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南充浩 オフィシャルブログ

何か妙手はないものか?

2013年6月21日 未分類 0

 国産ジーンズを欧米に輸出しようという動きがあるが、関税などの内外価格差を考えると1万円台後半以上の商品は高額になりすぎてなかなか厳しいのではないかと思う。

だいたい国内価格の2倍強以上になることが多いため、為替レートにもよるが関税やその他経費が加算されて1万9000円のジーンズは5万円弱という現地価格になる。2万数千円なら7万円弱だろう。

この価格帯で勝負するとなると相当に厳しい。
イギリスに輸出したが、現地価格が7万円相当にもなり、あえなく撤退した国産ブランドの例もある。
もう10年以上も前の話になるが。

何よりもその価格帯は欧米のラグジュアリーブランドのジーンズと競合することになる。
国産のジーンズブランドの場合、トータルアイテム化しているブランドが少なく、単品志向での商品開発が主体である。ジーンズもしくはカジュアルパンツのみの単品ブランドがトータルイメージを打ち出す欧米ラグジュアリ―ブランドと競合して勝てるのだろうか。どうも勝算は低いように思える。

さらに欧米の各ラグジュアリーブランドはすでに長期間ビジネスを展開してきており、ブランドイメージが確立されている。そこにいくら「ジャパンデニム」でそれなりに名高いとはいえ、日本からやってきた「馴染みのないブランド」が同等の高価格商品を販売してもそう易々とは売れないだろう。

「デンハム」というオランダ発のジーンズブランドが日本に上陸している。
日本の誇るデニム生地メーカー、カイハラのデニム生地を使用したジーンズが8万円前後で販売されている。
しかし、取材をしてみると、実際の売れ筋は1万円台半ば~1万円台後半の商品群だという。
8万円の商品はそれほど数が出るわけではない。
ブランド側もこの商品をそれほど大量に売るつもりはなさそうだ。
この辺りの割り切りがビジネス的に優れていると感じる。「エエもんやから高くても売れるで」と考えてしまう国内の製造系ブランドとは大違いである。

舶来物、とくに欧米物が大好きな日本人ですら、8万円のジーンズはなかなか手が出せない。
中心価格はやはり1万円台半ば~2万円台前半というところだろう。
おそらく欧米でも同じような売れ行きになるのではないだろうか。
こう考えると、日本のジーンズブランドは、現地価格で2万円弱になるようにするための工夫が何か必要となるのではないか。

米国の西海岸では200ドルジーンズの市場が相変わらず活況だと耳にする。
活況だといっても価格は200ドルなわけで、500ドルとか800ドルではないということである。
1ドル=100円だと換算すると、200ドルだと2万円になる。
高額ジーンズ市場がそれなりに活況な米国西海岸でもボリュームが2万円であるなら、他国は推して知るべしだろう。

さて、日本のジーンズブランドを現地価格200ドル台に抑える妙手は何かないものだろうか?

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