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南充浩 オフィシャルブログ

海外展示会だけではなく国内展示会でも

2014年9月19日 未分類 0

 最近、繊研新聞本紙よりもウェブ版の繊研プラスの方ががんばっているのではないかと思う。

昨日、こんな記事が掲載され、多くの業界人が言いたかったことを代弁してくれたのではないか。
業界の様々なシガラミ(笑)にもかかわらず、これを掲載した繊研プラスの姿勢を評価したい。

政府関連の海外展“ジャパンブース“助成金・補助金の不毛さ
http://www.senken.co.jp/report/creator/mea-report/cooljapan-business-overseas/

これはAYAME SOCKSという靴下ブランドを展開しておられる方が、米国展示会に出展した感想をまとめたものである。
以前から独自に(文中によると6年くらい前から)欧米展示会に出展しておられるとのことだが、今回は初めて行政の助成金によって米国展示会に出展したとのことである。

我がAYAME SOCKSは、PROJECTのほうに出展したのですが、搬入日に会場に到着した瞬間に思ったのは、選抜されたブランドがバラバラだなあ・・・、という事でした。一体何を軸にして、どういうプロセスがあって選抜されたのでしょう?

とのことである。

選抜されたブランドのテイストやターゲットがバラバラで、それによってコーナー全体の見せ方までがバラバラチグハグになってしまうのは何も海外展示会だけに限ったことではないだろう。

国内の大型展示会でも同じである。
例えばIFF、ルームス、東京ギフトショーには国内産地が数多く出展する。
それも企業単独ではなく、〇〇産地組合とか〇〇市商工会議所とか。
それはその地域の企業の寄せ集めなので当然ながらそれぞれ出展物もテイストも異なる。
価格帯、販路すら異なる。

例えば、畳とジーンズと学生服とワーキングユニフォームと塩を名産品とする地域があったとして、
それらが一堂に雑然と展示されていて何か効果があるだろうか。

せめて、ブース全体がまとまるようにうまく施工ができていればまだしも、主催者側の統一規格ブースでそれぞれの品物が並べられている状態では、一品一品のクオリティやデザインがいくら良くても、ブースの見た目だけでそれに興味を持つバイヤーの数は半減以下になる。

それを防ぐにはコーディネイターというかプロデューサーというかの力量、眼力(メヂカラではない)が必要となる。適当に並べただけではブースのまとまり感なんて永遠に出ない。
そういう意味では、たしかなVMD力を持ったコーディネイターやプロデューサーが必要となる。

以前にも書いたが、人間が一番遠くから識別できるのは「色」、次に「形」、そして「風合い」、さらに密着して「着心地」である。

合同展示会なら、色の前に「ブースの造作」が入る。

「ブースの造作も悪いし、色もなんだかくすんだ商品ばかりだけど、風合いと着心地は最高だから」というのは、VMD上では何の意味もない。
すでにそれは集客に失敗しているのである。

ついでにいうと、これは国内企業だけに言えることではなく、海外企業も同じである。
先ほど挙げた大型展示会には毎回多数の海外企業が出展する。
しかし、それらもなんだかゴチャっと多数の企業が参加しているだけに見える。
おそらくは日本と同じような仕組みで、それぞれの国が補助金やら助成金で出展業者を各業界から募っているのだろうと推測できる。

さて、上記のレポートは長文なので、抜粋しながら進めたい。

今、述べたことはこうまとめられている。

一般的な話ですが、こういうショーケースって全体の統一感がすごく重要で、つまり、セールスエージェントやPRエージェントと同じことで、集めるブランドのテイストやクリエイションのレベルは言うまでもなく、価格帯や狙っている層が合っていないと、なんの効果も生み出さないと思います。

たとえ個々が頑張っていたとしても、それを効果的な形で動作させないと、あまり意味が無いものです。私が出展した今回に限らず、役所が絡むと何故かこういう微妙なプレゼンテーションになるような気がするのですが、世界各国の展示会で行われている、“ジャパンブース”的な事業、はた目から見てもそう思います。

とのことである。

で、なぜこうなるかというと、

そういうファッションビジネスセンスの視点から言うと、海外の国際展示会で見かける政府支援の「ジャパンブース」系は、往々にしてピントがずれているように見えます。感覚的な部分の仕事があまり重要視されていないと、どうしてもこうなっちゃうのかな、と思います。その上、オーガナイズするプロセスで、色々な大人の事情やしがらみもあるでしょうから。

と推測しておられるが、実際のところ、はっきり言って筆者の知る限りにおいては「大人の事情としがらみ」の産物である。

昔の名前で出ています的な人が「思い込みと好き嫌いと利害関係」だけで選んでおられるのかなという場合が多いように個人的には感じられる。

このレポートの結論は以下の部分である。

ジャパンブランド支援事業自体は素晴らしい取り組みだと思います。ただ、もう何年もやっているのにこんな体たらくならば、一度仕切りなおして、やり方自体を見つめなおした方がいいと思います。特に、どんなブランドを選抜して、どのように押していくのか、を。受注ベースの目標や成果を基準に入れたり、とか。

とのことであり、受注ベース成果の導入が適切かどうかはわからないが、何らかの基準導入は必要不可欠だろう。

というのは、助成金・補助金での海外展示会出展をまるで海外慰安旅行と勘違いしている業者が数多く存在するからだ。そんな彼らは受注の有無は度外視である。
完全度外視ではないだろうが、たとえ受注がゼロでも「良い経験ができた」ということでお終いである。
助成金・補助金の類はだいたい3年が一区切りだが、一区切りを迎えるとその後自腹で出展する業者は数少ない。3年間、公的資金で海外へ観光旅行に行かせたようなものである。

その一方で、自腹でコツコツと海外出展を続けておられる企業も一部にはあるから、雲泥の差である。

そういう業者を応援するのが本来の補助金・助成金のあり方だと思うのだが。

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