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南充浩 オフィシャルブログ

低価格ブランドとのコラボは本当にブランド価値を下げたか?

2019年5月10日 お買い得品 0

ユニクロがエンジニアドガーメンツとのコラボポロシャツ4型を発表した。
ちなみに「エンジニアドガーメンツ」でウェブを検索すると、2番目以降は全部ユニクロとのコラボニュースである。ユニクロ効果恐るべし。
https://www.uniqlo.com/engineeredgarments19ss/jp/
 
個人的には、水玉のグレーと、グレーかオリーブグリーンのボーダー柄、あとブロック柄の白かグレーを買ってみたいなと思っている。

ブロックカラーポロシャツ


水玉柄ポロシャツ


ボーダー柄ポロシャツ


 
 
価格は1990~2990円と通常のユニクロポロシャツ価格とほぼ同じである。
さて、今回のコラボが発表されて、従来からのエンジニアドガーメンツファンからは嘆く声が聞こえてくる。
 
それにしても、ユニクロのコラボ実績はすごいことになっている。
+Jでジル・サンダー氏、UUでアンダーカバー、ユニクロUでクリストフ・ルメールである。そのほか、JWアンダーソン、トーマス・マイヤー、アレキサンダー・ワン、そして今回のエンジニアドガーメンツである。
デザイナーコラボがスタートする前にも小規模コラボ企画として「デザイナーズインビテーション」があった。それを含めると結構なブランドとコラボをしている。
ネットで検索した結果をまとめてくれているのがこちらの記事になる。
 

ユニクロのデザイナーコラボを過去から全部まとめてみた


ただし、ネット検索で引っかからなかったブランドもあるようだ。
 
デザイナーズではないが、オンワードが展開する前にオープニングセレモニーとのコラボも行っている。ちなみに当方はそのコラボシャツを持っている。たしか1990円に値下がりした時に買った記憶がある。

 
 
 
上の記事では触れられているが、ハンアンスンとのデザイナーズコラボはなぜか検索には引っかからなかったらしいが、当方は記憶していた。
なぜなら、ハンアンスンさん自身とそのことについて話をしたことがあったからだ。
 
 
 
デザイナーズインビテーション時代にはあまり聞こえてこなかったが、H&Mの毎年秋のデザイナーズコラボも同様なのだが+J以降はSNSの発達も手伝ってか「デザイナー側のブランド価値が下がる」という意見が頻繁に見られるようになった。
当初は当方もこれについてはある程度賛同していたのだが、最近は実はそうではないのではないかと思い始めている。まあ、要するに当方は心変わりしたわけである。
 
今回、エンジニアドガーメンツについてもファンからは同様の意見が聞かれるが、先行したルメールやアンダーソンはコラボによってブランド価値は何ら毀損されていない。
別にルメールにもアンダーソンにも「安物専用デザイナー」というレッテルは貼られていない。逆にアンダーソンなんてユニクロとのコラボで知名度が高まったのではないかと思う。
ファッション好きの人はJWアンダーソンを知っていたが、そうではない人は知らなかった。当方なんて実はアンダーソンを知らなかったが、ファッション好きの専門学校生は知っていた。アンダーソンの日本での知名度というのは当時はそんなもんだったといえる。
それがユニクロとコラボを行うことで知名度は高まって、当方だってアンダーソン自身のオリジナルラインについては多少の興味が出てきたほどである。
 
デザイナーズインビテーション時代から、どうもそういう効果があったようで、当時、ハンアンスンさんに「ユニクロとのコラボすごいですね」と声を掛けたら、同じような声をいろんな方からかけられたそうで「ブランド知名度が高まった」と話していたことを記憶している。
 
デザイナーズブランドというのは基本的には高額商品である。某氏が買ってきたアンダーソンのメルトンダッフルコートは15万円以上している。当方の着用しているコートが15枚以上買える価格である。
それがユニクロコラボなら、もちろんデザインは異なるが、同じコート類でも1万数千円で買えるし、値下がりを待てば5990円で買える。当方はアンダーソンコラボのバブアーみたいなコートを5990円に値下がりしたときに購入している。
当方は今後、いくら金持ちになったとしてもアンダーソンの15万円のコートは買わないだろう。デザイナーズブランドは万人に向けて売るビジネススタイルではないから、当方のような消費者は相手にしていない。
それはそれとして、知名度を高めることは容易ではない。ユニクロとのコラボではそれが容易になる。
今回エンジニアドガーメンツの商品価格を見てみた。まあ、すごく高くはないが決して安くはない。
例えば、Tシャツで8000~1万円くらいする。
いくら良い素材を使って良い縫製仕様だとしても、多くの人にとって1万円のTシャツというのはハードルが高い。よほどのファッション好きか金持ちしか買わない。そして、その両方の人口は少ない。
一方、今回のコラボポロシャツは1990~2990円なのでほとんどの人が買うことができる。値下がりするまで待てばもう少し安く買えるだろう。
当方も値下がりしてから買ってみるつもりだ。
今回買ったことでもしかしたら、それを入門編としてオリジナルラインを買う人も出てくるかもしれない。これはエンジニアドガーメンツに限らず、過去のコラボブランドすべて同様である。
旧来型のファッション業界人やファッション好きからすると、低価格ブランドとのコラボは「ブランド価値を下げる行為」に映るが、多くの人にとっては「入門編ができた」というように映っているのではないかと感じる。
いきなり、15万円のオリジナルコートを買うのは抵抗がある。しかし、ユニクロコラボで試してみてオリジナルに興味が湧いたという人も少なからずいるのではないかと思う。
 
考えてみるとカメラにしろ、パソコンにしろ、他の趣味道具にしろ、必ず、ある程度廉価な入門編商品がある。いきなり20万円の自転車を買う人はそんなに多くない。
H&Mコラボにしろ、ユニクロコラボにしろ、その入門編としての役割を果たしているのではないかと、最近は考えるようになってきた。
むしろ、「ブランド価値を下げる行為」と認識し続ける愛好家や業界人の方がズレているのではないだろうかと思う。
 
だから、既存のアパレル業界は不振に陥っているのではないか。
 
 
 
 
そんなエンジニアドガーメンツのオリジナル商品をどうぞ~

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