最近の報道を見ていると、トウキョウベースのブランドコンセプトは「原価率50%」じゃないかと思えてくる。(笑)

ブランドを確立するうえで真っ先に出てくるのは「高原価率」というのはどうなのだろうか。
それはファクトリーブランドや職人系のブランドの立ち位置ではないか。

似たようなブランドコンセプト(笑)にファクトリエがある。
こちらは疑似ファクトリーブランドを目指しているのだから、それはそれで良いのかもしれない。

ところで、国内外の低価格ブランドにやられっぱなしのアパレル業界人はこのブランドコンセプト(笑)に共鳴する人が多いように感じるのだが、実はこの考え方も、グローバル低価格ブランドは置いておいて、ユニクロやかつてのダイエーの思想の延長線上にあるといえる。

創業当時のダイエーやそれ以降の大手スーパーマーケット(GMS)の本来の思想は「良い物を買いやすい値段で提供する」である。97年ごろから飛躍的に売上高を拡大したユニクロも同じ考え方である。

バブル崩壊、リーマンショックで痛手を被った百貨店や百貨店と一体となったアパレル各社は、売上高低迷によって、原価率を切り下げ、商品の品質を下げている。
百貨店を販路とする某上場アパレル(あまり話題にならないマイナー企業)は2010年以降、秋冬のセーターの原価率を18%まで切り下げている。それでいて販売価格は据え置きか少し上げている。

で、これに対するアンチテーゼがトウキョウベースであり、ファクトリエであるといえる。

店頭販売価格こそ違うが、根本的な考え方はユニクロや創業当時のダイエーと同じで「良い物を買いやすい値段で提供する」である。

かつてのような高額素材をふんだんに使い、それを高額で販売するきらびやかなファッション業界が再現できるようなことは、今後ありえないと個人的には見ている。
ラグジュアリーブランドへのむやみなアホみたいな崇拝も2008年以降鳴りを潜めてしまったから、日本も欧米と同じく分相応な消費をする成熟社会になったといえる。

さて、こういう流れを見ていると面白い。
今日のアパログで「小売りの輪」という理論が紹介されている。

http://www.apalog.com/kitamura/archive/706

 マルコム・P・マクネアによる「小売の輪」理論(1957年)は、グランドセオリーとして引用される機会は多くはないが、ときおり私の頭をかすめる重要なフレームワークだ。

 追随業者が次々に参入し、価格競争がより激しくなる。

 価格だけでは武器にならなくなり、価格以外の付加価値(品揃え、設備やサービス)を増した競争が展開される。時間とともに人件費増加、規模の拡大によって本部費などの経費が増加、結果的に薄利多売から高粗利路線へと転換せざるを得なくなる。

 革新的な小売業者が既存のマーケットにローコスト、ローマージンの価格競争で市場参入しシェアを奪う。(価格が上がってきたところで、別の新しい革新的小売業者が誕生し、価格競争で市場参入してシェアを奪う。)

 以上のサイクルが、どこを始点にするわけでもなく終点にするわけでもなく、延々と回り続けるというのが小売の輪だ。

とまとめられている。

「良い物を安く」という思想がダイエーをはじめとするGMSを生み、同じ思想のユニクロが衣料品分野で参入し、GMSのシェアを奪った。今後、ユニクロがワークマンやドン・キホーテの自社企画衣料品にシェアをいくらか蚕食される事態が起きるだろう。

さらにその後、そのころには当方は死んでいるかもしれないが、ワークマンやドン・キホーテも新規参入業者に侵食されているかもしれない。

百貨店ブランドや大手セレクトショップへのアンチテーゼとしてトウキョウベースやファクトリエがあると見ているが、これとていずれ、さらなる新規参入業者に侵食されるか駆逐されるかしてしまうだろう。

例えば、先ごろ、ニトリがアパレル業界への進出を発表した。
具体策は何も発表されておらず、時期的にもいつ頃になるのかもわからないが、これも実現すれば、小売りの輪の一つで、新規参入業者が価格競争を仕掛ける事例になるだろう。

そのとき、ユニクロやジーユーがどれだけ侵食されるのか、もしくは他の低価格ブランドが駆逐されてしまうのかはわからないが、消費者が年間に買い物できる総額は決まっているのだから、他社からシェアが幾分か奪われるのは当然といえる。

そう考えると、高価格を維持し続けているラグジュアリーブランドの努力というものは、好き嫌いは置いておいてすさまじいものがあるといえる。

ブランドビジネスの本質は

「1円の物を1万円で売る」

ことにあり、それが支持されるのは、雰囲気でありブランドの歴史であり、店舗内装の見事さであり、ショッパーのかっこよさであり、販売員の接客応対であり、修理体制の整備によってである。

決して原価率の高さではない。

小売りの輪の中で勝ち続けることも容易ではないし、ラグジュアリーブランドへと昇ることも容易ではない。そういう厳しい世界の中で、日々もがき苦しんでいるのが我々だということになる。

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鎌倉シャツのビジネスモデルが秀逸なポイントを考えてみた
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