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南充浩 オフィシャルブログ

フリースが低価格アウターに成り下がったように

2012年10月31日 未分類 0

 先日、小規模レディースブランドの展示会にお邪魔して、今秋冬の防寒アウターの売れ行きについて尋ねた。
全般的に動きが鈍かったが、ウール素材のコートは比較的マシだったという。
ダウンジャケットはまったく鈍く、「ダウンジャケットはセールで買う物と消費者は思っているようだ」とのことだった。

先日、西友がダウンジャケットを3990円で発売した。

ユニクロは5990円のウルトラライトダウンを700万枚発売する計画を発表した。

正直に言えば、もうこの時点でダウンジャケットはファッションアイテムではなくなってしまったと感じる。
昨年秋冬も一昨年の秋冬もウルトラライトダウンはあったわけだし、イオンやイトーヨーカドーなどの量販店各社も類似商品を発売していたから、ダウンジャケット=数千円という構図はすっかり消費者に定着してしまった。

消費者はダウンを1月のセールで買う物と思っているのと同じくらい、ダウンジャケットは低価格アウターと思っているのではないだろうか。

ダウンジャケットの値崩れ感を見ていると、往年のフリースを思い出さずにはいられない。

フリースという素材は、アウトドアブランドが採用していた。
1990年代中ごろまでは、1着10000円以上するアイテムだった。
おそらく、40代くらいまでは高価格アイテムだったころのフリースを覚えておられるのではないだろうか。
しかし、ユニクロが1990円で販売し大躍進すると、量販店各社も追随した。
あれから10年ほどが経過している。

例えば、西友の売り場には990円のフリースが大量に並んでいる。
1990円以下のフリースも決して珍しくなくなった。
その値崩れ率は10分の1以下である。

ダウンジャケットももともとは最低でも1万数千円はするアイテムだった。
それがすっかり5990円が相場のアイテムとなった。

西友は3990円、近所のドラッグストアでは2900円くらいで販売されている。

今回のユニクロの700万枚販売計画で、大量の「ユニ被り現象」が続出すると考えられる。
昨年秋冬でさえ、すでにウルトラライトダウン着用者は被り気味だったのである。

ブランドが浸透した一部の商品を除いてダウンジャケットも低価格アウターに成り下がってしまうだろう。

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