メディアはもとより、その折々のトレンドに流されやすいアパレル企業経営者は、今、ユニクロとゾゾタウンと百貨店くらいしか注目していないように感じられる。

しかし、ことカジュアル分野でいえば、ワークマンとドン・キホーテが既存アパレルの牙城を脅かすダークホースになると見ている。もしかしたら、「高機能・低価格」という評価軸に限定すれば、この両者はユニクロの牙城も侵食できるのではないだろうか。

以前に、ワークマンの防水透湿ジャケット「イージス」をユニクロのブロックテックパーカと比較してみた。
発表されているスペックだけで見ると、ワークマンの「イージス」の圧勝だった。そして低価格でもイージスの圧勝である。

残念ながらというか、こちらの勉強不足で、いまだにイージスの現物が確認できていないのだが、着用してみてシルエットがおかしくなければ、もうブロックテックパーカを買う必要はなく、これからはイージスのみを買うことになる。

ワークマンには、探せばほかにもこの手の商品は山ほどあるのではないかと思う。

先日、ドン・キホーテの決算発表があった。増収増益だが、その中で「時計・ファッション用品」の売上高が2・8%増の1584億円にまで増えた。

しかし、この中には高単価のラグジュアリーブランドの商品も多数含まれているため、1584億円がまるまる通常価格のファッション用品の売上高ではない。

この分野の中で、ドン・キホーテのプライベートブランド(PB)である「アクティブギア」と「レストレーション」の2ブランドが含まれる。前者がスポーツウェアで後者はカジュアルである。
もちろん、スポーツウェアといってもアスレジャー寄りなのでカジュアルとして使えるアイテムも多数ある。

中でも「レストレーション」は売上高100億円に到達したということで、次は300億円まで拡大させる計画が発表されている。

ちなみにこの「レストレーション」の売上高の方が、ジーンズメイト(売上高91・5億円)よりも大きくなっているというのが現実だ。

https://senken.co.jp/posts/donki-hd-170818

この2PB強化のニュースは様々な媒体で取り上げられたが、実際に商品写真が掲載されているものは少なかった。
そういう当方もドン・キホーテを利用することは年間でほとんどないから実際にその売り場を見ていない。どのような商品なのか皆目わからないのに感想を述べることはできないので、いくつかニュースを見ていたら商品画像が掲載されているものがあったのでご紹介しつつ、画像を少し引用したい。

http://fashion-j.com/news/2017/05/donki-fashion/

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画像からだけでいえば、商品の「見た目」はそれほど悪くないと思う。
とくにスポーツの「アクティブギア」はジーユースポーツよりもデザイン的には良いのではないかとも思う。

カジュアルの「レストレーション」も少し安物っぽさがあるが、デザインはそれほど悪いとは思わない。これよりも変なデザインの商品は珍しくない。

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あとは値段が安ければそれなりに売れるだろうと思う。
これで値段が高ければ売れる見込みはゼロだが、ユニクロ並みかそれより少し安い程度で抑えれば、それなりに売れるだろう。300億円の達成は難しくないだろう。

一昔前までのスーパーマーケットに並んでいた低価格カジュアルは商品の見た目が圧倒的に劣っていたが、同価格帯の2017年のドン・キホーテの商品はそこまで見た目は劣っていない。

その理由はここで報道されていた。

https://www.wwdjapan.com/454216

PB開発の責任者としてプロジェクトを率いるのは、ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)出身で、UA内で初めて本格的なSPA業態として「グリーンレーベルリラクシング(GREEN LABEL RERAXING)」を立ち上げから手掛けた、小田切正一さんです。

50歳になるのを機に独立され、ブランド開発やマーケティングなどを業容として活動されていたところ、大原(孝治ドンキホーテホールディングス)社長兼CEOから「ドンキでセレクトショップを作りたいので協力してほしい」とラブコールを受けて事業に参画。今はドンキホーテホールディングス・リテール・マネジメント取締役兼ドン・キホーテSPA開発本部本部長に就かれています。

とのことで、個人的にはこの小田切氏とはまったく面識がないのでどんな個性と能力の持ち主なのかはわからない。
しかし、出身母体で長く要職に就いていたということは、仮に本人に商品デザインや商品製造の能力がなかったとしても、人脈やら背景やらブレーンを持っているはずで、ドン・キホーテのPBにそれがふんだんに使われていることは間違いない。

というか、それがなければ、ドン・キホーテが小田切氏をスカウトする理由はない。

グリーンレーベルリラクシングの商品企画のノウハウが投入されているから、マシな商品デザインに仕上がっている。

実はこれはドン・キホーテだけの特殊事例ではなく、2005年以降、スーパーマーケットの衣料品も含めた低価格ブランドの商品デザインがマシになったのは、すべて同じ理由である。

この小田切氏のような人たちがあちこちにいて、その人たちにスーパーマーケットも低価格ブランドも商品企画を依頼しているからだ。

かつての一流ブランドに属していた企画担当やデザイナーが独立して(企業側からリストラされて)こういう企画請負会社を数多く設立している。
彼らは彼らで食わねばならないから、低価格ブランドやスーパー向けの商品企画だって条件さえ合えば引き受ける。

かくして、かつての大手アパレルと低価格ブランドのデザイン差異は限りなくゼロに近づいたというわけだ。

同じようなデザインでそこそこの品質が担保されているなら、よほどの変人マニアでない限りは安い方で買う。

これが低価格ブランド隆盛の一因である。

さて、ラグジュアリーブランドやその横並びの高価格ブランドは別として、かつて百貨店や専門店を席捲した「中価格帯」といわれるようなブランドは、今後ますます苦しくなる。

見た目も商品の品質も低価格ブランドとさほど変わらなくなっているからだ。
それでいていまだに価格差がある。変人マニアではない大多数の人は必ず安い方で買う。

この現実を直視できないなら、この手のブランドはますます凋落する。
いずれ、ワークマンとドン・キホーテに大きく売上高を削り取られることになる。
ユニクロだってもう「高機能・低価格」だけではこの2社にある部分では追い越されている。

「ブランド」とは何か?「付加価値」とは何か?を既存アパレルは鼻血も出なくなるほど考えなくてはならない局面に追い込まれている。

noteで有料記事を始めてみました。

三越伊勢丹とカルチュアコンビニエンスクラブの提携は何が目的だったのか?
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ファクトリエが国内工場を立て直せない最大の理由
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