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南充浩 オフィシャルブログ

なぜ指摘しない?

2014年2月12日 未分類 0

 「アースミュージック&エコロジー」「イーハイフンワールドギャラリー」などを展開するクロスカンパニーの売上高が1000億円を突破し、来春には東証1部への上場を予定していることから、最近、メディアへの露出がさらに増している。

94年創業なので、わずか20年で売上高1000億円を突破したことはすごいことである。

低迷が続くアパレル業界において、期待を集めることも当然であろう。
最近はその手腕をほめたたえる記事が業界紙のみならず一般紙や経済誌にも掲載されているが、個人的にもっとも冷静に分析していると感じたのは、週刊ポストの記事である。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140211-00000006-pseven-bus_all

では、このままクロスカンパニーがしまむらを凌ぐ規模まで成長を遂げ、カジュアル衣料専門店の勢力図を一変させてしまうのかといえば、そう甘い業界ではない。

「しまむらが自前で集荷・物流機能を構築したり、ユニクロが完全SPA(製造小売り)のシステムを作り上げたりしたように、カジュアル衣料のトップ企業はファッションを一大産業に育て上げ、経営基盤をより強固にしています。

 クロスカンパニーも早くからSPA業態を取り入れているようですが、しまむらやユニクロに比べればMD(商品化計画)対応でやや安定感に欠ける面はあります」(月泉氏)

「頻繁に行うタイムセールで在庫を処分し、値下げに走る売り方は危うい」(前出・ファッション誌編集長)との指摘もある中、一辺倒な拡大路線は思いもよらずブランド価値を毀損しかねない。

とのことである。
しまむらとクロスカンパニーを対比させる意図はよくわからないが、タイムセールに頼った販売方法への懸念があるのはこの記事の指摘する通りである。

定期的にタイムセールを行うことは広く知られており、そうなると定価で買うお客が減ることは当然である。
必ず週末値引きを行うユニクロにおいて平日に定価で買うお客が少ないのと同じ理屈である。
同じ商品なら人間は必ず安い方で買う。「定期的に安売りするブランド」というイメージも定着しつつある。

また、某有名コンサルタントもご自身のブログにおいて「新店出店によって売り上げ規模を拡大しているカジュアルチェーン店があるが既存店売上高は前年比を割り続けている」という趣旨のことを何度かお書きになっているが、筆者はこのチェーン店はクロスカンパニーではないのかと推測している次第だ。

全分野において完全なる会社やブランドなど存在しないのは承知しているが、クロスカンパニーを持ち上げる報道ばかりでは危ういのではないか。

とくに業界紙がなぜ週刊ポスト程度の指摘すらしないのかが疑問である。
久しぶりに登場したアパレル業界のヒーローであることは異論はないが、この分野においてプロではない週刊ポストが指摘するくらいの問題点は業界紙なら当然気付いていると考えられる。
にもかかわらず、指摘記事がなく賛美記事に終始しているのは、いささか恣意的に過ぎるのではないか。

個人的に気になることをもう少し挙げておくと、「アースミュージック&エコロジー」と「イーハイフンワールドギャラリー」の区別がつきにくいという印象を受ける。

また、かつて大いに注目を集めた「アースミュージック&エコロジー」のテレビCMだが最近は話題性に欠ける。
5年くらい前まではユニクロなどの一部を除いて、アパレル企業やブランドのテレビCMはめっきり減っていたが、現在は復活している。その復活のきっかけとなったのが、「アースミュージック&エコロジー」のテレビCMの大ヒットだったのではないかと考えている。

それほどに注目を集めたテレビCMだが最近はマンネリ化したと感じられる。

2020年には売上高2000億円を目標に掲げており、拡大路線をひた走る同社だが、業界紙も含めたメディアはそのビジネスモデルの善し悪しについては冷静な論評が求められるのではないか。

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