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南充浩 オフィシャルブログ

米国はアパレル製造が国内回帰傾向?

2012年10月12日 未分類 0

 先日の中国の暴動によって、チャイナリスクが再び顕在化したことで、チャイナプラスワンの模索が一層活発化している。
中国に代わる繊維製品の生産拠点として注目を集めているのは、ベトナム、ミャンマー、インドネシア、タイ、インドなどのアジア諸国で、「日本国内回帰」という声はあまり聞こえてこないような気がする。

理由はいろいろとあるだろう。
まず、働き手が集まりにくい。(とされている)
次に、先日のJIAM(国際アパレルマシンショー)の会場でも言われていたが、国内の旧型の機械はもはや部品すら製造されておらず、メンテナンスや修理ができにくいこともあるだろう。

さて、アメリカは少し違うようで、国内生産への回帰という記事をときどき見かける。

アパレルも米国内回帰の動き―高品質品で増えるメードインUSA
http://jp.wsj.com/Life-Style/node_526492?google_editors_picks=true

これは10月9日に掲載された記事だが、今年の夏ごろにも同じような主旨の記事をどこかで拝見したことがある。
とくに今夏のオリンピックのユニフォーム騒動以降、その傾向は強まっているようだ。

今年7月、デザイナーのラルフ・ローレン氏は米国五輪代表選手団「チームUSA」が開会式で着用するユニホームを外注したことで非難された。その後、上院民主党院内総務のハリー・レイド氏はユニホームの焼却を示唆するまでに至った。

 そのひと月余り後、オバマ大統領は民主党全国大会で米国は「今後4年間で製造業に100万の雇用を創出する」と訴えた。自分たちの国で買う製品は自国で製造したいという意欲はかつてないほど大きいように見える。しかし男性用衣料品業界の一部では、夏の五輪のはるか以前からスタイリッシュで静かな復活が起こっていた。ヒューズ加工されていない襟と接着剤を使った襟の違いがわかる粋でおしゃれな男性は、満足できる製品を求めて意外なところに目を向けている――つまり「メードインUSA」だ。

 人気の男性用衣料品ウェブサイト「A Continuous Lean」を立ち上げたマイケル・ウィリアムズ氏は「メードインUSAの商品に対する安定した需要はずっとあった。そしてそれは今、確実に大きくなっている」と指摘する。

とのことである。

この辺りが、日本の指導者層とアメリカの指導者層の愛国心の違いを感じる。

日本の政治家も経営者も、中国がダメなら東南アジアで、それがダメなら南米とか中東とかアフリカで。という姿勢を見せている。
考え方は様々あろうが、個人的には自国の国益を最優先に考えるべきだと思う。

リーダーズの井上和則社長がこんなブログを書かれているので一部を紹介したい。

http://aleadersk.blogspot.jp/#!/2012/09/blog-post_27.html

私はかねてより繊維産業においても海外進出を憂いていましたので、むしろ今回を機にコストメリットを追って海外流失した繊維産業が今回の件で中国から他の第三国にシフトするのではなく、幾らかは日本に戻ってくる動きを望みます。グローバリズムだと言ってリスクを海外に張るのもいいですが、目線を自国に向けるべきでしょう。

(中略)

ものづくりに関しての戦略をいくらひねってみてもやはりマーケットからの需要が無ければ産業の存在は成り立ちません。

これを機会に皆が「日本製に誇りを持って日本製を買おう」という意識を高める事を望みます。

例えば、海外にばかり目を向けているクールジャパン事業に使われている予算のいくらかを国内市場に振り向けて 「BUY ”MADE IN JAPAN”」 キャンペーンを政府が、企業が旗振りをして、PRも大々的に行って、日本全国で「BUY ”MADE IN JAPAN”」 キャンペーンを行ってはどうでしょうか。

とのことであり、概ね賛同する。

百貨店や一部のアパレルが「販促手段」として突如「日本製品を」と叫び出したところで、国内繊維製造業者が減り続けることは止められない。今年だけでもどれだけの有名企業が市場から退場しただろうか。

ましてや一回こっきりのイベントを仕掛けたところでそれらが浮上するはずもない。
それにはある程度の継続的な取り組みと、ムーブメント作りが必要となる。

アメリカはTPP問題でもわかるように、露骨に、繊維製品に限らず自国内の製造業全般を復活させようとしている。
自国の国益を最優先に最大限追求する姿勢は、日本も見習うべきではないだろうか。

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