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南充浩 オフィシャルブログ

POPの活用法が遅れている業界

2013年6月6日 未分類 0

 繊維・アパレル業界でPOPの重要性を説かれる方は少ないという印象がある。
POPが禁止されている百貨店系のアパレルならまだしも、POPが大いに活用されるべき量販店系アパレルでもそれほど重要視されていない。

「Tシャツ 1900円」
「セーター 1900円」

とのみ記されたPOPがざらに転がっている。

販促系の業界ではこんなPOPは落第点である。
そのTシャツのセールスポイントはどこか?そのTシャツの魅力は何か?を伝えなくてはならない。
物の名称と値段ならそれこそ値札を見ればわかることであるし、今時「Tシャツ 1900円」と大声で言われたところで、消費者にはまったくインパクトを与えることはできない。
「Tシャツ 190円」くらいならインパクトは大きいだろうが。

繊維・アパレル系だと丸安毛糸やレディースニットブランド「フラムクリップ」を展開するピーアイがPOPに熱心に取り組んでいるが、彼らは販促系のセミナーに通って開眼したので、純粋な繊維・アパレル系のみで育った思考形態とは異なる。

そういうのが筆者の業界に対する印象である。

そうした中でVMDコンサルタントの深沢智浩さんのブログを拝読していたところ、POPの重要性を説いておられるエントリーがあった。
POPに言及される方は本当に珍しいと感じるので、ちょっとご紹介したい。

POP品質
http://www.apalog.com/fukasawa/archive/690

店舗内のPOPの役割って言うのは本当に大きなものだと思います。

私は 言葉を話さない店舗スタッフであったり

POPの作成自体が、第二の接客なんて言ったりしているのですが

そんな私自身がPOPによるトラブルに巻き込まれることとなりました。

内容としては、ある高額な商品を私自身が購入した際に、スタッフは気を利かせてくれて

POPには記されていないグレードの( * 見た目は一緒なんです )商品を勧めてくれて その商品を私が購入したんですが

勧め、そして購入したのは店頭のPOPには記されていないグレードの商品であったことの説明不足によって、

後日 同じ店に行った際に、その時 購入したと勘違いしていた商品の価格が

あまりにも安く売り出されていたためにショックを受けてしまうということがあったんです。

(中略)

アパレルや百貨店系なんかですと、いまだに

『価格が分かれば良い 内容成分が見えれば良い 小さくても付いていれば良い

もしくは 付けなくてもタグを見れば分かるでしょ?』

なんて言う方も居ますし、POPを設置すると売場が乱れるなんて言う人もいます。

じゃーーその分 一個一個 たとえ買わなくても嫌な顔せず接客するのかとおもうとそんな分けない。

結局、POPを付けない 書かない 作らないの言い訳をする人って

購買者の立場に立って 購買時に必要な情報を伝える方法を、考える事を止めてしまった人なんだろうなと思うんです。

私も化粧品の専門店指導に行くと、『もう少しPOPを剥がしてみませんか?』

なんて言う事が多いんですが、

ただ 付ければ言い訳じゃなく、言いたい事を全て書けば言い訳じゃない

紙一枚の情報ですが、

見た目の印象 

文字内容

そして主役となる商品との位置関係

そして設置方法を一つ一つ考えて

その上で

『どう伝わるか?』

これを考えることがPOPを作るという事なんだと思います。

とのことである。

販促系のセミナーで耳にする言い回しとは幾分異なるが、主旨は同じであるといえる。
「接客販売に注力してますっ!!!」といくら力んでみても、声をかけてくれたお客全員に対して十分な接客ができるはずもない。2人同時に呼びとめられることもあるだろう。
そうした場合、ちゃんとしたPOPを付けていれば、待っている間にお客はその説明を読んで商品の概要くらいは把握できる。
しかしそのPOPが「Tシャツ 1900円」だった場合は、読んで待ってもらうなどは望むべくもない。

かといって、深沢さんが指摘されているようにPOPの付けすぎも良くない。見た目も汚らしいし、逆に印象に残りにくくなる。
ドラッグストアやディスカウントストアならまだしも、とくにそれこそ「ファッション衣料」を販売する店舗ならなおさらだろう。

個人的には「どう伝わるか?」という視点も大事だが、そこに加えて店側・ブランド側が「何を伝えたいか?」という視点も重要ではないかと考える。

アパレル・ファッション系の売り場作りでは、やれ「カラーパレット」だとか、やれ「クロスコーディネイト」だとか、やれ「MDサイクルが云々」だとかいうことばかりがクローズアップされがちだが、そういうものは一般消費者に伝わっているのだろうか?筆者は感受性が乏しいのでそれらの理論のみで構築された売り場を見てもその良さをあまり感じることはできない。
それよりも適切にセールスポイントと特徴が書かれたPOPがあるほうが売り場を理解しやすい。
もちろん、付け方のバランスというものはあるにしてもだ。

繊維・アパレル系の方は一度販促業界のセミナーでも受講されてはどうだろうか?

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