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南充浩 オフィシャルブログ

広がる掲載格差

2014年9月30日 未分類 0

 この数年、衣料品業界紙が凋落し、代わってウェブメディアが台頭した。

当初のウェブメディアはストレートニュースを多く掲載していたが、最近では、メジャーな企業のニュースばかりを掲載したがるようになったように感じる。
理由は簡単である。
メジャー企業のニュースはPV数が増えるからである。
PV数が増えるとバナー広告が集めやすくなる。
理由はそれだけではないだろうが、大半以上の理由はそこにあるといえるだろう。

例えば、パリコレやミラノコレクション、三越伊勢丹、ユニクロ、などのメジャーな企業やイベントを取り上げれば、業界人以外の人も閲覧することからPV数は増える。

マイナー企業のストレートニュースをアップするのは繊研プラスくらいになってしまったと感じる。

先日、繊研プラスはヤマトマネキンやラブリークィーンなんていう企業のニュースをアップしていたが、こんなニュースは業界関係者以外の目を引き付けることはなかなか難しいだろう。

PV数が増えないことには広告出稿を伸ばすことはできない。

しかし、最近はそういう風潮に疑問も感じる。

というのは、このままの状況ではメジャー企業はよりメジャーになり、マイナー企業はいつまでもマイナーなままである。
果たしてそれを助長することがメディアの役割なのだろうか。

またメジャー企業が固定化することが業界全体のためになるのだろうか。

メディアとしても同様で、例えば、常にユニクロの記事ばかり掲載されていることが健全な状況といえるのだろうか。

繊維・衣料品業界のことを考えるなら、次々とスター企業が生まれることの方が望ましいのではないか。
またマイナー企業の記事を定期的に掲載することでデータベースの役割を果たすこともできる。

さらに付け加えると、日本の合繊メーカー、大手紡績の技術開発力は高く評価されているが、残念ながらウェブ上ではそれら企業の新素材開発の記事はあまり検出されない。
記事本数が元から少ないのだろうと想像できる。

合繊メーカー、大手紡績各社がウェブの使用に消極的であるという背景があるものの、ウェブメディア側も積極的には取材に赴かなかったのだろう。

円安基調を受けて、衣料品の国内生産回帰が活発化している。
製造現場の情報を求める声も多いが、これらの情報は特定の企業を除いてほとんどウェブ上にはない。

もちろん、ウェブメディアは慈善事業ではないから、収益化することが不可欠である。
とはいえ、完全なる利益追求型のメディアばかりというのも疑問を感じる。

隆盛を極めつつある各ウェブメディアはこのあたりのこともそろそろ考慮してもらえるとありがたいのだが。

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