下げ品である。

2017年には靴のネット通販での購入も何度か試してみた。
これは一切試着せずにサイズ表記とレビューの書き込みだけで推測しながら買うという行為で、当方からするとイチかバチかの賭けだったのだが、いずれもぴったりのサイズだった。(くどいようだが格安品)

だから、当方にはその成功体験における慢心があった。

ZOZOTOWNは会員登録すらしていないので選択肢から外れる。
AmazonとYahoo!ショッピングを見て回ったが、結局はAmazonで2点買おうと思った。
1つは、コーエンの中綿入りバルカラーコート、もう1つはパーフェクトスーツファクトリーのウール30%・ポリエステル70%のスーツである。

結果的にはこの2点の買い物は大失敗で、理由はサイズが合わないためだ。
サイズの重要性を再認識することになった。

コーエンの中綿入りコートは定価10800円が6480円に値下がりしていた。購入後5148円に再値下げされている。
素材は表地が綿65%・ナイロン35%、裏地がポリエステル100%、中綿はポリエステル100%。
袖がラグランスリーブになっている。

 

 

サイズ表記は、例えばMだと、着丈94センチ・身幅57・5センチ・ゆき(裄丈)85センチ となっている。
この表記のみを元にMを買ってみた。

 

 

結果をいうと、身幅と袖丈は問題なかったが、肩幅が狭すぎた。
当方は大した運動もしていないのに、もともと骨格ががっしりしていて肩幅が広く胸が厚い。
極めて迷惑な体型である。

Amazonのこの表記だと肩幅は表記されていないからわからない。
これが失敗の原因の1つといえる。

パーフェクトスーツファクトリーのスーツはなんと、定価20520円が9234円にまで値下がりしている。

 

ツープライススーツブランドなのでサイズ表記はA6とかA7とはY7とかそういう表記しかない。
かろうじてあるとするとウエストがセンチ表記されている程度で、あとはすべて一律でサイズ展開されている。

もし、体格に合うなら、ツープライススーツこそネット通販で買いやすいのではないかと思う。

これも結果をいうと、ズボンのウエストは問題なかったが、ジャケットの肩幅が小さすぎた。
当方は手が短いから袖丈はぴったりだったが、タイトシルエットなスーツなので肩幅が小さく、アームホールのパターンどりもなんだかおかしく、手が上がりにくい。実際に着用したら電車でつり革を持つのにも一苦労しただろう。
さらにいうと、生地がノンストレッチなため、さらに動きにくさが加わっていた。

そのうえ、生地の表記はウール30%・ポリエステル70%のみで、総裏なのか背抜きかすらも表記されていない。
実物は背抜きだったのだが、スーツを売るのにその表記がないのはAmazonの怠慢としか言いようがない。

 

ちなみにZOZOTOWNで買うつもりはないが、覗いてみると、独自の採寸によってジャケットだと、着丈・身幅・肩幅・袖丈の4つを表示している。この辺りは流石といえる。

サイズ表記に関してAmazonの取り組みは甘すぎる。
この程度の甘さでAmazonがファッション衣料を強化すると言っているのだからお笑い種だ。

さらにもう一つ重要なのは、素材とパターンだ。
こればかりはどれほど技術が進歩しても画像だけでは確かめようがない。

コーエンのコートは、生地が厚手でおまけに中綿の入りも厚かった。
となると、実際に表記されているサイズ感よりは小さくなってしまう。

またパーフェクトスーツファクトリーのスーツは、一度書いたようにノンストレッチ生地で意外に厚手なため、ぴったりしすぎると動きにくくなる。さらに、袖の付け方がどうにもおかしくて、腕がひどく上げづらい。

この部分はいかに技術が進歩しようと解消はできない。
逆にいうと、生地の質感とパターンは洋服にとっては非常に重要で購買を左右してしまうということを再認識した。

しかし、ZOZOTOWNよりもAmazonの方が使いやすいのは、この2つの商品は未使用で30日以内なら返品交換が無料だというところだ。
今回初めて返品をしてみた。

返品理由を書いてウェブで送り、バーコードをプリントアウトしてから同梱して集配所に持ち込む。
そして着払いで送る。

このとき返送料が無料になるというところがAmazonを当方が利用する理由だ。
もちろん、2000円以上で送料も無料になっている。
個人的にはZOZOTOWNに200円は絶対に払いたくない。

