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南充浩 オフィシャルブログ

便利な商品は市場に受け入れられやすい

2019年5月22日 トレンド 0

先日、長らくお世話になっているアパレルの元企画の男性と会った。当方よりも年上なので、まあ、相当に業界の古株の方である。
いつもスーツを着崩したり、ジャケット+パンツスタイルのことが多いが、先日お会いした時は、薄紺色の麻っぽい素材のスーツをノーネクタイで着ておられた。
見ただけでは麻100%ないし、麻・綿混くらいの素材感に見えているが、尋ねてみると、なんと麻・ソロテックス混の機能性素材だという。
ソロテックスは帝人の機能性素材で、近年さまざまなブランドとのコラボでさまざまなアイテムで使われている。
以前にこんなブログを書いた。

帝人の「ソロテックス」は新素材などではない


 
ソロテックス混だと何が良いのかというと、ストレッチ性があって柔らかいことである。先のブログでも書いたが、ソロテックスはポリエステル系なので、通常のポリウレタン弾性繊維によるストレッチ生地に比べるとずっと劣化・断裂しにくく、ストレッチ性が長持ちする。
麻・ソロテックス混だと、麻っぽい風合いと表面感を残しつつ、ストレッチ性が加えられ、シワにもなりにくいのでイージーケア性も実現できる。
 
それにしても生地製造の技術は上がっており、一見しただけではまったく合繊感がない。
昔の合繊混素材とは比べ物にならない見た目の良さである。
 

「昔はイタリア製のウール素材とか、ヨーロッパ製の麻素材とかそんなにこだわったスーツを着ていたが、最近ではこの手の機能性素材スーツやジャケットばかり着るようになった」

 
とのこと。
当方も昨年夏に、ジーユーでドライストレッチセットアップを3着も買った。
紺、ベージュ、オリーブグリーンである。
定価は税抜きで7000円ほどだったが、当方は絶対に定価では買わないので、セール時にだいたい5000円くらいに下がった時に買った。
トレンドの変化もあってか、それまでのピチピチタイトシルエットではなくなっているからオッサンでも着やすいし、軽くてストレッチ性があって肌にベタっと貼りつかないのでけっこう使い勝手がよい。
まだ試したことはないが、恐らくネットに入れれば家庭洗濯もできるのではないかと思う。
今夏物でも発売されているが、オリーブグリーンがちょっと暗めになっていて、当方は昨年のもう少し明るめのオリーブグリーンの方が好きだった。

ジーユーの今夏のドライストレッチジャケット オリーブグリーンが暗めになった


 
 
ネクタイを締めればそれなりにビジネススタイルにも見えるし、なにより、欧米でもそうだが我が国でもスーツスタイルのカジュアル化が進んでいるので、それにはもってこいである。
また、インナーをTシャツやカットソーにすると、カジュアルスタイルとしても様になる。ときどき、Tシャツの上からかっちりしたスーツジャケットを羽織っている人を見かけるが、それよりもはるかにカジュアルテイストがあって様になる。
余談だが、当方は、Tシャツの上から直接テイラードジャケットを羽織ることはない。なぜなら、うなじの皮脂がテイラードジャケットの襟に付いてしまう。シャツでも「汚れの首輪」ができるほどだから、うなじ部分の皮脂は体の他の部位に比べて手ごわい。
黒とか紺は誤魔化せるだろう(見えないから)が、薄い色だと1度そういう着方をすれば必ずクリーニングに出さないといけない。
それがめんどくさい上にカネも無駄にかかってしまうから、カジュアルでも必ず襟付きのシャツの上からテイラードジャケットを羽織るようにしている。
 
それはさておき。
 
アパレル業界ではこの手の合繊機能素材のカジュアルスーツを愛用する男性が増えている。とくに夏場だと当方の身近なアパレル男性はたいがいがこの手のスーツやセットアップを着用している。
某有名コンサルタントはラルディーニのパッカブルスーツを着用していた。(さすがにカネ持ってるわあ)
ファッション好きの某デザイン会社の社長は、先日お会いした際、いつもの定番スタイルである濃紺のセットアップをカジュアルに着用されていたが、なんとデサント製だった。
いわゆるスポーツ素材のカジュアルセットアップなのだろうと思う。
 
某大手生地問屋の営業マンは、このソロテックス混みたいなセットアップを愛用している。
とくに出張の際にはシワになりにくく、軽量で非常に便利なのだという。
 
そういえば、昨年話題になったスーツに見える作業服もこれらの延長線上の開発だといえるし、今年に入ってからは小規模ながらワーキング・カジュアルブランドの「BMC(ブルーモンスタークロージング)」が東レの機能性素材を使った「空冷式スーツ」を発売した。

自ら空冷式スーツのモデルになるBMCの青野睦社長


 
 
まあ、何が言いたいのかというと、いわゆる「本来のスーツ」をこよなく愛する人も多く、そういう人の中にはこれらを「邪道だ」として批判する人もいるが、結局のところ機能性に惹かれて乗り換える人は多いということである。
とくに先に挙げた身の周りの人たちは当方よりもずっとファッションが好きだし、「本来のスーツ」も好きである。当方が一番邪道な存在である。しかし、そういう業界人ほど機能性セットアップを愛用するようになってきている。
やはり、「便利」な商品は市場に受け入れられやすいということである。
 
汗や暑さがない春・秋・冬はどうなるのかわからないが、今後は夏場のスーツスタイルは間違いなくこれらが主力になると考えられる。
 
もちろん従来のスーツ業界もいろいろと工夫しているが、クールマックス・ウール混みたいな素材を扱うようにもなっているが、この手のカジュアルセットアップ、スポーツ素材セットアップを重視しないと、夏場の顧客は分捕られ続けるのではないかと思う。
 
 
 
BMCの空冷式スーツをどうぞ~

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