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南充浩 オフィシャルブログ

名称変更も一つの効果的な販促手段

2012年12月3日 未分類 0

 ヨーロッパでは最近、動物愛護の観点からフェイクファーのことを「エコファー」と呼び始めている。
最近と言っても2、3年ほど前の会議でそんな話をした記憶があるから、その辺りのことである。

その会議はフェイクファーの一大産地である和歌山・高野口産地で開かれたものなのだが、その席上で「フェイクファー」という呼び名を改称しようという提案をした。

フェイクというのは、偽物、だまし、模造品、まやかしなどあまり良い意味のない言葉である。
あまり使われない意味としては、「フェイントのようなトリックプレー」や「ジャズの即興演奏」という意味もあるらしい。

フェイクはマイナスの意味合いを感じさせる言葉である。
フェイクファーというとファー(毛皮)の模造品という意味になってしまう。

しかし、結果は今になっても「フェイクファー」のままである。
会議では産地のオヤジたちは「今更呼び名を変えても・・・・・」とか「フェイクファーはフェイクやし・・・・」という消極的意見しか出なかった。

最近になって独立系のデザイナーたちが「エコファー」と呼び始めた。
自社の製品を説明するのに「動物愛護の観点からヨーロッパなどでは『エコファー』に注目が集まっています」というふうに使用している。

正直、彼らが動物愛護に興味があるかどうかはわからない。
きっと興味のかけらもない方もおられるかもしれない。
口先だけで上手いこと言って販売促進を行うブランドは好きになれない。

けれども、産地が「高品質」を謳うのであれば、こういう言葉の使い方も見習うべきであろう。
せっかく高品質な素材を製造していても、「うちのはフェイクですから」と言っていては、伝わらない相手の方が世の中には多い。残念ながら。

11月末から高野口産地の岡田織物は大丸と松坂屋で自主企画製品の販売会を開始している。
これに際して、岡田織物は「ジャパンエコファー」の呼び名を打ち出している。
「やっとか・・・・・・・・」と思わないではないが、大手マスコミからの取材が夏場以降相次いでいるのでそれなりの効果はあるということだろう。

これは推測だが、岡田織物の露出が今よりも増えるようなことがあれば、高野口産地は雪崩をうったように「エコファー」「ジャパンエコファー」という名称を使い出すのではないか。
これまで付き合ってきた産地や製造業の性格からすると、そういう図しか思いつかない。

結局、他社に先駆けて一歩・半歩踏み出すことを躊躇する製造業や産地企業は多い。
別に高野口産地だけのことを言っているのではなく、全国的にそういう傾向が強い。
そして、同業他社のどこかが踏み出して上手く行き始めると、それに追随する。

何度も言うがランチェスターの法則で、弱者の取りうる戦略は「一点突破主義」である。
産地企業や製造業は今、圧倒的に弱者が多いわけだから、本来は「一点突破」を図るべきであろう。
他社の成功を見て追随する「追随主義」は圧倒的シェアを誇る強者が採るべき戦略である。

まあ、そういうわけで国内産のフェイクファーがエコファーを名乗ることもそう遠い先の話ではないと思う。
そういう後追いが良いか悪いかは別として。

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