多くの識者が論じているように、この送料無料が宅配業者を圧迫しているということは周知の事実だ。しかし、消費者利益の視点から考えれば、送料無料で指定された物は返送料も無料になる(Amazonの着払い)というのは、非常に魅力的で、利用者が減らないということは大いに理解できる。

宅配業に関わらない人間からすると、送料無料とか返送料無料(通販業者持ち)を利用するのは当たり前だ。

消費者利益と宅配業者の状況をどうすり合わせるかが今後の課題になることは言うまでもないが、当方は送料無料の利用をやめるつもりは全くない。

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製造加工業者に蔓延する「とりあえず作る病」と「下請け気質丸出し病」

昨年末にセメントプロデュースデザインの金谷勉社長から、ご自身の初著書を献本いただいた。

日経BP社から12月半ばに発売された「小さな会社が生き残る」(金谷勉著)である。

セメントプロデュースデザインは、もとはグラフィックやらポスターやらウェブなどのデザインを手掛けていたが、それと並行して各地の製造加工業者の新規商品開発も手掛けていた。

今回の本に掲載されているのは、瀬戸焼や熱海の建具業者、京都の竹細工師、鯖江の眼鏡フレーム素材の輸入業者などである。
実は金谷勉社長とは2008年ごろに知り合い、今年でちょうど10年目となる。
スイートテンダイヤモンド

年に数回お目にかかるくらいで、逐一手掛けている製造加工業者のことをお聞きしていたが、この本に書かれている事例の実に8割くらいは存じ上げていた。(笑)
それでもお聞きしていなかった細かい部分や、後日譚、それから金谷社長が各クライアントに抱いている疑問や懸念などが明らかになっていたので興味深かった。

個々の事例はさておき、各地の製造加工業者が苦しんでいる実態とその原因について金谷社長なりの見方が示されている。
このブログの読者は、繊維・衣料品関係の人が多いが、瀬戸焼やヒノキの建具業者の苦境はまったく無関係ではなく、苦境の原因は共通する部分が多く、読めば得るところがあるだろうと感じた。

文字は大きいが239ページもの分量があるので、1回では内容をすべて紹介しきれないので、思いついた部分から順不同で紹介したい。

例えば、

「とりあえず物を作るな」

という部分。

この本では漆器業者の例が出されていたが、これは繊維業者でも同じだ。
とくに繊維の製造加工業者もまるっきり同じメンタリティをしている。

ある漆器業者が「とりあえず作った」新作を持って、金谷社長のところに相談に来た。
市場調査もせずに作った商品である。

「〇〇さん(漆器業者)、この商品はどこで売りたいんですか?」
「銀座です」

理由は銀座には富裕層が多く来るという業者の思い込みでそう答えている。
ちなみにこの話を実際に金谷社長から伺ったのは5年くらい前なので、今の銀座とは少し客の流れが違っている。

「銀座のどこですか?」
「三越とか」
「三越の何階で売りたいですか?」
「行ったことがないからわかりません」

こういう会話が掲載されている。

実は、繊維の製造加工業者も似たようなことがよくある。
国内の製造加工業者もこれまでの下請け業では食っていけないから、生き残りたい業者はオリジナル製品の開発を行っている。
成功するのは1割か2割で、あとは学芸会の発表レベルで終わっている。

2009年ごろからいくつかの産地ブランドや産地イベントの仕事に絡んだことがあるが、当時は中国バブルがすごくて、中国への製品輸出に活路を見出そうとする業者が多かった。

とりあえず作った製品を「富裕層が多い」中国へ高値で売りたいという案件がいくつかあった。
しかし、市場調査をしたわけでもなく、デザインは自分たちの自己流といったものも多く、価格設定も「高い方が売れる(だろう)」というあやふやなものだった。

漆器業者と考え方が同じである。

で、この漆器業者との問答は続く。

実際に売り場を視察して

「売り場を見てきたらうちのとよく似た商品がたくさんありました」
「あなたの商品は売れそうですか?」
「いえ、難しいと思います。でももう100個も作ってしまっていて」

というオチである。

これが「とりあえず」作ってしまうという現象である。
もちろん、試行錯誤するためにサンプル製品を作ることは構わないが、どうしていきなり100個も作ってしまうのかということになる。

