作者別: minami (1ページ / 173ページ)

株価下落が続くTOKYOBASE

このところ、TOKYOBASEの株価の下落が続いている。
本日も小幅だが下落基調で推移しており、4300円を割り込んだ水準での上下となっている。
直近の株価からもう2000円くらいは優に下がってしまっている。

まだ記憶に新しい缶ビール接客の翌日ですらほとんど株価が下落しなかったのに、どうしたことだろうと思って、株式売買のサイトを眺めていたところ、その理由として先日行われた第2四半期決算が原因だと分析されていた。
昔でいうところの中間決算である。

TOKYOBASEの2018年2月期の第2四半期決算(非連結)、昔でいうと2017年8月中間決算は、

売上高55億5000万円(対前期比53・7%増)
営業利益6億6300万円(同91・7%増)
経常利益6億6300万円(同91・0%増)
当期利益4億5700万円(同96・8%増)

となっており、金額としては小規模ながらも大幅増収増益となった。

これでどうして株価の下落が始まったのだろうか。

株式売買サイトでのフィスコの分析によると、営業利益が91・7%増と大幅に増えているにもかかわらず、通期決算の業績見通しを据え置いたことが原因だとされている。

通期の業績見通しは、前期決算からずっと据え置かれたままである。
まあ、今の世の中、何があるかがわからないから不確実要素は排除しておこうということは理解できる。

通期の業績見通しは

売上高124億600万円(同32・6%増)
営業利益17億5700万円(同36・1%増)
経常利益17億5700万円(同38・8%増)
当期利益12億1200万円(同41・6%増)

とずっと据え置かれたままになっている。
投資家はここが不安、不満だと感じたということになる。

3年くらい前から株式売買を自分でも少しやってみたりチャートを眺めたりするようになったが、投資家の考え方というのはちょっと理解できないことがある。
あとは大口の投資家によって株価はある程度動かされる部分もある。

今回の下落続きはちょっと理解できない部分もあるが、投資家の理屈はこういうことだろう。

「上半期で91%増の利益をあげておきながら、通期業績を据え置いたということは下半期はよほど儲からないと経営陣は考えているのではないか」

というものだろう。

まあ、なるほどそういう見方もあるのかと思う。

実際に下半期の業績予想を見ると、営業利益は前期比で15・9%増だが、金額的には1.5億円しか伸びていない。
金額ベースでいうと、2017年2月期下半期の営業利益は9億4400万円で、2018年2月期下半期の営業利益は10億9400万円である。
ちなみに売上高は19・3%増で11億円ほど伸びている。

投資家からすると、売上高の増えた金額に比べて営業利益の増えた金額は少ないんじゃないのか?ということだろう。
11億円の増収で1・5億円の増益だからだ。

それにしても解せないのは、この連続株価下落をメディアも衣料品業界もほとんど話題にしないことだ。
株価が上がれば「時価総額〇〇円突破」と華々しく報道するにもかかわらずだ。今回の下落の下げ幅は大きいし、下落日数も長い。
本日だって、午後はわからないが今のところは下落が続いている。

なぜこれほどのビッグニュースを話題にしないのか理解に苦しむ。
しかも日経平均が空前の15連騰している最中での連続下落である。これは相当に重症ではないか。

これこそが本物の「忖度」ではないのか。

TOKYOBASEは我が国アパレルの中で数少ない成長企業である。規模的には100億円未満と小規模なので「成長期待企業」と訂正しておこうか。

成長期待企業だから、悪状況はなるべく触れないでおこうと、メディアも衣料品業界も悪質な「忖度」をしているのではないか。
しかし、事実は事実として報道すべきであるし、話題にすべきである。
それができないなら、報道なんてやめてしまえば良い。

それにこういう「忖度」は衣料品業界にとってもTOKYOBASEにとっても良い結果は何一つ生まない。

個人的には業界人がもてはやすほど、TOKYOBASEのビジネスモデルが新しいとは思わない。
むしろ、昔のやり方をそのまま忠実に実行しているようにしか見えない。

先日、炎上した缶ビール接客を抜きにしても、以前からここの接客態度は「馴れ馴れしい」「ため口が不快」という声が多く聞かれた。
もちろん、全販売員がそうでないことはいうまでもないが、「99%に嫌われても良いから1%に好かれろ」という経営陣の思想がそういう販売員をむしろ奨励していた。

店側が客を選ぶというスクリーニングの意味もあることは理解するが、その馴れ馴れしさによる親近感の作り方は、斬新というよりはむしろ古さを感じる。
古くでいえば、バブル期に夜霧に消えたハウスマヌカンだし、新しいところで言っても90年代のマルキューのカリスマ店員であり、裏原宿のショップ店員のやり方である。

また、仕入れ主体の品ぞろえは昔の専門店、草創期のセレクトショップのスタイルだし、「原価率50%」を喧伝して「お値打ち感」を訴えるのは、「良い物を割安で」というダイエーやユニクロの思想の延長線上に位置する。
決して、反ユニクロではなくユニクロ応用版というところである。

さらにさかのぼれば、現金掛け値なしの三井の越後屋(現:三越)の売り方といえる。

基本に忠実であることが効果的である場合も多い。そのことは理解しているが、行き詰ったアパレルビジネスに風穴を開けるような「全く目新しい手法」ではない。むしろ、昔からあるやり方をそのままやっているから逆に目立っているだけなのではないかと思う。

スキニーパンツ、ワイドパンツ全盛の今、70年代のベルボトムやラッパズボンを穿くと異様に目立つというのと同じである。

今後の株価の動きに対しては当たり前だが二通りの見方がある。
今の株価は割高で3000円くらいが適正だという見方と、今は割安で6000円くらいに上がるという二通りである。
次世代のスターが欲しい衣料品業界やメディアは割安だと判断するのだろうが、個人的には3000円くらいとは言わないが、幾分か割高だと感じる。

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ファッション分野に毎年大ヒット商品が生まれていた90年代の豊かさ

 90年代ファッションを回顧するという企画がウェブ上で流れてきたので、47歳のオッサンが27年前から18年前までを回顧してみると、今の30代の人々が回顧している90年代とは様相がだいぶと異なる。

なぜなら、27年前の1990年に当方は20歳だったが、30代の人は10代である。
今、39歳の人でも当時は12歳ということになる。1999年で21歳である。
今、39歳の人でもファッションシーンが記憶に残っているのは、早くても15か16歳くらいからだろう。となると最大でも94年ごろの記憶からしか残っていない。
仮にこの39歳の人が高校卒業後、大学進学のタイミングでファッションに興味を持ったとしたら、96年ごろからということになり、90年代を網羅できるほどの情報量がない。

39歳未満の人はなおさらだ。

90年代を正確に回顧できるのは40代以上で、80年代を正確に回顧できるのは50代以上、70年代を正確に回顧できるのは60代以上と考えるのがもっとも適切だろう。

ちなみに80年代は当方が10歳から19歳までの時期で、回顧できるとするならせいぜい85~89年までの4年間しかない。
しかも中学生から高校卒業までという極めてあやふやな記憶しかない。

