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南充浩 オフィシャルブログ

気持ちはわかるが・・・・・・・・・

2013年9月11日 未分類 0

 先日、某カットソーメーカーが自社製品で直営店を模索していると耳にした。
このメーカーは自家工場を持っており、いわば本当のメーカーである。

そのプランに知り合いの知り合いが携わっているのだが、ちょっとメーカー側の要望は実状にそぐわないと感じられる。

自社製品だけで直営店をオープンしたいそうなのだが、カットソーのみのショップはちょっと厳しい。
Tシャツショップというと「グラニフ」が思い浮かぶのだが、ああいう店作りをしないと定期的に買いに来てもらえる店にはならない。
合理的に考えれば、自社のカットソーを中心に他社製品のボトムスや雑貨を仕入れて店作りを行うのが最も効果的であろう。

グラニフのようなグラフィックTシャツならコレクション性もあるため、まだ単品ショップが成り立ちやすい。しかし、そのグラニフですら、ベストや布帛シャツなども店頭に並べており、徐々に単品ショップではなくなりつつある。

レディースストレッチパンツ単品のショップとして名高い「ビースリー」だってストッキングやソックスなども置き始めており、これもまた単純な単品ショップではなくなりつつある。

このような現状を経営者が冷静に見ているなら、「自社カットソーのみの単品直営店」などという構想は浮かんでこないと思うのだが。

ちなみにこの企業のサイトを見ると、あまり出来の良いサイトではなく、商品も全型が見られるというわけでもないのだが、アップされている商品を見る限りにおいて、レディースのナチュラル・フレンチ系のカットソーが主体のようだ。
例えば、無地のナチュラルテイストのカットソー、マリンボーダー柄のフレンチテイストのカットソーの単品ショップが果たして売れるだろうか?しかもレディースで。

「ビースリー」が時間をかけて広がった理由の一つにメイン商材が「ボトムス」という要素があるように感じる。
ストレッチパンツはトップスよりもフィット感が求められ、試着購入してみてそのパターン(型紙)が自分にフィットしたと感じたなら、その人はショップのリピーターになりやすい。
黒いパンツを買って良かったから、色違いでベージュとピンクも買う。そういう購買行動に結びつきやすい。

果たしてカットソーはどうだろうか?
トップスにストレッチパンツ並みのフィット感を求める女性客はそう多くはないだろうし、カットソー自体が布帛商材よりも伸び縮みがしやすい。ということは、厳密なサイズ感はあまり必要ないことになる。
少々小さくてもカットソーが伸びるから着用できる。

なら、よほどデザイン性に優れるか、機能性に優れるか、色柄に優れるかという要素が必要となるが、サイトを見る限り、知人から聞く限りにおいては、それほどに飛びぬけた要素は持っていない。

もちろん、これらの要素が一つもないが、ブランド力に優れているという場合もそれなりに売れると思うが、残念ながらブランド力も無い。むしろ無名に分類されてしまう。

となると、自社製品(レディースカットソー)のみの直営店展開というのは、絵に描いた餅に終わってしまう可能性が非常に高い。絵に描いた時点でやめていれば損失はほとんどないに等しいが、もし、本当にショップを出店してしまえば、その損失はかなり大きな物になる。

気持ちはわかるが、経営者には今一度冷静な判断を求めたい。

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