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南充浩 オフィシャルブログ

新手法を確立できるか?

2013年3月28日 未分類 0

 先日、オープンした「天王寺MIOプラザ館」にアーバンリサーチの新業態「センスオブプレイス」の第1号店がオープンした。
世界進出を狙ったファストファッションブランドということで、オープン前から業界的には注目を集めていた。

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(センスオブプレイスの店頭ディスプレイ)

天王寺MIOプラザ館という商業施設は大阪市内でもあまり注目されておらず、まあ、今回のリニューアルオープンで集めたテナントも一部を除いて、大半以上はごくありきたりのブランドだった。

通常、新業態のお披露目では「初年度売り上げ目標」「展開店舗数の中期的目標」などがお決まりのように尋ねられる。これについて「○○億円です」と明言するブランドもあれば「ちょっと非公表です」と開示しないブランドもある。
それは企業それぞれのスタンスなので仕方がない。

今回のオープンに際して「展開店舗数の中期的目標」を尋ねたところ、明確な答えが返ってこなかった。
低価格ブランドの場合、展開店舗数を一気に増やすことで1枚当たりの製造原価を下げる。初年度10店舗、3年で30店舗くらいの出店ペースは珍しくない。

新ブランドとして10店舗くらいの店舗数になると、オリジナル商品が製造しやすくなる。
アイテムによってミニマム生産量は異なるが、ジーンズやカジュアルパンツなどは1型・サイズ込みで100枚というのが相場である。
1店舗あたりに10枚を配送することを想定すると、10店舗で計100枚となる。
いくら衣料消費不振の時代とはいえ、1店舗10枚くらいなら完売できるだろう。
そう考えると、多くの場合、1年以内に10店舗体制まで持って行くことが望ましい。

ところが、「センスオブプレイス」はそういう体制を採らないらしい。
オンライン通販が実店舗に先行して立ち上がっていることを踏まえて、「実店舗数を増やすよりもオンライン通販の販売枚数を増やすことで、総生産数量をある程度の枚数にすることを考えているのか?」と質問したところ、微妙ながらも「YES」の答えが返ってきた。

たしかに生産数量を固めるために、実店舗を増やすよりもオンライン通販の販売力を高めた方が、利益は大きくなるだろう。実店舗出店は人件費から始まって、内装工事費、什器代と、とかく費用がかかる。
出店するたびに費用が発生する。

オンライン通販の場合は、一度立ち上げてしまえばそのあたりの費用は発生しない。
売上高が増えれば増えるほど、利益は確保しやすくなる。
だからオンライン通販の販売数量を増やすことができれば、ビジネスモデルとしては理想的である。

しかし、それを実店舗と組み合わせて成功した新ブランドはあまり見たことがない。

実店舗をあまり増やすことなく、オンライン通販を伸ばすことで低価格ファストファッションが成功することは可能だろうか?
同ブランドに対して業界的に注目すべきはファッションのテイストや品ぞろえよりもこのビジネスモデルが確立できるかどうかではないか。

しばらく経過を観察してみたい。

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