しかし、この本には書かれていないが、この逆も製造加工業者には掃いて捨てるほどある。

自社オリジナル製品を展開するとなると、あらかじめ少なくとも展示会用サンプル数枚は作っておくことが必要になる。
しかし、下請けに慣れ切った業者は、このサンプル品すら自腹で作ることを嫌がる。
下請け業なら、ブランドから指示された通りの枚数を作ってその製造加工費がもらえる。
サンプル数枚でも数枚分のカネがもらえるのである。

だから下請けとして仕事をするときはそういう姿勢で良いが、自社ブランドを展開するとなると、そういう姿勢ではやっていけない。

自社ブランドを展開するにはある程度自腹を切らないとやっていけない。

この両方を勘違いする製造加工業者が業種を問わずに多い。
これも製造加工業者の課題の一つといえる。

この本で紹介されている建具屋もとりあえず木工細工品を作って苦戦していたし、瀬戸焼でもパスタ皿を勝手に作って苦戦していた。

一方、逆のケースだと、先日、某アパレル企画マンが顔見知りの縫製工場に声をかけて、企画マンのオリジナルブランドを展開することになった。企画マンがメインで、その製造背景が縫製工場という分担である。
工場の社長も乗り気で「共同展開したい」とまでいうほどの熱意だった。

しかし、下請け気質丸出しの縫製工場は、展示会のためのサンプルを作ったら、それ以上の先行製造をためらった。
先行製造といっても何百枚も作るのではなく、各売り場に持ち込むための数枚とか10枚程度である。
それすら作らないとなると、そのあとの営業は厳しい。

その後、どうなったのか結果は聞いていないが、おそらくこの取り組みは失敗するだろう。
この縫製工場が下請け気質を変えられない限りは。

この本では、「とりあえず作る病」に対して、

僕らからすれば、目的のはっきりしない皿や木工細工を(大量に)つくるほうがよほど「悪」なわけです。

と書かれてあり、「とりあえず作る病」に罹患している製造加工業者はよく味わってもらいたい。

しかし、製造加工業者には先ほどの縫製工場のように下請け気質が抜けない「必要な数量でも自腹では作らない病」も蔓延しており、このあたりが国内の製造加工業者が不振に陥る原因の一つだといえる。

これを治癒することはなかなか難しい。克服できた一握りの業者だけが生き延びれば良いのではないかと思う。

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「%バカ」に惑わされるな

%による増減率と実数の両方を見ないと、本質はつかめない。

昨日の各社決算まとめの続きになるが、一昨年に「ユニクロ凋落、しまむらやライトオンが成長」なんて言われたのは、単に%表記での増減率を比べただけのことで、実数を見ていた人は少なかった。

%表記に惑わされるな!
http://blog.apparel-web.com/theme/consultant/author/fashion-soroban/b69327c2-7afe-47c0-a350-b39be6cdf5bb

しかし、この業界にありがちなことですが、%表記だけしか見ないと、ときに本質を見誤ることがあります。
昨今、EC売上構成を上げることが呪文のように唱えられています。EC売上構成が10%を超えていないと、「あの企業はまずい!」「時代遅れだ!!」のように書きたてられたりもします。しかし以下のような例ではどうでしょう??

UNIQLOの2017年8月期のEC売上は487億円。EC売上構成は6%。前年度15%売上増です。この数値だけみると、「UNIQLO大丈夫か??時代遅れ??」「実店舗重視しすぎじゃねえ?」なんて声が上がりますが、1年で約63億円もの売上増です。その前の年度は100億円以上の売上増です。

ちなみにEC売上比率が30%あって、軽薄なメディア人やダメコンサルからは優良企業だと思われているTOKYOBASEのEC売上高はせいぜい30億円程度に過ぎない。
ユニクロとTOKYOBASEのどちらがECで売れているかは一目瞭然だろう。
はっきり言って、TOKYOBASEのEC年間売上高はユニクロの1年間のEC売上高増加分よりも少ないのである。
これが現実で、そもそも1兆円企業と100億円企業を同列に並べて優劣を論じること自体がおかしい。

これはZOZOTOWNにもいえることで、ZOZOSUITの発表(実物は一部の大物にしか届いていない)によって軽薄メディア人やダメコンサルは「ゾゾがユニクロのシェアを奪う」と囃し立てたし、某有名ブランドの中の人によると、ZOZOのスタッフもすっかりその気で「ユニクロのシェアを奪いに行きますよ」なんてイキったことを話していたというが、どちらも身の程しらずの寝言でしかない。

