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南充浩 オフィシャルブログ

アートな雰囲気だけの広告www

2013年4月30日 未分類 0

 広報・広告宣伝・販促の業務以外の方には広告代理店というのがどういう役割を果たしているのかよくわからないのではないだろうか。
筆者は二度ほど広報という部門に配属されたことがあるのだが、その際に何社かの中小広告代理店との取り引きがあった。現在も個人的に仲良くしている広告代理店の人間もいる。
広報担当したのは1度目は今は亡きTシャツアパレルで、もう1度は某専門学校でだ。
両方とも広告出稿の対象はファッション雑誌だった。(もちろんそれ以外の媒体もあった)

ファッション雑誌に広告を出稿するという作業で広告代理店が登場するのだが、正直、「広告代理店無しでも大丈夫じゃないか?」と思ったことが何度もあった。

広告代理店の手数料はだいたい20%が相場である。
100万円の雑誌広告を出せば、20万円が広告代理店のマージンということになる。
代理店を外せば単純に20万円の経費を節約できるのではないかと当時思った。

広告代理店が年度末に「広告プラン」なるものを持参する。
何月にどの雑誌に掲載するかというプランをまとめた一覧表だ。
そして各雑誌の部数などが記された媒体資料と一緒に提出する。
しかし、その程度の提案なら別にそちらから受けずとも、各雑誌社に問い合わせてこちらが勝手にプランを作っても良いのではないかとも感じた。

雑誌に広告を出すことでどのような具体的効果があるのかを説明してくれた営業マンは経験上では皆無だ。

さて、こんな疑問を感じつつ、今も暮らしていたのだが先日、広告代理店を厳しく指摘する記事を拝読した。

経営者よ、広告代理店に“カモ”られるな!
大成功する「広告代理店との付き合い方」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130419/246959/?P=1

まさに筆者が感じていた疑問について具体例を挙げて説明してくれている。
近年にない良記事である。

この筆者はウェブ通販のマーケティングの専門のようだが、文章を読んでいくと、筆者が感じていた紙媒体への広告代理店のかかわり方に対する疑問に共通する部分も多々あった。
以下に引用しつつ進める。詳しく知りたい方は原文を全読することをお薦めする。

広告代理店の言われるがままになけなしのお金を支払い、広告を投下してみるが、レスポンスがほとんど無い、売り上げが上がらない、費用対効果も最悪……という状態になってしまう。

なぜこういうことが起きてしまうのか?

その理由はズバリ、

「広告代理店で働く人間の90%以上が、商品を売るプロではない」から。

さらに広告代理店は広告主にいかに多くの広告費をつぎ込んでもらうかによって売り上げが決まるわけだから、テレビだの新聞だのネットだの媒体(広告枠)をどんどん提案するプロなのである。

もっというと、

 「広告代理店で働く人間の90%以上が、広告の費用対効果を考えたことがない」から。

まさかと思っているかもしれない。でもためしに身近な広告代理店に「ご提案の広告をやったら、ウチの売り上げはどれぐらい伸びるの?」とぜひ聞きいてみるといい。彼らの多くは押しなべて「どちらかというと、広告は商品を直接売るもんじゃないんですよ~。よい認知とイメージを作って、御社の販促をバックアップするんですよ~」と答えるでしょう……。

それに対し、「では、その認知とイメージではいつ、どんなふうに、いくらの売り上げをもたらすのかを教えてもらえる?」と聞いてみるといい。間違いなくその広告代理店は“沈黙”するだろう……。

これは筆者が広報担当時代に良く見てきた光景である。
そう、多くの広告代理店の営業マンの仕事は「広告媒体を紹介すること」なのである。
だから雑誌、新聞、ネット、テレビ、イベントとどんどん「媒体」の種類のみを持参する。

そして、これは雑誌広告やパンフレット製作に携わる広告代理店の営業マンの特徴だが、

 そもそも広告代理店の社員の90%以上は“広告”の仕事を「販売業」だとは考えていない。デザイナーのほとんどは「アート」だと考え、CMプランナーのほとんどは「エンタメ」だと考え、営業のほとんどは「クリエイティブな広告」に憧れている(笑)。

という悪癖がある。

雑誌広告の製作やタイアップ記事の製作、パンフレット製作などの場合、撮影現場やインタビュー現場に必ず営業マンは立ち会う。そして色校正が出来上がったら広告主に持参してこう言う。
「良い写真に仕上がりましたよ」とか「きれいなページに仕上がりましたよ」「なかなかアートな雰囲気のページですよ」と。

いやいや、広告主は別に写真集を作っているわけではないからアートな雰囲気もきれいなページも必要ないのだよ。

それでも営業マンの主眼は「いかにアートなページを作るか(自分は作らないけど)」に注がれていることがわかる。

ファッション雑誌には純広告とタイアップ記事広告が掲載されている。
タイアップ記事広告はその名の通り、取材記事風にそのブランドやその商品について説明文が書き込まれているものである。
一方、純広告は「アーティスティック」な写真とブランドロゴだけ。あとはブランドの連絡先とショップ一覧が掲載されているだけである。
はっきりいって、消費者からすれば純広告を見ても何のことやらさっぱりわからない。
とりあずブランド名が分かるくらいだが、それすら分からない広告も時々お目にかかる。

「アーティスティック」な雰囲気で外国人がたたずんでいて、下にブランド名だけが書かれてある広告を見て
「あ~、このクリエイティブな雰囲気の写真が気に入ったからこのブランドのセーター買うわ」という消費者はほとんど存在しないだろう。

まだタイアップ記事広告の方が分かりやすい。

手持ちのファッション雑誌から2つほど挙げてみる。
ブランド名は塗りつぶしておいた。

BlogPaint
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さて、この純広告を見て購買意欲をそそられた方がいらっしゃるだろうか。
そんな方はほとんどいないと思う。

こういうのを提案する代理店が多いのは紹介した記事が書いている通り事実である。

上の記事はなかなか面白く、広告代理店との付き合い方22カ条が続いて提案されるのだが、そろそろ長くなってきたので明日のブログに回したい。

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