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南充浩 オフィシャルブログ

ZOZO依存度が高かったライトオンがZOZOTOWN撤退へ

2019年2月6日 トレンド 0

年末にオンワードがZOZOTOWNから撤退し、ミキハウス、4℃、パーリーゲイツなどの撤退も明らかになった。
撤退組に共通していたことは、
1、ZOZO依存度が低い
2、ZOZOの主要客層である20代~30代前半の女性と、自社の客層があまり重ならない
の2点だといえる。
例えば、ミキハウスの木村晧一社長は週刊新潮のインタビューで
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190124-00555557-shincho-bus_all

ウチは高島屋だけで50億くらいの売り上げがあって、ゾゾは1億くらいやから

と発言している。
また、料率については

手数料に関しては、20%ちょい

とも発言しており、他社が30%~35%と言われる中では売上高の少なさの割には異例に厚遇されていたことがわかる。
オンワードは決算から類推するとZOZO依存度は25%程度と考えられ、4℃は社内の役員から聞いた話では、依存度は10%未満だとのことだった。
 
個人的にはこの2点を満たしたアパレルブランドは順次ZOZOから離脱すると見ていたが、昨日のこの報道には驚いた。
ライトオンがゾゾ撤退へ EC事業の大半を占めるもZOZOARIGATOに反発
https://www.wwdjapan.com/788339

ジーンズカジュアルチェーン大手のライトオンは、ファッション通販サイト「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」から撤退する。年明けからすでに新商品と追加商品の投入を停止、4日からは既存アイテムも徐々に非表示化を進めており、2月20日までに完全退店する。
撤退の理由は、ZOZOが昨年12月25日にスタートしたサブスクリプション型の会員サービス“ZOZOARIGATOメンバーシップ”と見られる。すでに撤退を表明しているオンワードホールディングス(HD)とは異なり、EC売り上げの大半をゾゾタウンが占めていたライトオンの撤退は、他の出店企業やブランドにも大きな影響を与えそうだ。

とあり、このスクープを挙げたWWDを評価したい。
 
ファッション好きやファッション業界人からすると、正直なところ、ライトオンはそれほどカッコイイショップというイメージを持たれていない。
当方はけっこう愛用させてもらっているのだが、総じて、業界関係者からは高感度というイメージを持たれていない。
だからライトオンのZOZO離脱は業界人やファッショニスタからすると「ふーん」程度の反応なのかもしれないが、これはなかなかに衝撃を与える事件だといえる。
記事中にも書かれているように、ライトオンのZOZO依存比率は高く、大半のEC売上高をZOZOTOWNに依存していたにもかかわらず、撤退を決めた。
随分と思い切ったものである。
ちなみに、検索をしてみた限りにおいてはライトオンはAmazonへの出品も何か月か前から取りやめており、退路を断ったことで自社ECサイトを強化するほかなくなったといえる。
背水の陣を敷いたということになる。
自らを死地に追い込むことで、火事場のバカ力を発揮させるというのが、本来の「背水の陣」の効能であり、ライトオンはそれを狙っていると考えられる。
かなりリスクの高い賭けに出たが、あえてリスクテイクしたライトオンの姿勢を素直に評価して、個人的には支持したい。
一方、このWWDの記事中には気になる一節も含まれている。

セレクト大手のベイクルーズは店頭や他のモールでプロパー価格で販売している春夏商品を非表示にしており

とあり、実際にベイクルーズの新入荷した今春夏商品はZOZOTOWNでは非表示になっている。
ベイクルーズもZOZO依存度が39%程度と他社に比べて低い企業として知られているため、このような措置に出たと考えられる。
 
今後、冒頭に挙げた2つの条件を満たしているアパレルやブランドは旨味がなくなった場合、ZOZO離脱は進むだろうと考えていたが、今回のライトオンのように依存度が高くても旨味が少ないと判断した場合、離脱する企業やブランドは今後も出てくる可能性がある。ライトオンの今回の行動はそういう一石を投じたといえる。
ちなみに
ライトオンは今後、「物流やシステム、ささげを始めとしたコンテンツ制作、デジタルメディアの運営などのECの基幹になる業務は、プロの力を借りながら、内製化を進める」方針。
とあり、自社EC強化が掲げられているが、現状のままの延長線上ではこれはなかなか難しく、一朝一夕に達成することはできにくいだろう。
たしかに自社ECサイトも大幅に変更したし、2015年から読み物としてライトオンデニムというサイトも立ち上げて情報を集積してきた。
にもかかわらず、現時点では両方ともその知名度はあまり高くない。
あるウェブ業者は先日「ライトオンデニムのサイトは2015年から生地が集積されているにもかかわらず、検索での表示順位が落ちている」と個人的に指摘してきた。
当方はウェブ検索の根本的なシステムはわからないからどういう理由なのかわからないが、多くの記事が集積されており、記事更新も定期的にされているのに、検索表示の順位が落ちているというのは危険な状態ではないかと思ってしまう。
 
とはいえ、ライトオンの今回の勇気ある撤退は支持したい。何とか自社ECサイトを軌道に乗せてもらたいと願うばかりである。
 
久しぶりにNOTEの有料記事を更新しました~
「アパレルの簡単な潰し方」
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n479cc88c67bf
 
【告知】2月7日に東京で有料のトークイベントを開催します
https://eventon.jp/15877/
 
週刊新潮をどうぞ~

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