国内売上高8000億円のユニクロのシェアを「マイナー」なゾゾがどれほど奪えるだろうか。
せいぜい売上高は100億円程度ではないかと見ている。1000億円はとても無理だ。
その100億円をもって「シェアを奪った」と言えば言えないこともないが、ユニクロにしたら蚊に刺された程度だろう。

まあ、己を見失っている好例になるのではないだろうか。

それはさておき。

「%バカ」はメディアにもアパレル業界にも多いのだが、例えば、昨日決算を紹介したライトオンを例に見よう。

上場企業はTOKYOBASEを除いてだいたいは月次売上報告を発表しているのだが、ライトオンの2017年月次を見てみる。

ライトオンの既存店売上高は

9月度が対前年比11・0%減
10月度が同13・8%減
11月度が同18・9%減
12月度が同増減なし

となっている。
9月~11月までは大幅に既存店売上高を落としているが、12月は前年と同じだったということになる。

「%バカ」はこれを見て、「9月~11月は苦戦したが、12月は下げ止まりを見せた」と判断するだろうが、大きな間違いである。

2016年の既存店売上高を見てみる。

9月度 同11・2%減
10月度 同14・7%減
11月度 同12・0%増
12月度 同13・8%減

となっており、2017年9月度と10月度は減収した2016年よりさらに大幅に売上高を落としていることになる。
2017年9月度は11・2%減のさらに11・0%減であるから、2015年9月と比べると79%ということになる。
早い話、2年前と比べると21%減となっており、かなり厳しい商況だといえる。

しかし、かといって2017年12月度が持ち直したわけではない。
昨年は13・8%減で、それと同数だったというだけのことである。
2015年12月と比較すると2017年12月も13・8%減ったままということになり決して持ち直しているのではないということがわかる。

ちなみに2017年11月度も19%くらい減っているが、2016年11月は12%増だったので、そこから減って2015年11月水準に戻ったということになる。

%表記での増減率を比べることは必要不可欠な作業といえるが、単年度だけ見ていても実態は見えない。
少なくとも2年間か3年間くらいの比較は必要で、できれば5年間~10年間くらいを比較しないと本質は見えないだろう。

単年度や2年間程度の増減率だけで比較するから「ユニクロ凋落、しまむらとライトオン好調」というアホな記事が出来上がってしまうのである。

単年度や2年間くらいの増減率で一喜一憂しているからこんな間違いが起きるし、それで一喜一憂しているような単純な経営者が多いからアパレル業界の各社は凋落が止まらないのだともいえる。

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ライトオンとジーンズメイトは赤字、アダストリアとしまむらは大幅減益に

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

昨年と言っても、まだほんの数日前のことに過ぎない(要するに年末)が、ライトオンの第1四半期決算が発表された。

2018年8月期の第1四半期決算は

売上高が173億7700万円(対前期比12・9%減)
営業損失4億1000万円
経常損失4億2000万円
当期損失4億3300万円

と大幅減収赤字に終わった。

むろん、まだ3か月が終わっただけの数字なので今後挽回することは十分に可能だが、厳しい結果が出たといえる。

以前から指摘されている不良在庫が引き続き店頭で見受けられることと、同社によると秋物の売れ行きが不調だったことがその原因に挙げられている。実際に店頭で見ると、一昨年の春夏物や秋冬物が投げ売り処分されていることが多く、相当に在庫を抱えていることが店頭から推察される。
余談だが、中には掘り出し物もあってそれが990円くらいで投げ売られているのだから、店頭回りはやめられない。
個人的に昨年秋にライトオンの店頭で見つけた掘り出し物(買わなかったが)は、アヴィレックスの綿厚手素材のミリタリージャケットでこれがなんと1900円くらいに値下げされて投げ売られていた。9割引きくらいの価格だ。
こういうお宝がライトオンの店頭投げ売り品には散見される。

続いて、ジーンズメイトの第3四半期決算も振るわない。

2018年3月期第3四半期決算は

売上高63億8800万円(対前期比4・8%減)
営業損失4億4700万円
経常損失4億4200万円
当期損失3億200万円

の減収赤字に終わった。
ジーンズメイトがライザップ傘下になって第1四半期決算だけは黒字回復したが、それ以降は前期同様に赤字が続いており、第1四半期の黒字回復は数字上のつじつま合わせに過ぎなかったとしか思えない。

