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南充浩 オフィシャルブログ

官僚に事業選定能力がないとするなら・・・?

2013年2月21日 未分類 0

 先日、楽天の三木谷社長のこんな発言が掲載された。

産業競争力会議:三木谷氏「政府関与は最小限に」
http://mainichi.jp/select/news/20130208k0000m020179000c.html

成長戦略の一環として同会議で示された「国内産業を再興して競争力を抜本的に高める」との政府方針について、「(政府は)かかわらなくていい」と政府関与を最小限にすべきだとの見解を表明。「(競争力の衰えた)産業に国の金を使うのではなく、成長の見込まれる分野の研究開発への税制優遇などを優先すべきだ」と強調した。

 国内では、大手電機メーカーが経営悪化にあえいでおり、政府内の一部では、官民ファンドが工場や設備を買い取る構想も浮上している。こうした動きについて、三木谷氏は「60年代の英国病をほうふつとさせる」と批判。「雇用は守るべきだが、製造業の『会社』を守るべきではない」「うまくいかない会社は吸収、売却された方がいい」と批判した。

 また、保護する産業を政府が決定してきた歴史を振り返り「どの分野が伸びるのか官僚に分かるわけがない」と強調。「どの技術がいいのかは民間が決めること」「(産業政策は)原則自由、原則グローバル」と市場メカニズムを尊重すべきだとの考えを示した。

とのことである。

個人的には三木谷氏という経営者はあまり好きではないし、この発言を支持するつもりはない。グローバルが良いとはちっとも思わないが、正しい側面もある。

発言の中で「どの分野が伸びるのか官僚に分かるわけがない」とあるが、これには同意するものの、最終的に行政の補助金・助成金狙いである繊維・ファッション産業はどうなのだろう?と思う。
また、国が主導する「クールジャパン」という取り組みもどうなのだろう?

あれだって、最終的に国や官僚が「アニメ・漫画、ファッションなどは海外に輸出できる文化産業だ」と認識したため、国家的なプロジェクトになった。
三木谷氏の言葉を借りれば、彼らの判断が果たして正しかったのか?ということにもなる。

さて、繊維・ファッション業界と書いたが、国内産地を含む繊維製造業の補助金・助成金頼みの体質は広く知られている(と思う)。産地事業で活躍する優秀なコーディネーターと呼ばれる人たちが重宝されるスキルは、行政から補助金を引っ張るスキルである。
筆者の個人的な印象では、プランニングが上手いとか、事業のグランドデザインが描けるとかよりも行政から補助金を分捕ってくるスキルの方が重視されているとさえ感じる。

補助金・助成金頼みというのは繊維製造業に限ったことではなく、アパレルやファッションブランドも実はそう大差がない。とくに展示会やイベント類などの出展・開催は行政からの補助金・助成金をアテにする場合が多い。
中小ブランドを集めて、某国でジャパンナンタラ展を開催します。というようなイベントだと大概が補助金・助成金が絡んでいる。

プルミエールヴィジョンに代表されるような海外の素材展に国内の生地メーカーや染色工場が出展するケースが増えた。その中でも自社の費用のみで出展している企業と、行政の護送船団に乗っかって出展する企業があるわけだが、後者の場合は、「見せてお終い」という結果になる。
商売として継続することはほとんど見たことがない。

しかし、ファッション企業だってそういう状態を笑うことはできない。
行政の護送船団で某国に送り込まれたファッションブランド展示会「ジャパンナンタラ展」に出展したブランドがその後、某国やその他外国で商売として成り立っているとは聞いたことがない。

こういう繊維・ファッション業界の現状を三木谷氏はどうお考えになるだろうか?
と、ふと思った。

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