先週26日、JR西日本が188億4100万円の特別損失を発表した。

これは昨年5月に開業したJR大阪三越伊勢丹の売上不振によるものだ。

JR西が特別損失188億円、「三越伊勢丹」が不振
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121026-00000609-san-bus_all

JR西日本は26日、大阪駅ビルに入る百貨店「JR大阪三越伊勢丹」が当初見込んだ収益を確保できていないとして、三越伊勢丹の内装設備の減損損失(特別損失)として188億円を平成24年4~9月期連結決算に計上すると発表した。ここしばらくは黒字が見込めないため。JR西は30日に決算発表するが、業績予想については「精査中」とした。

昨年5月に開業したJR大阪三越伊勢丹は、他の百貨店などとの競争が激しいことなどから苦戦を強いられている。4月までの開業1年間の売上高は334億円と、開業前の目標の6割にとどまり、大幅な赤字となった。

 一方、JR大阪三越伊勢丹の運営会社に共同出資している三越伊勢丹ホールディングス(HD)も同日、24年4~9月期連結決算の業績予想を下方修正し、最終利益を従来予想から75億円引き下げて15億円とした。決算会見の席上、同社はJR大阪三越伊勢丹の黒字化目標時期を平成28年3月期とした。

とのことである。

今回のJR西日本の特別損失も大きいが、三越伊勢丹ホールディングスの最終利益の下方修正もかなりの痛手といえる。

とくに気になるのは、JR大阪三越伊勢丹の黒字化目標時期が4年後であることだ。
黒字化には4年間必要だということになる。今年単年度の損失も痛手には違いないが、4年間黒字化できないということの方が重症ではないか。

今月の発表の2カ月ほど前に、JR西日本伊勢丹の瀬良知也社長のこんなインタビューが掲載されている。

http://www.sankeibiz.jp/business/news/120814/bsd1208142235008-n1.htm

 ジェイアール西日本伊勢丹(京都市下京区)の瀬良知也社長(56)は14日、産経新聞のインタビューに応じ、開業初年度の売上高が当初目標の約6割にとどまったJR大阪三越伊勢丹(大阪市北区)について、「現時点で出店時のコンセプトを崩したくはない」と強調。ブランドではなく、商品ごとに売り場を設定する“自主編集売り場”など他店にない独自性を維持する考えを示した。

 瀬良社長は、維持の理由について、新規カード会員数が順調に増えていることに加え、今夏の中元商戦の売上高が前年を上回ったことを挙げ、「今の店に関心を持つ人がいる。少なくとも誰からも見向きをしてもらえない危機的な状況ではない」と分析した。

 一方、大阪市内の百貨店で唯一、7月のセールの開催日を前年の1日から13日に先送りしたことについて「初日の売上高は前年よりも増えた」と評価。来年1月の冬のセールについても「(2日の)初売りとセールの同時開催は買い物客にとって最善のことなのか」と述べ、今夏同様に開催日を1月中旬以降にずらす可能性を示唆した。

とのことである。

インタビューの場に立ち会ったわけではなく、この記事を読んだ限りの感想で恐縮だが、正直、売れ行きが即座に上向くとは到底思えない。
昨年5月からの「自主編集売り場」を維持すると表明しているのだから、抜本的には何も変わらないだろう。
もちろんPOPの表示を大きくしたり、均一価格商品の催事を導入したりという工夫はそれなりに反応が出つつあると聞くが、抜本的に従来スタイルを堅持するのであれば、それらの施策は小手先の改善に過ぎないのではないだろうか。

蛇足ながら、最後の文節の「初売りとセールの同時開催は買い物客にのって最善のことなのか」という投げかけについては、どういう意図なのかあまり理解できない。反対に「初売りとセールの間隔を2週間以上ずらすことが、買い物客にとって最善のことなのか」と問い返してみたい。

むやみやたらな安売りは疑問を抱くし危機感も覚えるが、こと「買い物客にとって最善」ということのみを考えるなら、初売りとセールの同時開催が望ましいだろう。
今後の業界動向は置いておいて、ほとんどの買い物客はそれを望んでいるのではないか。

伊勢丹新宿店が得意とする「自主編集売り場」。
しかし、同じ伊勢丹でも新宿店以外でこの手法が通用した店舗があるのだろうか。
開業当初は低調だったが徐々に盛り返したJR京都伊勢丹だが、あの店舗は「自主編集売り場」をそれほど打ち出してはいない。どちらかというとブランド別の売り場になっている。
だからこそJR京都伊勢丹は盛り返したのだと思うがいかがだろうか。

あくまでも個人的感想だが、新宿店の手法に他地域の店舗がこだわるのは危険だと思う。