そんなわけで47歳のオッサンが90年代の衣料品業界を思いつくままに回顧してみる。

ファッションや洋服の概念だとか哲学だとかそんなものに当方は微塵も興味がないので、売れた売れないというビジネス的結果が中心となる。

ここに文字にする前にざっと頭の中で挙げてみたが、90年代はバブル崩壊後で苦戦が続いたといわれているが、実は衣料品・ファッション用品については国民的ブームがほぼ毎年のように起きていたことに気が付いた。
2005年以降のビッグトレンドが生まれにくい時代からするとなんと恵まれた時代だったのかと今にして思う。
1~2年の誤差があるかもしれないが、当方の記憶がベースなのでお許しいただきたい。

89~91年ごろ 世界地図が描かれたバッグブランド「プリマクラッセ」が大学生に売れていた。MCMやらハンティングワールドやらも。
同じころ、トムクルーズの「トップガン」の影響でMA-1ブルゾンが大学生の制服のようになっていた。

93~96年ごろ レーヨンを交織・混紡したソフトジーンズが大ヒット、「04ジーンズ」がボブソン史上最大のヒット商品となった。

95年 ナイキエアマックス95が大ブームで、履いているのを強奪する追い剥ぎが多発した。

95~98年ごろ レーヨンジーンズへの反動として固くゴワゴワしたビンテージジーンズが大ブームになった。

97年 バーバリーブルーレーベルがバーバリーチェックのミニスカートを安室奈美恵に穿かせて大ヒット、アムラーが出現。

98年~ ユニクロのフリースが大ヒット、ユニクロブーム・低価格ブームが起きる。

99年ごろ ジーンズ、ズボンの股上が浅くなり現在に続くローライズジーンズが大ヒット。

99年  ツープライススーツショップ誕生。第1号はオンリーの「スーパースーツストア」。

ざっとこんな感じだ。
90年代後半には、一体何が良かったのかいまだにちっとも理解できない裏原宿系ブランドも大ヒットしたし、これら以外でもキムタクがドラマで着用したブランドはもれなく売れた。

また、95年~99年ごろは独立系デザイナーズブームもあり、関西でもビューティービーストや20471120などのブランドが話題となり、某専門学校ではビューティービーストの山下隆雄氏が講演に来ると、数百人規模で立ち見が出るほど学生が集まったという。

こうしてみると、裏原宿や独立系デザイナーなんていうどちらかというとコアな市場向けのブランドもヒットしたし、MA-1ブルゾン、04ジーンズ、ビンテージジーンズ、エアマックス、アムラー、ローライズ、ユニクロのフリースなんていうマス向けのビッグトレンドもほぼ毎年のように生まれていたことがわかる。ちなみにレーヨンジーンズのヒットからテンセルジーンズも生まれた。

2005年以降、とくに2010年以降の流れを知っていると、ビッグトレンドの生まれやすさに加えて、メジャー市場とコアな市場の両方で大ヒットが生まれることに驚いてしまう。

今は当時ほどのファッション・衣料品への需要や渇望感がない。

また価格破壊・低価格ブームが始まり、ユニクロが現在へと続く基礎を固めたと同時に、裏原宿や独立系デザイナーズブランドという高額品も同時に売れたというのもなかなか興味深い。

ちなみに携帯電話が普及し始めたのは97年以降のことで、当方が初めて手にしたのも97年か98年だったと記憶している。

90年代の当時は、バブルが崩壊しており、バブルを謳歌した80年代への羨望が渦巻いていたが、2017年の今から振り返ってみると衣料品業界・ファッション業界にとっては今とは別世界かと思うほどに恵まれた時代だったといえる。ただ、当時過ごしていた人間にそのことがわからなかっただけのことだ。それは90年代に限らずいつの時代もそうかもしれない。

70年代の高度経済成長期だって当時の人間にはそんなに好景気だとは思えなかっただろうし、80年代のバブル期だって同じだ。
過ぎ去ってみて初めてそういう時代だったということがわかる。人間の感覚なんて所詮はその程度の代物でしかない。

メジャーもマイナーも大きな売上高が稼げたということは、当時はファッションや衣料品というものが若者を中心に相当に重視されていたといえる。今のように携帯電話に金を支払う必要もないから、その分の可処分所得もプラスオンされていたといえる。また、それだけではなく、この当時の若者(今の40代)は極めてミーハーな性質があり、トレンドとされる物に恐ろしい勢いで群がっていたといえる。これは何もその年代だけのことではなく、それ以前のミニスカートブームやベルボトムジーンズブームでもわかるように上の世代にも共通する戦後日本の若者の性質といえる。

このころに比べると、2010年以降は嗜好や娯楽が極めて細分化されたといえる。
それゆえにファッションにそれほどに興味も持たれないし、それが万人受けする娯楽ともなり得ない。
ファッションは釣りや切手収集やガンプラ組み立てと等しい趣味の一分野になったと考えるのが正しいといえる。

いまだに「服づくりガー」とか「洋服の文化ガー」と叫ぶ人が業界にも業界外にも老若男女を問わず存在するが、それは2005年までの幻影を見ておられるのではないか。

ここまで嗜好と娯楽が細分化してしまえば、90年代のような状況に戻ることは不可能である。
今後は、細分化した嗜好と娯楽に対応できるブランドとファッション企業が生き残れる。
90年代の夢はまどろみながら見るにとどめるのが賢明である。

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無印良品の「疲れにくいスニーカー」は本当に疲れにくかった

当方は肩凝りなので定期的にマッサージに行く。
肩を回したり伸びをしたりそういう運動はしているものの、あまり緩和されないのでマッサージに行く。
まったく行かないと、頭痛がしたり目の奥が重痛くなったりする。

先日、マッサージをしてもらっていたら、「無印良品のスリッポンを買ったら、安いのにすごく疲れにくかった」と言われた。
確かに無印良品には靴があり、当方も何度かセール品を買っている。
が、キャンバススリッポンは見落としていた。

帰宅してネットで調べてみると、その名もずばり「疲れにくいスリッポン」「疲れにくいスニーカー」がある。

いずれもキャンバスで撥水加工が施してある。
オーガニックコットンと書かれてあるがそんなものは当方にとってはどうでも良い。
オーガニックかどうかははっきり言って興味がない。

アッパーのデザイン違いでソールとインソールは同企画ではないかと思う。

ちょうど10月22日まで期間限定割引が行われており、スリッポンは2990円が1900円に、スニーカーは2990円が2490円に値下がりしている。
この期間に試してみようと思って、難波の無印良品に行くと、スリッポンはなくなっており、スニーカーのそれも白と黒のみしか残っていなかったので、黒を買った。