通期では営業利益3億円、経常利益3億300万円、当期利益4億円を見込んでいるが、あと3か月でどうやって黒字転換させるのかまったく意味がわからない。見込むだけなら誰でもできる。
通期で3億円の黒字回復させるということは現在の4億円の赤字を補ってのことになるので、あと3か月間に7億円の黒字を作る必要がある。3か月間で7億円もの利益を稼げるような店頭にはとても見えない。

報告書には同社の取り組みが書かれてあるので抜粋して紹介しよう。
まず、このブログでも何度か紹介した汗染み防止加工「ゼロステイン」Tシャツは好調なようで前年比3倍強の17万枚を販売したとある。
たしかに性能的には申し分ないのでこれは納得がいく。

一方、プライベートブランドの売上比率が32%から37%へと高まったとあるが、それはプライベートブランドが大ヒットしたというよりは、ナショナルブランドを含む他社仕入れ製品の売れ行きが苦戦したため、自動的に売上比率が高まっただけではないのか?

晩秋以降のリーバイスジーンズ半額セールはすさまじかった。
6500円のリーバイスジーンズが3250円に値下げされて売られていた。
経営陣が変わっても変わらないジーンズメイトの値下げ販売手法のすさまじさと、6500円商品を販売するリーバイスの低価格戦略の両方に驚かされた。

また業界やメディアからは「好調」「勝ち組」と見なされていた企業の決算も厳しい。
まず、アダストリアホールディングスだ。ぶっちゃけていえば大幅減収である。

2018年2月期第3四半期の業績は、

売上高1632億6900万円(前年同期比9.6%増)
営業利益68億9000万円(49.5%減)
経常利益71億3800万円(47.6%減)
当期利益65億9400万円(41.0%減)

とほぼ利益が半減している。

アダストリアホールディングスの幹部のボーナス支給額が減額されたと伝え聞いたが、当然の措置といえる。

減益の理由は在庫処分を進めたためと報告書にあるが、同社の通販サイトであるドットSTを見ているとそれを感じ取れる。
ライトオンと同じで一昨年の秋冬物の在庫品が安値で販売されているからだ。
さすがに990円ほどの値引きはないが60%オフは珍しくない。サイズが合って気に入った色柄があるならお買い得だ。
特にベーシックなデザインのアイテムはこの際に買っておくとあと数年間くらいは着用可能だ。

また、しまむらの業績も芳しくない。大幅減収だ。

2018年2月期第3四半期決算は、

売上高4269億1200万円(前年同期比0.4%減)
営業利益350億8500万円(11.3%減)
経常利益359億6300万円(11.3%減)
当期利益239億7400万円(9.3%減

となった。

報告書には取り立てて大幅減収の要因は説明されていない。
もちろん赤字でもなく350億円もの利益を上げているので、それはそれで優秀だといえるが、通期で見込んでいる増益を達成できるかどうかはかなり怪しいのではないかと見ている。
あと3か月で増益に転換できるとはとても思えない。
増益は2期連続でストップするのではないだろうか。

以上の4社は、一昨年に「陰りが見えたユニクロ」に対して「勝ち組」とメディアで評された4社だが、メディアの見方がいかに甘いかということが証明されたのではないかと思う。

逆に2017年はユニクロの強さが改めて浮き彫りになった。

赤字のライトオン・ジーンズメイト、大幅減収とはいえ黒字のアダストリア・しまむらとは区別して考える必要はあるが、この業績ではどう見ても「勝ち組」には見えない。

「ユニクロに死角あり」みたいなピントのズレた記事が定期的に掲載されるが、ユニクロよりも例えばこの4社の方がよほど死角が多くて大きい。
4社以外のアパレルの死角の多さ・大きさなんていうのは言わずもがなだ。
「ユニクロ以外の死角」をまとめてみてはどうか。そちらの方がよほどアパレル業界のビジネスにとっては役立つのではないか。

メディアの読みが簡単に外れるのは結局、対前年の増減比率だけを見て論じているからで、%表示で減れば「苦戦」、%表示で増えれば「好調」「勝ち組」という単純に判別しているからであり、それに立脚しているアナリストやコンサルタントもことごとく同様の誤りをおかしてしまう。

