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南充浩 オフィシャルブログ

縫製工場は自己発信が足りないのでは?

2012年12月18日 未分類 0

 昨日、井原市や神辺の産地を回っていて、話しているとあることに気が付いた。
ちなみにこのあたりはジーンズの一大産地である。

ジーンズについては最近は、一般消費者もかなり詳しい知識を持っている。
「Lightning」や「Free&easy」などのマニアックな雑誌のおかげだろう。
以前ならこだわりジーンズを詳細に解説するくらいだったが、最近だと生地メーカーや洗い加工場の工場現場まで取材に行って、写真やその工程を紹介している。
下手な業界紙よりも詳しくレポートされている場合もある。

われわれ取材する側の人間もジーンズの産地企業として、
生地メーカー(カイハラやクロキなど)と洗い加工場(豊和や西江デニムなど)はよく知っている。
けれども縫製工場はなかなか知らない。
生地メーカーや洗い加工場に教えてもらうことがほとんどである。

その原因について「縫製工場の自己発信、メディア露出がほとんどないからでは?」という結論に達した。
最近、レディースアパレル向けの縫製工場で自己発信を行い、業界紙などにも提言を行うところがいくつか現れているが、ジーンズ関連ではまだまだ少ない。
ジーンズ関連ではナショナルブランドの直営工場以外で、それほど大きい縫製工場は存在しない。多くが小規模工場である。

ある生地メーカーは「『○○ブランドの縫製を手掛けています』と発信することで、他のメーカーから仕事が来なくなることを恐れているのではないか?」との見方を示した。
たしかに、自己発信したりメディアで取り上げられたりすると、そういう反応もあるのかもしれない。

それでも縫製工場はもっと発信した方が良いと思う。

今でこそ生地メーカーや洗い加工場は「世界的○○ブランドに生地を販売しています」とか「あの人気ブランド○○の洗い加工を手掛けています」と自己発信し、それがステイタス性を生んでいるが、ほんの10年ほど前は「どこのブランドに生地を販売しているか言うと叱られる」という態度だった。
実際にそういう仕打ちを過去に受けていたのだろう。

けれども業界紙のみならず一般紙も盛んにそういう記事を載せ始めた。
すると、彼らも自信を持ったのか、思ったほどの叱責を受けなかったのか、ポロポロと口を割り始めた。(笑)

発信して露出するとそれを見たブランドやアパレルから新規で問い合わせがある。
それで販路が徐々に拡大していった。

そういう意味では、縫製工場も広く名前を知られた方が良い。
縫製工場を探しているアパレルやブランドは数多くあると思うが、具体的な工場名を知らないので、問い合わせのしようがない。
だから商社の製品部門やOEM業者、よくわからない謎のコーディネイターに依頼することになる。

もし、自社ホームページでだけでも発信することができれば問い合わせ件数はグッと増えるだろう。

生地メーカーでいうならカイハラの知名度は絶大だ。
ジーンズを作りたいと思っている人間なら真っ先に「ダメ元でカイハラに問い合わせてみよう」と考える。
縫製工場もそのような姿を目指してみてはどうだろうか?

そのカイハラでさえ、一般に知名度が高まったのはこの10年くらいである。
90年代前半にカイハラを知っている一般消費者はいなかっただろう。
カイハラを見ていればわかるが、情報発信は積み重ねが重要だ。

国内にはまだまだ優れた技術を持った縫製工場が残されていると聞く。
それをぜひとも発信していただきたい。

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