おまけに無印良品のアプリで200円割引も持っていたので、2290円(税込み)で27・0センチを買った。

撥水加工は施されているが、しっかりとした雨では効き目はないと思い、連日雨が続いているが、止んだり小雨になった日を選んで履いてみた。

履いてみた結果をいうと、もう少し足に馴染むとまた違った結果になるかもしれないが、たしかにタイトル通りに長時間歩いても「疲れにくい」と感じる。
マッサージ師がいうように、疲れにくい。

その秘訣はインソールにあるというのが着用してみた感想である。

で、ふたたび、無印良品のウェブサイトに行ってみた。
スマホ版はあまり大したことが書いていない上に微妙に操作もしにくいので、PC版に行くと、工夫を凝らした部分が説明されている。

インソールのことはもちろん書かれていたが、通常のソール(靴底)についてもそれなりに工夫を凝らしてある。

ソールについての解説を引用すると以下の通りになる。

①全体を重心移動に沿う横方向へ切り出し
・適切なあおり歩行を誘導
・歩行時に曲がりやすく、かつ適切な位置で曲がるように工夫

②母指球部分に円形の凹凸
・蹴り出し時のグリップ力の向上

③かかと部分に円形の凹凸
・様々な方向でのグリップ力の向上
・衝撃吸収性を向上

④外周に斜めの切り出し
・滑りにくく削れにくい意匠(デザイン)を採用

とのことである。

確かにソールはこの通りの形状だが、そんなに機能性があるとは一見したときには思っていなかったので驚いた。

同じキャンバススニーカーでスペルガを持っているが、スペルガと比べると格段に足が疲れにくい。
スペルガも履き心地が悪いというわけではないが、無印良品のこれと比べるとまったく履き心地は異なる。

ファッションにこだわる人ならスペルガなのだろうが、機能性と足の疲れを重視するなら無印良品である。

スニーカーとしての外観はコンバースのオールスター風である。
最近、コンバースはデザインについてうるさいから、完全に類似しないようにデザインは少しアレンジされている。

無印良品のPC版ウェブサイトには、「定番を目指している」と書かれてあるが、デザインといい、機能性といい、これは定番として傷んだらその都度買いなおしたくなる。もちろん価格も含めて。

先日、3990円に値下がりしたリーボックフューリーライトを買って、足が疲れにくいと書いたが、無印良品のこのスニーカーも同等に足が疲れにくい。
フューリーライトは定価だと1万円強するので、傷んだらその都度買い替えるというのはちょっと勇気がいる。
その上位モデルのポンプフューリーは2万円弱するので、試し履きしたくてもおいそれとは買えない。

しかし、無印良品のこれは定価が2990円で、しかも期間限定値引きで2490円とか1990円に値下がりするので傷んだらその都度買いなおしやすいし、傷まなくても季節ごとに違うカラーを買うことも可能だ。

ウェブサイトに書かれているように「定番」になりうる商品だと思った。

50歳手前のオッサンになると、いくらデザインがかっこよかろうが、いくらブランド名にステイタス性があろうが、そんなことはどうでもよくなり、まずは疲れにくいとか防水とかそういう機能性が重要になる。
オッサンの体はくたびれ果てている。機能性が高くてなおかつデザインが良くさらに価格が安ければそれが最上品だ。
オッサンの懐は寒いのである。

そういう意味では値下がりしたフューリーライトや無印良品の2990円の疲れにくいスニーカーはオッサンにとってのマストアイテムだといえる。

こうなると、スリッポンのほうも試してみたくなる。
ウェブで検索すると残っている店舗が少ない。
しかも1990円に値下がりしている期間は10月22日までである。

同じ試すのなら値下がりしている期間にするほうがお得である。

22日までの間に、残っている店舗に行くことができて、サイズが残っているなら1足買って試してみたいと思う。

それにしても、廉価で機能性の高い商品が続々と生まれている。
ワークマンのワークウェア、カジュアルウェアしかり、無印良品のこの靴しかり。
もう高機能・低価格はユニクロだけのものではないし、靴分野でいえば、ユニクロは何度も参入しようとして失敗を繰り返している。以前から細々と発売し続けている無印良品のほうが何日もの長がある。
しかもこういう高機能商品まで発売してきたのだから、ユニクロの靴市場参入はますます障壁が高くなったといえる。

市場競争恐るべしである。

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自社企画商品の増加でテイストが薄まったセレクトショップ

 今日の佐藤正臣さんのブログにこんな一節がある。

”オリジナル商品(自社企画)等の商品構成比を上げ、買い付け等の他社の比率を下げ、顧客に見合った品揃えにする”

こういう宣言をする大手セレクトショップが多いが、はっきり言ってこれは偽善的な建前にすぎない。
本音は「利益率の低い仕入れ商品を減らして、利益率の高い自社企画商品を増やして、うちの利益率を高めるよ」というものにすぎない。
もっとも、この建前にも少しばかりの事実も含まれていて、近年、卸売りメーカーも売れ行き不振から、以前のように商品を山積みにしておらず、在庫を極力持たない体制になっている。
このため、セレクト側が追加を欲しがっても、対応できないことは珍しくない。また効率化のため品番数を減らしているメーカーも多い。
そうなると、補充が効かず商品バリエーションも少ないということになり、セレクト側としては自社の顧客に見合った品ぞろえや補充ができにくいため、自社企画商品比率を引き上げざるを得ないという部分もある。

利益率を高めたいという目的が8割、品ぞろえと補充のためというのが2割というところが、セレクト側の実態ではないかと思う。

自社企画商品比率を高めることが必ずしも成功するとは限らない。
仕入れ商品は良くも悪くもメーカーの個性が強いから、それを減らすと店の個性が弱まるということがある。
一方、セレクトの自社企画商品は完全にOEM/ODMメーカー任せだから、きわめて他店と同質化する可能性が高い。
そうなると、個性が消えて同質化した店ということになる。

関西人からすると昔から親しんできた「チャオパニック」の失速は好例といえるのではないか。

パルHD「チャオパニック」「コロニー2139」の再建急ぐ
https://www.wwdjapan.com/496685

「チャオパニック」は同社の主力ブランドだが、今期(18年2月期)は派生業態の「CPCM」を含めて10億円の赤字になる見通し。14年にスタートした「コロニー2139」は将来的に売上高400億円の目標を掲げる戦略ブランドだが、出店は5店舗にとどまり、いまだ赤字が続く。

とある。

チャオパニックはパルの顔ともいえる代表ブランドである。
関西の洋服専門店から有力セレクトショップ・SPAチェーンに成長したパルを牽引したブランドともいえる。

当方が初めてチャオパニックを目にしたのは95年の天王寺MIO(現:MIO本館)オープン時だった。
6階にかなり広い坪数がとられている。
当時は、ドミンゴやジョンブル、リーなどのジーンズブランドと仕入れトップスが豊富にあり、この仕事をしていなかったので取材をしたわけではないが、体感的には仕入れ品が5割前後あったのではないかと思う。

