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南充浩 オフィシャルブログ

原料展示も見せ方次第

2012年12月11日 未分類 0

 先日、丸安毛糸の大阪展示会にお邪魔した。
もともとはウール系のファンシーヤーンを販売する会社だが、現在は一部、ニット製品のOEM生産も手掛けている。

通常、糸のメーカーや販売会社は、展示会自体をあまり行わないし、行ったとしても糸のみを展示しているにすぎない。その展示してある糸も染色されていない物が多く、白、生成り、薄グレーなど「地の色」だけしかない。
本来、生地メーカーの担当者はその糸を見て、自分たちが企画する生地をイメージできなくてはならないが、これはなかなか難しい。そこまでの経験と想像力の無い担当者も存在する。

丸安毛糸の展示会は、そういう通常の糸の展示会とは大きく異なる。
OEM生産も手掛けているので、製品サンプルが並んでいる。
これは他の糸メーカーには真似ができないので、参考にすることはできない。

糸メーカーに参考にしてもらいたいのはPOPである。
それから、各種の糸に数色ずつの色見本が付けられていることである。

以前にも書いたが、丸安毛糸の展示会POPは良くできている。

糸の成分や製造法ではなく、効果が端的に書かれている。
今回は2013年秋冬向けの糸だったので、暖かそうなウール系の糸が多かった。
今回のPOPでもっとも秀逸だと思ったのが、一言「あたたかいです」のみの物だ。
これにはさすがに度肝を抜かれたが、逆にシンプルでわかりやすいと感じる。もっとも、適切な文言が思い浮かばなかった上の苦し紛れかも知れないが。(笑)

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(あたたかいですとだけ書かれたPOP)

それと前回の春夏展同様の「売れ筋上位3位」までの表示。
売れ筋という有効な情報を提示することで、取り引き先からの信頼を得るとともに、売れ筋を集約することができる。取り引き先は「売れやすい」物を欲するのだから、「売れ筋」を提示すると自然とその商材に興味を示す。
「売れ筋ですよ」と聞けば、それが欲しくなる。
結果的に「売れ筋」はさらに売れ筋となり、売れ筋商品に受注を集約することができる。

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(売れ筋順位のPOP)

前回になかったPOPの取り組みとしては、POPに製作者の顔写真を貼ったことだ。
同社のPOPは社員で手分けして作成している。だから字体もバラバラである。
それぞれのPOPに製作者が存在しているわけだ。

POPに顔写真を入れるというのは、野菜の販売などでも見られる手法だ。
「このキャベツは○○さんが作りました」というあれと同じだ。
安心安全のトレーサビリティーというよりも、取り引き先に自社の社員を印象付ける有効な手段だと思う。
「へー、この人はキャッチコピーが上手いな」とか「この人は美人だけど字が下手だな」とか、見る人にいろんな感想を与える。その結果、関係性が深まる効果を狙ったものだろう。

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(製作者の顔写真付きのPOP)

これらのPOPという手法は糸メーカーのみならず、生地メーカーや副資材メーカーでも効果を発揮するのでぜひ取り入れてもらいたい。

また、各糸に数色ずつ見本色を着色するというのもコストはかかるが良い手段だろう。
白、生成り、薄グレーの糸ばかりを見せられてもなかなか生地へのイメージがわかない。
じゃあ、黒、オレンジ、ブルー、グリーン、赤などを着色した物を見せてもらえれば、生地メーカー側はイメージを固めやすくなる。
結果的に販売量が増える。
とくにデッドストック化した在庫の糸を消化するのに役立ちそうだ。
これも糸メーカーには参考になる手法ではないか。

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(着色した糸の色見本)

かねてから、糸メーカーや生地メーカーはもう少し見せ方を工夫すれば良いのではないかと考えていたが、丸安毛糸の見せ方は参考になる部分が大いにある。

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