このニュースを読んだときに、「ああ、やっぱりな」と感じた。

しまむらの株価が急落 既存店売上高が4カ月連続減
https://www.wwdjapan.com/419687

一昨年、昨年と各メディアに「勝ち組」と持ち上げられたしまむらの失速である。
しまむらの好調は、以前にこのブログでも紹介したように、冬用の保温ズボンを百万枚単位で売り上げたことによるものである。

定価は3900円で、通常のカジュアルパンツと同じくらいスマートでスリムなシルエットなのに防風性が高いというズボンで、各社とも冬用商品では人気が高い。
ユニクロもライトオンも同様の商品を販売している。

しまむらは、この「裏地あったかパンツ」の大ヒットにより久しぶりの増収増益に転じた。

それによって各メディアはしまむらを「勝ち組」と持ち上げたのだが、業界内部からはその時点で、疑問の声が上がった。

というのは、しまむらの基本的なやり方は、メーカー各社の在庫を安く仕入れてそれを安く販売する。
ただし、在庫だから売り切れ御免で、同じ物は二度と入荷されない。
というものである。

一方、裏地あったかパンツは100万枚を売り上げたわけだから、従来のやり方と異なる方法で商品調達がなされたと見るべきである。
いくら在庫がダブついている衣料品業界とはいえ、同じ商品ばかり100万枚も積み残しているメーカーなんてそうそうにあるわけがない。

100万枚の商品を調達し、販売したというやり方はユニクロ方式に近いものがあったのではないかと考えられるし、販売の思想はユニクロと同じだといえる。

少量(とは言っても、1万枚や2万枚程度は調達している)の売り切り御免方式から、100万枚単位でのユニクロ方式への転換。業界から疑問の声が上がったのはこの部分に対してである。

売り上げ規模の小さい企業なら方向転換は容易だが、5000億円を超えるような大企業になった場合、根底からやり方を変えることはなかなか難しく、莫大な労力と資金が必要になる。

そこまでのものを費やしてユニクロ方式に転換することが果たして、しまむらにとって良いことなのか?というのが業界からの疑問の声だった。

そして、今回のしまむらの失速傾向は、方法の転換にやはり無理があり、歪みが生じているのではないかと考えられる。

しかし、失速傾向とはいえ、まだ5月であり春夏物が不調だっただけで秋冬シーズンは好調に転じるかもしれない。
今後の推移を見守らないことには、失速だと決めつけることは難しい。

それにしても、やはりというべきか、衣料品という商品において、春夏物はヒット商品を作ることが難しいということが図らずもまた証明されたのではないかとも思う。

ユニクロの秋冬偏重は以前から指摘されてきたが、秋冬偏重はユニクロに限ったことではなく、衣料品ブランドは一部を除いてほとんどが秋冬偏重である。

なぜなら、秋冬商品は春夏商品に比べて、コートやジャケット類は単価が高く、売上高を増やしやすい。
さらに、気温的にも重ね着ができることから消費者の購買枚数も春夏に比べて増えやすい。

春夏、特に夏場は高気温であるため、重ね着がしにくい。
男性ならTシャツ1枚、ポロシャツ1枚に軽量ズボンというような服装が主流で極めて着用枚数が少なくなる。
女性でも似たような傾向である。

となると、まとめ買いやコーディネイト購買は少なくなり、売上高は稼ぎにくくなる。

また秋冬、とくに冬物は機能性が実感されやすいが、春夏物はどんなに機能性を高めても、暑さは軽減できない。筆者などは「どっちにしろ暑くて汗は止まらないから、夏物は機能性商品を着る必要はない」とまで思い始めている。

そうなると、吸水速乾だろうが、防臭だろうが、大々的にヒットを飛ばすことは難しい。

以前にジーユーがガウチョパンツを100万枚売ったように、春夏商品こそ、トレンド性がなければヒットしにくいともいえる。
ジーユーでガウチョが売れた理由は機能性ではなく、トレンド性と低価格である。


しまむらの「大量調達・大量販売」というユニクロ方式へのビジネスモデルの転換が正解だったかどうかがわかるのはこれからといえる。



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ユニクロ vs しまむら(日経ビジネス人文庫)
月泉 博
日本経済新聞出版社
2009-11-03