2005年あたりから如実に自社企画製品比率が増えた。
ドミンゴもジョンブルももうない。リーは少しある。
トップス類のほとんどは見たところOEM/ODMメーカーによる自社企画製品だ。

実際に、当方が多少の交流がある企業の中でも3~4社はパルのOEMを手掛けている。
当方が知らない先も含めると相当に多いだろう。

2005年あたりから、チャオパニックの存在感というかテイストは薄れ始めてきたと感じる。
買わないまでもそれまでは品ぞろえを見ることを目的に6階には定期的に足を運んだが、2005年以降はその回数が減り、2010年以降はほとんど訪れなくなった。見る理由がほとんどなくなったからだ。

2010年ごろになると、チャオパニックのショッピングセンター向け低価格帯ライン「チャオパニックティピー」と商品の区別がつかなくなってきた。逆に2014年ごろまではチャオパニックティピーのほうが、「お!値段以上」という商品が多かったと感じる。
そのティピーも3年ほど前から露出と存在感が急落していると感じる。去年と今年はティピーで買った商品はない。

パル社内でもこのままではマズイと感じているようで(実際に幹部からそういう声を聴いた)、それを挽回するためにCPCMを開始したが、まだそこまでの効果は出ていないといえる。

鳴り物入りでデビューしたコロニー2139だが、ほとんど目にしたことがないと思っていたら、5店舗しかないわけだから見なくても当然である。これで400億円規模に成長させるのはほぼ不可能ではないかと思う。

そもそも現在のパルに400億円規模のブランドは存在しない。
社内史上初めてとなる挑戦だが、なかなか厳しい。

一般的にセレクトショップは「濃い」イメージを与えて、一般人向けに徐々にテイストを薄めていくという手法を使う。
セレクトショップンに限らずブランドはだいたいどれもそういうやり方になる。
濃いイメージを好むのはアーリーアダプターとかイノベーターとか言われるような変態的なごく一部に過ぎず、マスはその濃いイメージを持った薄い商品を好む。これは洋服に限らずすべての商品がそうだろう。

しかし、残念なことに現在のマスは、薄くなったチャオパニックしか知らない。
薄くなってもう15年以上になるからだ。

もう一度、イメージを濃くする強烈な取り組みが必要だと思うが果して可能だろうか。
決算帳簿上での利益率改善は比較的容易にできるかもしれないが、それだけでは根本的な解決にはならないといえる。

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日本市場ではオールドネイビーの存在価値はなかった

 アメリカ本国では、GAPが失速し、低価格なオールドネイビーが伸びていると報道されているが、日本では逆にオールドネイビーが撤退してしまった。GAP本体が伸びているわけではないが、まだオールドネイビーよりはビジネスチャンスが多いということだろう。

一方、ファーストリテイリングのジーユーは、売上高1991億円にまで成長した。
今期は6%増にとどまったが、2000億円の突破は確実になった。

同じ本体より1ランク下の価格帯ブランドだが、日本におけるこの差は何だろうか?

もちろん、社内体制とか商品企画とか店舗運営とか、さまざまな要素はあるが、一つにはオールドネイビーがほとんどGAPの廉価版だったことに対して、ジーユーは2011年からユニクロの廉価版ではなくなったことが挙げられるのではないかと思う。

厳密にいえば、オールドネイビーだってGAPと商品企画がまるっきり同じだったとは言わないが、同じテイストだったので、ほとんど差がないように見えてしまっていた。
一部にはGAPよりも商品デザインが良いものがあったといわれているが、それは一部で大多数の消費者にはその差は見えにくかった。
おまけに日本では価格帯でもすみわけができていなかった。

GAPの特色は定価はそれなりに高いのに、待っているとどんどん値下げされるところにある。
ユニクロだってジーユーだって同じやり方だが、元値はGAPが圧倒的に高い。
ジーンズが9800円とか11800円していて、それが5900円になり、2900円になり、最終的には1900円くらいまで値下がりしてしまう。

ユニクロのジーンズは特殊品番を除いては定価は3990円だから1990円に下げたって半額である。
ジーユーのジーンズは1990円だから990円に下がってもマークダウン率は知れている。

そこまで下がるとGAPでは定価で買うのがアホらしくなるし、さらにいえば、これの廉価版のオールドネイビーは必要ないと感じられてしまう。安い物が欲しければ、GAPが値下がりするのを待っていれば良いのである。

ジーユーが開始されたとき、ショップの取材をした。

内装は今とほとんど変わらなかったが、商品内容は全く違う。
当時はユニクロとほとんど同じような商品内容で、価格が1000円か2000円安かった。
そりゃ安いに越したことはないが、わざわざジーユーで買わねばならない商品は見当たらなかった。

ユニクロより1000円程度安いだけならユニクロの週末値引きで買えば済む。
おまけに安いから素材や縫製のクオリティはユニクロよりも低い。

だから開始からしばらくジーユーは伸び悩んでいた。

転機となったのは2011年に商品をトレンド寄りにデザインしなおし、きゃりーぱみゅぱみゅを起用したことだろう。
あれで、ユニクロとの差が明確になった。

現在の商品を見ると、一部ではユニクロと同じようなデザインがあるが、ブランドとしてのテイストが全く異なっているので、ユニクロとは別の客層が獲得できている。
もちろん、一部では重なっていて、ユニクロで買っているオジサンやオバサンがジーユーでも買うことはあるが。

GAPで見ると、バナナリパブリックは日本に残留している。
バナリパといえば、バブル期にはアメカジ調のロゴプリントTシャツが日本でも流行したが、現在のブランドテイストはキレイ目になっていて、本体のGAPとはまったくテイストが異なる。

このバナリパもGAPと同様に定価が高い割には、シーズン末には投げ売りをするが、GAPと異なる商品が多いので、わざわざ買ってみても良いかな?という気になる。

ブランドテイストがGAPとはっきりと異なるから、日本国内ではそれなりに存在価値があり、すみわけが可能だ。
決して売上高が好調だとは聞いたことがないが、存続させる意味はある。

逆にジーユーが廉価版ユニクロという企画にこだわっていたら、今頃ジーユーはなくなっていたか、ごくごく小さなブランドとして存続していたかのどちらかだろう。

こう見てくると、多ブランド展開するアパレル企業は、ブランド間のテイストが似通りすぎると、価格帯が異なっていてもすみわけしにくいことがわかる。
現在、苦戦が続く大手アパレルの百貨店向けブランドはどうだろうか。
似たようなテイストで名前と価格帯だけが異なるブランドが多すぎるのではないか。
消費者はブランドごとの区別ができない、もしくはブランド名を覚えられていないのではないか。

