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南充浩 オフィシャルブログ

NBメーカーとOEM業者は同列ではない

2012年9月11日 未分類 0

 先日、ジーンズカジュアルチェーン店「ライトオン」の下請法違反が発覚した。

内容については流通ニュースの図解がもっとも分かりやすいと思うので記しておく。

http://ryutsuu.biz/strategy/e090731.html

20120907riteon

違反内容は、衣料品等の下請け製造業者7名に対し、下請代金を1621万3730円を減額していた。

減額した理由は、利益を確保するため、下請業者に対し、下請代金の1年間の合計額が一定額以上となった場合、2010年9月にリベート分を差し引いていた。

さらに、店頭販売価格の引下げによる利益の減少分を補うため、下請業者に対し、値引きによる一部負担を要請し、2010年8月から2011年2月まで、下請代金の額から当該金額を差し引いていた。

この他、下請業者から納品後、2010年9月から2011年7月まで、販売期間が終了した在庫商品を下請業者に引き取らせていた。返品分の下請代金は下請業者11名に対し、総額1億2364万2360円だった。

返品時には、2010年9月から2011年7月までの間、下請業者に返品に係る送料を払わせたのが、下請業者8名に対し、総額279万5700円だった。

なお、ライトオンは下請業者に対し、2012年8月10日、提供させた金額を全額返還した。

とのことである。

これについて知り合いとも雑談をしたのだが、「NB(ナショナルブランド)メーカーと自社PBを扱うOEM業者とを同じように扱ったのではないか」という印象を受ける。

例えば、ジーンズのナショナルブランドは委託販売のような形態を採るので、期末の返品を「長年の商習慣」として引き受ける。

筆者も94年~96年までジーンズの販売員だったことがある。
当時、筆者の勤務していた各店では、今は亡き「ボブソン」と、今は亡きラングラージャパンの「ラングラー」の取扱量が多かった。あとリーバイスも販売していたが、これは全品買い取りだったようで期末での返品作業はなく、自店で値下げして売り切った。

さて、期末になると決まってボブソンとラングラーを大量返品する。
とくに季節商材は迷うことなく送り返す。コーデュロイなんてごっそり返品した。
その代わりに、春夏の立ち上がり時期にはライトオンスジーンズやレーヨンジーンズなどの商品が送られてきた。
ちなみに、これらの作業は筆者が独断で行ったのではなく、本社からの指示によるものだったことを付け加えておく。

ジーンズメーカー側も「ハイハイ、長年の習慣ですよ。本社から連絡いただいていますよ」という感じですんなりと受け取ってくれた。

ジーンズメーカー側が何故、返品を受け取ってくれたかというと、
1つは、NBだから他店への転売ができるからだ。

ボブソンもラングラーも日本全国で売っているため、1社から返品されても他社へ転売することが可能だ。
その際に少し値引きして転売するなら、他店では「セール用商品」が増えて喜ばれることもある。

次に、自社のファミリーセールで値下げ販売することも可能だからだ。
今ならアウトレットモールでの販売もできるが、この当時はそこまでアウトレットモールが建設されていなかったので、主な処分はファミリーセールだったのではないだろうか。

しかし、その会社のPBならこれは無理だ。
例えば「バックナンバー」「フラッシュリポート」などの商品をイオンやヨーカドーなどの量販店へ転売することはできない。
またOEM/ODM業者はアウトレットショップを出店していない。
さらに、彼らは在庫を持たないことを前提としているため、NBメーカーのようにファミリーセールを開催する習慣もない。

要するにOEM/ODM業者は処分する公式ルートがない。
残されているのは、闇の転バイヤーに二束三文で買い取ってもらうことくらいだろうか。

NBメーカーとOEM/ODM業者を同列に扱うことは絶対にダメである。

以前、某アパレルのファミリーセールで、某セレクトショップのタグが付いたポロシャツを見かけたことがあるが、これなどは、アパレルがセレクトショップのOEM生産を引き受けたものの、セレクトショップがナンヤカンヤと言って返品した物だろう。定価6800円のポロシャツが500円に値引きされて会場で販売されていたことを覚えている。

ただ、この某アパレルは自社のブランドもそれなりに持っているので、返品されてもファミリーセールで処分することができたが、OEM業者ではそうはいかない。

今回の1件はアパレル業界全体から見ればほんの氷山の一角だと思う。
似たような話はあちこちで耳にする。ただ、規模が小さいから発覚していない件も多いだろう。

今年3月末にはマックハウスも下請法違反で勧告を受けている。
http://ryutsuu.biz/strategy/d033140.html

ジーンズ業界を含むアパレル業界はもう少し、商道徳への意識を高める必要があるのではないか。

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