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南充浩 オフィシャルブログ

思い込みと願望だけでは・・・

2014年8月27日 未分類 0

 今年3月にグランドオープンしたあべのハルカスが早くも下方修正している。
その原因として、若い女性向けの専門店街「ソラハ」の苦戦が挙げられている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140826-00000501-san-bus_all

記事によると、

近鉄百貨店の高松啓二社長は「雰囲気や音楽など、若い女性が好むような演出も不十分だった。来店客を呼び込む仕掛けが必要だ」と指摘。数千万円を投じ、9月中旬の完成をめどにソラハの改修に踏み切る。

とのことだが、そもそも「若い女性向け」というターゲット設定が間違っていたのではないか。
現在のファッション業界において、「若い女性向け」「若い男性向け」というジャンルは旨味の少ないジャンルだと認識されつつある。

その理由は、

まず人口が少ない。
次に可処分所得が少ない。

ことが挙げられる。

人口が少なくてお金をあまり持っていないから、販売枚数は少量になる。
そして買い上げ単価も低い。

いわゆる工業、商業として見た場合の旨味は著しく低い。

ちなみにハルカスがどれほどの下方修正をするかというと、

百貨店部分の売上高と専門店部分の売上高を合計した取扱高ベース売上高は、期首予想の1450億円から280億円減額し、1170億円とした。前期実績は923億1100万円だった。

http://ryutsuu.biz/accounts/g082512.html

とのことだ。

グランドオープンしてから何度か休日、平日と見物も兼ねてハルカスに足を運んだ。
百貨店部分の入場者数はまずまずだと感じる。
あまり閑散としたという印象はなく、平日の昼間でもそれなりにお客がいる。
平日の夕方もそれなりの賑わいがある。

一方、ソラハは平日の夕方や休日でも百貨店ゾーンに比べると客入りが少ない。
人ごみが苦手な筆者からすると非常に快適な買い物環境だといえる。

それにしてもなぜ「若い女性向け」というもっとも困難なターゲット設定をしてしまったのだろうか。

同じ天王寺エリアで、ターゲット設定が同様に失敗していると感じるのが「MIO プラザ館」である。
こちらはJR天王寺駅のすぐ上である。
2階はなぜかファミリー向けを意識したテナント構成となっている。

しかし、さっそく、アバハウスの「マイセルフ」が撤退しており、その跡地に「チャオパニックティピー」が入店している。

MIOプラザ館の面積は狭い。
そしてファミリー向けなら陸橋のすぐ向こうに大型ショッピングセンターの「キューズモール」が存在しており、こちらの方が品ぞろえが圧倒的に豊富である。
まともに勝負しても勝ち目は薄い。

それにしてもキューズモールにもMIOプラザ館にも入店している「チャオパニックティピー」は大丈夫なのだろうか。もしかしたらドミナント戦略なのだろうか。

ソラハも同じである。

若い女性向けというならキューズモールにもあるし、天王寺MIO本館もある。
キューズモールには低価格ブランドがそろっているし、MIO本館は有名ブランドをそろえている。

人口と可処分所得が少ない若い女性層がそれほどたくさんの商業施設で買い回るだろうか。
そういう状況はなかなかありえないのではないか。

このターゲット設定の失敗は、鉄道(近鉄、JR)本体の経営陣の判断ミスではないか。
片方は「ファッション=若者」というステレオタイプな発想、もう片方は「ファミリー向けで成功したい」という根拠なき願望、を反映しているのではないかと感じる。

思い込みと願望だけのターゲット設定というのは、これ以外でもよく見られる。
そしてそれが成功した試しは限りなく少ない。

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