かつて大手アパレル各社は百貨店の売り場を抑えるためにどんどんと新ブランドを投入した。
似たようなテイストで価格帯も同じブランドを大増産することで、百貨店やファッションブランドの売り場を1坪でも多く抑えようとしたのである。
その結果、社内には30とか60とか100とか、驚くほど多くのブランドを抱えることになってしまった。
社員数も多かったから彼らの仕事先を作るという意味もあったのかもしれない。

しかし、今は逆にブランド数が多すぎるとして、ブランド閉鎖が行われている。
類似ブランドが同社内に多数必要なのかどうかは、オールドネイビーとジーユーの成り行きを見ていれば誰でもわかるのではないか。

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国産ジーンズ第1号ブランドは「キャントン」か「ビッグジョン」か?
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オンワードのメンズへの施策はわかりにくい

物事が進みすぎると、かえって古典的なことが目新しいと感じるようになるらしい。

洋服の歴史は、オーダーメイドがもともとのスタイルで、第二次大戦前後に既製服が誕生した。
現在、洋服とは店で売っているものという認識だが、その昔の衣料品雑誌には、型紙が付録としてついていた。
今の若い人たちはそれを知らないから「オーダーメイドが新しい」なんて思ってしまうようで、ちょっと笑えて来る。
ちょうど、テレビ番組が生放送オンリーから録画編集されるようになり、一回転して生放送に新鮮さが感じられるようなものである。

そういえば、何年か前のキムタクのドラマで最終回のラストシーンを生放送するという企画があったが、これなんて、テレビ放送草創期のやり方で、当時のテレビドラマは舞台と同じですべて生放送されていた。

それが逆に新鮮に映るのだから何ともおかしなものである。

オンワード、オーダーメイドスーツの新ブランド「KASHIYAMA the Smart Tailor」の展開を開始
https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP459482_V01C17A0000000/

このニュースを解説している授業を見学させてもらったが、学生たちがオーダースーツを「新しいビジネス」として認識していることに驚いた。

実態は新興だった既製服ビジネスが行き詰まりを見せて、原点回帰しているに過ぎないのだが、人間の認識なんていつの時代もそんなものでしかない。

ところで、このニュースを拝読して、やっぱりオンワードの施策は何かズレているなあと感じた。
とくにメンズ関係はオンワードがその分野に弱いということもあるのか、ズレて迷走しているように見える。

先日、この話題を取り上げた。

オンワード樫山のちょっとちぐはぐな取り組み「THE T.I.E」

オンワード樫山が10月20日、シャツに特化したEC専売の新ブランド「THE T.I.E」をローンチする。

とのことだが、シャツブランドのブランド名がなぜ「THE T.I.E」なのか?
ネクタイブランドならわかる。ネクタイをメインにしながらシャツも売るよというスタイルならわかる。
しかし、シャツに特化していて「THE T.I.E」というブランド名を付けた意図はまったく理解できない。
たとえて言うなら、ハンバーグ専門店「オムレツハウス」をオープンするようなものではないか。

今回の取り組みもオンワード以外の会社なら、ふーん、で済むのだが、疑問を感じるのは、オンワードは実は今年秋冬からオーダースーツの新ブランドを立ち上げているのである。

オンワード、オーダースーツの新ブランド 若者向け
https://www.nikkei.com/article/DGXLZO17335350V00C17A6TJ2000/

オンワード樫山 紳士向けイージーオーダースーツの新ブランドを2017年秋冬シーズンから立ち上げる。「モーダムジュール」というブランド名で、30代前後の若者をターゲットとする。税別5万円台からを想定しており、オーダーながら手ごろな価格に抑えた。全国の百貨店などで販売

とある。

発表されたのが今年6月で、立ち上がりは今秋である。
立ち上がったばかりのこの「モーダムジュール」とは別にまた、オーダースーツブランドを立ち上げる意味がどれほどあるのだろうか?
やるならば、この「モーダムジュール」を拡販するか、ブランド名をリンクさせてやったほうがはるかにわかりやすいのではないか。
なんだか社内の仕事を増やすための仕事にしか見えないのは当方がひねくれているからだろうか。

それにもっといえば、オンワードには知名度がいまいち低いもの、昔から展開しているスーツブランド「五大陸」もある。
こちらはこちらで放置されっぱなしなのだが、もっと連携するほうが良いのではないか。

よく、「行政は縦割りだ」と業界の人は批判するが、この社内体制は行政に負けず劣らずの「縦割り」ではないのか。

年代層を分けて、モーダムジュールを立ち上げたのは、まあ良しとして、それなら今回立ち上げるブランドを五大陸と紐づけるほうが良いのではないかと思う。

今回のブランドは、全国13店舗で展開する「Sebiro&co.,」をリニューアルしてブランド名も変えるという取り組みなのだが、それならなおさら「五大陸」と関連付けたほうが良いのではないかと思う。
もしくは、知名度があまり高くない「五大陸」のブランド名を変更して新ブランドと関連付けるか。

かつて大手アパレル各社が売り場欲しさに似たようなテイストの新ブランドを次々と立ち上げてブランド名ばかりをやたらと増やしてきたが、その悪癖はいまだに続いているようである。
しかもメンズが弱いオンワードだからなおさら、その「昔の手法」に頼ろうとするのだろうか。

旧大手アパレル各社の直近の取り組みを見ていると、ちょっとやそっとでは回復できないと思うし、消費者に与えるインパクトも弱くしかもわかりにくい。
はっきり言ってオンワードのメンズに対する施策は傍から見ていてわかりにくい。

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国産ジーンズ第1号ブランドは「キャントン」か「ビッグジョン」か?
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フォーエバー21の存在感は日本市場でめっきりなくなった

 小売業が他国で成功するには現地に適合させたローカル化が不可欠である。
ローカル化に失敗すれば、いくら世界規模の会社であっても撤退を余儀なくされる。
その代表例は日本におけるカルフールとテスコの撤退劇である。

この度、フォーエバー21の原宿旗艦店が10月15日に閉店した。

「フォーエバー21」原宿店を閉鎖 日本1号店として2009年開店
https://www.wwdjapan.com/493914

ちょうど昨日に閉店したというわけだが、この数年はフォーエバー21の存在感は日本国内でめっきりと薄まっていたと感じる。

記事中にもあるように、

今年に入り、ダイバーシティ東京プラザのお台場店、ららぽーとTOKYO BAY内の船橋店などを相次いで閉鎖

しており、それまでの閉店がアウトレット関連がほとんどであったことを考えると、伸び悩みというよりは失速だと感じられる。

フォーエバー21の店舗外観

フォーエバー21の存在感がなくなった最大の要因は、ジーユーをはじめとする国内ファストファッション勢の拡によるものだといえる。
初上陸した2009年ごろは、ジーユーがまだ低迷していた時期で、ジーユーはその後、ファストトレンド路線に切り替え、2017年8月期には、営業減益したとはいえ、売上高1990億円にまで成長した。

ウィゴーも今年は苦戦傾向だと耳にするが、売上高200億円を越えるまでに成長しているし、アーバンリサーチは2009年以降に低価格ブランド「センスオブプレイス」を開始している。