2018年も引き続き、ユニクロ一強VSその他弱者連合というアパレル業界の構図が継続するだろう。

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今年買った投げ売り良品たち コスパオブザイヤー2017

そろそろ仕事納めという会社も多いことから、今年を締めくくる「コスパオブザイヤー2017」を挙げてみたい。

1年を通じてさまざまな値引き品を買っているが、その中でも驚くほど低価格で買えた良品を紹介してみる。
今年1年どんな商品を買ったかなあと思い返してみると、ユニクロが圧倒的で次いでジーンズメイト、ライトオン、無印良品というラインナップで、ジーユーで590円に値下がりしたベルトを2本買った以外はアダストリアのグローバルワークで何年かぶりに綿麻混シャツを買っただけで、今年1年を振り返るなら本当にこの6ブランド以外では買っていない。

この6ブランドの激安投げ売り品だけでそれなりに見映えのするコーディネイトができるのだから、恐ろしい時代になったものだと思う。

よほどの工夫をしないと、いわゆる旧来型のアパレルブランドは消費者の購買を得るには至らない。
これらに追随することではないのだが、それをよほどの工夫だと履き違えている旧来型アパレルはいまだに多い。

さて、順番に紹介していく。

今年1月に衝動買いしたライトオンのPB「バックナンバー」のモッズコートダウンジャケット。
これは定価から半額くらいの7900円に下がっていて、そこからさらにレジで2000円引きになって5900円(税抜き)で買った。

当方は顔がデカくて首が短いので、モコモコしたダウンジャケットを着るとミシュランマンみたいになってしまう。
ダウンジャケットはいくつか持っているがすべて薄手のものにしている。

これは薄手であり、丈も長い上に表面の生地は撥水機能がある。
フードがあるのでこれを被ると、豪雨でないなら凌げてしまう。
1月・2月の冬の雨の日に何度助けられたことか。

残念ながら3月までに在庫を消化しきれなかったようで、今年12月にもまた6900円で幾枚か売られているのを見た。

あまり人気がなかった要因にライトオンの中の人は、フードの縁のファーのボリュームがなかったことを挙げているが、顔デカのオッサンからするとフード周りに分厚すぎるファーが付いている方が鬱陶しいので、この薄さが個人的には良かった。
まさにお気に入りの1枚になっている。

次は、ユニクロUのキャンバススリッポンシューズである。
定価2990円が5月の連休前後には990円にまで値下げされた。
昨年のユニクロUのキャンバススリッポンより幅が広くなり、足先に謎のゴム部分が追加されており、昨年のスリッポンより評価が低いが、実はクッション性はこのスリッポンの方が上である。
両方を所有して履き比べてみた実感だ。

それに昨年スリッポンは細すぎて逆に足が疲れることがあったが、これはそこまで細くないので快適性から言ってもこちらの方が上である。
「足先のゴムのデザインガー」とか言っている人もいるが、履いてみるとそこまで気にならない。機能性と快適性から言うならこのスリッポンの方が断然に上だ。

夏にはTシャツを5~6枚買った(いずれも値引き品)が、その中でも夏の終わりの9月上旬に買ったジーンズメイトのステインゼロ(汗染み防止)Tシャツはお買い得だった。
とくにこの文字入りの白のVネックTシャツは590円にまで値下がりしており、薄グレーのVネックTシャツは790円にまで値下がりしていた。

生地は薄く、当初「大丈夫かな?」と不安だったが、着てみると想像以上に汗染みが目立たない。
夏のピークの35度の気温では試せていないのでそこはわからないが、30度強くらいまでの気温でなら汗染みをほとんど気にする必要がない。
白いTシャツは生地も薄いことからスケスケになるかと心配したが、それもなかった。
ジーンズメイトのステインゼロTシャツは来年の夏も値下がり品を買いたいと思う。

秋以降は、ユニクロ祭りである。
それもJWアンダーソンとのコラボ商品が不振なのか、11月以降すさまじい投げ売りになっている。
JWアンダーソンというデザイナーにもブランドにも全く興味がなく、冷淡だった当方が、気が付けばJWアンダーソンコラボ商品しか買っていないという状況にあり、それほどに安い。

まず、秋口に買ったのが、ユニクロの通常版イージーアンクルパンツのオリーブグリーンでこれは1290円にまで値下げされていた。

 

