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南充浩 オフィシャルブログ

知られないことは存在しないのと同じ扱いを受ける

2013年11月13日 未分類 0

 知られないことは存在しないことと同じ。
乱暴に聞こえるかもしれないが、販促・プロモーションにおいてはまさしく真実である。

会社の規模がそこそこ大きい割にあまり知名度のない肌着メーカーがある。
自社ブランドもあるがもちろん知られていない。

しかし、商品開発は活発で、精度も高い。

この会社が極薄の裏ガーゼ・表パイルの生地をプランニングし、製造を今治産地に依頼した。
この生地で作った肌着が展示会で超大手量販店のほぼ全店の受注を獲得した。
まことにめでたい。

けれどもである。

店頭に並ぶ際には量販店のPBのネームタグが付けられ、今治産地のみが告知されることになるそうだ。
これではまるで「量販店×今治タオル」のコラボレーションのようである。
おそらく一般消費者の目にはそのように映るだろう。

さらに気の毒なことには、この商品には元々肌着メーカーの自社ブランド名も付けられているのだが、それは誰にも知られることがない。売り場では量販店PBのネームタグに付け替えられるからだ。

さて、なぜこのようなことになったのかというと会社名とそのブランド名の知名度が低いからだ。
量販店側とすると、知名度の低いブランド名を付けたところで、売上高には貢献しないと判断する。
知名度が高まっている今治タオルのみをアピールした方が良いということになる。
これはこれで、論理的だ。

会社やブランドの知名度が低いとこのような扱いになる。
これではまるで「存在していない」のと同じではないか。すくなくともその量販店で買い物をする消費者にとってはその会社は存在していると認識されることはない。

だから自社の発信が必要なのである。
「ワシは知る人ぞ知るの存在でええねん」とおっしゃる方はそれでも良いかもしれないが、そうではないと思うなら自社の発信が必要である。
「だれか目利きが見つけてくれて発信してくれる」なんてことはめったにない。多分、ゴルフでホールインワンするくらいの確率でしかない。

会社の知名度を高めるための手段として広告というものがある。
広告を出稿するためにはお金が必要だ。
月刊のファッション雑誌だと部数によっても広告料金の高低はあるが、1Pで100万円くらいだと認識しておけばまず間違いはない。
なら、1200万円を費やして12カ月広告を出稿し続けるつもりがあるのか?
思い出したかのように年に1回程度広告を出したところであまり効果はない。その100万円でパーティーでも開催した方がよほど有益だろう。

インターネットのすべてが好きで有効だとは思わないが、低コストで発信するならインターネット、SNSを使うのが効率的だろう。
じゃあ、今からSNSを開設すれば来月からすぐに売上高が増えて、知名度が飛躍的に高まるかというとそんなことはない。
ツイッターでもフェイスブックでもブログでも最初は何ヶ月間もほとんど反応がない。
ある程度の反応が出るまでには少なくとも3年くらいは必要だろう。しかもほぼ毎日更新をしたとしてもそのくらいの時間はかかる。

おそらく先の肌着メーカーに勧めても「そんな気の長い話には付き合えない」ということになるだろうが、他社はやっているのである。このまま何もやらなければますます差は広がるばかりだ。

自社がプランニングして開発したオリジナル商品が「量販店×今治タオル」のコラボレーションとして扱われて、それで満足なのだろうか?

そして、実は日本の繊維業界には知名度がなかったばかりにそういう扱いを受けた企業やブランドが山ほどある。だから自社の発信が重要であることを改めて強調したい。

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