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南充浩 オフィシャルブログ

ジャムの法則

2014年8月7日 未分類 0

 8月に入って、久しぶりに売り場を見て歩いた。
昨年の同時期に比べると目ぼしい商品はほとんどない。
売れ残るべくして売れ残ったと見える商品が多い。在庫調整が進んだのだろうか?各店ともセールの売れ残り品が少ないと感じられた。

何も買う物がないかな~?

なんて思ってぶらぶら店を見ていたら、ライトオンでリーバイスのジーンズが30%オフになっていた。
10000円の商品が7000円(税抜)になっている。
11000円のは7700円である。

ストレッチ素材の細身で、ワンウォッシュのジーンズがあれば買おうと思ってモゾモゾと掘り返していたら、それらしいのが2つ見つかった。

一つは513
もう一つは511

ちょっと変わったデザインの511なので今春夏物ではないのかもしれない。

どちらを買おうかちょっと迷った。
というのは、513には「スリムストレートフィット」と書いてある。
511には「スリムフィット」と書いてある。

さて、みなさんにお尋ねしたいが「スリムストレートフィット」と「スリムフィット」の違いが判る方がおられるだろうか?
筆者はこの表記だけでは区別は難しいと感じた。

そこで、両方のジーンズを重ね合わせた。
どちらが細いのかを調べるためである。
そうすると、511の方が513よりも細いことが分かった。おそらく太ももの部分で2センチ弱細いのではないかと見えた。

筆者の太ももは太いので、513の31インチを試着したところピッタリだったのでこれを購入した。
これよりも太ももが細い511ではピチピチになると考えられたからである。
7000円(税抜)で購入できた。

さて、自宅に戻ってリーバイスのHPで商品のラインナップを見てみた。
そうすると、
510スキニーというモデルがある。
511はポケットのデザインなどがシンプルベーシックに戻っていたので、ライトオンに並んでいたのは今春夏物以前の商品だろうと推測できる。

511がスリムフィット
513がスリムストレートフィット

というラインナップである。

細身だけで3シルエットも存在する。
とくにわかりにくいのが511と513の違いである。

ジーンズナショナルブランドの不振が叫ばれて久しい。
理由は様々あるだろう。
ジーンズが非トレンドアイテムになったことも大きいだろう。

しかし、筆者は似たようなシルエットを多品番に分けて発売しすぎたこともジーンズナショナルブランドの不振の一因ではないかと感じる。

511と513をわざわざ分ける必要があったのだろうか??
似たような形とシルエットで選択肢が増えれば、消費者は利便性を感じるのではなく、消費者は選びにくくなって逆に不便さを感じる。
これなら細身をどちらか1つに統一すべきではないか。

よく「ジャムの法則」ということが言われる。
ジャムの選択肢を増やせば増やすほど、お客は選びにくくなってしまって売れ行き不振になると言われている。
反対に数種類ほどに品番を絞った方がジャムの売れ行きは伸びるとされている。

たまたま売り場で見かけたリーバイスの話をしているが、似たようなシルエットで多品番化するという手法はリーバイスだけのものではない。ジーンズナショナルブランド各社に共通する手法である。

ナショナルブランド各社は細かな消費者ニーズに対応するために品番数を増やしてきたのだろう。
しかし、それが逆に消費者に選びにくさを提供することになっていたかもしれない。
そして選びにくいからジーンズ離れを起こす。

ユニクロのジーンズは4シルエットである。
無印良品も4シルエット。

せいぜい4シルエットか5シルエットで十分ではないのか。

スキニー、スリム、レギュラー、リラックスにブーツカットを加えて5シルエットがベストではないだろうか。
ユニクロのジーンズが今春夏売れた要因は、低価格、販促効果などが考えられるが、選択肢のわかりやすさということもあったのではないか。

たとえば、45歳の男性がジーンズでも買おうかと思った場合、4シルエットのユニクロと8シルエット前後あるナショナルブランドとどちらが選びやすいと感じるだろうか?

多くの人がユニクロの方が選びやすいと感じるのではないか。

たくさんの消費者ニーズに対応するために恐ろしく多品番化するという手法をナショナルブランド各社はそろそろ卒業しなくてはならないだろう。

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