 

長い靴下を穿けば冬でも着用できるが、12月に入ってからは着用回数が減っている。来年の春に再登場させる。

JWアンダーソンコラボの魚柄のセーター。
定価2990円だったのが1990円に下がったときにグレーを買った。その後、1290円にまで下がったので色違いの黒も買った。
そうしたら990円にまで値下がりした上に、店頭ではいまだにものすごい量が陳列されているので、買い時を誤ったと後悔している。
ウール100%で編地の品質から言って、1990円でも破格値だが今の990円は超破格値であり、990円ならまとめ買いをお勧めしたい。
後でも触れるが、ユニクロのウールセーターは品質の高さと低価格さでは群を抜いている。

チャラチャラとイキっただけのセレクトショップなら同じ商品を3倍~4倍くらいの価格で販売しているだろう。それほどのクオリティであり、さらにそのクオリティは向上しているように感じる。

JWアンダーソンとのコラボシャツである。
これも全く興味がなかった商品だったが、12月に入って投げ売られている。
定価2990円のままならこんなものは買わないが、1290円に値下がりしているのを見つけてまず、ストライプ柄を買った。
そうすると990円に値下がりしたので後悔しつつ、クレイジーパターンのギンガムチェック柄のも買った。

 

綿100%ブロード生地のシャツだが、非常にソフトで光沢のある表面感となっており、これはかなりの高級素材を使っているのではないかと感じる。990円なら破格値で何種類かまとめ買いをしておくことをお勧めする。

JWアンダーソンコラボのフェアアイルモックネックセーター。
フェアアイル柄は好きなのだが、モックネックというデザインが好きではないので、当初はまったく購入するつもりがなかった。
厚手のミドルゲージセーターでウール100%。生地の品質からいえば、これで3990円というのは破格値で、そこら辺のセレクトショップなら間違いなく12000円以上で売られている。
しかし、これが1990円にまで値下がりしているのを見て、思わず買ってしまった。

1990円でも間違いなく破格値だが、さらにその後値下がりしており、昨日(12月28日)にはなんと990円にまで値下げされている。これの店頭在庫は残りわずかだが、サイズが合えば絶対に買うべきだと思う。
超良品が文字通りの投げ売りである。

それにしてもこのJWアンダーソンの投げ売りは凄まじい。
同時期に発売したイネス、ユニクロUはほとんど値下がりしていないことから考えると、JWアンダーソン商品の売れ行きは相当悪いのだろうと推察できる。
形状的にはベーシックだが、色柄で遊んでいる商品が多いことがマス層には受け入れられないという評価を目にしたことがあるが、派手なボーダー柄セーターとTシャツを除くと、そこまで派手な色柄はない。とくに当方がかった魚柄・フェアアイル柄はそれほど派手でもないが、そこは当方といえどもマスの心理を理解できていないのかもしれない。

ファッション好きな人からは「最近、どのブランドもベーシックな色柄が多く楽しくない」という声を聞くが、JWアンダーソンコラボの残り具合と投げ売りを見ていると、大衆にはこの程度の色柄さえ受け入れられないのだから、他ブランドの色柄がベーシック一辺倒になるのも当然ではないかと思う。

そんなわけで、今年のブログ更新は今日で終わる。
皆様、良いお年を。

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大衆は「ファッション」にそれほど興味がない

一口に衣料品というが、実用衣料から先端のモードまでさまざまある。
実用衣料というと作業服などになるが、通常の人が普通に使用している衣料品は実用衣料寄りのファッション衣料ということになる。

先端のモードやそれに追随するような高感度ブランドがいわゆる「本当のファッション衣料」だと思うが、はっきり言ってしまうとそのジャンルを理解できる人は少数派である。
当方はまったく理解できない。する気もないのだが。

先日、ファッションど真ん中の人が

「機能性繊維を使用していると聞くと気持ちが萎える。こんな感覚は少数派なんだろうけど」

というような内容のことをツイートしておられたが、まさしく少数派だと思う。
決してディスっているのではなく、そういう嗜好の人がいてもいいし、当方はこの人が「少数派」だと自覚しているところに好感を持つ。

というのも、アパレル・ファッション業界にはその自覚のない人があまりにも多く、自覚がないだけなら全く問題はないのだが、自覚のないままにその感覚で「大衆向け商品」を作ろう・売ろうとするから話がおかしくなっているのだと思う。
洋服不振の原因の一つはその自覚のなさだと思っている。