国内においてフォーエバー21の存在価値はほとんどなくなったといえる。
今年に入ってからの相次ぐ閉店はそれを証明しているのではないか。

グローバル低価格ブランドはそれぞれ特徴がある。

ZARA=値段はちょっと高め、欧州テイストのデザイン性、生地品質はまあまあ
H&M=値段安め、カジュアルテイスト、生地品質は良くない
ユニクロ=値段は中間、シンプルベーシック 生地品質は良い
(あくまでも低価格ゾーンの中での生地品質)

という具合で、フォーエバー21と競合するのは国内ではジーユーであり、値段は同等だが、使用生地や縫製仕様はジーユーのほうが上であるから、わざわざフォーエバー21を買おうという日本人は減ることはあっても増えることはない。
対ウィゴーしかり、対スピンズしかり、対センスオブプレイスしかりである。

現にフォーエバー21は今年に入っての閉店で展開店舗数が20店を下回っている。

当方が20歳くらいの若者だったとして、「わざわざフォーエバー21で買おう」とは考えない。

他のZARA、H&Mの2つのグローバル低価格ブランドに比べて、そもそもフォーエバー21は日本にローカライズできていないとも感じる。
ZARA、H&Mともに日本支社があるが、フォーエバー21は公式ウェブサイトでもそのあたりの存在は極めてあいまいにしか書かれていない。
販売業者として合同会社 FOREVER21 JAPAN RETAILの名前と連絡先(東京都千代田区麹町4丁目1番地)が書かれているが、形態が支社なのか子会社なのかフランチャイズなのか単なる契約者なのかがわからない。

2013年に大阪・道頓堀店をオープンした際には取材したが、まだ日本支社ないし日本での連絡先は明示されていなかった。
そのときに「フォーエバー21というブランドは日本にローカライズさせる気があまりないのだな」と感じたが、その後のブランドのやり方を見ているとまさにその通りだったといえる。

これは日本企業が海外進出した際によく失敗してきたやり方と同じなのだが、欧米企業だって韓国企業だって中国企業だって日本で同じことをやらかす。

ZARAとH&Mはその点明瞭だ。
両社とも日本支社があり、ZARAなんて世界各国の拠点が支社なのか子会社なのかフランチャイズなのかがわかるようになっている。
日本は支社、ドバイはフランチャイズ、台北は子会社となっている。

この2社に比べるとフォーエバー21は情報開示が少ないと感じる。

グローバル低価格ブランドといえどもローカライズに失敗すると撤退を余儀なくされるのは、先ごろのトップショップの日本撤退が好例である。トップショップは本国直轄ではなく、国内企業に運営を任せていたが、その国内企業のやり方はグローバル低価格という利点をすべて消し去ったやり方で、長所をまったく引き出すことができなかった。これはひとえに本社と国内運営会社の意思疎通ができていなかったためだろう。

今回のフォーエバー21もトップショップに通じる部分を感じる。
本社はどこまで日本国内の現状を把握しているのだろうか。

またその国の中で市場がなくなればオールドネイビーのように撤退することもある。
オールドネイビーは本国では好調で、本体のGAPに代わって成長ブランドとみなされているが、日本ではむしろGAPが残ってオールドネイビーが撤退してしまった。
これは、本国のようにオールドネイビーの低価格とGAPが日本で続けてきた投げ売り価格が共喰いしたためだと個人的には見ている。

一部からは「オールドネイビーにはGAPにないデザイン商品があった」という声もあるが、そんなものはノイジーマイノリティの寝言に過ぎず、大部分は価格が同じでデザインもほとんど同じと見えていた。だから両方は必要なかったということだったのではないか。

フォーエバー21は対応を誤ると今後、日本撤退に追い込まれることもあるのではないか。

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「増減率」だけで論じる経済系の愚かしさ

 9月下旬にこのブログの仕様をライブドアブログからワードプレスへ変えた。(正確には変えてもらった)
ドメインは同じでURLも同じだが、基本的にシステムはまったく違うのでそれまでのRSSが役に立たなくなってしまっている。
もし、以前に登録されていた方がおられたら、お手数をかけてしまうが再度登録しなおしていただきたい。

さて、経済系メディアやアナリストと呼ばれる人たちの記事や指摘には参考になる部分も多数含まれているが、「数字のマジック」に踊らされすぎではないかと感じられることのほうが多い。

例えば、昨年までの「ライトオン復活、ユニクロ低迷」という論調や「しまむら復活、ユニクロ低迷」という論調である。
その期の「%表示」のみに従えばそういう論調になることは理解しているが、実際の金額や一昨年対比した場合、この論調はもろくも崩れてしまう。

それが今年になって証明され始めており、ライトオンは赤字転落してしまったし、しまむらも業績は伸び悩んでおり、今年9月度単月の業績だけをもって「しまむら苦戦、ユニクロ好調」なんていう浅はかな記事を書いてしまうアナリストすら存在する。
しかもそのアナリストの肩書は「ベテランアナリストで、海外(主に欧米)での業務経験も豊富」だから驚いてしまう。

アパレル企業の経営者もピンキリで、ひどく短絡的な人も珍しくないが、優秀で冷静な方も数多く存在する。
年度決算という近視眼的な視点ではなく、3年後~5年後、少なくとも再来年までを考慮して中長期的に取り組む経営者もいる。

先日、久しぶりにお会いできた経営者も後者に属する。
30億円規模のカジュアルメーカーだが、直近の決算内容をお聞きすると、卸売り事業は前年割れ、直営店とネット通販が伸びたということで、卸売り事業の前年割れは計画通りだったという。

この規模のメーカーなので当然、株式公開はしておらず、単年度の業績によって株主から責められることはない。

トップとしては、卸売りという事業そのものが伸びにくい状況となっているため、減収を織り込み済みというのは、賢明な見通しといえる。

しかし、仮にこのメーカーを取り上げて「卸売り事業減収により、今後の業績に懸念」という記事を書こうと思えば書ける。
とくに%表示による増減率の「数字のマジック」に踊らされる性質の人なら迷わずそう書くだろう。

だが、その指摘は正しいのだろうか?

