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南充浩 オフィシャルブログ

早晩、淘汰が始まる

2013年10月30日 未分類 0

 先日、ごく小規模な産地企業ビジネスマッチングイベントを覗いた。
生地メーカー、染色工場などが出展していた。出展社は10数社あり、そのうちの3分の1くらいの企業がストールを出展していた。

今回はこのイベントの良し悪しや是非を問いたいわけではない。

産地企業の製造したオリジナルストールというのは、すっかりありふれたアイテムとなってしまったと感じる。
見る立場からしてもちょっと食傷気味である。

これは早晩淘汰が始まる。
もちろん他の識者がおっしゃるように淘汰されるのが市場の原則であるからそれは構わない。
ただ、これから参入しようという企業があるなら、相当の仕掛けとプランニングとデザインセンスがなければ後発組が易々と勝ち残れる環境でなくなったのは確かである。

産地製造業がストールに取り組みやすいのは型紙が必要なく、縫製仕様も簡単だからである。
おまけに色柄や表面感だけで勝負できる要素が大きい。

こういうアイテムはかつて、和装の帯だった。
ひたすら決められた幅と長さで織ればよかった。問題は色柄と生地の表面感である。
和装が廃れて、注目されたのがネクタイだ。

ネクタイ製造業に転身した西陣の企業も多かった。何せ西陣ネクタイという社名の企業があるほどだ。
ネクタイも帯ほどではないが、決まった幅と長さで織ればそれで済んだ。

しかし、ネクタイも衰退アイテムとなった。

次に登場したのストールである。

中期的にはストールというアイテムはそれなりに需要が継続するだろうと考えている。
今春夏はセーターのプロデューサー巻きが一大ブームとなりストール需要は減少した。しかし、プロデューサー巻きのトレンドも長続きしないと予測する人もいる。
ブームは去るかもしれないが、あのスタイルは一定数残るのではないかと筆者は推測する。

まあ、プロデューサー巻きをする人が気分によってストールを巻くスタイルと使い分けるようになるのではないかとも思う。

ストールを巻くスタイルも今後一定数は残りそうなので、市場としては存続しそうだ。
けれどもそこに参加するプレーヤーの数はこの3年間で飛躍的に増えた。
また価格別で見ると、低価格SPAブランドには1000~3000円程度の価格で見栄えもそれなりにマシなストールが山ほど存在している。
一方、2万円を越えるような超高額品は有名ラグジュアリーブランドの独壇場になるだろう。

今後、大多数の消費者が求めるのは、国内製造や伝統技法をアレンジしたという付加価値がありながら、それでいて庶民にも変える中価格帯の商品になると思われる。

国内産地企業の生産規模から考えても低価格帯は無理だし、かと言ってブランド力、販促プロモーション能力に劣っているから超高額品も無理である。必然的に中価格帯へ殺到せざるをえない。

中価格帯は恐ろしく競争が激化するだろう。

今から参入する産地企業はそういう状況を想定する必要がある。
軽い気持ちで新規参入するなら必ず痛い目に合う。

先日来、産地企業によるストールの取り組みについて何度も書いているのは、新規参入するには相当の覚悟と戦略が必要だと言いたいためである。

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