70年代~90年代後半くらいまでは、そういう「ファッションど真ん中の人」の発信・発言が重宝されていたし、それに沿って世論というか風潮が形成されていたのではないかと思う。
70年代・80年代は学生だったので実際のところはどうだかわからないが、90年代後半はそうだった。

2000年以降徐々にそういう状況ではなくなっていったし、2010年以降はまったくそうではなくなっている。
にも関わらず衣料品業界はその90年代後半の構図が通用すると思っていて、そこにも衣料品不振の原因の一つがあるといえる。

先日、そごう西武の自社企画商品リミテッドエディションが失敗に終わったことを紹介した。
シャネルなどのトップブランドを担当し続ける超有名デザイナー、カール・ラガーフェルドを起用したにもかかわらずだ。

ファッションに疎い当方ですら、カール・ラガーフェルド起用には感心した。
しかし、結果は惨敗だ。
ツイートを見ていると、カール・ラガーフェルドという人が何者なのかしらないという声が多かった。
大衆からすると「誰?そのオッサン」という状態で、どこの馬の骨ともしらないオッサンがデザインした服になどまったく興味がなかったというわけである。

これは、ファッション業界人と大衆の認識が著しく乖離していることの好例といえるのではないか。

そごう西武と同じセブンアイグループのイトーヨーカドーも自社企画商品にゴルチエなどの有名デザイナーを起用したがこれも惨敗に終わっており、原因は同じだと考えられる。

ファッションど真ん中を嗜好する人や最先端に追随したい人にはこの売り方は効果的だが、百貨店というマス向け・イトーヨーカドーという大衆向けにはこの売り方は不適格であり、今後もその構図は変わらないだろう。

それは他の百貨店の商況を見ても如実に表れていると感じる。

最先端ファッションを売り物にする伊勢丹新宿本店は停滞しているが、最先端ファッションが一切ない静岡伊勢丹は5期連続増益となっている。

また、地味な印象が強く旧来型百貨店の代表といえる高島屋は好調に推移している。

高島屋/3~11月は、百貨店事業堅調で増収増益
https://www.ryutsuu.biz/accounts/j122543.html

高島屋が12月25日に発表した2018年2月期第3四半期決算は、売上高6788億9400万円(前年同期比3.1%増)、営業利益217億1000万円(5.6%増)、経常利益243億7600万円(5.8%増)、当期利益144億7700万円(9.5%増)となった。

百貨店業での売上高は5967億6500万円(4.3%増)、営業利益は80億7500万円(15.4%増)となった。

とのことだ。

三越伊勢丹HDや阪急・阪神のH2Oリテイリングやそごう西武などは地方小型百貨店が苦戦しているが、オチマーケティングオフィスの生地雅之さんのブログによると、

高島屋は全店黒字化と発表されており素晴らしいものです。

とあり、他の百貨店の状況とは大きく異なっている。

「ファッション売り場」としての高島屋の評価はどうだかわからないが、「百貨店」という業態として見れば、現在の「盟主」は三越伊勢丹ではなく、高島屋といえるだろう。
大丸・松坂屋のJフロントは「脱百貨店」を自認しているから、「百貨店」業としていうなら高島屋が業界の最良モデルだといえる。

結局、マスに向けて売らねばならない百貨店という業態は、最先端ファッションでは支持されにくいということだろう。
もちろん需要がないわけではない。
需要があるからこそ伊勢丹新宿本店は2500億円を越える売上高を誇っている。
しかし、その需要はそれが限界だということでもある。それ以上の売上高が欲しければ最先端ファッションだけでは無理だ。
ましてや地方小型店を再生する手段は最先端ファッションの導入ではないことを高島屋と静岡伊勢丹が証明している。

小規模に最先端ファッション層に売るなら話は別だが、マスに売りたい・大衆に売りたいのであれば、90年代後半までのファッション嗜好とは決別する必要があるのではないか。

そして、最先端ファッションを嗜好しながらマスに売りたい・大衆に売りたいというのは虫が良すぎる話で、そんな趣味の延長線上のような活動でマス向けビジネスは実現できない。
マスに売りたいならマスに売れるような「売り方」や「商品作り」が必要になる。そんな当たり前のことがなぜ理解できないのか不思議でならない。

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