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南充浩 オフィシャルブログ

1型10万枚がボーダーライン

2013年5月10日 未分類 0

 先日、齊藤孝浩さん著の「人気店はバーゲンセールに頼らない」(中公新書ラクレ)を拝読した。
さすがは良く調べてお書きになられていると感服した。

興味深い解説はいくつもあったのだが、その中の1つを紹介したい。

98年から2000年にかけてユニクロのフリースが爆発的に売れたことがある。
筆者も試しに買ってみたが当時のフリースはパターンが大きすぎたのと、想像していたほどの暖かさではなかったので、すぐさま知人にプレゼントした。
無理をして着る必要性をまるで感じなかったからだ。

ただし、近所の食品スーパーに出かけた際にはそのフリースを着用した老若男女をイヤというほど見た。

時は流れて2011年秋冬ごろからウルトラライトダウンを着用した老若男女をけっこう見かけるようになった。
心斎橋筋商店街を南から北まで歩くと、真冬だと10人以上の着用者を優に見ることができた。
もちろん2012年秋冬は見かける人数はもっと増えていた。

いったいどれほどの枚数を販売すればそこまで「ユニかぶり」現象になるのだろうか?

この本によると、
「根拠はさだかではないものの10万枚作ると同じ服を着た人を街で見かける」とおっしゃっている。

これは参考になる一つの目安であろう。

いつも書くことだが、生産枚数が多ければ多いほど、1枚当たりの生産コストは安くなる。
100枚よりは1000枚、1000枚よりは1万枚、1万枚よりは10万枚という具合だ。

ユニクロのように低価格で販売しようと考えるなら生産枚数は多いにこしたことはない。
できれば一気に100万枚くらい製造したいところだろう。

気持ちはわかるが1型10万枚弱にとどめるのが正解なのではないだろうか。
これがもし、超高級ブランドなら話は別だ。
10万枚製造してようがそれを所有することはステイタスになるからだ。

けれども低価格SPAブランドはそうではない。
ユニかぶりした場合、「ああ、あの人も3990円のジャケットを着ているのね。もしかしたらわたしと同じで週末バーゲンで1990円に値下げされた時に買ったのかもしれない」と思うだろう。少なくとも筆者はそう思う。

フリースやウルトラライトダウンはアウターであるため目立ちやすいが、実はその下に着用しているシャツやセーター、カットソーなどもけっこうユニかぶりしている場合が多い。

ファッションとは勝手なものであまりに人と違いすぎるとコスプレイヤーの世界になるが、一緒でありすぎても制服のようでつまらない。

ユニクロが売上高何兆円構想をどのように達成するかはしらない。
まあ、適当に有力アパレルを何社か買収すれば額面上は容易に達成できるだろう。

けれどもそういう手段ではなく、既存店舗や新店出店で売上高を着実に伸ばしていくのであれば、とくにアウター類は1型10万枚というラインを大きく踏み越えないことが重要ではないだろうか。

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