アパレル業界において、卸売りという事業そのものが伸びにくくなっている。
理由はさまざまあるが、最大の理由は、卸売り先の減少である。

小規模・零細の個人経営専門店は次々に廃業・倒産している。
また、中規模の専門店チェーンは徐々に自主企画製品(PB)比率を徐々に高めている。

さらに大手有力チェーン店、大手セレクトショップチェーンは完全にPBが主体に切り替わっている。

こう見ると、卸売り先が減ることはあっても増えることはないことがわかる。
この状況下では卸売り事業が減少することは当然といえる。

卸売り事業しかない企業であれば、これをいかに維持するか・伸ばすかということが至上命題になるが、このメーカーは直営店とネット通販というほかの事業を持っている。環境が厳しい卸売り事業を自然減に任せて、その分、直営店とネット通販を伸ばすという考え方は、きわめて当然だといえる。

経済系の指摘は、このメーカーに対し「そうは言っても卸売り事業が縮小するのは問題だ、今後に懸念を感じる」と言っているようなものに過ぎない。

昨日、2017年8月期のファーストリテイリングの決算が発表された。
内容では過去最高実績となる増収増益だった。

しかし、件の経済系はやはりというか、なんとかの一つ覚えというか「それでも物足りない」と指摘するので笑ってしまった。

1、国内ユニクロ事業が6・4%営業減益
2、EC事業が売り上げ構成比6%にとどまった

この2点である。本当に増減比率しか見ていないことが丸わかりだ。

国内ユニクロ事業の営業利益は6・4%といえども959億円もある。ちなみに件の経済記者は国内ユニクロの売上高の伸びにも物足りなさがあると書いていたが、それは前年比1・4%増にとどまったことを受けている。が、売上高は8107億円もあり、この金額でさらに上積みできてしまっている時点で、通常のアパレル企業とはまったく販売力が異なっている。まさに異次元レベルの伸び率といえる。1%でも80億円で、今時、80億円規模のアパレルはおいそれとは誕生できない。

また、経済系の大好きなEC事業だが、売り上げ構成比6%である理由は、全売上高の分母が大きすぎるからで、伸び率は前年比15・6%もある。
国内ユニクロに含まれるEC売上高は487億5300万円に拡大しており、衣料品ブランド単体のEC売上額は断トツの1位である。
500億円規模のアパレル企業といえば、業界では大手の範疇に入る。

これらを指して「%表示の増減」のみで「物足りなさを感じる」と書いてしまえるところがなんとも驚くほかない。
この手の人たちはおそらく、洋服を販売するという実務経験が乏しい、またはまったくないのではないかと思う。

1年でも2年でも洋服販売に従事したことがあれば、この金額がどれほどすさまじいか容易に理解できる。
また、従事経験がなくとも、8000億円のブランドが1%(80億円)売上高を伸ばすことと、10億円程度のブランドが20%(2億円)売上高を伸ばすことの困難さは全く異なるということは容易に想像できるはずだ。

個人的には「想像力を~」と主張する輩は全く好むところではないが、それこそ想像力が欠如しているのではないか。

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「数字だけ」を見て失敗したアパレル経営者たちの事例
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しまむらのシステムは「EC」ではなく、疑似ECと呼ぶべき

メディアも業界も「トレンド」に流されやすいことが最大の特徴である。
いくつかの「トレンドキーワード」があるが、Eコマース(EC)はその一つである。
これを「ちょっと匂わせる」だけで大きく報道してくれる。

少し前なら「海外進出」だった。

業界新聞に属していた頃、20歳くらい年長の先輩が紙面に対して皮肉交じりにこう言ったことがある。
「トップ記事で掲載されたかったら、海外進出を書けば良い。何千億円の会社の国内の取り組みよりも、零細企業の海外進出のほうが紙面で大きく取り上げられる(笑)」。

まあ、差し詰め今なら「海外進出」が「Eコマース」に置き換わるのだろうか。

さて、ついに、しまむらがECに乗り出したことで、話題となっている。

しまむらがついにECに着手、月15万件超の“客注システム”を応用
https://www.wwdjapan.com/488934

もう多くの方がこのニュースを知っておられることだろう。

通常のECとは異なり宅配は行わない。
パソコンやスマホから商品を注文し、注文された商品は指定した店舗に届く。
お客はその店舗へ受け取りに行く。

簡素にまとめるとこういうシステムである。

メディアはこれを大いに持ち上げる傾向が強いが、はっきり言えばECではない。
記事中にもあるように疑似ECに過ぎない。

しまむらは独自の物流システムを所有していて、これまでも商品の店舗間移動や、商品の店舗配送を行っていた。
今回の疑似ECはこれを応用した使い方である。

消費者にとっての利便性は、ECやパソコンから「指定注文」できて買い逃しが減るところにある。
一方のしまむらにとってのメリットは、売り逃しが減る可能性が高いというところにある。

ただ、個人的にはメディアや評論家がいうほど、絶大な売り上げ効果があるかどうかは疑問を感じる。
なぜなら、しまむらの店舗立地は郊外のロードサイドに集中しているからだ。
しかも単体、もしくは数店舗集合での出店が多い。

これは店舗受け取りという形態には著しく不利である。

しまむらに行くのは、「休日わざわざ」ということが多い。
平日、もしくは勤務日の行き帰りに立ち寄れる場所ではない。

店舗受け取りが絶大な支持を得る要素は

1、都心に多数の店舗がある、ターミナルの駅ビルもしくはその近くにある
2、郊外の食料品併設の大型ショッピングセンターに入店している
3、住宅地の中に店舗がある

くらいしかない。
現在のしまむらの出店立地の多くはこれに当てはまらない。

となると、消費者の取りうる行動は、「来週日曜日にしまむらへ行きたいからそのときに届いているようにネットから客注する」ということになる。

しまむらへの「わざわざ来店」時に店舗に届いているタイミングで商品を頼むことになる。
そうでないなら受け取りに行くのが面倒だからだ。

しまむらが誇る自前の物流システムはあるが、宅配に対応しようとすると、コスト増になるし、おそらく人員も足りないだろう。
そうすると人件費の増大を招くことにもなる。当面は宅配対応は不可能だろう。

この宅配と店舗受け取りに関しての考察については、以下のブログが論理的で秀逸である。

ロンドン視察から 日本でのクリック&コレクトの普及を考える
http://dwks.cocolog-nifty.com/fashion_column/2017/09/post-255e.html

IR(広報)によれば、NEXTではオンラインで注文して、都合のよい店舗で受け取るクリック&コレクト比率は注文件数の55%にあたるそうです(イギリス国内)。 一方、ZARAでは66%(グローバル平均)とのことです。

クリック&コレクトとは店舗受け取りのことである。
欧米では日本ほど宅配システムが整備されていないから、店舗受け取りのほうが多いということである。

ヤマト運輸を筆頭にきめ細かい宅配便のサービスをかつ安価で当たり前のように享受している日本において、クリック&コレクトの顧客にとってのメリットに疑問をもつ方が大多数なのが実情です。
英NEXTでクリック&コレクト比率が高い理由は

- 夜12時までに注文すれば翌日12:00以降に商品が指定の店頭で受け取れること
- 宅配の場合3.99ポンド(600-700円)かかる運賃が無料になること
- 国内540店舗という店舗網により生活圏、通勤圏に受け取り易い店舗があること
- 一方、英国にはヤマト運輸のような2時間単位の時間帯で配達指定ができる宅配便がそうそう存在しない

