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南充浩 オフィシャルブログ

1月もユニクロは前年割れになる

2011年1月24日 売り場探訪 0


先週、先々週と大阪市内のユニクロを3店舗廻ってみた。心斎橋店、なんばマルイ店、それから動物園前店である。

心斎橋店と動物園前店は、1月14日時点で店内の8割が春物で、心斎橋店にはドライ半そでポロシャツやリネンシャツなどの夏物が早くも入荷していた。
なんばマルイ店は、春物が6割程度とやや少なめで、ラムウールセーターなどの冬物がまだそれなりに残っていた。

異様に早い春物への切り替えを見ていて「1月の売上高もユニクロは前年割れ」だと推測している。

衣料品業界には気温や用途に応じた「実需」の部分と、実用部分を度外視した「ファッション」の部分にわかれるが、ユニクロは前者の「実需」のためのブランドである。
一方、「ファッション」として挙げられるのは、ルイ・ヴィトンであり、シャネルでありコム・デ・ギャルソンでありという高級ラグジュアリーブランドや高級デザイナーズブランドになる。

イッセイミヤケの前社長、太田伸之さんのブログを定期的に拝読しており、いつも勉強させていただいている。先日、1月20日付けのブログで春物の立ち上がりについて書いておられる。

http://plaza.rakuten.co.jp/tribeca512/diary/201101200000/

イッセイでは1月初旬から春物が全面的に立ち上がり、店頭のディスプレイも春物に切り替わっているようだ。1月初旬といえばバーゲン開始直後なので、かなり早い。
そして春物について次のように書いておられる。

このところ都内でも体感温度ゼロ度に近い寒さ、そんな中で春物を買っていただくには、お客様の心を揺さぶって「欲しいっ!」と感じてもらわねば。マネキンの脚1つとっても、春らしい明色のストッキングやタイツを組み合わせてチラリと春の到来を強調すべきでしょう。

とのことである。
イッセイというブランドだからこそ、極寒の中で「春物」を立ち上げて販売できるし、それを期待している客層がほとんどであろう。

しかし、ユニクロはそういうブランドなのだろうか?そういう客層が数多くいるのだろうか?身の回りのユニクロ店舗を見れば見るほど、大衆向けブランドであり、イッセイのような客層は数少ない。体感温度ゼロ度に近い状況では、冬物が求められる。
「寒いけれど、春の立ち上がりの新商品が欲しいわ」と考えるような客層はユニクロにはほとんどいない。

しかも、ユニクロよりも感度の高いお客が多いとされるビームスやユナイテッドアローズなどの店舗は、店内に春物が入荷されているものの、打ち出しはまだまだ「冬物最終セール」である。ビームスやユナイテッドアローズですら、こうなのにユニクロがそれらを飛び越えて季節先取りをする意味がわからない。
このままの商品展開が進めば2月もユニクロは前年割れを続けるだろう。

このブログは写真が少ないとのご指摘があるので、「シャネル」のディスプレイを貼り付けておく。春らしいライトオンスデニムのコーディネイトだが、ヘソ出しとミニスカートがいかにも寒々しい。これでも「欲しい」と思わせるのはブランドのステイタス性があればこそだろう。これと同じ提案をユニクロがしているのはいかがなものだろうか?

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