世の中にはありとあらゆるテイストと価格帯の商品が溢れている。
その中にはどんなにがんばったって多くの人には受け入れられにくいテイストやら価格帯の商品がある。

そういう場合は、事業規模の拡大には限界があり、事業規模の拡大を容易にしたいならテイストや価格帯をマスに向けた設定にすべきであることは言うまでもない。

とくに洋服はそれを身に付けて歩き回るわけだから、奇抜なデザインではマスには売れにくい。
もちろん、何万円もするようなバカ高い洋服も売れにくい。

事業規模を拡大することを目指すなら、買いやすい価格帯で、ある程度万人受けするデザインにすべきである。

しかし、このバランスを理解せずに、「こんなに独創的な服が売れないのはおかしい」などと寝言にも等しいことを平然と主張するクリエイター気取りのブランドもあり、それは衣料品業界のレベルの低さを象徴しているといえる。

ウェブメディアのインディペンドに1日3組の接客販売(例外はもちろんある)しかしない「ガレージエデン」を寄稿した。

一日3組の予約制のショップ。渋谷区恵比寿の「ガレージエデン」
https://independ.tokyo/?p=3154



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個人的にこのショップを運営する浦野貴弘さんに好感を持つのは、端から事業規模を拡大しようと考えていないところである。
自らの好みと商品がマイナーであることを理解して、それに徹している。

この売り方に対して「一見さんお断わりみたいなのはいかがなものか」という意見もあり、それはその通りだと思うが、反対にそういう店があっても良いのではないかとも思う。

どこぞの大手みたいな「すべてはお客様のために」なんてキャッチフレーズばかりの店では気色悪くて仕方がない。

商品は、とにかく「細さ」を追求している。
パンツの形はブーツカットが基本で、トレンドは関係ない。

浦野さんは高校時代までリーバイスのXLサイズでもパツパツになってしまうほどの巨漢だったそうで、だからこそ今は細身であり続けることに強いこだわりを持つ。

自分もさすがにそこまで巨漢ではないが、もともとガッシリした体型なので、その憧れは理解できる。

デザイン自体はベーシックだが、とにかく細さへのこだわりは強いから、到底マス層には売れない。
もちろん値段もバカ高くはないが、そこそこに高い。

ここで浦野さんが「ぼくはマス層に売りたいんですよ」なんてことを言ったら、「寝言は寝て言いましょう」と返すところだが、そうではないからその商品構成には共感できる。

日本に限らず、欧米を見ても、売り上げ規模の大きいブランドの多くは、価格がそこそこ買いやすくて商品デザインが奇抜すぎない。別に日本人だけが特殊な考え方をしているわけではない。

自由経済だから、どんな商品を作ってどんな価格設定にしても構わない。
ポッピーピポパポの衣装みたいなデザインにして10万円の価格設定にしても構わない。

ただし、それが売れないのもまた自由経済である。

クリエイター気取りのブランドは何故、それが理解できないのか。
ビジネス的に成功しているデザイナーズブランドにしても実際に売れているのは奇抜過ぎないデザインの商品がほとんどである。

売れたければ売れやすいデザインや価格設定にすべきだし、自己の主観丸出しの「作品」を作りたければ売れないことを覚悟する必要がある。

主観丸出しで奇抜なデザインをするけれども、売れたいという美味しいところ取りは不可能である。

自分が「ガレージエデン」を支持する理由は、売り上げ規模が拡大できなくても良い、売り上げ規模は拡大できない、と覚悟しているからだ。


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