とのことであり、これを踏まえたうえで考えると、しまむらの店舗受け取りというのは日本人にとっては相当にハードルが高いといえる。
逆に、しまむらの低単価商品に対して時間を浪費してわざわざ受け取りに行くほどの価値があるのかどうか疑問を感じる。

言ってみれば、たかが1,000円の商品を受け取るために、時間と交通費を使って出向く人がどれほどいるのだろうか。
当方なら、絶対に何かのついででないと立ち寄らない。

しまむらがECをどこまで進めるのかは不明だが、今の店舗受け取りのみでは、商況を一変させるほどの効果はないと考えるのが適切ではないか。
一部メディアが記事化したように、「百貨店がさらに追い込まれる」なんて要素にはなり得ない。

しまむらの疑似ECは百貨店の商況にほとんど影響を与えず、むしろしまむらの疑似ECがなかったとしても今のままでは百貨店はさらに追い込まれる。
メディアの短絡的な姿勢は今も昔も変わりがない。

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ユニクロUのライトダウンコートに期待したい

 先日、ユニクロUが発売され、これでめでたく?今秋のユニクロのコラボラインが勢ぞろいした。
一部商品はこれから発売されるので完全にすべての品番がそろったわけではないが、ほとんどがそろったといえる。

今秋からイネス・ド・ラ・フレサンジュのメンズが加わり、J.W.アンダーソンが始まり、恒例のユニクロUの大部分の品番が投入された。

各ラインを比較して、個人的な品定めをしてみたい。

イネスについては以前にも感想を書いているのでご参照いただきたい。

ユニクロのイネスのメンズラインを独断と偏見で採点してみた

専門家・愛好家によってさまざまな評価があるが、あくまでも個人的に見ると、

一番若い人向けが、J.W.アンダーソン
一番年配向けがユニクロU
その中間がイネス

だと感じる。

どのラインもユニクロに合わせているので、形そのもので突飛なものはない。
突飛な部分は色・柄にとどめており、デザイナーズブランドを着慣れない人でも取り入れやすい工夫はなされいるといえる。
逆に形・シルエットそのものを複雑化してしまうと、縫製工賃が高くなり、ユニクロ価格を維持できなくなる。
そのため、形・シルエットはある程度ベーシックに抑えなくてはならない。

また一口にデザイナーズブランドといっても、+Jでコラボしたジル・サンダー氏のようにシンプル・ミニマムを信条とするデザイナーもいる。本来は+Jがもっともユニクロとは相性が良かったのだと思う。

ファッションが苦手な人が一番着こなしにくいだろうと思うのは、J.W.アンダーソンである。
形やシルエット自体はベーシックに寄せているが、色柄が派手な品番が差し込まれている。
チェック柄のダウンジャケット、派手なレゲエカラー・ドイツ国旗カラーのボーダーニット、ボーダーTシャツなどである。

ファッションが苦手な人に限ってなぜか派手な原色を着たがる傾向があり、アンダーソンのこれらは鬼門だといえる。
そういえば、先日、天満駅付近の天神橋筋商店街でちょっとダサめのおっさんが、アンダーソンのレゲエカラーのボーダー柄セーターを着用していて、ひどく似合っていなかった。

野暮ったい顔立ちと、赤・黄色・グリーンの派手なボーダー柄はまったく合っていない。

J.W.アンダーソンでは早速半袖Tシャツが990円に値下がりしている。
ボーダー柄の半袖Tシャツと、おばはんの横顔のイラストが描かれた半袖Tシャツはすでに990円に値下がりしており、その中では黒×グレーのボーダーとおばはんイラストはサイズさえ合えばお買い得である。

また、アンダーソンではリバーシブルのトレンチコートがあるが、裏地のチェック柄を表にして着る人はいないと思う。
全身がチェック柄ならまだしも、前立てと襟の部分は通常の無地トレンチコートのままであり、それ以外がチェック柄に切り替わっている。
これも野暮ったい顔立ちのおっさんが売り場で裏返して試着しておりひどく似合っていなかった。

同じトレンチコートを買うなら、イネスにすべきである。

J.W.アンダーソンのトレンチは綿素材の1枚仕立てだが、イネスは袖は除いて本体部分に取り外し可能な中綿入りライナーが装備されている。真冬でもスーツの上に着用できるのはイネスであり、J.W.アンダーソンのは真冬の着用は寒すぎて難しい。

また、全体的傾向でいうと、万人が着やすいのはユニクロUである。

ほぼ、無地アイテムばかりで、カラーリングも黒、紺、オリーブとベーシックな暗めのカラーなので悪目立ちしない。
しかし、気になるのはアイテムのほとんどがビッグシルエット、オーバーサイズ気味であることだ。

オーバーサイズの服を中年太りしたおっさんが着ると、絶対にかっこ悪く見える。
下手をするとバブルのころから保管していた服をそのまま着ているのではないかとさえ見える。

サイズ感は試着してしつこいくらいに確認すべきで、以前にも書いたように、ビッグシルエットTシャツは当方ですらSサイズを選ぶほどだ。

売り場で見ると、今回のユニクロUではそれほど欲しい物がなく、11月に投入されるダウン入りコートに注目している。
当方を含めた多くの人は、通常のダウンジャケットはすでに何枚か持っている。
はっきりというとこれ以上、ブルゾン型のダウンジャケットはよほどの「何か」がないと買う気にはならない。

カジュアルとスーツの兼用を考えると、ブルゾンタイプのダウンジャケットではカバーできない。
通常のウール素材のコートを買えば良いがダウンに比べると保温力が低い。
そうなると、両方を兼ね備えたダウン入りコートが一番理想的だということになる。

ダウン入りコートは何もユニクロUが発明したわけでもなく、何年も前から様々なブランドから発売されている。
個人的には、ザ・ロフトラボのダウンコートが欲しいと思っているが、値段はユニクロUの2倍ほどする。

ちなみに先日、天神橋筋商店街の顔見知りのバッタ屋で3900円の紺色のノーブランドのダウン入りコートを見つけた。
ダウン70%・フェザー30%という内容だが、値段を考えるとこれで十分ではないかとも思っている。

あとはユニクロUで発売されてから、試着してみてサイズ感を確認してから買うか買わないかを決めようと思っている。

今回のユニクロUで印象的だったのは、ウールブレンドジャケットとコートの素材だ。
ウール混の生地だが、かなりシャリっとした表面感の強撚糸使いの綾織りで、通常、学生服とか電鉄の制服とかに使われているようなものである。
好き嫌いの分かれるところだろうと思うが、当方はあまり好きな生地ではない。

そんなわけで、シルエットやサイズ感が確認できていないが、今のところ、ユニクロUでもっとも良さそうなのはダウン入りコートだと思う。

まとめると、

J.W.アンダーソンの原色アイテムは避けたほうが賢明、イネスはトレンチコートと紺ブレが、ユニクロUはダウン入りコートが、イチ押しである。
また売り場で参考の一つにしていただければ甚だ幸いである。

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