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南充浩 オフィシャルブログ

高額ジーンズの購入者比率はひどく小さい

2012年11月20日 未分類 0

 ジーンズのビンテージについて、もう少し続ける。
先日、ある中堅ジーンズメーカーの30代後半~40代前半の社員の方々と話す機会があった。
全盛期には売上高数十億円規模を誇っていたメーカーである。

一般的にビンテージ系ジーンズブランドのスタッフは、ナショナルブランド(NB)よりも格段に「こだわり」が強いと思われているが、実はNBのスタッフもジーンズのディテールへのこだわりは並々ならぬものを持っておられる。
とくに50代オーバーの方々に。

そういう方々はいまでも「本来のジーンズとはこうだ」という意識を強く持たれている。

ただ、消費者はそういうものを求めているのかというと、そうではないだろうと思う。
昨日も書いたが、ビンテージ系ブランドは各社ごとの売上高がひどく小さい。
2億~4億円というのはざらだし、10億円を越える企業の方がめずらしいくらいである。

売上高が小さいことは悪で、大きいことは善だと言いたいのではない。
そういう小さいながらも「こだわり」を追求するブランドがあっても良いと思うが、市場規模としてはかなり小さいということになる。

で、先ほどの中堅社員の方々と話したことは
「ジーンズメーカーはビンテージなるものから離れてみる必要があるのではないか」ということだった。

結局、ビンテージに縛られている間は、本当の意味での新しい形の商品は生まれないだろうし、製造コストの削減も難しい部分がある。
極論すれば、昔の「リーバイス」か「リー」の焼き直しで済むわけである。
もちろん、昔ながらのジーンズの製造方法も後世に残すべきだとは思うが、そういうものは自社内にほんの1品番か2品番を残せば良いのではないかと思う。

2005年ごろに欧米からのインポートジーンズが人気となったが、はたしてあれらのブランドが昔ながらの「ジーンズのディテール」にこだわっていたかどうか。
製造の専門家から見ると、あまりこだわっていなかったと判断されるのではないだろうか。

反対にこだわっていなかったからこそファッションアイテムとして「広く」受け入れられたのではないかと思う。

結局、「広く」受け入れられるためにはビンテージや伝統的なジーンズにこだわらないことが必要ではないかと考えている。
NB各社が悲願(?)としているような売上高100億円以上の規模に回復するためには、ビンテージっぽい商品を追求している限り不可能であろう。

反対に、そういうものを追求するなら売上高10億円内外の規模で満足すべきだろう。

繰り返すがどちらが善でどちらが悪という話ではない。
経営者がどちらに向かうかを選択するだけのことである。

ただ、市場規模が極小なビンテージ市場を見て、現在のジーンズ市場を類推することはコンサルタントやマスコミ関係者は避けるべきだろう。

先日紹介したブログの違う日に面白いエントリーがあるので紹介したい。
これは衣料品の価格の統計でその中にジーンズも含まれている。
統計的に見れば、1万円を越える「高額ジーンズ」の市場がいかに少ないかがわかる。

http://retail-study.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/index.html#entry-74559200

筆者の方は、日本衣料管理協会が発表している「衣料品の使用実態調査」-衣料の購入価格(2010年調査)のデータを基にしたと明記しておられる。

画面中段くらいにジーンズの表がある。

これによると、

1000円以下が13・8%
1001~3000円が40・2%
3001~5000円が24・3%

となり、この3つの価格帯だけで購入者比率は80%弱となる。

5001~7000円が7・1%
7001~1万円が7・1%
1万1円~2万円が5・4%

となり、その上の価格帯はもっと購入者比率が下がる。

2万1円~5万円が1・2%
5万1円~10万円が0・2%

となっている。

この統計がすべてであるとは思わないが、2万円以上というジーンズの市場はこれほど小さいということである。
そして、「こだわり」を標榜するジーンズブランドの多くが1万9800円以上という価格帯に存在するのだが、購入者比率は2%に満たないと考えて差支えないだろう。

ビンテージで勝負するということは、この2%の購入者を巡る戦いになるということである。

こうして見ると、いかに小さい市場かということがわかる。
商品が良いか悪いかの問題ではなく、そこに消費者がどれだけの数存在するかということを考えると、数億円規模から拡大成長しないビンテージブランドが多くてもなんら不思議ではない。

そういうわけで、商品的にも価格的にもビンテージを追求する限り、ジーンズメーカーの売上高が劇的に増えることはありえないと認識する必要があるのではないか。

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