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南充浩 オフィシャルブログ

カジュアルに不変的なジャストサイズは存在しない

2019年5月24日 トレンド 0

ユニクロのスマホアプリには前回で紹介したように着用できるかどうかわかるマイサイズ機能が付いている。
ただし目立たないが。(笑)
そして、これは当方が愛用していないから知らなかっただけなのだが、ZARAにもこのマイサイズ機能があり、こちらの方が先行だということでもある。
 
インターネット通販比率を高めようとすればするほど、サイズのことが問題になる。
小さすぎると着用できないからだ。それゆえに消費者アンケートでは
 

サイズが重要
 

と答える人が多いのである。
 
返品交換できるサイトもあるが、例えばアダストリアのドットエスティはセール品は返品不可になっている。
また返品交換できるサイトもあるが、その手続きはめんどくさい。
だから小さすぎて着用できない服をネット通販では買いたくないのである。
 
しかし、ネット通販会社やアパレル企業は、この「サイズが重要」という答えを、どうも取り違えをしていて「ジャストサイズが欲しい」と間違った解釈してしまっているように見える。
たしかに、メンズのスーツスタイルはジャストサイズでないと滑稽に見える。
小さすぎてもおかしいし、大きすぎるとだらしなく見える。
とくに袖丈、ズボンの裾丈は重要で、シャツは手首まで、ジャケットはそれより2センチくらい短くシャツの袖先が少し見えるくらいが望ましい。ズボンの裾丈は靴の甲にかからないノークッションが望ましい。
また、肩が落ちてもいけないし、ジャケットの着丈がお尻丸見えみたいな短すぎるのもダメである。
ワイシャツだって第1ボタンをとめたときに、隙間が空きすぎる(首回りが大きすぎる)のはNGである。
 
だから、この「ジャストサイズがー」という考え方はメンズのスーツスタイルには当てはまるといえる。しかし、カジュアルスタイルにはまったく当てはまらない。
 
つい先日、ジョンブルの2019年秋冬展示会にお邪魔した。
もう10年近くも毎回展示会に呼んでいただいていて、感謝するほかない。
一つにはササキセルムという尾州のテキスタイルコンバーターが開発した新機能性素材「ダウンファブリック」を使用した薄手防寒ウェアが展示されていて興味深かった。

ダウンファブリックを使ったジョンブルのジャケット


 
ダウンファブリックのことはまた後日に書いてみるかもしれない。
 
今回の、というか、ここ何シーズンかのジョンブルの展示会を見ていて感じるのは、トップス、ボトムスのオーバーサイズ化である。そして、これはほとんどのカジュアルブランドに共通している。ボトムスにはまだスキニーパンツやスリムパンツが併存しているが、ほとんどのトップスはジャストサイズかオーバーサイズで、以前のようなピタピタなトップス類は売り場でもほとんど見かけなくなりつつある。
例えば、ユニクロだが、一時期オッサン連中から
 

最近のユニクロの服は小さい、ピチピチだ!!!
 

という怒りの声が盛んに出ていた。
また同時期のジーユーもピチピチで、サイズ感が少し大きいユニクロなら、当方もまだ着用できたが、このころのジーユーはピチピチすぎて着用することすらできなかった。
無理に着用するなら1サイズか2サイズ大きいものを着用しなくてはならなくなるが、そうすると今度は袖丈や着丈が長くなりすぎておかしくなる。
しかし、最近のユニクロは一時期よりもゆとりのあるトップス類が増えたし、何よりもユニクロUはオーバーサイズトップスがほとんどで、タイトシルエットはなく、あったとしてもいわゆるジャストサイズまでである。
ジーユーは店頭を見てもらえば明らかなように、オーバーサイズがほとんどで、そうなったがために当方のようなオッサンですら着用が可能になった。
最近、ジーユーを着用しているオッサン、オバハンの数が増えているように感じるが、一つにはジーユーの安さに惹かれてということもあるだろう。また別の要因としては、ジーユーの商品の品質が初期よりも上がっているということもあるだろう。
だが、それに加えて「オーバーサイズが主流になった」という要素も大きいのではないかと思う。
オッサン、オバハンになるとかなり厳しく節制した人以外は、若い頃よりも体重が増えている。少なくとも3~5キロくらいは増えているだろう。
とすると、最低でも洋服は1サイズ上になっている。
以前のピチピチジーユーなら着用は不可能だったが、今のオーバーサーズジーユーなら着用が可能なオッサンが多い。だからジーユーはオッサン、オバハンにも買いやすいブランドになったのではないかと思う。
 
それはさておき。
ジーユー、ユニクロを見てもわかるように、カジュアルのサイズ感は数年~10年ごとに移り変わる。もちろん、ジョンブルその他のブランドも同様である。
ジョンブルの企画担当者によると
 

最近は明らかに、サイズは大きめになっていますね。数年前までのMサイズが今はSサイズの表記になっていますし、前のLサイズが今のMサイズです。

 
という。ジョンブルで買い付けるバイヤーもそうだし、直営店に来る消費者もそうだという。
 

ゆったりとしたシルエットのジョンブルの2019秋冬メンズ


 

オーバーサイズのコート ジョンブルの2019秋冬レディース


 
 
この動きを見ても、カジュアルに「ジャストサイズ」なんていうものは存在しないということがわかる。もっと厳密にいうなら、「不変的なジャストサイズ」はカジュアルには存在しないということである。
実は先に挙げたスーツスタイルだって最近は、ジャケットの身幅とパンツの渡りが一時期よりゆったりしてきている。もちろん、バブル期のソフトスーツほどではないが、2003年から始まったピチピチスーツスタイルは過去の物になりつつある。
 
話を戻すと、消費者が「サイズが重要」というのは、「着用できるかどうか」を気にしていることがほとんどであり、ありもしないジャストサイズを追求しているわけではない。しかもカジュアル分野でのジャストサイズはそのときどきで移り変わるため、無いに等しい。
ネット通販会社もアパレル企業も、カジュアル分野でのジャストサイズの追求なんて、いつまで経ってもたどり着けない蜃気楼を追いかけるようなものではないかと思う。
 
 
 
そんなジョンブルのワイドパンツをどうぞ~

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