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南充浩 オフィシャルブログ

ストール作りはあくまでも第一歩に過ぎない

2013年3月29日 未分類 0

 生地工場が最終製品を作る場合、もっとも作りやすいのがストールである。
複雑なパターン(型紙)も必要ないし、最低限の縫製で済む。
生地をまっすぐに切って、ほつれないように周りを縫えばお終いである。

まれに斜めにカットしたりと工夫を凝らしているブランドはあるが、それは少数派である。

その作りやすさも手伝ってか、ストールブランドはどんどん増える一方である。
とくに産地生地メーカーはストールへの参戦が目立つ。

けれども爆発的に売れたストールブランドは耳にしたことがない。
ストールを求める消費者は、ステテコを求める消費者よりも多いと推測できる。
まず、男女ともに利用することができる。
次にアウターに巻くため、ある程度の枚数が必要になる。
同じストールばかり巻いていたのではコーディネートにも合わせにくいし、着たきり雀になってしまう。
一人当たり数枚所有することが理想的だろう。

しかし、昨今のストール飽和状態を見ていると、産地生地メーカーがストール作りに全力投球することに疑問を感じる。
供給過多のため、1ブランドあたりのストール販売量はそれほど多く見込めない。
ストールは産地生地メーカー以外の総合アパレル、SPAブランドにもそろえられている。
そうなると、ストールというそれほど大きくない市場をかなりたくさんのブランドで分け合うことになる。

「だから生地メーカーはストール作りなんかやめちまえ」。
そう言いたいわけではない。

複雑なパターンも縫製も必要なく、純粋に色柄だけで勝負できるのだから、最終製品作りの第1段階としてストールを作れば良いと思う。
最終製品作りを進めて行く上で、ストールはその練習台になる。
さらに言うと、自社である程度の販売を行うわけだから、流通の勉強にもなるし、販売の勉強にもなる。

次に筆者が言いたいのは、「ストール販売に過剰な期待を抱くな」ということである。
その理由はすでに先に述べている。
多くのブランドが参入して供給過多である以上、1ブランドあたりの売上高はそれほど多くはない。
生地メーカーが立ち上げて爆発的に売れたストールブランドを、残念ながら耳にしたことがない。

今後も産地生地メーカーによるストール参戦は続くだろう。
これだけストールが供給過多になっている現状、新規参入ブランドがストール販売で莫大な利益を得るとは考えにくい。
それよりも中期的視野に立って、製品作りのノウハウを貯める、流通を覚える、店頭販売のやり方を覚える、そういう目的を掲げての戦略的第一歩とすべきだろう。

「ちょちょっと切って縫うだけで高値で売れるからストールを始める」。
こんな風にお手軽に考えている生地メーカーがあるなら、再考することをお薦めする。

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