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南充浩 オフィシャルブログ

ブランドというレッテル

2013年2月19日 未分類 0

 少し前に、岐阜大垣市の特産品である升が「ポール・スミス」のニューヨーク店で販売されているという記事が掲載された。
そう、升酒の升である。

ポール・スミスに納品 大橋量器の木製カラー升
http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20130131/201301310910_19235.shtml

201301310910_19235

なるほどカラフルでかわいいけれども、そんなにびっくりするほど斬新なカラーリングでもない。
探せば世の中にはもっとモダンでデザイン性の高い升もあるのではないかと思う。
しかし、あのポール・スミスが採り上げたとなると、新聞にも掲載されるし、一躍話題にもなる。

このブログで、少し前に、「しまむら」のロゴを入れるとどんなにお洒落なポスターでも、しまむらの販促用ポスターのようになってしまうという話題を紹介したことがある。
今回の「桝」はその逆バージョンといえる。

「ポール・スミス」のように良いイメージが定着しているブランドが採り上げると、平凡な物でも「それはお洒落でかっこいい」というフィルターがかけられてしまう。
反対に「しまむら」なら「低価格」というイメージが消費者の脳裏には即座によぎる。

これこそがブランドの持つ特質だろう。

「ポール・スミス」を「バーバリー」や「ルイ・ヴィトン」に置き換えても同じだし、「しまむら」を「ユニクロ」「PIKO」に置き換えても同じだ。

高級ブランドやラグジュアリーブランドは個人的にちっとも好きではないが、彼らはそのイメージを守り確立するために努力しているのも事実である。

で、この「ブランド」というレッテル(ラベル)さえ貼り付ければ、少々デザインや色柄に難があってもそれなりの評価が得られるという状態の延長線上に、過去の国内ブランドライセンスビジネスがあった。

一流と言われるブランドとライセンス契約を結び、自社の商品にそのブランドのロゴを貼り付ける。ブランド側には国内メーカーから年間低くはないライセンス料が支払われることになる。
メーカーからすれば「ブランド」が付いているだけである程度の高価格で売れる可能性が高いし、ブランド側からすれば何もしなくてもライセンス料が入金される。両者にとってうまみがあった。

バブル崩壊まではバスタオルを始めとする生活雑貨にまで何でも一流ブランドが貼り付けられていた。
そしてそういう物が「高級品」として贈答品として喜ばれたという社会背景もあった。

だから、タオルやハンカチ類ならまだしも、スリッパとか風呂場やトイレの足ふきマットにまで一流ブランドのロゴが付いていた。
今から思い返せば、「セリーヌ」や「シャネル」の風呂場の足ふきマットというのは何だかおかしくないだろうか?
「セリーヌ」や「シャネル」ってそんなブランドだったのだろうかと可笑しさがこみ上げてくる。

今でもブランドライセンスビジネスは存在する。
しかし、多くはバブル期までの「付けたもん勝ち」の世界ではなくなっている。
そこまでヘンテコリンな商品はあまり発売されていない。

そういう意味ではバブル崩壊というのも良かったのかもしれない。

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