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南充浩 オフィシャルブログ

人が最初に認識できるのは色・柄

2014年5月9日 未分類 0

 以前も書いたことがあるのだが、日本の生地メーカーは色柄を重要視していないように見える。
実際は重要視しているのだろうが、色柄を専門に考える機能を持っていないメーカーが多いのが現状である。

展示会などにお邪魔すると「この風合いが良いでしょう?」とか「この肌触りが良いでしょう?」という接客を受ける。

しかし、ちょっと考えてもらいたい。

人間が一番遠くから知覚できるのは、色、柄、である。
それと形、シルエットである。

ヴィジュアルマーチャンダイジング(VMD)では、

4~8メートル先から判別できるのは「色」とされている。

その次が2~4メートルの距離で「デザイン」である。

その次が1~2メートルの距離で「素材感」、45センチ以下の距離で「着心地」となる。

とされている。

これを生地に当てはめると、「素材感」=「風合い」「表面感」だろうし、「着心地」=「肌触り」ということになる。

だから、展示会場の入り口でいきなり「風合い」だとか「肌触り」だとか言われても、展示会来場者は興味すらその時点では持てていないのが実情である。

かなり以前、「日本には色柄を売り物にしたテキスタイルブランドが少ないね」という話題になった。
完全にゼロではないがかなり少ない。

反対に北欧と呼ばれる地域では、「マリメッコ」に代表される色柄を売り物にしたテキスタイルブランドがある。
さらに付け加えると、それらは共通するテイストを持ち合わせており、異なるブランドでも集合すると「北欧らしい何か」を感じさせる。

筆者が「北欧テイスト」に感じる特徴は白地に鮮やかな色彩でクッキリとした柄が描かれているところである。

で、国内にも生地メーカーはたくさんあるが、生地ブランドとして確立できているところは少ない。

日本のテキスタイルは海外で高い評価を受けているとよく耳にする。
しかし、その多くは無地が主流である。

けれども無地での打ち出しには限界がある。
また一見して他社、他国との区別も難しい。
さらに付け加えるなら他社、他国からも真似されやすい。

そういうわけで、グラフィックによる色柄を前面に打ち出した国内テキスタイルブランドが、もっと増えなくてはならないのではないかと考えている。

しかし、現在のところ、色柄を主体としたテキスタイルブランドが生まれる気配はない。
偏見かもしれないが、風合いや表面感をひたすら追求し続けている生地メーカーがいまだに多いように感じる。

いかにも「日本らしい」色柄を持ったテキスタイルブランドが多数生まれれば、国産生地はさらに海外で評価を高めるのではないかと思うのだが。

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