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南充浩 オフィシャルブログ

共倒れの危険性も感じるのだけど・・・・・

2012年12月20日 未分類 0

 阪急うめだ本店がリニューアルオープンし、JR大阪駅前はさらに混雑が増したように感じる今日この頃。
同じ駅前の大丸梅田店、阪神百貨店もそれなりに堅調な人入りである。
ルクアも昨年よりはやや落ち着いた感じはあるが、それでも人入りはまずまずである。
残るJR大阪三越伊勢丹はどうかというと相変わらず、人入りは少ない。

昨日このような記事が掲載された。

JR大阪三越伊勢丹、売り場縮小へ ルクアと一体的展開
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121219-00000033-asahi-ind

苦戦のJR大阪三越伊勢丹、隣の「ルクア」からテナント
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121219-00000589-san-bus_all

百貨店のJR大阪三越伊勢丹(大阪市)が売り場面積を縮小し、空いたスペースは専門店を運営する好調なルクアと一体的に展開することが分かった。2014年度末までに改装する。大阪三越伊勢丹は11年5月の開業から苦戦が続いており、専門店との融合で売り場の魅力を高め、収益改善を目指す。

JR西日本と三越伊勢丹ホールディングス(HD)は大阪三越伊勢丹のてこ入れ策を話し合ってきたが、百貨店業態だけでの生き残りは難しいと判断。面積縮小で費用を削減し、専門店の導入で再建を図る。(朝日新聞)

との内容である。また

JR西日本と三越伊勢丹ホールディングス(HD)が来年3月をめどに検討を進めているJR大阪三越伊勢丹(大阪市北区)の再建策について、隣接するファッションビル「ルクア」のテナント店を入れる方向となったことが、19日に分かった。収益力の高い専門店で売り上げ増を図る。

平成26年度末までに行われるルクアとテナント店との契約更新に合わせ、売り場の拡大を求めるルクアのテナント店をJR大阪三越伊勢丹に移す考えだ。(産経新聞)

という。

ルクアのテナント店をJR大阪三越伊勢丹に移すというのが今回の主眼である。

筆者は意識的にJR大阪三越伊勢丹を見に行くようにしている。たいがい平日夕方7時くらいに行くのだが、いつ行っても閑散としている。時間的に地下二階の食品フロアはさみしくない程度にはお客が入っている。だが、決して混雑しているというレベルではない。

そこから上へ足を延ばす。
地下1階もまあ、人はいる。
地上1階はポツポツと人がいる。
地上4階くらいまでは何とかお客の姿を見ることができる。
地上4階から上はほとんどお客がいない。従業員のみのフロアも珍しくない。

毎日、24時間見ているわけではないので、混雑している時間帯や曜日もあるのかもしれない。
しかし、行くたびにこういう光景なので、平均すると人入りは少ないのだろうと判断できる。

正直な感想を言うなら、今年度の売上高は初年度を上回ることは決してないだろう。
なぜなら、「不振」と言われた初年度でも6月ごろまではオープン景気で、何十万人という客入りがあった。
今年度はそのオープン景気がない。入場客数は格段に落ちているはずだ。
これは筆者の推測だが、来年4月末までの全館売上高は300億円を下回るのではないだろうか。

その「テコ入れ策」としては、導入しているブランドを大きく入れ替える必要があるのだが、
駅前には阪急、大丸、阪神と百貨店が3つもあり、めぼしいブランドはどれかに入ってしまっている。
おまけに来春には伊勢丹の北側に「グランフロント」が開業する。ここに入店する有名ブランドもそれなりの数があるため、めぼしいブランドの導入は最早望めない。

そうなると、隣のファッションビル「ルクア」に入店するようなSPAブランドやセレクトショップの導入しか手はなくなる。今回の「ルクア」のテナントの一部を移動させるというのは、次善のプランであるとはいえる。

しかし、ルクアとJR三越大阪伊勢丹は同じJR西日本グループの運営するビルとはいえ、10階と5階と3階と地下1階くらいでしかつながっていない。10階はレストラン街であるので除外する。
こう考えるとルクアと伊勢丹は非常に回遊性が悪い。JR大阪三越伊勢丹の10階レストラン街は比較的混んでいる。その理由の一つはルクアと地続きであるためだ。

回遊性が悪いと、せっかくルクアからテナントを移動させてもあまり効力を発揮しないだろう。
とくにルクアからお客が流れてくることはそれほど期待できない。

もしかしたら主力テナントが入れ替わったルクアの売上高も下がってしまう可能性も否定できない。
今回の措置はルクアとJR大阪三越伊勢丹が共倒れになる危険性もあると考えている。

さて、先に引用した産経新聞の記事で気になる個所がある。

JR西日本の真鍋精志社長は同日の記者会見で「早期に再建策を作るべく、スペースの使い方を含めて検討をしている」と述べた。三越伊勢丹HDは「売り場面積の縮小は考えていない」とコメントしている。

とのことだが、三越伊勢丹側は「売り場面積の縮小は考えていない」とコメントしているがこれはどういうことだろうか?もしかして、先のプランはまだ内部でも確定できていないのだろうか?
伊勢丹側の売り場面積を縮小しなければルクアからテナントを導入することは不可能である。
伊勢丹側は単体でのテコ入れ策を模索中なのだろうか?

ルクアのテナントを導入するにしろ、そのプランが内部でコンセンサスを得ていないにしろ、今回の記事はその迷走ぶりが明らかになったと感じるが、みなさんはいかがだろうか?

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